アジアのエネルギー最前線

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ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2009年7月31日分 ー ネパールが中国政府に10億ドル支援要請ー

From YouTube

himalaya bahadur pandey speaking on west seti
Himalaya Bahadur Pandey, director of West Seti Hydro power (750 MW) speaking with the local people


2009年7月31日分 ー ネパールが中国政府に10億ドル支援要請 ー

ネパールで王制を倒し,マオイストのプラチャンダーが政権を握ったとき,私たちもインドの立場はどうなるのか,大いに関心を持ったわけであるが,プラチャンダーは,最初は北京に挨拶に行ったものの,その帰る足でニューデリーに飛び,父親のようなインドのシン首相の懐に飛び込んで,その嬉しそうな二人の写真が当時のメディアを飾ったものである。10年間で10,000MW水力開発,はシン首相の後ろ盾がなかったら無理だった。

しかし,残念ながらこの,私の好きな二人の関係は,すぐに終わりを迎えた。マオイストの兵士の後始末を巡ってプラチャンダーが大統領と対立,プラチャンダーは政権を投げ出した。その後のマオイストの動きは余り伝えられないが,新しい連立政権で首相に推挙されたのが,ネパール共産党を代表するマダブ・クマル・ネパール首相である。当然,マオイストよりは北京に近い関係なのであろう。

今日の記事の終わりの方はよく理解できないが,このネパール新首相は,400MWのサリアガット水力プロジェクトの支援に関し,インドの協力を取り付けるべくニューデリーを訪問し,交渉が旨くいかなかったような報道である。共産党なら北京に行け,と言うことか。どうも,このネパール共産党の新首相は,インドにとっては頭痛の種になる,というようにとれる書き方をしている。

ネパール政府で,20年以上も頑張ったオーストラリアのSMECが,ADBの支援を得て,いよいよ,750MWのウエストセティ水力の最後の契約書案をネパール政府に送りつけた。契約違反した場合のネパール政府の義務が,事細かに書かれているという。ネパール議会は,国の資源の持ち出しだ,と反対した時期もあったが,裁判所が,水は資源だが生まれる電気は製品だ,の名判決で,やっと動くことになる。

20年以上もネパールの西辺に座り込んで動かなかったSMECは偉い,日本のニュージェックや日本工営にそこまでの度胸が,今の時代にあるのだろうか。いずれにしても,ウエストセティはインド向けだが,今回,北京政府にネパールが支援を要請したのは,カトマンズ西,約350kmの地点だから,400MWと言う規模から言っても,インド向けと考えざるを得ず,ネパール政府は大丈夫か,と思ってしまう。

中国政府には既に,カトマンズ北西80kmにあるトリスリ水力,60MWの支援を要請しており,この地点のすぐ裏は,標高8012mのシサバンマ山の西に,チベットに抜けるも道があり,大きく西に回り込んできたバンメトート河の上流水源はすぐそこである,いわば中国の裏庭だ。中国は,インド洋にインドに対抗するシーレーンを構築中だが,ネパールに関して,まさにインドとの緩衝地帯ぐらいのことしか考えていない。どうなるか。

日本のエネルギーニュースを一覧する。東北大学が核燃料再処理技術でイラン留学生を受け入れて,経済産業省が問題にしている(注1)。そう言えば我々も随分電力では,イランのエンジニアーと関係があった。鉄道という交通手段が,新興国の投資拡大と温暖化対策で,先進国でも見直され取り,日本の鉄道メーカーの動きが激しい(注2)。麻生首相の太陽光への重点政策で,日本が再び首位を取り返す勢いとか(注3)。

(注1) http://mainichi.jp/select/world/news/20090731k0000e040067000c.html
(注2) http://www.nsjournal.jp/news/news_detail.php?id=170161
(注3) http://eco.nikkeibp.co.jp/article/special/20090730/101950/


本文

●ネパールは水力を含む3大プロジェクトを中国に支援要請

The Government of Nepal has decided to make a formal appeal to the “all weather friendly” neighbor in the north-China for subsidized loan assistance for the construction of three mega projects in the country. Sources at the ministry of Finance have it that the loan assistance will be used for the construction of three significant projects in the country.



