日刊 アジアのエネルギー最前線

●081004 中国とインドのエネルギー問題 ー


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ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年10月4日分 ー中国とインドのエネルギー問題 ー

「中国とインドのエネルギー問題」,今日は時間がかかった。二つの長い記事があり,一つは,ロイターが中国のエネルギーの将来について語り,二つは,インドの副大統領がエネルギー会議で演説した草稿である。いずれも,エネルギー効率を問題にしており,経済成長するためのエネルギーの量を問題にした点で共通点がある。

ロイターの中国の記事は,北京郊外環状線東5番線道路のシノペックのガソリンスタンドの話から始まっている。どうにも追いついてこないガソリン補給でトラックの列,もうないからどこかに行け,と言われても,ガソリンがなくて動けないトラックの列なのである。記事の最後には,最近の思い切った値上げで,卸売りのディーゼルはリッター当たり5.29元を6.23元に上げている。シノペックのトラックの列を短くなった,とエネルギー政策の影響を語っている。

中国は資源に恵まれていると思われているが,一人当たりにすればそうではない。石炭包蔵が世界第3位,2007年の生産量では世界の40%を占めているが,このままだと80年で使い切り,石油に至っては15年,天然ガスは30年で消費し尽くしてしまう計算である。GDP当たりのエネルギー消費量は,米国や日本の3倍から8倍に達している。これは我々も注目しているところである。

中国政府は,2010年までに,現在のGDP当たりエネルギー10,000元,約1,460ドル相当,を20%カットする。即ち,2005年に1.22トン石炭等価TCEであったものを,2010年に0.98トンにする計画である。2005〜2010年の第11次五カ年エネルギー開発計画では,エネルギー消費の伸びを3.5%に抑え,2010年のエネルギー消費を24.46億トン石炭等価に持って行くとしている。

インドの副大統領は,この点に触れているが,この数字はよく分からない。彼によると,インドはGDP1ドル稼ぐのに0.16kgの石油等価の電気をを使っており,これに対して中国は0.23kg,米国は0.22kg,世界平均は0.21kgである。電力の損失問題は,インドにとって重要である。現在損失は36%であり,世界の平均28%より更に悪い状態である。

二つの記事とも,再生可能エネルギーについて多くの字数を使っている。両者とも,水力開発を大きな柱と考えている。中国の原子力については,まだまだ計画上も増設の余地がありそうだ。とにかく両国とも,石炭火力を如何に抑制して行くか,と言う点では共通している。

バイオ燃料で,インドの副大統領が重要な指摘をしている。一つは,太陽光とバイオ燃料は土地依存で land intesity と言う言葉で懸念を示している。例えば日本の電力を太陽光で賄うと250万人が犠牲になると言われている。四国に匹敵する人口と土地だ。それと,散在したバイオをどうやって集めるのか,グーグルが言っている送電線ネットワークの知能化,革命が必要と言われている。


本文

●中国の道路上のエネルギー問題,世界に直結

このロイターの記事は,北京郊外環状線東5番線道路のシノペックのガソリンスタンドの話から始まっている。どうにも追いついてこないガソリン補給でトラックの列,ないからどこかに行け,と言われても,ガソリンがなくて動けないトラックの列なのである。全体には,我々も思っていたエネルギー重消費型の経済を解説した長い文章である。数字だけでも拾っておこう。

中国は資源に恵まれていると思われているが,一人当たりにすればそうではない。石炭包蔵が世界第3位,2007年の生産量では世界の40%を占めているが,このままだと80年で使い切り,石油に至っては15年,天然ガスは30年で消費し尽くしてしまう計算である。GDP当たりのエネルギー消費量は,米国や日本の3倍から8倍に達している。

中国政府は,2010年までに,現在のGDP当たりエネルギー10,000元,約1,460ドル相当,を20%カットする。即ち,2005年に1.22トン石炭等価TCEであったものを,2010年に0.98トンにする計画である。2005〜2010年の第11次五カ年エネルギー開発計画では,エネルギー消費の伸びを3.5%に抑え,2010年のエネルギー消費を24.46億トン石炭等価に持って行くとしている。

再生可能エネルギーであるが,原子力と併せて昨年の比率は7.5%であった。国家再生可能エネルギー開発中長期計画SREMILPでは,この値を2010年に10%,2020年に15%に上げる計画である。水力開発は世界的にも最上位にあるが,2007年には145000MWであったものを,2010年には190000MWとする予定である。風力も,2007年に6,000MWと大きいが,更に2010年には20,000MWとする。

原子力は,現在11基が稼働して出力は9,100MWであるが,2020年に40,000MWを目標としており,全体の4%を確保したい。世界平均では148%で,先進国では80%のケースがあることを考えると,中国の原子力は,まだまだ開発の余地があるといえる。

石油は,輸入先の多様化を目指しており,現在はサウジアラビアが大半であるが,アンゴラ,イラン,オマン,ベネズエラ,スーダン,ロシアなどに手を広げている。石油価格は国際市場を反映させて,画期的な上昇に移っている。現在では,卸売りのディーゼルはリッター当たり5.29元を6.23元に上げており,これでも,シノペックのトラックの列を短くさせた。

