私の主張 14

ー メコン河流域開発,最近の事情,カンボディアへの協力からの視点 ー

(やや公的な場へ提出していますが,情報公開の時代に即応,公開します,少し堅いのは我慢して下さい)

(2000/11/11)


[HOME] [adachi]


メコン河流域開発に関連して,その推進の主体から見て,三つの大きな流れがある。第一は,1957年の創設以来,1978年の戦乱による暫定委員会への移行,1995年のカンボディアの復帰,など幾多の歴史的変遷を経てきた,現「メコン河委員会」であり,第二は,メコン委員会がカンボディアの復帰問題で混迷の中にあった1992年にADBが主唱した地域間連携経済圏構想(SubRegion),これに呼応する形での我が国外務省の「大メコン圏開発構想」,第三に,最近に至って積極的に発言を続けるASEAN閣僚会議,がある。メコン河委員会が水資源を中心に下流4カ国の開発を論じているのに対し,サブリージョン及び大メコン圏開発構想は流域6カ国を対象に,どちらかといえば通信運輸などのネットワークを重視したインフラ開発を思考し,一方ASEANは,北にある中国との関係を睨みながら地域の経済協調,特に観光開発等の民間投資を重視した方向で進んでいる。しかしいずれの流れも,地域の開発の焦点は,ラオスとカンボディアが取り残されないことであり,その意味で,メコン河流域開発構想がカンボディアの国別援助方針に与える影響は大きいと言える。


1. 現状分析

1992年のカンボディア和平回復を契機として,紛糾を続けたメコン委員会は,1995年4月に至り,「メコン河流域の持続可能な開発のための協力に関する協定」が下流4カ国の代表によって合意署名され,新たに「メコン河委員会」として再発足した。従来より懸案となっていた事務局の所在地をプノンペンに移し,2003年を目標として,水利用及び流域間分水のルールの設定と実施,流域水資源総合開発計画の策定,委員会としての環境対策の方針策定,進行中プロジェクトの確実な実施,事務局の強化,の5つのゴールを設定して,新たなスタートを切っている。現在進行中のプロジェクトは43で,2000年には新たに48のプロジェクトが起動することを期待しており,その必要予算総額は78百万ドル,うち約43百万ドルは進行中のプロジェクト分として確保されている。もっとも大きなプロジェクトは,世界銀行の基金による「流域総合水利用計画プロジェクト」である。我が国は,最近,毎年度約50万ドルの貢献を続けている。

1992年,カンボディアのメコン委員会(当時)への復帰を巡って域内に対立があり,その4カ国による新たな発足が遅れていたころ,ADBは,下流4カ国のみならず上流のミャンマー,雲南省を中心とした中国を加えたメコン流域諸国を一つのサブリージョンとしてとらえ,汎メコン経済圏とも称すべき一つの経済圏の調和した開発を提唱した。この考え方に従って,運輸交通,水資源開発を含めた広範な調査を,ADB主導で開始した。この構想の核となるべき我が国政府は,1996年,いち早く外務省の主導で「大メコン圏開発構想」を発表,これが今でも域内開発協力の一つの基本的な考え方として,我が国ODAの実施に影響を与えている。この構想は,4項目を柱としている,即ち,地域全体の利益を考慮した総合開発の推進,各国の比較優位にあるセクター・基幹産業の育成による経済力の増強,各国内において圧倒的比重を占める農村の活性化とその開発の推進,これらを支える基盤として整合性のとれた公共施設インフラ整備の推進と活用の必要性,である。特に第1の全体利益のための総合開発推進においては,国境を跨ぐ基盤施設及び域内の諸法制度整備の積極的推進,メコン河等国境を越える天然資源の開発と環境保全の維持,とともに,圏内各国間の経済的不均衡の是正と均衡ある発展を図るため特にラオス・カンボディアへの重点的支援の推進,を挙げており,カンボディアへの援助を考える上で重要である。

このような動きの中で,ASEAN外相会議も,北の中国との協調の糸口として,メコン流域開発への思惑を広げ,運輸交通・人材育成を中心に,積極的な動きを展開している。今年の7月に,議長国のタイのスリン外相が中心になって,メコン川流域4カ国に対する開発支援のため、人材育成基金の創設で合意し,我が国がASEANの人材育成支援策として昨年、2000万ドルを拠出しており、この一部を基金に組み入れるとしている。

