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ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年11月2日分ーイランのパイプラインとインドの優柔不断
ー
昨日,この仕事が遅くなって4時前にまだ終わらず,疲れてふっとテレビを付けたら,18番で石川遼の打ったボールが池のそばで踊っていた。結局落ちて水中打法で切り抜けて優勝した。「誰か助けて欲しくて,吐きそうになって」,と言っているから,孫によく見ておけ,入学試験と一緒だ,誰も助けてくれない,と言い聞かせた。夜はラミレスのサヨナラホームランで,昨日は2回すっきりした。
明日は米国の大統領選挙が行われる。まあ長い間大騒ぎで,本当にもっと日本のように簡単にやればよいのにと思う,僅か4年の任期なのに。それにしても思うのは,十数万の兵士をイラクに釘付けにして辞めて行くブッシュ大統領の心境だ。小泉首相の気持ちは手に取るように分かった。イラクに送った自衛隊が毎日毎夜,彼を苦しめただろう。小泉首相は,辞める前にあっさりと自分の派遣した自衛隊を帰国させた。ブッシュ大統領は辞めてからイラク米軍の司令官をやらせてあげてはどうだろう。
イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)の関係国位置図

無駄口を叩いては駄目で,さて今日の記事だが,インドの優柔不断(注10),プロクラスティネーションという言葉を初めて聞いた。イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)である。長い間店ざらしにされて,イランとパキスタンは怒っている。72億ドルだから,イランとパキスタンだけでやるというわけにはいかないようだ。
まず,2008年10月17日(注2),パキスタンのザルダリ大統領(注3)が北京を訪問して,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)の行き着く先を中国に変えるよう湖錦濤主席に持ちかけたが,その長さからか,或いは米国に何らかの気を遣ったか,原子力協定と共に,確答を与えなかった。イスラマバードでは,中国はイラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)に参加しなくても,資金は出してくれるだろう,と言う楽観論がある。
一方インドだが,必死になってミャンマーに食い下がっているように,どうしてもガスが欲しい。それにしてもインドにとって,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)は,まさに悪魔の誘惑,の感じが深く,特に最近のパキスタンのザルダリ大統領(注3)の言動を見ていると,そう簡単には乗っていけない側面があるのだろう。
ミャンマーの,包蔵90兆立方フィートと言われるガス包蔵も,昨日見たように(注17),中国優勢である。何とも動きのとれないインドを取り巻く国際ガスパイプライン戦略であるが,今インドにとって重要なのは,やはり米印現日力協定だろう。これを軌道に乗せるまで,イランやパキスタンをいろいろ巻き込みながら,終わりにしないように,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)を引っ張って行く作戦だろう。
(注) (17) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081101.htm,(18)
(注) (1) Iran-Pakistan-India (IPI) gas
pipeline project,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081019C.htm,(3) Pakistan’s President Zardari,(4)
Foreign Minister Shah Mahmood Qureshi,(5)
http://economictimes.indiatimes.com/,(6)
Tehran,(7) Oil Minister Gholamhossein Nozari,(8)
Indian Foreign Minister Pranab Mukherjee,(9)
Azad Kashimir,(10) India's procrastination,(11)
本文
●イラン,インドに対して,ガスパイプライン決断急げ
イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)については,2008年10月19日(注2)にこのHPでも取り上げている。このときはイスラマバード発の記事で,一方的にパキスタンから見た報道であった。丁度パキスタンのザルダリ大統領(注3)の中国からの帰国直後のタイミングで,パキスタンのクレシ外務大臣(注4)が,インドは参加するのかどうか,参加しないならば中国と話をする,と発言していた。
その時の私のコメントとして,これはインドが,米国との原子力協力協定を優先させた結果だと思う。先日も出ていたが,米国は,中央アジからアフガニスタンを通過してインドに至るガスパイプラインを調整してもよい,と言ったことがある。これは勿論,インドのみならずパキスタンへの発した言葉だが,パキスタンは今や新大統領の下,中国を向いているから,この中央アジアからのエネルギーラインも難しくなってきている。さて,インドのガスはどうなるか,と書いている。
イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)の関係国位置図

今日の記事は,インドのエコノミックタイムス(注5)であるが,書かれたのはテヘラン(注6)である。イランのノザリ石油相(注7)が,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)に関して,ガス供給の安全についての方法論はもう議論を尽くした,インドのコミットが欲しい,と述べている。専門家は,インドはこの76億ドルプロジェクトに関して,パキスタンとの緊張が高まったときを考えて,慎重な姿勢を崩していない,としている。
現在,インドのムケルジー外務大臣(注8)がテヘランを訪ねているが,「インドはこのイラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)から離脱するつもりはない。パキスタンとは,インドへのコストと安全の問題で議論している。それはこのこのイラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)の会社形態の問題でもある。」,と言っている。米国を気にしているのか,の質問に対しては,「インドは独立国である。」,とのみ答えている。
2008年10月19日(注2)にも書いたが,パキスタンは完全に中国を向いている。パキスタンが実効支配しているアザドカシミール(注9)を通過すれば容易に中国に達することが出来るが,前回のパキスタンのザルダリ大統領(注3)の北京訪問時には,この案に湖錦濤主席が確答を与えなかったようだ。パキスタン側は,よしんば中国まで伸ばせなくても,中国は資金協力はしてくれると考えている。それにしても,地形図を見る限りは,パキスタンまで来たガスパイプラインをニューデリーまで伸ばさない手はなかろう。インドの優柔不断(10)が分かる。
(注) (1) Iran-Pakistan-India (IPI) gas
pipeline project,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081019C.htm,(3) Pakistan’s President Zardari,(4)
Foreign Minister Shah Mahmood Qureshi,(5)
http://economictimes.indiatimes.com/,(6)
Tehran,(7) Oil Minister Gholamhossein Nozari,(8)
Indian Foreign Minister Pranab Mukherjee,(9)
Azad Kashimir,(10) India's procrastination,(11)
●インド,ヒマチャルプラデシュ,中央のプール市場買電を望む
山岳地帯のヒマチャルプラデシュ(注11)州地図

