2008年3月31日更新
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ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月31日分 ー世銀は建前と本音が違いますので

「世銀は建前と本音がどうもいろいろ違いますので」,と説明しているのは,1994年11月9日の国会,国際問題に関する調査会で,木庭代議士の質問に答える参考人,元横浜国大の鷲見一夫教授である。私が,初めてビルマで海外の仕事を始めた頃,世界の世論はインドのナルマダダムで燃えていた。鷲見さんはODAによるダム建設反対の急先鋒で,我々には売名的,とさへ映った激しい扇動家であった。世界銀行は,一応プロジェクトの犠牲者も受益者でなければならない,と言っているが,世銀のやっていることは必ずしもそうではない,と鷲見さんは言っているわけである。

我々もそのころに,インドネシアのダム建設を具に見ていたが,我々が海外のダム建設に参戦する前の状態は,話は少し大げさだが,まずダムを建設して水を貯める,そうすると水位が上がってくるので住民が逃げてくる,柵を作って逃げる住民がある特定の箇所に集まるようにしておいて,そこに係員が待ちかまえていて,一人に一枚づつの五百円札を渡して,それで終わり,と言うわけである。大体五百円札と言うところから怪しい話だが,まあそれに近いやり方であったのだろう。

ナルマダを見ていて感じたのは,やはり決定的に水没補償費が少ないことで,今のように情報公開して住民納得の上で補償をしないから問題が発生し,国際的な環境グループの出番が来てしまう。そういう点で,時間はかかったが,ラオスの世界銀行主導のナムテン2水力の情報公開の方法がこれから主流になると思われる。しかし問題は最近の動きで,サルウイーン河のダム開発で,ミャンマー政府の住民への対応が問題となっており,更に,中国がカンボジアのダム開発に進出するに際しては,チャイアレンやサンボールのダムで,情報公開不足が問題になっている。

ナルマダで感じるのは,あれほど環境で燃えていたインドが,今どうして環境に無関心なのか,不思議でかなわない。数年前にインドを訪問したときも,電力省が基本方針を策定していたが,英文の基本方針は誠に美しく,日本に持って帰りたい気持ちまであったが,環境が抜けている,環境が書いてないけれど,と質問したら,州政府からも指摘を受けて今修正しているところだという。石炭火力の大気汚染問題も,インドはまだ静かである。

ナルマダ川の流域図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08033101narmadam.jpg
ナルマダ河,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08033102narmadaG.jpg


1 今日の概要

●インドのナルマダ川流域総合開発,久しぶりにナルマダのニュースであるが,1993年に世界銀行や日本政府の援助が打ち切られてからは,インドが独自の予算で開発を続けている。今回は3つの水力,合計65MWの水力の着工が決まった。●日本訪問中のインドネシアのエネルギー大臣プルノモ氏は,日本の大阪ガスなどとのLNG契約で価格交渉が妥結した,と公表した。百万Btu当たり10ドル程度と推定される。


2 目次

●インド,ナルマダ渓谷の三つの水力プロジェクト,NHDCが開発へ
●インドネシアと日本,2011年までのLNG供給で合意


3 本文

●インド,ナルマダ渓谷の三つの水力プロジェクト,NHDCが開発へ

久しぶりにナルマダ河の名前を聞いた。あの激しかった反対運動は,丁度私が海外を目指した頃で,すごく印象に残っている。ナルマダの日本語のページを開いて年代を確かめてみた。1940年代に提唱された河川一貫総合開発計画であるが,1970年代終盤に始動した,と書かれている。私が初めてビルマに入る頃で,タイのサマック大尉がバンコクで軍事クーデターを仕掛けた頃である。

流域内に3200ものダムを建設する計画であったが,最大のものはサルダール・サロヴァール計画で,世界銀行を初め日本の円借款もこれを支援することで進んでいたが,国際社会も巻き込んだ激しい反対運動が起こり,結局,世界銀行が1993年に支援を打ち切り,日本政府もこれに従って支援を打ち切ったが,その後は,インドが独自の資金で開発を続けてきた。

今日の記事では,三つの水力発電所が新たに着工することとなり,これをNHPCとマディアプラデッシュ州政府との合弁であるNHEDCが企業主となることになった。20MWのラガブプール,25MWのロサラ,20MWのバサニアの3水力プロジェクトである。電力取引公社PTCが,既にその電力を引き取ることに同意している。

ナルマダ開発庁NVDAのホームページ
http://nvda.nic.in/
ナルマダダム,日本のページ
http://www.indochannel.jp/society/environ/04.html
フレンズオブナルマダ,反対派のホームページ
http://www.narmada.org/
ナルマダ川の流域図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08033101narmadam.jpg
ナルマダ河,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08033102narmadaG.jpg

●インドネシアと日本,2011年までのLNG供給で合意

日本を訪問しているプルノモ担当大臣は,大阪ガスや東邦ガスなど日本6社との間で2011年までのLNG供給計画が合意したと発表し,「妥結した価格は,インドネシアにとってプロフィッタブルである,と説明している。プロフィッタブルと言うのは,インドネシアにとってあまり良くない,と言う表現だろう。英語がアンダスタンダブルと言うのは,せいぜい理解できる程度,と言う意味だから。

つい先日までのLNG価格は,百万Btu当たり7ドルから8ドルと聞いていたが,この記事によると,世界的な価格のレンジは9ドルから10ドルとされており,インドネシアは10ドル程度で合意したかの印象で記事は書かれている。インドネシアと日本は,10年間の供給基本計画があり,最初の5年間は毎年300万トン,後の5年間は毎年200万トン,価格は毎年交渉する契約になっている。

インドネシアのLNG政策,国内需要の増加で混迷
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/0/674/200605_077t.pdf


4 その他

●インド,NHPC,シッキムのティースタ第5水力,運転開始
●インドネシア,ジャワ島のセプ油田ブロック,まだ土地の手当つかず


5 参考資料

2008年3月31日分

インド

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080331A India, Economic Times
ナルマダ渓谷の三つの水力プロジェクト,NHPCが開発へ
Three hydel projects of Narmada Valley to be assigned to NHEDC
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Three_hydel_projects_of_Narmada_Valley_to_be_assigned_to_NHEDC/articleshow/2909610.cms
●080331B India, Economic Times
NHPC,シッキムのティースタ第5水力,運転開始
NHPC commissions all 3 units of Teesta-V
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/NHPC_commissions_all_3_units_of_Teesta-V/articleshow/2909724.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080331C Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアと日本,2011年までのLNG供給で合意
RI, Japan agree on LNG price until 2011
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/29/ri-japan-agree-lng-price-until-2011.html
●080331D Indonesia, The Jakarta Post
ジャワ島のセプ油田ブロック,まだ土地の手当つかず
Cepu project faces land clearance woes
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/29/cepu-project-faces-land-clearance-woes.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月30日分 ー開発派には夢であり環境派には悪夢

「開発派には夢であり環境派には悪夢」,と表現したのは,週末にビエンチャンで開かれているメコン沿岸諸国のGMS首脳会合を報じたバンコクポストである。メコン上流ランサン河でダム開発を続ける中国が針のむしろに座らされるのか,と思ったが,世論の動向は,会議の前に広がって来た下流本流のダム開発への懸念で満ちている。

中国の経済的南進が,メコン流域に大きな影響を与えているが,それに呼応してかどうか,経済成長重視,インフラ開発重視のタイのサマック内閣の誕生も,メコンの水資源開発に大きな影響を与えている。中国は,正式なペーパーに,カンボジア,プノンペン直上流のサンボールダム計画の調査開始のカンボジア政府との合意を報じている。また,サマック首相は,ラオス政府との間で,ラオス南部のバンクムダム調査開始を合意している。

消えた亡霊が再びメコンの上空を漂い始めた,本当に開発するつもりで首脳達はビエンチャンに来たのだろうか,と思ってしまう。環境保護,貧困撲滅,などの美辞麗句を重ねながら,今彼らの頭の中にあるのは,東西及び南北回廊の道路網建設であり,メコン河の豊富なエネルギー資源,水力ダムの開発である。

私も当然開発派に属するが,私には一定の信念がある。例えば,100万KWの電力を得るためだけに,メコンの本流のど真ん中にダムを建設する,と言う思い切った計画をする必要があるかどうか,疑念を持ちながら,電力を得るためだけならば,例えばナムテン2水力のような,局限された領域で自然の落差を有効に利用して行く道が,メコン流域の中には幾らでもあるのではないか,と思うわけである。

しかし,電力を離れて,河川の水資源を有効に利用するために適した本流ダム開発もあるはずだと思う。それは,河川の下流ではなくてむしろ上流のはずだ。だから,メコンの場合は,今中国が建設中の大きな池容量を持つ小湾ダム計画を,メコン沿岸諸国で協調して如何にうまく利用するかを議論すべきだろう。小湾計画は,うまく利用すれば,メコン下流の渇水量を倍増してくれるのである。

中国雲南省小湾ダム計画の報道
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20010417_01.html