Jajarkot (12)

ネパール政府が,正式に中国政府に対して,3つの巨大プロジェクトに関する支援の借款を要請した。ネパール財務省(注6)が明らかにしたもので,3つのプロジェクトの事業費総額は,10億ドルに達するものと考えられている。3つのプロジェクトは,ポカラ地域国際空港(注7),400MWのヌサリアガット水力プロジェクト(注8),ジャジャルコットに至る道路整備(注9)である。

既にネパール政府は,1.2億ドルの借款を,60MWのアッパー・トリスリA水力(注10)を要請しているが,今回のプロジェクトは更に新規の要請である。インドとの関係で何か微妙な問題があるらしく,今回新たなネパール共産党所属のネパール首相(注11)がインドを訪問してその直後になされた。インド側にとっては,新たな頭痛の種が生じたようだ。

400MWのサリアガット水力プロジェクト(注8)は,ネパール電力庁の資料の中にあるが,カトマンズから西北西に320kmの位置にあって,180mの高いロックフィルダムを計画している。ジャジャルコット(注9)の近くと思われ,ここに通ずる道路建設も,このサリアガット水力プロジェクト(注8)に関連しているだろう。400MWで首都まで遠く,インドへ輸出せざるを得ないが,それと中国の借款は問題ないのであろうか。

(注)A (1) 090731A Nepal, telegraphnepa,(2) title: Nepal appeals China for support to three projects,(3) http://telegraphnepal.com/news_det.php?news_id=5923,(4) TGW,2009-07-30 11:45:14,(5) all weather friendly,(6) ministry of Finance,(7) Regional International Airport in Pokhara,(8) Nousalya Ghat Hydro Power Project-400 MW,Narshingghad hydro,(9) Jajarkot,(10) Upper Trishuli-A Hydropower project,(11) Nepal Prime Minister Madhav Kumar Nepal,(12) Jajarkot photo spource: www.nepalikalasahitya.com/.../PhotoKabita/,(13) Upper Trishuli photo source: http://www.doed.gov.np/uploaded/documents/,(14)

今日の参考資料

●090731A Nepal, telegraphnepal
ネパールは水力を含む3大プロジェクトを中国に支援要請
Nepal appeals China for support to three projects
http://my.reset.jp/adachihayao/index090731A.htm

http://telegraphnepal.com/news_det.php?news_id=5923

最近の関連資料

●090720B Nepal, ndopia
ネパール政府は電力危機に対応するため大規模水力への外国企業視野
Nepal to accord priority for power export, invite investment
http://my.reset.jp/adachihayao/index090720B.htm
●090420C Nepal, thaindian
ネパールの首相の訪中で中国が支援の豪雨
China rains aid ahead of Nepal PM’s visit
http://my.reset.jp/adachihayao/index090420C.htm


●ネパール政府は750MWのウエストセティ水力で最終決断へ

The government is planning to sign a new agreement on the 750-MW West Seti Hydroelectricity Project 12 years after a Memorandum of Understanding (MoU) was signed with an Australian company. Snowy Mountain Engineering Corporation, the initial promoter of the project, and the government had signed the MoU on July 7, 1994.

West Seti site (9)


しかし,よくSMEC(注7)はここまで頑張ったものだと思う。今のニュージェックや日本工営に,ここまでネパールの北辺に座り込んでびくとも動かない,その度胸があるだろうか。ネパールの西の辺境,カルナリ川の上流に,インドへ電力を供給するための,750MWの規模のウエストセティ水力(注5)は,1980年代から調査が始まり,1994年7月7日に,MOU(注6)を,ネパール政府との間で交わしたという。

考えてみれば,ネパールの劇的な幾つかの政変を,じっと山の中で耐えてきたSMECのエンジニアーは,偉いと思う,会社の幹部も何を大義名分にしてここまで来たのか,一度聞いてきたいものだ。一時は,ネパール国会は,電力資源を外国企業に売り渡し,その電気をインドへ持ち出すのは憲法違反だ,との議論で危なかったが,裁判所は,水は資源だが電気は産物だ,と名判定を行った。

ADBの資金調達支援を受けて,いよいよSMECは,契約書原案をネパール政府に送りつけた。契約違反の場合の補償条項が事細かに書かれているという。誰が主権者か分からないようなネパールに,この原案を送りつけるSMECも,いよいよここで決着,と言う覚悟だろう。ネパール政府に委員会は検討を終え,受け入れを勧告し,今現在,閣議上程の段階にある。

(注)B (1) 090731B Nepal, kantipuronline,(2) title: Govt mulls new West Seti pact,(3) http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=207026,(4) Kantipur Report,KATHMANDU, July 30,Posted on: 2009-07-29 22:02:10 (Server Time),(5) 750-MW West Seti Hydroelectricity Project,(6) Memorandum of Understanding (MoU),(7) Snowy Mountain Engineering Corporation (SMEC),(8) West Seti Hydro Pvt. Ltd,(9) photo source: http://www.wsh.com.np/category/photo-gallery/?nggpage=3,(10)

