2008年1月2日更新
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2007年11月分2007年10月分


スペシャル・パーパス・ビークル,SPV。一時は国際機関に勤めながら,この言葉がぴんと来なかったのは汗顔の至りである。確か,ベトナム戦争か何かで使われたもので,特別機動部隊のような使われ方をし,友人が調べてくれたところでは,特定目的事業体と訳され,「所有者より譲り受けた資産を裏付けに証券を発行したり,借り入れや投資を受け入れるための便宜上の「器」のこと。」,ときちんとした訳が在るようだ。昨日のインドの水力開発の中に出てきた言葉で,分からない,脈絡がない,とぶつぶつ言っていたら,友人がメールをくれました。ありがとう。

福田首相が訪中,ガス田問題は結論が出なかったが,ここは量的には非常に小さいガス田で,双方ともに実質的な経済的利害はない,とまで書いてある記事もある。結局,外交上のやっかいな問題で,今の日中の状態ならば,最初から予想された紛争で中国側もそれを考えながら進めたであろうが,当時の状況はそうではなかった。それにしても,共同声明文の書き換え問題は,どこに行ってしまったのだろう。


1 今日の概要

人民日報が,エネルギー白書を引用して,大規模水力や原発の開発を進めることなど,主要5項目のエネルギーに関する措置をまとめている。インドネシアの原発開発に関しては,国家原子力委員会BATANが安全であることを強調し,タイのやり方とは双璧をなしている。ウガンダのブジャガリ水力が米企業サイスなどの起業で資金調達を完了した,25万KW,6.8億ドル。ウガンダの日本大使が,50万KW水力の計画のため,専門家を送ると言明した。


2 目次

●中国,エネルギー供給の安定した発展を,5つの措置発表
●インドネシア,国家原子力委員会BATAN,原発は安全であると
●ウガンダ水力発電所の建設資金確保=米サイス,IPSなど
●日本政府,ウガンダのエネルギーに更なる支援約束


3 本文

●中国,エネルギー供給の安定した発展を,5つの措置発表

今回発表された中国のエネルギー白書の中から,人民日報が特別の措置として描かれたポイントをまとめたものである。特に発電については,再生可能エネルギーと位置づけた大規模水力と原発の開発を大きく盛り込んでおり,地球温暖化対策の面からも,この中国の水力と原発の発展が大きなテーマーで在る点から,大いに進めるべきだと思う。大規模水力に関しては,三峡ダムで地滑りがいろいろと報道されているが,これからも河川環境面で問題が出てくるであろう。

そのほかのテーマーとして,石炭の大型基地の資源全面調査,天然ガス産出量の増加,揚水発電所を適宜建設,農村のエネルギー建設強化,などの言葉が目立つが,全体的に総花的とはいえ,発電所建設よりもエネルギー確保に重点を置いたことが読みとれる。発電所はお金さへ在れば幾らでも建設できるが,エネルギー源はそうは行かない,従来の中国の電力分野は,この点で悩んできたところである。

●インドネシア,国家原子力委員会BATAN,原発は安全であると

東南アジアの中では,タイもインドネシアも,これからの原発立地に関して,大変な時期を迎えるわけだが,この両国の間では,その住民の啓蒙という点からは,少しやり方が違うようだ。必ずしもタイの考えている方式が円滑に行くとは限らないが,タイは地道にセミナーなどを開催しながら,賛成反対双方の意見を戦わせて,国民を啓蒙しようとしている。インドネシアは,IAEA標準で進めるから大丈夫だ,と国民の前で言い切っている。タイのケースは,石炭火力と同じで,住民反対運動は啓蒙作戦で帰って激化する危険もある。

インドネシアの原発推進は非常に政治的である。現在のムリア地点は,火山の存在などで地元や団体から反対の声が挙がっているが,選挙を意識したスシロ大統領は,地点は決まっていない,と発言している。一方で,韓国企業などと商談を進めながら準備を始めている。タイは住民との戦いであり,インドネシアは商戦である。

●ウガンダ水力発電所の建設資金確保=米サイス,IPSなど

ブジャガリ水力プロジェクトは,ビクトリア湖からナイル川の10km下流に建設されるダムと25万KW水力発電所(5発電機)を柱とし,ウガンダの電力供給能力を倍増する。1号機の完成は2010年第4四半期の予定。建設資金は6億8,200万ドルで,欧州投資銀行EIB,国際金融公社IFC,アフリカ開発銀行AfDBなどが支援する。米国大手のサイスなどが企業する。

●日本政府,ウガンダのエネルギーに更なる支援約束

ウガンダ駐在のカトウ大使が,先方のエネルギー大臣に伝えた内容をオールアフリカが報道したもの。50万KWのアヤゴ水力発電所を計画するため,専門家を派遣するというもので,上記のブジャガリとは別のようだ。日本政府は,ブジャガリの送電線を支援することになっている。


4 その他

●中国第2の水力発電所「龍灘水ダム」,発電を開始―広西チワン族自治区
●日中首脳会談 ガス田問題、進展確認 胡主席が来春訪日


5 参考資料

2007年12月29日分

ウガンダ
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Uganda.htm

●071229A ウガンダ,12月27日12時26分配信 時事通信
ウガンダ水力発電所の建設資金確保=米サイス、IPSなど

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000029-jij-biz
●071229B Uganda, All Africa
日本政府,ウガンダのエネルギーに更なる支援約束
Japan Pledges More Support for Uganda's Energy Sector

http://allafrica.com/stories/200712280083.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●071229C Nepal, Nepal News
ネパール国会,ウエストシティ水力の電気料金無料を要請
House presses for free energy in West Seti

http://www.nepalnews.com/archive/2007/dec/dec28/news01.php

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071229D Indonesia, The Jakarta Post
国家原子力委員会BATAN,原発は安全であると
Batan says nuclear plant safe

http://www.thejakartapost.com/detailnational.asp?fileid=20071228.E04&irec=3

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071229E 中国,12月28日16時29分配信 産経新聞
日中首脳会談 ガス田問題、進展確認 胡主席が来春訪日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071228-00000113-san-pol
●071229F 中国,12月27日15時50分配信 Record China
中国第2の水力発電所「龍灘水ダム」、発電を開始―広西チワン族自治

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000021-rcdc-cn
●071229G 中国,「人民網日本語版」2007年12月27日
エネルギー供給の安定した発展を 5つの措置発表

http://j.peopledaily.com.cn/2007/12/27/jp20071227_81857.html


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月31日分 ー 温暖化対策は後5年見極めよう ー

テレビが議論を戦わせていた。「地球の気温は30年周期で変わっている,今は温度が上昇している時期で,温暖化ガスのせいか,周期のせいかよく分からない,もう五年ほど待ってから議論しよう。」,と言っていた識者がいた。地球の炭酸ガスが今の十数倍の頃には,恐竜が沢山いて食糧が豊富だった,温度が高い方がよいのではないか,など,皆勝手なことを言っていたが,説得力があるのは,北極の氷が溶けても海面は上がらない,と言う説明で,コップの中に氷を浮かべても,融けて水が溢れることがない,それは確かにそうだ。

ただ,ヒマラヤなどの山の上の氷は,融けると恐らく水位が上がるだろう。量的にどの様なオーダーなのか,調べたらすぐ分かるかな。いずれにしても思うのは,個人の生活を犠牲にして窮屈な思いをしながら温暖化に対処するのは間違いではないか,と言う気がする。森林を増やす森林やさんや,火力を原子力や水力に代替する電力やさんにお任せして,一般市民は,裕福なこの世の春を謳歌すればよい,と思うがどうですか。

中国代表が主張していたが,先進国,特に米国や日本は,まず生活様式を変えろ,と言われると,折角ここまで快適な生活環境を作り上げてきたのに残念,と思ってしまう。むしろ中国などが,もっともっと快適な市民生活が出来る環境に改善していって欲しい,と思う。刑務所の環境が,日本はよいので,中国など自国で服役するよりは日本で服役する方がよい,と言うことは,日本が炭酸ガスを沢山出しているからだ。


1 今日の概要

温暖化ガス排出削減目標で,徹底的に米国支援に回って,削減義務化を避けた日本政府であるが,今後は方針を転換して,各国別の削減義務設定を主張して行くという,一貫していないが,大丈夫か。インドが2007年の電源開発の成果を発表,新たに905万KW開発完了,少ない。ヒマラヤの二つの王国が,政治改革に向かって走り出した。特にネパールの毛派の政治復帰は,地方の安定と言うことから,開発に与える影響が大きい。


2 目次

●温室ガス削減,政府が方針転換,数値目標の新基準提案へ
●2007年のインドの電源開発状況,新たに905万KW
●ネパール,暫定議会が王政廃止,共和制導入案を可決
●ブータン,民主化路線の一環,あす初の選挙


3 本文

●温室ガス削減,政府が方針転換,数値目標の新基準提案へ

日本政府は,今月のバリ会議で,米国を引き入れるためとして,削減数値目標反対の立場を取って,世論の顰蹙を買った。米国を引き入れるという目標は達成できたが,数値目標反対の立場を取ったことで,今後のつきあいが難しくなった。そこで一転,数値目標設定に立場を変更しようと言うことだが,そのように簡単に変わっていけるのだろうか。また米国の離脱の切り札に,腰砕けにならないようにしたいものだ。

それでも私は,各国横並びの数値目標設定には,国際政治の場でのツールとしては意味があるが,実際に温暖化を効果的に防ぐと言う面からは問題があると思う。友人に,「日本の叡智を3000万トンに使うのではなく,237億トンに使うべきだ。」,と書いて送ったら,アダチさん,いいこと言う,と余り普段はほめない友人がほめてくれた。削減でオーダー的にどこが大きいか,それを世界で議論して,そこに集中的に資金を投入するべきだと思っている。森林であり,原発であり,水力なのかも知れない。

今回の政府の案では,先進国,新興国(インドと中国),発展途上国,に分ける考えであるが,いずれにしても強制的な削減義務を設定しようとしているので,問題が出てくるだろう。最小のコストで最大の効果が上げられるような手段,それを世界全部で相談すべきだと思っている。

●2007年のインドの電源開発状況,新たに905万KW

2007年のインドの電源開発の数字がまとめられている。2007年1月1日より12月14日までの新規出力は,9,050MW,需要の8%に相当する。内訳は,火力発電が6,645MW,水力発電が2,185MW,原子力発電が220MWである。この間に着工しているプロジェクトは,33カ所で出力は21,242MWで,内訳は火力21カ所,17,634MW,水力が12カ所,3,790MW。

インドの現有設備はこれで,総出力13,8251MW,内訳は,火力が89275MW,水力が34,680MW,原子力が4,120MW,再生可能エネルギーが10,175MW,となっている。現在の計画では,2012年3月までに新たに,73,000MWの電源を新設することになっている。この数字は非常に達成困難と見られており,電力大臣が国会から糾弾され続けている。

●ネパール,暫定議会が王政廃止,共和制導入案を可決

開発上,もっとも大きな影響は,「ネパール共産党毛沢東派(毛派)」,が暫定議会に参加することで,地方の治安に目処がついたことだろう。おおくの水力開発地点を持つネパールだが,国際政治もさることながら,開発へのもっとも大きな障害は,毛派による地方の治安悪化であった。先日もインドの民間企業が乗り込んで,開発への準備をしているところで,まだ毛派の政治参加が決まっていなくて,十分な議論が出来なかった。

なお,ネパールには強い議会の民族主義があって,水力プロジェクトの海外資本への解放で,いろいろと注文を付けてくる可能性がある。それは企業のプロジェクト独占の禁止であったり,地元電気料金無料の要求であったり,ネパール側のプロジェクトの資金持ち分ゼロの要求であったり,参加するインド企業の前には,まだ難しい問題が残っている。

●ブータン,民主化路線の一環,あす初の選挙

ネパールとブータン,このヒマラヤの二つの国が,時を同じくして民主化など,政治の舵を大きく切って行くことは,何か因縁めいたものを感ずる。ネパールは,長い長い戦いの末であり,ブータンは,名君の誉れ高いワンチュック前国王の強烈な指導力の元,という対照的なプロセスを経てきた。ブータンの今後は,経済的にそんなに大きな変化はないだろうが,ネパールはドラスチックである。


4 その他

●ネパールの水力開発は,競争市場で,アッパーカルナリなど
●PLN,送電線を,サウダンズ群島,342の島へ延長計画
●インド,コルカタのドルガプール30万KWユニット,運転開始


5 参考資料

2007年12月31日分

ネパール

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●071230A Nepal, The Rising Nepal
ネパールの水力開発は,競争市場で
Hydropower Development Through Competition [ 2007-12-29 ]
http://www.gorkhapatra.org.np/content.php?nid=33164
●071231B ネパール,12月30日0時10分配信 毎日新聞
<ネパール>暫定議会が王政廃止・共和制導入案を可決
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071230-00000000-mai-int

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071231C India, ndtv
2007年のインドの電源開発状況
India improves power capacity in 2007
http://www.ndtvprofit.com/homepage/storybusinessnew.asp?id=42508&template=&cache=12/29/2007%2011:20:09%20PM
●071231D India, Economic Times
コルカタのドルガプール30万KWユニット,運転開始
Durgapur Projects commissions 300 MW unit
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Durgapur_Projects_commissions_300_MW_unit/articleshow/2660793.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071231E Indonesia, The Jakarta Post
PLN,送電線を,数千の島へ延長計画
PLN extends network to Thousand Islands
http://www.thejakartapost.com/detailcity.asp?fileid=20071229.C01&irec=0

環境一般

●071231F 日本政府,12月30日2時31分配信 毎日新聞
<温室ガス削減>政府が方針転換、数値目標の新基準提案へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071230-00000013-mai-pol

ブータン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Bhutan.htm

●071231G ブータン,12月30日8時1分配信 産経新聞
ブータン 民主化路線の一環 あす初の選挙
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071230-00000039-san-int


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月30日分 ー 中国雲南省の虎跳ダム放棄 ー

パキスタンのブット女史暗殺事件の影響は,相当に深刻である。パキスタンは,開発という意味においても重要な国であり,ここが安定しなければ,インド周辺が落ち着かない。我々も,道路建設支援の案件でパキスタンの軍の人たちと行動をともにしたときがあったが,なかなか優秀であった。ブット女史が首相の時に,核開発の実態を首相にも教えなかった,と軍の独自性が強い国である。周辺がテロ組織の巣窟だけに,核の管理が心配である。


1 今日の概要

珍しく関連するニュースが少なかった,年末に週末がやってきて,活気のない一日。英国紙が,中国金沙江の虎跳峡プロジェクト建設放棄の決定がなされた,と報道,10万人の水没と有名な観光地のため,としている,中国当局からの発表はない。タイのエネルギーオフィスが,来年のエネルギー需要動向を発表,渇水のため,ラオスからの水力輸入量が減る,と予測している。フィリッピン,マニラの配電会社が,今年の新年の電力需給は安定している,と声明。


2 目次

●中国,金沙江の巨大ダム,虎跳峡プロジェクトを放棄
●タイのエネルギー需要は4.2%上昇
●フィリッピン,マニラ,この新年は停電はないと


3 本文

●中国,金沙江の巨大ダム,虎跳峡プロジェクトを放棄

中国のこういうマイナスの情報は必ず外国メディアから流れてくる。この報道も,英国のガーディアン紙である。虎跳峡と言えば,長江上流金沙江の更に上流で,ナシ族で有名な麗江の町を取り囲んでいる箇所で,私も現地を見たが,険しい両岸に虎が河川を飛ぶ越そうとする岩があって,それが名前の由来になっている。

この報道では,付近がよく知られた観光地で水没移住が10万人に達するという理由で,州都昆明で開かれた会議で中止が決定した,と書かれている。あれだけの水没を出した三峡ダム着工から10年,中国もだんだんとダム建設が難しくなってくる雰囲気か,10万人など殆ど気にしなかったのに。しかし当局は,このダムに連なる他のプロジェクトは,推進の意向である。

●タイのエネルギー需要は4.2%上昇

タクシン派の勝利と連立への枠組みで,クーデターを起こした軍部との関係など,まだ先行きがはっきりしないタイの政局だが,エネルギー政策計画局EPPOは,政策的にも統計的にも,かなりしっかりしたオフィスである。毎年,経済的先行きとエネルギー動向を,詳細に予測している。今回は,経済成長4〜5%をベースにして,エネルギー需要を予測している。

原油の使用量は,今年の日160.5万バレルから,4.2%上昇して,167.3万バレルになるものと予測している。特徴的なのは,隣国ラオスからの水力輸入量が激減するとの予測で,19.5%の減少を見込んでいる。理由は来年夏の渇水としている。そこまで渇水を見込む手法はどこにあるのかと思ってしまう,聞いてみたい。

●フィリッピン,マニラ,この新年は停電はないと

恒例のメラルコの発表である。今年の新年は,電力が潤沢で,不意の事故を除いて,計画停電などの不便はかけさせない。


4 参考資料.

2007年12月30日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●071230A Thailand, Bangkok Post
タイのエネルギー需要は4.2%上昇
Energy demand to rise 4.2%, oil set to drop GDP growth to drive 2008 consumption
http://www.bangkokpost.com/Business/29Dec2007_biz31.php

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071230B Philippines, Manila Bulletin
Meralco, この新年は停電はないと
Meralco assures no power outage
http://www.mb.com.ph/BSNS20071229112881.html

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071230C China Guardian
中国,金沙江の巨大ダム,虎跳峡プロジェクトを放棄
China abandons plans for huge dam on Yangtze
http://www.guardian.co.uk/china/story/0,,2233043,00.html


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月29日分 ー 中国のエネルギー重点は水力と原発へ ー

スペシャル・パーパス・ビークル,SPV。一時は国際機関に勤めながら,この言葉がぴんと来なかったのは汗顔の至りである。確か,ベトナム戦争か何かで使われたもので,特別機動部隊のような使われ方をし,友人が調べてくれたところでは,特定目的事業体と訳され,「所有者より譲り受けた資産を裏付けに証券を発行したり,借り入れや投資を受け入れるための便宜上の「器」のこと。」,ときちんとした訳が在るようだ。昨日のインドの水力開発の中に出てきた言葉で,分からない,脈絡がない,とぶつぶつ言っていたら,友人がメールをくれました。ありがとう。

福田首相が訪中,ガス田問題は結論が出なかったが,ここは量的には非常に小さいガス田で,双方ともに実質的な経済的利害はない,とまで書いてある記事もある。結局,外交上のやっかいな問題で,今の日中の状態ならば,最初から予想された紛争で中国側もそれを考えながら進めたであろうが,当時の状況はそうではなかった。それにしても,共同声明文の書き換え問題は,どこに行ってしまったのだろう。


1 今日の概要

人民日報が,エネルギー白書を引用して,大規模水力や原発の開発を進めることなど,主要5項目のエネルギーに関する措置をまとめている。インドネシアの原発開発に関しては,国家原子力委員会BATANが安全であることを強調し,タイのやり方とは双璧をなしている。ウガンダのブジャガリ水力が米企業サイスなどの起業で資金調達を完了した,25万KW,6.8億ドル。ウガンダの日本大使が,50万KW水力の計画のため,専門家を送ると言明した。


2 目次

●中国,エネルギー供給の安定した発展を,5つの措置発表
●インドネシア,国家原子力委員会BATAN,原発は安全であると
●ウガンダ水力発電所の建設資金確保=米サイス,IPSなど
●日本政府,ウガンダのエネルギーに更なる支援約束


3 本文

●中国,エネルギー供給の安定した発展を,5つの措置発表

今回発表された中国のエネルギー白書の中から,人民日報が特別の措置として描かれたポイントをまとめたものである。特に発電については,再生可能エネルギーと位置づけた大規模水力と原発の開発を大きく盛り込んでおり,地球温暖化対策の面からも,この中国の水力と原発の発展が大きなテーマーで在る点から,大いに進めるべきだと思う。大規模水力に関しては,三峡ダムで地滑りがいろいろと報道されているが,これからも河川環境面で問題が出てくるであろう。

そのほかのテーマーとして,石炭の大型基地の資源全面調査,天然ガス産出量の増加,揚水発電所を適宜建設,農村のエネルギー建設強化,などの言葉が目立つが,全体的に総花的とはいえ,発電所建設よりもエネルギー確保に重点を置いたことが読みとれる。発電所はお金さへ在れば幾らでも建設できるが,エネルギー源はそうは行かない,従来の中国の電力分野は,この点で悩んできたところである。

●インドネシア,国家原子力委員会BATAN,原発は安全であると

東南アジアの中では,タイもインドネシアも,これからの原発立地に関して,大変な時期を迎えるわけだが,この両国の間では,その住民の啓蒙という点からは,少しやり方が違うようだ。必ずしもタイの考えている方式が円滑に行くとは限らないが,タイは地道にセミナーなどを開催しながら,賛成反対双方の意見を戦わせて,国民を啓蒙しようとしている。インドネシアは,IAEA標準で進めるから大丈夫だ,と国民の前で言い切っている。タイのケースは,石炭火力と同じで,住民反対運動は啓蒙作戦で帰って激化する危険もある。

インドネシアの原発推進は非常に政治的である。現在のムリア地点は,火山の存在などで地元や団体から反対の声が挙がっているが,選挙を意識したスシロ大統領は,地点は決まっていない,と発言している。一方で,韓国企業などと商談を進めながら準備を始めている。タイは住民との戦いであり,インドネシアは商戦である。

●ウガンダ水力発電所の建設資金確保=米サイス,IPSなど

ブジャガリ水力プロジェクトは,ビクトリア湖からナイル川の10km下流に建設されるダムと25万KW水力発電所(5発電機)を柱とし,ウガンダの電力供給能力を倍増する。1号機の完成は2010年第4四半期の予定。建設資金は6億8,200万ドルで,欧州投資銀行EIB,国際金融公社IFC,アフリカ開発銀行AfDBなどが支援する。米国大手のサイスなどが企業する。

●日本政府,ウガンダのエネルギーに更なる支援約束

ウガンダ駐在のカトウ大使が,先方のエネルギー大臣に伝えた内容をオールアフリカが報道したもの。50万KWのアヤゴ水力発電所を計画するため,専門家を派遣するというもので,上記のブジャガリとは別のようだ。日本政府は,ブジャガリの送電線を支援することになっている。


4 その他

●中国第2の水力発電所「龍灘水ダム」,発電を開始―広西チワン族自治区
●日中首脳会談 ガス田問題、進展確認 胡主席が来春訪日


5 参考資料

2007年12月29日分

ウガンダ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Uganda.htm

●071229A ウガンダ,12月27日12時26分配信時事通信
ウガンダ水力発電所の建設資金確保=米サイス、IPSなど
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000029-jij-biz
●071229B Uganda, All Africa
日本政府,ウガンダのエネルギーに更なる支援約束
Japan Pledges More Support for Uganda's Energy Sector
http://allafrica.com/stories/200712280083.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●071229C Nepal, Nepal News
ネパール国会,ウエストシティ水力の電気料金無料を要請
House presses for free energy in West Seti
http://www.nepalnews.com/archive/2007/dec/dec28/news01.php

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071229D Indonesia, The Jakarta Post
国家原子力委員会BATAN,原発は安全であると
Batan says nuclear plant safe
http://www.thejakartapost.com/detailnational.asp?fileid=20071228.E04&irec=3

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071229E 中国,12月28日16時29分配信 産経新聞
日中首脳会談 ガス田問題、進展確認 胡主席が来春訪日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071228-00000113-san-pol
●071229F 中国,12月27日15時50分配信 Record China
中国第2の水力発電所「龍灘水ダム」、発電を開始―広西チワン族自治区
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000021-rcdc-cn
●071229G 中国,「人民網日本語版」2007年12月27日
エネルギー供給の安定した発展を 5つの措置発表
http://j.peopledaily.com.cn/2007/12/27/jp20071227_81857.html


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月28日分 ー ブット女史暗殺,パキスタンどこへ行く? ー

混乱するパキスタン。ブット女史の略歴を見てみると,あれは1996年だったのか。訪日した当時のブット首相は,当時の橋本首相に向かって,父大統領の果たせなかった北部,チットラのトンネルを,日本の力で掘り進めて欲しい,と言われ,私も農村電化でパキスタンにいたときに,雪煙る中,その現場を見に行ったことがある。

当時のパキスタンの経済開発への意欲はすさまじく,カラチ付近の工業団地の調査に赴いた同僚達は,「とても経済的に無理ですよ。」,と報告したとき,当時の駐パキスタン大使の川上氏が,「相手がやろうと言っているのだから,応援してやれば良いではないか。」,とむっとして会話をしていたことを思い出す。それほど,日本を初め,西側諸国の信望を集めていた。

我々世界の人々がこう思うのだから,パキスタン国民の落胆は大きいだろう。信奉者からは女神の存在だった,とも書かれているが,彼女がいたから,あの灰色のムシャラフさんやシャリフでも,選挙となれば華やかな雰囲気に覆われたのだろう。1月7日に選挙は迫っている。水力開発はどうするの,どこに行くのかパキスタン!


1 今日の概要

先月起きた三峡ダム付近での地滑りと数十名の犠牲者の事件,フィリッピンサイトが突然記事を抹消し,中国サイトが,あの事故は鉄道建設の事故で責任者を処分中,場所は三峡ダムの近くと発表,やや奇異な感じ。英国紙が,中国に於ける新党結成や数万人規模の農民の暴動と鎮圧を記事にして,訂正を要請されている。既報,メコン5カ国との東京に於ける外相会談,日本紙も報ずる。インドでは,第11次五カ年計画,1650万KW水力開発で,開発方針の議論が続いている。


2 目次

●中国当局,三峡ダムでの地滑りで,責任者の怠慢を告訴
●中国で「新民主党」結党を宣言 地方では土地返還要求運動 英紙報道
●日メコン外相会議,1月東京で初開催,5カ国と関係強化
●インド,各州政府,大規模水力の開発に,制度の見直し必要


3 本文

●中国当局,三峡ダムでの地滑りで,責任者の怠慢を告訴

何とも不思議な記事なのだが,最初フィリッピンのフィルスター紙がそのサイトで,三峡ダムの地滑りとして報じた。私はそれを保存して後で開けようとしたら開かなくなっていた。それと類似のこの記事が,中国サイトで発表されている。しかし,中国サイトの内容は,三峡ダムの地滑りではなく,三峡ダム近くで鉄道建設に当たっていた鉄道当局の怠慢によって,バスの乗客35名が死亡,同時にその影響で3000立方mの地滑りがあった,と言うないようで,その地点は四川省の三峡ダムから4時間のところだという。

この事件は先月の20日であるが,その後英文サイトを中心に,三峡ダムで大規模な地滑りが各所で続いている,と報じられ,人民日報は三峡ダム周辺は地滑り,環境も含めて,極めて安定している,と説明してきた。事実はよく分からないが,三峡ダムの事故として報じたフィリッピンのサイトが突然記事をアクセスできないようにしたことと,私が保存したものがLANで繋がったままパソコン上で開けようとして開かなくなってしまった事実。何かの偶然かも知れないが,そのようなネット上の操作ができると言うことは驚きだ。

●中国で「新民主党」結党を宣言 地方では土地返還要求運動 英紙報道

この記事は,英紙報道を伝えた産経新聞の記事だが,この記事もすぐに中国政府から訂正の申し入れがあったようだ。私はタイミング良く保存していた。内容は多岐に渡るが,南京市の元大学教授が新党「新民主党」,の結成を宣言して複数政党制による民主的選挙を求めたもので,このほかに,各地で起こる数万人規模の農民の団体交渉とその結末,すなわち指導者の拘束が報じられている。

●日メコン外相会議,1月東京で初開催,5カ国と関係強化

既報,中国のサイトが淡々と伝えてきた第1報に続いて,日本語サイトが報じた。唐突であるが,日本外務省は5カ国代表を東京に招いて,「日メコン外相会議」を開くという。ASEAN在り,GMS在り,メコン河委員会在り,の中での開催で,先方も戸惑いがあるだろう。特に,ミャンマー,ラオスについては中国の突出が激しく,遠慮しながらの出席になるのか。

記事によると,今年初めから政府はこの構想を持っていたという。「政府は今年1月,メコン諸国との経済協力などの方針を定めた「日本・メコン地域パートナーシップ・プログラム」,を発表。6月に日カンボジア投資協定の署名を交わし,11月には日タイ経済連携協定が発効するなど,近年結び付きを強めている。」,としている。

●インド,各州政府,大規模水力の開発に,制度の見直し必要

インドの英語は,時に比喩を交え揶揄を入れて,我々のつたない読解力を混乱させる。この記事も,SPVと言う言葉に迷わされて,最後まで迷って,未だに水力プロジェクトの話なのか,その中で使われる器具の話なのか,分からなくなってしまう。でもやはり基本的な水力プロジェクトの進め方を話しているのだろう。

現在インドの水力発電設備は3,370万KWで,第11次五カ年計画では1,650万KWを開発することになっており,石炭火力の多いインドの中では,気候変動対策としても重要なテーマーの一つなのである。政府は,水力開発を促進するために,新しい政策を打ち出すことになっている,と言われて久しいが,一向に日の目を見ない。今日の記事では,従来,指名された開発企業が詳細な基本設計を行うことになっていたが,これを改めて,州政府または中央政府が基本計画を立て,入札に付すと言う方向で検討が進んでいるようだ。


4 その他

●インド,電気器具メーカー,グジャラートなどで,500万KW準備
●中国、エネルギー白書を発表 世界の安定供給に貢献
●パキスタン,ニールムジェルム水力の電気料金課金
●フィリッピン,NPC,330億ペソ相当の燃料油供給契約


5 参考資料

2007年12月28日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●071228A Pakistan, Daily Times
ニールムジェルム水力の電気料金課金
Neelum-Jhelum hydropower project: Government set to charge 10 paisa/unit from Jan 1
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2007%5C12%5C27%5Cstory_27-12-2007_pg5_2

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071228B Philippines, Manila Bulletin
NPC,330億ペソ相当の燃料油供給契約
NPC set to award P33-billion worth of fuel oil supply contracts
http://www.mb.com.ph/BSNS20071227112702.html

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071228C メコン,12月27日2時31分配信 毎日新聞
<日メコン外相会議>1月東京で初開催 5カ国と関係強化
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000012-mai-pol