1 今日の概要

●週末,ビエンチャンで開かれているメコン沿岸諸国会議,美辞麗句を重ねる中国発の記事とは別に,再び下流地域の本流で開発が話題になっているバンクムなど,環境団体の悪夢が続く。●インド国家送電公社が,ADB,世界銀行からそれぞれ6億ドルの借款,主として北東地域の水力電力を西へ運ぶ送電網の補強である。インドは政府保証で応える。●ミャンマーのタマンティダム計画,インドのNHPCが放棄する前の段階で,ミャンマー政府の期待に満ちた記事があった。


2 目次

●メコングループ,持続的発展へ海図作成へ
●メコン沿岸諸国,開発への機会と挑戦へ
●ビエンチャンで大メコン経済圏首脳会議開催
●メコン本流のダム計画ラッシュ,環境グループが警告
●メコン本流,ドンシャンダム計画,カンボジアなどに衝撃
●インド国家送電公社,ADBと世界銀行から,12億ドル借款
●ミャンマー最大のダム計画,タマンティ,設計が完了へ


3 本文

●メコングループ,持続的発展へ海図作成へ

アジアの記事はメコン一色である。これはバンコクポストの記事であるが,概して,調和と強調,持続的発展,地域の福祉,環境保護,メコン漁業への関心,など美辞麗句を重ねて,メコン沿岸6カ国が週末を期してビエンチャンに集合する意義を強調している。特に,今回のこのGMS首脳会議には,中国の温家宝首相が,このGMSを通じて東南アジア諸国との経済的絆をより含めようとしている意図が明確である。

いろいろな記事を読んでみると,参加者の思惑は二つ,道路とダム,である。道路については,既に日本政府が外務省を中心に,メコン下流の関係国を東京に招いて,東西回廊,即ち,中部ベトナムからラオスを通過しメコンを渡って,バンコクまでの道路,運輸の支援を明確にしたが,これは今回のGMS会議で中国が主導したいとしている,メコン川に沿っての南北回廊の整備に対抗するものであった。

もう一つの内外の関心は,メコンに関わるダム建設である。ここ記事では,メコン流域には89の既設のダムが存在し,更に179のダムプロジェクトが,何らかの形で進められている現状にある,と説明している。まだ明確には表の議論にはなっていないが,参加者の頭の中にあるのは,上流の中国領ランサン河で進むダム開発で,萬湾,大頭山の既設のダムに続き,大規模な小湾ダムが工事中である。

メディアの論調は,最近になって話題になってきた,メコン下流域本流でのダム開発である。上流では,明確でないが中国とベトナムが協力するルワンプラバン上流のダム開発,下流では中国がカンボジア領内で調査を始めるサンボールダム計画,既にマレーシア企業が建設を表明したコーンの滝付近のドンシャン計画,更に,このGMS会議の直前に,タイのサマック首相が発表したバンクムダムの構想である。

このダム開発に関してこのバンコクポストは,記事の中間頃に,ベトナムの例を取り上げている。私も調べてみないとよく分からないが,メコンの一部のリーダーは,どの様なアプローチでダム開発を進めるべきか真剣に考え始めた,として,ベトナムのクワンナム県のブギアツボン流域のリーダーの方法を採り上げている。恐らく住民との対話のアプローチだと思う。調べてみよう。

ADBの大メコン圏のホームページ
http://www.adb.org/GMS/default.asp
メコン河の概要地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032801.jpg
私の2001年,ランサン河訪問の記録
http://my.reset.jp/~adachihayao/ChinaB.htm
GMSの道路網構想
http://my.reset.jp/~adachihayao/08033001road.jpg

●メコン沿岸諸国,開発への機会と挑戦へ

中国側の論調で,それこそ美辞麗句を重ねているが,特に大きな論点はない。強いて挙げれば,域内に存在する貧富の差をどの様に克服しながら開発を続けるかが大きな課題,としている。

●ビエンチャンで大メコン経済圏首脳会議開催

これも中国側の記事であるが,総じて中国側の記事は,美辞麗句を重ねて,無難にGMS会議を乗り越え,中国のプレゼンスを強調しようと考えているようだ。上流のダム開発については,一言も言及していないことが,共通している。

●メコン本流のダム計画ラッシュ,環境グループが警告

本流沿いのダム計画が,原油価格の値上がりとともに,再び計画のテーブルに上がってきたことに,環境グループが当惑していることを主題にしている。勿論,原油価格がバレル100ドルに達したことも大きな原因ではあるが,世界各地でダム開発を主導するようになってきた中国の経済力の影響が大きい。中国にしてみれば,なぜ下流でダムを開発しないのか,と言うことであろう。

特に,ルワンプラバン上流の計画(実はこの上流の計画についてははっきりしていない)から始まって,下流のカンボジア領内サンボールダムの調査を開始したことと,タイのサマック首相が,ラオス南部のバンクム計画の調査開始を表明したことが,大きなインパクトになっている。

環境グループの関心は,流況の変化と魚類への影響に集約されている。特に最近のメコン委員会の関心は,大いにメコン河の漁業にかかってきている。この記事では,「開発派にとっては水力開発の夢の実現であり,環境擁護派にとってはまさしく悪夢である。」,と表現している。

●メコン本流,ドンシャンダム計画,カンボジアなどに衝撃

カンボジアのフンセン首相は,一日かけて今回のビエンチャンでのGMS会議に出席する意向である。出発直前に彼を襲った大きな衝撃は,タイとラオスが,上流のバンクムでダム計画を調査開始と合意したこと,また,カンボジアの国境直北のコーンの瀧で,マレーシア企業がドンシャンダム計画を開始したことである。

しかし,フンセン首相も,既に中国と,河川に大きな影響を与えるサンボールのダム計画の調査開始を同意しているので,同罪といえる。今回急遽下流域のダム開発が問題となった背景には,情報が公開されていないという点がある。例えばラオスのナムテン2などは,世界銀行の圧力で完全な情報公開に踏み切ったが,中国が入ってくると,ほとんど情報が公開される前に,当該政府が約束を重ねて言っていることだろう。

●インド国家送電公社,ADBと世界銀行から,12億ドル借款

インド北辺の水力開発はポスト京都重要なテーマーだ,と私も主張してきたし,JBICもインド政府の開発方針に対応して円借款での支援を視野に入れている。ここで問題になっているのは,北東地域に偏在する包蔵水力で,これをデリーなどに運ぶためには,長躯2000km以上の距離を送電する必要があり,特に西ベンガル北端,シッキムの南で,バングラデシュとネパールに挟まれた狭隘な地域を送電線が通過する問題がある。

今回,ADBと世界銀行が,インド国家送電公社PGCILに,それぞれ6億ドルの大きな借款を与える決断をしたのは,主としてこの北東地域の電力を運ぶための送電線支援であり,インドは政府保証で持ってこの支援に応える。送電公社は,80万ボルト超高圧直流送電線による北東地域と西地域の連携,同じく80マンボルトの交流送電開閉所の強化を対象にしている。

インドの送電網
http://my.reset.jp/~adachihayao/08033002trans.jpg
インド国家送電公社PGCILのホームページ
http://www.powergridindia.com/powergrid/

●ミャンマー最大のダム計画,タマンティ,設計が完了へ

この記事は少し古いものだが,先日,インドのNHPCが,タマンティダム計画を放棄して,インドとミャンマーのエネルギー協力に大きなマイナスの影響が出る,と心配されている問題があった。その前に,ミャンマータイムスは,2008年初めにもこのダムの結論が出る,と期待に満ちた記事を載せていたのである。

先日のNHPC,タマンティダム放棄の記事
http://www.livemint.com/2008/03/27014021/NHPC8217s-Myanmar-failure-m.html
ミャンマーの主要ダム計画位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032803.jpg
タマンティ多目的ダム計画位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032804.jpg
タマンティ多目的ダム計画,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032805.jpg


5 参考資料

2008年3月30日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080330A Philippines, Manila Bulletin
ミンダナオ北部の132MW水力プロジェクト,組合が協力開発へ
132-MW hydroelectric plant
http://www.mb.com.ph/BSNS20080329120488.html

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080330B Myanmar, Myanmar Times
ミャンマー最大のダム計画,タマンティ,設計が完了へ
Plans for Myanmar’s biggest dam project nearing completion
http://www.myanmar.com/myanmartimes/MyanmarTimes17-331/n010.htm

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080330C Mekong, Bangkok Post
メコングループ,持続的発展へ海図作成へ
The Mekong: charting a sustainable future
http://www.bangkokpost.com/News/29Mar2008_news18.php
●080330D Mekong, Zee News
メコン本流のダム計画ラッシュ,環境グループが警告
New rush to dam Mekong alarms environmentalists
http://www.zeenews.com/articles.asp?aid=433056&sid=ENV&ssid=26
●080330E Mekong, China View
メコン沿岸諸国,開発への機会と挑戦へ
Mekong countries facing opportunities and challenges in development
http://news.xinhuanet.com/english/2008-03/28/content_7875250.htm
●080330F Mekong, IPS News
メコン本流,ドンシャンダム計画,カンボジアなどに衝撃
CAMBODIA Planned Lao Dam Raises Concerns on the Mekong
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=41766
●080330G Mekong, China View
ビエンチャンで大メコン経済圏首脳会議開催
Backgrounder Greater Mekong Subregion (GMS)
http://news.xinhuanet.com/english/2008-03/28/content_7875209.htm