各国首脳間でも動きがあり,ベトナム、カンボジア、ラオスによるインドシナ3カ国の非公式首脳会議は、地域の発展と貧困撲滅を目指す「経済協力の枠組み」を採択,その枠組みは農業、貿易、エネルギー、陸上輸送、通信、観光、環境保護、人材育成の8分野で構成,経済成長を確保するため、インフラ整備での協力に重点が置かれている。この会議では,ベトナムとラオスの両中部地帯、ラオス南部とカンボディア北部の道路整備のほか、この道路網と他の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国を結ぶことで合意したとされている。これに対してASEAN内部で「地域ブロック化への動き」との懸念が出ていることに対し、会議は,ASEANで合意済みの協力計画を促進するのが目的としている。また,域内の観光開発について,ASEANの外相レベルでインドの参加を突然決めたため、タイの観光関係者の間で困惑が広がっている。インド参加の背景にはメコン川流域への中国の影響を緩和するためとの見方もあり、各国間の思惑が交錯している。また最近では,中国、ラオス、ミャンマー、タイの4カ国政府は「メコン川上流の商業航行に関する合意書」に正式に調印、同地域の客貨運輸、貿易、観光を促進していくことになった。締約4カ国間で調印から1年後にメコン川の商業航行を実現し、合意書の規定に従い締約国間の船舶が、中国雲南省思茅港からラオスのルアンプラバン港までを自由に航行できるようになる。締約4カ国はメコン川で計14港を開港。内訳は中国が4港、ラオスが6港、ミャンマー、タイが各2港となっている。合意書は調印日から発効し、有効期間は5年間。失効3ヵ月前までに締約国が書面で合意規定の終了を要求しなければ自動的に3年ずつ延長されていくとしている。


2.問題点,開発の課題

前節までに述べたメコン河委員会,大メコン圏開発構想,ASEANをはじめとする各国の動きや思惑,これらを包含したメコン河流域への国際協力の経緯を踏まえると,現状で考えられる,カンボディア関連の問題点及び開発の課題は,「大メコン圏開発構想」に沿って,次のように考えられる。

(1)メコン河本流の水利用問題

メコン本流の水利用問題の発端は,タイの東北タイへの分水を意図したコンチムン計画に発する。現在のヴィエンチャンにおけるメコンの渇水量は概ね毎秒800トンであるが,これに対して東北タイの100万ヘクタールにのぼる灌漑面積に対しての必要量は毎秒500トンと言われていた。タイの分水計画が不透明である,として反発したのは,メコンデルタを抱えるベトナムであるが,これはカンボディアにとっても,影響の大小は別として,下流国としての利害はベトナムと同じである。ベトナムは,過去のムン川,チー川のタイの開発をも取り上げて,カンボディアがメコン委員会に復帰しようとする際を捉えて,本流水利用の原則論の確立を求め,それが1995年4月の「メコン河流域の持続可能な開発のための協力に関する協定」,それに基づいて今日のメコン河委員会が発足した経緯がある。東北タイの工業化の進展で,若干タイの水需要も緩和したとの報告もあるが,タイはバンコクの水問題も含めて依然深刻で,コンチムン計画とともに,支流からの分水計画を進めている。

このメコン本流の水利用の問題を根本的に解決するためには,新たに水を生み出す貯水池の建設が必須であるが,1990年代はじめに調査を意図した低パモン計画が挫折したように,下流部でのダム建設は,不可能な情勢にある。唯一可能性のある計画は,上流の中国領内のランチャン川で計画が進んでいる小湾ダム計画で,これが完成すると,下流に新たに毎秒700トンの水を生み出す可能性がある。中国側はこれを意識して調査を進めているが,タイを含めた下流国からは,そのマイナスの影響,例えば堆砂や分担金の問題があるので,容易に動く気配はない。中国より小湾計画への資金協力を求められた我が国は,下流国との合意が先決,との姿勢で協力に応じていない。

