アジアのエネルギー最前線

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ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2009年7月1日分 ー スリランカの石炭火力が順調に推移 ー

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Riz Khan - What now for Sri Lanka's Tamils? - 25 May 09 - Part 1
After a military victory for the government in a civil war that has torn the country apart for decades, Sri Lanka now begins a process of national reconciliation.


2009年7月1日分 ー スリランカの石炭火力が順調に推移 ー

スリランカが,「LTTEを完全制圧」,と宣言したのは,2009年5月20日である(注)。一生懸命,明石さんを押し立てて仲介を図ろうとした日本政府は,面目を潰された感じではあるが,それでも,あのゲリラ戦のなか,勇敢に支援を続けてきた日本のODAは,評価されてもいいだろう。JICAのコロンボ事務所長の椅子には,ゲリラの攻撃を受けた銃弾の跡が残っていた。

私は,スリランカは,日本,台湾,カンボジア,フィリッピンなどと共通点を持っていると思う。石炭資源に恵まれず,石油火力に頼らざるを得なくて,需要規模が小さい間に,電気料金がどんどん高くなっていった。スリランカは,日本政府は,アッパーコトマレなど,水力も支援したが,我々の狙いは輸入石炭による石炭火力だった。JICAやJパワーは,専門家を現地に送って,その可能性を追求した,2000年頃だろうか。

間に,JICAの中部電力によるマスタープランなどが入って,我々も大いに期待したが,進展が思わしくなかった。基本的には,地元住民などの反対で,JBICも動けなかったと言うことだろう。それでも私は,専門家まで送ったJパワーには大いに期待をしていたが,いつの間にか,日本勢は無気力になっていった。私は,如何に水力を助けても,大規模ベース火力がなければ,スリランカの発展はない,と見ていた。

スリランカのクマラトンガ大統領と中国の湖錦濤国家主席立ち会いの下に,最終規模,300MW3台,900MWの北西部沿岸,プットラム(注7)に,ノロッチョロイ石炭火力プロジェクト(注6)を,中国政府及び中国企業の支援で建設,2010年にも第1号機の運転開始の工程で,着工する,と合意したのは,2005年8月30日の北京であった。スリランカ政府が直ちに発表,建設が決まった。

私は,Jパワーが,石炭火力については手を出さない,中国に譲った,と言う基本方針が,Jパワー内部で決定されたと考えた。それからのJパワーは,カンボジアの大規模石炭火力の提案にも,その粘っこさが全く見られなくなっていった。結果として正しい判断であったとは思うが,一生懸命進めてきたスリランカの電力支援だけに,もう少し粘りが欲しかったが,怒濤のような中国の攻めに向かっていったら,溺死したかも知れなかった。

日本政府やJBICが,石炭火力やダムを支援しなくなったことも大きな原因だが,中国が造るインドネシアの石炭火力やスリランカの石炭火力で,大気汚染に関する日本の技術を適用できなかったことは残念だ。それにしても,日本が支援したときのスリランカ地元の反対は,大統領が中国の支援を発表した途端,反対運動がぴたりと止まってしまったのは,一体どういう分けだろう。今日の記事も深くは触れていない。

Jパワーが中国に譲ってしまった石炭火力開発だが,どうしても石炭火力を今後も続けなければならない国,インド,中国,ベトナム,タイなどでは,日本の石炭火力に関する環境技術を必要としており,そのために一生懸命努力している日本の人々を,私も知っている。二酸化炭素閉じこめは,おそらく経済性の壁に突き当たるであろうが,超臨界機器など,石炭火力の効率向上については,日本勢はメーカーも含め,まだ諦めていない。

(注) http://www.nikkei.co.jp/kaigai/asia/20090518D2M1802618.html

本文

●スリランカのノロッチョライ石炭火力建設が進展

With the President and the Government firmly behind the project, construction of stage one is moving ahead, to be followed by stages two and three in the same premises. Once completed, the power plant will have a total gross generating capacity of 900 MW. After discounting for the in-house consumption and losses in transmission, the power plant would provide about 850 MW of capacity to the national grid.



スリランカは,かってのカンボジア,台湾,日本,フィリッピンと環境が似ている。いずれもエネルギー資源がなく電気料金が高い。経済発展の差こそあれ,環境は非常によく似ている。我々は相当前から,スリランカのエネルギーを救うためには,輸入石炭による石炭火力を建設するより他にない,と言い続け,日本も専門家を送って支援の姿勢だった。でも,そこに現れたのは,発展を続ける中国であった。

過去の記事を紐解いてみると,2005年8月30日にスリランカ政府が発表,北京で,スリランカのクマラトンガ大統領と中国の湖錦濤国家主席立ち会いの下に,最終規模,300MW3台,900MWの北西部沿岸,プットラム(注7)に,ノロッチョロイ石炭火力プロジェクト(注6)を,中国政府及び中国企業の支援で建設,2010年にも第1号機の運転開始の工程で,着工が決まった。今日の記事は,技術者の書いた石炭火力の正当性である。

現在,第1号機の工事が30%まで進んだところだが,昨日,2009年6月30日,その第2号機,第3号機の工事着工のための署名式が行われた。記事では,最終的に所内使用を除いて,850MWとしている。現在のCEB(注8)は4つのディーゼル発電所,合計600MWで運転している。日本が支援したアッパーコトマレ水力については,ここでは記述がない。ククレ(注9)とウクエレ(注10)の水力は夜間ピーク供給用である。

