日刊 アジアのエネルギー最前線

●081002C アジアでの近い将来の水戦争,これを避けるために


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●アジアでの近い将来の水戦争,これを避けるために

「アジア大陸の水源はチベット高原」,インドのプロフェッサーが,長文の記事をジャパンタイムズに寄稿した。プロフェッサーらしく,世界の水事情を冷静に解説しながら始まるこの記事は,中国の水への執念に的を絞った厳しい内容である。彼は,「過去の戦争は領土争い,現在の戦争はエネルギー争い,将来の戦争は水争い」,とことの深刻さを簡潔な文章で表現している。

我々から見ると,アジアという世界は水が豊富で,最近は中東の資本が,将来の食糧事情を見越してカンボジアなどの農地を買収,確保に走っている,と言う記事も見ている。私も,道路が並木のトンネルになるのは雨量2,000mm以上,東南アジアでしか見られない。南米やアフリカや中東のあの裸の山を見ると,アジアの水は豊富だと思っている。

でもプロフェッサーは,飲料水など生活に使える水はごく僅かだという。地球の3分の2は水であるが,塩を含んでいない水は僅かにその2.5%,また南極や北極の氷を除くと1%に減るという。そういう話をした上で,中国の水問題の深刻さを語り,中国にとって,チベット高原の水は,かけがえのないものである,と言う。

1989年に湖錦濤が戒厳令を敷いてチベットの維持に動き,温家宝首相も,「水不足の問題は中国の生死を分かつ」,という言葉を発している。またもっと不吉な言葉は,前水資源相である Wang Shucheng, の言葉で,「最後の一滴の水まで戦うかそれとも死か,これが中国が当面している挑戦である。」,と。チベットは,その広大な面積の中に,氷河と地下水で莫大な水を包蔵している。

教授は,このチベットの水資源の特徴は,量ではなくてその標高にあるという。標高5,000mにある莫大な水は,計り知れない価値を持っている。まさしく,重力で灌漑出来る場合の日本の農業に対して,インドは,灌漑のためのポンプの容量が大きく,これを農業用として電気料金優遇しているために,インドの電力セクターは貧乏している。日本の電力も農業を優遇しているが,ポンプは少なく,問題になっていない。

そこでチベット高原だが,量ゆえに,また高さゆえに,アジア大陸の大河川を思うように支配している。特に,インドのインダス河と Brahmaputra 河はチベットに徹底的に依存している。中国が,Brahmaputra 河の有名な峡谷,「大屈曲点 Great Bend 」,にダムを造る計画を持っている。しかもこの地点は,インドとの国境に達する直前の中国領内である。重力だけで北京まで水を運ぶことが可能なのだ。

教授は,単にチベットを有する中国を攻撃しようとしているのではなく,国際河川のあり方を述べている。このような重要な国際河川に於いては,何らかの国際機関の介在が必要だ,と主張している。その機関の要件は,透明性の確保,情報の共有,河川汚濁の防止,流域外への分流の阻止,であると言っている。メコン河委員会は,中国の不参加で,十分に機能していない。


本文

●アジアでの近い将来の水戦争,これを避けるために

アジアの水問題に対する長文の投稿が,Japan Times に寄せられた。最終的には中国による周辺諸国への水の脅威だが,書いた人は,奇しくもインドの水文学者で,Brahma Chellaney,a professor of strategic studies at the privately funded Center for Policy Research in New Delhi. である。書き出しは穏やか。昔の戦争は土地を争い,現代の戦争は油を争い,明日の戦争は水を争う,という文章で始まっている。

世界の水の総量から入り,いきなりアジアに転じて,激しく中国の地理的な位置と政治的な野望の重なりを抉って行く。総量は,地球の組成の3分の2を占めるが,飲み水として可能性のあるのは僅か水総量の2.5%,そのまた3分の2は両極の氷に閉じこめられており,実際に使えるのは,全体の1%だと言っている,まあそうだろう。世界で15億の人が水に近づけず,25億の人が下水に困っている。

途中,いろいろな議論があるが,アジアの水問題をチベットの地理的水文的な特殊な位置づけに議論を集中させている。チベット高原がすべてのアジアの大河川の水源になっているという。中国政府のチベットに対する特殊な政治的意図は,単なる民族間の問題ではなく,中国にとっては,東の乾燥大陸に対する最も重要な水源なのだという。

チベットの水資源のポテンシャルは,その広大な領域に潜むまた広大な氷河と地下水であり,またもっとも注目すべきはその標高だ,と言うのである。その通り,低地に水があっても殆ど役に立たない。このチベット高原の高さが,アジア大陸の0水を支配する大きな要因なのである。インドの河川は,ガンジス川を除いて,殆どこのチベットに水源を発しているのである。

現在の中国の主席湖錦濤が,1989年にチベットに戒厳令を敷いて騒乱を抑えたことは,勿論彼の脳裏に刻まれており,また温家宝首相も,「水不足の問題は中国の生死を分かつ」,という言葉を発している。またもっと不吉な言葉は,前水資源相である Wang Shucheng, の言葉で,「最後の一滴の水まで戦うかそれとも死か,これが中国が当面している挑戦である。」,と。

"To fight for every drop of water or die, that is the challenge facing China."。River Brahmaputra の大屈曲点 Great Bend に建設されようとしている中国の大規模ダムが,インドが恐れる最大の中国の河川プロジェクトである。いずれにしても,この論文を書いたインド人の Brahma Chellaney は,中国に戦いを挑んでいるのではなく,世界は今何をすべきか,を問いかけている。

彼は,大陸の国際河川については,何らかの協議を行う国際的な機関の設立が必要で,それは,透明性,情報の共有,汚濁防止,それと国際河川の流域変更を禁止することだ,と言っている。歴史は長いが,なかなか機能の発揮できないメコン河委員会のこともあるが,おそらく,インダス,ブラマプトラ,イラワジ,サルウイーンなどの国際大河川には,将来欠かすことが出来ない問題だろう。

Reference

China

●081002C China, search.japantimes
アジアでの近い将来の水戦争,これを避けるために
Averting Asian water wars
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/eo20081002bc.html


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