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071228D India, Economic Times
電気器具メーカー,グジャラートなどで,500万KW準備
Videocon plans to generate 5,000 MW power
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Videocon_plans_to_generate_5000_MW_power/articleshow/2653150.cms
●071228E India, Economic Times
各州政府,大規模水力の開発に,制度の見直し必要
States may need SPV power to call bids for big hydel projects
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/States_may_need_SPV_power_to_call_bids_for_big_hydel_projects/articleshow/2653967.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071228F 中国,12月27日10時25分配信 産経新聞
中国で「新民主党」結党を宣言 地方では土地返還要求運動 英紙報道
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000903-san-int
●071228G 中国,「人民網日本語版」2007年12月26日
中国、エネルギー白書を発表 世界の安定供給に貢献
http://j.peopledaily.com.cn/2007/12/26/jp20071226_81810.html
●071228H China, China View
中国当局,三峡ダムでの地滑りで,責任者の怠慢を告訴
China lists loose supervision among causes of deadly landslide
http://www.philstar.com/index.php?Global%20News&p=54&type=2&sec=3&aid=2007122636
http://news.xinhuanet.com/english/2007-12/26/content_7318172.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月27日分 ー GDP中国が8兆ドルで日本が4兆ドル ー

「同じGDP規模の経済で,7億KWの巨大エンジンを積んだ中国と2億KWのコンパクトなエンジンを積んだ日本」,と評してきたが,先日の中国に関する記事と今日の日本に関する記事で,両国の現時点に於ける国民総生産GDPの比較が出来る。

今日の記事では,日本のGDP割合の落ち込みがひどく,2006年の日本の名目GDPは4兆3755億ドルである,余り伸びていない。17日の記事にあった中国に関しては,「日本上回り世界2位の経済体に」,というタイトルで世界銀行の評価がでている。これは,これは購買力平価によるもので,最近の急激な人民元の切り上がりを評価して名目よりも40%下げている。日本も昔よく言われたものだ。

と言うことで,中国が5兆3000億ドル(約583兆円)とされ,購買力平価でも完全に日本を抜き去っている。MERの名目では8兆8000億ドルだというからすごい。つい先日までは1兆ドルとか言ってなかったですか。人民元の強さですね,改めて驚いた。


1 今日の概要

中国サイトが,日本の外務省が,メコン諸国の外相会議を1月16日に開く,と報道,何故今?という感じで書いている,雲南省は入っていない,当然か。中国が初めてのエネルギー白書を公表,中国脅威論を否定し,外国資本の投資を促す内容のようである。日本のよるCDMプロジェクトで,ODA活用の案件の承認が続いている,エジプトの風力やインドネシアの地熱など。タイ東部の渇水が報道,産業用水で,パイプライン構想も。


2 目次

●日本政府,メコン流域国外相閣僚会議を主宰へ
●中国,「脅威論」,を否定=エネルギー政策で初の白書
●中国政府,エネルギー白書を公表
●ODA活用しCO2削減,3件相次ぎCDM認可,途上国での展開加速
●タイ東部,この5年間連続の渇水に向かう


3 本文

●日本政府,メコン流域国外相閣僚会議を主宰へ

中国のチャイナビューが,淡々と事実を伝えている。また急に何故?と言う感じも含まれているようだ。5カ国,カンボジア,タイ,ベトナム,ミャンマー,ラオス,またこの5カ国が,今となっては変な組み合わせで,ASEANメコン諸国,とでも言うべきなのであろうか。メコン河委員会関連とすればミャンマーが入っているのが変だし,大メコン圏GMSとすれば雲南省が入っていないのが変だし,日本の国に親しい,と言う意味では,ミャンマーがやはり今の時点では,そぐわない感じ。

日本の外務省の姿勢を批判するわけではないが,どうもメコン流域に対する政策はぎこちない。支援を声高に叫べども,実際は殆ど支援していない,と言うのが実情である。ODAとしては,メコン河は格好の支援対象なのだが,具体的な案件となると二の足を踏んでしまう。橋梁が額も少なく見栄えもするので良いのだが,折角の最初のメコン架橋は,二国間協力の壁に挟まれて豪州に持って行かれた。豪州大使が華々しく開通式にタイ国王と出席しているテレビを,日本大使館はバンコクで寂しく見ていた。

メコン河開発は,まさしくダム開発であった。外務省の大メコン圏構想報告書には,水資源開発,ダム開発が華々しく描かれている,日本政府としては何も手も足も出せないのに。道路は殆どADBが一手に引き受けているし,難しかったラオスのナムテン2水力プロジェクトは,世界銀行が粘り強く地元国を支えて,遂に世界の与論を押し切って着工まで持っていった。間もない竣工式に,日本人の姿は見られないだろう。

●中国,「脅威論」,を否定=エネルギー政策で初の白書

非常に興味がありますね。この日本経済新聞の記事は簡単に,中国脅威論に反論,と言う部分だけを取り上げているが,白書のタイトルは,「中国のエネルギー状況と政策」,で,大いに中身を期待するが,人民日報の記事の一般的な書き方を見ていると,自国有利の見方が強くてついていけないが,今回の白書は少なくとも,データーだけはしっかり発表されていると思いたい。

日経の記事では,エネルギーの生産と消費が世界第2位だが,一人当たりにすれば世界平均の15分の一,と言う一人当たり数値で反論されているようで,これは温暖化などいつもの中国の説明の仕方である。

●中国政府,エネルギー白書を公表

これは,トレーディングマーケットに掲載された白書全文の一部である。労を惜しまなければ,これらのサイトから全文をダウンロードすることが出来る。ここに上げた部分は書き出しの一部のようだが,外国資本のエネルギー分野への投資を大いに奨励している箇所である。

つまみ読みをすると。特に新エネルギー分野について,その探査と開発の面で,外国資本の投資を歓迎する。発電施設そのものについての投資と運用の面で外国資本の投資を歓迎する。外国資本投資による,環境改善効果を大いに期待する。外国資本の投資を歓迎するが,特に中国は,海外の高度な技術の導入に関心がある,などである。

●ODA活用しCO2削減,3件相次ぎCDM認可,途上国での展開加速

今まで私も,いろいろな会議で,CDMを使うときにODAは駄目ですよ,と言われてきた。ここにも書かれているが,2002年1月のマラケシュ合意で,途上国がODAを適用することに反対したからだという。ところが,記事によると,この6月には日本の円借款によって建設されたエジプトの風力発電事業が,世界で初めてODAによるCDMとして認められた,という。

237億トンの中の3000万トンで戦う日本政府と日本企業ではあるが,ODAによってCDMが進むとすれば,いろいろなプロジェクトが生まれてくる可能性がある。エジプトでは25万トンであるが,インドネシアの地熱では5万トン,まさに蟻のごときプロジェクトであるが,前進している。地球を救うために,大水力や原発のODAが考え直されるのはいつの日か。

●タイ東部,この5年間連続の渇水に向かう

10数年前のタイの水問題といえば,必ず東北タイの灌漑用水であった。500万ヘクタールの農地に,毎秒500トンの水が必要,と言われて,メコン委員会にいた我々も,一生懸命,メコン本流の渇水量増大や引水のプロジェクトに力を入れたものである。しかしこの記事を見ると,焦点は東部に移ってきており,しかもラヨンなどの工業用水である。水のパイプラインも当然対象となっている。カンボジアの水力からの導水も,ながち夢ではないかも知れない。


4 その他

●インド,近く発表の水力開発政策では,小水力開発は困難である
●フィリッピン,国家石油PNOC,国内水力開発を視野に
●<最後の円借款>対中463億円、環境保護プロジェクトに全額使用へ=“恵みの雨”の実績に評価―中国


5 参考資料

2007年12月27日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●071227A Thailand, Bangkok Post
タイ東部,この5年間連続の渇水に向かう
Eastern Thailand headed for water shortage in five years
http://www.bangkokpost.com/Business/26Dec2007_biz22.php

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071227B Philippines, Inquirer
国家石油PNOC,国内水力開発を視野に
PNOC seen pursuing more hydro projects
http://business.inquirer.net/money/breakingnews/view_article.php?article_id=108776

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071227C Mekong, China View
日本政府,メコン流域国会議を主宰へ
Japan to hold foreign ministerial meeting with Mekong nations
http://news.xinhuanet.com/english/2007-12/25/content_7311669.htm

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071227D India, Economic Times
近く発表の水力開発政策では,小水力開発は困難である
Hydro policy may not fire up small cos with sops power
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Hydro_policy_may_not_fire_up_small_cos_with_sops_power/articleshow/2651187.cm26

環境一般

●071227E CDM,12月26日8時28分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
ODA活用しCO2削減 3件相次ぎCDM認可 途上国での展開加速
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071226-00000007-fsi-bus_all

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071227F 中国,12月26日16時1分配信 時事通信
中国、「脅威論」を否定=エネルギー政策で初の白書
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071226-00000052-jij-int
●071227G China, Trading Markets
中国政府,エネルギー白書を公表
Full Text: China's Energy Conditions and Policies (18)
http://www.tradingmarkets.com/.site/news/Stock%20News/941104/
●071227H 中国,12月26日14時18分配信 Record China
<最後の円借款>対中463億円、環境保護プロジェクトに全額使用へ=“恵みの雨”の実績に評価―中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071226-00000019-rcdc-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月26日分 ー イランが2000万KW原発国際入札 ー

吉川で測量作業,更新遅れでゴメン,

原子力発電は地球温暖化を救う決めての一つだ,と言われているし,私もそう思っているが,途上国でここまで大々的な発表は見たことがない。私の友人が頑張っているイランからしばらく目を離していたら,今日の日本経済のニュースには驚きである。イランの国営通信が伝えたところによると,イラン政府は新たに19カ所,約2000万KWの原発を国際入札にかけるという,2020年までの計画である。

米国を初め,国際社会の注目が集まるイランの原発問題だが,この12月に,ロシアから核燃料(低濃縮ウラン)を受け取り始めており,これを事前に了承した米国などの姿勢を見て,,国際社会から理解が得られると判断した模様,と日本経済新聞は伝えている。


1 今日の概要

スエーデンとADBが,大メコン経済圏の電力取引市場創設に向けて資金援助を行う,5億ドル,当面は人材育成か。豊富な資源が眠る「三沙」で,ベトナムが中国を牽制している,デモのなかったハノイなども,警察のコントロールの元,抗議が行われたようだ。日本海でもそうだが,資源の共同開発の道を探って欲しい。フィリッピンのレイエス長官が,マランパヤのガスのロイヤリティの問題で板挟み,困って関係者に具体策を提案せよ,と任務放棄。電力不足のパキスタン,ここでも電力大臣が,国民からの非難で,一生懸命,電源開発の説明をしている。


2 目次

●ADBなど,メコン域内の電力取引市場創設を支援
●豊富な資源眠る広大な海域,「三沙」,めぐり中越波高し,北京五輪にらみ牽制
●フィリッピン,エネルギー省,高い電気料金の改善策を検討
●パキスタン,民間開発プロジェクト,3年内に270万KW完成へ


3 本文

●ADBなど,メコン域内の電力取引市場創設を支援

大メコン経済圏構想GMSは,元々ADBが発想したもので,この構想によってメコン河下流委員会そのものは,非常に力を殺がれることになった。丁度私がメコン委員会でタイにいた頃で,中国の雲南省の存在感が増え始めた時期と一致している。ASEANの閣僚会議と言うのもこれと被さっていて,雲南省を除くASEANのメコン諸国は,この閣僚会議を大切にしている。

域内の送電線構想は,メコン委員会やGMSでいろいろ提案がなされているが,ラオスなどはASEANの構想を基本に考えているようだ。ラオスの電力会社を中核とした域内送電会社の設立画した人々がいたが,送電構想そのものが,不確定な水力プロジェクトを基礎とするため,なかなか実現には至っていない。各国の思惑が働いて,共通の送電会社構想は難しそうである。

この記事は,ADBとスエーデン政府が協力して支援するプロジェクトで,域内の電力取引市場設立を視野に入れたものであるが,送電網構想が先なのか,取引市場構想が先なのか,難しい問題である。ADBは,送電網構想がまだ出来ていない段階で,取引市場構想に踏み込んできた。ラオスの水力開発を先導して聞いたスエーデンの主導によるものであろう。しかしまだ,500万ドルの支援で,人材育成を主眼にしているようだ。いずれにしても,域内の電力連携は非常に重要な今後の課題である。

●豊富な資源眠る広大な海域,「三沙」,めぐり中越波高し,北京五輪にらみ牽制

「発端は11月中旬に中国側が他国と争いのない中沙諸島だけでなく,南沙,西沙の領域にまで行政区「三沙市」を指定したことにさかのぼる。地元海南省の決定を受け,北京政府も承認した。」。太平洋戦争中は日本が占領していた島である。この三沙で島が260以上あるという。資源の問題が深く絡んで来ると言うことは,今後の発展を視野に入れるベトナムとしても,拘る地域である。

ベトナムでは,一般にデモなどは禁止されている。しかし,警察指導の元に,ハノイの中国大使館と,ホーチミンの中国領事館に,数百人規模の抗議デモを仕掛けたという。中国の抗議であっさり警察が取り締まったようだが,ベトナムも,北京五輪を睨んで,中国の出方を見ながら,なかなかの対中戦略である。日本海もそうだが,領土問題は大変なので,資源の共同開発という先例を造らねば,地域の発展を邪魔する要素になる。

●フィリッピン,エネルギー省,高い電気料金の改善策を検討

とにかく,フィリッピンの電気料金は高い,日本,カンボジアに次ぐ高さである。この問題はアロヨ政権にとっては,その生死を制するほど重要な問題で,今,実施中の電力改革が進めば,電力料金は競争によって下がる,と言うのが,アロヨ政権の国民に対する約束である,しかし一向に料金は下がらない,アロヨ大統領は,新任のレイエス長官に,何とかしろ,と何度も指示を出しているのである。

今回の問題は,フィリッピンとしては初めての国産エネルギー源であるマランパヤのガス田とそれを使用する発電所の問題で,アロヨ政権としては,国産エネルギーを使っているのであるから,これで料金を下げる方法はないのか,と聞いている。このガスは,既に政府がロイヤリティを徴収していて,財務省はこれを手放すことを考えていない。このガスを使うIPP発電企業は,このロイヤリティを電気料金の補足に使えば,KWh当たり約2.4セントの電気料金を下げられると言っている。

このIPPの提案に対しては,産業界は大歓迎であるが,一般消費者がその恩恵を受けるかどうか,については,エネルギー省も疑問を持っている。レイエス長官は,上下からのプレッシャーに困り果てている様子で,この記事にもあるように,関係者全部で有効な案を出してくれ,と何とも情けない提言をしている。レイエス長官には,私はちょっと問題があるように思う。

●パキスタン,民間開発プロジェクト,3年内に270万KW完成へ

フィリッピンばかりでなく,インドも,そうしてこのパキスタンも,電力料金ばかりでなく,更に重要な電力不足を国会や国民から糾弾されて,弁解に一生懸命である。インドの大臣も同じだが,パキスタンのタリック・ハムッド水資源電力大臣も,電源開発計画を一生懸命説明しているが,大規模那須力開発について,なかなか問題も多い。

今回の説明は,民間開発プロジェクトに至近年は頼らざるを得ないことを意味しており,更にこれに続く大規模水力の見通しを説明している。万部らダムの嵩上げは2008年6月完成,ジンナー水力94MWは2010年,2016年までには,バシャ-ディアマー,カラバー,アコラ,クラムなど,900万KWが発電可能だ,と何か絵に描いた餅みたいな説明。しかしこれらは,地球温暖化対策上重要なプロジェクトなので,頑張って欲しい。


4 その他

●イラン,原発19カ所を国際入札へ
●ネパール王室廃止が確定的、暫定政府に毛派復帰
●カシミールのバグリハール水力,来年にも完成へ


5 参考資料

2007年12月26日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●071226A ベトナム,12月25日8時0分配信 産経新聞
豊富な資源眠る広大な海域 「三沙」めぐり中越波高し 北京五輪にらみ牽制
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071225-00000037-san-int

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●071226B Pakistan, The International News
民間開発プロジェクト,3年内に270万KW完成へ
2,700MW additional power to be generated in 3 years: minister
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=87634

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071226C Philippines, Manila Bulletin
エネルギー省,高い電気料金の改善策を検討
DoE seeks proposals on ways to reduce high electricity rates
http://www.mb.com.ph/SP_BSNS20071225.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●071226D ネパール,12月25日0時40分配信 読売新聞
ネパール王室廃止が確定的、暫定政府に毛派復帰
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071224-00000211-yom-int

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071226E Mekong, China View
ADBなど,メコン域内の送電線プロジェクトを支援へ
ADB, Sweden to help Mekong region in power trade
http://news.xinhuanet.com/english/2007-12/24/content_7304917.htm

イラン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Iran.htm

●071226F イラン,日本経済新聞
イラン、原発19カ所を国際入札へ
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20071225AT2M2401M25122007.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

● 071226G India, Economic Times
カシミールのバグリハール水力,来年にも完成へ
dro project to come onstream in power-starved Kashmir
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Hydro_project_to_come_onstream_in_power-starved_Kashmir/articleshow/2647902.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月25日分 ー 千葉の天然ガスは800年分ある ー

「私の家の畑でも天然ガスが出ているよ。」,と千葉県の人から聞いてびっくりしたことがあった。今日のニュースでは,インドネシアが,日本に続いて中国,韓国に対して,LNG価格の引き上げを2008年から要求するようだ。100万Btu当たり3ドル程度を7ドル程度まで引き上げるという。発電単価で換算すると,7セント近くになってしまう。また今日の記事で,日本の有力企業が,世界各地の未確認鉱区をめがけて走り回っている。

天然ガス無機説に一定の評価を持つ私だが,この千葉県の天然ガスは根拠がはっきりしているようだ。千葉県の解説によると,「一般的に,天然ガスはその存在する状態によって,石油系ガス,炭田ガス,水溶性天然ガスなどに分類されますが,千葉県の天然ガスは「水溶性天然ガス」と呼ばれることが一般的です。日本の水溶性天然ガス鉱床は,北海道、秋田、新潟、千葉、静岡、宮崎、沖縄などに分布しており、特に千葉県においてその生産が盛んです。千葉県を中心に、茨城・埼玉・東京・神奈川県下にまたがる関東平野南部は「南関東ガス田」と言われ、水溶性天然ガスの生産量、埋蔵量ともに日本の水溶性天然ガス田の中で最大の規模を誇っています。」。

その包蔵量だが,千葉県を中心に広がる南関東ガス田には,約7000億立方mのガスが存在すると推定され,可採埋蔵量は約3500億立方mとともいわれている。現在の生産量年4.6億立方mから算定すると800年分のエネルギーとなる。驚いたなあ。


1 今日の概要

産経新聞の特集記事で,日本企業が未確認の油田ガス田の権益確保に動いているという。北海からベトナムまで,世界の各所に散在する確率の高い未確認鉱区に,日本の有力企業が押しかけて,インドや中国の企業と競い合うという。パキスタンとの間で紛争となっていたインドのJ&K州のバギリハール水力45万KWが,来年6月にも完成する。中国甘粛省の標高4000mの山で氷河の縮小が問題となっている,氷河湖の決壊は記事にない,この標高では氷河湖はないのか。カンボジアのプノンペンからベトナム南部までの鉄道のFSが中国企業によって実施される。タイの下院選挙が終わって,タクシン派が過半数に達せず,今後の政局の混乱を憂う。


2 目次

●日本のエネルギー業界,未開拓油田,ガス田の権益確保に動く
●インド,45万KWバグリハール水力,来年6月にも運転開始へ
●中国甘粛省,地球温暖化,2000の氷河が消失の危機,砂嵐など周囲の環境に深刻な影響も
●カンボジア,越までの鉄道敷設?
●タイ下院選,タクシン派が勝利,国軍も容認


3 本文

●日本のエネルギー業界,未開拓油田,ガス田の権益確保に動く

未開拓油田ガス田の権益獲得は,確認油田ガス田の権益獲得に比べれば,その費用は10分の一という。また,今日の記事に出てくる世界の未開拓鉱区の中での埋蔵発見の確率は30%程度だと言う。ということは,期待費用は既確認に比べて3分の一程度,と言うことか。まあそう簡単な計算でもないだろうが,既に開発された油田ガス田の近傍の試掘権は,相当に確率が高いはずである。

この記事に出ているのは,ベトナム南部海上鉱区,ノルウェー領北部北海鉱区,カタール・ブロック3鉱区,豪州北西沖カザドーレス鉱区,マレーシアサラワク州沖深海鉱区,英領北海鉱区2区,デンマークフェロー自治区,英領シェトランド諸島西方沖合探鉱鉱区2区,と全世界に散らばっているが,ここまで世界の果てまで行かないと,確率の高い探鉱区はないと言うことか。天然ガス無機説で行けば,もっと日本の近海では,と素人は考えてしまう。

これらの難事業に挑む勇敢な日本の企業は,新日本石油,出光興産,コスモ石油,東京ガス,三菱商事,住友商事,伊藤忠商事,などの石油商事などの有力企業に混じって,関西電力も豪州の鉱区に参入の気配を見せている。インドや中国企業も入り乱れて入ってくるので,これからのエネルギー資源の獲得競争は,大変な混戦となってきた。でもどうなのですかね,やはり資源には国旗が必要なのか。

●インド,45万KWバグリハール水力,来年6月にも運転開始へ

インドのJ&K州最大の水力プロジェクトで,州政府首相が工事現場を訪れて,来年6月にも第2期の45万KWが完成し,同州の電力需給に大きく貢献するだろう,と宣言した。このダムの位置は,インダス川の支流シェナブ川,ドーダ地区の近傍で,流れ込み方式となっているが,2004年に第1期工事45万KWが完成しており,最終的に総出力は90万KW,地球温暖化防止に大きく貢献する。

なおこのプロジェクトは,パキスタンとの間で長い間紛争が続いたものである。シェナブ川は,国境を越えてパキスタンに流れ込んでおり,1960年にインドとパキスタンの間で結ばれたインダス川協定と関係してくるが,パキスタンは,このバギリハールダムの設計が,協定に違反しているとして,世界銀行に裁定を求め,仲裁人の結論に従って設計変更が行われて,2007年2月12日に,最終結論が出たものである。ダムの高さを変えず,取水トンネルの位置の変更を行った模様である。

●中国甘粛省,地球温暖化,2000の氷河が消失の危機,砂嵐など周囲の環境に深刻な影響も

ヒマラヤ周辺ばかりでなく,青海省と甘粛省の境界に位置する祁連山脈が問題となっている。この地域の標高は4000mクラスで,ヒマラヤに比べれば少し低い。ヒマラヤの問題は,氷河湖の決壊,という災害としての懸念が大きいが,この記事には,氷河湖の決壊という表現は見あたらない。氷河の減少が,下流の水使用に影響をもたらせているとの報道である。写真もある。

●カンボジア,越までの鉄道敷設?

NNAの報道である。カンボジア側が,プノンペンからベトナム南部のロックニンまでの鉄道敷設のFS調査を開始する,との通知がベトナムの国鉄に届いたという。記事によると,中国雲南省の昆明とシンガポールを結ぶ鉄道網,5500km,の整備計画の一環という,関係あるのかな。でも,やはり中国企業が動いており,FSを実施するのは中国の技術陣である。

●タイ下院選,タクシン派が勝利,国軍も容認

タイよ,しっかりしてくれ,と言いたくなってしまう。アジアの中でもあれほどの経済の近代化を誇ったタイが,未だに政治的安定が見られないのが残念である。政治的安定はよいのだが,すぐに今でも国軍が出てくる,最後は国王が,というこの構図は,タイの特性として,いつまでも残るのだろうか。


4 参考資料

2007年12月25日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●071225A タイ,日本経済新聞
タイ下院選、タクシン派が勝利・国軍も容認
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20071224NT000Y97223122007.html

電力一般

●071225B エネルギー資源,12月23日19時4分配信産経新聞
エネルギー業界、未開拓油田・ガス田の権益確保に動く
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071223-00000918-san-bus_all

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071225C India, Economic Times
45万KWバグリハール水力,来年6月にも運転開始へ
'450 MW Baglihar hydel project to be operational in June'
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/450_MW_Baglihar_hydel_project_to_be_operational_in_June/articleshow/2645872.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071225D 中国,12月24日2時29分配信 Record China
<地球温暖化>2000の氷河が消失の危機、砂嵐など周囲の環境に深刻な影響も―甘粛省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071224-00000001-rcdc-cn

カンボジア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Cambodia.htm

●071225E カンボジア,12月24日8時2分配信 NNA
カンボジア、越までの鉄道敷設?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071224-00000007-nna-int


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月24日分 ー 黒四発電所が売りに出たら幾らで買うか ー

「資産売却にうつつを抜かす」,フィリッピンの話だが,360MWのマガット水力に続いて,175MWのアンボクラオ - ビンガ水力も,SNアボリッツ社が買収に成功した。私は,資産の売買は,フィリッピンの電力需給から見たときに,それは単なるゼロサムゲームで,需給緩和に全然貢献していない,その資金調達にIFCなどの公的機関が支援するのは,おかしいと言ってきた。そうして,建設から50年も経ったアンボクラオなど,325百万ドルも出して良いのだろうか,とも言ってきた。

先日も,電力の友人と話していて,例えば黒部第4発電所35万KWを売りに出せば,買う人がいるだろうか,と言う話題になって,それは売り手市場でしょう,この世の中,既に50年が経っているとはいえ,黒四は相当な値が付くのではないか,と言う我々の結論だった。もっとも日本には水利権という問題があって,国土交通省が水利権を更新するという行政的措置が伴うが,しかし,物理的に考えれば,既設水力の価値というものは,その再生可能性から見て,地球的にも価値の大きなものだ,と言えるのではないか。

先日からも話題にしているように,石炭や石油やLNGは,毎日毎日連続的に海外から運搬されているわけで,これがなければ日本の経済は麻痺してしまう。でも,これから何世紀にも亘って,果たして途切れなく燃料を海外から送り込んでくる状態は続くのだろうか,例え1年でも途切れたときには,我々の子孫は,今現存する原発と水力だけで生きていかなければならないのだ,と考えてしまう。修繕費を注ぎ込んででも,一旦建設した原発と水力は,大切に動かし続けておかなければならないのだ,と言いたいのである。


1 今日の概要

タイとラオスの政府間交渉で,正式に,従来の2015年までの買電は,500万KWから700万KWに増量された。これを受けて,EGATは,160万KWホンサのリグナイト石炭火力の買電契約を行うことになる。JBICが初めてインドに対して,国家保証のないプロジェクトへの補償を行って,銀行団が198万KWのビハール州の超臨界火力への資金調達を支援する。中国の重慶では,5年計画の「退耕還林」,事業が完成し,100万ヘクタールの新たな森林が造成された,中国の造林は,気候変動問題でも注目されている。フィリッピンのアンボクラオビンガ水力の入札で,正式な落札通知書が,SNアボリッツ社に発せられた。


2 目次

●タイ,ラオスの水力と石炭火力買電で,正式文書
●インド,NTPC,ビハールの198万KW火力で,JBICローン
●中国,重慶,5年で,「退耕還林」,100万ヘクタール,土壌流失に歯止め
●フィリッピン,PSALM,アンボクラウ買収のアボリッツに,正式文書


3 本文

●タイ,ラオスの水力と石炭火力買電で,正式文書

タイのエネルギー大臣ピヤサバスティ氏が自ら発表,2015年までのラオスからの買電は,従来の500万KWから700万KWに拡大する内容の政府間覚書MOUにまもなく署名するとのことである。この署名は22日に,両政府間で行われたようだ。更に記事では,このMOUに基づいて,EGATが買電契約を結ぶのは,ホンサのリグナイト石炭火力160万KWとナムウー水力100万KWである,と報道されている。

ホンサ石炭火力は,全体で180万KWの規模であるが,タイの買電は160万KWとされ,着工は2008年または2009年,運用開始は2012年とされ,投資はタイ企業とラオス政府である。位置は,ラオス北部のホンサ渓谷とされている。

また,この記事に記されているナムウー水力は,私自身,理解できない。ナムウーは,ルワンプラバン上流の左岸支流で,傾斜の緩やかな大流域のメコン支流であるが,貯水池の規模は広大で開発が非常に難しく,また100万KWという大規模な水力は難しいと思っている。今後の詳報に待ちたい。今回の記事は,MCOTのニュースであり,情報収集が十分でない可能性がある。

●インド,NTPC,ビハールの198万KW火力で,JBICローン

この報道は,インドのエコノミックタイムスのものだが,JBICのサイトには,12月20日付で詳細が発表されている。JBICによると,JBICが総額3.8億米ドルを限度として保証,三井住友銀行など民間金融機関4行が署名したもので,対象は,NTPCが実施するバール超臨界2期火力発電所建設プロジェクト,1,980MW,への設備投資の資金,とされている。JBICは特に,日本企業進出の電力基盤整備であることを強調している。

なお,インドのサイトによると,今回のJBICの保証は,インド政府による国家保証のない初めてのNTPCへの供与であることを強調している。最近は,アジア諸国でも電力の民営化が進み,各国で政府保証の得られないプロジェクトが多くなってきており,JBICにとっても,また進出企業にとっても,大きな試練となりつつあるが,企業としては,この荒波を乗り越えて,進出を果たす必要に迫られている。そういう点で今回は,JBICの英断といっても良いのではないか。

●中国,重慶,5年で,「退耕還林」,100万ヘクタール,土壌流失に歯止め

気候変動への対策としての森林問題,として考えると,アジアでは,インドネシアが毎年180万ヘクタールの森林を失い,中国が毎年450万ヘクタールの造林を行っている,と言うことで,中国の植林の推進は注目されている。中国としては,土砂流出や砂漠化を押さえるための対策であるが,地球から見ると,温暖化抑止に貢献していると言える。

なお,「退耕還林」,は耕地を森林に転化すると言う意味で,将来の食糧問題と繋がってくる危険性があり,中国国内でも最近議論のあるところである。記事によると,この事業を推進することによって農民が受ける不利益を補償するために,農民一人当たり年間173元を受け取る勘定になっているという。年間というのはどういう意味か,よく分からない。

●フィリッピン,PSALM,アンボクラウ買収のアボリッツに,正式文書

既報の通り,アンボクラオ - ビンガ水力,175MW,の売却については,関西電力など日本企業を押さえて,SNアボリッツ社が,325百万ドルの最高値を提示したが,PSALMより正式な落札通知書NOAが発せられた。この結果,アボリッツ社は,期限までに落札額の40%,130百万ドルを入金しなければならない。今のところ,IFCが資金調達に協力することになっている。なお,アボリッツは,360MWマガット水力に続いての落札である。また落札の条件として,2011年までに増設を行うことが条件になっている。


4 その他

●フィリッピン,PSALM,国家送電公社民営化で,1年間の猶予契約
●フィリッピン,ビサヤ系統のWESM運用は,計画の拡張が終了後に


5 参考資料

2007年12月24日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071224A Philippines, Manila Bulletin
PSALM,アンボクラウ買収のアボリッツに,正式文書
PSALM issues notice of award
http://www.mb.com.ph/BSNS20071223112411.html
●071224B Philippines, Manila Bulletin
PSALM,国家送電公社民営化で,1年間の猶予契約
PSALM gives Monte Oro consortium 1 year
http://www.mb.com.ph/BSNS20071223112407.html
●071224C Philippines, Manila Bulletin
ビサヤ系統のWESM運用は,計画の拡張が終了後に
Operation of WESM Visayas tied to power capacity additions
http://www.mb.com.ph/BSNS20071223112404.html

