MyanmarC
ミャンマー・シッタン川流域水力開発を追う
2002年8月10日より13日までの記録

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これは,2002年8月8日より13日まで,ミャンマーを訪問したときの記録である。ミャンマー政府の電力省から直接,電力が3年間の契約で,水力開発に関するインハウスコンサルタントを受託したもので,形として過去に例のない異例のコンサルタント活動である。今後の電力の海外活動やミャンマーの水力開発に特別の位置を占めるものとして,その貢献が大きく期待されており,ここに,私の今回の経験を中心に,発表するものである。今回は,首都ヤンゴンの東の大河川シッタン周辺が中心で,水力地点は,下の地図のようになっている。

013 シッタン川下流付近の地図,多くの中規模水力地点の工事が進んでいる


プロローグ

1977年1月6日,今を去ること25年前,当時のラングーン空港に降りたって,ニュージェックの杉木清さん(世界銀行のビルマ・電力アンブレラ・プロジェクトのリーダー)に出迎えられて,遂にこんなところに来てしまった,と口走りながら,初めての海外経験に胸を奮わせていた41歳の私があった。シッタンの上流パウンラン水力地点の現場で,寝泊まりする小屋の隙間から,満天の星を眺めながら,この寂しさに耐えなければ,海外水力のエンジニアーにはなれないのだ,と自分自身に言い聞かせていた。ニュージェックの地質の川原恵さんが,当時の私の写真を保存してくれていて,改めてそれを眺めながら,当時の苦労を忍んでいる。当時のEPC(ビルマ電力公社)のカウンターパーツの諸君も,既に亡くなった方もおられるが,当時新進気鋭のエンジニアーであったウインチョー氏は,ミャンマーの水力開発を指揮する最高責任者である水力局長に昇進していて,私を暖かく迎えてくれた。

010 1976年,26年前のビルマの調査時代,兵隊さんにガードされた当時の私,41歳
011 1976年,ビルマの調査時代,シッタン川左岸支流のパウンラン水力サイトで


それから20年以上を経た2001年2月18日19時50分,読売新聞がバンコク発の速報で,関西経済連合会の秋山喜久会長が総勢37人の関経連ミッションを率いてバンコクに到着し,「米国や欧州連合(EU)からの制裁などで厳しい経済運営が続くミャンマーが大規模な使節団を受け入れるのは珍しく、歴史的な転換点を迎えた各国の政府や経済団体の首脳と意見交換し、経済状況の実態を把握する考え。」と報じた。

「読: 関西経済連合会の東南アジアミッションがタイ到着 (16/55)
読売新聞ニュース速報
 【バンコク18日=船木七月】関西経済連合会のタイ・ミャンマー・シンガポール使
節団(団長・秋山喜久会長、三十七人)は十八日、関西国際空港を出発し、最初の訪問
地であるタイのバンコクに到着した。
 関経連が東南アジア諸国連合(ASEAN)へ使節団を派遣するのは、アジア通貨危
機直後の一九九八年二月以来。タイでは一月の総選挙で誕生した新政権の首脳と会談す
る。米国や欧州連合(EU)からの制裁などで厳しい経済運営が続くミャンマーが大規
模な使節団を受け入れるのは珍しく、歴史的な転換点を迎えた各国の政府や経済団体の
首脳と意見交換し、経済状況の実態を把握する考え。[2001-02-18-19:50]」



これから半年を経た2001年8月3日17時49分,突然,共同通信が,その経済ニュース速報で,「関西電力は3日、ミャンマー政府の水力発電所開発を技術指導するコンサルタント契約をミャンマー電力公社との間で締結したと発表した。」と報じた。

「KK: ◎ミャンマーに技術指導 (13/25)
共同通信経済ニュース速報
 関西電力は3日、ミャンマー政府の水力発電所開発を技術指導す
るコンサルタント契約をミャンマー電力公社との間で締結したと発
表した。
 同国は慢性的な電力不足解消のため、水力発電を中心に開発計画
を進めており、関電はこのうち、今後5年間で建設予定の12地点
(計200万キロワット)の水力発電所について事業化調査から設
計、施工など広範囲で技術支援する。
 他の電力会社が一部発電所の事業化調査に関与した例はあるが、
同国の発電所開発に大規模に関与するのは関電が初めてという。
 契約額は3億円前後とみられる。7月末にヤンゴンに駐在所を設
立し、関電と建設コンサルタント会社「ニュージェック」の社員
計5人が既に駐在。具体的な技術指導は駐在員が行い、個別の発電
所開発の必要性に応じて順次増員する。
 関西経済連合会会長を務める秋山喜久会長が2月に関経連の
東南アジア使節団長として同国を訪れた際、技術面の支援で基本合
意した。[2001-08-03-17:49]