1996年から2005年にかけて,あれほどうるさかった政治家,宗教家,環境グループ,科学者達の反対運動は,2008年に大統領が石炭火力の着工を宣言してからは,ぴたりと止まってしまった。あの眠っていたカルピティヤ半島(注11)は,今や開発で盛り上がっている。しかし依然として,ノロッチョロイ石炭火力プロジェクト(注6)は2つの議論を抱えている,環境と電気料金である。

環境問題は,CEB(注8)が,環境法(注13)に基づく地域環境庁(注12)の認可を得て解決している。まだ運転のための環境ライセンスEPL(注14)を得てその条件に従う必要がある。経済性の問題。ノロッチョロイ石炭火力プロジェクト(注6)の事業費は,第1号機が,450百万ドル,最終事業費は890百万ドル。これは,3地区(注16〜18)への送電線や石炭供給設備も含んでいる。耐用年数は30年。

割引率10%を適用すると,資本費は,KWh当たり1.77セント,石炭トン100ドルとして燃料費は4.2セント,維持管理費は1.25セント,合計でKWh当たり7.24セントである。原油が140ドルまで上がると,石炭も上がるとして,11.42セントになるだろう。石油火力は,原油価格がバレル70ドルだから,資本費が1.43セント,燃料費は7.61セント,維持費1.00セント,合計で石油火力はKWh当たり10.04セントである。

またLNG(注19)の問題だが,最近,オーストラリア企業から600百万ドルのLNG施設を無償で提供する,との申し出が報じられたが,ガス火力とするとこの企業の申し出を受けたとして,資本費137セント,燃料費8.21セント,維持費1セントで,LNG火力合計KWh当たり10.58セントである。その他,いろいろなケースを試算しているが,石炭火力との結論である。

(注)A (1) 090701A Srilanka, dailynews,(2) title: The significance of Norochcholai power plant,(3) http://www.dailynews.lk/2009/07/01/fea01.asp,(4) Dr. Tilak Siyambalapitiya,(5) photo: The Norochcholai coal power plant. Pictures by Sarath Weerasinghe,(6) Norochcholai coal power plant,(7) Puttalam,(8) Ceylon Electricity Board (CEB),(9) Kukule hydropower plant,(10) Ukuwela hydropower plant,(11) Kalpitiya peninsula,(12) Provincial Environmental Authority,(13) Environment Act,(14) Environmental Protection Licence (EPL),(15) CEA,(16) Veyangoda, (17) Chilaw,(18) Anuradhapura,(19) liquefied natural gas (LNG),(20)

今日の参考資料

●090701A Srilanka, dailynews
スリランカのノロッチョライ石炭火力建設が進展
The significance of Norochcholai power plant
http://my.reset.jp/adachihayao/index090701A.htm

http://www.dailynews.lk/2009/07/01/fea01.asp

最近の関連資料

●090701B Srilanka, lbo.lk,050830
スリランカと中国が北京でノロッチョライ石炭火力で覚書署名
Norochcholai coal power plant agreement signed
http://www.lbo.lk/fullstory.php?newsID=1193840083
●080317C Srilanka, Lanka Bisiness Online
エネルギー専門家,LNG推進の危険性を警告
Sri Lanka energy expert warns against LNG push
http://www.lankabusinessonline.com/fullstory.php?newsID=1791634062&no_view=1&SEARCH_TERM=4



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●フィリッピンのマイクロ水力 (081109)
●カンボジアの多彩な水力開発 (081108)
●IEAが原油動向で報告書 (081107)
●インドの大規模火力に資金難 (081106)
●中国の石炭に下降傾向 (081105)
●タイ首相ナムグムの水を東北タイへ (081104)
●タイの原子力地点決定は2009年末 (081103)
●イランのパイプラインとインドの優柔不断 (081102)
●ミャンマーでの中国のプレゼンス (081101)

●ベトナム油田へのロシアの参入 (081031)
マニラ配電の先行き見通し (081030)
カンボジアなどへの中国の進出 (081029)
中国の水力開発規模は世界一 (081028
インドネシアの 電気料金上げ (081027)
中国企業がアザドカシミールにダム投資 (081026)
中国広西とベトナムを結ぶ線 (081025)
丸紅のフィリッピンへの取り組み (081024)
インドネシアと中国のLNG契約 (081023)
ラオスの水力で住民補償が再燃 (081022)
世界で50カ国以上が原子力発電を計画 (081021)
世界金融情勢の変化の影響 (081020)
インドとパキスタン対立の悪夢 (081019)
パキスタン大統領の北京挑戦 (081018)
インド北辺水力開発に反旗 (081017)
米国がインドへ原子力通商使節団 (081016)
フィリッピンの天然ガスと電気料金 (081015)
フィリッピンの長期エネルギー計画 (081014)
インドの大規模石炭火力計画 (081013)
ミャンマーの水力への外国投資 (081012)
ダム建設を巡るカシミール問題 (081011)
フィリッピンの国産エネルギーへの拘り (081010)
バングラデシュとミャンマーの関係 (081009)
バングラデシュのエネルギー長期見通し (081008)
中国政府のチベット開発政策 (081007)
●ADBが初めてベトナム水力支援 (081006)
●知的送電線ネットワークの発想へ (081005)

中国とインドのエネルギー問題 (081004)
インドの原子力開発加速へ (081003)
アジア大陸の水源はチベット高原 (081002)
インドの配電組織改革 (081001)

フィリッピンの再生可能エネへの取組 (080930)
インドの地球温暖化との戦い (080929)
サルウイーン河のダム開発 (080927)
メコン流域会議開催と中国 (080926)
インド,25年までに6千万KW水力開発 (080925)

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【週刊 中東のエネルギー最前線】
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【週刊 再生可能エネルギー最前線】
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