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071224D Laos, MCOT
タイ,ラオスの水力と石炭火力買電で,正式文書
Thailand signs MoU to buy more hydro and coal-fired power from Laos
http://enews.mcot.net/view.php?id=1927

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071224E India, Economic Times
NTPC,ビハールの198万KW火力で,JBICローン
NTPC signs $380 mn loan agreement with JBIC
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/NTPC_signs_380_mn_loan_agreement_with_JBIC/articleshow/2643194.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071224F 中国,12月23日12時30分配信 サーチナ・中国情報局
重慶:5年で「退耕還林」100万h、土壌流失に歯止め
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071223-00000004-scn-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月23日分 ー ODAは少子化する日本の重要な武器 ー

ODA白書,今日も各紙で日本のODAが論じられているが,総じて,年々減少して行くODA予算の減少を止めなければ,日本の国際的地位がどんどん劣化して行く,と言う論旨が一般的である。今回は,資源獲得競争の中でのODAの位置づけもある程度の方針が打ち出されたが,国益という面での討論が十分ではないような気がする。

私は以前から,日本の国際化,と言う観点からのODAの有効な活用をたびたび提案してきたが,それは少子化して行く日本が,今後アジアと一体となって発展していくためには,ODAが欠かせない,と言う立場である。中国とは,ODAという面での接点が今後薄れて行くが,福田首相の訪中に併せて,1000億円クラスの環境基金の創設の提案が行われるようだ。

中国は必ずしも乗り気ではない,との報道であるが,今後,日本経済が中国経済と何らかの意味で連携して行くためには,このような公的資金の出動は重要だと考えている。27日以降に予定されている日中首脳会談に注目したい。


1 今日の概要

環境,経済産業両省の審議会最終報告書が提出されたが,我が国の温室効果ガス削減について,「目標達成は可能」,との判断を下している。しかし,国民運動などの追加対策を盛り込むなど,今ひとつ具体策に欠けている。ベトナムのサイトが,ベトナム国家石油が,メコン下流域,ルワンプラバンでのダム開発を視野に入れているとの記事を書いたが,内容がはっきりせず,先日の中国の動きと相まって,更に確実な情報を待ちたい。タイ最大の石炭企業バンプーが,インドネシアの石炭企業ITMを買収,インドネシアの石炭火力への参入を視野に入れている。


2 目次

●環境,経済産業両省,温室効果ガス削減,「目標達成は可能」,審議会最終報告書
●ペトロベトナム,ラオスのルワンプラバン水力を開発へ
●タイの石炭企業バンプー,インドネシアの電力開発に参入へ


3 本文

●環境,経済産業両省,温室効果ガス削減,「目標達成は可能」,審議会最終報告書

我々は,230億トンの世界の排出ガスの中で,2000万トン,3000万トンの数字を問題にしているのだから,力の入らないこと夥しいが,それでも国際政治の中での立場の問題と考えると,無理矢理にでも数字を合わせなければならないのだろう。「省エネへの協力を呼びかける国民運動などの追加対策」,というのは,結局,発電量の問題に跳ね返すのだろうか。

そうとすれば,暖冬の影響が相当に効いてくるはずで,地球温暖化が進めば進むほど,排出ガスが冬は少なくなってくる。しかし逆に,夏の冷房は増えるから,年トータルで考えると,同じと言うことなのか,いろいろ疑問が発展する。

それを考えると,自動車などの排ガスは別にしても,何かどこかでバランスがとれるような気がする。そのバランス点はどこにあるのか,専門家に聞いてみたいと思う。そのバランスの点は,人類の生存を超えたものなのか,或いは,2度とか5度とかの小さい幅の中に入っているのか。

●ペトロベトナム,ラオスのルワンプラバン水力を開発へ

ベトナムのサイトの記事であるが,数字が曖昧で何とも不思議な記事だ。ただ言えることは,ベトナム国家石油が,メコン本流のルワンプラバン上流に,何らかの形でダム建設に食指を伸ばしている,と言うことであろうか。ルワンプラバン地点と言うのは,古くからメコン河開発の重要なダムとして語られてきたが,このメコン下流域でのダム建設は,一時期,完全に棚上げされたものである。

しかし,最近になって,上流からダム開発を進めてきた中国が,タイと提携しながら,再びメコン下流の本流での開発を呼びかけている事実が報道されている。今回のベトナムの記事は,この中国の意図と何らかの関係を持っているのか,全く別個の動きなのか,この記事では判断できない。ただ記事によると,ベトナムは,モスクワの専門機関とコンサルタント計画を結んだとの報道で,中国とは別の動きのようにも見受けられる。

●タイの石炭企業バンプー,インドネシアの電力開発に参入へ

タイ最大の石炭企業バンプーが,インドネシア第3の石炭企業の一部買収を実施したことで,バンプーのインドネシアでの電力事業への参入が期待される,とのバンコクポストの記事である。インドネシアは,電力危機を緊急に回避するために,石炭火力1000万KWクラスのクラッシュプログラムを推進中であるが,中国企業の参入で,中国の一人舞台に一石を投じようというものである。

タイは,マモーの石炭火力から転じて,今や輸入石炭でタイの電力を賄いたいという段階にあるが,この時点でバンプーが,石炭の巨大輸出国であるインドネシアの企業と提携したことは,深い意味がありそうだ。インドネシアの石炭企業ITMは,東及び南カリマンタンをベースとした石炭企業で,今回のバンプーの進出によって,石炭設備の拡張を目指すが,クラッシュプログラムへの参入も画策しているようである。


4 その他

●2006年,約43億トンの汚水が黄河に流れ込む!深刻な汚染状況が明らかに―中国
●極東ガス供給,伊藤忠が参加へ,露ガスプロム,計画発表
●スイス,アンドリッツ社,インドのティースタ水力などの機器受注


5 参考資料

2007年12月23日分

電力一般


●071223A サハリン,12月22日8時1分配信 産経新聞
極東ガス供給、伊藤忠が参加へ 露ガスプロム、計画発表
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071222-00000079-san-ind

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071223B Laos, VNA
ペトロベトナム,ラオスのルワンプラバン水力を開発へ
PetroVietnam arm to build Luang Prabang hydro project
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=03ECO211207

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071223C India, Water Power
アンドリッツ社,インドのティースタ水力などの機器受注
Andritz wins contracts for Teesta III, Karcham Wangtoo
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectionCode=130&storyCode=2048208

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071223D Indonesia, Bangkok Post
タイの石炭企業バンプー,インドネシアの電力開発に参入へ
Indonesian power sector beckons Banpu
http://www.bangkokpost.com/Business/22Dec2007_focus03.php

環境一般

●071223E 温暖化防止,12月22日8時28分配信フジサンケイ ビジネスアイ
温室効果ガス削減 「目標達成は可能」 審議会最終報告書
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071222-00000004-fsi-bus_all

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071223F 中国,12月21日23時4分配信 Record China
2006年、42億6300万tの汚水が黄河に流れ込む!深刻な汚染状況が明らかに―中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071221-00000027-rcdc-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月22日分 ー 天然ガスは地球に無限に存在する ー

「日本政府は,優秀な大学のその中でも優秀な人間を雇っているのに,どうしてこのようなことになるのか!」,と日本の国会議員が怒ったのは,中国が日本海で天然ガスの探査に手を付けたときである。この20年ほどアジア地域の経済発展をつぶさに見てきて思うのは,経済発展すると必ず近辺に天然ガスが見つかることである。タイ沖然り,中国の日本海然り,ベトナム沖然り,カンボジア沖然り,ミャンマー沖然り,インドのKG流域然り,フィリッピンのパラワン然り。今日の記事ではスリランカも出た。

自分なりにこれは不思議だ,と思って調べてみると,天然ガス無機説と言うのが,日本でも非常に古くからあったのには驚いた。勿論,石油と一緒に出てくる随伴ガスのような完全に有機なガスもあるのだろうが,本当に無機の天然ガスというのは存在するのではないか,と思って時々書いていたら,専門家から,そのような物はあるわけない,と叱られたことがあるが,未だに私は,この天然ガス無機説を信じている。

地球の内部活動から無限に生産されている天然ガスがあるとすれば,いつまでも尽きることなくこのガスを使うことが出来る。発見される地域は,偶々地裂などを伝わって人類が手の届くところまで上がってきただけだ。これが単なる私の譫言でないことを,電気新聞7月15日付の記事の一部をお目にかけよう。信じない人は,グーグルで,「天然ガス無機説」,と書いて検索して下さい。勿論,地球温暖化の問題は残るが。

「従来の有機起源説では説明が難しい油ガス田の発見が世界各地で相次いだことに加え,米国科学アカデミーが上部マントルを再現した環境で無機的に油ガスを生成する実験に成功するなど,妥当性を裏付けるような事実が明らかになってきたためだ。仮に妥当ならば資源量は無限に近く,エネルギー情勢,世界経済は劇的に変わる。日本エネルギー経済研究所総合戦略ユニットの中島敬史・主任研究員は,「資源開発の可能性が格段に広がる。常識にとらわれないオープンな議論を」,と話す。」


1 今日の概要

平成18年度のODA白書が発表され,英国に抜かれて世界第3位のODAの規模に落ち込んだが,新たに資源獲得のためのODA支援の方針が打ち出されている。ADBによると,スリランカは,2008年の時点で400MWの電力不足に陥るが,政治的決断の遅れが石炭火力の建設を遅らせている。スリランカとインドの国境の海域で,原油ガスの探査が行われて中国とインドの企業が先陣争いをしているが,インド企業は来年3月にも,スリランカと協力して,探査を開始する。


2 目次

●ODA白書,環境,アフリカ支援を重視=援助額,24年ぶり世界3位
●ADB,スリランカは2008年に400MW不足の見通し
●スリランカの石油ガス探査は,インド企業が主体に


3 本文

●ODA白書,環境,アフリカ支援を重視=援助額,24年ぶり世界3位

注目したいのは,「世界的なエネルギー獲得競争を背景に,レアメタル(希少金属)など資源調達先を確保する企業活動を,ODAを活用して支援する方針」,とする点である。今までは,資源調達支援を堂々とODAの中では謳っていなかった。実際には,国際協力銀行の国際金融の部門は大活躍だったのだが,ODA体制が一体となって,これに向かうと言う姿勢ではなく,むしろ密かに,と言う感じであった。

1998年頃の,アジアの電力民営化の進展に伴って,電力企業の海外進出に当たって公的資金の支援が必要,とした当時の通産省の構造審議会の答申に似ているが,当時実際に開発調査の段階から企業の進出を意識してODAを実施したのは,ラオスのナムニエップ水力ただ1件だったように記憶している。電力企業や商社の,海外電力プロジェクトへの進出意欲は,瞬く間にODAの世界を越えていった。

今回はどうであろうか。先日も,甘利経済産業大臣が,企業を引き連れてのアフリカ訪問で,レアメタルへの具体的な政府の支援が始まった感じであるが,電力はアジアが中心であったのに比べると,レアメタルや燃料のなどの資源は,遠く,中東やアフリカが舞台となる。特にアフリカの場合は,レアメタルだけ,と言うわけには行かない,更に多面的な支援の中で,それを求めて行かざるを得ない,と言うことは,中国への批判などを見てもよく理解できるところである。

●ADB,スリランカは2008年に400MW不足の見通し

スリランカの電力を見るたびに,私はカンボジアを思い出す。国の規模と電力需要の規模,更にはその地域での孤立や資源の乏しさが,両国とも電力供給のネックになっていて,小規模なディーゼル発電やガスタービンで,姑息な電力供給体制の積み上げとなり,電力料金が高騰して,抜本的な対策が打てない,と言う点で,よく似通っている。だから,同じ対策が考えられるわけで,中規模輸入石炭火力が,唯一の解決策なのである。

スリランカについては,我々は非常に早くから石炭火力の建設を提案してきたが,この記事にも書かれているように,政府の政治的決断が遅れに遅れた。JICAが石炭火力の専門家を送っていた時期があったのだが,地元の建設反対運動で,日本政府は手も足も出せなかった。この地元の反対を物ともせず押しかけていったのは中国で,結局,中国とインドが,この石炭火力の建設を助けることになった。

この記事では,ADBが積極的に,再生可能エネルギーなどの支援を行うようだが,当面の電力危機から抜け出すためには,中国やインドの石炭火力に頼らざるを得ないだろう。

●スリランカの石油ガス探査は,インド企業が主体に

カンボジアについては,既にその沖合に天然ガスが発見されて,それを電力供給に如何に利用するか,検討が進んでいるが,スリランカ近辺に原油ガスが産出するニュースは,今まで余り報道に接していない。記事によると,スリランカとインドの国境の海域の深さ50mから3000mの層に,数百万バレルの原油と天然ガスの包蔵があるという。

ここでも,中国とインドがその包蔵資源の獲得競争に乗り出しているようで,今日のインド発の記事では,インドの企業が有利との報道で,インドはスリランカ側への技術移転も含めて,来年3月にも試掘を開始するという。スリランカを舞台にした中国とインドの競争は,まだまだ続くだろう。


4 その他

●フィリッピン,PSALM,パリンピノン地熱など,売却入札は来年
●フィリッピン,セブーの4億ドル,テルドー発電所拡張,需給にに貢献
●インド,ダボール発電所,ガス供給カットで,出力低下


5 参考資料

2007年12月22日分

スリランカ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Srilanka.htm

●071222A Srilanka, Lanka Rates
ADB,スリランカは2008年に400MW不足の見通し
Sri Lanka faces 400MW energy shortfall in 2008: ADB
http://www.lankarates.com/news/local/266.html
●071222B Srilanka, Economic Times
スリランカの石油ガス探査は,インド企業が主体に
India to be major player in Sri Lankan oil exploration
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/India_to_be_major_player_in_Sri_Lankan_oil_exploration_/articleshow/2640315.cms

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071222C Philippines, PIA News Reader
PSALM,パリンピノン地熱など,売却入札は来年
Palinpinon-Panay bid moved to 1st quarter of 2008
http://www.pia.gov.ph/default.asp?m=12&fi=p071221.htm&no=24
●071222D Philippines, Manila Bulletin
セブーの4億ドル,テルドー発電所拡張,需給にに貢献
$ 400-M Toledo plant expansion seen to meet future Cebu electricity demand
http://www.mb.com.ph/BSNS20071221112214.html

ODA一般

●071222E ODA白書,12月21日11時1分配信時事通信
環境、アフリカ支援を重視=援助額、24年ぶり世界3位−ODA白書
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071221-00000049-jij-pol

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071222F India, Economic Times
ダボール発電所,ガス供給カットで,出力低下
Power generation at Dabhol dips following cut in gas supplies
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Power_generation_at_Dabhol_dips_following_cut_in_gas_supplies/articleshow/2637647.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月21日分 ー 三峡ダム地域でさらに「230万人移転」の危うさ ー

最初にインドネシアのチタルム河に入ったとき,驚いたのは,最下流のジャティルフールダム貯水池の状況であった。フランスの協力によって完成してから既に40年ほど経っていたが,ダムの近辺は青々としてきれいな水を湛えており,素晴らしい風景を現出していた。ところが,上流に行くに従って水質は悪化し,末端部では泥水と化して,ボートも村人が手押しで漕いでいる状況で,よくこれで黙っているな,と思うぐらい水質は悪化していた。これは,火山地帯を流域に持つインドネシアのジャワ島の特殊な状況でもあるが,貯水池の末端部分は注意が必要である。

ところが,ラオスのナムグムダムの上流をヘリコプターで飛んだとき,その貯水池の末端部分に,殆ど土砂の堆積が見られず,水も澄み渡って,インドネシアの場合と全く様子が違うので,驚いた経験がある。これらの経験から,流域の地質によって,ダムの環境問題は大きく異なってくるので,事前の調査でも,この面からの比較が重要だと通関している。


●三峡ダム地域でさらに,「230万人移転」,の危うさ

この記事が,新華社電の報道として伝えている内容は,次の通りである。「自然災害が頻発し,水土流出がひどい。「人多地少(人が多く土地が少ない)」,の矛盾が突出し,不合理な開発が生態環境の劣化をもたらしている。」,「しばしば発生する地質災害がダム湖周辺住民の生命の安全を著しく脅かしている。地滑りで土砂が長江に入り込み,それによって高さ数十メートルの津波を引き起こしたこともある。被害の範囲は数十キロに及んだ。」,「支流の水質が悪化しており,一部では水質の富栄養化によって生じる藻の繁殖現象がみられる。その発生範囲や発生頻度は明らかに増えている。ある県では5万人の飲料水が汚染されてしまった。」。

確かめてみないといけないが,新華社電がこのような報道の仕方をするであろうか。人民日報は,一貫して三峡ダムには問題はない,としてきている。恐らく,貯水池末端部分の水質の問題や,局部的な地滑りは,当然予想されるが,230万人の移住とは,少し考えにくい。更に他の続報を見て,確かめていきたいと思う。


その他

●中国,ネパールの水力開発に,130億ルピー支援,ソフトローン
●インド,規制委員会CERC,送電オープンアクセスで,取引も含める
●インド,リライアンス,タタにKG流域のガス供給へ
● 中国,発電用石炭,08年は10%値上がり


2007年12月21日分

ネパール

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●071221A Nepal, Nepali News
中国,ネパールの水力開発に,130億ルピー支援
China to provide concessional loan of Rs 13 billion
http://www.nepalnews.com/archive/2007/dec/dec20/news01.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071221B India, Economic Times
リライアンス,タタにKG流域のガス供給へ
RIL, Tata Chem in talks for KG basin gas sale
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_Tata_Chem_in_talks_for_KG_basin_gas_sale/articleshow/2635867.cms
●071221C India, Economic Times
規制委員会CERC,送電オープンアクセスで,取引も含める
CERC for open access norms to include power bourse
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/CERC_for_open_access_norms_to_include_power_bourse/articleshow/2635650.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071221D 中国,12月19日15時44分配信 サーチナ・中国情報局
発電用石炭、08年は10%値上がり
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071219-00000022-scn-cn
●071221E 中国,12月19日14時58分配信 サーチナ・中国情報局
三峡ダム地域でさらに「230万人移転」の危うさ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071219-00000020-scn-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月20日分 ー インドネシアは2020年に化石燃料がなくなる ー

インドネシアにいる頃に,インドネシア経済が中国の華僑に牛耳られて,インドネシア人の反発を買っていることを知った。中国人がどの様にして経済の主導権を握るようになってきたのか。中国人は,一人一人がまず天秤棒に物を乗せてインドネシアの隅々まで歩く,そうして品物を置いて行き,お金はその場では受け取らず,月賦で,また次の月にお金を集めながら,また品物を置いて行く,これを繰り返してお金持ちになり,そうしてインドネシア経済を牛耳るところまで達した,と言う話である。

今日の記事の中で,インドの識者が,海外進出でどうして中国に勝てないのか,悩んでいる。このインド人は,民主主義と統制経済の違いで,中国の統制経済の方が意志決定が早く,インドは国会を相手にしているから,なかなか意志決定が出来ないと嘆いている。しかし私は,統制経済の故に意志決定が早いのではなくて,中国人の個々の経済活動の活発さが,インドとの間に差を付けているのではないか,と見ている。

雲南省で水力調査をしたときに驚いたのは,中央政府の方針に従わずに,雲南省独自の判断で金沙江の開発を進めているのに驚いた。北京に行くと,それは政府の考え方と違う,と言うのである。統制経済,中央政権絶対,と思っていた私たちには驚きであった。国内の電源開発も,一旦走り出すと,地方の建設意欲はとどまるところを知らない。中央政府が躍起になって押さえようとしても,地方の暴走は止まらない。

今中国が,アフリカ,スーダン,ナイジェリア,南米,ミャンマー,とところ構わず進出していって,エネルギー資源を漁っている。我々は当然中国の中央政権の統制の元に出て行っていると考えているが,実はそうではないのではないか,と思うようになってきた。ラオスやミャンマーへの中国企業の進出を見ても,雲南の企業など,誠にローカルである。中央政府が一旦手綱を緩めると,中国人というのは,個々の経済活動では,一人一人が勝手に動く細胞のように,脳の言うことを聞かなくなってしまっているのだ,と実感しているのだが,どうでしょうか。


1 今日の概要

インドネシアは,2020年には石炭も含めて完全に化石燃料すべての輸入国に転ずる,このためには原発建設の準備に取りかかる必要がある,という原発建設への啓蒙を果たすフォーラムの記事である。対中円借款の最終的な段階に入って,環境基金の設立で,両国の足並みが必ずしも合っていない感じ。中国のGDPで購買力ベース統計でも5.3兆ドルに達し,日本を抜いて世界第2位となっている。ラオスの10万KWナムリク水力が着工,中国企業が90%の持ち分でBOTプロジェクトへ。インドは,エネルギー競争で中国にリードされていることを気にした記事で,インドの意志決定の遅さ,特に共産党を有する国会の存在を,その遅さの原因としている,でもインドは民主主義だ。


2 目次

●世界的なエネルギー危機の中,インドネシアは多様化政策を
●問われる安易な援助外交,対中円借款,今年度で終了
●中国GDP,購買力ベース統計で40%減でも=日本上回り世界2位の経済体に―世界銀行
●ラオス,中国企業によるナムリク水力プロジェクト,着工へ
●2008年のエネルギー競争,中国がインドを上回る


3 本文

●世界的なエネルギー危機の中,インドネシアは多様化政策を

先週の月曜日に行われた,主として原発推進のためのフォーラムのニュースのようだ。「世界エネルギー戦争の中のインドネシアに於ける原発開発」,と言う仰々しい名前の書籍を著したアグス・ムストファ氏を囲むもので,前インドネシア環境大臣やインドネシア大学の教授が集まって議論を行っている。

2005年に,インドネシアは石油の純輸入国になったが,2020年にはすべての国産の化石燃料が底をつくという。先日までは私も,インドネシアの石炭はまだまだあると思っていたが,可採埋蔵量50億トンで,毎年2億トン生産すると25年でなくなってしまう。天然ガスの動向はよく分からないが,インドネシアが石油や石炭まで輸入しなければならない時代が,比較的近くに迫っていると言うことは驚きである。東南アジア諸国は殆どの国が同じような状態だろう。

原発以外にはない,それも早く準備しなければならない,と言うのが今回集まった識者達の意見で,原発は既に世界の中で多くの実績を積んで,安全の問題も克服されている。日本の場合は既に供給力の30%が原発で,2025年には40%に持って行く計画だ。フランスの場合は80%が原発で賄われている。アジアでは,中国,インド,韓国,台湾などで開発が進んでいる。このような議論が行われて,社会的な原発への教育を実施している感じである。


●問われる安易な援助外交,対中円借款,今年度で終了

最終的に小泉政権下の平成17年4月の日中外相会談で,新規の円借款を20年の北京五輪前に終了することで両国が合意している。昭和55年に開始してから四半世紀の間に3兆3165億円に上る見通し,と言う。今後は,日本への公害の影響も考慮して,環境基金の名目で支援を続けたい日本に対して,中国は必ずしも積極的ではないと言う。

5,6年前には既に対中円借款の中止の声が出ていたが,そのころの私の主張を見てみると,これから伸びて行く中国の経済の前で,円借款は日本の企業進出にとって重要な支援となる,借款は続けるべきだ,と言う趣旨のことを書いていたが,それからの中国の膨大なインフラ建設に,日本の企業が顕著に進出した例はない。先日は,Jパワーが漢江の開発に一役買うことになったが,これが唯一の電力面での日本の企業進出と言うことになるのか。

●中国GDP,購買力ベース統計で40%減でも=日本上回り世界2位の経済体に―世界銀行

日を追う毎に中国のGDP数値は記録を塗り替えて行く。日本4兆ドル,中国1兆ドル,の概念が我々の頭脳に焼きつていたのは,ほんの2,3年前である。日本円も,1978年ぐらいに,1ドル80円ぐらいになって,ドル換算で日本人の給料が世界一高くなった時代があった。結局,実質的なGDPの伸びの上に,通貨が強くなることによって,一気にドル換算ベースのGDPが上がって行く。

従来の市場為替レート(MER)による統計で行くと,970兆円相当と言うとんでもない高い数値になっているようだ。これを世界銀行が,購買力平価(PPP)方式に換算して,5.3兆ドル(約583兆円)と修正して見せた。この数字でも,完全に日本を抜き去って,米国に次いで世界第2位となった。私にとっては,中国が初めて日本を抜いた最初の記事となった。後は,一人当たりGDPで,中国がいつ日本を抜くか,という問題が残された。


●ラオス,中国企業によるナムリク水力プロジェクト,着工へ

ナムリク地点は,既設ナムグムダムの近くにあって,我々にもなじみの多いプロジェクトである。出力は10万KW,年間発生電力量は435百万KWh,建設費は150百万ドルで,中国企業が90%の持ち分で,25年間のBOTプロジェクトである。完成は2010年5月とされている。起工式には,ラオスのエネルギー大臣と中国大使が出席,中国企業の進出には目を見張るものがある。

●2008年のエネルギー競争,中国がインドを上回る

インドから見れば,中国経済は格好のライバル,と言う感じで,このような記事になってくる。中国の原油輸入量は日量716万バレル,一方のインドは245万バレルで,完全に差がついている。特に,ミャンマー,アフリカ,インドネシアへの中国企業の進出について,大きな機動力の差があることを認めている。この記事のポイントは,インドの場合は余りにも官僚的,特にインド国会の意志決定が,海外進出の邪魔になっている,と見ており,これに反して,中国の意志決定は指揮命令系統がはっきりした統制経済で,これが中国の海外進出の原動力だ,と断じている。


4 その他

●フィリッピン,国家電力網の民営化入札,事後の企業構成変更,認めず
●パキスタン,来年1月,厳しい電力不足が,全土を遅う
●フィリッピン,NPCの販売電力料金,1月より値下げ
●ブータン,JICA公示案件,地方電化推進プロジェクト事前調査(配電計画)


5 参考資料

2007年12月20日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●071220A Pakistan, The International News
来年1月,厳しい電力不足が,全土を遅う
Massive power shortage feared in January
http://www.thenews.com.pk/print1.asp?id=87084

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071220B Philippines, Manila Bulletin
国家電力網の民営化入札,事後の企業構成変更,認めず
TransCo concession winning bidder Change in consortium members disallowed
http://www.mb.com.ph/BSNS20071219112004.html
●071220C Philippines, Manila Bulletin
NPCの販売電力料金,1月より値下げ
NPC generation charge set to go down starting January
http://www.mb.com.ph/BSNS20071219112000.html

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071220D Laos, Vientiane Times
中国企業によるナムリク水力プロジェクト,着工へ
Work begins on Nam Lik hydro plant
http://www.vientianetimes.org.la/FreeContent/FreeContent_Work.htm

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071220E India, Economic Times
2008年のエネルギー競争,中国がインドを上回る
China to lead India in 2008 energy race: Analysts
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/China_to_lead_India_in_2008_energy_race_Analysts/articleshow/2630385.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071220F Indonesia, The Jakarta Post
世界的なエネルギー危機の中,インドネシアは多様化政策を
Energy policy to face crisis a must for RI: Analysts
http://www.thejakartapost.com/detailnational.asp?fileid=20071218.H07&irec=1

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071220G 中国,12月18日14時54分配信 産経新聞
問われる安易な援助外交 対中円借款、今年度で終了
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071218-00000953-san-pol
●071220H 中国,12月19日11時50分配信 Record China
中国GDP、購買力ベース統計で40%減でも=日本上回り世界2位の経済体に―世界銀行
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071219-00000009-rcdc-cn

ブータン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Bhutan.htm

●071220I ブータン,JICA公示案件
地方電化推進プロジェクト事前調査(配電計画) (契約)
http://partner.jica.go.jp/main_out/servlet/CTRL?NEXT_PAGE=/TI/TI_details.jsp?TAL_NO=102003000813645


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月19日分 ー ベトナムは水力出力不足で電力危機 ー

「何故,1200kmにも及ぶ送電線をいま建設するのか?」,日本政府の制裁解除後初の電力調査団は,外は雨煙る肌寒いハノイの会議室で,ベトナム側に厳しく迫っていた。当時のベトナムは,電源は北だ,南への電力供給のために送電線は必要,と強く主張していた。我々は,このベトナム側の主張が極めて政治色が強いと見て,日本側援助の対象として不適当,との判断をしていた。事実,ベトナム戦争後の政府の基本方針は,南北の調和であり,そこに南北を繋ぐ送電線は,民族融和の象徴として,ベトナムにとっては欠かせないものであったのである。

結局,彼らは,戦争が終わって仕事のなくなったベトナム軍隊をそこに投入して,1994年にはこの送電線を完成して,40万KWレベルの電力融通を南北で開始している。その後,ベトナム沖で天然ガスが発見されて,南部においてもフーミーなどの天然ガス火力が続々と建設されて行くことになるが,ここまで来るのに,わずか15年の月日が経っただけで,今のベトナムは,既に原子力発電所も,その視野に入れている。月日の巡る早さは,中国だけではなくて,ここベトナムでも然りである。止まっているのは日本経済だけか。


1 今日の概要

久しぶりにベトナムの電力事情を取り上げる記事である。ベトナムは,140万KW規模の電力不足に陥っている。原因は主として水力発電所の乾期に於ける水不足から発している。中国国家電網は,西電東送の波に乗って,二つの大きな送電線プロジェクトを進めている。一つは,80万ボルト超高圧直流送電線,1000km,であり,他は100万ボルト超高圧直流送電線,600kmである。世界の送電線技術をリードするものである。マレーシア,サラワクのバクン発電所からの海底送電線の工事の遅れが心配されている。ベトナム北部で,32MW,ナムラ水力プロジェクトの起工式が行われた。


2 目次

●ベトナム,厳しい電力不足に襲われている
●中国国家電網,上海と四川省を結ぶ契約に調印,超高圧
●マレーシア,テナガが電力確保,海底ケーブル遅延に備え
●ベトナム,ナムラ水力プロジェクト,着工,32MW


3 本文

●ベトナム,厳しい電力不足に襲われている

久しぶりにベトナムの電力を見るが,不正確な記事で余りポイントを突いていない。ただはっきりしているのは,この先2,3年間は,乾期である3月〜5月にかけて,電力が需要の10%,または140万KWの不足が生じ,供給危機に陥るということである。ベトナムの水力包蔵は,1800万〜2000万KWと言われているが,開発されたのは446万KWに過ぎない。2010年までには水力設備を1000万KWに持って行き,更に2015年には倍増したいと考えている,と言うことである。