●フィリッピン,ERC,WESM市場の価格を,NPCの時間帯料金適用,10月分

フィリッピン,ルソン系統で試験的に(系統の10%)実施されている電力卸売市場WESMの取引価格が大きく揺れて,その取り扱いで関係者の頭を悩ませている。結局,ERCは,この10月まではNPCが持っている基準,時間別の料金表を適用するよう決定した。何のことはない,最初からNPCの値段で行けばよいものを,と言うことになり,WESMの存在そのものを否定する決定である。

しかし,現在は10%の市場規模であるが,今後の増分はすべてWESMを通すことになるので,将来は大きくなり,このような突発事故に対してどうするか,議論が必要だ。NPCの値段は,平均KWh当たり3.17ペソ,約6.72セント相当,と書いてあるが,手元の資料では,昼間ピーク時6.06ペソ,約12.86セント相当,深夜オフピーク時1.87ペソ,約3.97セント相当となっている。
ERC pegs WESM prices at NPC TOU rates for Oct. billing

この7月11日に,サンホセデルモンテ変電所で事故が起きて混乱に陥ったときの,市場での極端な値上がりを需要家に請求すると,KWh当たりで2ペソ,約4.24セント相当,の上乗せとなることに対処した措置だ。この市場の創設で電気料金が安くなる,としている当局に対して,関係者からは,スポットマーケットの見直しを要求する声も出ている。

●ラオスのダム開発,地元住民の生活を脅かしている

河川環境グループIR,Intenational Rivers がまとめた報告書を記事の内容としている。特に,1,070MW,Nam Theun 2 水力が標的になっている。報告書によれば,現在大規模水力でラオス内で稼働中のものは6カ所,工事中が7カ所,準備中が12カ所以上,棚上げされているものが35カ所,合計で80カ所に上る。

多くの住民が立ち退きを命ぜられ,生活の根拠を奪われようとしているが,政府や世界銀行は,それに対して十分な対応をしていない。世界銀行も,このプロジェクトに実施によって,住民も含めて多くのものが得られると言っている。しかし,IRのレポートによると,世銀の調査による環境対策は,ラオスの今後の指針となるはずだったが,それが十分に反映されていないと言っている。

IRの言っている中で注目点は,魚類の問題である。ある一種の魚は,他にはアマゾンとコンゴにしか生息しないもので,20億ドルの価値のあるものだと言っている。本当かな。今計画さえている360MW Don Sahong 水力は,ラオスとカンボジアの境界のコーンの滝付近にあって,この魚の生息環境に決定的な影響を与える,と懸念している。

●インド副大統領,インドエネルギー会議を主宰,演説

インドエネルギー会議で副大統領が演説した内容である。数字だけ拾っておきたい。 International Energy Outlook 2008 によると,インドの石炭への依存度は53%で,石油が31%,天然ガスが8%,再生可能エネルギーが6.8%,原子力が1.2%である。2030年には,天然ガスと原子力が大きく増え,それぞれ12%と5.4%になる計画である。

燃料補助金の問題は重要である。補助金制度は貧者救済に重要であるが,効率的な使用を妨げ,国家財政に大きな負担をかける。IMFによると,富裕層20%は補助金で40%の恩恵を受けており,20%の貧困層は10%の恩恵しか受けていない。しかし,補助金制度は,弱者救済の意味を持たせる上で重要で,内容の改革が必要である。

副大統領は,エネルギー節約について触れているが,この数字はよく分からない。彼によると,インドはGDP1ドル稼ぐのに0.16kgの石油等価の電気をを使っており,これに対して中国は0.23kg,米国は0.22kg,世界平均は0.21kgである。電力の損失問題は,インドにとって重要である。現在損失は36%であり,世界の平均28%より更に悪い状態である。

再生可能エネルギーについては,水力が主体と考えている。バイオマス燃料については,2017年までにディーゼルなどの20%混入を計画しているが,問題点が二つある。一つは,土地の使用という面である,land intensity である。これはバイオ燃料と太陽光について言える。2番目の問題は送電網で,散在するエネルギー源と散在する需要元を,円滑に結びつけることが出来るか,送電網の根本的な問題に到達する。


Reference

Philippines

●081004A Philippines, Manila Bulletin
ERC,WESM市場の価格を,NPCの時間帯料金適用,10月分
ERC pegs WESM prices at NPC TOU rates for Oct. billing

http://www.mb.com.ph/BSNS20081004136998.html

Laos

●081004B Laos, .alertnet.org
ラオスのダム開発,地元住民の生活を脅かしている
Laos dams threaten homes, incomes and fish, say campaigners

http://www.alertnet.org/db/an_art/20316/2008/09/3-151757-1.htm

India

●081004C India, pib.nic.in
インド副大統領,インドエネルギー会議を主宰,演説
Vice President Inaugurates ‘India Energy Conference’

http://pib.nic.in/release/release.asp?relid=43332

China

●081004D China, china.org.cn
中国の道路上のエネルギー問題,世界に直結
China's road to energy security

http://www.china.org.cn/business/news/2008-10/04/content_16564426.htm


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