今日の参考資料

●090731B Nepal, kantipuronline
ネパール政府は750MWのウエストセティ水力で最終決断へ
Govt mulls new West Seti pact
http://my.reset.jp/adachihayao/index090731B.htm

http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=207026

資金の関連資料

●080910B Nepal, nepalnews
West Seti 水力,750MW,議会の3分の2承認は必要ない
‘No need for two-third majority in parliament on West Seti’
http://www.nepalnews.com/archive/2008/sep/sep10/news01.php
●080722A Nepal, steelguru
75万KW,ウエストセティ水力,いよいよ動くか
Global collaborations get Nepal hydel power project rolling
http://steelguru.com/news/index/2008/07/22/NTU2NTA%3D/Global_collaborations_get_Nepal_hydel_power_project_rolling.html
●080630A Nepal, The Rising Nepal
オーストラリア大使,ウエストセティはまもなく着工と
'West Seti to begin soon'
http://www.gorkhapatra.org.np/detail.php?article_id=2483&cat_id=4
●071229C Nepal, Nepal News
ネパール国会,ウエストシティ水力の電気料金無料を要請
House presses for free energy in West Seti
http://www.nepalnews.com/archive/2007/dec/dec28/news01.php

その他の関連ニュース

●090731C Nepal, kantipuronline
ネパールの商工会議所調査団が中国で事業協力合意
FNCCI woos Chinese investment in Nepal
http://www.kantipuronline.com/capsule.php?&nid=207033





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●インドネシアの電源早期着工計画が資金難 (090221)
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●ネパールとインドが今後の開発計画で協議 (090219)
●ネパールのアッパータマコシ水力を456MWに (090218)
●インドネシアと日本のLNG契約減 (090217)
●ADBがブータンのダガチュ水力支援 (090215)
●>ベトナムのソンラ水力のダムに亀裂 (090214)
●インドネシアの中国ローンで利上げ要求 (090213)
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●ベトナムのソンラ水力の移住難航 (090208)
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●インドの副大統領がミャンマーへ (090206)
●中国の電力設備は792,000MW (090205)
●ミャンマーのアラカン州に鉄道建設 (090204)
●ラオスのナムグム第2水力順調に推移 (090203)
●インドの小水力包蔵は15,000MW (090202)
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●インドの石炭火力は燃料不足に (090131)
●インド北辺でのインド企業の奮戦 (090130)
●ミャンマー首相がアラカンを視察 (090129)
●フィリッピンのバターン原発再稼働問題 (090128)
●ネパールの水力開発との戦い (090127)
●フィリッピンの電力改革に黄色信号 (090126)
●中国雲南のダムが景気刺激策で動く (090125)
●インドネシアのガス供給は国内優先 (090124)
●インドネシアのLNGに三菱160億ドル (090123)
●オバマ大統領の手から水が漏れた (090122)
●インドの北辺水力開発は人類最後の戦い (090120)
●パキスタンのロワリ隧道完成へ (090119)
●ベトナムが再生可能エネルギーに悩む (090118)
●中国国家送電網の内外での大活躍 (090117)
●フィリッピンの送電譲渡で電源はどうなる (090116)
●ミャンマーのアラカンに500MWダム (090115)
●インドネシアのガス田でエクソンと紛争 (090114)
●ネパールは中国の投資を歓迎 (090113)
●フィリッピンのセブに200MW石炭火力 (090112)
●インドのAP州に縦貫ハイウエーの計画 (090111)
●フィリッピンが中国のODA見直し (090110)
●パキスタンは2016年までに25,270MW (090109)
●インドの海岸の火力は輸入炭30% (090108)
●フィリッピンのエネルギー長官が回顧 (090107)
●インドネシアで新規電源が年内に (090106)
●ネパールの停電対策に新たな提言 (090104)
●パキスタンとイランの協力強化 (090103)
●カンボジアは中国企業に補償の義務 (090102)
●カンボジアの電気料金高止まりは続く (090101)