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080330H India, Economic Times
インド国家送電公社,ADBと世界銀行から,12億ドル借款
Power Grid signs for $1.2 bn loan from ADB, World Bank
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Power_Grid_signs_for_12_bn_loan_from_ADB_World_Bank/articleshow/2907779.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080330I China, Water Power Magazine
大唐電力,水力発電開発へ,走る
Datang moves ahead on hydro projects
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectioncode=130&storyCode=2049242


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月29日分 ーEVNの提案を政府が無視したためか

「EVNの提案を政府が無視したためか」,停電に苦しむベトナムのメディア,記者が,副首相にまで上ってきたホアンチュンハイさんを問いつめると,ハイさんは,「ノー,政府はどれだけこれまで民間投資とのもめ事を解決してきたか」,と反論した。ハイさんは数年前までEVNの総裁をしていて,JICA調査団で良くお会いしたが,周りの人は,この人は首相になる人だから,と念を押していた。

数年してお会いしたときには,既に工業大臣に昇進していて,私は今後の民間投資の見通しについて意見を聞いたことがある。自分では当時としては鍵になる質問だったと記憶しているが,何だったか忘れた。「アダチサン, 久しぶり」,と言いながら,通訳を通してなので何かとんちんかんな問答になったことを覚えている。そのハイさんは,今日の記事で見るとおり,副首相の地位にある。

しかしベトナムのメディアも成長したものだ。副首相に対して,政府の失態ではないのか,と問いつめる当たりは,昔のベトナムとは違う。しかし,2003年頃は,確かJICAも専門家などを通じて,長期電源開発計画策定に関与していたが,あのころから,2007年の電力危機は予測されて,随分ベトナムも手を打ってきたはずである。

今日の記事の中で,例えば石炭火力,中国は18ヶ月で完成するのに,ベトナムはなぜ5〜7年もかかってしまうのか,と。確かに中国は早い,そういう点では,やはりベトナムの官僚制度は,まだまだ民間開発に慣れていないと言うことか。


1今日の概要

●中国外務省が,GMS首脳会議を前に,GMSカントリーレポートを発表,サンボール水力の調査合意も記述。●GMS首脳会議を前にして,タイを中心jとした環境グループが,メコン河委員会事務局長に手紙,下流本流開発気運盛り上がりで,事務局はその役割を認識せよと。●ウラニューム不足に悩むインド,商務大臣がナンビア訪問で,ウラニューム確保を視野に。●パキスタンのムンダ多目的ダムの遅れの複雑な事情。●ベトナムの電力不足は誰の責任か,メディアの追及は厳しい。


2 目次

●中国の大メコン経済圏参画に関する報告書全貌
●市民グループ,メコン委員会に警告,ダム開発の脅威で
●インド,原子力活性化のために,ナンビアのウラニュームを視野
●パキスタン,ムンダ多目的ダムの着工遅れ,すべての責任は政府にある
●ベトナム,電気が足りない?そんなことは前から分かっていた!


3本文

●中国の大メコン経済圏参画に関する報告書全貌

中国外務省の公式な報告書で,今週末にビエンチャンのGMS6カ国首脳会議で報告される内容なのであろう。中国と他の関係国の通商など,数字的には新しいデーターで説明されていてわかりやすいが,当然のことながら美辞麗句を重ねた儀礼的いな内容である。少なくとも,今問題となっている雲南省での中国のダム開発については,全然触れてない。

ただ抽象的に,域内のエネルギー連携の必要を強調している。電力協力で触れられているのは,2004年のベトナムのラオカイとの22万ボルト送電線による電力融通開始,ラオスのナムタ第1水力の調査開始,ベトナムのビンタン石炭火力開発へのBOT協力,カンボジアとの300万KWサンボール水力開発の調査,チャイアレン水力への協力,などで,ミャンマーでのダム開発協力は一言だけ触れている。

私にとって新しい事実は,カンボジアの本流開発,サンボール水力300万KWの可能性調査に中国が着手した,と言うことで,このことについてはほとんど明らかにされていなかった。これは一つの事件で,古くは日本工営が膨大な報告書を作成しているし,メコン委員会も調査を意図したが,実際には動いていない。本流開発,カンボジアはやりたいだろうが大変だ。しかし中国が本気で資金を負担するなら,やってしまうかも知れない。

報告書全文
http://www.fmprc.gov.cn/eng/zxxx/t419062.htm

●市民グループ,メコン委員会に警告,ダム開発の脅威で

週末からビエンチャンで開かれるGMSの首脳会議に際して,21の環境グループが連名で,新任のメコン河委員会MRC事務局長バード氏に手紙を出した。いわば,MRCは本来行うべき機能を全然果たしていないではないか,と言うことなのであろう。現在のMRCは下流の4カ国で形成されているから,GMSよりは範囲は狭いが,下流のメコン河の運用を監視する義務がある,と言うのである。

メコン下流,黄金の三角地点より下流を意味するが,1990年初期には,この地域に8個のダムを階段状に建設する案が進められていた。しかし,1992年にビエンチャンの直上流のローパモン計画が葬り去られてからは,本流開発は放棄されていた。ところが,中国の経済的な台頭とともに,下流での本流開発が再び盛り上がってきた。

それは,マレーシア企業によるコーンの滝のドンシャン計画,つい先日,タイとラオスが調査に同意したバンクム計画,更には今日の中国の報告書によると,下流のサンボール計画が浮上している。MRCは沈黙したままである。私は,メコン下流本流でのダム開発は無理だと思うが,中国主流で押し切ってくると,どう転ぶか分からない状況ではある。カンボジアを見ても,全く情報公開は行われていないから,どんどん走る可能性がある。

メコン河委員会のホームページ
http://www.mrcmekong.org/
バンコクベースの環境団体のホームページ
http://www.terraper.org/home.php

●インド,原子力活性化のために,ナンビアのウラニュームを視野

インドの原子力発電所が,核燃料不足で満足に運転できていない,と言うことを我々が知ったのは,つい最近の話である。NTPCに加入していないインドは,核燃料ウラニュームの調達に苦心している。米国との原子力協定も円滑に行かず,オーストラリアの新政権が,インドへのウラニューム供給を拒絶している。

現在,ナンビアとアンゴラを訪問中の,インド商務大臣ラメッシュ氏の使節団は,ナンビアのアングラ首相と会談し,ナンビアがウラニューム原料を供給する代わりに,インドはIT産業の育成に協力することで合意したようだ。ナンビアは,世界のウラニューム生産の8〜9%を握っているという。

ナンビアのウラニューム鉱山企業のホームページ
http://www.rossing.com/

●パキスタン,ムンダ多目的ダムの着工遅れ,すべての責任は政府にある

何か良く分からないですね。しかし,JICAと日本工営が調査を行ってきたプロジェクトが,今や着工寸前まで来ている,しかもコンサルタントはラメイヤーで,この民間開発への参画企業が,米国や英国の企業だ,と言うのは,アフガン問題とも何か関連しているのですかね。とにかく,パキスタン政府と北西辺境州の関係は最悪で,常にうまくいっていない,これもその一つのもめ事か。

パキスタンの主要ダム位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032901.jpg

●ベトナム,電気が足りない?そんなことは前から分かっていた!

ベトナムはいつも電力不足,なぜなのだ,と先日からこのページでも何度も問題になっている。これだけ計画的で戦闘的なベトナム人が,どうして電力不足に悩まなければならないのか,ベトナム人自身も不思議でかなわないのである。とにかく,電力が危ないぞ,と言うことは数年前から分かっていたことなのだ,それがなぜ,と言うわけである。

記事によると,2003年に,将来,2007〜2010年にかけて電力が不足する,そのために電源開発を促進するための措置が執られた。それは,着工に至る手続きを簡素化することで,事実この措置の結果,多くの水力発電所が早期に着工した,それは,170MWのアブオン,64MWのクワンチ,110MWのプレイクロン,280MWのブオンクオップ,などである。しかし運転開始が遅れている。

EVNの発電プロジェクト位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032902.jpg


4 その他

●インド政府,NTPCの投資制限100億ルピーを廃止
●韓国企業泰光実業、ベトナムの火力発電プロジェクトを推進


5 参考資料

2008年3月29日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080329A ベトナム,3月27日17時4分配信 YONHAP NEWS
泰光実業、ベトナムの火力発電プロジェクトを推進
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080327-00000038-yonh-kr
●080329B Vietnam, English Vietnam Net
電気が足りない?そんなことは前から分かっていた
Lacking electricity? It has been anticipated!
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/03/775507/

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080329C Pakistan, Daily Times
ムンダ多目的ダムの着工遅れ,すべての責任は政府にある
Munda Dam Project MD blames govt for delays
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C03%5C28%5Cstory_28-3-2008_pg7_56

