アジアのエネルギー最前線
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●081101B ミャンマーに於ける中国の足音,更に高まってくる

ミャンマー,中国エネルギー拠点,ラムリー島(注24)の位置

ミャンマーのエネルギー資源への中国の怒濤のごとき進撃については,2008年6月に,このHPでも再三取り上げている(注1)。6月19日には,「ミャンマーの新規ダム計画,数千人の移住を伴う」,また6月10日には,「ミャンマー,サルウイーンのダム建設,反政府派を水没へ」などである。これまではいずれも,各地のプロジェクトの環境グループによる批判であったが,今日のアジアタイムス(注2)は,これを総括的に取り扱っている。長文であるが,要点を拾ってみよう。

欧米がミャンマー軍事政権に対して厳しい制裁を課している中で,中国のミャンマーの資源を標的としたミャンマー軍事政権への外交的な連携をより鮮明にしてきている。環境グループ(注3)の報告書によると,69の中国企業が,水力,鉱業,原油,ガスの分野でミャンマー全土に亘って少なくとも90のプロジェクトを推進中という。特徴的なものは,エネルギーと資源で,水力ダムとシュエ,ガス,パイプライン(注4)で,シュエガスパイプライン(注4)はミャンマー全土を南北に縦断して,地理的に閉ざされた雲南省へ通ずるものだ。

現在,中国への原油の70%がマラッカ海峡(注5)を通過しているが,米国によってブロックされる可能性のあるルートを,シュエガスパイプライン(注4)で迂回しようというものである。インドとタイも,ミャンマー軍事政権に対して,中国に近い姿勢を示しているが,欧米は厳しく,最近では,「知的制裁(注6)」,と称して,軍事政権の中核にある個人の資産凍結を標的にしている。ある専門家の推定では,ミャンマー軍事政権は,ガスによって年間35億ドルを手にしているという。

環境団体アース,ライト,インターナショナル(注7)が確認したところでは,特に中国によるミャンマーの原油ガス田の開発が最近盛り上がっており,アラカン州(注8)のシュエ,ガス,プロジェクト(注9)とサガイン地区(注10)の新規ブロックなど,21のプロジェクトが進行中である。注目すべきは,アラカン州(注8)沖のチャウピュー島(注11)を中東から雲南省へのシュエ,ガス,パイプライン(注4)の中継基地に想定して開発していることである。このシュエ,ガス,パイプライン(注4)については,既に中国企業(注12)とミャンマー政府が契約しており,更にこれと並行したパイプラインも構想があり,中継基地の建設で,中国企業CNPC(注13)とミャンマーのMOGE(注14)が調査を行っている。

同じく環境団体アース,ライト,インターナショナル(注7)の報告では,ダムプロジェクトも進展しており,特に電力を雲南省へ送る目的で,サルウイーン河,シャン州の7,100MWタッサン,ダム(注15)の他,カチン州(注16)のマイカ川(注17),マリカ川(注18),イラワジ河(注19)などを含め,総出力は13,360MWに達する。また,金や翡翠などについても,中国企業が入っており,欧米の制裁とのギャップを埋めている。

中国のミャンマー軍事政権に対する外交姿勢だが,1954年の有名な,「平和共存のための5原則(注20)」,が今でも基本と考えられ,政経分離の考え方に近い。中国は安全保証理事会(注21)で拒否権を使ってミャンマーを守ってきたが,最近では民主化への圧力を強めている。しかし中国が,現在築きつつあるミャンマーとの経済関係を壊すような急激なミャンマーの政治の変化を求めていないことは確かである。民主化を求める中国の姿勢は,民主化後の勢力が,中国の権益を守ることを前提に,話をしているのだろう。誰がミャンマーの政治を握ろうとも,中国の安価な機械類,技術ノウハウ,低利で長期の借款などは,ミャンマーにとって手放せない。

この記事が最後に結んでいる文章(注22)はうまく訳せないが,おそらくこういうことだろう。今中国が享受している通商の利益は,言うなれば誘惑の悪魔だけがその帰結を知っている,と言うことか。ミャンマー軍事政府が,本当に禅譲でなく民主化へ進んでしまうならば,はっきり言って,中国の権益が守られる補償はないであろう。最近の台風被害で,被災者を救おうとしないミャンマー軍事政権に対して,ミャンマー沖に,救済のためとはいえ,米国とフランスの軍艦が待機したことは,記憶に新しい。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0806.htm,(2) http://www.atimes.com/,(3) EarthRights International and Arakan Oil Watch,(4) Shwe Gas pipeline,(5) Strait of Malacca,(6) "smart sanctions",(7) EarthRights International,(8) Arakan state,(9) the Shwe Gas project,(10) Sagaing division,(11) Kyaukpyu Island,http://my.reset.jp/~adachihayao/08110101.jpg,(12) China Petroleum and Chemical Corporation, or Sinopec,(13) China National Petroleum Corporation (CNPC),(14) Myanmar Oil and Gas Enterprise (MOGE) ,(15) the gigantic 7,100-megawatt Tasang Dam on the Salween river in Shan state,(16) Kachin state,(17) N'Mai Hka,(18) Mali Hka,(19) Irrawaddy river,(20) he Five Principles of Peaceful Coexistence,(21) the UN Security Council,(22) more visible commercial interests are for now better served by the devil it knows.



Reference

Myanmar

●081101B Myanmar, Asia Times
ミャンマーに於ける中国の足音,更に高まってくる
China's footprint in Myanmar expands
http://www.atimes.com/atimes/China_Business/JK01Cb02.html



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