ベトナムの水力がどうしてこんなに信頼度がないのか,よく分からないが,旧ソ連の開発した北の約200万KW巨大水力,ホアビン発電所の貯水池計画に問題が発しているような気がする。近年の渇水の厳しい傾向もあるが,1990年の初めから,このホアビン水力の渇水期の出力低下はひどいものであった。ホアビンの上流で240万KWのソンラ水力プロジェクトが進行しているが,このプロジェクトの検討を行ったときにも,貯水池の計画に不信感があった。

水力の出力変動の大きさには,電気を買う側としても大きな問題となる。我々が普通の水力を計画するときに,数十年間を通して95%程度の信頼度で供給できる出力を有効出力と称して,これを価値の一つの指標として評価している。ただ,これを効果的に推測するのは,過去の水文資料の蓄積が必要で,我々が日本で水力を開発していたころは,10年程度の過去の資料で満足していたが,最近の気候変動の性で,この考え方に不満を持つ買電者が多くなった。ラオス,ネパール,ブータン,インド,中国で進む水力開発にとって,一つの難題である。

●中国国家電網,上海と四川省を結ぶ契約に調印,超高圧

西電東送に向けての大きな歩みが始まった,と言う感じである。最近は,中国の海外進出に目が奪われて,国内の電力開発には余り関心がなくなってきていたが,久しぶりの中国国内電力開発のニュースである。四川省から上海に向かって,80万ボルト超高圧直流送電線,約1000km,世界でも例のない送電容量と距離で,専門家の間にも議論があるようであるが,既に,金沙江の大規模水力開発の備えて,別途,100万ボルト超高圧直流送電線600kmが着工している。

日本では,このような長距離送電線は考えていないが,中国のこれらの試みは,中国国内の電力問題だけではなく,今後のインドを中核として周辺のブータンやネパールとの連携にも刺激になるものと思う。インド国家電網と中国国家電網は,今回,フィリッピンの国家送電公社の民営化の入札でもあい争ったライバルでもある。今後の世界の長距離送電技術をリードして行くことを期待されている。

●マレーシア,テナガが電力確保,海底ケーブル遅延に備え

アダチさんは何故マレーシアに関心がないのか,とよく聞かれる。私も最初の頃の振り出しではよくマレーシアに行っていたのだが,私の頭の中では,マレーシアは発展途上国の概念に入っていない。今回は偶々NNAが,バクン問題に引っかけて,マレーシアの電力事情を話題にしてくれた。240万KW,サラワクのバクン水力については,過大投資の典型でよく話題になっていたが,今日のNNAによると,2014年までに海底送電線でマレーシア本土に送電するとの計画のようだ。

海底送電線が目標年に完成するかどうかには,かなり不安があるようだ。そのために,これが達成できない場合の本土内での電源開発を進めるとの記事で,手段はガス火力の新規建設計画を早めることのようだ。また,水力も,トレンガヌ州の水力発電所,212MWは2012〜2014年に,パハン州の水力発電所,372MWは,2013年〜14年に始動する予定という。

●ベトナム,ナムラ水力プロジェクト,着工,32MW

紅河上流,ソンラ地区のナムラ川,32MW規模の,地方電化のための水力発電所か。副首相が出席して,起工式が行われた。工事費は約33百万ドルで,完成は2010年である。この5,6年,ベトナムはこの規模の水力を多く手がけてきている。


4 参考資料

2007年12月19日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●071219A Vietnam, VNA
ベトナム,ナムラ水力プロジェクト,着工,32MW
Work begins on Nam La power plant
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=10BUS171207
●071219B Vietnam, VNA
ベトナム,厳しい電力不足に襲われている
EVN plugs into electricity shortage
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=09BUS171207

マレーシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Malaysia.htm

●071219C マレーシア,12月18日8時0分配信 NNA
【マレーシア】テナガが電力確保、海底ケーブル遅延に備え
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071218-00000004-nna-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071219D China, China Daily
中国国家電網,上海と四川省を結ぶ契約に調印,超高圧
State Grid signs up suppliers
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2007-12/18/content_6329085.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月18日分 ー ブータンとネパールの水力は温暖化防止に重要 ー

ブータンの水力開発が話題になっている。ブータンは,外交権も軍事権もすべてインドに預けて,ブータンにはインド正規軍が駐屯している。山岳道路を走ると道路工事が行われているが,労務者の殆どはインド人である。発電所の運転員も殆どがインド人である。インドの電力局長と食事をしていて,「それにしても人口が少なすぎる,我々も人口増加を手伝いましょうか?」,と持ちかけると,「いや結構です,我々だけでやりますので,」,と丁寧に断られた。

このたびは,ワンチュック前国王の主導で,専制王制から議会民主主義に変わることになった。王制側から議会民主主義を申し出る,と言うのは世界でもブータンが初めてだそうだ。いまは若い国王に譲位しているが,このワンチュック前国王は,昭和天皇の大葬に,褞袍のようなブータンの征服で参列して,目を引いたことは記憶に新しい。国民に慕われ,国民も,王様が政治をしてくれればそれが一番いい,と王制を懐かしがる人が多いという。ブータンの水力によるインドの石炭代替は,ポスト京都の重要なテーマーである。


1 今日の概要

インドが,ブータンとネパールの水力電源を開発して,インドの需給に貢献せよ,と檄を飛ばしている。ブータンとの協力はは進んでいるが,ネパールとはこれからである。フランス企業が,植民地時代を思い出しながら,プノンペンの照明に協力したいと申し出ている。キリロムとプルサットの水力開発も記事は触れている。資産売却にうつつを抜かすフィリッピン,売却額の目標を70億ドルに上げてきた,NPCの負債総額は72億ドルである。不思議にも,中国がインドに対して,小規模水力開発の技術を伝授しようと申し出た,インド人もビックリである。


2 目次

●ブータンとネパールは,インドの電力供給源
●カンボジア,フランス企業,照明の支援,水力開発に併せて
●フィリッピン,PSALM,資産売却目標を,70億ドルへアップ
●中国がインドに対して,小規模水力の開発技術で協力申し出


3 本文

●ブータンとネパールは,インドの電力供給源

ポスト京都は森林と原発と水力だ,と言い続けているが,この水力開発については,どこでも当てはまるものではなく,主としてインドと中国である。両国とも経済発展著しく,それも大規模な石炭火力に支えられている。原発での代替は勿論だが,インドの水力開発による石炭代替は,もっとも可能性のある温暖化対策の効果的な手段である。それも,インド国内の北部及び北東部は勿論のこと,インドを取り巻く周辺国,特にブータン,ネパール,更にはパキスタンも加えた地域全体の水力素材の総動員が必要である。この地域は,地理的にもまとまっていて,系統統合が容易である。

系統統合が容易である,とは言っても,政治的に容易とは限らない。ブータンは,外交も軍事も完全にインドに委託していて,インドは安心してブータンに資本を注ぎ込んでいる。古くはチカ発電所があり,最近では1020MW規模のタラ水力発電所が昨年7月に完成して,インドに送電している。また,今後,JICAが開発調査を行ったプナチャンチュ水力も,インドが資本を投入して開発されることになっている。

問題はネパールである。本来,ネパールとインドとの間には水資源開発の基本協定はあるのだが,1990年代にネパールが中国から高射砲を買ったために,インドが石油の送油を全部止めて,ネパールの自動車が殆ど動かなくなったことがあった。それと,ネパール国内の過激派マオイストが,インド領内を根城にしているのではないか,と言う疑いと地方の治安の問題で,両国間は水力共同開発の機会がなかった。しかし転機は訪れた。王制廃止の決定とともに,マオイストが政治に参加し,障害が取り除かれつつある。

記事によると,インドの電力構成は,電源設備が136,901MWで,このうち64%が火力発電所,それも殆どが石炭火力で,残り25.2%が水力となっている,水力の設備は,34,390.76MWである。よく水力を開発しているが,今後も石炭火力が伸びて行くので,水力を投入して行く価値は十分にある。今後,この地域の民間投資がどうなるか。難しい地域であるが,日本企業の発憤を促したいところである。


●カンボジア,フランス企業,照明の支援,水力開発に併せて

珍しく,中国によるカンボジアのニュースである。ベトナムのホーチミンに行かれた方はよく分かっているが,フランス植民地時代に,オペラ座付近の建物や照明は,全くパリを彷彿とさせるものである。フランス企業がプノンペンに乗り込んできたのは,恐らくこの植民地時代のノスタルジアに動かされたものであろう。ポルポトのプノンペン占領によって,灯の消えた町も大きく復活しているが,ここに来て,総選挙も近く,一挙に町を飾りたい,それも特に王宮や戦勝記念塔を,と希望している。

実は,この記事を取り上げたのは,中に,キリロムとプルサットの水力発電所の話が出てくるからである。キリロムの増設というか,奥キリロムというか,この発電所とプルサット水力が完成する2009年を目指して町を飾る,と書いてあるので,この両水力の開発が進んでいるのであろう。

●フィリッピン,PSALM,資産売却目標を,70億ドルへアップ

電源確保を忘れて,資産売却にうつつを抜かすフィリッピンであるが,PSALMは資産売却は順調で,売却目標を70億ドルに上げると言っている。国家送電の中国企業への売却で39.5億ドルが入ってきたのだから,鼻息が荒い。他に,マシンロック石炭火力で9.3億ドル,カラカ石炭火力で7.87億ドル,アンブクラオビンガ水力で3.25億ドルが入る。来年は,70万KWの地熱とアンガット水力の入札が予定されている。NPCの負債総額は72億ドルといわれており,借金返済の見込みがついたのなら,早く電源開発に取りかかって欲しい。

●中国がインドに対して,小規模水力の開発技術で協力申し出

何とも不思議な話で,中国のエンジニアーが,インドに小規模水力の開発方法を伝授しよう,と言うのである。中国には,小規模水力といわれるものが4500万KWもあって,彼らの言う小規模とは,5万KWとか10万KWとか言う,日本で言えば大規模水力のことを言っている。これらが環境に優しいので,中国ではある一定の地位を確保しているというのである。このような申し出を受けたインド人も,ビックリであろう。


4 その他

●ベトナム,ハノイ〜ラオカイ高速に11億ドル融資
●タイ,国営石油の上場廃止,行政裁が請求棄却
●AES,インドで28億ドル規模の発電施設建設・拡張を計画=英紙
●中国,長慶油田が中国第3の陸上の石油・天然ガス田に
●共通ビザ発行へ=タイとカンボジア


5 参考資料

2007年12月18日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmao0Vietnam.htm

●071218A ベトナム,12月17日8時0分配信 NNA
【ベトナム・インドシナ】ハノイ〜ラオカイ高速に11億ドル融資
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071217-00000007-nna-int

タイ
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmao0Thailand.htm

●071218B タイ,12月17日8時0分配信 NNA
【タイ】国営石油の上場廃止、行政裁が請求棄却
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071217-00000006-nna-int

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmao0Philippines.htm

●071218C Philippines, Manila Bulletin
PSALM,資産売却目標を,70億ドルへアップ
PSALM sees $ 7 B from asset sales
http://www.mb.com.ph/BSNS20071217111821.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmao0India.htm

●071218D インド,12月17日16時44分配信 ダウ・ジョーンズ
DJ-AES、インドで28億ドル規模の発電施設建設・拡張を計画=英紙
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071217-00000024-dwj-biz
●071218E India, Economic Times
中国が,小規模水力の開発技術で協力申し出
China offers its help in SHPs to India
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/China_offers_its_help_in_SHPs_to_India/articleshow/2626228.cms
●071218F India, Economic Times
ブータンとネパールは,インドの電力供給源
Bhutan, Nepal as sources of power for IndiaAds By Google
http://www.hindustantimes.com/StoryPage/StoryPage.aspx?id=e4eaba98-f45d-419c-90a0-b0b6e2952a54&&Headline=Bhutan%2c+Nepal+as+sources+of+power+for+India

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmao0China.htm

●071218G 中国,「人民網日本語版」2007年12月17日
長慶油田が中国第3の陸上の石油・天然ガス田に
http://j.peopledaily.com.cn/2007/12/17/jp20071217_81325.html

カンボジア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmao0Cambodia.htm

●071218H カンボジア,12月17日18時0分配信時事通信
共通ビザ発行へ=タイとカンボジア
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071217-00000088-jij-int
●071218I Cambodia, China View
フランス企業,証明の支援や水力開発も
French firm hopes to illuminate Cambodian capital
http://news.xinhuanet.com/english/2007-12/17/content_7266455.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月17日分 ー 米国がリードしてくれないなら出ていってくれ ー

「米国がリードしてくれるのであれば,我々はどこまでもついて行く。もし米国にリードする意志がないならば,我々全部をここに残して,すぐに出ていってくれ。」,と迫ったのは途上国の政府代表である。これで米国は意志を翻し,「皆様とともに歩んでいくことを約束する,さあ前進しましょう。」,と米国政府代表ドブリアンスキー女史が答えて,満場のスタンディングオベーションが鳴りやまなかった,と記事にしている。

若いときに,後輩から相談を受けたことがある。彼は,大きなダムの中の小さな水路の設計最適化をやらせられていたのだが,それを繰り返し繰り返しやらされて,私はこんな小さな仕事に何日も何日もやらされるのは納得いかない,アダチさんから私の上司に言ってくれ,と頼まれた。私は,大きな部分でコスト削減を行う人と,小さなところで行う人との間には,能力の差はない。大きなところは誰でも出来るが,細かいところであなたにしかできないところがある,それなりに個々人の能力は組織の中で役立っている,とか何とか説得したことがあった。

地球温暖化対策で,237億トンの排出ガス全量に対して,日本の削減義務3000万トンに,経済産業省の優秀なエリートが,毎日寝食を忘れて取り組んでいる。でも幾ら頑張っても,237億トンの中での3000万トンなのである。彼らの頭脳を,もっと大きなところ,例えばインドや中国の石炭火力を原子力や水力で代替させるとか,インドネシアの森林保護を考えて貰うとか,そうすればもっともっと地球に効いてくるような気がする。私は,先進国は幾ら頑張っても大きな削減は不可能であると思う。優秀な人はもっと途上国に行きましょう。温暖化に絞れば,の話ですが。


1 今日の概要

ジャカルタポストが,バリ会議の劇的な幕切れの状態を,生々しく報じている。米国の,一転しての参画するとの決断を,「米国の宙返り」,と称している。一方日本側であるが,毎日新聞が,日本代表が十分に主導権をとれないまま終わって,来年の洞爺湖サミットに於けるリーダーシップに疑問を投げかけている。インドのシンディ電力大臣が,電力不足解消には5年待ってくれ,と演説しているが,既に当事者能力を失っているのではないか。

2 目次

●バリ会議,米国の宙返りで,再びロードマップが蘇る
●温暖化防止バリ会議,問われる洞爺湖サミット
●インド,シンディ電力大臣,電力危機克服には5年かかるだろう


3 本文

●バリ会議,米国の宙返りで,再びロードマップが蘇る

このジャカルタポストの記事は,バリ会議最終日,12月15日の劇的な閉幕の状態を生々しく描き出している。インドネシアのスシロ大統領とバン国連事務局長が,それぞれ立ち上がって,全参加国代表に向かって,事務局草案の満場一致での同意を促す。インド代表が,中国も含む途上国のG−77で協議の結果,温暖化と戦うことを決意した,と述べた後,米国代表ドブリアンスキー女史が発言を求めた。満場が固唾を飲む中,女史は次のような発言を行った。

「私は,いままでに提案されている構想について,こういわざるを得ない,我々は受け入れられない,何となれば,先週まで皆さんと協議してきた合意の内容が反映されていないからである。」。

場内はブーイングの声にかき消されるほどの大混乱となり,ちょうど会議に出席していたゴア元米国副大統領が,慌てて米国代表席に駆け寄る。途上国の代表が発言を求めたが,特にパプアニューギニアの代表は,「もしあなた,米国がリードしてくれるならば,我々はあなたに従ってついて行く,もしあなたがリードしたくないならば,我々全部をここに残して出て言ってくれ。」,と迫った。

結局,米国代表ドブリアンスキー女史は,次のように言わざるを得なかった。「米国は皆様方の努力をよく理解した,そうして私はここに明言します,我々米国も,他の国の皆様と一緒に進むことを約束します,さあ,我々はともに前進しましょう,そうして合意にこぎ着けましょう。」。場内は割れんばかりの拍手で,米国の姿勢を歓迎し,スタンディングオベーションは,長く長く消えることはなかった。

●温暖化防止バリ会議,問われる洞爺湖サミット

バリ会議を終わって,毎日新聞が書いた日本政府の活動と今後の問題の分析である。議長案に盛り込まれていた数値目標はなくなった。日本は,米国を会議に残すために,数値目標削除を主張して,世界から非難された。「米国の孤立は防げた」,と政府側は満足の意を表明しているが,実際に米国の孤立化を不正だのは,議長国インドネシアやEU,更には米中などが主役であって,問題は,この状態で洞爺湖サミットに入ったときに,リーダーシップが発揮できるかどうか,そこに問題がある,としている。

●インド,シンディ電力大臣,電力危機克服には5年かかるだろう

桝添大臣が,当事者能力がないのではないか,と言われ始めているが,インドのシンディ電力大臣も当事者能力に欠ける,と言いたくなってくる。国会で電源が足りないことを詰問され,第11次五カ年計画で700万KW建設する,と言って逃げようとするが,いままでの実績から見て無理ではないか,と言われて反論できなかった。

今日はまた,ムンバイの変電所の竣工式に出て演説を行い,5年待ってくれれば,電力不足はなくなる,第11次五カ年計画では,おおよそ8000万KWの電源開発を行うから,と同じことを繰り返すのみである。また,2009年までに,全国の村すべてを電化する計画は,約束できる,と言い切っている。石炭供給と入札手続き,問題はそこに集約される。


4 その他

●エネルギートップ,ロシア,中国,インドのパイプラインを協議
●インド,NTPC,チャティスガール州,マウダ火力契約


5 参考資料

2007年12月17日分

インド

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071217A India, Economic Times
NTPC,チャティスガール州,マウダ火力契約
NTPC signs power purchase agreement for Mauda project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NTPC_signs_power_purchase_agreement_for_Mauda_project/articleshow/2624692.cms
●071217B India, Economic Times
シンディ電力大臣,電力危機克服には5年かかるだろう
It will take 5 years to tide over power crisis: Shinde
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/It_will_take_5_years_to_tide_over_power_crisis_Shinde/articleshow/2624904.cms
●071217C India, Economic Times
エネルギートップ,ロシア,中国,インドのパイプラインを協議
Energy leaders discuss Russia-India-China pipeline

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071217D Indonesia, The Jakarta Post
バリ会議,米国の宙返りで,再びロードマップに勢い
Boos drive U.S. backflip on climate road map
http://www.thejakartapost.com/detailnews.asp?fileid=20071216.A01&irec=0
●071217E バリ会議,12月15日22時6分配信 毎日新聞
<温暖化防止>バリ会議 問われる洞爺湖サミット
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071215-00000104-mai-int


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月16日分 ー 温暖化対策はもっと総量感覚を活かせ ー

地球にとっては二桁の温度変化も誤差の範囲内であるのに,人類が生きる範囲は,わずかにプラス5〜6度である,と言う事実の中で気候変動と戦う人類は,豪雨や干ばつの中で命を落としていく虫類のような存在なのであろう。京都議定書の中での日本の削減義務が二酸化炭素3000万トンと言われ,それに向かって戦っている日本人は,世界の年間総排出237億トンの中での話だから,単なる国際政治の道具としてしか意味がない。もっと総量感覚で進めなければ,人類は温暖化防止に失敗するだろう。

今度のバリ会議の中で,横断的なセクター別アプローチが合意書の末端に盛り込まれたことに注目したい。これは,少し前に,米国の高官がふと口にしていた言葉である。

例えば化石燃料を問題にしよう,原油,石炭,天然ガスの年間使用量を世界的に,また将来に亘る時系列に展開して,もっとも節減の効果のあるものに集中的に,エネルギー源の代替化を進めるのである。インドネシアが石炭火力を後20年燃やし続けるのはやむを得ないが,中国とインドは,どのくらい石炭火力を,原子力と水力に置き換えられるか,と言うような問題を解いて,効果のあるものから実行に移して行く方式である。スーパーにエコブクロを持っていけ,などという話は,全然オーダー的に無意味だと思うから。


1 今日の概要

バリ会議は,米国を枠組みに参加させるため,遂に削減目標の数字を削除して,バリロードマップの全面合意を果たしたが,中国やインドなどの最後の文面調整で激しいやりとりが行われ,今後の交渉の難航を予想させた。日本の,環境,経済産業両省は,京都議定書の削減義務を守るための方策に関する報告書草案を合意した。インドネシアの来年の石炭輸出は,179百万トンが書く比されるが,2009年以降は自国の石炭火力が稼働を始めるため,大幅な輸出削減が予想される。工事中のナムテン2水力が,移住6500人の3分の2を完了した。世界銀行の副総裁が来日,来年横浜で開催されるアフリカ会議に,インフラ重視を要請した。


2 目次

●温室ガス削減目標,明記せず=ポスト京都の行程表−COP13
●<温暖化防止>バリ会議,温室ガス削減行程表,合意不透明に
●京都議定書,「国民運動で削減量大幅上乗せ」,環境,経産省最終報告案
●インドネシア,来年の石炭輸出は,179百万トンに達する
●ラオス,ナムテン2ダム,水没住民移住が近く完了
●アフリカ会議で世銀副総裁,「重要テーマはインフラ支援拡大」


3 本文

●温室ガス削減目標,明記せず=ポスト京都の行程表−COP13

結局,米国の目標値拒否で,残りすべてが合意に至ったわけだが,削減義務という形ではなくて,削減目標の一つの目安が世界に認識されたという意味で,「先進国は20年までに90年比25〜40%減」,の数字が世界の人々の頭の中に残った,と言うことだろう。人類は恐らく地球温暖化防止には失敗するのだろう,と言ってしまうと簡単だが,国別削減目標と言うこと自体が間違っているような気がする。

地球そのものから見れば殆ど誤差の中で,人類は生きるか死ぬかという戦いをしなければならないのだから,気候変動の豪雨の中で,或いは干ばつの中で死んで行く虫のような運命を担っている。それを人類が知ってしまったところに,辛いところがあるのだろう。ただ,残る可能性としては,セクター別のアプローチが議題になっているところに,希望があるような気がする。もっと総量的な考え方に立てば,或いは有効な手が打てるのかも知れない。

●<温暖化防止>バリ会議,温室ガス削減行程表,合意不透明に

この毎日新聞の記事は,土壇場になってからのバリ会議の混乱がつぶさに記録されている。議長国インドネシアのウィトゥラル国務相(環境担当)が,草案を採択しようとした途端,中国とインドの代表から異議が出た。中国代表は,「謝罪しろ!」,とまで叫んだようだ,激しいやりとりが,刻銘にに伝わってくる。途上国の中も必ずしも一枚岩ではない,ところが明確になってきた。

●京都議定書,「国民運動で削減量大幅上乗せ」,環境,経産省最終報告案

京都議定書の中の削減義務に振り回される日本である。世界の二酸化炭素年間総排出量237億トンの中の,日本は13億トン,その6%内外,すなわち年間2000万〜3400万トンを問題にしているのだから,地球的には,或いは物理的には,日本の努力は殆ど意味がないはずである。でも,これが守れなければ,国際政治の中で発言力がなくなる,と言う何ともばかげた立場に追い込まれている。やはりポスト京都では,横断的な,そうして総量的なアプローチを主張すべきだろう。

●インドネシア,来年の石炭輸出は,179百万トンに達する

先日も,インドネシアの石炭はどうなって行くのか,と言う記事が出たが,ここには石炭輸出の見通しが出ている。来年の石炭生産量は,年9%伸びの234百万トンで,55百万トンが国内消費で,残り75%,179百万トンが輸出に回される。しかし,クラッシュプログラムの石炭火力がうんhてんを始める2009年には,国内使用量が150百万トン必要になり,輸出量に大きな影響を与える。

問題は,世界の石炭可採量2兆トンのわずか0.5%,50億トンしか持たないインドネシアが,どうして世界第2位の輸出国なのか,その歴史的背景が,私にはよく分からない。石油が出たから,石炭は輸出に回せ,と言うことだったのだろうか。2009年から2025年まで,毎年150百万トンの石炭が国内で必要となり,輸出を余り落とさなければ,3億トンの生産が必要で,20年持たずにインドネシアの石炭はなくなってしまう。石炭もなく原油もなくなってしまった2030年頃のインドネシアはどうなっているのだろうか。

●ラオス,ナムテン2ダム,水没住民移住が近く完了

工事の進む1,070MW,ナムテン2水力プロジェクト,移住の必要な人々は,17村落,1,216世帯,6,500人と報告されている。その3分の2が移住を終わり,湛水の始まる来年,2008年6月の1ヶ月前には,全部の移住が完了する。

記事によると,14世帯が,移住に最後まで抵抗し説得を続けてきたという,そうして最近になって,現住地の上部に自ら移住地を指定して,移住に同意したという。ダム建設は,結局,移住問題を如何に円滑に進めるかにポイントがある。ラオス政府は,今,メコン本流のダムのFSを開始した中国とタイの企業に,このナムテン2の方式を採用するよう義務づけている。


●アフリカ会議で世銀副総裁,「重要テーマはインフラ支援拡大」

来年5月に横浜で開く第4回アフリカ開発会議(TICADIV)について,インフラへの協力の他,人材の技術開発への支援を求めた。彼女は,アフリカ出身の世界銀行副総裁である。


4 その他

●西アフリカ電力プールWAPP設立へ韓国支援
●フィリッピン,PSALM,193MW地熱発電所,売却入札,12月19日
●インド,パンジャブ州は,この先5年内に,電力不足を解消する
●インド,2010年以降,ニューデリーでの停電は起こらない


5 参考資料

2007年12月16日分

電力一般


●071216A Africa, African News
西アフリカ電力プールWAPP設立へ韓国支援
WAPP gets US$2.5m Korean support
http://www.africanews.com/site/list_messages/13922

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071216B Philippines, Manila Bulletin
PSALM,193MW地熱発電所,売却入札,12月19日
PSALM sets Dec. 19 new bid sked for Palinpinon plant
http://www.mb.com.ph/BSNS20071215111640.html

ODA一般

●071216C アフリカ会議,12月14日21時43分配信産経新聞
アフリカ会議で世銀副総裁「重要テーマはインフラ支援拡大」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071214-00000959-san-ind

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071216D Laos, The Nation
ナムテン2ダム,水没住民移住が近く完了
Relocation at Laos giant dam nearly completes
http://www.nationmultimedia.com/2007/12/14/regional/regional_30059137.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071216E India, Economic Times
パンジャブ州は,この先5年内に,電力不足を解消する
Punjab to become power surplus state
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Punjab_to_become_power_surplus_state/articleshow/2623026.cms
●071216F India, Economic Times
2010年以降,ニューデリーでの停電は起こらない
No more power cuts in Delhi after 2010: A K Walia
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/No_more_power_cuts_in_Delhi_after_2010_A_K_Walia/articleshow/2623080.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071216G Indonesia, The Jakarta Post
来年の石炭輸出は,179百万トンに達する
Coal exports may reach 179 million tons next year
http://www.thejakartapost.com/detailbusiness.asp?fileid=20071212.L01&irec=0

環境一般

●071216H 経済産業省,12月15日8時32分配信フジサンケイ ビジネスアイ
京都議定書 「国民運動で削減量大幅上乗せ」 環境、経産省最終報告案
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071215-00000006-fsi-bus_all
●071216I バリ会議,12月15日13時0分配信 時事通信
温室ガス削減目標、明記せず=ポスト京都の行程表−COP13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071215-00000069-jij-int
●071216J バリ会議,12月15日12時21分配信毎日新聞
<温暖化防止>バリ会議 温室ガス削減行程表、合意不透明に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071215-00000037-mai-int


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月15日分 ー インドネシアの石炭は後わずか25年 ー

「この我が国の有する石油資源の優位,これがなくなったらインドネシアはどうなるのか」,と私と同年のインドネシア電力公社の所長が,ふと上を向いて自分の思いの中に耽っていった。それは,1980年の某日,インドネシアのバンドン,PLNの会議室の情景が,今も強烈な印象で残っている。当時のインドネシアは,日の昇る勢いで,世界有数の産油国ということと,経済成長が年30%に達するかも知れない,大変な時期だったのである。

世界銀行が,当時のインドネシアを徹底的に支えていたが,このような発展途上国では,しばしばコンサルタントの報告書が経済政策に引用されている。当時のインドネシアに出入りするコンサルタントはこぞって,年30%成長の可能性を書きたてる。世界銀行の担当者は,この報告書ワシントンへ持ち帰って,インドネシアへの支援の必要を世銀内部に説き続ける。そうして,本当に30%成長に近い実績が造られて行くのである。援助バブルとでも言うのであろうか。

私たちが造っていた発電所は,一日8時間ぐらい運転して,50万KWのピークを供給する構想であったが,ある日,世銀の担当官からの呼び出しでホテルに向かうと,彼の自室に招かれて,アダチ,100万KWにしてくれ,と言う。幾らなんでも4時間ピークは立てすぎだ,とても理屈が通らない,と抵抗する私に,彼は,インドネシアへは今しか支援するときがない,何とか100万KWの地下空洞だけ掘っておいてくれ,と言うのである。こうして出来上がったのが,当時東洋一といわれた長さ240mの大地下空洞でる。

今日の記事では,既に石油輸入国になってしまったインドネシアが,懸命に天然ガスや石炭火力への転換を図っている最中に,突然,石炭にこんなに頼って良いのか,と警鐘を鳴らしたもので,私たちにとっては相当に衝撃的な記事である。インドネシアの石炭は後25年しか持たないのである。勿論,輸入と言う手段は残されてはいるが,インドネシア国民に取ってはショックである。あの27年前のPLNの所長,フスニさんも,今朝,恐らくこのジャカルタポストの記事を見ていることだろう,彼は何を考えているのであろうか。


1 今日の概要

インドネシアはクラッシュプログラムで,大規模な石炭火力の建設を進めているが,インドネシアの石炭埋蔵量は50億トンで,毎年2億トン生産すると25年でなくなってしまう,インドネシアのエネルギー問題は,一体どこに行くのであろうか。バリの気候変動会議,遂に予定の14日に結論が出ず,15日に延期された。削減目標の採択に反対する米国の説得は,容易に成功しない。IRNなど,環境団体が,タイ政府に対して,テンヒンブン水力増設とナムテン1水力の売電契約を先延ばしするよう要求している。インドは,世界節電の日を迎えて,節電に関する記事で賑わっている,精読すればインドの電力使用の実態が,ある程度,理解できるかも知れない。