ミャンマー第一書記、日本のODA再開に期待
 【ヤンゴン21日=久保田泰司】ミャンマーの国家平和発展評議会(SPDC)のキン・ニュン第一書記は21日、ヤンゴンのヤンゴン司令部で関西経済連合会(秋山喜久会長)の代表団と会談した。同第一書記は「ミャンマーと日本との歴史的に深い関係を考えれば、日本からの投資が(海外からの)投資全体の3%に過ぎないのは少なすぎる」と不満を述べ、日本の政府開発援助(ODA)再開や民間企業の投資拡大に強い期待を表明した。
 会談の中でキン・ニュン第一書記は「経済が良くなり、国民生活が向上することで、政治的にも民主主義の実現が容易になる」と民主化の進展には経済回復が前提となるとの考えを示した。その上で「ミャンマーは天然資源や人的資源に恵まれており、日本からの技術導入が進めば(経済は)さらに良くなる」として、ODAを含め日本からの投資拡大を求めた。


その後の電力の後輩達の活躍はめざましく目を見張るものがある。1997年頃は,足立さん,どうしたらいいか,と言って私のところへ来ていた彼らが,瞬く間に自分たちの足場を自身で切り開き,私からは想像もできなかった連中が,何の躊躇いもなく現地に赴き,しかも自らビルマ服を着込んで,水力局の中に飛び込み,象に乗って山を歩き,現場の宿舎で泥まみれになった後,南京虫と戦いながら平然と眠っている姿は,神々しいと表現しても言い過ぎではなかろう。彼らが,おそらく次世代の後輩達の生き残り作戦の尖兵となるであろうことを,信じて疑わない。


ミャンマーの戦い

ミャンマー,まず彼らがしなければならないことは,日本やタイ,それにインドネシア,フィリッピンがやってきたように,持てる水力包蔵を開発することである。ミャンマー以外の国は,日本の黒四開発も含めて,先進国や世界銀行の支援を受けてきた。彼らにはそれがないのである。トンネルを掘ることさへ,彼らにとっては新しい経験であり,それも,国内には目立ったコントラクターがないので,水力局自身が直轄で工事を進めなければならない現状である。最近のバンコク週報は,その苦しい電力事情を次のように報じている。

ミャンマー現地事情

 某日本企業の現地駐在員によると、首都ヤンゴンでは電気の供給が一日二、三時間しかないようだ。三年前までは一日八時間くらいの停電だったが、今では「電気は基本的インフラではなく、無いものと思った方がいい」と嘆く。
 オフィスには発電機が備わっているからまだいいが、一般の住宅ではそうはいかない。ヤンゴンでもこの状況なので、「地方は夜になると真っ暗闇」らしい。これはミャンマーの大半の電力を賄っているバルーチャン発電所が六十年の老朽化で半分ほどしか稼働していないためだ。
 そのバルーチャン発電所への日本政府の援助再開は「スーチー氏解放が大きく影響したはず」と断言する。それは同氏の解放がなければ、特に米国政府が援助再開に反対し、日本政府は動けなかったと見ているからだ。
 「ミャンマー経済はどん底にある。道路、橋、電気、水道、そして教育。何も無いのだ。最近ではドイツの下着メーカーのトリンプが撤退を決め約一千人の縫い子が解雇された。欧米諸国は民主主義の進展を求めるが、理想論だけではだめだ。ミャンマーには何もなく、国民の生活は困窮している。日本は戦中戦後、ミャンマーに借りがある。欧米の顔色伺いはやめてミャンマーに積極的に援助すべきだ」
 意見の正否は別として、日本人駐在員の声にはミャンマーの現状を反映して悲愴感さえ漂うのである。

ミャンマー電力セクター総括

ミャンマーは,国土面積67万6,578平方km,人口(1997年)4,640万人,現在の電力総設備は1,572MW(電力公社MEPE所有が1,207MW,自家発365MW)MEPE所有のうち中央系統に繋がっているもの866MW,系統外が341MW)である。MEPE所有のうち,水力は28%,汽力18%,ガスタービン47%,ディーゼル7%の割合である。

主たる発電所は,水力が Baluchaung 2(168MW,71年増設),Kinda(56MW,85年),Baluchaung1(28MW,92年),Sedawgyi(25MW,95年),Zawgyi(18MW,95年)などである。汽力では,Ywama(36.9MW,95年),コンバインドサイクルでは,Tharkayta(95.1MW,97年),Ahlone(154MW,99年),Hlawga(154MW,99年)など。

水力開発を重点的に進めようとしている。水力の計画地点数は29地点,有力なものでは,Paunglaung(280MW,工事中),Yeywa(700MW,計画中)など。サルウイーン河には,上流より,Tsang(3600MW,計画中),Ywathit(3500MW,計画中),Hutgyi(400MW,計画中)などがあって,IPPによるタイへの売電を視野に入れている。2000年4月合意の日本政府の無償資金協力によるBaluchaung2のリハビリ(約30億円),2001年8月合意の関西電力による3年間,12水力発電所のコンサル業務などが進んでいる。


