足立隼夫の主張 26

ジャワバリの電力不足の実態と考えられる対策
(2004/05/25時点)


インドネシアのジャワバリ、その電力の需給バランスは最悪の状態にあり、多くの生産拠点を持つ日本企業も戦々恐々と言う状態である。改めて振り返ると、インドネシアの国土面積は約189万平方km,人口は約2億3490万人(2003年推計)であるが,全人口の5分の3近くがジャワ島とマドゥラ島に居住している。GDP総額1729億ドル(2002年)。電源設備は,2003年時点で,電気事業体所有が 23,638 MW(うちジャワバリ 18,608 MW)であり,他に自家用発電が 12,441 MW (うちジャワバリ5,893 MW)で,発電事業体所有のジャワバリ系統については,IPP による 2,460 MW を含めて石炭火力が 6,660 MW (約 35.8%),ガス複合が 5,404 MW(29.0%),水力が 3,096 MW(約16.6%),重油火力が 1,800 MW (9.7%),ガスタービンが 1,207 MW (6.5%)であるが,現時点で有効に動いているのは,僅かに1400万KWである。このような状況の中で起こっているジャワバリ系の電力不足騒ぎであるが、私は、時々刻々に発表される需給バランスを見ていて思うことあり、ここの電力不足は、バンコクやマニラ、はたまた上海で起こっている、または数年内に起こると考えられている電力不足とは全く異質のものである、という見方をしている、バンコクやマニラに昼間帯に電力不足が起こったときは非常に深刻なものになり、急遽の対策は不可能であろうが、ジャワバリの場合は、夜のピークであり、いろいろな対策が考えれそうに思う。ここ10年ぐらいはこの夕方3時間程度のピークが続くと思われるので,3年ぐらいでチソカン揚水を立ち上げるか,燃料費がものすごく高くても今すぐ投入できる,例えばガスタービン等を,思い切って投入すべきである,日3時間でよいのであるから,燃料費は高くてもよい。


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インドネシアのジャワバリ、その電力の需給バランスは最悪の状態にあり、多くの生産拠点を持つ日本企業も戦々恐々と言う状態である。改めて振り返ると、インドネシアの国土面積は約189万平方km,人口は約2億3490万人(2003年推計)であるが,全人口の5分の3近くがジャワ島とマドゥラ島に居住,スマトラ島には約4083万人(1995年推計),スラウェシ島には約1373万人(いずれも1995年推計)が住んでいる。GDP総額1729億ドル(2002年)。電源設備は,2003年時点で,電気事業体所有が 23,638 MW(うちジャワバリ 18,608 MW,スマトラ 2,727 MW,スラウエシ 911 MW,カリマンタン 751 MW,その他 641 MW)であり,他に自家用発電が 12,441 MW (うちジャワバリ5,893 MW)で,両者併せて 36,079 MW である。発電事業体所有のジャワバリ系統については,IPP による 2,460 MW を含めて石炭火力が 6,660 MW (約 35.8%),ガス複合が 5,404 MW(29.0%),水力が 3,096 MW(約16.6%),重油火力が 1,800 MW (9.7%),ガスタービンが 1,207 MW (6.5%)。このような状況の中で起こっているジャワバリ系の電力不足騒ぎであるが、私は、時々刻々に発表される需給バランスを見ていて思うことあり、ここの電力不足は、バンコクやマニラ、はたまた上海で起こっている、または数年内に起こると考えられている電力不足とは異質のものである、という観測をしている、バンコクやマニラに昼間帯に電力不足が起こったときは非常に深刻なものになり、急遽の対策は不可能であろうが、ジャワバリの場合は、夜のピークであり、いろいろな対策が考えれそうに思う。

我々が日本でピーク対策に取り組んでみたものは、ほとんどが昼間の8時間、場合によっては6時間の需要ピークであり、先進国に一般に見られるものである。主としてその要因は、夏期のビル群の冷房需要、朝9時に出勤してスイッチを入れ、夕方の5時に大部分が冷房を切って退社して行く、即ち8時間のピークなのである。これに対処するために、水力発電所でも池を持っているものは、6時間から8時間のピークが出せるように計画されてきた。昭和30年代も後半になってきて、需要の大きな伸びに対してこの水力によるピーク対応力の開発が、地点素材の枯渇で困難になってきたとき、可逆式高落差用のポンプ水車が実用化してきて、ピーク対応は揚水発電所の役目となったのである。それでも、揚水発電所で8時間ピークに対応するのはなかなか難しかった、それは、夜の間に全力で揚水しても、どうしても昼間発電6時間が限界で、もし8時間ピークに対応しようとすると、池を大きくして土曜日曜に水をあげておく週間調整が必要だったからである。ことこのように、8時間ピークに対応するのは、経済的な意味も含めて、なかなか難しい問題なのである。

経済成長の初期の段階では、ミャンマー、ベトナム、中国の一部のように、朝と夜の点灯時のピークが一般に大きく、経済が初期段階であるほど、この朝と夜のピークが同じ値になる。ところが、タイがラムタコン揚水発電所を計画し始めた頃のバンコクは、夜の4時間程度のピークに手を焼いていて、これに対応して揚水計画を始めたのである。ところがタイは、その後10数年の経済成長を経て、今や昼ピー型に移行しつつあり,最近完成したラムタコン揚水も池の容量を大幅に大きくしたとのことである。このバンコクと同じプロセスを10年遅れで追っかけているのがジャカルタでありジャワバリ系統である。今,ジャワバリ系はこの夜のピークに悩まされているのである。


図は,ここで最も苦しかった先日5月12日の日間需要カーブの状況であり,スララヤの石炭火力が石炭不足のために出力が落ちて,供給可能が13751MWの所に午後6時にいたって需要が13800MWと供給可能を上回った時のものである。50MWぐらいの何か自家用か何かを運転してしのいだのではないか,と思わせる厳しい状況である。このピークは夕方の6時前に急激に立ち上がって,6時にピークに達し,7時半頃になって下がりはじめ,夜の10時ぐらいには中間需要と同じぐらいまで下がっている,だから大体3時間から4時間のピークである,と言うことが出来る。しかし,なんと言っても3時間程度のピークであって,日本やタイやルソンのような厳しい昼間の8時間帯の電力不足とは基本的に違うのである。

一般に,8時間に達する長いピークに対しては一般水力があるときはこれを当てるのが最も経済的であるが,水力地点が枯渇してくると,週間調整などの揚水発電所を当てることになる。更に短いピーク,例えば4時間ぐらいになってくると,燃料費の高いガスタービンを当てる例があるので,ジャワバリ系もガスタービンを当てればよい,ということになるが,4時間程度の短い揚水発電所も有効と思われる。その意味からチタルム川中流のチソカン揚水がこの数年足踏みしているのは,まことに惜しかったと思われるのであるが,今昼間ピークと夕方ピークの差が200万KW以上あるので,2%づつ差が縮まるとしてもまだ,夕方ピークはまだ10年以上は続くので,4年程度の工程で急速に揚水を立ち上げる方法もあろう。ただ,私の言いたいのは,ジャワバリの電力危機は,昼間ピークのように致命的なものではなく,比較的計画抑制しやすく,且つ3時間程度しか動かない,と考えれば相当燃料費が高くても,ガスタービンのような急速な設置が可能な電源を思い切って入れるべきである,大規模石炭火力などの計画は,勿論入れば既設火力を押し上げてくるので有効ではあるが,それを狙うと時間がかかって仕方がない。



以上


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