2 目次

●インドネシア,石炭は再生可能でなく量も限られている,それから先を考える
●温室効果ガス削減 数値目標見送りへ COP13 議長新草案日本前向き
●COP13,バリ・ロードマップ採択を最優先,日中,合意形成を優先
●環境グループ,ラオスの新しいダム計画の延期を要求
●インド,電力節約,それは今すぐ行動に移さなければならない


3 本文

●インドネシア,石炭は再生可能でなく量も限られている,それから先を考える

いろいろな世界の統計を見ても,インドネシアの石炭はなかなか分からない。私も先日からインドネシアの石炭を調べようと思ってみても,生産地としてまず出てくるのは,米国であり,中国であり,ロシアであり,インドである。我々にとってインドネシアの石炭は有名であるのにどうしてか,と思っていた。この記事によると,インドネシアの可採埋蔵量は50億トンで,世界の0.5%に過ぎない。今後生産を増やして年2億トン生産で行くと,25年しか持たない勘定である。

ところが,インドネシアの石炭輸出はすごい。2007年の最初の2ヶ月間で1,700万トンの石炭を生産し,その95%,1600万トンを輸出して,世界の石炭需要の25%を満たし,日本も含めたアジア太平洋地区の需要の45%を賄っているのである。埋蔵量が少ないインドネシアが,どうしてそのようなことになってしまったのか,何か経緯があるのだろう。国内需要は殆ど石油で賄っていたが,今回のクラッシュプログラムで,もう最大の輸出国,なんて誇っている余裕はないはずである。

先日も私はゴミの運搬を例にとって,石炭や原油は,誰かが毎日毎日,発電所へ運び続けなければ,人類の経済活動が止まってしまう,と叫んでいたが,今石炭輸送が各地で問題を起こして,大変な値上がりを起こしているようだ。オーストラリアのニューカッスル港の話であるが,12月3日までは,船が着くとわずか72分で積み込みを終わっていたのに,今週は生産の遅れで16日間も待つ必要が出てきて,石炭船が列をなしているという。インドネシアは豪雨で生産が遅れ,アフリカでは列車運搬に問題が生じているという。

このような問題の噴出の結果,ニューカッスルの石炭価格は,年初のトン51.8ドルから年末には93ドルに上がっている。大変な高騰である。とにかくそういうことで,インドネシアは今や石炭火力に頼ろうとしているにもかかわらず,先の見通しが全く立っていない。記事の筆者は,インドネシアはこれからどうしたらよいのか,何も示唆はしていないが,大きな危機感を持って記事を書いている。私にとっては,初めて知った事実である。


●温室効果ガス削減 数値目標見送りへ COP13 議長新草案日本前向き

とにかく紛糾に紛糾を重ねて,遂に最終日の14日には結論が出ず,会議は15日に延びている。議長案の,「先進国は2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25〜40%削減する必要がある」,の数値目標を米国が受け入れず日本も同調,そこで議長国インドネシアがこの削減目標を削除しようとすると,途上国とEUが猛反対をしている状態だという。

●COP13,バリ・ロードマップ採択を最優先,日中,合意形成を優先

この記事では,日本の鴨下一郎環境相が,走り回って調整に励んでいる姿が記事になっている。とにかく一貫して日本は,米国を舞台に引き上げることだけを目標にしている。この記事では,中国代表が,日本の考え方に同意した,と書いてるが,削減目標を削除することに反対しているのは途上国グループ,すなわち,中国などだろう。

●環境グループ,ラオスの新しいダム計画の延期を要求

IRNを初めとする環境グループが,12月にもタイとラオスの間で結ばれようとしている売電契約のサインを,タイの総選挙後まで延期せよ,と要求している。今回は4つのプロジェクトであるが,彼らが問題にしているのは,テンヒンブンの増設を,ナムテン1水力の二つのプロジェクトである。記事を読むと,テンヒンブンは,流域3万人の生活に大きな影響を与えるという,またナムテン1は,生態系への影響が大きいという。人のいるところは駄目で,人のいないところは自然が壊される,というこのレトロは,少し考え直した方がよいのではないか。

●インド,電力節約,それは今すぐ行動に移さなければならない

インドのエコノミックタイムスが,多くの節電の記事を載せている,何かあったのか,と思うと,12月15日というのは,世界節電の日らしい。この記事は,節電の即時実効を促し,他に,電力節約はどの容易にして達成できるか,また,世界エネルギー保全の日,それは利益に繋がる,などと続いている。精読すれば,インドの電力使用の実態の理解に視することが出来るだろう。


4 その他

●インド,電力節約,どの様にすればよいのか
●インド,世界エネルギー保全の日,それは利益に繋がる
●フィリッピン,IFC,水力買収のアボリッツに,リハビリ支援
●タイ政府,ラオスのホンサ石炭火力売電を承認


5 参考資料

2007年12月15日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071215A Philippines, Inquirer
IFC,水力買収のアボリッツに,リハビリ支援
IFC open to financing rehab of hydropower plants
http://business.inquirer.net/money/breakingnews/view_article.php?article_id=106769

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071215B Laos, Bangkok Post
タイ政府,ホンサ石炭火力売電を承認
Purchases from Hongsa plant agreed
http://www.bangkokpost.com/Business/14Dec2007_biz46.php
●071215C Mekong, The Nation
環境グループ,ラオスの新しいダム計画の延期を要求
Environmental group calls for postponement of new dam deals in Laos
http://www.nationmultimedia.com/2007/12/13/regional/regional_30059005.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071215D India, Economic Times
電力節約,それは今すぐ行動に移さなければならない
Saving power: The time to act is now
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Saving_power_The_time_to_act_is_now/articleshow/2621107.cms
●071215E India, Economic Times
電力節約,どの様にすればよいのか
How to consume less
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/How_to_consume_less_energy/articleshow/2621213.cms
●071215F India, Economic Times
世界エネルギー保全の日,それは利益に繋がる
Energy saved is energy earned
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Energy_saved_is_energy_earned/articleshow/2621222.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071215G Indonesia, The Jakarta Post
石炭は再生可能でなく量も限られている,それから先を考える
Big picture energy policy should go beyond coal
http://www.thejakartapost.com/detailbusiness.asp?fileid=20071212.L03&irec=2

環境一般

●071215H バリ会議,12月14日16時47分配信産経新聞
温室効果ガス削減 数値目標見送りへ COP13 議長新草案日本前向き
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071214-00000124-san-int
●071215I バリ会議,12月14日8時0分配信 産経新聞
COP13 バリ・ロードマップ採択を最優先 日中、合意形成を優先
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071214-00000104-san-pol


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月14日分 ー フィリッピンの送電公社は中国企業が落札 ー

「その土地にビルを造るかどうかを決めるのは,あなた方,地主ではない,ビルを造るだけのお金を持っている人が決めるのだ!」,と言えば今の時代,どう反応するだろうか。或いはそれが真実の資本主義かも知れない。しかし,そう言い放ったのは,20年前のメコン委員会の某事務局長であり,家主として前に座っていたのは,ラオス,カンボジア,ベトナムのメコン下流域の大臣クラスの面々である。タイの代表は早くビルが欲しかった。事務局長の横には,欧米のコンサルタントがずらりと顔を揃えていた。会場の中にいた私も,思わず英語の聞き間違いかと,事務局長の顔を見直したものである。

この前も本欄に書いたが,1992年の某日,バンコクで開かれたメコン委員会の作業部会での出来事で,その事務局長を中心に,タイの代表や欧米のコンサルタントは,ビエンチャンの上流,低パモンダム計画の,最後の一押しをしている場面である。可能性調査を行うための資金の調整も大体ついていた,欧米のコンサルタントが資金の下工作を終わったところである。はっきりしない家主達に焦った事務局長が放った一言で,ラオスとベトナムの代表は凍り付いたような顔となり,しばらく時間をおいて,各国の反対論が述べられた。電気と水が欲しかったタイの代表の熱弁も無駄となり,ここでメコン下流域の本流でのダム開発の運命が決まった,その時である。

あれから15年,今日の記事では,ラオス代表は,嬉々として中国企業との調査に同意する覚書に署名したようだ。詳細は,今の私には分からないが,規模が100万KWで,ビエンチャンの北260km,と言えば,ルワンプラバンの上流,本流開発しか考えられないと思う。中国は,当時の欧米の開発派と違って,ラオスと国境を接した友好国として,この署名式に臨んでいる。資金調達が完全に中国だけで行える場合,ひょっとっして,ダムが出来てしまうのではないか,とも思える展開である。


1 今日の概要

フィリッピンの送電公社,25年の事業権譲渡に関する民営化入札結果,国内港湾大手と組んだ中国国家電網が,39.5億ドルで落札,インド国家送電は,直前になって英系ファンドの判断で入札しなかった。中国企業が,ビエンチャン上流のルワンプラバン付近で,大規模ダムを計画中,30ヶ月かけて可能性調査を実施するという。バリ温暖化会議は,米中の対立の構図から,再び,米国とEUの数値目標の対立に変わってきた。北京で行われている米中経済対話の影響もあるだろう。再び米国の脱退も視野に入れておかなければならない。


2 目次

●フィリピン,送電トランスコ,比中事業体が落札
●中国企業,メコン本流の大規模ダムへ,承認を求める
●バリ会議,技術移転の促進策で合意見通し
●COP13,数値目標盛る新草案,温室ガス「25〜40%削減」
●温暖化防止で協力確認=金融市場も一段と開放−米中戦略経済対話が閉幕


3 本文

●フィリピン,送電トランスコ,比中事業体が落札

何度も入札に失敗してきた送電公社の事業権に関する民営化入札は,国内港湾大手と中国国家電網が組むグループが,39億5,000万ドルで落札した。2番札は30億500万ドルで,落選したのはイタリー企業と,それにサンミゲールと組むマレーシアのTNB,入札辞退したのは,インド国家送電公社である。インドは,直前になって資金調達で英系ファンドが疑問を示して下りることになった。なお,PSALMのこの入札の適正について,いろいろ声が挙がっているが,PSALMは,電気事業法に書かれたとおり,と正当性を主張している。

インドと中国の国家送電がともに関心を示したことに,大きな焦点があったが,いずれもバブル経済の真っ最中で,何でも買ってしまおうという企業の意欲であるが,インドは英系ファンドのアドバイスで,事前に冷静に降りた。中国は,国内政治的にもっとも有利なICTSIと組んだことがポイントだろう。しかし,何故,民営化入札が必要なのか,それが今後25年間のフィリッピンの電力にどの様な影響を与えるのか,については,関心を持っている。お金が欲しかったと言うこともあるが,電源開発構想などは誰が責任を持つのだろうか。

●中国企業,メコン本流の大規模ダムへ,承認を求める

この記事だけでは詳細ははっきりしない。しかし,メコン河のビエンチャン上流250km地点で,出力は100万KW以上と言うから,我々がルワンプラバンと呼んでいた本流大規模開発地点である可能性が大である。日本も含めた西側世界では,完全に放棄した本流開発が,大規模な経済成長を遂げる中国企業によって蘇させられた,と言うことだろうか。上流から開発を進めてきた中国は,遂に下流まで手が届いてきたとも言える。タイに売るのか,中国に持って帰るのか分からないが,これは議論を呼ぶプロジェクトである。

記事によると,可能性調査FSを30ヶ月も続けると言うから,それなりに腰が入っているというか,実現には,主として環境で問題が出てくるだろう。数万人の水没も予想される。私は実現は難しいと思うが,中国が資金を出して,これに電力の足りないタイが開発に合意すると,可能性も高くなってくる。ただ,位置的に見れば,殆どプロジェクトの全域がラオス領内なので,そこに目を付けたのかも知れない。ナムテン2水力は世界銀行のお金が入ったから大問題となったが,中国とラオスの関係だけでプロジェクトは進むのかな。

●バリ会議,技術移転の促進策で合意見通し

この記事のポイントは,先進国と途上国の間の軋轢を和らげるために,技術移転に重点を置いた合意案を考えていると言うことだろう。これは,基金の設立と運用の両面からのプロセスが必要だが,基金そのものは,CDMのパーセンテージから出てくるのだろう。ツバルなどが要求する,今すぐの対策,これもこの問題の中に入っていると考えられる。

●COP13,数値目標盛る新草案,温室ガス「25〜40%削減」

米国が強く,「2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25〜40%削減」,と言う文言に反対を続けている。日本も反対の立場を取っていたが,昨日のニュースでは,日本も数値目標を認めざるを得ない状況だ。米中の対立の構図,と言うのは,この削減目標の問題で,より厳しく米国とEUの対立に変わってきた。EUは,もし米国が数値を受け入れないならば,来年に米国が主宰する主要国温暖化会議がボイコットする,とまで言っているようだ。この会議自体からの米国の脱退までも予想される展開になってきた。

●温暖化防止で協力確認=金融市場も一段と開放−米中戦略経済対話が閉幕

バリ会議は,米国とEUの対立に変わってきたが,その兆しは,同時に北京で行われている米中経済対話にあるのかも知れない。気候変動やエネルギー安全保障の面での米国からの技術移転の問題が,遠く離れたインドネシアのバリ島まで影響しているのだろう。

記事中の次の言葉に注目しよう。「両国は,気候変動やエネルギー安全保障に対応するため,10年間の長期にわたるエネルギー協力を行うことで合意。早期に作業部会を立ち上げ,技術革新の促進,クリーンエネルギー技術の普及,気候変動に対応するための技術開発促進などについての具体的計画を詰める。具体的には、バイオ燃料開発や燃料に占める硫黄分の低減がテーマになる。」,という点である。


4 その他

●パキスタン,料金値上げを閣議決定,ニールムジェルム水力の資金
●フィリッピン,電気事業法再改正,電機メーカーが反対


5 参考資料

2007年12月14日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●071214A Pakistan, Dawn
料金値上げを閣議決定,ニールムジェルム水力の資金
Cabinet raises power tariff : Neelum-Jhelum hydel project cost revised
http://www.dawn.com/2007/12/13/top2.htm

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071214B Philippines, Manila Bulletin
電気事業法改正,電機メーカーが反対
Electronic firm opposes EPIRA amendments
http://www.mb.com.ph/MAIN20071213111453.html
●071214C フィリッピン,12月13日8時0分配信 NNA
【フィリピン】送電トランスコ、比中事業体が落札
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071213-00000008-nna-int

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071214D Mekong, ANN
中国企業,メコン本流の大規模ダムへ,承認を求める
Chinese firm seeks approval for hydro project on Mekong
http://www.asianewsnet.net/biz.php?aid=13947

環境一般

●071214E バリ会議,12月13日14時39分配信読売新聞
バリ会議、技術移転の促進策で合意見通し
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071213-00000107-yom-int
●071214F バリ会議,12月13日17時5分配信 産経新聞
COP13 数値目標盛る新草案 温室ガス「25〜40%削減」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071213-00000092-jij-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071214G 中国,12月13日17時0分配信 時事通信
温暖化防止で協力確認=金融市場も一段と開放−米中戦略経済対話が閉幕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071213-00000121-san-int


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月13日分 ー 日本は圧力に屈し削減義務容認 ー

タイは世界で最大の親日国だ,と言った高名な外交官がいた。私も,タクシン首相まではそう思っていたが,その後雲行きが少し怪しくなってきている。タイの経済は持ち直すだろう,というJETROの観測がでている。私に言わせれば,1990年代までのタイ経済は,タイが日本人を快く受け入れたからこそ遂げられた発展だと思っている。メコン委員会にいる頃に,タイ,ベトナム,ラオスのエンジニアー達とつきあったが,ベトナム人は最後まで諦めない,会議で議論していて,こちらが勝ったかな,と思って,さてとノート畳んで出ようとすると,最後に一言,今までの議論をひっくり返すようなことを言って出て行く,全く小憎らしいが,彼らは優秀である。

その点,タイの人々の当たりは極めて暖かい。殆ど激論というものを避けている。しかし,タイ人の危険を察する能力や,それを避けるための秘められた能力はすごいものがある。天然ガスだけでは危ない,と思っているのは,彼らの直感で,恐らく正しいだろう。一度も植民地にならなかったことや,太平洋戦争当時に,日本軍進駐を強制する日本を尻目に,時のタイの首相が逃げ回って,結局,日本軍は海路マレーシアに強行上陸をせざるを得なかった歴史がある。


1 今日の概要

バリ会議の閣僚会議に臨む鴨下環境相が,数値目標を容認と大きく方向転換したが,米国を取り込むという基本方針や,中国への対応で,苦心を迫られるだろう。日本政府は,他国に先駆けて,インドネシアへの環境支援を発表したが,インドネシアがLNGなど日本の要望にどう答えてくれるだろうか。中国電力5社が,石炭価格を理由に電気料金値上げを申請したが,当局は電力の経営が良いことで,これを容認しない見込み。JETROによると,タイの経済は,来年の民政移管で,5%成長まで持ち直す見込み。


2 目次

●鴨下環境相が会見,COP13議長案,数値目標を容認,消極姿勢払拭
●インドネシアに資金支援へ=温暖化対策で−鴨下環境相
●中国,電力5社が値上げ申請,石炭価格への連動を要請
●タイ,経済成長率5%,JETROが復調予測


3 本文

●鴨下環境相が会見,COP13議長案,数値目標を容認,消極姿勢払拭

日本政府も揺れている。当初の政府の目標は,何が何でも米国を舞台に載せるために,削減義務を除いても良い,と考えていたが,この姿勢が批判を呼び,「化石賞」,まで貰ってしまった。これを考えて先進国の新たな削減数値目標を容認する考えを示したが,では当初の,米国を呼び込むという政策はどうなったのか,と言いたい。どうも揺れすぎのような気がする。

「途上国,新興国が何の義務も負わず,先進国だけがより削減義務を深く負うような議論にはくみしない。」,と述べたが,これも真っ向から中国と対立するので,今回の鴨下環境相の記者会見内容は,矛盾に満ちているような感じだ。「エネルギー原単位,セクター(産業)別アプローチなどいろいろある。」,としたのは,米国の発言と似ている。さて,日本の本質論をどこに置くか,この1日,2日が勝負になってくる。

●インドネシアに資金支援へ=温暖化対策で−鴨下環境相

この日本側のインドネシアへの申し出は,数日前に出されたものだが,その直後に,インドネシアが,対日LNG輸出を4分の3削減,と発表し,何とも不快感を味わった。それでも日本は,インドネシアに対しては,従来通り,最優先で支援して行くことになるだろう。

●中国,電力5社が値上げ申請,石炭価格への連動を要請

中国は,電力料金がインフレを誘発すると考えて,殆ど動かしていない。当局によると,石炭と電力の価格連動は,石炭価格が速い上昇ペースを示すなか,電力会社のコストを抑制するためには有効な手段といえる,としながら,電力会社の売り上げ,利益がともに拡大を続けていることも検討材料となって,今のところ,電力会社の要請に応える態勢にはないようだ。

●タイ,経済成長率5%,JETROが復調予測

日本経済も含めて,タイの経済はまさに栄枯盛衰である。1990年代のタイ経済を思うと,マンションの窓から見るビルディングの建設は,まるでタケノコのようで,毎日毎日,周辺の建設中のビルが成長するように伸びていった。日本経済の影響を強く受けていたタイは,日本の不況とともに成長率を下げていったが,まさかもうタイでは,軍事クーデターは起きないものと考えていたが,今回のクーデターが経済に大きな影を落とした。JETROは,来年の民政移管によって,5%成長まで回復すると見ている。電源開発と大きな関係がある。


4 その他

●パキスタン民間投資委員会PPIB,ジェルム河開発促進


5 参考資料

2007年12月13日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●071213A タイ,12月12日8時0分配信 NNA
【タイ】経済成長率5%、JETROが復調予測
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071212-00000006-nna-int

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●071213B Pakistan, The Post
パキスタン民間投資委員会PPIB,ジェルム河開発促進
PPIB okays study to harness power on Jehlum River
http://thepost.com.pk/IsbNews.aspx?dtlid=133596&catid=17

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071213D インドネシア,12月11日23時1分配信時事通信
インドネシアに資金支援へ=温暖化対策で−鴨下環境相
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071211-00000188-jij-int

環境一般

●071213E バリ会議,12月12日8時1分配信 産経新聞
鴨下環境相が会見 COP13議長案 数値目標を容認 消極姿勢払拭
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071212-00000070-san-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071213F 中国,12月11日16時46分配信 サーチナ・中国情報局
電力5社が値上げ申請、石炭価格への連動を要請
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071211-00000024-scn-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月12日分 ー バリ閣僚級会議は米中の対立か ー

「日本はかつて連合軍,特にアメリカの圧倒的な工業力に敗れたわけですが,その工業化の歴史そのものが,環境破壊の歴史として反省されるまでにはあと100年かかるのでしょうか。」,とメールで問いかけてきたのは,東京在住の国士を気取る私の若い友人である。あれから何年ですかね,70年か,途中でローカルな環境問題を経験して,人類は遂に地球規模の環境問題まで考えるようになってきた。しかし,まだ国という単位のエゴを頭に置きながら,それがバリ会議の現状で,人類はまだまだ幼稚とも言えるのか。

フィージーから島伝いに日本に帰ってきたときに,グアム島に辿り着いてその格段に整備されたインフラに目を奪われた。また,道路がしっかり整備された根室の港から,目と鼻の先の北方領土に渡って,その惨憺たる道路や電力のインフラの劣悪に驚いた。そうして,琉球大学を卒業した友人が漏らした言葉,「日本復帰を遂げた途端,学校の設備,特に理科室の実験設備が格段に整備され,驚いた。」。要するに,国がなければ経済もない,と言うことで,未だ人類は,国の枠から外に出られない,国連といえども,独立国の前には無力と映る。

バリでは,地球規模の話をしながら,国同士の対立でなかなか前に進んでいかない。その議論を横目で見ながら,ツバルなどの島嶼国,発展途上国が,今すぐ何とかしてくれ,と言っている。米国が燃やした石油の影響が,まるで中国の黄砂が日本に押し寄せるごとく,遙か彼方の太平洋やインド洋の島々に影響を及ぼしている,と言うこと自体,国というものの独善性に疑問を投げかける。もし,宇宙から地球攻撃を仕掛けられたら,バリでのんびりと国と国の論争をやっている時間がなくなるだろう。地球温暖化問題は,現代の人類にとっては,宇宙からの地球攻撃と同じレベルのインパクトがあるのかも知れない。


1 今日の概要

バリ島での気候変動会議,いよいよ閣僚級の会合に移るが,事務局の提出した削減目標を中心に,米国と中国の対立が鮮明になってきたと見る向きが多い,それは中国の京都議定書への拘り戦術が,一つのきっかけとなっている。ベトナムが,ラオスの29万KW,セカマン第1水力プロジェクトを,2012年にも運転開始する計画で,投資に踏み切った,全量をベトナムへ持って行く。インド北東部の約6,300万KWに及ぶ水力のポテンシャルは,ポスト京都の重要なテーマーの一つであるが,州政府と中央政府の足並みに,乱れが見られる。


2 目次

●米中「数値目標」で溝,COP13,あすから閣僚級会合
●ベトナム政府,ラオスのセカマン水力への投資を承認
●インド北東部の水力開発,もっと総体的な議論が必要


3 本文

●米中「数値目標」で溝,COP13,あすから閣僚級会合

どの国とどの国が対立しているのかよく分からない。削減目標を義務とするかどうかでは,先進国の間にも大きな対立があるが,やはりもっとも対立的な要素は,米国と中国の間にある,という見方のようだ。バリ会議が始まる前は,中国は京都議定書のことは余り取り上げていなかったし,また米国も,2006年の削減がうまくいったので,「バリ会議が楽しみである。」,とまでブッシュ大統領に言わせていた。それがバリで顔を合わせた途端,米国はまるで鼻で木を括ったように,目標値は議論の外と言っている。

しかし,何と言っても衝撃的なのは,会議が始まった途端,弓を撓めて待っていたかのごとく,「京都議定書はどうなったのだ,ポスト京都も京都議定書の延長で良いではないか。」,と主張し始めた中国である。全く中国らしい戦術展開,それは我々が個々のプロジェクトの交渉で経験してきた,まるで諸葛孔明の赤壁の戦い,を彷彿とさせるところがある。事務局は,「先進国は2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比25〜40%削減」,を掲げて突っ走ろうとしているが,この米中の対立が,また米国の枠組み復帰を困難にしている。

●ベトナム政府,ラオスのセカマン水力への投資を承認

セカマン第1水力プロジェクトは,ラオスの南部,セコン河上流に位置して,早くから良好なダムサイトの地形から,日本勢も目を付けてきたところである。でも,ベトナムへ殆ど全量輸出,と言う発想は最近に出てきたもので,タイへの輸出としては,規模といい,場所といい,今ひとつ実現の難しいところがあった。しかし,ベトナムは,すべてベトナム資本でこれを開発して,電力はベトナムへ持って行くという,本当にベトナムも変わってきた。なおこのプロジェクトは,4億ドル,29万KW,年間11億KWh,で,2008年着工,2012年運転開始と発表されている。

●インド北東部の水力開発,もっと総体的な議論が必要

環境の専門ジャーナリストが書いた長文の記事である。予備的には,次のような内容だと思う。AP州,シッキムを中心としたインド北東部は,168地点で63,328MWと言う膨大な水力のポテンシャルを持っている。州政府は,この3年間で既に,50件に上る開発約束を,民間企業と交わしている。中央政府は,このポテンシャルを国内全体で活かそうとしているが,州政府は,如何にして州政府が独自で便益を獲得するかに腐心している。

インドの北辺の膨大な包蔵水力の開発は,ポスト京都の重要なテーマーの一つであるべきだと思っている。中央政府は,この水力によって少しでも石炭の燃焼を押さえる必要があるが,いつもの通り,中央政府と州政府の足並みが揃っていないところに,開発上の問題点がある。


4 その他

●インド最初の高速増殖炉,500MW,2009年にも稼働開始
●パキスタン,ダムプロジェクトの被害者,前政権を批判


5 参考資料

2007年12月12日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●071212A Pakistan, The Post
ダムプロジェクトの被害者,前政権を批判
Water projects victims deplore politicians’ apathy
http://thepost.com.pk/NatNews.aspx?dtlid=133424&catid=2

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071212B Laos, Sites Stockpoint
ベトナム政府,ラオスのセカマン水力への投資を承認
Vietnamese gov't approves big power project in Laos
https://sites.stockpoint.com/dain/newspaper.asp?site=D&Mode=Securities&Story=20071209/343h0113.xml

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071212C India, The Telegraph
インド北東部の水力開発,もっと総体的な議論が必要
RISKS WITHOUT ENOUGH GAIN
http://www.telegraphindia.com/1071211/asp/opinion/story_8654492.asp
●071212D India, Economic Times
インド最初の高速増殖炉,500MW,2009年にも稼働開始
First fast-breeder reactor to be operational by '09
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/First_fast-breeder_reactor_to_be_operational_by_09/articleshow/2612912.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071212E 中国,12月11日8時2分配信 産経新聞
米中「数値目標」で溝 COP13 あすから閣僚級会合
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071211-00000086-san-int


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月11日分 ー 森は金で育つのだろうか ー

1978年,2年に及んだ当時のビルマの仕事を完遂してバンコクに出て,バンコクのホテルのベッドの上で思わず,「バンザイ」,をした。それほどビルマの生活は苦しく寂しかった。ビルマ,シッタン川の中流,ピンマナの山奥,ニッパ椰子の小屋で寒さに震えながら懐中電灯で本を読んだり,屋根の隙間から見える満天の星に見とれたりしながら,何故私はこんなところにいるのか,これもひとかどの海外プロジェクトの技術者になるための一歩なのか,と自問自答しながら,2年の月日を,出入国もままならないビルマ,今のミャンマーで過ごしたものである。

他の電力会社に先んじて海外進出に力を入れていた某社,後になってよくその某社の友人を冷やかしたが,某社のエンジニアーが駐在して頑張っているところは,余り当時は深い知識はなかったが,生活に恵まれた土地が多かった。「某社の後ろについて行け,必ずいいところがあるから。」,と私は言ったものである。タイは当時の某社の独断場であったし,余り我々には知られていなくてその某社が力を入れていたトルコ,ペルーなどは,本当に仕事のしやすいところであった。勿論,先駆者の某社は,南米で犠牲者を出したり,大変な苦労であったが,その国選びには敬服していた。

今回,タイのIPP事業の入札でその某社は大活躍をした。先日のバンコクポストの英文ニュースに続いて,今日の日本語速報では,他の日本陣営が敗退する中,電源開発,Jパワーが,10日,タイ政府が実施した新規発電事業IPP入札で,天然ガス火力発電所2件を落札したと発表した。発表によると,いずれも天然ガス火力で,チャチュンサオ県とサラブリ県の2カ所で,出力は160万KWである。数年前に,地元企業と組んで準備を始めたのだが,結局,海外進出にはこのような地道な手法が必要である。しかし問題はこれから環境調査が待ちかまえている。健闘を祈る。


1 今日の概要

バリ会議で,インドネシアが懸案の森林破壊防止について,具体的な動きを始めたが,中国のパルプ輸入が一つの森林伐採の原因と書いてある。インドネシアは,今回の森林問題で,どれだけのお金が入ってくるのか,一体誰にはいるのか,国内議論が具体的になってきた。フィリッピンの電力民営化に関し,IMFが関心を持っているが,フィリッピン側は資産売却に強気。アンブクラオ買収のアボリッツ,施設の補修や資金調達に忙しく活動している。フィリッピンの国家送電網公社の入札で,インドがおり,中国電網など3社となった,入札は明日12日である。ベトナムの支援国会議に今年も中国は加わらず,日本のプレッジは約11億ドル。


2 目次

●インドネシア,森林破壊防止策を提唱,気候変動会議で
●インドネシアの森林は,温暖化の重要な要素
●IMF,フィリッピンの電力民営化を,関心を持って見ている
●フィリッピン,アンブクラオのアボリツウ,施設リハビリの意思表明
●フィリッピン,国家送電公社の民営化入札,3グループに絞られる
●ベトナム,2008年ODA,22%増,支援国会合が表明


3 本文

●インドネシア,森林破壊防止策を提唱,気候変動会議で

バリ会議に於けるインドネシアの森林に対する姿勢を,NNAがジャカルタポストの記事にそって解説している。世界の森林喪失で問題となっているところは,年間180万ヘクタール喪失といわれるインドネシア,年間430万ヘクタール喪失といわれる南米,年間400万ヘクタールといわれるアフリカ北部,となっている。合計で,約1000万ヘクタールである。因みに中国は,年間450万ヘクタールの造林が行われているという。

この解説で特徴的なのは,3つの地域のそれそれが違った原因で森林を喪失していると言うことだが,インドネシアの場合は森林火災の他,パーム油価格の高騰による農地転換や中国のパルプ需要の拡大が拍車を掛けている,としている。そうか,どこかの国が発展すると,どこかの国の森林が失われるのか。そういえば,1980年代の日本の森林業者が,インドネシアを荒らした話は,まだ生々しく我々の脳裏に残っている。