(2)メコン本流の洪水の問題

渇水の問題に対して,メコン本流には洪水の問題があり,今年もベトナムのメコンデルタやカンボディアで多くの犠牲者を出している。一般に,洪水に対しては,洪水調節用のダムの建設や河道沿いの堤防の建設が行われるが,この河の洪水の規模はダム建設では対処不可能であり,堤防の建設も,原則的には困難である。近年,ヴィエンチャンの堤防構築が進んだが,その整備以前の状態ではこの一帯が遊水池の役割を果たしていた関係上,整備後,下流への洪水被害の拡大が懸念されている状況である。遊水池の設定は社会的に極めて困難であるが,メコンデルタの過去の洪水氾濫実績から,その洪水被害地域を事前に予測することは可能で,今後は,この氾濫地域の予測と上流からの洪水の出水予測の精度向上が,大きな課題となるであろう。

本流の洪水の影響は,カンボディアにとっても深刻である。しかし,カンボディア,特にプノンペン付近の洪水にとって,二つの特徴がある。一つはトンレサップ湖の動きであり,二つはプレクトノット川の氾濫である。トンレサップについては,洪水時,本流の水がトンレサップ湖に逆流して自然と洪水調節の役割を果たし,渇水期に水補給の役割を果たしているとして,その効果を更に上げるために,トンレサップの河口に堰を建設する計画が考えられてきて,外務省の「大メコン圏開発構想」の中にも,「下流の渇水量増量を主たる目的としてトンレサップ湖河口堰構想に注目」するよう書かれている。プレクトノットについては,プノンペン周辺の氾濫源となっているので,ダムの建設が試みられたが,中断している状況である,後述する。

(3)流域国の水利用に関するルールの設定

1992年,カンボディアのメコン委員会復帰問題で関係国が揺れた主な原因は,暫定委員会の間の主として1970年代後半から80年代にかけて,タイが急速な経済発展を遂げて,メコン流域内の主要な支流であるチー川とムン川を中心にダム開発を続け,これに対してベトナムが,既成事実の追認と今後のルール作りの必要を主張したからである。紆余曲折の末,1995年4月に至り,「メコン河流域の持続可能な開発のための協力に関する協定」が下流4カ国の代表によって合意署名された段階で,メコン河の水資源開発に関する基本ルールが,関係国によって合意されたのである。この内容は,流域外分水については加盟国の同意を,流域内プロジェクトについては加盟国に通知を,と言う原則であるが,細目は26条に譲られている。

即ち,協定の26条では,「合同委員会は理事会の承認を得るために,水利用及び流域変更に関する規則を作成し提案する」とし,その内容を,雨期と乾期の期間の設定,水文観測所の位置とその必要維持流量レベルの決定,本流の乾期余剰水量決定の基準設定,流域内水利用をモニターする機構の改善,流域変更をモニターする機構の設定,としている。いずれも技術的に困難の伴う作業であるが,事務局はこれを2003年までに提案することで予算的な努力を続けているが,JICAの一定の貢献が問題となっている。カンボディアのクラティエ水位観測所は,域内の水文資料の鍵となる重要な測水所である。

(4)域内電力融通の動きと電力の民間開発

域内の電力融通でもっとも脚光を浴びてきたものは,ラオスの水力をバンコクへ運ぶ,主として民間レベルでのプロジェクトである。トウンヒンブンなど,一部は既に運用されているが,ナムトウン2,ナムグム3など,大規模プロジェクトが,97年のアジア経済危機の影響も受けて進捗が遅れている。この計画の鍵を握るのは今後のバンコクの電力需要の動きで,国内石炭火力の建設やガスパイプラインの建設について,住民との間で問題が起こっているタイとしては,経済回復とともに2005年にも電力危機が訪れる可能性があるとして憂慮しており,再びラオスからの電力輸入に拍車がかかる情勢にある。これは主としてタイの買電単価の問題であり,したたかなタイの交渉戦略と民間開発の間の熾烈な交渉が予想される。

1970年代から80年代にかけて,アジアの電力開発に公的資金を中心に多大に貢献してきた我が国であるが,民間開発に至っては,折りあたかもバブル経済の崩壊に見舞われたこととリスクをとり難い企業体質が災いして,電力の民間開発の分野では欧米の企業に立ち後れている。これは,折角我が国が国民の税金で育てたアジアの電力セクターであるにも関わらず,今後のそれらが生み出す利益の殆どを欧米の企業に譲るわけで,20年,30年と続くこれらのプロジェクトの今後の運用を考えると,日本の次世代の生き残り戦略としては,誠に憂慮すべき状態である。公的資金による民間資金の刺激策の一貫として,現在ラオスのナムニエップ水力の開発調査が,JICAによって行われているが,その意図した効果については,まだ見えてこないのが実情である。