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080329D Mekong, Bangkok Post
市民グループ,メコン委員会に警告,ダム開発の脅威で
Activists concerned over dams
http://www.bangkokpost.com/News/28Mar2008_news09.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080329E India, Economic Times
インド政府,NTPCの投資制限100億ルピーを廃止
No equity cap for NTPC in power ventures
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/No_equity_cap_for_NTPC_in_power_ventures/articleshow/2904948.cms
●080329F India, Economic Times
インド,原子力活性化のために,ナンビアのウラニュームを視野
India seeks uranium from Namibia for enhancing nuke energy
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_seeks_uranium_from_Namibia_for_enhancing_nuke_energy/articleshow/2904924.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080329G China, 中華人民共和国外交部
中国の大メコン経済圏参画に関する報告書全貌
Country Report on China's Participation in Greater Mekong Subregion Cooperation
http://www.fmprc.gov.cn/eng/zxxx/t419062.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月28日分 ーそんなことは水力発電公社に聞いてくれ

「そんな話は水力発電公社NHPCの技術者に聞いてくれ」,と嘯いたのは,ミャンマー駐在のインド大使,ミットラ氏である,誠に不機嫌,NHPCがミャンマー,イラワジ河の要,タマンティ多目的ダム計画の放棄を明確にした直後の記者会見である。今日のこのタマンティの記事,裏側でこのような,エネルギー資源を駆けた熾烈なドラマが進行しているとは知らなかった。

NHPCは,この4月にもミャンマー第2位の地位にあるマウンアイ将軍のタマンティに関するミッションをニューデリーに受け入れる予定をしており,このこともデリーの政界に微妙な波紋を投げかけていた。国際社会が非難するミャンマーの軍事政権を招待することの是非と,ミャンマー沖に眠る膨大な天然ガス資源の駆け引きである。これは,中国やタイの積極姿勢に対抗するための,インドの大きな切り札ではあったが,インドの世論は統一されていなかった。

このタマンティ計画は,私たちが1976年にビルマに駐在している頃からの有名なプロジェクトで,インパール作戦で敗退して逃げる日本軍が,ここでイラワジの水を飲みながらバタバタと倒れ,無惨にも日本人の血が染みこんだ有名な渡河地点で,渡河出来る地点だからこそダムサイトにも好適,と言うわけだろう。ここで時間をかけて技術移転を行いながらダム開発を始めたらどうだろう,と我々の先輩技術者杉木さんも,当時提案していたことがある。

このダムは,洪水に悩み,渇水期には灌漑を悩ませる問題の大イラワジ川の要を握るプロジェクトで,ミャンマー側としては下流の川を治めるために是非とも建設したい,生まれる120万KWの電力は要らないから,勝手にインドに持って帰ってくれ,というわけで,インドも乗り気になり,ミャンマーは積極的に協力して,NHPCの調査となったわけである。

インドが放棄せざるを得なかった大タマンティ多目的ダムプロジェクト,インドが放棄した後はどうなるのか,当然中国は待ちかまえているはずで,ミャンマーは直ちに中国に打診し,中国は諸手をあげてイラワジに繰り出してくるだろう,電力をどこへエバキュエイトすれば良いか,そんなことは中国政府にとってどうでも良いことなのだろう。

ミャンマーの主要ダム計画位置図
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タマンティ多目的ダム計画位置図
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タマンティ多目的ダム計画,グーグルアース
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1 今日の概要

●この週末のビエンチャンで大メコン圏の首脳会議,温家宝首相出席,南北回廊が中心だが,メコン上流の中国のダム開発はどの様な議論が行われるのか。●タイのサマック首相もビエンチャンに乗り込む,圏内6カ国との電力連携計画を持参,買電協定を署名する方針。●インドのNHPCがミャンマーのタマンティ120万KWダム計画を放棄,両国のエネルギー協力に響く。●インドのシン首相が,5月にも民主化後のブータンを初訪問,包蔵3000万KWの水力開発に焦点。●原子力開発のラッシュ,日本企業もこれに対応すべく,準備を進める。●中国も,原子力開発の海外進出を視野に。石炭火力とダムだけではなかった。


2 目次

●中国,東南アジア諸国との会議に出席,GSMなど
●タイ政府,GSM諸国からの買電協定へ署名へ
●インドのNHPCのミャンマーでの水力開発失敗,影響大
●インドのシン首相,民主化したブータンへ初の訪問
●<原発>日本勢が海外進出加速,世界的な新設ラッシュで
●中国,原子力発電での海外進出を視野に


3 本文

●中国,東南アジア諸国との会議に出席,GSMなど

GSM,大メコン経済圏の首脳会議に温家宝首相が乗り込む。GSMはADBの提唱になる構想で,今回この週末にビエンチャンで,ラオス,カンボジア,ベトナム,タイ,ミャンマー,それに中国の雲南省を含めて,6カ国の首脳が集まるわけであるが,中国は雲南省一省が関わるだけの会議であるのに,東南アジア諸国との連携を目指す中国は,温家宝首相自らが乗り込む。

日本は,先日東京に,メコン諸国の外務大臣を集めて,ベトナムからタイに至る東西回廊への積極的な関与を表明したが,それは中国のメコン川に沿っての南下に対抗するものだった。今度のGMSの会議が首脳クラスであり,日本のメコン会議とは規模が違う。東西に走る日本と,メコン川沿いに南北に走る中国とでは,その絡みに既に大きな差が出てくる。

しかし,今回の温家宝首相は,若干苦しい立場にある。それは,メコン上流中国領内のランサン川に既に二つのダムを建設し,更に最大の池容量を持つ小湾ダム計画が工事中で,いよいよ2012年にも完成しようとしているのである。今までこの上流の開発については,公式な協議がなされていないが,温家宝首相が出席するからには,何らかの話題が出る,中国がどの様に対応するか,一様に諸国が注視している。

中国側は,今回の主要テーマーは,昆明からバンコクに至る南北回廊のテーマーが主題,と言っているが,中国の外務次官は,当然上流のダムも問題になるだろう,下流国がいろいろコメントしていることは知っている,としている。しかし私は,なぜ中国がもっと明確に上流ダムの下流への寄与を技術的に説明しないのか,不思議である。中国は,小湾ダムの完成で,下流の流況が改善されることを,もっと説明しても良いのではないか。

ADBの大メコン圏のホームページ
http://www.adb.org/GMS/default.asp
メコン河の概要地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032801.jpg
私の2001年,ランサン河訪問の記録
http://my.reset.jp/~adachihayao/ChinaB.htm

●タイ政府,GSM諸国からの買電協定へ署名へ

タイのサマック首相も,週末にビエンチャンに乗り込む,温家宝首相との顔合わせとなる。出発に際してサマック首相は,GMS諸国からの買電を確認する閣議決定を行い,同行する女性陸軍中将,エネルギー大臣のポーンピロム女史に,関係諸国との署名式に臨ませる。タイは,既にラオスからの買電を始めており,更にナムテン2水力など,大規模な計画を進めているが,雲南省,ミャンマーのサルウイーン河の水力,カンボジアの石炭火力など,話題の買電計画があるわけだ。

記事には書かれていないが,サマック首相は就任早々,メコンからの引水問題を取り上げている。非常に簿妙な発言で,内外からも批判が続出しているが,当然,今回のGMSの会議でも,何も言わずに帰えるわけにはいかないだろう,言った言ったで大変なことになる。賢者がいれば個々で,温家宝首相との間で,小湾計画との連携が協議できるというのに。

ASEANの送電線連携計画
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●NHPCのミャンマーでの水力開発失敗,影響大

イラワジ川上流,タマンティのダム計画地点で,このようなドラマが進んでいるとは知らなかった。インドの国家水力発電公社NHPCが,数年来を駆けてタマンティダム計画の進めていたのだ。このNHPCが,報告書を出してから3年目,遂にこの120万KWの電力をインドへ持って帰ることの難しさを説明して,正式にミャンマー政府に,インドとしてのプロジェクト放棄を表明したのだ。

このプロジェクトは,洪水期に荒れ狂い,渇水期に灌漑困難をもたらすイラワジ川の水を完全にコントロールできるような大規模なダムである。インドがこのダムを開発して電力をインドへ持って帰り,ミャンマーへは洪水調節と灌漑の便益を贈る,この両者の取引は,インドが目指すミャンマーの膨大な天然ガスへの開発協力と絡んで,インドとしては中国への対抗の切り札だったと考えられる。

インド国内では,軍事政権のミャンマーとのエネルギー協力に意見を異にする人たちもいた。今回のタマンティ開発断念が,インドの対ミャンマー政策にどの様な影響を与えるのか,微妙であるが,中国にとってはわたりに船,とでも言いたいところだろう。しかし,この120万KWの電力をどうするのか,ミャンマーではもてあますし,中国に持って帰るには遠すぎる,さて,どうしたものか。

ミャンマーの主要ダム計画位置図
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タマンティ多目的ダム計画位置図
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タマンティ多目的ダム計画,グーグルアース
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●インドのシン首相,民主化したブータンへ初の訪問

今月,総選挙を実施して,前国王主導の民主化を果たしたブータン,インドの首相をして初め首都ティンプー訪問に踏み切らせたようだ。4月10日に隣のネパールで憲法制定国会が開かれ,この新共和国が円滑に行けば,インドの新首相は,5月にもブータンとネパールを同時期に訪問するという。ブータンの包蔵水力は3000万KW,その半分でも開発されれば,今,米国との原子力協定が難航しているインドは,一つの大きなエネルギー協力の前進を見ることになる。

