アジアのエネルギー最前線

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ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2009年6月10日分 ー バングラデシュを救うのはガス探査とブータン水力ー

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Bangladesh River


2009年6月10日分 ー バングラデシュを救うのはガス探査とブータン水力 ー

パキスタンのペシャワール,高級ホテル「パール・コンチネンタル・ホテル」が自爆攻撃を受けた(注1)。国連職員を含めて5人が犠牲となり,70人以上が負傷したという。このホテルは,我々がムンダ・ダムの調査でよく使っていたホテルで,ダムサイトまで30分,インターネット事情もよくて,気に行っていたホテルだ。ますます,パキスタン北西部の治安悪化が問題になってくる。

その反対側,東パキスタンとも言われたバングラデシュは,ミャンマーとインドの狭間にあって,つい忘れられがちで,私も,可哀相だ,JICA助けてあげて,とアピールしていたことがある。JICAは今,火力発電所の効率化を支援しているはずだ。バングラデシュのエネルギーで基本的な問題は,残り少ない天然ガスの包蔵と,なかなか円滑に進まない石炭の開発だろう。

最近の関連資料からバングラデシュのエネルギー事情を見ておこう。電力の現状,天然ガスが82%を占め,残りが石油9%,水力が4%,石炭が5%である。組織は,BPDBが電力の大本締めで,ダッカ首都圏とその周辺の配電をDPCDとDESCOが担当,クルナ周辺を WZPDCL,農村地帯をREBが担当している。設備出力は,5,245MW,このうち稼働可能は,3,400MW,ピーク需要は4,200MW,電力不足は,800MW。

頼みのガスだが,確認済みと可能性を含めて,23のガス田で,20.63TCF(兆立方フィート),そのうち既に7.42TCFは消費済みである。残りのポテンシャルは,2007年12月時点で,13.21TCFとなっている。2000年から2050年までに必要な天然ガスは,3%成長で40〜44TCF,これまでの延長で64〜69TCFなどである。もう既に政府はガス使用制限に踏み切っており,先が見えている。

それで,今日の記事で改めて地図を見てみると,ブータンの出口,プンツオリンからバングラデシュの国境までは,僅かに60kmである。ラーマン大統領でなくても,ブータンの水力を何とかならないのか,と言いたくなる。この60kmの幅はインド領であるが,あのシン首相なら,そこを送電線が横断することなんかに,ぶつぶつ言わないだろう,大いに進めるべきである。

日本政府は,温暖化ガス中期目標の決断の時期が迫ってきた。突然,2020年時点で1995年比15%削減案が浮上している(注2)。欧米が14%で決まりかけている情勢を見て,1%上積み,15%だと言う。いい加減と言えばいい加減だが,これが政治決断というものなのか。太陽光発電を増やせば1%は何とかなる,と言っている。原子力発電所の稼働率のことにも触れて欲しいと思う。

(注1) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38474720090610
(注2) http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090610AT3S1000I10062009.html

本文

●バングラデシュが新規ガス田探査で入札開始へ

The government is going to make its final decision soon, even within the current month, about the long pending issue of 3rd round bidding on offshore gas blocks. "We're now going through a due diligence process. The decision (about the gas block bidding) is going to be made very soon and it does not mean months," Prime Minister's Adviser Dr. Taufiq-e-Elahi Chowdhury said yesterday.

最近の関連資料からバングラデシュのエネルギー事情を見ておこう。電力の現状,天然ガスが82%を占め,残りが石油9%,水力が4%,石炭が5%である。組織は,BPDBが電力の大本締めで,ダッカ首都圏とその周辺の配電をDPCDとDESCOが担当,クルナ周辺を WZPDCL,農村地帯をREBが担当している。設備出力は,5,245MW,このうち稼働可能は,3,400MW,ピーク需要は4,200MW,電力不足は,800MW。