●インドネシアの森林は,温暖化の重要な要素

ジャカルタポストの記事であるが,書き出しは,「お金で気は育つのか?」,と言う疑問詞で始まっている。REDD,森林破壊防止による温暖化防止計画,はインドネシアが勢い込んで提案し,各国の注目を集めているテーマーで,インドネシアとしては先進国からの資金的支援を大いに期待しているものであるが,一体,このお金は誰のところにはいるのか,大きな疑問を持って記事は書かれている。

●IMF,フィリッピンの電力民営化を,関心を持って見ている

「資産売却にうつつを抜かすフィリッピン」,と揶揄し続けている私だが,結局これは,国家財政の破綻を懸念するIMFの監督の元での行動なのだ。迫る電力危機は,IMFは無関心なのか。PSALMは,既に12カ所の発電所を売却し,27億ドル相当を手中にして,NPCの負債70億ドルのうち,10億ドルの返済に充てた,来年には発電資産の70%売却に成功するだろう,と楽観的だが,送電公社の売却にも問題があり,今国会では,70%売却目標を50%に提げる議論が行われており,楽観を許さない。

●フィリッピン,アンブクラオのアボリツウ,施設リハビリの意思表明

SNアボリッツは,アンブクラオ - ビンガ,175MWの買収に成功したけれども,何と言っても50年以上過ぎた発電所であるから,補修などの問題があると同時に,入札の条件である出力増強などの処置がいつ出来るのか,議論が続いているようだ。また記事の後半では,このアボリツウは36万KWのマガット水力も買収しており,契約後50日以内に支払わなければならない買収金についても,何か苦労している感じ。

●フィリッピン,国家送電公社の民営化入札,3グループに絞られる

意気込んで12月12日に入札日を設定したPSALMであるが,国会での議論で揺れ,更にこの記事では,インド国家送電公社が手を引くことになって,残されたのは,中国国家送電公社グループ,イタリーグループ,サンミゲールグループの3社になったようだ。インドの撤退は,フィリッピンにとっても打撃である。どうも,インドのバックについた英系ファンドの判定結果と言うから,深刻である。今回失敗したら,果たして次はあるのか。

●ベトナム,2008年ODA,22%増,支援国会合が表明

今年も,この支援国会議に中国は参加しなかった。ベトナムと言うこともあるだろうが,中国の対外支援も,そろそろ国際舞台に出てくるべき時ではないか。今回のプレッジ総額は54億2640万ドルで,日本は19.0%増の1232億円,約11億1120万ドルで,ADBに次いで第2位のプレッジ額である。


4 その他

●リビアの天然ガス田,日本勢は落札できず
●インド,160万KWクリシュナパットナム火力,やり直しを攻められる
●フィリッピン,米国企業AES,マシンロック石炭火力のパートナーに
●インド,パンジャブ州政府,180万KWタルワンディ火力を承認


5 参考資料

2007年12月11日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●071211A ベトナム,12月10日8時0分配信 NNA
【ベトナム・インドシナ】08年ODA22%増、支援国会合が表明
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071210-00000007-nna-int

電力一般

●071211C リビア,日本経済新聞
リビアの天然ガス田、日本勢は落札できず
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20071210AT2M0900910122007.html

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071211D Philippines, Manila Bulletin
国家送電公社の民営化入札,3グループに絞られる
TransCo bidders down to 3 as Citadel Holdings opts out
http://www.mb.com.ph/BSNS20071210111200.html
●071211E Philippines, Manila Bulletin
IMF,フィリッピンの電力民営化を,関心を持って見ている
IMF keeps an eye on progress of NAPOCOR privatization
http://www.mb.com.ph/BSNS20071210111206.html
●071211F Philippines, Inquirer
Ambuklao, Binga plants up for rehab
アンブクラオのアボリツウ,施設リハビリの意思表明
http://business.inquirer.net/money/breakingnews/view_article.php?article_id=105806
●071211G Philippines, Manila Bulletin
米国企業AES,マシンロック石炭火力のパートナーに
AES to take in partner in Masinloc power plant
http://www.mb.com.ph/BSNS20071210111197.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071211H India, Economic Times
パンジャブ州政府,180万KWタルワンディ火力を承認
Punjab Govt okays 1800 MWs of Talwandi Sabo Thermal Plant
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Punjab_Govt_okays_1800_MWs_of_Talwandi_Sabo_Thermal_Plant/articleshow/2609193.cms
●071211I India, Economic Times
160万KWクリシュナパットナム火力,やり直しを攻められる
Fresh bids for 1,600MW Krishnapatnam power project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Fresh_bids_for_1600MW_Krishnapatnam_power_project/articleshow/2609665.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071211J Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアの森林は,温暖化の重要な要素
Trees don't grow on money
http://www.thejakartapost.com/climate/index.php?menu=stories&detail=123
●071211K インドネシア,12月10日8時0分配信 NNA
インドネシア,森林破壊防止策を提唱、気候変動会議で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071210-00000005-nna-int


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月10日分 ー バリ会議事務局が2020年40%削減提案 ー

吉川での測量作業のため更新遅れ,ごめんなさい。

太平洋のど真ん中にぽつんと高い山があると,どういうことになるか,年中雨ばかり降っていることになる。1989年に,太平洋の島嶼国に太陽光発電の技術支援を行うために,まずフィジーに飛んで,そこから島伝いに,ツバル,キリバス,マジュロ,トラック,ポナペ,グアム,とまるで連合艦隊敗退のルートを飛んできたが,米軍はポナペ島だけは占領できなくて,日本軍が数人,終戦までそこに取り残された。そうして,谷川に小水力発電所を造ったりして暮らしていたようだ。ポナペには300mぐらいの山があって年中雨が降っているために,米軍機が近づけなかったのだ。私たちが訪ねたときも,豪雨が降り続いていた。

そのとき,ツバルの空港はまだ砂利敷きで,着陸したがニッパ椰子のような小屋が空港ビルディングであった。そうしてキリバスのタラワに飛んだが,日米の大激戦地で,上陸してくる米軍に多くの犠牲者が出たところである。今日は,ツバルの首相が,島が沈んでしまう,と悲痛な声でバリ会議に訴えている。首相は,議論している場合ではない,すぐに温暖化防止の手を打ってくれ,と深刻である。キリバスのタラワも,ツバル以上に深刻であろう。タラワは,二つの島を繋ぐ道路があって日本が嵩上げなど補修をしていたが,今はどうなっているか,道路はもう沈んでいるのかな。


1 今日の概要

バリ会議の記事が氾濫。バリ会議の事務局が,2020年までに40%削減という厳しい目標を掲げた合意書草案を発表したが,米国は,この会議では削減目標を扱うつもりはないと,冷たいコメント。これに対して中国は,まず先進国が削減義務を負うべきで,特に米国など先進国は生活様式から帰る必要がある,と言う厳しい意見を出している。意外にもEUは,中国など途上国は努力目標で良い,と柔軟な姿勢を示している。島嶼国であるツバルは,削減目標を話し合っている時間はない,沈み行く島の水などを,先進国の責任で,対応策をとってくれと。フィリッピンの送電公社の25年間運転委託,について,何のためか,消費者にどういう利益をもたらすのか,と疑問が呈されている。


2 目次

●バリ会議,20年までに40%削減が必要=現行の取り組みは不十分−COP13草案
●米国,バリ会議では,温暖化ガス削減で,何も決定しない
●温室ガス削減,中国などには,「努力目標」…EU提案
●島国のツバル,海面上昇で緊急対策を提案…COP13
●フィリッピン,国家送電公社,立ち往生,民間譲渡の意味はあるのか


3 本文

●バリ会議,20年までに40%削減が必要=現行の取り組みは不十分−COP13草案

バリ会議閉幕の日程が14日に迫ってきて,事務局がポスト京都のためのロードマップの草案を準備している。削減目標の基本は,2020年までに40%削減,2050年までに2000年レベルの半分以下,と言うことなので,大体,「美しい星50」,と同じレベルの話だが,2020年までに40%削減というのは相当に厳しいのではないか。どこに根拠が,と聞きたいところだが,ICOPの分析があるので,そこに根拠をおいているのだろう。

勿論,削減と同時に適応,と言うことも議論されて行くのだろうが,私は,削減に関する具体的な手段をもっと議論すべきであると思う。それほど大幅な削減が要求されるならば,各国の努力によって,とか各個人の努力によって,などというのは,殆ど道徳論に近くなって,技術論ではなくなってくる。何が一番問題なのか,大きなものから取り上げて行くと言うことで,恐らく,森林・原発・水力の話なしでは,この技術論は収まらないだろう。

●米国,バリ会議では,温暖化ガス削減で,何も決定しない

米国は,削減義務については全く議論する考えはない,と突っぱねている。これに真っ向から議論を仕掛けているのが中国代表である。中国代表に言わせれば,米国を中心とした先進国が今日の状態をもたらしているので,先進国が自ら進んで削減義務を負わなければ,何も前に進まない,と言っている。そうして,厳しいのは,米国や先進国は生活様式を変える必要がある,とまで言及している。記事の最後の英文は,難しい表現だが,あえて訳してみると,「先進国が勝ち得た文化の危険性は,責任を担う文化とは,合致していない。」,と。誰かもう少しうまく訳してくれませんか。
hed by the culture of responsibility," Friday told reporters.

●温室ガス削減,中国などには,「努力目標」…EU提案

EUは,厳しく削減義務を法的拘束力を持たせよう,とまで言ってきたのだが,ここに来て,特に中国やブラジルを名指しして,罰則のない努力目標,と言う提案をしているようだ。これは,先進国よりも緩やかな,「ノールーズ・ターゲット」,(失うもののない目標)を設定すべきだ,と言う言い方である。中国と米国の対立によって会議が紛糾するのを避けるために,この提案をしたのか。本来,日本がやるべき役割ではなかったのか。

●島国のツバル,海面上昇で緊急対策を提案…COP13

ツバル代表にとっては,温暖化ガス排出削減,なんて言っている時間はない,と言うのである。温暖化対策よりも低剛体策である。「高潮から島を守る貯水池や,塩水に耐えられる穀物の導入などの緊急対策を,」,と悲痛な声を上げている。彼らに言わせれば,これは明らかに米国を初めとする先進国のせいで,必要な対策の資金調達がすぐにも必要だ,と言うのである。「地下水への塩水の浸入で不足する飲み水の確保」,など全く深刻ですよね,逃げどころないのだから。

●フィリッピン,国家送電公社,立ち往生,民間譲渡の意味はあるのか

詳しく読んで考えなければ内容がよく分からないが,私も,何故フィリッピンが国家送電公社の運用を,民間に委譲するのか,よく分からない。一つは,まとまった現金を入れて,NPCのなした70億ドルもの負債の一部に転用しようとしているのか。それにしては,余りにも一時的なイージーな方法で,余り理屈に合っていないような気がする。電気事業法は,民間委託した方が,競争市場の形成に拍車をかけると言っているが,本当にそうなのだろうか。いずれにしても,入札日が迫って,インド,中国などの国家電網が,入札参加の態勢にある。


4 その他

●フィリッピン,エネルギー省,石炭と石油への依存を減らす方向
●2007年は中国とミャンマーの経済交流の新しい段階
●インド,MP州,第11次五カ年計画で,新規8,148MW建設へ
●日本、環境保全技術で存在感 COP13森林デー
●中国最大の百万キロワット級火力発電所が稼動 浙江


5 参考資料

2007年12月10日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071210A Philippines, Manila Bulletin
国家送電公社,立ち往生,民間譲渡の意味はあるのか
The TransCo gridlock: Will it benefit the electricity consumers?
http://www.mb.com.ph/BSNS20071209111033.html
●071210B Philippines, Manila Bulletin
エネルギー省,石炭と石油への依存を減らす方向
DoE wants to reduce coal, oil shares in overall energy mix
http://www.mb.com.ph/BSNS20071209111024.html

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●071210C Myanmar, China View
2007年は中国とミャンマーの経済交流の新しい段階
China-Myanmar economic ties make new progress
http://news.xinhuanet.com/english/2007-12/09/content_7219994.htm

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071210D India, Economic Times
MP州,第11次五カ年計画で,新規8,148MW建設へ
MP govt plans to increase power generating capacity
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/MP_govt_plans_to_increase_power_generating_capacity/articleshow/2606962.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071210E Indonesia, The Jakarta Post
米国,バリ会議では,温暖化ガス削減で,何も決定しない
US says no mandatory emission cuts planned at Bali global warming conference
http://www.thejakartapost.com/climate/index.php?menu=stories&detail=107

環境一般

●071210F 日本,12月8日21時19分配信 産経新聞
日本、環境保全技術で存在感 COP13森林デー
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071208-00000937-san-int
●071210G ツバル,12月9日1時4分配信 読売新聞
島国のツバル、海面上昇で緊急対策を提案…COP13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071208-00000214-yom-int
●071210H EU,12月9日11時38分配信 読売新聞
温室ガス削減、中国などには「努力目標」…EU提案
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071209-00000003-yom-int
●071210I バリ会議,12月9日1時0分配信 時事通信
20年までに40%削減が必要=現行の取り組みは不十分−COP13草案
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071209-00000003-jij-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071210J 中国,「人民網日本語版」2007年12月7日
中国最大の百万キロワット級火力発電所が稼動 浙江
http://j.peopledaily.com.cn/2007/12/07/jp20071207_80815.html


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月9日分 ー タイのIPP入札でJパワー160万KWを手に ー

ダイアナ元王妃の自動車事故死を聞いたのは,雲南省昆明の北西にある麗江のホテルであった。だから,今紐解くと1997年,ちょうど10年前になるのか,我々は長江の上流,金沙江の金安橋水力プロジェクトの開発調査で,金沙江上流部を歩いていた。主としてこの麗江辺りを取り巻く急峻な河を巡り歩いていたわけだが,その上流には諸亮孔明が雲南を攻めるために金沙江を渡河したとされる近くに,河川の水を計る測水所があった。近くの村では戸外で老婆が4人,麻雀をしていて,一こまだけ加えて貰って,上がってやった。虎跳峡と喚ばれる荒れ狂う長江上流の厳しい流れの中で,周辺は至極平和な,花が咲き匂う常春の郷であった。

このプロジェクトは雲南省が最優先で進めたプロジェクトであったが,北京の担当部署の方針とは相容れず,他にも日本側との条件が折り合わず,残念ながら日本勢の雲南進出は,諸亮孔明に及ばず,失敗に終わった,今考えても残念である。今日の記事の中で,金沙江中流部の水力開発の記事が出てくる。渓洛渡ダムなどはこの前に本欄でも扱ったプロジェクトであるが,金沙江開発の本命は,雲南省の意図に反して中流部で,4つのダムで総発電量が三峡の2倍という巨大プロジェクトとなって,建設間近という。中国の水力開発は,ポスト京都の重要テーマーで,地球の温暖化を制する規模を有している。

ポスト京都を議論するバリ会議は,事務局がロードマップの案を示したと報道された。先進国は2020年までに20%〜40%削減せよ,最終決定は2009年のデンマークでのCOP15とする,作業部会の設置については3つほどの代替案を示して,意見の違う国の調整を計ろうとしている。削減義務を取り払おうとする日本,義務をより強硬に主張するEU,先進国の義務を優先する中国,案を示さない米国,直ちに具体案を実施に移せとバヌアツ,森林優先のインドネシア,と入り乱れての議論が,なお続く。


1 今日の概要

タイのIPP440万KW入札結果,Jパワーが160万KW天然ガス火力を獲得,石炭火力は,66万KWと54万KWの2カ所,2008年9月までに環境報告書が提出される。米中の経済対話,北京で開催,環境強力を盛る,日本のコベネフィットの関係に注目したい。京都議定書の遵守を迫られる日本政府,京都議定書目標達成計画見直し作業が深刻な局面に来た,中国は長江の三峡ダム上流,金沙江中流部に,巨大プロジェクトを動かし始めた,総発電量では三峡発電所の2倍に達するという。


2 目次

●タイ,最近のIPP440万KW入札勝者,Jパワーなど,ライセンスを獲得
●環境対策推進,米中が合意へ,戦略経済対話
●経産・環境省合同審議会、京都議定書目標達成計画見直し作業が最終段階に
●中国,金沙江,総発電量は三峡発電所の2倍,隠れた巨大水力発電プロジェクト


3 本文

●タイ,最近のIPP440万KW入札勝者,Jパワーなど,ライセンスを獲得

タイの今回のIPP入札の勝者が確定したようである。さすがに,バンコクに根を張ったJパワーは強く,160万KWガス火力の建設計画を獲得した。タイ側が望んだ石炭火力を避けて,安全に天然ガス火力に持っていったことは挑戦的ではないが,安全なコースか。日本勢はそのほか,関西電力,中部電力,住友などが参加したが,いずれも敗退したようだ。

かってはよく,電力会社のIPP指向の人々から,プロジェクトはどれか,と質問されたものだが,私はいずれの場合もまず地元に根を張って地点選定に当たれ,とアドバイスする。今回のJパワーは一発狙いではなく,数年前にまず現地に現地企業と組んだグループを形成し,それからプロジェクト形成に当たっている。その分費用もかかるだろうが,確実にプロジェクトを手に入れている。インドの場合も,プロジェクトを探す,という姿勢ではなくて,まず現地企業,例えばタタ発電などとグループを組め,と言っている。Jパワーの漢江の手法然りである。

さて入札結果であるが,石炭火力が二つ含まれている。一つはグローエナージなどを中核とする66万KW,スイスのSAなどを中核とする54万KWである。実に勇気ある選択で,タイの政策に沿ったものであるが,果たして地元交渉は円滑に行くのであろうか。今回選ばれた各社は,それぞれのプロジェクトについて,2008年9月までに,環境報告書をまとめることになっている。勝負はそれからである。

今回の入札結果の発電単価であるが,KWh当たり2.14〜2.65バーツ(7.14〜8.72セント)でかなり高い。また,運転開始目標年度は2012〜2014年である。なお,次のIPP入札案件は,計画では2015〜2017年運転開始目標であったが,修正されて,2016〜2018年となった。

●環境対策推進,米中が合意へ,戦略経済対話

バリでは,米中が対立しながら気候変動枠組みに関する議論を重ねているが,米国はこの米中経済対話があったため,と称して,バリには閣僚クラスとして通商代表を送っただけであった。ここに報告されている環境は,中国の地域環境のことであるが,地域環境については,既に日本が閣僚対話で,コベネフィット事業を提案したところだ。

なお今朝のニュースでは,日中閣僚会議の結果発表されたコミュニケの内容について,中国側が2カ所で合意内容を削除する発表が行われたとして,日本政府側が抗議している。人民元の問題などだが,中国側は沈黙を守っており,不気味である。共産党幹部の反対にあったのだろう,とされている。

●経産・環境省合同審議会、京都議定書目標達成計画見直し作業が最終段階に

EUが京都議定書の削減義務を守れる方向で進んでいる中,日本は達成が困難な状況の中で,ハンガリーの余剰分買い取り交渉にはいるなど,焦りの色が見えてきた。中国が強硬に京都議定書の遵守を主張しているのは,守れそうにない日本や,京都議定書から離脱した米国を視野においての戦略だろう。私も,京都議定書は捨てても良いと思っていたが,そうも行かなくなってきたか。

●中国,金沙江,総発電量は三峡発電所の2倍,隠れた巨大水力発電プロジェクト

三峡ダムを完成させた「三峡総公司」,の鼻息は荒い。三峡総公司の李伍峰(リー・ウーフォン)総経理補佐は,「この4か所の水力発電所建設プロジェクトは全額当社が投資するもので,国家は一銭も投資していない。三峡発電所はまだ完成していないがすでに莫大な経済的利益を上げており,長江に水がありさえすれば,三峡発電所は儲かる!」,と得意げに語っている。

この4地点は,「三峡総公司」,によると,金沙江下流の烏東徳(ウードンダー),白鶴灘(バイホータン),渓洛渡(シールゥオドゥ),向家●(シアンジアバー=●は土偏に覇)の4か所に大型発電所を建設し,完成すれば総発電量は三峡発電所の2倍になる予定,と書かれている。


4 その他

●中国の長江,更に大規模な水力4プロジェクト,動き始める
●インド,重電メーカーBHEL,大規模契約を獲得努力せよ


5 参考資料

2007年12月9日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●071209A Thailand, Bangkok Post
最近のIPP440万KW入札勝者,日本電力など,ライセンスを獲得
Four new power plants awarded Glow, Thai Oil, J-Power win bids
http://www.bangkokpost.com/Business/08Dec2007_biz01.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071209B India, Economic Times
重電メーカーBHEL,大規模契約を獲得努力せよ
BHEL must try harder to get big power project contracts
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/BHEL_must_try_harder_to_get_big_power_project_contracts/articleshow/2605605.cms

環境一般

●071209C 経済産業省,12月8日8時33分配信日刊工業新聞
経産・環境省合同審議会、京都議定書目標達成計画見直し作業が最終段階に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071208-00000022-nkn-ind

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071209D 中国,12月8日8時25分配信 Record China
総発電量は三峡発電所のナント2倍!!隠れた巨大水力発電プロジェクト―中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071208-00000001-rcdc-cn
●071209E 中国,日本経済新聞
環境対策推進,米中が合意へ,戦略経済対話
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20071208AT2M0800308122007.html
●071209F China, Shnghai Daily
中国の長江,更に大規模な水力4プロジェクト,動き始める
Four more mega dams to harness Yangtze
http://www.shanghaidaily.com/sp/article/2007/200712/20071207/article_340874.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月8日分 ー バリ会議は森林喪失抑止に焦点 ー

シリアのアレッポ,北の古都でローマの高速道路跡地や遺跡が散在する町だが,ここのゴミ処理を見に行ったことがある。毎日毎日,大型のトラックが数分置きにゴミを運び続けなければ,市内は大混乱に陥る。どこの都市でも一緒だが,この途切れもなく運び続けなければならない作業は,嵐が来ても地震が来ても戦争が起こっても続ける必要があるから,とても大変なことだ。そのとき思ったのは,やはり日本のエネルギー問題で,とにかく外国から,原油,LNG,石炭,を毎日毎日運んでいる人々がいる,それで日本の国民の生活や経済がやっと正常に保たれているのだ。このような連続的な作業が,果たしてこれから何十年も何百年も途切れなく続くのであろうか,例えば1年間でも途切れたらどうなるのであろうか。

昨夜は,電力の友人達と酒を酌み交わしたが,先日私の書いたフィリッピンのアンブクラオービンガ水力175MWの買収問題が話題に上がり,あの時落札したSNパワーの最高値が350百万ドル,KW当たり2万である,と書いたが,桁が違うのではないか,と言う話になって,20万円だと気がついた。私は,50年も経った発電所だから2万円ぐらいかと高をくくって桁間違いをしてしまった。我々の常識で,KW当たり20万円とは,新設の発電所を造るのと同じぐらいの金額になってしまう。

昨日も,三峡ダムはコンクリートが壊れるまで500年は持つという記事があったが,水力発電所は一旦造ってしまうと,何もそこに運んでこなくてもエネルギーを作り続けるわけで,海外からの燃料の輸送が全く必要がない。放っておいてもエネルギーを作り続けるわけで,ダムを造ってそこに落差を生み出したことが価値なのである。ダムや発電機などは修繕費をかけて維持管理して行く,100年でも500年でも発電し続ける,というわけだから,フィリッピンの例もKW20万円もかけて買収できたのだ。日本には水利権の期限というものがあるが,日本の将来のエネルギーの安全保障を考えたら,とにかく一旦造った水力発電所と原子力発電所は,子孫に営々と伝えるつもりで,動かして行く必要がある。


1 今日の概要

バリ会議,米国が,セクター別の横断的なアプローチを提案,中国の京都議定書遵守,とどの様にすりあわせて行くのか。また,森林喪失防止の効果をどの様に評価して行くのか,などが焦点になってきた。発展途上国が,CDMによって生じる適応基金の配分について,気にし始めた。アマゾンの現状が報告され,2030年までに熱帯林60%消滅の危機にあること,それによるCO2排出が555億トンから969億トンに達すると懸念されている。人民日報は,三峡ダムの環境について強気の記事,水質は改善されている,など。


2 目次

●バリ会議,ポスト京都,国連気候変動枠組み条約 デ・ブア事務局長
●発展途上国,気候変動対策の基金をGEFが運用することに賛成
●アマゾン熱帯雨林,2030年までに6割消滅の危機
●三峡ダム流域の現地取材報告(1)環境面


3 本文

●バリ会議,ポスト京都,国連気候変動枠組み条約 デ・ブア事務局長

今朝のニュースによると,米国がポスト京都に積極的に乗り出す意思表明をしたこと,そうして,ポスト京都では全く異なった概念の規制の方法の導入を提案している。それは,セクター別のアプローチで,例えば石炭セクターについて世界横断的な規制のアプローチをしようとするもので,考え方によっては国の義務というものを,全くはずしてしまうようにも考えられる。何か,京都議定書を壊しにかかった感じだが,作事,まず京都議定書だ,ポスト京都も京都議定書の延長でよい,とした中国とどの様に折り合いがつくのか。

今日のこの記事は,事前にいろいろこの欄でも議論したように,焦点が森林問題に移って言っている。やはり問題は,京都議定書において,森林喪失防止が評価されず,排出権取引の対象とならなかったことが問題となっている。記事によると,世界で毎年1,300万ヘクタール(この数字がまた合わないので私は困っているが) の森林が失われており,それによる増分のCO2は,排出全体の20%に達しているという。森林喪失防止の定義と実際の削減効果の測定は技術的に難しく,今後,パイロットプロジェクトで検証されて行くこととなる。

●発展途上国,気候変動対策の基金をGEFが運用することに賛成

これはなかなか難しい話ですね。要するに,CDM取引が行われた2%の金額を,国連の気候変動適応資金として蓄えておく。そうして,それを温暖化によって被害を被った発展途上国に,適応資金として供与する,と言うものだが,今回の途上国グループの意見は,国連のGEFでも何でも良いから,早く支出してくれ,と言うものである。目標の金額は,2008年から2012年の間の毎年に1億ドルから5億ドルを想定しているが,まだ36百万ドルに達したばかりで,途上国はそれを支出してくれ,と言っている。

●アマゾン熱帯雨林,2030年までに6割消滅の危機

APEC総会以来,インドネシアと中国の森林を取り上げてきたが,やはり,ブラジルのアマゾンやアフリカのコンゴの熱帯林を,いつかは勉強しなければならないだろうとは思っていた。先日も,発展し続けるブラジルの食糧生産が話題になっていたが,今日の記事は,バリ島で報告されたアマゾンの熱帯林喪失の現状が,記事になっている。

アマゾンの森林の話は,インドネシアに輪をかけた話である。別のデーターから,アマゾンの年間喪失面積は450万ヘクタールと報じられている。インドネシアが180万ヘクタールの損失で,中国が450万ヘクタールの造林,と言うオーダーである。結局,大豆などの穀物への転換で,この伐採によるCO2の排出は,総量だと思うが,555億トンから969億トンに達するという。

●三峡ダム流域の現地取材報告(1)環境面

世界のメディアが三峡ダムの環境汚染の激しさを伝える中,人民日報は極めて平静に,「水質が大幅に向上,緑化も進展」,と報じている。記者も同行した今回の調査であるが,前回よりも透明度が増した,水質の分類から水質の向上が認められる,ダムの中の泥砂堆積量は推計量の半分足らず,重慶の下水は完全に処理されている,と淡々と報じている。人民日報は,最近なかなか本当の記事を出してくれなくなった。


4 その他

●フィリッピン,アンブクラオ買収のSNパワー,取引市場WESMへ参加
●インド,ダボール発電所は,2月までに全面稼働するだろう


5 参考資料

2007年12月8日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071208A Philippines, Manila Bulletin
アンブクラオ買収のSNパワー,取引市場WESMへ参加
SN Power to trade Ambuklao-Binga hydro plant capacity at WESM
http://www.mb.com.ph/BSNS20071207110799.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071208B India, Economic Times
ダボール発電所は,2月までに全面稼働するだろう
Dabhol power plant may be fully operational by February: Deora
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Dabhol_power_plant_may_be_fully_operational_by_February_Deora/articleshow/2601677.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071208D Indonesia, The Jakarta Post
発展途上国,気候変動対策の基金をGEFが運用することに賛成
Developing countries trust GEF to manage their funds
http://www.thejakartapost.com/detailheadlines.asp?fileid=20071206.@02&irec=1

環境一般

●071208E バリ会議,12月7日8時3分配信 産経新聞
ポスト京都 国連気候変動枠組み条約 デ・ブア事務局長
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071207-00000053-san-int
●071208F アマゾン,12月7日11時48分配信 読売新聞
アマゾン熱帯雨林、2030年までに6割消滅の危機
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071207-00000202-yom-soci

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071208G 中国,「人民網日本語版」2007年12月6日
三峡ダム流域の現地取材報告(1)環境面
http://j.peopledaily.com.cn/2000/12/06/jp20001206_80766.html


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月7日分 ー バリ会議は米中の駆け引きか ー

黒四の初代所長であった野瀬さん(故人)が新聞紙上で,「地球は壊れても黒四ダムは壊れない!」,と書いたとき,なんか真っ暗な宇宙で粉々になった地球の破片の中に浮かぶ白いアーチ型の物体を想像して,闇夜のお化けみたいなオカルトを感じたが,三峡ダムの所長は,三峡ダムは万里の長城とは言わないが,500年は持つだろう,と言った。私は,一旦開発した水力は,修繕費をかけながら何百年も動き続ける必要があると思っている。数世紀の歴史の中では,日本列島が原子力と水力だけで生き残らなければならない時期も,必ずあるだろう。

2002年頃,工事最盛期の三峡ダムを訪問して,建設所の次長さんと達としばらく歓談。そのときに,「これだけの規模の工事を実施しながら,隣の先進国日本の企業の参加がないのは,誠に寂しい。」,と前置きした先方の次長は,「我々はこの工事が終わったら,是非とも世界のダム開発に進出したいと思っている。」,と率直に語っていた。また,北京の発電情報を担当する公司の所長さんは,「一体どうしたら我々が世界の市場に打って出ることが出来るか,ノウハウを教えて欲しい。」,と語っていた。これはつい先日の話であるが,発電分野だけ見ても,今や中国技術陣の世界進出は目を見張るものがある。ダムといえば中国,石炭火力といえば中国,それだけに,温暖化問題への関心も高い。