ブータンの水力発電所位置図
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●<原発>日本勢が海外進出加速,世界的な新設ラッシュで

世界全体の稼働中の原発は400基超だが、今後は新設ラッシュを迎える。米国やロシアを中心に,今後10年間で130基以上の新設が予定され,また新興国のインドで20基程度,中国は30基以上,更には東南アジア諸国も計画を急いでいる。地球温暖化の問題が後押しをしている。日本の企業では,原発技術では東芝,日立製作所,三菱重工業の3社が世界をリードし,各地で受注競争を展開している。

●中国,原子力発電での海外進出を視野に

石炭火力とダム建設は中国へ任せておけばよい,なんて言っていると,中国が原子力の商業戦争の中に顔を出してくるのは,そんなに将来の話ではないかも知れない。タイ,インドネシア,ベトナムの原子力開発計画がもっと具体化する頃,後2,3年先には,中国もこの開発競争に顔を出してくるだろう。


4 その他

●インドネシア,日本とのLNG契約,2010年終了,次は値上げの意向
●中国とインドの対比,インドのリスクは中国より小さい
●タイ,円借款624億円に調印,首都圏鉄道整備


5 参考資料

2008年3月28日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080328A Thailand, Bangkok Post
タイ政府,GSM諸国からの買電協定へ署名へ
Govt to sign GMS power buying agreement
http://www.bangkokpost.com/News/27Mar2008_news13.php
●080328B タイ,3月27日8時0分配信 NNA
【タイ】円借款624億円に調印、首都圏鉄道整備
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080327-00000006-nna-int

電力一般

●080328C 原子力発電,3月26日20時3分配信毎日新聞
<原発>日本勢が海外進出加速 世界的な新設ラッシュで
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080326-00000126-mai-bus_all

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080328D India, Live Mint
NHPCのミャンマーでの水力開発失敗,影響大
NHPC’s Myanmar failure may hit India’s energy security plans
http://www.livemint.com/2008/03/27014021/NHPC8217s-Myanmar-failure-m.html
●080328E India, India Stock Market
中国とインドの対比,インドのリスクは中国より小さい
China versus India Not Chindia
http://indiastockmarket.com/News/r032608a.asp

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080328F Indonesia, The Jakarta Post
日本とのLNG契約,2010年終了,次は値上げの意向
Govt wants higher LNG price from Japan
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/27/govt-wants-higher-lng-price-japan.html

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080328G China, Hulic
中国,東南アジア諸国との会議に出席,GSMなど
China to Attend Southeast Asian Summit
http://www.huliq.com/54979/china-attend-southeast-asian-summit
●080328H China, The Hindu
中国,原子力発電での海外進出を視野に
China is looking overseas for Nuclear investment, says report
http://www.hindu.com/thehindu/holnus/002200803262069.htm

ブータン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Bhutan.htm

●080328I Bhutan, Howrah
インドのシン首相,民主化したブータンへ初の訪問
Manmohan to visit a democratic Bhutan in May
http://howrah.org/india_news/8036.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月27日分 ーカンボジアの和平は日本が実現した

「カンボジアの和平は日本が実現した」,と自負するのは日本の外務省を初めとする日本の援助機関の面々である。事実,1992年の和平実現までの過程やその後の選挙,更には荒廃しきったプノンペンの復興を成し遂げたのは,日本のODAであり,更に地方の貧困救済にまで努力してきた中心には,必ず日本のODAがあった。しかし,ここに来て様変わりである。

なぜ日本だけ投資が少ないのか,もう少し中国や韓国を見習ったらどうか,と言うまさに今は昔の感のある今日のフジサンケイビジネスアイの記事である。復興の主役は日本であったのに,今や経済的に離陸しようとするカンボジアを支えているのは中国である,と言うのである。最近のJBICやJICAのアフリカへの姿勢を見ていると,過去の人道支援は,インフラ支援に切り替えられつつある。カンボジアでそれがなぜ早く出来なかったのか,と反省させられるところである。

5年ぐらい遡る,2003年頃,日本はカンボジアで何をしていたのだろうか。私はそのころ,カンボジア西南のココン島に石炭火力を造ってタイに送ろう,フンセン首相に知恵を授けよう,と張り切っていた。JICA事務所で,そんなこと出来ますか,と言われて,まあ麻雀の国士無双の単機待ちみたいな手ですがね,と冗談を言っていた。そのころフンセンさんに会いたかったが,あのころから彼は中国を向き始めたのだ。

今日の記事によると,フンセン首相は5年前から,一生懸命中国との経済協力を取り付けるために動いていたことが書かれている。カンポットのカムチャイ水力が一つのポイントで,あのころ,比較的治安の良いこの地点は,10数万KWもあり,大きかった。日本工営もJパワーも一時は努力したが,全くカンボジア政府の期待に応えられなかった。日本大使館からも拒否された,少し早かったのか。

今日の記事で突然に,カンボジア西南部のチャイアレン水力26万KWが話題になった。あれっ,聞いたことがあるな,と思って1992年頃の私のメモを開いてみると,このプロジェクトはまさに立派なプロジェクトである。カムチャイ水力に目を向けていた頃は,まだポルポトの残党がいて,とてもこのチャイアレンの地域にはいけなかって,頭の中から消え去っていた。Jパワーの誰かは追っかけていたかも知れないが,私の頭から消えていた。

中国の雲南省の送電公社は,フンセン首相の5年に亘る努力で,2006年にはカンボジア政府との間で,チャイアレンの開発協定が結ばれていたという。そうして今,中国のエンジニアーがまさに調査のために現地に入ったとき,地元民には全く知らされておらず,地元民が騒ぎ始めて,IRNなどの国際環境グループも,これは大変,と驚いている。日本政府には,この中国企業とフンセン首相の手品は,とても出来なかったと言うことだ。

1992年,カンボジア,兵士に守られてキリロムのダムへ
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032703.jpg


1今日の概要

●中国企業,カンボジアのダム建設への進出で,環境グループが緊張してきた。●カンボジアのチャイアレン水力,既に2006年に中国企業との間で協定が成立,突然の調査開始で,地元民が騒ぐ。●カンボジアの経済離陸,中韓の進出に比べて日本企業が出遅れる,和平復興は日本が中心であったのに。●中国の対外支援の全貌が発表,2007年は約2兆6千億円相当。●中国の三峡ダムは環境を破壊か?米国の科学誌が長文の論文記事を発表。●フィリッピン,ERC,ルソン系統で10,060,904MW,全国で13,401,522KWである。●世界銀行がインドの送電線に6億ドル支援,開発される水力を円滑に需要地に運ぶため,と。


2 目次

●中国企業のカンボジアのダム開発,情報開示が不足
●中国のダム建設はカンボジアの森林を破壊
●中韓,,カンボジア投資白熱,経済成長年10%,出遅れ日本に現地ラブコール
●中国,対外支援及び借款項目に初の会計検査
●中国の三峡ダムは環境の崩壊か?
●フィリッピン],ERC,電源の市場規模,シーリングを発表
●世界銀行,インドの送電網整備に6億ドル支援


3 本文

●中国企業のカンボジアのダム開発,情報開示が不足

ここ最近,カンボジアの水力開発の記事が賑わしい。この記事は3月23日の記事と内容はほとんど同じであるが,それを何度も取り上げるメディアは,最近の各周辺国,特に中国の動きが早く,これに注目しているのだと思う。前回の表題は,「カンボジア,水力開発で政府は沸き立っているが,NGOなど環境を懸念」,であったが,今日の表題は情報開示の不足に重点を置いている。3月23日の出だしを再録。

珍しくカンボジアの水力開発を取り上げた国際的な記事である。カンボジアの水力ポテンシャルは1000万KWと言われているが,その50%はメコン河本流のダムプロジェクトで,内陸部のポテンシャルは500万KW,そんなに資源に恵まれた国ではない。日本なども,何度も水力開発への挑戦が行われたが,結局何も出来なかった,特に10万KWを越すカムチャイは,折からの民間資本の波に中で埋もれてしまった。

3月23日の記事
http://my.reset.jp/~adachihayao/080323E.htm
カンボジアの水力開発地点位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032301.jpg

●中国のダム建設はカンボジアの森林を破壊

日本政府はカンボジアの和平に積極的な役割を果たし,戦後復興には大きな貢献を行ってきた。しかし,経済成長への離陸の過程では,いつまでも貧困救済や人権に拘って,インフラ建設への指導力は発揮しなかった,と言えるかどうか,とにかく,フンセン首相が,経済発展のための大々的なインフラ構築には,中国の経済力を頼むより他にない,と決心したのは,今から5年前,2003年頃と推測される。

スタンチャイアレン,この名前は私の脳裏に微かに残っている。1992年の私のペーパーを見てみると,そこには立派な水力プロジェクトの痕跡が残っていた。流域面積流域950平方km,出力260MW,流量毎秒116トン,落差163m,ダム高さ55m,ダム長さ1200m,水路長2200m,で便益が飛び離れて良く毎年5300万ドル純益,となっている。当時この地域は,完全にポルポトに支配されていて,私の頭の中からは消え去ってしまっていた。