頼みのガスだが,確認済みと可能性を含めて,23のガス田で,20.63TCF(兆立方フィート),そのうち既に7.42TCFは消費済みである。残りのポテンシャルは,2007年12月時点で,13.21TCFとなっている。2000年から2050年までに必要な天然ガスは,3%成長で40〜44TCF,これまでの延長で64〜69TCFなどである。もう既に政府はガス使用制限に踏み切っており,先が見えている。

ミャンマーのガスが欲しいのは,本当はバングラデシュなのだ。2008年10月9日のこのHPを見ると,ミャンマーのマウンアイ将軍がバングラデシュのアームッド大統領を表敬訪問したときに,大統領から,主として肥料工場のためのガス供給を打診したが,マウンアイ将軍から断られている。ベンガル湾のバングラデシュ近海の深海,これはバングラデシュの海域である,としている。対話は,2008年4月に行われたが,結論が出ていない。

このようなバングラデシュのエネルギーとしては切羽詰まった中で,バングラデシュの首相顧問チョウドリー博士(注6)が,モリアティ米国大使(注8)と在ダッカの米国商工会議所AMCHAM(注7)との昼食会で明らかにした内容だが,入札を終わって懸案となっている第3次沖合ガス探査入札(注5)について,長く棚上げとなっていたが,今月中,2009年6月にも進捗を見るだろう,と語ったニュースである。

前回の入札の結果,8ブロックで米国籍のコノコ(注11)が,また1ブロックでアイルランド籍のタロウ(注12)が落札企業となっているが,内閣の交代や,いずれの入札も各1社のみで競争がなかったこと,などのため,1年ほど棚上げとなって,落札企業を焦らせていた。なお,チョウドリー博士(注6)は,困難な電力事情から,ブータン,インドからの水力輸入,石炭開発の今後についても言及している。

(注)A (1) 090610A Bangladesh,nation.ittefaq,(2) title: Final decision on gas block bidding soon,(3) http://nation.ittefaq.com/issues/2009/06/10/news0615.htm,(4) UNB, Dhaka,(5) 3rd round bidding on offshore gas blocks,(6) Prime Minister's Adviser Dr. Taufiq-e-Elahi Chowdhury,(7) American Chamber of Commerce in Bangladesh (AmCham),(8) US Ambassador James F Moriarty,(9) AmCham President Syed Ershad Ahmed,(10) Bangladesh maritime boundary,(11) Conoco Philip,(12) Tallow,(13) Dr. Taufic-e- Elahi, a former energy secretary,(14) compacted florescent lamp (CFL) bulbs,(15) long-pending issue of coal policy,(16) Petrobangla,(17)

今日の参考資料

●090610A Bangladesh,nation.ittefaq
バングラデシュが新規ガス田探査で入札開始へ
Final decision on gas block bidding soon
http://my.reset.jp/adachihayao/index090610A.htm

http://nation.ittefaq.com/issues/2009/06/10/news0615.htm

最近の関連資料

●081103C Banglaesh, bangkokpost
バングラデシュ,ミャンマーのガス開発に海域侵犯と
Bangladesh protests Burma oilfield intrusion
http://my.reset.jp/adachihayao/index081103C.htm
●081009D Bangladesh, energybangla
ミャンマー,今のところ,バングラデシュへのガスの余裕なし
No Gas for Bangladesh Right Now Myanmar
http://my.reset.jp/adachihayao/index081009D.htm
●081009E Bangladesh, xinhuanet
ミャンマー,バングラデシュの水力開発要請に合意
Myanmar agrees to move forward hydropower plant proposal
http://my.reset.jp/adachihayao/index081009E.htm
●081009F Bangladesh, thedailystar
ミャンマー,もし余裕があれば,ガスをバングラデシュへ供給
Myanmar agrees to export gas if new reserve found
http://my.reset.jp/adachihayao/index081009F.htm


●バングラデシュはブータンの水力を輸入する可能性がある

President Zillur Rahman yesterday said Bhutan could export hydropower to Bangladesh to help mitigate the current power crunch here as the Himalayan country hold a huge potential for producing about 30,000-megawatt hydroelectricity.