温暖化問題については,つい先日まで中国が実際に何を考えているのか,はっきりとはしなかった。ドイツのメルケル首相が国連の場で,温暖化問題は世界の安全保障と密接に関係,安保理の主要議題としたい,と主張したときに,鼻で笑って,それは安保理の問題ではないですよ,と一蹴したのは中国代表だった。その後の中国の発言は,同じ目的だが差異のある義務,と言う言葉で,中国は削減義務を負わない趣旨の発言を繰り返していた。それがバリ会議で突然に,京都議定書の遵守こそが最優先されるべきだ,と主張してきた。京都議定書に中国の義務はない。

私は,京都議定書の義務遂行に苦労している日本を視野においての中国の主張かと思っていたが,昨日のNHKは,これを米中の基本的な対立の構図と解説していた。今日のインドネシアのニュースでも,対立軸は米国とEU,と言う書き方をしているが,京都議定書を突きつけられた先進諸国,特に米国は,この中国の主張に妥協の余地がないほど追いつめられる可能性がある。米国も日本も,話はポスト京都で,と思ってバリに来たのだが,中国は,まず京都議定書,そうして更に,ポスト京都は京都議定書の期間延長で,とまで言っている。土壇場に来て中国は,今後どこまで自分の立場を守ろうとするのであろうか。


1 今日の概要

インドネシアが,石炭輸出の上限150百万トンの規制は,クラッシュプログラムなど国内需要を考えると,2025年まで続ける必要があると,語った。バリ会議,現地紙は,米国とEUを軸に動くだろう,と書いているが,昨夜のNHKは,中国の京都議定書に拘る姿勢を発表してから,米中の駆け引きの場,との観測を報じた。発展途上国が,京都議定書のCDMは余りに複雑で,途上国に於ける森林のCDMには向いていない,と意見陳述,私もその感が強い,中国が誇らかにその造林の成果を謳い,アジア太平洋の森林管理ネット構築を提唱した。三峡ダムの所長が,三峡ダムは万里の長城ほどではないが,500年は持つだろう,と誇った,そうだと思う。


2 目次

●インドネシア政府,石炭輸出上限150百万トン,2025年まで継続
●バリ会議,米国の参加とEUの拘束力主張でを中心に回る
●途上国グループ,小規模森林プロジェクトのCDM適用を主張
●中国,森林資源の増加が世界で最も著しい国家に
●中国,アジア・太平洋の森林管理ネット構築を提唱
●万里の長城には及ばないかな…?三峡ダムの耐用年数,なんと500年!―湖北省


3 本文

●インドネシア政府,石炭輸出上限150百万トン,2025年まで継続

インドネシアの電力不足を一挙に解決しようとするクラッシュプログラム,1000万KWの石炭火力を2010年までに稼働開始する。その計画の80%を中国企業や資金がになっている。この情勢を睨んで,インドネシア政府は,現在実施している石炭の油脂規制,シーリング150百万トンを,少なくとも2025年までは続けると決定した。

インドネシアの石炭生産は世界的に見れば決して多くない。中国の年間22億トンベースに比べれば,その1割にも見ない数字である。しかし,中国やインド,米国,ロシアなどの石炭大生産国は国内消費が殆どであるが,インドネシアの輸出量は,日本を初め近隣の東南アジア諸国にとっては重要な輸入先である。今後,インドネシアなどから輸入石炭を視野に入れているタイやフィリッピン,スリランカ,カンボジア,などは,大いにインドネシアの石炭輸出に期待している。

記事によると,2008年の石炭生産は198百万トンと見積もられている。2009年にはクラッシュプログラムが一部運転に入ってくる。2010年時点で,国内石炭生産は年間240百万トンと想定されているが,そのうち90百万トンは国内で使用されることになる,残り150百万トンである。2025年時点を考えると,生産は380百万トンに伸びるが,220百万トンを国内向けとしなければならない。なお,インドネシアの石炭の生産地は,南スマトラとカリマンタンが主体である。

●バリ会議,米国の参加とEUの拘束力主張でを中心に回る

バリ会議の趨勢に関するジャカルタポストの見方である。問題は,EUが削減義務の拘束力を強める方向で議論に参加することで,その義務を法廷拘束力にまで高める提案をひっさげてバリに来ている。明らかに米国を意識して,その参加を強く促すものである。これに対して米国は,我々は非常にオープンで柔軟である,と何を考えているのか分からない姿勢である。米国は,結論は2008年のP−ランド,2009年のデンマークの会議で良いではないか,急ぐな,と言う姿勢。

このジャカルタポストの見る対立軸に対して,昨夜のNHKは,中国と米国の対立軸がバリ会議の主題,と見ている。私も,中国の京都議定書を引っ張り出してきての攻勢は,大変に強いと見ている。これを言われると,再び米国は退場,なんて言う場面もあるかも知れない。でも新聞を読むと,大統領選挙を控えての民主党の環境問題への主張が強く,米現政権も,そう簡単にバリから逃げ出すことは出来ないだろ。

●途上国グループ,小規模森林プロジェクトのCDM適用を主張

私は,CDMの効果への疑問は,この小規模に皆走ってしまうところにあると見ているが,今日のこの記事は,それとはまた違った考えさせる一面を持っている。ボリビア,パキスタン,パラグアイ,セネガルなど,今まで余り声を出してこなかった国々の主張である。彼らは何を言っているかというと,「CDMのシステムは余りに複雑である。CDMプロジェクトを形成するためには,高いお金を出して世界的なコンサルタントを雇い,それでやっとプロジェクトが出来上がったとしても,また国連のCERを取るためには,国連に雇われた専門のコンサルタントに絞られる。」。

彼らは,森林保護に関して,もし簡単に小規模のCDMがとれるならば,我々の農民も好んで木を切らないだろう,それでお金が入るわけだから,と言っている。インドネシア代表も,国内的には11のプロジェクトが登録されているが,このうちわずか二つだけが国連で承認されただけであると。私も,この国連承認のCERについては,追加性の問題などで,難しいところがあり,もっと柔軟性のある制度にすべきだと思っている。

●中国,森林資源の増加が世界で最も著しい国家に

中国の人民日報が誇らかにその成果を謳っている。私も,中国の造林に対する成果が大きいと思う。APECでも,日本を含めて殆どの国はもう森林については限界に達しているが,中国は毎年450万ヘクタールが増えているとされており,対極のインドネシアが毎年180万ヘクタールを失っている現状に鑑み,ポスト京都の森林問題は,中国とインドネシアに集中すべきと思っている。

●中国,アジア・太平洋の森林管理ネット構築を提唱

中国は,更に追い打ちをかけるように,アジア・太平洋の森林管理ネット構築の主導権を取るべく提案にでている。具体的に何をするのかよく分からないが,恐らく技術のデーターベースみたいなもので,アジア・太平洋地区の政府機関,企業,学術団体,非政府組織,政府間組織向けに開放される,としている。

●万里の長城には及ばないかな…?三峡ダムの耐用年数,なんと500年!―湖北省

さすがに中国人だと思う。日本人ではなかなか500年とは言えないだろう。でも数百年のオーダーで議論できると思う。私は,日本に将来,全く天然ガスや石炭や石油が入らない事態が起こる可能性は,それが例え1ヶ月の短期間でも,起こらないとは言えない。だから,今確保されている原発と水力は,修繕費をかけながら,永久に運転し続ける覚悟が必要だと思う。


4 その他

●ラオス,「日本ラオス官民合同対話」が開催
●インド,氷河湖決壊で大洪水の危険=ヒマラヤに温暖化の影響−国際機関
●タイ政府,第3メコン架橋を承認,ナコンパノム-カムー ン間
●フィリッピン,NPCの外国負債分10億ドルについて,PSALM返済計画
●インド,西ベンガル規制委員会WBERC,再生可能エネルギー優遇策


5 参考資料

2007年12月7日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071207A Philippines, Manila Bulletin
NPCの外国負債分10億ドルについて,PSALM返済計画
PSALM identifies NPC foreign loans slated for prepayment
http://www.mb.com.ph/BSNS20071206110714.html

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071207B Laos, Bangkok Post
タイ政府,第3メコン架橋を承認
Thailand approves third bridge to Laos
http://www.bangkokpost.com/breaking_news/breakingnews.php?id=124226
●071207C ラオス,12月6日8時0分配信 NNA
ラオス,「日本ラオス官民合同対話」が開催
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071206-00000007-nna-int

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071207D インド,12月5日17時1分配信 時事通信
氷河湖決壊で大洪水の危険=ヒマラヤに温暖化の影響−国際機関
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000109-jij-int
●071207E India, Economic Times
西ベンガル規制委員会WBERC,再生可能エネルギー優遇策
WBERC announces tariff for green energy projects
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/WBERC_announces_tariff_for_green_energy_projects/articleshow/2597835.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0.htm

●071207F Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア政府,石炭輸出上限150百万トン,2025年まで継続
Government to limit coal exports until 2025: Official
http://www.thejakartapost.com/detailbusiness.asp?fileid=20071205.L02&irec=1
●071207G Indonesia, The Jakarta Post
バリ会議,米国の参加とEUの拘束力主張でを中心に回る
Bali talks hinge around U.S. and EU
http://www.thejakartapost.com/detailheadlines.asp?fileid=20071205.@02&irec=1
●071207H Indonesia, The Jakarta Post
途上国グループ,小規模森林プロジェクトのCDM適用を主張
Developing countries fight for small-scale CDM, forestry projects
http://www.thejakartapost.com/climate/index.php?menu=stories&detail=72

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071207I 中国,12月6日9時10分配信 Record China
万里の長城には及ばないかな…?三峡ダムの耐用年数、なんと500年!―湖北省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071206-00000002-rcdc-cn
●071207J 中国,「人民網日本語版」2007年12月5日
中国、森林資源の増加が世界で最も著しい国家に
http://j.peopledaily.com.cn/2007/12/05/jp20071205_80685.html
●071207K 中国,「人民網日本語版」2007年12月5日
中国、アジア・太平洋の森林管理ネット構築を提唱
http://j.peopledaily.com.cn/2007/12/05/jp20071205_80708.html


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月6日分 ー バリで日本は「化石賞」獲得 ー

私の田舎の山林に,地域でも有名なケヤキの木がある。私が大学生の頃に,父親と一緒にそのケヤキを見に行き,二人で幹を抱えて太さを測定した。父は,自分の思った寸法でなかったのか,「もう100年待ってみるか?」,とつぶやいた言葉が今でも脳裏に焼き付いている。当時は木材の値段は高く,売ってくれと言う人が沢山いたのだが,今では誰も買おうという人はいない。切り出すのにかえってお金がかかってしまうのであろう。スイスから来た友人を新幹線で案内していたら,日本の森がきれいだといって感心していた。日本は森林保護への努力もあるが,もう切り出す意欲を失ってしまって,自然と山が森林に覆われてきたのではないか。

バリで行われているCOP13では,世界の森林が1年間に35万平方km,日本の面積と同じぐらい喪失している,と議論されている。(少し数字が合わなくて苦労しているのだが,以前の表現は,毎年730万ヘクタールが失われている,とされていた。)。インドネシアは,懸命に森林保護への枠組み創設へ働きかけている。京都議定書では,造林には一定の評価があるが,喪失防止には何も規定がない。これの指標化はなかなか困難で,話し合いはどの方向に行くのか,関心を持って見守りたい。

昨日は,中国が,京都議定書に帰れ,とあたかも日本を攻撃するような論旨を展開したが,今日の新聞では,米国の大統領補佐官が,何か訳の分からないことを言っている,曰く,「温暖化の指標は,温暖化ガスの総量規制だけではあるまい,もっと他にも,エネルギー効率,国内総生産(GDP)単位当たりの排出量,排出総量などの指標を使って削減義務をつくるべき。」。中国がしっかりと義務を守れ,と言う言い方と,米国が柔軟な言い方,これを裁くのは,日本なのか,EUなのか。


1 今日の概要

バリ会議で,新聞記者による投票で,日本が,「化石賞」,「京都議定書を深めて広げるべきなのに,逆に葬ろうとしている。」,と。シンガポールの専門記者が,東南アジアに於ける石炭火力の開発気運で,温暖化を心配,原発推進などを提案している,長文の記事。インドネシアのジャワ西部でガス不足のため計画停電,まだ解決していなかったのか。インドの電力不足で,シンディ電力大臣が苦境,いつものように強力に進めると,強気の発言を繰り返す。また,包蔵水力148,701MWについて,アクセスなどのインフラ不足を嘆く。


2 目次

●「バリ会議」進展に消極的と,日本「化石賞」上位独占
●石炭火力がアジアの気候変動への暗雲である
●インドネシア,首都で計画停電5日間,ガス不足で
●インド,シンディ電力大臣,政府は強力な電源開発を推し進める
●インドの包蔵水力は,148,701MWに達する


3 本文

●「バリ会議」進展に消極的と,日本「化石賞」上位独占

これは日本にとって厳しい評価である。「京都議定書」,と京都を冠されていて日本がこれほどの悪評を受けると,日本代表も大変だろう。もっとも厳しい言葉は,「京都議定書を深めて広げるべきなのに,逆に葬ろうとしている。」,と言うことで,私も一時は,「ポスト京都」,と言う言葉は,京都議定書を葬って新しいやり方で,と言う主張であった。私が考えるのは,京都議定書は余りに削減義務に拘りすぎて,もっと有効に地球温暖化抑制に効く大規模な手段,森林,原発,水力,への評価が十分になされていない,デリバティブ的な考えが主流で,一つも地球規模で効いてこない,と言う点であった。日本など,省エネも森林も,幾ら頑張ってもオーダーとして無意味,それに比べて中国やインド,それに熱帯森林国の努力は,すごく大きく地球に効いてくると思うが。

●石炭火力がアジアの気候変動への暗雲である

シンガポール在住のエネルギー問題専門のジャーナリスト,サイモン氏の,かなり長文の記事である。東南アジア諸国に絞って石炭火力の問題を論じている。基本は,50万KW石炭火力が年間370万トンの二酸化炭素を排出して,天然ガスや石油に比べても大きな排出量を持っているのに,東南アジア諸国では,今後の経済成長に大きく石炭に依存しようとしている,何とかならないのか,と言うことである。特にベトナム,インドネシアを取り上げ,その石炭への依存を心配している。彼の主張は,やはり出来るだけ,タイ,ベトナム,インドネシアが進める原発建設を,適正に支援する必要を一つの対抗手段としてあげている。

私は,ここしばらく人類は石炭から離れられなし,何とかうまくその温暖化ガス排出を相殺できるような新技術の対応で,対処する必要があると思う。殆どの国は,その成長過程で必ず大規模な石炭火力のお世話になっている。中国もインドも石炭が主力であり,タイもその成長の初期はマモーの石炭火力頼ったし,ベトナムは今でも北部の石炭に大きく依存している。逆に言えば,中国もインドもタイもベトナムもインドネシアも,石炭があればこそ発展してきたのである。原油枯渇,天然ガス高騰の中,人類は今しばらく石炭から離れられない。

●インドネシア,首都で計画停電5日間,ガス不足で

インドネシアのジャワバリ系の電力不足の問題は,もう終わったのかと思っていた。今問題になっているのは,北ジャカルタのタンジュンプリオク,ムアラカラン両発電所のガス不足による出力低下である。私の理解では,ジャカルタ沖の原油採掘に伴う随伴ガスで動いていたこれらの発電所が,随伴ガスの枯渇で困っていて,代わりに高速油などで代替するが,出力低下を起こしている,と言うことだ。そこで,JBICの支援で,スマトラからのガスパイプラインが具体化し,そろそろ,これらの発電所へも,ガスが行き渡るはず,と理解している。

インドネシアは,豊富な天然ガスに恵まれながら,常にガス不足で,西も東も苦労している。LNGを日本などへ送り出すインフラはあるのだが,それを国内で使うインフラが,パイプラインも含めて,出来ていない。インドネシアとしては誠に不本意な話であろう。日本への輸出を3分の一に減らす決定をしたが,これは,2010年には東ジャワでもLNGが使えるインフラが出来る,という前提なのであろう。

●インド,シンディ電力大臣,政府は強力な電源開発を推し進める

もう最近は,シンディ大臣の勇ましいかけ声もむなしく聞こえるようになってきた。先日国会に呼ばれて,全然計画通りに電源開発が進まないではないか,と叱られて,帰ってきて,配下の機関に飛ばした檄であるが,むなしい。問題は,だ11次五カ年計画で7800万KWの開発が,本当に出来るのかどうか,と言う問題である。彼によると,現時点の潜在需要,すなわち不足電力は,2200万KWという。彼の言葉,「後五年もすれば,電力事情は変わる,まるで電話を使うように,自由に電気を使えるようになるだろう。」。

●インドの包蔵水力は,148,701MWに達する

インドの主流は石炭火力であるが,これをどこまで水力や原発で代替していけるか,というのは人類の地球温暖化への挑戦の大きなテーマーである。これもシンディ大臣の発言であるが,包蔵148,701MWのうち31,440MWは既に開発されており,14,177MWが工事中の段階にある。残りは103,000MWである,と。なかなか水力開発が進まない理由は,彼によると,山岳地帯でアクセスへのインフラに苦労していることの他,森林や野生動物の環境問題,地質的困難,送電線の問題,などである。


4 その他

●フィリッピン,エネルギー省,2010年までの全土電化計画,未達の可能性
●中国,国家戦略を制定へ=「エネルギー法」草案公表
●インド,ラジャスタン州の120万KW火力プロジェクト,中国など多くの関心


5 参考資料

2007年12月6日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071206A Philippines, Manila Bulletin
エネルギー省,2010年までの全土電化計画,未達の可能性
DoE delays to 2010 completion of nationwide electrification
http://www.mb.com.ph/BSNS20071205110601.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071206B India, Economic Times
ラジャスタン州の120万KW火力プロジェクト,中国など多くの関心
Rajasthan power project attracts overseas bids
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Rajasthan_power_project_attracts_overseas_bids/articleshow/2594712.cms
●071206C India, United Press International
インドの包蔵水力は,148,701MWに達する
India hydel potential at 148,701 MW
http://www.upi.com/International_Security/Energy/Briefing/2007/12/04/india_hydel_potential_at_148701_mw/4700/
●071206D India, Economic Times
シンディ電力大臣,政府は強力な電源開発を推し進める
Govt plans massive addition to power generation: Shinde
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Govt_plans_massive_addition_to_power_generation_Shinde/articleshow/2595135.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071206E インドネシア,12月5日8時0分配信 NNA
【インドネシア】首都で計画停電5日間、ガス不足で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000005-nna-int

環境一般

●071206F Asia, Asia Times
石炭火力がアジアの気候変動への暗雲である
Coal clouds over climate change talks
http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/IL05Ae01.html
●071206G 日本,12月5日1時8分配信 読売新聞
「バリ会議」進展に消極的と、日本「化石賞」上位独占
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071204-00000317-yom-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071206H 中国,12月4日17時0分配信 時事通信
国家戦略を制定へ=「エネルギー法」草案公表−中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071204-00000102-jij-int


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月5日分 ー 中国のミャンマー内でのダム開発に批判の火 ー

信号は赤だけど,まあ渡っていいか,とポスト京都に走り始めた日本の肩を,待てっ,と引っ張る人がいるので,EUだな,嫌なやつ,と思って振り返ると,実はそれは中国だった。中国はバリ会議の冒頭で強く京都議定書の完遂を求め,ポスト京都の結論は2009年ではなく10年でもいいではないか,と爆弾発言をしてきた。しかも,京都議定書の延長を持ち出してきている。会議に出席したNGOの評価では,京都議定書をもっともおろそかにしているのは日本だ,と言われている。京都議定書を守れない国がポスト京都を議論する資格なし,とまで言いたいようだ。

私の愛する電源開発,Jパワーが,英系ファンドの攻撃に晒されている。9%なにがしかの株式を持つに至ったそのファンドは,重役の席を二つ要求してきたのである。エンロンが元気な時代に,四国電力をエンロンが買おうとしたが,原発があったので,これがやっかいだと買収を中止した,と言う話があった。電発の規模がちょうど良いのではないか,など友人と冗談を交わしていたが,現実に国策会社であった電発が,このような要求に晒されると,国際的な資源獲得競争が始まって,ますますナショナリズム化してくる電力は,対抗策があるのか,と気になる。


1 今日の概要

期せずして,ロイターとバンコクポストが,中国企業のミャンマー内に於けるダム開発について,批判記事を載せている。ミャンマー内では10以上の中国企業が20地点の水力で,総出力3000万KW,300億ドル相当の水力プロジェクトを動かしているという。バリ会議の今日の焦点は,中国の強硬な発言である。京都議定書の遵守とその延長を先進国に求めている,ポスト京都に飛ぼうとした日本などは,この中国の姿勢に困惑するだろう。インドの電源開発は,中央政府の絵に描いた餅で,とても第11次五カ年計画の78,577MW開発は不可能だろう。


2 目次

●中国によるシュエリダム建設,ミャンマー軍事政権を潤す
●人権グループ,中国のミャンマー内ダム開発で,厳しい注文
●温室効果ガス,中国,先進国の削減強化要求へ,バリ会議
●バリ会議,実質審議入り,主張ぶつかり合う
●インド,第11次五カ年計画の78,577MW開発は,可能なのか


3 本文

●中国によるシュエリダム建設,ミャンマー軍事政権を潤す

シュエリダムの位置を調べてみたが,イラワジ河の支流で北東方向に伸びているシュエリ河の,中国との国境に接するミャンマー側にあり,航空写真を見る限りではダムサイトらしき山はないが,ここにダムを造って60万KWを発電し,殆どを中国側に電気を送って,残った電力は,ミャンマーの軍隊の基地や付近の鉱山に給電するという。位置的には,雲南省の大里の南西320km当たりの地点である。40年間のBOTで,ミャンマー電力省と中国雲南の電源開発企業がジョイントで実施するプロジェクトである。プロジェクトの詳細は,サルウイーンウオッチのサイトに見られる。

ロイター電が問題にしているのは,中国の協力によって発電所が出来,軍事政権を担うミャンマー軍の施設へ電気を送ることによって,軍事政権を助けている,と言う趣旨の批判であるが,更に書かれていることは,この水没地域の中に少数民族の部落があり,これが調査や工事によって迫害を受けるのではないか,と言う懸念を示している。資料をひっくり返して,じっくりとサルウイーンウオッチの言い分を聞いて見ようと思う。

●人権グループ,中国のミャンマー内ダム開発で,厳しい注文

期せずしてロイター電と同時に,バンコクポストが,中国によるミャンマー内でのダム建設について,人権グループの訴えを報じている。人権グループはタイに駐在するコンサルタントを通じて,湖錦濤主席への直接の訴える文書を手渡している。彼らが具体的に問題にしているのは,サルウイーン河本流のハッチダムとタッサンダム,それにロイターが取り上げたイラワジ上流,中国との国境にあるシュエリーダムであるが,彼らの説明によると,少なくとも10の中国企業がミャンマー領内で20地点の大規模ダムプロジェクトを手がけており,総出力は3000万KWに達し,工事費の総額は300億ドルになるという。

これら人権団体の言い分は,中国政府自体の国際的なイメージにまで及んで来るであろう,と言うことで,湖錦濤主席に直接訴えようとしている。また問題は,今や国際的な常識となった,完全な事前の環境調査や情報公開,関係住民への説明が殆どなされず,現地には調査や工事を担当する中国企業とミャンマーの正規軍が現地に入って,少数民族の立ち退きなどを強制的に行っている,と言うのである。

●温室効果ガス,中国,先進国の削減強化要求へ,バリ会議

数ある温暖化の記事の中でも,この中国の注文はかなり厳しい。要するに,先に先進国が削減してくれ,今の状態での先進国の排出を,2020年までに1990年比で25〜40%削減せよ,と言うもので,中国やインドなどの途上国の問題はそれからだ,と言う強硬なものである。鴨下環境大臣は,中国が地球温暖化問題に真剣で,自らもそれなりの貢献や参画をする上での話,と好意的いな発言を行っている。

●バリ会議,実質審議入り,主張ぶつかり合う

日本が,米国を含むすべての国の参加,この一点に絞って議論を進めようとしているにに対し,中国の主張は強烈である。京都議定書を延長して先進国の削減強化を求める,と言うもので,サウジアラビアやアフリカ諸国も,「ポスト京都」,の交渉開始は時期尚早だ,と中国を支援する発言を行っている。守れない京都議定書から早く脱却して,ポスト京都の議論に移ろうとする日本などの思惑に,真っ向から対立するものである。地球温暖化問題は,地球を救う前にいよいよ国際政治の紛争の舞台と化しつつある。

●インド,第11次五カ年計画の78,577MW開発は,可能なのか

先日は国会の委員会が電力大臣を喚問して詰問した電源開発遅れの問題である。第11次五カ年計画の78,577MWの新規開発,と言うのは,過去の成り行きから見て出来るはずがない,と言うのである。中央政府は常に美しい絵を描き,州政府を含む実施機関は,殆どその絵の通りにはついてこない,と言う現状であるが,この記事でちょっと今までの焦点と違うのは,発電機機の政策が間に合っていない,と言う部分である。インドでは,BHELという国営の電機メーカーが一手に機器の発注をこなしているが,ここにも問題があったのか。そういえば,NTPCは自分で機器メーカーを持つという発想が記事に出ていたことがあった。


4 その他

●インド企業,ネパール水力開発参入で新手,現地企業と合弁
●インド政府,電力界初のためのベンチャー資金の活用を視野に
●インド国家送電PGCIL,2009年までに1450億ルピー設備投資


5 参考資料

2007年12月5日分

ネパール

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●071205A Nepal, Kalinga Times
インド企業,ネパール水力開発参入で新手
Indian firms try new way to enter Nepal hydel sector
http://www.kalingatimes.com/business_news/news1/20071203-indian-firms.htm

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●071205B Myanmar, Bangkok Post
人権グループ,中国のミャンマー内ダム開発で,厳しい注文
China's dams in Burma a cause for concern, say activists
http://www.bangkokpost.com/News/04Dec2007_news12.php
●071205C Myanmar, Reuters
中国によるシュエリダム建設,ミャンマー軍事政権を潤す
China dam project a boost for Myanmar junta - report
http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKPEK30787820071203

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071205D India, Economic Times
政府,電力界初のためのベンチャー資金の活用を視野に
Power VC funds may regain pass through status
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Power_VC_funds_may_regain_pass_through_status/articleshow/2593219.cms
●071205E India, Economic Times
国家送電PGCIL,2009年までに1450億ルピー設備投資
PGCIL to invest Rs 14,500 cr on transmission network by FY09
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/PGCIL_to_invest_Rs_14500_cr_on_transmission_network_by_FY09/articleshow/2592898.cms
●071205F India, India PR Wire
第11次五カ年計画の78,577MW開発は,可能なのか
India's energy output targets fuel debate
http://www.indiaprwire.com/businessnews/20071203/25881.htm

環境一般

●071205G バリ会議,12月3日22時20分配信 毎日新聞
<バリ会議>実質審議入り、主張ぶつかり合う
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071203-00000144-mai-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071205H 中国,12月4日12時2分配信 毎日新聞
<温室効果ガス>中国、先進国の削減強化要求へ バリ会議
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071204-00000046-mai-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月4日分 ー フィリッピンNPC負債72億ドルでIFCがアドバイス申し出 ー

日曜日の朝,遅く起きてきたテンサイになった孫が,「寒い,寒い,」,と騒いでいるから,「心配するな,温暖化になるから暖かくなるよ。」,と言ったら,「一体,何年待てばいいのよ!」。温暖化の鍵を握るのは,中国,インドは勿論,インドネシアを初めとする経済発展著しい東南アジア諸国が,今後どれほど石炭火力を原発で代替していけるかにも,大きな期待がかかっている。焦点のインドネシアは,ジャワ島中部のムリア半島に焦点を絞って,2008年にも入札を行う予定で進めている。タイ,ベトナム,などに比べれば,拙速と言わないまでも強引である。

ジャカルタに駐在する友人から今朝メールを貰ったが,プルノモ・エネルギー大臣が,「原子力の立地は,従来より候補地点として検討されているジャワ島中部のムリア半島ではムリヤ,より適当な地点が他にある。」,と発言,関係者は驚いてその真偽に耳を傾けた。友人の総合的な判断は,この発言は極めて政治的で,ムリヤ地点は火山の傍にあって反対も多く,2009年の大統領選挙への悪影響を考えたユドヨノ大統領の発想だろう,と言うのである。どこでもそうだが,インドネシアの原発は,以前より政治に振り回されている。なお,友人の報告によると,現時点での既往最大電力は,11月21日に記録した16,252MWとなっており,昨年に比して856MW,5.66%の増となっている。


1 今日の概要

フィリッピンのNPCの負債総額72億ドル,その処理でIFCが技術的な相談に乗ろう,と提案しているが,この負債そのものが,資産売却,分割民営化を進めなければならなかった主因なのである。バリの気候変動国際会議が始まったが,特にインドと中国の代表団にスポットライトがあったっている,それは両国の排出ガスの大きさばかりでなく,両国が受ける被害の大きさも,その理由である。発足したばかりの豪州ラッド首相の代表団,挙と議定書の批准方針で,満場の拍手を浴びた,米国,孤独感かみしめる。日中経済ハイレベル対話,長江の水質悪化の問題や大気汚染防止,省エネルギー協力,コベネフィット,などに期待がかかる。

2 目次

●フィリッピン,NPCの負債24億ドル,PSALMの処理義務で,IFCが技術支援
●バリ国際会議,中国とインドの代表がスポットライトを浴びながら到着
●豪新政権発足,ラッド首相,京都議定書批准手続きに着手
●日中経済ハイレベル対話,環境汚染の協力強化で一致


3 本文

●フィリッピン,NPCの負債24億ドル,PSALMの処理義務で,IFCが技術支援

「資産売却にうつつを抜かすフィリッピン」,と罵ってきたが,今日の記事は,NPCの負債処理が如何に大変かを表している。負債処理が進まないので,その負債額に関わる外貨換算が,交換レートなどの変動で動きに動いて,利子返済などで新規借り入れを行った部分など,会計的には相当難しい運用のようだ。内容は専門的でよく分からないが,今問題になっているのは,24億ドルの未決済ローンで,これは2009年〜2011年に処理する必要のある46億ドルの一部で,全部の負債総額は72億ドルに達するという。IFCは専門家を送って,処理の相談に乗ろうというわけである。

フィリッピンが,電力危機が迫る中で電源開発をほったらかしておいて,分割民営化に走った理由は,元々はこの巨大なNPCの負債にあった。この負債の債権者は36法人に達すると言うが,とにかく分割民営化しなければ,この債権者達が収まらなかったわけで,新電気事業法EPIRAなど美しいが,実は大量の借金を背負ったフィリッピンの電力セクターが,財政的に生き延びるためには,この分割民営化を急ぐしかなかったわけである。「資産を売ればいいんだろ,」,と売却に走るが,これがなかなか円滑に言っていないところが,問題なのである。