(5)域内電力融通におけるカンボディアの立場

域内を超高圧送電線で連携し,電力の域内融通を活発化するとの構想は,メコン河委員会を中心に,早くから描かれており,それは域内送電公社の設立をも意図した壮大なものであるが,この構想において常に問題となるのはカンボディアの立場である。カンボディアは域内の中心に位置して,送電線連携ばかりでなく道路建設の面においても重要な位置を占めている。このときの論点は二つあり,一つは今後のプノンペンが一つの経済圏の核として育って行くかどうか,二つはカンボディア国内の大規模な水力包蔵が果たして開発可能かどうか,の2点である。

プノンペンの将来の位置づけはともかくとして,カンボディア領内のメコン本流にダムを建設する問題のうち,特に下流のインドシナ半島を包含する送電系統網の構想が述べられるに際して,カンボディア領内を流れるメコン本流沿いのダム開発が常に問題となっている。コーンフォール,スタントレン,サンボール,セサンがそれであるが,日本もプノンペン上流のサンボールに関わってきた歴史がある。最近になって,メコン河委員会やカンボディア政府から,サンボールの見直し計画が正式に要請されてきたが,日本政府の応ずるところとなっていない。本流沿いの流況に与える大きさ,水没の広大さから考えて,本流開発について,今後とも国際社会が受け入れる見込みはゼロに等しい。カンボディアとして今後域内の電力融通に果たす役割としては,南部,ベトナムとの接点に果たす役割,南西部山岳地帯の包蔵水力開発におけるタイとの協力,などが挙げられるだろう。

(6)カンボディア領内特有の水資源開発問題

トンレサップ湖は,下流の水利に対して重要な役割を果たしている。洪水期のメコン本流の貯水効果と乾期における下流への流水の確保である。一時,これを人為的に行うべく,湖の入り口に堰を設ける計画が考えられたが,採算性や環境への影響を考えると,今の時点では実現が難しい。一方で,この湖が果たす交通や漁業の役割も大きく,この湖の研究は相当の蓄積がある。しかし近年,比較的湖が浅いこともあって,汚染がひどく,何らかの対策が望まれている。周辺に散在する都市の下水の問題が大きな原因なので,周辺都市の環境整備と相まって,対策を考える必要がある。

プノンペン西に計画されているプレクトノット貯水池プロジェクトは,今後の開発にとって「喉元に刺さった骨」の感がある。プノンペン周辺は,毎年この川の氾濫で大きな被害を受けていることと,下流に広がる6万ヘクタールの農耕地への灌漑で,戦前注目されて開発に着手したが中断され,カンボディア政府は,この工事の回復がすなわち平和の回復と,シンボル視して力点を置いている。しかし時代の変化を受けて,便益の主体である農業の相対的変化,広大な貯水池内の環境問題など,援助する側としては大きな課題があり,必要ならば代替案も含め,議論が必要だろう。

(7)域内交通網整備におけるメコン河の関わり

関係国を貫くアジアハイウエー構想とともに,三つのルートの開発が問題となっている。一つは,タイ・ラオス・ベトナムを繋ぐメコン河第二架橋問題であり,二つは,ラオスの国道13号線を南下してプノンペンと結ぶラオス南部回廊問題,三つは,中国雲南省から南下してラオスまたはミャンマー経由,タイに至る北部道路連携問題である。メコン河第二架橋問題については我が国の貢献とともに進捗し,今後はベトナム側の港湾の建設が重要な鍵となってくる。ラオス南部回廊問題は,ADBの支援でラオス側は順調に推移し,今後はカンボディア側の道路整備が鍵となってくる。北部道路連携は,主として民間資金によって開発が進み,中国側の強い指導力で,今後開発が進むものと考えれる。