インドの北西端,山岳地帯のヒマチャルプラデシュ(注11)州は,昨今,水力開発でこのHP(注12)を賑わしている。本来は,ヒマチャルプラデシュ(注11)州は電源地元で,首都ニューデリーにも近いことから,電気は余っているはずであるが,問題は水力依存が大きすぎる,と言うことだろう。開発形式にもよるが,水力依存の大きいところは,その出力の季節変動が大きく,需給バランスに悩んでいる。
今日の記事。ヒマチャルプラデシュ(注11)州は,中央からの電力融通を期待している。それは,河川の上流で氷結が始まり,水力発電所の能力が25%落ち込んできたからである。ヒマチャルプラデシュ(注11)州政府のドウマル首相(注13)は,最近,中央のシン首相(注14)に手紙を書き,冬の需要対応で常時,400MWの融通を依頼した。
この手紙の中でヒマチャルプラデシュ(注11)州政府のドウマル首相(注13)は,8つの大規模火力開発計画,32,000MWについて,ヒマチャルプラデシュ(注11)州への配分がまだ決まっていないことを指摘している。この過去3年間で,ヒマチャルプラデシュ(注11)州の工業化が進み,11月から3月までの冬の期間の電力需要が急増し,28億KWhが50億KWhにも伸びてきているという。現在10億KWhの不足となっている。
現状での合意事項は,ヒマチャルプラデシュ(注11)州は冬期間,パンジャブ(注15)州から日2億KWh,ハリヤナ(注16)州とデリーから日4.5億KWhを融通される代わりに,夏期にはこれらの州にヒマチャルプラデシュ(注11)州から電力が融通されることになっている。ヒマチャルプラデシュ(注11)州は,包蔵水力が21,000MWあり,その3分の一が開発されただけ,2012年までには12,000MWが新たに開発されることになっている。
結局,水力発電所だけの系統,というのは,需給にうまく対応できないと言うことだ。理想的には,火力と水力が,70対30ぐらいの割合でなければ,需給が整わないし,水力というのは基本的にピーク供給力に適している。ベトナムやザンビアなどのアフリカで厳しい電力需給が続くのは,この水力と火力のバランスが悪いから,と言えるのではないか。
(注)(11) Himachal Pradesh,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/081024C.htm,(13) Chief Minister Prem Kumar Dhumal ,(14)
Prime Minister Manmohan Singh,(15) Punjab,(16)
Haryana,(17)
Reference
India
●081102A India, Economic Times
イラン,インドに対して,ガスパイプライン決断急げ
Iran urges India to commit to gas pipe plan:
Report
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Iran_urges_India_to_commit_to_gas_pipe_plan_Report/articleshow/3662953.cms
●081102B India, sindhtoday
ヒマチャルプラデシュ,中央のプール市場買電を望む
Himachal Pradesh seeks more power from central
pool
http://www.sindhtoday.net/south-asia/32785.htm
過去のニュース
●ベトナム油田へのロシアの参入 (081031)
●マニラ配電の先行き見通し (081030)
●カンボジアなどへの中国の進出 (081029)
●中国の水力開発規模は世界一 (081028
●インドネシアの 電気料金上げ (081027)
●中国企業がアザドカシミールにダム投資 (081026)
●中国広西とベトナムを結ぶ線 (081025)
●丸紅のフィリッピンへの取り組み (081024)
●インドネシアと中国のLNG契約 (081023)
●ラオスの水力で住民補償が再燃 (081022)
●世界で50カ国以上が原子力発電を計画 (081021)
●世界金融情勢の変化の影響 (081020)
●インドとパキスタン対立の悪夢 (081019)
●パキスタン大統領の北京挑戦 (081018)
●インド北辺水力開発に反旗 (081017)
●米国がインドへ原子力通商使節団 (081016)
●フィリッピンの天然ガスと電気料金 (081015)
●フィリッピンの長期エネルギー計画 (081014)
●インドの大規模石炭火力計画 (081013)
●ミャンマーの水力への外国投資 (081012)
●ダム建設を巡るカシミール問題 (081011)
●フィリッピンの国産エネルギーへの拘り (081010)
●バングラデシュとミャンマーの関係 (081009)
●バングラデシュのエネルギー長期見通し (081008)
●中国政府のチベット開発政策 (081007)
●ADBが初めてベトナム水力支援 (081006)
●知的送電線ネットワークの発想へ (081005)
●中国とインドのエネルギー問題 (081004)
●インドの原子力開発加速へ (081003)
●アジア大陸の水源はチベット高原 (081002)
●インドの配電組織改革 (081001)
●フィリッピンの再生可能エネへの取組 (080930)
●インドの地球温暖化との戦い (080929)
● サルウイーン河のダム開発 (080927)
●メコン流域会議開催と中国 (080926)
●インド,25年までに6千万KW水力開発 (080925)

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