2年前,2006年には,既にカンボジア政府と中国企業が,この地点の開発を行うことの協定が出来上がっており,最近,中国のエンジニアーが調査に入って,付近住民はビックリしたという。今日の記事では,中国南部電網との協力で,26万KW,工事費が2億ドル,完成が2015年となっている。貯水池が110平方kmと大きく,数千の住民の移住が必要で,環境団体はその自然破壊に懸念を示している。

カンボジアのエネルギー開発,プレゼンテーション
http://www.camdev.org/Publications/RUPP%20Sustainable%20Energy%20Preso%20-%20PDF.pdf
カンボジアのエネルギー開発の戦略,論文
http://www.un.org/esa/agenda21/natlinfo/countr/cambodia/energy.pdf
スタンチャイアレン水力,付近位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032701.jpg
スタンチャイアレン水力付近,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032702.jpg

●中韓,,カンボジア投資白熱,経済成長年10%,出遅れ日本に現地ラブコール

このような記事が出るなど,10数年前には誰が予想したでしょう。カンボジアの和平は日本政府の功績だ,と今でも日本の外務省は信じているし,カンボジアの戦後復興は日本が主導したのだ,と外務省も信じているし,その後のカンボジアの学校を建てたり,農村電化を拡充したりと,貧困削減に尽くしてきたのは日本だ,とJICAも信じている。

しかしながら,いよいよ経済的に離陸しようとしたときには,既に中国が,また既に韓国が,その主導権をとってしまっていて,「出遅れた日本」,などというたわけた話になってしまっている。どうしてこうなってしまうのか。結局国内の景気の問題に帰するのだろうか。

●中国,対外支援及び借款項目に初の会計検査

貴重な記事である,中国の対外支援の全貌が今までよく分からなかったから。中国政府は,2006年の117項目にわたる対外支援及び借款の収支と実施状況について調査を行った。これらの計画投資総額は約1730億元(約2兆6千億円)に相当。うち,49億5200万ドルが外資。支援項目は農業・エネルギー・交通・教育・衛生・都市建設・環境保護など多岐にわたる。日本のODAは幾らですか,7000億円ぐらいではないか。

●中国の三峡ダムは環境の崩壊か?

非常に長文の論文で,米国の科学誌によって書かれたもので,相当に本格的なものだと思う。長文なので今日は読めないが,出だしは,中国政府が三峡の環境は良くコントロールされていると言っているが,必ずしもそうであろうか,と疑問を呈しているので,かなり厳しい内容に鳴っているのだろう。誰か,読んでみてくれますか。

●フィリッピン],ERC,電源の市場規模,シーリングを発表

この記事によると,2007年の設備出力は,全国で13,401,522KWである。グリッド毎の内訳は,ルソン系統が10,060,904MW,ビサヤ系統が1,637,270MW,ミンダナオ系統が1,703,348KW,である。法律によると,発電一企業が持てる発電設備はこれらの値の30%以下,または国全体の設備の25%以下,と決められている。NPCの資産売却の根拠である。

●世界銀行,インドの送電網整備に6億ドル支援

日本の国際協力銀行が,インド北辺の水力開発に関するプロジェクト形成調査を開始したところであるが,これを支援するかのように,世界銀行が6億ドルの送電線増強の支援に出た。世界銀行のコメントは,この送電線増強を通して,開発された水力電源を需要地に送る手段の強化,と謳って,出来るだけ地域間の融通で石炭火力を減らそうとの趣旨が盛り込まれている。

世界銀行のホームページ
http://www.worldbank.org/
インド国家送電公社のホームページ
http://www.powergridindia.com/powergrid/


4 その他

●ベトナム,18万KWフアナ水力,EPC契約は地元企業


5 参考資料

2008年3月27日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080327A Vietnam, Water Power Magazine
18万KWフアナ水力,EPC契約は地元企業
Vietnam’s Hua Na EPC contract awarded to Lilama
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectionCode=130&storyCode=2049182

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080327B Philippines, Manila Bulletin
ERC,電源の市場規模,シーリングを発表
ERC prescribes new ceiling on power generator’s market share
http://www.mb.com.ph/BSNS20080326120238.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080327C India, Water Power Magazine
世界銀行,インドの送電網整備に6億ドル支援
World Bank boost for India grid, hydro with US$600M
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectionCode=130&storyCode=2049181

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080327D 中国,3月26日10時27分配信 Record China
対外支援及び借款項目に初の会計検査―中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080326-00000005-rcdc-cn
●080327E China, American Science
中国の三峡ダムは環境の崩壊か?
China's Three Gorges Dam An Environmental Catastrophe?
http://www.sciam.com/article.cfm?id=chinas-three-gorges-dam-disaster

カンボジア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Cambodia.htm

●080327F カンボジア,3月26日8時26分配信フジサンケイ ビジネスアイ
中韓、カンボジア投資白熱 経済成長年10% 出遅れ日本に現地ラブコール
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080326-00000006-fsi-bus_all
●080327G Cambodia, Reuters
中国のダム建設はカンボジアの森林を破壊
Chinese dams threaten Cambodia's forests, farmers
http://uk.reuters.com/article/environmentNews/idUKBKK1675520080326
●080327H Cambodia, Asia Times
中国企業のカンボジアのダム開発,情報開示が不足
Cambodian dam plans suffer information drought
http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/JC26Ae01.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月26日分 ーこの発電所は居抜きで売却

「この発電所は居抜きで売却」,と訳すのだろうか,an "as is, where is" basis,資産売却にうつつを抜かすフィリッピン,いよいよ合計出力747MWのルソンの主要地熱発電所ティウイとマカバンが売りに出されることになった。この居抜きの売却の中には,施設,改良,予備品,一般プラント施設,などが含まれるという。この,改良を含む,と言う言い方は,改良も買い手で実施して下さいよ,と言う意味なのであろう。

家を売るときもそうだが,売る前に出来るだけ高く売れるように改装を行ってから売る場合があるが,フィリッピンは改装をやる暇もお金もない,と言う訳か,とにかく修理もそちらでやれ,と言う売却がほとんどだ。水力のアンブクラオは先日売却が終わったが,この発電所は機器が運転できる状態になかった。買ってから修理して使う,と言う方式だ。むちゃくちゃだな。

電力を自由化するときには,まず分割する前に修理してから行うのが常識だった。インドの各州都の配電設備について,日本やADB,世銀などが,電力改革の一貫として多くの支援を行っていることは,まだ記憶に新しい。電力自由化,分割,売却の前段階では,修繕のための多額の費用が必要なのだが,フィリッピンはそれもやらないのか。


1 今日の概要

●タイの新しいエネルギー大臣は女性の陸軍中将,プーンピロン女史。エネルギー省は,原子力発電所推進のため,8回にわたって公聴会を開くことを発表,実際の建設開始は10〜13年後との見通し。●日本企業の地球温暖化防止技術の積極多岐な海外進出について。●フィリッピンのメラルコが未収金10億ペソについてERCに提訴。●資産売却にうつつを抜かすフィリッピン,今度は地熱発電所747MWを売却へ。


2 目次

●タイ,エネルギー省,原子力発電について,8カ所で公聴会
●世界最高レベルの地球温暖化防止技術,日本企業が「輸出」に取り組む
●フィリッピン,Meralco,10億ペソに上る還付金要請
●フィリッピン,747MWティウイマカベン地熱,50%直接売電


3 本文

●タイ,エネルギー省,原子力発電について,8カ所で公聴会

タイの新しいエネルギー大臣は女性のプーンピロン陸軍中将なのだ。この新しいトップを頂くエネルギー省が,いよいよ原子力発電計画推進への一歩を踏み出した。今後8回にわたって,原子力発電に関する公聴会を開催するという。「代替エネルギー,国民との対話や国民参加を求める」,と言うややこしい名前を付けたフォーラムで,その公聴会開催計画が発表された。

まさに東南アジア諸国は,どちらが先に駆けつくか,の競争になってきている。インドネシア,ベトナム,タイ,フィリッピンとそれぞれの国のやり方によって,原子力開発へと辿り着こうとしている。その中でも,特にタイは,技術先行のベトナム,商業戦争先行のインドネシア,とは違って,まず国民の同意を得ることに大きな力を使っている。石炭火力の苦い経験があるだけに,国民の声を使って地元説得を行う,と言うことだろう。

ブーンピロン大臣の説明は,実際に工事が始まるのは10〜13年先と目標を定めている。最初の3年間はまず国民のコンセンサスを創り出すことに力を注ぐ。次の3年間は技術的な問題に集中する,即ち原子力発電の型式問題である。この慎重な姿勢を見ていると,本当に慎重なタイ人の性格が読みとれる。インドネシアなどは,もう既に商戦を開始しているというのに。

面白いのは,国民への啓蒙が進みつつあると言うことを例に示すために,エネルギー大臣がある女性からメールを貰ったと言うことをわざわざ公表していることだ。東北南部のナコンサワン県の住民から,良いところがありますよ,とわざわざメールで呼びかけてきたと言うことだ。いずれにしても,ポスト京都の一つのテーマーは原子力開発であり,中国,インドに続いて,東南アジアの原子力開発がどこまで進むか,見て行きたい。