●バリ国際会議,中国とインドの代表がスポットライトを浴びながら到着

とにかく,バリ気候変動国際会議の焦点は,未だに削減義務を負わない米国と,これから大規模な温暖化ガス排出国になりつつある中国とインドに当てられている。ジャカルタポストは,中国とインドのミッションを大きく取り上げて,「スポットライトを浴びているスター」,になぞらえてその到着を報じた。この両国は,今後5年間で,中国が200カ所,インドが150カ所で新たな石炭火力を開発しようとしているわけである。この膨大な石炭火力の新設計画には,先進国の新技術の移転が重要としている。

この記事の中で特徴的なのは,この両国を加害者の立場においているのではなく,両国が温暖化によって受ける被害の大きさを予測しているところにある。中国の場合は,勿論,大人口を養うための食糧問題が大きな脅威にさらされていることである。また,今回シン首相自身が代表団を率いてバリに入ったインドについては,7500kmに及ぶ海岸線からの数百万人の移住が必要となり,更に北に控えるヒマラヤの氷河のとけ出しで平野に流れ込む河川の氾濫やその反動による渇水など,被害が極めて大きいはずだ,とその努力を促している。

●豪新政権発足,ラッド首相,京都議定書批准手続きに着手

動きは早い。ラッド首相初の外遊がバリ島であった。昨日のテレビにも出ていたが,「京都議定書の年内批准を目指した手続き着手を指示した。」,との会議冒頭での発言で,満場の拍手喝采を受けたわけであるが,カメラはパンして米国代表団に向き,「どう?孤独感を感じない?」,と問いかけているシーンは,なかなか面白かった。

●日中経済ハイレベル対話,環境汚染の協力強化で一致

やはり,このレベルの対話が,小泉首相時代に進んでいれば,両国の間の変化はもっと早かったのであろう。国の威信は何にも勝るから致し方ないが,経済界はこの動きに敏感で,両国関係は加速するだろう。京都議定書の問題では,作業部会を設置して参加するよう,日本から呼びかけているし,長江流域など重要水域の水質改善,大気汚染対策などの分野では,関心あるプロジェクトが生まれるだろう。省エネルギーや,グローバルとローカルの問題を結びつけたコベネフィットは既に報じられているが,公的資金も動員されるはずである。


4 その他

●フィリッピン,ミンダナオの25万KW石炭火力,石炭供給で苦境


5 参考資料

2007年12月4日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071204A Philippines, Manila Bulletin
NPCの負債24億ドル,PSALMの処理義務で,IFCが技術支援
IFC to help NPC in debt restructuring
http://www.mb.com.ph/BSNS20071203110448.html
●071204B Philippines, Manila Bulletin
ミンダナオの25万KW石炭火力,石炭供給で苦境
Alcantara group secures coal supply
http://www.mb.com.ph/BSNS20071203110447.html

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071204C Indonesia, The Jakarta Post
バリ国際会議,中国とインドの代表がスポットライトを浴びながら到着
Spotlight on China and India as delegates gather for U.N. global warming summit in Bali
http://www.thejakartapost.com/climate/index.php?menu=stories&detail=7

環境一般

●071204D オーストラリア,日本経済新聞
豪新政権発足・ラッド首相、京都議定書批准手続きに着手
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20071203AT2M0300I03122007.html

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071204E 中国,12月3日10時52分配信 サーチナ・中国情報局
日中経済ハイレベル対話、環境汚染の協力強化で一致
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071203-00000003-scn-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月3日分 ー バリ会議で日本は削減義務なしの対処方針 ー

最後の中国への円借款の署名が行われた。私は,今を去る18年前,1989年,天安門事件の直後のある日,日本が援助を再開するに際しての鉱工業調査団に参加して北京空港に降り立った。空港には私たちを歓迎するための関係官庁の方々が迎えに来てくれていて,荷物も運んでくれる手厚い歓迎を受けた。ホテルではそれぞれの自室に,「日中友好」,と書かれた大きなケーキがおいてあった。翌朝,マイクロバスで出発する段取りになって,ケーキは持ちにくいからと,悪いが,ゴミ箱に捨てて出た。我々のマイクロバスがしばらく進んだとき,「おーい」,と叫びながらジープが追っかけてきた。「ケーキの忘れ物ですよ!」。それから数日の移動中,クリームがべとべとついたそのケーキの管理に悩まされ続けた。

あの時は,十三陵の揚水発電所や九江の火力発電所,などが円借款の対象で,中国政府は一生懸命に説明してくれた。あの時の円借款は,国際社会が中国への制裁を強める中,日本が独自判断で援助開始に踏み切ったので,中国側には随分感謝された。それからも,雲南省の小湾水力計画など,大いに円借款を望まれたが,いつの頃からか,円借款は余り歓迎されなくなってきた。少なくとも1998年の三峡ダムでは,中国は完全に公的資金の支援を断る段階までになってきた。それから10年,遂に円借款が幕を閉じることになった。


1 今日のの概要

第13回気候変動国際会議COP13などが,バリ島で今日から10日間開催,日本は削減義務を課さない方向を選択,米国などの参加を促す構えだが,これに対する批判も多い。インドネシアが,対日LNG輸出を3分の一に削減,自国のLNG転換と中国の影響と思われる。インドネシアでバイオマス盛んだが泥炭層攪乱で,年間20億トンの炭酸ガス排出,人類は一体,何をやっているのか。バリ国際会議への参加者が続々到着,13人の環境大臣の他,オーストラリアのラッド新首相,ノーベル賞のゴア氏など。米国はこの会議に,通商代表一人の閣僚級を送るだけで,失望が広がっている。フィリッピンの電力公社売却入札で,インド国家電網,中国国家電網,など,12月12日が入札日。


2 目次

●ポスト京都,交渉難航か,3日から温暖化対策でCOP13
●インドネシア,対日LNG供給3分の1以下に
●インドネシア,代替燃料製造で熱帯雨林の破壊進む
●バリ国際会議,1万人に上る参加者が続々到着
●温暖化防止バリ会議,米閣僚級出席はUSTR代表のみ
●インド送電公社,フィリッピンの送電公社売却へ入札態勢


3 本文

●ポスト京都,交渉難航か,3日から温暖化対策でCOP13

10年前に京都議定書が議決された京都は,バリ会議の成り行きを見守っている。今回の最大の転換は,先月下旬にリークされた日本政府の対処方針案であろう。英文の紙で,「極秘」,の判が押してあったという。その内容は,先日もこの欄で触れたが,削減義務には一切触れず,前回京都議定書を批准しなかった米国や,その後経済成長を遂げて新たな排出国になった中国やインドを,少なくとも議論の場に引っ張り出すことに際ぢの眼目をおいたもので,NGOなどからは,日本政府自ら京都議定書の精神を葬り去るのか,と嘆きの声が聞かれる。

京都議定書は厳しく言うならば,最大の排出国米国の不参加と日本などの一部が,削減義務遂行困難と見られるなど,失敗しているのではないか見られている。しかし,依然として欧州の各国は,懸命に,或いは余裕を持って,京都議定書の義務を粛々と果たしつつあり,この欧州グループの几帳面な成果が,日本の新しい対処方針と,正面から衝突するのは明らかだ。記事では,ブラジルや南アフリカが,京都議定書をそのまま引き継ぐ提案をするとされており,波乱が予想される。

京都議定書の中で枠組みが決まったCDMが,的確の効果を発揮して行くかどうかについては,私は大きな疑問を持っていた。地球の温暖化という規模の大きさが忘れられて,それぞれが精神論に近い小さな努力を強いられる,生活は窮屈になるばかりだ。地球温暖化の一面ではあるが,民生や鉱業などのエネルギー源は電力であり,電力が変革すれば自ずと民生も変革される。だから,原発と水力の組み合わせを重視した電源開発,特に中国やインドの努力が大切で,それに加えて,インドネシア,中国などの森林問題が主流になるべきだと思っている。

●インドネシア,対日LNG供給3分の1以下に

昨日もちょっと触れたが,日本政府がインドネシアの気候変動対策への支援を打ちだした翌日,インドネシア政府は日本に対してLNG供給削減を申し出てきた。それも,日本で使用するLNGの20%をインドネシア産で賄っているところに,3分の一以下に削減するものである。具体的には,2010年〜2011年分を,従来の年間1200万トンから200万〜300万トンに削減する。インドネシア国内の新たなLNG需要と,中国を睨んだものだろう。中国よりのカラ副大統領が主導と,私は思う。

●インドネシア,代替燃料製造で熱帯雨林の破壊進む

この記事を読むと,一体人間は何をやっているのか,訳が分からなくなりますね。日本は年間13億トンの6%s削減を求められて,義務を果たすために必死になって,小さな小さなCDMを求めて技術者が世界を走り回っている。一方,世界の森林の中の泥炭層には,ガス換算2兆トン分の炭素が閉じこめられているが,インドネシアのバイオマス生産でこれが破壊されて年間20億トンの温暖化ガスが排出されているいる,しかもそれは世界の排出国のテーブルには入っていない。これで,「毎日買い物にはエコ袋で」,なんて言うキャンペーンに乗っていられますか。

バイオマスやバイオエタノールの再生可能エネルギーとしての価値には,オーダー的に大いに疑問がある。実際にやっている人は,何キロリッターのエタノールができた,と誇りを持っているが,世界をマクロに見たときには,森林を喪失し,食糧を圧迫し,地中に閉じこめられた炭素を空中に放出して,何の目的でエタノールを生産しているのか,分からなくなってしまう。ポスト京都はもっとオーダーが大きくて本当に地球に効いてくる手段,深林保護,原発開発,水力開発,の3点に絞って,人類は努力を続けるべきだと思う。

●バリ国際会議,1万人に上る参加者が続々到着

この週末には,180カ国から1万人を超す参加者がバリに集結しつつある,と興奮気味に報じている。参加者は,13人の環境関係大臣,5人の元首クラス,オーストラリアの新首相ラッド氏,ノーベル賞のゴア氏などで,初日にはユドヨノ大統領が主催するが,10日間を通してインドネシアのラッチュマット環境大臣が司会する。インドネシアは,森林問題が新たな主要なテーマーであると,張り切っている。


●温暖化防止バリ会議,米閣僚級出席はUSTR代表のみ

これも昨日触れたが,温暖化ガス減少傾向の実績を得て,ブッシュ大統領は,「バリ会議が楽しみだ。」,と期待をかける発言で,その米国の動向が注目されていたが,閣僚級はシュワブ米通商代表部(USTR)代表だけとなって,インドネシアのみならず各国を失望させている。やはり米国は熱心ではないのかと。米国を土俵に引っ張り出す役目の日本政府も,なかなか大変である。

●インド送電公社,フィリッピンの送電公社売却へ入札態勢

インドのサイトからの報道である。昨日も,何のための運用委託か,と疑問を投げかけたが,約40億ドルの資産価値のあるといわれるフィリッピン国家送電公社の維持管理を含めた運用は,25年間,20%の株式保有と同じ形になる,約8億ドルの価値,と言うことか。これにインドの国家送電網PGCILと中国の国家電網,それにイタリー企業,サンミゲールなどのマレーシア企業が入札参加する。入札日は12月12日。昨日,国会は,基本的にこの公社を国が手放さないことを確認している。それにしても,インドと中国の勢いはすごいですね,日本なんか問題にならない。


4 その他

●パキスタン,大規模ダムは,電力や水資源開発として必須である
●フィリッピン,PSALM,パリンピノン地熱など,売却入札を繰り延べ
●アフリカ支援へ官民協議会=7日初会合、TICAD向け提言へ
●ネパール,ウエストセティ水力の推進者,計画が遅れていると
●インドの原発には,もっと多くの専門家が必要
●日中外相が最後の円借款に署名、来年は「関係飛躍の年」に


5 参考資料

2007年12月3日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●071203A Pakistan, The International News
大規模ダムは,電力や水資源開発として必須である
Mega dams vital for meeting water, power needs
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=83901

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071203B Philippines, Manila Bulletin
PSALM,パリンピノン地熱など,売却入札を繰り延べ
PSALM reschedules Palinpinon bidding
http://www.mb.com.ph/BSNS20071202110361.html
●071203C Philippines, Economic Times
インド送電公社,フィリッピンの送電公社売却へ入札態勢
Power Grid Corp, 3 others to submit final bids for TransCo in http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power_Grid_Corp_3_others_to_submit_final_bids_for_TransCo_in_mid-December/articleshow/2587479.cms

ODA一般

●071203D アフリカ,12月1日17時1分配信 時事通信
アフリカ支援へ官民協議会=7日初会合、TICAD向け提言へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071201-00000078-jij-pol

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●071203E Nepal, The Himalayan Times
ウエストセティ水力の推進者,計画が遅れていると
Promoter Delaying West Seti Project: Expert
http://www.thehimalayantimes.com/fullstory.asp?filename=aFanata0va2qzpba5Ra7a8a.axamal&folder=aHaoamW&Name=Home&dtSiteDate=20071202

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071203F India, Economic Times
インドの原発には,もっと多くの専門家が必要
India needs more professionals in nuclear power sector: Kakodar
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/India_needs_more_professionals_in_nuclear_power_sector_Kakodar/articleshow/2587785.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071203L インドネシア,日本経済新聞
インドネシア、対日LNG供給3分の1以下に
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20071202AT2M3003F01122007.html
●071203G Indonesia, The Jakarta Post
バリ国際会議,1万人に上る参加者が続々到着
Bali to welcome some 10,000
http://www.thejakartapost.com/detailheadlines.asp?fileid=20071202.@01&irec=0
●071203H インドネシア,12月1日19時8分配信毎日新聞
<インドネシア>代替燃料製造で熱帯雨林の破壊進む
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071201-00000072-mai-int

環境一般

●071203I バリ会議,日本経済新聞
温暖化防止バリ会議、米閣僚級出席はUSTR代表のみ
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20071202AT2M0100Z01122007.html
●071203J バリ会議,12月2日9時19分配信 京都新聞
ポスト京都、交渉難航か 3日から温暖化対策でCOP13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071202-00000009-kyt-l26

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071203K 中国,12月1日14時39分配信 読売新聞
日中外相が最後の円借款に署名、来年は「関係飛躍の年」に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071201-00000105-yom-pol


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月2日分 ー インドネシアは森林で20億ドル期待 ー

人間,育ち盛りの頃に食糧事情がどうだったか,それによって成人してからも食の好みが大いに違ってくる。国の高度経済成長の時期と資源エネルギー獲得政策について,欧米は戦前だから大いに国策会社を多国籍企業に育てて世界の資源を支配してきた。日本の育ち盛りは,これらの多国籍企業の恩恵で,苦労もしないで安い石油がどんどん入ってきた,少なくとも昭和48年のオイルショックまでは,この安価な石油で我が世の春を謳歌した。

中国とインドは,日本に遅れること25年,石油資源などの枯渇と温暖化問題の中で育ち盛りを迎え,がむしゃらに海外の資源獲得に走る,裕福に育った日本は,そのマナーの悪い獲得競争についていけないお坊ちゃんの感じ。日中境界線上のガス開発もそうだが,このたびは,もっとも大切に育ててきた資源国インドネシアから,対日LNG輸出の四分の3削減を告げられた,それも日本がインドネシアへの温暖化対策支援を打ちだした翌日のニュースである。現在のインドネシアLNGは日本の20%,1200万トンである。親中派に転換したカラ副大統領の笑みが浮かんでくる。


1 今日の概要

明日より開催されるバリの国際気候変動会議,主催国として望むインドネシアは,熱帯林保護の問題に集中して,国内議論がヒートアップ,年間20億ドル流入の,捕らぬ狸の皮算用。日本政府が米国の温暖化枠組みへの囲い込みに苦慮する中,欧州企業を中心にますます厳しい数値目標,法的拘束力まで主張してきた。フィリッピンのアンブクラオ-ビンガ水力はアボリッツが325百万ドルで最高値。フィリッピン国会が,送電公社は売却でなく運用委託だ,と念押し,12月に売却がうまくいかなければ,フィリッピンはピンチ。インドのマガラヤ州の記事は関心があるが,完全に消化できず,また研究しておく。


2 目次

●インドネシアの森林への投入は20億ドルになるだろう
●温室効果ガス,削減に法的拘束力を…欧米中150社が声明
●フィリッピン,アンブクラオビンガ水力の入札,アボリッツが最高値
●フィリッピン国会,送電公社Transcoは,あくまで国有と


3 本文

●インドネシアの森林への投入は20億ドルになるだろう

明日3日から16日まで,インドネシアのバリで気候変動国際会議が開催される。日本政府がもっとも力を入れているのは,何でもいいからブッシュ大統領の米国を,土俵の中に引っ張り込むだけである。昨年の削減実績に気をよくしたブッシュ大統領は,「バリが楽しみだ。」,と言っていたが,蓋を開けてみると,閣僚級の出席は通商部代表だけで,殆どの重要閣僚は,米中経済対話で北京に行ってしまう。インドネシアもがっかりだが,日本も米国の頭越しの対中折衝と,端からのバリ会議軽視の米国に,残念な思いをしているだろう。

そこで,バリ会議で張り切っているインドネシアの森林問題だが,温暖化問題を見据えながら,20億ドルに近い資金の流入を頭の中に描いている。ちょっと数字が合わなくて苦労しているのだが,記事に出てくるボルネオ熱帯林保護機構BTRFの考えでは,1ヘクタールの熱帯林が90〜400トンの二酸化炭素吸収を行う,と言っている。物の本には16トン吸収して12トンの酸素を放出する,と書いてある。私の友人は,年間と木の一生の話との違いでは,と言うのだが,我々は,森もお金も1年単位で話しているはずだ。熱帯林は吸収が多いのか。

いずれにしても,BTRFの計算では,カーボンマーケットで炭酸ガス1トンが3ドルから20ドルで取引されており,100万ヘクタールでは18兆ルピア,換算して20億ドルの価値があるとしている。彼らが言うのは,森林を伐採して木材を売却したり,森林を伐採して鉱山を開発したりする売り上げを越えるお金が動く,というのである。だから,森林の概念を変えよ,森林を保全すればお金になるのだ,と言う自覚を持とう,インドネシアは毎年20億ドル近い収入を森林から得られる,と言っている。政府のロイヤリティまで計算して,森林保全で政府に2.3兆ルピアが入ってくる,と言っている。

●温室効果ガス,削減に法的拘束力を…欧米中150社が声明

これはまた日本政府をいらいらさせるニュースですね。日本政府が今力を入れているのは,「美しい星50」,と言いながら削減義務を棚上げにして米国を土俵の場に引っ張り込もうという作戦なのに,欧州は官民とも,削減義務の強化を主張して譲らない。遂に欧米中の主要150企業が,「法的拘束力」,まで持ち出してきた,中国企業まで入っている,日本は一社も入っていない。どんどん日本は孤立化の方向に走っているように見えませんか。大きなところでは,米国のGE,コカコーラ,ダッチシェル,ノキア,ボーダーフォーンなどである。

彼らの主張は,「気候変動は極めて深刻な社会的,経済的なリスク。放置すれば将来の経済や環境を混乱させかねない。」,と指摘して,基本的な数値は2050年までに50%削減だが,「科学により主導されるべきだ。」,と言う点は合理的である。

●フィリッピン,アンブクラオビンガ水力の入札,アボリッツが最高値

日本の関西電力も意欲を持っている,とされていたフィリッピンの175MW,アンブクラオ-ビンガ水力の資産売却入札の結果である。ノルウエー基盤のアボリッツの入札価格は325百万ドルで,2位はカラカ電力の305百万ドルである。昨年の12月には,このアボリツが360MW,マガット水力を530百万ドルで落札している。175MW,325百万ドル,と言えば,KW当たり約2万円だから,修繕費を8万円ぐらいかけても何とかペイ出来るのかも知れない,8万円といえば,140億円に相当する。

この水力の入札は,なかなか難しかったと思う。両発電所とも,新設から50年以上が経っており,普通ならば耐用年数が過ぎた工作物である。でも修繕費をかけることにより幾らでも耐用年数は増やせるが,この二つの発電所には今後相当のお金がかかることと,入札条件の中に,出力を20〜30%増やせ,と言う条件が入っている。私に,「資産売却にうつつを抜かすフィリッピン」,と揶揄されるのが怖いので,拡張を条件にしたのだろう。

●フィリッピン国会,送電公社Transcoは,あくまで国有と

「資産売却にうつつを抜かすフィリッピン」,は送電公社まで売却の対象としているわけだが,これは分かっているように,資産売却ではなくて運用委託とも言うべきものである。5度も入札して失敗している。今度行われる12月12日のオークションで失敗すれば,もう駄目だろうといわれている。ここで国会は,もう一度,売却ではないぞ,と念押しにかかった。30億ドルが目標値である,対象は運転と維持管理のみである,25年間。

発電所の売却は理解できる,それは発電の自由競争市場を創り出すため,と言う大義名分がある。しかし,この送電公社の運用委託は,少し分かりにくい,どこに国の便益があるのか。25年間かかって稼ぎ出す現在価値30億ドルが,一挙に現金として政府の手元に入る,と言う現金主義なのだろうかそこまで見込みがあるなら,銀行だって30億ドルを貸してくれると思うのだが。


4 その他

●中国,「石炭産業政策」公布,13の大型炭鉱基地建設へ
●インド,東北のマガラヤ地区,水力プロジェクトの遅れで苦境
●インド,東北のマガラヤ,水力ポテンシャル調査へ
●インド,リライアンス,クリシュナパットラム大規模火力,手中に


5 参考資料

2007年12月2日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●071202A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン国会,送電公社Transcoは,あくまで国有と
Transco ownership remains with gov’t
http://www.mb.com.ph/BSNS20071201110259.html
●071202B Philippines, Water Power
アンブクラオビンガ水力の入札,アボリッツが最高値
SN Aboitiz Power highest bidder for Ambuklao-Binga auction
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectioncode=130&storyCode=2048013

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●071202C India, The Telegraph
東北のマガラヤ地区,水力プロジェクトの遅れで苦境
Power dept under scanner
http://www.telegraphindia.com/1071201/asp/northeast/story_8614538.asp
●071202D India, Economic Times
リライアンス,クリシュナパットラム大規模火力,手中に
RPL bags Krishnapatnam power project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/RPL_bags_Krishnapatnam_power_project/articleshow/2586532.cms
●071202E India, Economic Times
東北のマガラヤ,水力ポテンシャル調査へ
Meghalaya set to exploit its hydro-electric potential
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Meghalaya_set_to_exploit_its_hydro-electric_potential/articleshow/2584809.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071202F Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアの森林への投入は20億ドルになるだろう
Indonesia could net US$2 billion from forest conservation
http://www.thejakartapost.com/detailbusiness.asp?fileid=20071130.L01&irec=0
●071202G 欧州企業,11月30日22時5分配信 毎日新聞
<温室効果ガス>削減に法的拘束力を…欧米中150社が声明
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071130-00000173-mai-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071202H 中国,「人民網日本語版」2007年11月30日
「石炭産業政策」公布 13の大型炭鉱基地建設へ
http://j.peopledaily.com.cn/2007/11/30/jp20071130_80462.html


ー 日刊アジアの開発問題 2007年12月1日分 ー 日本政府が温暖化でインドネシア支援へ ー

モルジブでディーゼル発電の仕事をしていた頃,カウンターパーツの一人が,「温暖化による海面上昇で国がなくなるかも知れない。私は子供達のために,大陸であるスリランカに土地を買ったから安心だ。」,と話していた。「ほう,それでスリランカの山の上に買ったのかね?」,と聞いたら,「いや,やはり我々は海のそばが住むにはいいですね。」。

熱帯林の問題で張り切っているインドネシア,今朝のニュースでは,バリのCOP13で議長国として独自の提案をするという,すなわち,2030年までに温暖化ガス排出量を40%削減する,と言う数値目標である。インドネシアが受ける海面上昇の影響は大きい。記事によると,インドネシアは17000以上の島があるが,2005年〜2007年の間に24の小島が水没したという,30年後に海面が90cm上昇すると,2000近い島が消えると言われている。それにしても,安倍首相とともに消え去った,「美しい星50」,や欧州の80%削減案,インドネシアの30%,皆好きなことを言っている。


1今日の概要

福田首相は,地球温暖化へ20億ドル支援を約束したが,今日はインドネシアへの具体的な支援が決まって,地熱発電など円借款で100億円が予定された。石炭火力で中国に牛耳られるインドネシアの電源開発であるが,ジャワ西部でJBIC支援の元,日本企業もムワラタワール増設などで丸紅を中心に健闘している。日中環境基金が設立され,円借款なき後の対中協力として植林事業などが予定されている。石油鉱業連盟の発表の中で,可採資源量としては68年,天然ガスは98年とし,石油後の天然ガスの時代を予測している。


2 目次

●温暖化対策,インドネシア支援へ,政府,資金メカニズムで初
●インドネシア,丸紅,西ジャワ発電所拡張事業を受注
●日中環境基金,両国政府が設立へ,円借款の代替支援
●世界の石油,枯渇するまであと「68年」


3 本文

●温暖化対策,インドネシア支援へ,政府,資金メカニズムで初

「美しい星50」,は消えていなかった。あの時の構想の中の一つが資金メカニズムだという。100億円というのは決して多いわけではないが,この前のシンガポールの会議で福田首相が提案した20億ドル規模の支援の一環でもあるのかな。結局,円借款の枠組みの中での資金支援ではあるが,今回は地熱発電設備の拡張だという。深林保護の問題も含めて協議中であるとの話である。インフラ支援は非常にわかりやすいが,森林保護の支援となると,プロジェクト形成が難しいので,地熱発電が先行したのだろう。

それにしてもインドネシアは,バリ会議を目前に控えて張り切っている。新しい削減目標,2030年までに30%削減,と言う数値目標を掲げ,先進国からの資金が大量に流入して来るという前提で,国内全体が沸き立っている。一昨日の本欄でも取り上げたが,森林のリハビリに230億ドルが必要,と大風呂敷を広げた。いずれにしても,インドネシアのこと,資金の流れの管理だけはしっかりとお願いしたいものだ。

●インドネシア,丸紅,西ジャワ発電所拡張事業を受注

ジャワ島西部に位置するムワラタワール,スララヤ,タンジュンプリオク,などの火力発電所は,いずれも日本の円借款華やかなりし頃の対象発電所で,今や中部や東部の石炭火力新設が中国の主導権で進められている中,過去の発電所サイトのリハビリや増設は,依然として円借款の対象で,日本の企業も,丸紅や三菱重工を中心に大活躍である。丸紅は,スイスのアルストムと協力して,ムワラタワール24万KWガスコンバインユニットの契約を手にした。完工予定は2010年6月である。

このムワラタワール周辺のガスコンバインであるが,元々燃料は沖合にある油田の随伴ガスが使われていたはずである。ところが最近,このガスが枯渇してきて運転がままならず,高速油を燃やすなどして効率が落ち,電力危機の原因にもなっていた。JBICの支援で,南スマトラからのガスパイプラインが完成し,ガス供給が好転したことが,これらのプロジェクトを活かしたのだろう。東ジャワにも同じような悩みがあるが,そこはLNGを使わざるを得ず,今後の問題である,と理解している。

この記事の後ろに,電気料金のことが触れられている。燃料高騰に伴う電気料金の値上げについては,自動調整でもって商業用などに限られて値上げしてきたが,プルノモ大臣の発言で,この自動値上げ方式を民生にも適用したいとしている。従来は,電気料金の値上げには敏感なインドネシア民衆であったが,政治も落ちついてきたのか,社会は意外に平穏である。


●日中環境基金,両国政府が設立へ,円借款の代替支援

1990年代の円借款やJICA協力は,必ず中国側から,日中の共同プロジェクトである,とよく言われた。こちらは援助のつもりで行っているのであるが,中国側はあくまで日中合作である。中国側はこれだけ出しているのだから,日本はもっと出しなさい,と言う調子で随分調子が狂ったものである。この日中環境基金はまさしく,日中合作で,日本にも影響のある砂漠化防止などを対象にするという。

この砂漠化防止の主体は植林事業である。森林の造成は,ポスト京都の重要テーマーであるが,アジアの森林問題は二つしかなく,それ以外は殆ど量的には地球への影響はない。重要な二つとは,毎年180万ヘクタールが減少し続けるインドネシアの熱帯林と,毎年450万ヘクタールが増え続ける中国の植林事業である。今日の記事では,日本政府がこの重要なテーマー二つへ資金協力するという意味で重要である。

●世界の石油,枯渇するまであと「68年」

昨日の石油鉱業連盟の発表と同じものだが,少し書き方が違うので再確認。既確認埋蔵量で現在の生産レベルで37.6年が昨日の記事。技術革新などによる採掘量の拡大で16.6年,未発見資源で13.9年分と予想するもので,未発見資源量が縮小しているうえ,中国やインドを中心に石油需要が急増したため,枯渇への”カウントダウン”が早まって68年,となっている。なお,確認埋蔵量は1兆1,138億バレルで,可採資源量が3兆380億バレルとなっている。

なおこの記事では天然ガスも記されている。天然ガスの枯渇年数は98年と予想,うち,既に確認されている埋蔵量で50.7年分,技術革新で30.2年,未発見資源で17.32年と試算,将来は石油を天然ガスが補うと予想する。私の言う無機説では無限。


4 その他

●タイ企業バンプーとラチャブリ,ラオスのホンサ石炭火力で調印
●中国企業CMEC,ラオスのホンサ石炭火力請負で,契約獲得
●国際石油開発帝石、インドネシアで天然ガスの生産を開始


5 参考資料

2007年12月1日分

電力一般


●071201A 石油鉱業連盟,11月29日20時19分配信産経新聞
世界の石油、枯渇するまであと「68年」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071129-00000969-san-ind

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●071201B Laos, Bangkok Post
タイ企業バンプーとラチャブリ,ラオスのホンサ石炭火力で調印
Banpu, Ratchaburi seal deal with Vientiane
http://www.bangkokpost.com/Business/30Nov2007_biz46.php
●071201C Laos, Antara News
中国企業CMEC,ホンサ石炭火力請負で,契約獲得
Chinese firm CMEC wins tender to build power station in Laos
http://www.antara.co.id/en/arc/2007/11/29/chinese-firm-cmec-wins-tender-to-build-power-station-in-laos/

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●071201D インドネシア,11月29日20時10分配信レスポンス
国際石油開発帝石、インドネシアで天然ガスの生産を開始
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071129-00000028-rps-ind
●071201E インドネシア,11月30日8時2分配信産経新聞
温暖化対策,インドネシア支援へ,政府,資金メカニズムで初
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071130-00000092-san-soci
●071201F インドネシア,11月30日8時0分配信 NNA
【インドネシア】丸紅、西ジャワ発電所拡張事業を受注
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071130-00000005-nna-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●071201G 中国,11月30日2時31分配信 毎日新聞
<日中環境基金>両国政府が設立へ 円借款の代替支援
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071130-00000012-mai-pol


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