バングラデシュとブータンの関係,今まで余りピンと来なかったし,話題になったこともない。そう思って地図を広げてみると,ブータンの南への出口,プンツオリンの近く,1000MWクラスのタラ水力発電所とバングラデシュの国境までの最短距離は,僅かに68kmなのである。全く,ブータンとしてはバングラデシュへ電気を売った方が,遙かに物理的には容易だ,と言うことに気が付く。

新任のブータンの駐バングラデシュ大使クサン氏(注6)が,信任状提出のため大統領官邸(注7)に出向き,ラーマン大統領(注5)と会見した。アラム大統領補佐官など3人(注10〜12)が同席した。その席上で,ラーマン大統領(注5)が,ブータンの包蔵水力は30,000MWと聞いている,バングラデシュの電力需給の窮状を考えると,ブータンは水力の電力をバングラデシュへ輸出できるはずだ,と持ちかけた。

記事を読むと,それ以上は深く話されていないが,ブータンが,バングラデシュの薬品を大いに頼りにしていて,薬品技術についてブータンからの研修生を受け入れている事実が語られ,ブータン大使から謝意が述べられている。繊維関係(RGMはよく分からないが繊維だろう)のことにも話が触れている。電力輸入は物理的には可能性があり,インド領を横切るが,インドは許すだろう。この話が大プロジェクトの切っ掛けになればよいと思う。

(注)B (1) 090610B Bangladesh, nation.ittefaq,(2) title: Bhutan can export hydropower to Bangladesh: President,(3) http://nation.ittefaq.com/issues/2009/05/21/news0827.htm,(4) UNB, Dhaka,(5) President Zillur Rahman,(6) Bhutanese Ambassador to Bangladesh, Dasho Bap Kesang,(7) Bangabhaban,(8) Bangladeshi RMG,(9) pharmaceutical products,(10) Secretary of the President's Office Mohammad Shafiul Alam,(11) Military Secretary to the President Maj Gen Md Ehtesham Ul Haque,(12) President's Press Secretary Abdul Awal Howlader,(13)

今日の参考資料

●090610B Bangladesh, nation.ittefaq
バングラデシュはブータンの水力を輸入する可能性がある
Bhutan can export hydropower to Bangladesh: President
http://my.reset.jp/adachihayao/index090610B.htm

http://nation.ittefaq.com/issues/2009/05/21/news0827.htm

最近の関連資料

●081009D Bangladesh, energybangla
ミャンマー,今のところ,バングラデシュへのガスの余裕なし
No Gas for Bangladesh Right Now Myanmar
http://my.reset.jp/adachihayao/index081009D.htm
●081009E Bangladesh, xinhuanet
ミャンマー,バングラデシュの水力開発要請に合意
Myanmar agrees to move forward hydropower plant proposal
http://my.reset.jp/adachihayao/index081009E.htm
●081009F Bangladesh, thedailystar
ミャンマー,もし余裕があれば,ガスをバングラデシュへ供給
Myanmar agrees to export gas if new reserve found
http://my.reset.jp/adachihayao/index081009F.htm
●080312G Bangladesh, Independent Bangladesh
バングラデシュ,ADBの支援で,3つの発電所建設へ
Govt to seek ADB funds for three power units
http://www.independent-bangladesh.com/200803113004/business/govt-to-seek-adb-funds-for-three-power-units.html



