アジアのエネルギー最前線
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ー 日刊アジアのエネルギー最前線 081207A ベトナム,産業通商省,広範な電力改革を意図ー

●ベトナム,産業通商省,広範な電力改革を意図

ブンタオ海岸

ベトナムの電力市場については,水力発電所の渇水から起こる電力不足の問題と共に,電気料金の矛盾が問題となってきた,それは特にEVN(注1)の低料金とIPPとの調整の問題であった。2008年12月3日付本HP(注2)で,産業通商省MOIT(注3)が首相に対して,EVN(注1)の独占打破を基本とする改革案を提案した,との比較的簡単な記事を解説している。

このときのキーワードは,原価方式プール市場CBP(注4)で,何のことかよく分からないが,提案したMOIT(注3)も,具体的な方策は,海外のコンサルタントや世界銀行,ADBなどの協力で,これから枠組みを造って行く,と言うものであった。私はこれを,迷走している,と表現したが,とにかくベトナムが,自由市場だが価格混乱の起こらないもの,という都合のいいものを考えている,と感じた。今日は少し詳しい報道だ。

国有の独占企業EVN(注1)は,全国の送電網と,ハノイ電力(注5)とホーチミン電力(注6)を含む11の配電会社をその傘下に置いている。この電力市場を自由化し,国有電力企業の独占を打ち破るために,産業通商省MOIT(注3)が,一連の積極的な改革案を提案した。この提案書はまもなく政府に提出されるが,その意向に関して,3つの段階を経ることを考えている。

その3つの段階とは,2014年までに発電競争市場の創成,2015〜2022年の間に競争卸売市場の形成,2024年以降に競争小売市場の創成,である。遅いですね,これでは今はやらない,と宣言しているようなものだ。この第1段階の発電競争市場の創成は,原価方式プール市場CBP(注4)と言う,少し分かりにくいキーワードが入ってくるのである。おそらく,余り取引価格が変動しない市場を考えているのか。

この電力卸売りの取引市場は,30MW以上の発電所はすべてこの市場に参入しなければならない。産業通商省MOIT(注3)筋によると,このモデルが基準として容量でなく原価としていることで,新規投資企業の参入を助け,大規模発電企業の独占を妨げる,と説明している。MOIT(注3)のタバンフオン部長(注7)は,取引市場の価格決定は,電力規制委員会(注8)が行う,と説明している。

更に続けて,この取引が円滑に進むと,発電事業者はEVN(注1)と長期の契約をしないで,発電事業者の最適の価格を提案することが出来る,と言っている。また,現在11ある配電会社を統合して,5〜7にしたいとしている。EVN(注1)は現在,全発電設備の71%を所有して,市場を独占し,競争を封じている。そこで,EVN(注1)の発電設備を3つの企業に分割し,1企業が25%以下の発電設備を持つように改革する。

産業通商省MOIT(注3)は,大規模水力,ホアビン(注9),ヤリ(注10),チアン(注11),ソンラ(注12)とすべての原子力発電所は,戦略的立場から,産業通商省MOIT(注3)の直轄にする,と言っている。最初の原子力発電所は,2020年にニントワン省(注13)に建設され,2025年までには設備出力,8,000MWが予定されている。

EVN(注1)の独占をなくするために電力取引企業(注14)が設立されるが,EVN(注1)は,依然としてただ一つの電力の引き取り手であり,卸売業者として,現体制を維持する。この電力取引企業(注14)は,EVN(注1)から独立しており,発電所から電気を買い,配電会社に売る機能を持つことになる。外部の解説者は,この改革が承認されれば,EVN(注1)は,他の発電企業と肩を並べ,もはや市場をコントロール出来ないと。

電力をEVN(注1)に売っている発電所の経営者は,この改革はIPPにとってはまさにその人生を変えるものであり,電力への投資を大きく飛躍させるだろう,と言っている。設備増強に関して,EVN(注1)は最近,外国資本の確保に失敗した場合は,国家基金を得られることで合意している。国家資本投資公社SCISC(注15)は国家資金を運用しているが,これがEVN(注1)の発電所の株式を取得することもあり得る。

この場合,SCISC(注15)かEVN(注1)のどちらかの国有企業が,51%以上の株式を所有することになる,と説明している。また,EVN(注1)が開発中の火力や水力のプロジェクトで資金を必要としたときは,SCISC(注15)が資金を供給する。政府は,電力不足を解消するために,電力インフラの増設の促進を迫られている。EVN(注1)は,420百万ドル外資に失敗,政府に対して,13プロジェクトの資金支援を要請している。

EVN(注1)のダオバンフン総裁(注16)は,このSCISC(注15)支援の方式は,2015年まで毎年80兆ドン,約47億ドル相当,の必要投資額を支援してくれるだろう,と語っている。またSCISC(注15)は,次の10年に予定されている最初の原子力発電所にも,資金調達を行うとしている。SCISC(注15)のチャンホアンリ報道官(注17)は,まだ詳細は決定していない,と説明を拒否した。

産業通商省MOIT(注3)は,先月,需要見通しを発表し,2020年時点で2262億KWhの不足が残るとしている。このためにベトナムは,中国,ラオス,カンボジアからの電力輸入が必要であり,また,2015年時点では2,240万トンの石炭輸入が必要になるとしている。EVN(注1)によると,今年,2008年の11ヶ月間の需要は,昨年同期から,25.5億KWhの減となっている。

今月,2008年12月も,まだ電力不足の可能性がある。南部の水力発電所の水位が例年より低下しており,火力発電所も問題を抱えているという。来年,2009年は,電力不足を補うため,中国より27億KWhの輸入が予定されているが,現在その購入価格について交渉中であり,今月,2008年12月中には,交渉は妥結するものと予測している。

いろいろ記事には書いてあるが,電力改革に関しては,これからまたこの制度設計をいろいろ聞かされるのか思うと,フィリッピンを思い出してうんざりである。行程表から見て,今は改革を行わない,ととってもよいが,話は随分聞かされるだろう。この記事で,政府ファンドの記述が相当にあり,寧ろこの辺りの財政面での基盤確立が,改革よりも急務といえよう。

(注) (1) State-owned power monopoly Electricity of Vietnam,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081203A.htm,(3) Minister of Industry and Trade,(4) cost-based pool scheme (CBP) for electricity pricing,(5) Hanoi Power,(6) Ho Chi Minh City Power,(7) Ta Van Huong, head of the ministry’s Energy Department,(8) Electricity Regulatory Authority of Vietnam,(9) Hoa Binh,(10) Ialy, (11) Tri An,(12) Son La,(13) Ninh Thuan Province,(14) power trading company,(15) State Capital Investment Corp. (SCIC),(16) president, Dao Van Hung,,(17)

Reference

Vietnam

●081207A Vietnam, thanhniennews
ベトナム,産業通商省,広範な電力改革を意図
Ministry eyes comprehensive power sector reform
http://www.thanhniennews.com/business/?catid=2&newsid=44329


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