日本の電力技術者の心意気

1997年以前にも,時々関西電力に招かれて講演をしたことがあった。そのときに,私が声を大にして話したことは,世界銀行などで,専門家を集めて技術的な検討をすることがあるが,その内容は極めて大雑把で,私が経験してきたような奥多々良木揚水や奥吉野,更には境川などの近年の難工事で現場で行われる,いわゆる「工程会議」のような緊迫感は少ない,技術的には,大いに自信を持つべきで,海外のどこに行っても恥ずかしくない,と激励したものである。今回のミャンマーに於ける現地での技術検討は,まさに関西電力に於ける伝統の「工程会議」の再現であり,現場に臨んだ関西電力技術陣,現場のスタッフ,達が,ニュージェックに支援された技術検討の内容を,口汚く議論し合う姿は,まさしく,関西電力の「工程会議」のままで,おそらくミャンマーの技術者達には,通常では得られない衝撃を与えていると見た。遅々として進まぬトンネル掘削,雨でぬかるんで長靴姿で足を取られながら,崩れ行くのり面の安定を論ずる姿は,まさに電力技術者の心意気そのものである。ミャンマーでは,未だトンネル掘削の経験がほとんどなく,今回のプロジェクトの最大のネックであり,特に,日本の斯界の権威も加わったことで,大いにミャンマー側も盛り上がった。「何とか早くトンネルが掘れる方法を教えてくれ」と発言する先方技術者の発言は,苦しい叫び声になっていた。なお今回は,現地所長の他,家族を同伴してヤンゴンに住み着いている若手エンジニアー,それに今回特に参加した私の他,私の海外進出の戦友ニュージェックの面々が加わった。以下,写真を見ていただきたい。


写真

まず最近のヤンゴンの状況から

001 偉容を誇るシュエダンパゴダの塔,ヤンゴン市内
002 シュエダンゴンパゴダを訪れたとき行われていた有名な女優のロケ現場
003 シュエダゴンパゴダ,周りに12支のお宮さん,それぞれの動物像にお参り
004 マンダレー街道,満載の乗客を乗せて走る長距離バス
012 これがあの嘗てのラングーン市なのか,そびえ立つマンション群,ホテルの部屋より
016 輝くシュエダゴンパゴダの二つの塔
017 同じくシュエダゴンパゴダ,塔の周りの金色の小屋
018 シュエダゴンパゴダの周囲,それぞれの寺院が配置されている
019 たまたま,映画か何かのロケが行われていた,有名な女優さん
020 その有名な女優さんの近接撮影,遠くから見た方がよいかな
021 パゴダに上がって行く階段の外側の通路

今回の関係地図と,技術検討の模様

013 シッタン川下流付近の地図,多くの中規模水力地点の工事が進んでいる
014 ヤンゴンの水力局の会議室で,技術検討に熱中する技術陣
015 同じく技術検討の模様,前面のスクリーンには,現地の地図が映し出されている

8月1日午前7時,ヤンゴンのホテルを出発して現場に向かう,バゴーまでの高速道路に,25年前を知る私は驚く

022 8月10日朝9時3分,ヤンゴンを出発してから2時間,高速を経てバゴーの町に

正午前,いよいよイエンウエー地点に向かう,雨期のため雨雲が迫り,厳しい現場調査

023 11時半,イエンウエーの川筋に入る,西方に向かって山は真っ黒な雨雲
024 12時59分,イエンウエー川の橋梁に達する,材木置き場は雨とぬかるみ
025 13時30分,昼食を終わってイエンウエー川に沿って船で上流ダムサイトへ

夜,クン地点の宿舎に到着,翌11日,クン地点の調査を行う。

027 8月11日朝7時24分,クン地点ダムサイト下流,クン川左岸で岩盤をチェックする電力技術ティーム
030 同8時22分,クンダムのボーリングコアーをチェックする電力技術者
033 クン地点発電所付近を下流より上流を望む,まだ3m以上の落差をとりたいところ

037 8月11日13時27分,帰途,国道1号線で豪雨に遭う
038 国道1号線上,下校途中の中学生の自転車の群れ

これからは動画です。今回はリコーのRDCー7のデジカメの動画機能を使って盛んにとって見ました。なかなか良いのだが,このカメラの録画形式がマイクロソフトのメディアプレーヤーにあっていなくて,Quick Time でしか再生できません。ファイル変換を行うべく,ソフトを探していますが,今時点でその Video Wave と言うソフトが見つかっていません。出来るだけ早く変換してお目にかけますが,しばらくすみませんが,Quick Time をダウンロードして見てくれませんか,と入っても,忙しくなくてIT能力のある人しか見てくれないでしょうね。Quick Time のダウンロードは,次のサイトでお願いします。ダウンロードできたら,ファイルをそれに関連付けをしてみてくれませんか。

Quick Time の ダウンロードサイト
http://www.apple.co.jp/quicktime/download/index.html

動画ファイルは次の通りです。

050 動画,マンダレーへの1号線沿い,ヤンゴン行きの急行列車を捉える
051 動画,イエンワの見張りより,モーターボートに乗り換えて上流へ向かう
056 動画,クン地点,発電所サイト,下流より見て放水口下流までのパン

なお最後に,私のGPS(EMPEXのmap21)の使い道であるが,ソフトを使ってコンピューターに記録を写し,これを地図上に自動的に既成を記した画面が,次のようなものである。これから大いに活用したい。
100 GPS軌跡記録の例,イエンワ地点までの軌跡をとり,地図上に自動記入をしたところ




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