タイのエネルギー省,ホームページ
http://www.eppo.go.th/index-E.html
タイエネルギー省の原子力開発のページ
http://www.eppo.go.th/nuclear/index.html

●世界最高レベルの地球温暖化防止技術,日本企業が「輸出」に取り組む

この記事の表現は,私の主張にかなり合致している。「日本国内でがんばってCO2を削減しても,開発途上国の工場でモクモクと煙を出していれば地球環境は何も変わらないからだ。」,と言うのはまさにその通りで,この言葉は日本政府の提案するセクトラルアプローチに繋がって行く。「40年経っても,熱効率が変わらないのは日本の石炭火力だけ。」,という技術への自負が,このアプローチに繋がる。

先日も,Jパワーが中国の石炭火力にとりつき,その先進の技術を提供して行くという。そうしてそれは更にインドへの技術協力に繋がって行く,ポスト京都の最大のテーマーなのである。でも,中国にしてもインドにしても,特に中国の場合は,先進技術を国産化することが最大の彼らの目標であるから,すぐに日本はいなくても出来るよ,と言うことになるから,CDMなどの便益は早めに確保しておくべきだろう。

中央環境審議会地球環境部会(第64回)議事概要
http://www.env.go.jp/council/06earth/y060-64b.html
京都議定書の二の舞はしたくない
http://archive.mag2.com/0000226907/20080307114904000.html

●フィリッピン,Meralco,10億ペソに上る還付金要請

フィリッピンの電力セクターは改革の混乱期にある。国家電力公社NPCはかってのフィリッピンの電力の中心で,華々しい存在だった。しかし,資産の70%の売却を命じられて,まさに電力分野の中心としての存在感を失って,単なる一発電企業になりつつある,それが電力改革の大目標なのではあるが,NPCの職員の意欲も下がってきている。そこで非常にまとまってきているのがマニラ電力Meralcoである,とされている。

Meralcoは何かと異端児になってきている。分割化されて行く企業の中で,大首都圏マニラの配電を掌握している,と言う立場から組織防衛を確実にしているが,一方で国の規制に敢然として戦っている(この表現が正しいかどうか,少し問題だが)。その一つがこの電気料金一部未支払いの問題で,10億ペソの負債が需要家サイドにあるというのである。

フィリッピン,エネルギー省のホームページ
http://www.doe.gov.ph/
国家送電公社Transcoのホームページ
http://www.transco.ph/
国家電力公社NPCのホームページ
http://www.napocor.gov.ph/npc5.asp
マニラ電力Meralcoのホームページ
http://www.meralco.com.ph/

●フィリッピン,747MWティウイマカベン地熱,50%直接売電

資産売却にうつつを抜かすフィリッピン。現在NPCが所有するルソン系統の地熱発電所の総設備は約954MWで有効出力は726MWである。このうちこのティウイとマクバンだけで設備出力747MW,PSALMはこれの売却に取りかかった。NPCのカラー総裁が,この売却のための条件を,投資企業に向かって語っている。暫定供給契約TSCで半分は国が引き取る,と言うのである。

この3月17日に入札図書が売り出され,4月2日が現場説明,入札締め切りは6月4日である。今の所,9グループが応札の構えで,5つがフィリッピン企業,2つが欧州企業,1つが北アメリカ,1つがアジア太平洋,と発表されている。日本の影はない。

ルソン系統,発電所の位置図,NPCのホームページ
http://www.napocor.gov.ph/generations/MYWEB/Body/Locations%20of%20Plants%20(content)/Luzon.htm

4 参考資料

2008年3月26日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080326A Thailand, MCOT
エネルギー省,原子力発電について,8カ所で公聴会
Energy Ministry sets 8 hearings on nuclear power plant
http://enews.mcot.net/view.php?id=3436

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080326B Philippines, Inquirer
747MWティウイマカベン地熱,50%直接売電
Supply deal eyed for Tiwi-Makban
http://business.inquirer.net/money/breakingnews/view/20080325-126202/Supply-deal-eyed-for-Tiwi-Makban-plants
●080326C Philippines, Manila Bulletin
Meralco,10億ペソに上る還付金要請
Meralco seeks recovery of P1-B lifeline subsidy
http://www.mb.com.ph/BSNS20080325120180.html

環境一般

●080326D 日本企業,3月24日14時15分配信 J-CASTニュース
世界最高レベルの地球温暖化防止技術 日本企業が「輸出」に取り組む
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080324-00000001-jct-bus_all


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月25日分 ー中国企業が欧州企業より手慣れている

「中国企業が欧州企業より手慣れている」,と中国企業を賞賛したのは,カラチにその本拠を置くパキスタンの国際保険企業のトップ,バーディ氏である。ニールムジェルム水力プロジェクト,総落差420m,トンネル延長33km,使用水量毎秒230トン,出力96万KW,と言う壮大なプロジェクトは,紛争下にあるカシミールのパキスタン統治下のニールム河にある。上流にはインドが工事中のキシェンガンガ水力33万KWがあり,ともにそれぞれの相手のプロジェクトが,インダス川条約違反である,として認めていない。熾烈な両国の水争いの象徴である。

この遅れているパキスタン側のニールムジェルム水力プロジェクトを,中国企業が,中国政府の輸銀の支援を得ながら,全面的にこのプロジェクトを支援するために,この4月にも両国の間で協定が結ばれることとなった。上のバーディ氏の言葉は,このプロジェクトへの工事保険に関して,欧州企業が,カントリーリスクと地震帯であることを理由に,保険の締結を拒否したところ,中国の保険企業がこれを買って出た,と言うわけである。

地図を見れば分かるが,まさしく微妙な地域で,インドとパキスタンの間では国境が確定していない。その上に,この地域と中国の新キョウウイグル地区とは国境を接している。まさに三国の間で火花が散る三角地帯である。このパキスタン側に中国企業が入ってくることは確実となったが,いよいよインドの政府高官達は,安心して眠れなくなってきた。それにしても中国は,露骨に神経を逆なでしてくるところ,中国の武装は,遂に水力や石炭火力まで,その武器に含まれるようになってきた。

キシェンガンガ水力
http://www.kewa.org/project.html
ニールムジェルム水力
http://www.waterinfo.net.pk/pdf/njhp.pdf

三井物産,カタールで大型発電,事業費4,000億円超,今週中にもカタールの首都ドーハで事業契約に調印する。三井物産とベルギーの電力大手スエズがそれぞれ20%,残りをカタール国営石油などが出資して合弁会社を設立。ドーハ北方のラスラファン工業地区に発電・海水淡水化設備を建設する。発電タービンは三菱重工業が供給する。 (07:49)(日本経済新聞)


1 今日の概要

●タイの外務大臣がビエンチャンを訪問,タイとラオス共同で,メコン本流のラオス南部,バンクム地点のダム開発に関するFS調査を開始することで合意,最近何かとメコン本流筋が騒がしい。●中国がカシミールの紛争地域,パキスタンの管理地域にあるニールムジェルム水力を支援することになった。上流のインドのキシャンガンガ水力と絡み,中印の関係が微妙である。●タイ南部,チャナ発電所,天然ガスのコジェネレーション,713MWが完成した。KW当たり730ドル。


2 目次

●タイ,メコン河本流のバンクムダム開発で協力へ
●中国,カシミールのパキスタン地域,水力開発を支援へ
●タイ,発電公団EGAT,南部の新ガス発電所を稼働

3 本文

●タイ,メコン河本流のバンクムダム開発で協力へ

メコン下流部,本流のダム開発については,1992年,ビエンチャンのローパモン計画がメコン委員会総会で葬り去られて以降,中国領内以外はもう誰も視野に入れていなかった。海電調の古市さんに,バンクムの低ダム開発はどうか,と打診されたことがあったが,メコン河は乾期と雨期の水位差が大きいので,低ダム開発は難しい,と答えたことがあった。

最近になって,本流開発の話が2,3,一つは中国企業によるルワンプラバン上流のダム計画,二つはラオスとカンボジアの境にあるコーンの滝を利用するドンシャン計画,そして三つ目はこのバンクム計画である。このバンクムダム計画は,3月25日にビエンチャンを訪問したタイのノッパドン外相によってラオス側に提案され,ラオス側は首相が,可能性調査だけならやって下さい,と同意したと言うことである。

バンクム計画は昔から,メコン本流の階段状ダム計画の一つとして提案されており,位置はラオス南部,チャンパサックの下流で,位置図を付けたので確認して下さい。昔の記録を見ると,ダム高69m,ダム長さ2360m,満水位130m,低水位128m,流域面積419,000平方km,総貯水容量53億トン,有効容量14億トン,有効落差28m,最大出力900MW,有効出力515MW,などの数字がある。

これは本格的なダム開発で,水没人口も数万人以上に上るであろう。今回,タイ側が目指しているのがこの本格的なダムなのか,低ダム開発なのか明確でないが,或いはサマック首相の言うメコン河分流計画の一貫として考えているのかも知れないが,あまりに下流で有効でなかろう。発電だけとすれば,僅か50万KWのために,メコン下流域に大きな影響を与えるこの計画は,私は不適切だと思う。