●インドのマハラシュトラの電源 (081231)
●インドネシアの原子力に不安 (081230)
●中国のエネルギー安全保障 (081229)
●中国の金沙江の開発進む (081228)
●インドがカシミールで水力推進決意 (081227)
●インド国家電網に世界銀行ローン (081226)
●インドのアルナチャルプラデシュの開発機運 (081225)
●中国2千キロの80万ボルト直流送電 (081224)
●中国がインドネシアのエネルギーに31億ドル (081223)
●インドのガスとLNGを巡る情勢 (081222)
●パキスタンの水力便益地元還元 (081221)
●フィリッピンの電気料金は民営化で下がるか (081220)
●インド北辺水力開発に変わった兆し (081219)
●フィリッピンの再生可能で産業界が沸き立つ (081218)
●フィリッピンが再生可能400万KW開発へ (081217)
●米国の知的送電網開発の気運 (081216)
●メコン委員会も気候変動戦争に参戦 (081215)
●インドが省エネ取引市場を計画 (081214)
●インダスのニールム川に火花散る (081213)
●中国の地方政府の開発志向は止まらない (081212)
●NGOが世界銀行は温暖化の元凶と (081211)
●原油価格下降の現状とこれからの動き (081210)
●中国の経済外交が国内巨大需要へ急旋回 (081209)
●パキスタンのバシャダムの資金不足 (081208)
●フィリッピンの送電網は中国へ (081207)
●インドの電力が最高警戒レベル (081206)
●パキスタンがインドへ水補償要求 (081205)
●メコン事務局長が投稿立場説明 (081204)
●ベトナムの電力改革迷走か (081203)
●比のロペスが国産資源開発へシフト (081202)
●インド北部の水力二つ前進へ (081201)

●マニラのプール市場に混乱 (081130)
●タイEGATの海外進出への飛躍 (081129)
●世銀の大規模インフラに批判の声 (081128)
●フィリッピンの再生可能エネルギー再び (081127)
●ミャンマーのラシオへの思い (081126)
●インドのパイプラインへの挑戦 (081125)
●パキスタンの水問題深刻 (081124)
●ベトナムの開発に何か変化が (081123)
●インドネシアの石炭探査投資を (081122)
●中国雲南省がコルカタへ調査団 (081119)
●パキスタンのダムになお異論 (081118)
●ミャンマーは更にダム開発加速 (081117)
●インド北東地域の送電線計画 (081116)
●メコン洪水で再び中国ダム論争 (081115)
●金融危機とインドの電源開発 (081114)
●カンボジアのNGO天国終焉 (081113)
●インドの電力プール市場 (081111)
●フィリッピンのマイクロ水力 (081109)
●カンボジアの多彩な水力開発 (081108)
●IEAが原油動向で報告書 (081107)
●インドの大規模火力に資金難 (081106)
●中国の石炭に下降傾向 (081105)
●タイ首相ナムグムの水を東北タイへ (081104)
●タイの原子力地点決定は2009年末 (081103)
●イランのパイプラインとインドの優柔不断 (081102)
●ミャンマーでの中国のプレゼンス (081101)

●ベトナム油田へのロシアの参入 (081031)
マニラ配電の先行き見通し (081030)
カンボジアなどへの中国の進出 (081029)
中国の水力開発規模は世界一 (081028
インドネシアの 電気料金上げ (081027)
中国企業がアザドカシミールにダム投資 (081026)
中国広西とベトナムを結ぶ線 (081025)
丸紅のフィリッピンへの取り組み (081024)
インドネシアと中国のLNG契約 (081023)
ラオスの水力で住民補償が再燃 (081022)
世界で50カ国以上が原子力発電を計画 (081021)
世界金融情勢の変化の影響 (081020)
インドとパキスタン対立の悪夢 (081019)
パキスタン大統領の北京挑戦 (081018)
インド北辺水力開発に反旗 (081017)
米国がインドへ原子力通商使節団 (081016)
フィリッピンの天然ガスと電気料金 (081015)
フィリッピンの長期エネルギー計画 (081014)
インドの大規模石炭火力計画 (081013)
ミャンマーの水力への外国投資 (081012)
ダム建設を巡るカシミール問題 (081011)
フィリッピンの国産エネルギーへの拘り (081010)
バングラデシュとミャンマーの関係 (081009)
バングラデシュのエネルギー長期見通し (081008)
中国政府のチベット開発政策 (081007)
●ADBが初めてベトナム水力支援 (081006)
●知的送電線ネットワークの発想へ (081005)

中国とインドのエネルギー問題 (081004)
インドの原子力開発加速へ (081003)
アジア大陸の水源はチベット高原 (081002)
インドの配電組織改革 (081001)

フィリッピンの再生可能エネへの取組 (080930)
インドの地球温暖化との戦い (080929)
サルウイーン河のダム開発 (080927)
メコン流域会議開催と中国 (080926)
インド,25年までに6千万KW水力開発 (080925)

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