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●中国の金沙江の開発進む (081228)
●インドがカシミールで水力推進決意 (081227)
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●中国2千キロの80万ボルト直流送電 (081224)
●中国がインドネシアのエネルギーに31億ドル (081223)
●インドのガスとLNGを巡る情勢 (081222)
●パキスタンの水力便益地元還元 (081221)
●フィリッピンの電気料金は民営化で下がるか (081220)
●インド北辺水力開発に変わった兆し (081219)
●フィリッピンの再生可能で産業界が沸き立つ (081218)
●フィリッピンが再生可能400万KW開発へ (081217)
●米国の知的送電網開発の気運 (081216)
●メコン委員会も気候変動戦争に参戦 (081215)
●インドが省エネ取引市場を計画 (081214)
●インダスのニールム川に火花散る (081213)
●中国の地方政府の開発志向は止まらない (081212)
●NGOが世界銀行は温暖化の元凶と (081211)
●原油価格下降の現状とこれからの動き (081210)
●中国の経済外交が国内巨大需要へ急旋回 (081209)
●パキスタンのバシャダムの資金不足 (081208)
●フィリッピンの送電網は中国へ (081207)
●インドの電力が最高警戒レベル (081206)
●パキスタンがインドへ水補償要求 (081205)
●メコン事務局長が投稿立場説明 (081204)
●ベトナムの電力改革迷走か (081203)
●比のロペスが国産資源開発へシフト (081202)
●インド北部の水力二つ前進へ (081201)

●マニラのプール市場に混乱 (081130)
●タイEGATの海外進出への飛躍 (081129)
●世銀の大規模インフラに批判の声 (081128)
●フィリッピンの再生可能エネルギー再び (081127)
●ミャンマーのラシオへの思い (081126)
●インドのパイプラインへの挑戦 (081125)
●パキスタンの水問題深刻 (081124)
●ベトナムの開発に何か変化が (081123)
●インドネシアの石炭探査投資を (081122)
●中国雲南省がコルカタへ調査団 (081119)
●パキスタンのダムになお異論 (081118)
●ミャンマーは更にダム開発加速 (081117)
●インド北東地域の送電線計画 (081116)
●メコン洪水で再び中国ダム論争 (081115)
●金融危機とインドの電源開発 (081114)
●カンボジアのNGO天国終焉 (081113)
●インドの電力プール市場 (081111)
●フィリッピンのマイクロ水力 (081109)
●カンボジアの多彩な水力開発 (081108)
●IEAが原油動向で報告書 (081107)
●インドの大規模火力に資金難 (081106)
●中国の石炭に下降傾向 (081105)
●タイ首相ナムグムの水を東北タイへ (081104)
●タイの原子力地点決定は2009年末 (081103)
●イランのパイプラインとインドの優柔不断 (081102)
●ミャンマーでの中国のプレゼンス (081101)

●ベトナム油田へのロシアの参入 (081031)
マニラ配電の先行き見通し (081030)
カンボジアなどへの中国の進出 (081029)
中国の水力開発規模は世界一 (081028
インドネシアの 電気料金上げ (081027)
中国企業がアザドカシミールにダム投資 (081026)
中国広西とベトナムを結ぶ線 (081025)
丸紅のフィリッピンへの取り組み (081024)
インドネシアと中国のLNG契約 (081023)
ラオスの水力で住民補償が再燃 (081022)
世界で50カ国以上が原子力発電を計画 (081021)
世界金融情勢の変化の影響 (081020)
インドとパキスタン対立の悪夢 (081019)
パキスタン大統領の北京挑戦 (081018)
インド北辺水力開発に反旗 (081017)
米国がインドへ原子力通商使節団 (081016)
フィリッピンの天然ガスと電気料金 (081015)
フィリッピンの長期エネルギー計画 (081014)
インドの大規模石炭火力計画 (081013)
ミャンマーの水力への外国投資 (081012)
ダム建設を巡るカシミール問題 (081011)
フィリッピンの国産エネルギーへの拘り (081010)
バングラデシュとミャンマーの関係 (081009)
バングラデシュのエネルギー長期見通し (081008)
中国政府のチベット開発政策 (081007)
●ADBが初めてベトナム水力支援 (081006)
●知的送電線ネットワークの発想へ (081005)

中国とインドのエネルギー問題 (081004)
インドの原子力開発加速へ (081003)
アジア大陸の水源はチベット高原 (081002)
インドの配電組織改革 (081001)

フィリッピンの再生可能エネへの取組 (080930)
インドの地球温暖化との戦い (080929)
サルウイーン河のダム開発 (080927)
メコン流域会議開催と中国 (080926)
インド,25年までに6千万KW水力開発 (080925)

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