3.開発の方向性

メコン流域開発について,特にカンボディアとの関わりからその方向性を探るとすれば,メコン本流の下流に位置する国として,特に,渇水量の問題,洪水被害の問題,これらを考慮した上での水利上のルールの設定の問題,電力域内融通における中心的な位置関係の問題,域内道路網開発におけるベトナム・タイとの連携区間の問題,ラオスが求めてくる南部回廊の問題,などがあり,水利・電力・運輸交通とも,インフラ分野での鍵となる地域と言うことが出来る。

本流の渇水量については,クラティエ測水所が域内の水文観測上の基準点となる可能性が強い。この地点における流域60万平方kmの渇水量は毎秒約2000トンと言われてきたが,ヴィエンチャンの30万平方km,800トンとともに,下流域内での重要な指標となっている。本流の渇水量を増やす方策はただ一つ,中国が進めているメコン上流ランチャン川の小湾ダム計画の推移にかかっている。マイナス要因となる堆砂の問題に関心を払いつつ,計画の成り行きを注視し,時期至れば積極的に下流国は発言の機会を捉える必要があろう。洪水の問題は,全体的には遊水池の効果を果たしている地域の調査とそれを阻害する開発のコントロール,及び洪水予報の理論の確立と予報設備の整備につきる。

メコン河に関して現時点で重要な点は,メコン河委員会の規則を適用しようとしても,これを具体的に表現する定量的な資料に欠けていることで,メコン河委員会が目指す2003年の目標は,この河川一貫水理モデルの構築が最も重要な鍵となる。当面は水が主体となるとしても,このモデルの中に砂の移動を取り込む必要が,すぐに言われるであろう。従ってこのモデルは,三つの系統が考えられ,一つは低水に関するもので渇水量などを表現するもの,二つは高水に関するもので洪水を表現し洪水予報の基礎となるもの,三つは砂の移動に関するもので上流のダム計画がラオス沿岸,メコンデルタに与える影響を評価しようとするものである。

メコン流域の開発で,今後特に注意を払う必要のあるものは,農村の開発と流域の環境問題であろう。農村の開発に関しては,別途稿が必要と思われるが,外務省の「大メコン圏開発構想」の中にもその重要性が強調されている。環境問題について重要な点は,メコン本流の水質を悪化させないの問題,砂の移動に関してマイナス要因とならないようコントロールする問題,それと流域の森林保護の問題に要約されるだろう。


4.援助のあり方

メコン流域開発における我が国援助のあり方については,今回研究会で集約されるカンボディアの国家全体の開発計画,他分野を包含しての横断的な討議を通じて,更には,外務省の「大メコン圏開発構想」を資料として参照しつつ,重点課題を策定して行く必要があるが,その当面の方向は,メコン河委員会が目指す2003年の目標,即ち,水利用及び流域間分水のルールの設定と実施,流域水資源総合開発計画の策定,委員会としての環境対策の方針策定,進行中プロジェクトの確実な実施,事務局の強化,の5つのゴールのうち,特に,水利用及び流域間分水のルールの設定と実施に対しては,その重要性に鑑みて,積極的な支援が望まれる。

流域開発が目指すインフラ構築,即ち,メコン河第二架橋問題を中心としたタイ・ベトナム間の交通網整備,カンボディアの水力開発を含めた電力施設の整備,カンボディア領内の道路網整備,トンレサップ湖の環境問題,プレクトノットの開発問題,などについては,メコン流域開発の基本方針の上に立って,我が国としても積極的な支援が期待される。

このような複数の国を包含する地域に対する援助のあり方について,これを地域として捉えるこのできる国内の組織が必要である。メコン下流国に大きな影響を与える中国の雲南省については,例えばJICAの場合,中国事務所がこれを管轄するが,中国事務所がメコン流域への配慮を行いつつ雲南省のプロジェクトを扱うことには,非常に難しい点がある。それは,メコン上下流域への配慮からプロジェクト形成された雲南省のプロジェクトを,中国に対する援助の観点だけから判断してしまうと,我が国援助のあり方が大きく崩れる可能性があるからである。事実,雲南省というのはメコン流域開発から見た場合,非常に重要であるにもかかわらず,謎に満ちた地域で情報も少ない。インドシナ半島のみを見てメコンを論ずることは出来ず,積極的に雲南省のプロジェクトを,メコン開発の観点から形成する努力に,中国に対する協力に関係する機関にも理解を促す必要がある。


以上



以上

[HOME] [adachi]