バンクムダム位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032501.jpg

●中国,カシミールのパキスタン地域,水力開発を支援へ

これは非常に重要なニュースだと思う。インドは,北辺の水力開発に当たって,中国企業が出てくることは国境問題の複雑さから,極めて神経質になっている。インダス川の上流でインドは,キシェンガンガ水力330MWを開発中,既に80%の工事を終了している。その下流のインドとパキスタンの国境が確定していなくてパキスタンが実質管理している領域に,パキスタンはニールムジェルム水力を計画しているが,あまり進んでいない。インドはこのパキスタンの計画が,インダス条約に違反している,と言っている。

この記事は主としてプロジェクトに関わる保険の話なのだが,欧州系の保険会社は,カントリーリスクの他,国際的な紛争下の地域であることと,地震地帯であることから,保険を拒否している。そこに中国の企業が,保険を自分たちで被って支援しようと言うわけで,15億ドルに上る工事費もカバーしようと言うわけである。中国が真っ向からインドに対抗してきたわけで,インドがこのまま引き下がるとは思えない。

パキスタンのダム位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032502.jpg

●タイ,発電公団EGAT,南部の新ガス発電所を稼働

南部ソンクラー県のチャナ発電所731MWの開所式の報道である。2基のコジェネレイションで,日量ガス使用量は1.3億立方フィート,建設費は169億バーツである。5.34億ドル,KW当たり730ドル,である。これで天然ガスへの依存は71%になるという。

その他,記事の中に出てくるプロジェクトは,このチャナの増設700MWの他,先日も話題になった中部アユタヤ県ワンノイ郡と同チャチュンサオ県バンパコン郡で天然ガス火力発電所の増設を計画,ともに出力800MW,投資額180億バーツを予定している。


4 その他

●インド,リライアンス,UMPPのササン火力の工期を急ぐ


5 参考資料

2008年3月25日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080325A タイ,3月24日8時0分配信 NNA
【タイ】発電公団、南部の新ガス発電所を稼働
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080324-00000006-nna-int

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080325B Pakistan, NDTV
中国,カシミールのパキスタン地域,水力開発を支援へ
China to help Pak build major hydroelectric project in PoK
http://www.ndtv.com/convergence/ndtv/story.aspx?id=NEWEN20080044778&ch=3/23/2008%2010:44:00%20AM

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080325C Laos, MCOT
タイ,メコン河本流のバーンクムダム開発で協力へ
Thailand, Laos to develop hydropower project
http://enews.mcot.net/view.php?id=3417

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080325D India, Economic Times
リライアンス,UMPPのササン火力の工期を急ぐ
Reliance Power speeds up Sasan plan
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Reliance_Power_speeds_up_Sasan_plan/articleshow/2892722.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月24日分 ー24時間石炭を焚きたき続ける無分別はしない

「24時間ぶっ通しで石炭を焚く無分別はしない」,と,夏期が近づくに従って,自由化の途上にある電気料金の高騰の懸念を沈静化させようと必死のフィリッピン,電力公社カラー総裁。資産売却で手足をもがれて行くNPCであるが,総裁は頑張っている。しかし,何か根拠のない説得のような気もする。ちょっと検証してみるか。

フィリッピンの電気料金は日本に次いで高い,ざっと見てKWh18セントぐらいはしているのではないか。それにNPCの債務が処理しきれないところにまで達して,電力自由化を理由に,資産売却に打って出ざるを得なかった。NPCの発電資産70%売却を目標に,今のところ40%に目処がついた段階である。それと同時に,電力取引市場WESMを開設し,一度,思わぬ高騰を経験して,皆神経質になっている。

NPCのカラー総裁は,とにかく問題は,高騰する原油と石炭であり,これがWESMの夏期の高騰に繋がりかねない,今年は需要も予想より少なく,出来るだけ石炭火力の運転を減らして水力を回し,WESMでの料金高騰を防ぎたい,としている。自由化すれば電気料金は下がる,と信じ込んでいるアロヨ大統領に,ここで無様な所は見せられない,と言うことだろう。

ルソン系統について言えば,ピーク予想は4月から始まる夏期で680万〜700万KWと言われているが,今のところ611万KW近辺で収まっている。現時点では予備力は十分にあり,送電公社の発表では,821万KWの供給の力があるとされている。一方,ルソンの民間を含めたすべての施設は,エネルギー省の資料で,詳細に出ている。

それによると,2006年12月時点,ルソン系統に限れば,石炭火力3,769MW,ディーゼル783MW,天然ガス火力2,763MW,ガスタービン900MW,地熱954MW,水力2,247MW,石油火力150MW,風力25MW,合計で12,092MW(このうち発電可能は1,0426MW)とかなりの供給力に恵まれているように見え,カラー総裁の説明に合致するかに見える。

しかし,水力と地熱の可能出力を合計したものは2,538MWであり,夏期に6,500MWのピークに対処しようとすると,4000MW以上の火力を準備する必要がある。このうち,もっとも燃料費の安価なものは,高騰したとはいえ石炭火力であり,石炭火力の可能出力3,287MWは,全面的に運転する必要がある。これにイリヤンなどの天然ガスが加わることになるのか。24時間ぶっ通しの運転になるのは,水力でなくて石炭だろう。


1 今日の概要

●フィリッピン,ルソン,夏期が近づき,WESMの電力取引市場での電気料金の高騰が懸念される中,NPC総裁が,大丈夫だ,高い石炭をたき続けるような無分別はしないと。●3月22日は,世界水資源の日,パキスタンは改めてダム開発の必要を思い起こしている,パキスタンのす力包蔵は5000万KW,10%だけが開発済み。


2 目次

●フィリッピン,NPC,夏期期間中は,安価な発電所で対応,市場を冷静に
●パキスタン,今日は水資源の日,不足が高い確率で目に見えてきた

3 本文

●フィリッピン,NPC,夏期期間中は,安価な発電所で対応,市場を冷静に

フィリッピンの国家送電公社が毎日の需給の状態を発表している。それによると,ルソン系統で先週金曜日3月14日は,ピーク需要が6,081MWに対してすぐ稼働できるスピニングリザーブが153MW,設備としての予備力は1,060MWで,運用によってはまだ余裕がある,と言う感じであるが,電源に対する準備が出来ていないので,2011年には予備力も底をつく,と言われている。

今回,資産売却でだんだんと身が細くなって行く国家電力公社NAPOCORのカラー総裁が,夏が迫って来るに従って電力需要が増え,電力取引市場WESMでの電気料金高騰を懸念する一般需要家に向けて,大丈夫だ,と説明して,事態の沈静化を図っている。アロヨ大統領を初め政権の幹部は,電力自由化が電気料金低廉化をもたらすと信じて,それをエネルギー省などに努力を要請しているが,現実は厳しい。

カラー氏の説明。需要予測によると,今年の夏は6,800〜7,000MWと言われ,3月17日の月曜日には6,110MWに達する予想であったが,実際は5,900MWに達したのみで,予想を大分下回っている。また,最近の石炭や原油の高騰から,24時間ぶっ通しで石炭火力を燃やし続けるようなことは無分別なことは考えていないので,心配することはない,と。

しかし,このカラー総裁の説明は,何か真実を話さずに人心を治めようとしている無責任な感じが否めない。今のルソン系統を石炭火力やガス火力の運転なしでピークを乗り切ることは不可能であり,恐らく瞬間的にはかなりの電気料金の取引値段の高騰が懸念され,早すぎた自由化を恨む結果にならないかと懸念する。カラー総裁の説明は,逆にその不安を扇ぐようなものでないことを祈る。

フィリッピン,エネルギー省のホームページ
http://www.doe.gov.ph/
国家送電公社Transcoのホームページ
http://www.transco.ph/
国家電力公社NPCのホームページ
http://www.napocor.gov.ph/npc5.asp
マニラ電力Meralcoのホームページ
http://www.meralco.com.ph/

●パキスタン,今日は水資源の日,不足が高い確率で目に見えてきた

1992年のリオデジャネイロ会議で,3月22日を,「水資源の日」,とされている。パキスタンの水資源の状況について。WAPDAを中心に討議が行われたようだ。水力資源の項を見ると,包蔵水力は5000万KWであるが,今まで開発されたのは10%とされている。マングラの嵩上げ工事は,2008年9月に完成するそうだ。他に工事中のダムが,ミラニ,ゴマールザム,など4ダムが2009年までに完成するという。

パキスタンの奥地を歩くと,英国植民地時代に築かれた灌漑用水路と水力発電の組み合わせに,その技術の水を見ることが出来る,驚きである。しかし,政治の混乱が続いて,1974年にタルベラダムが完成してからは,主立ったダムは完成していない。それだけインダス川の開発は難しいということができる。

パキスタンのダム計画位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032401,jpg
WAPDAのホームページ
http://www.wapda.gov.pk/htmls/power-it-wapda.html
インダス川,タルベラダム,長い長い水争いの歴史,足立記
http://my.reset.jp/~adachihayao/power.htm#power06


4 参考資料

2008年3月24日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080324A Pakistan , Daily Times
今日は水資源の日,不足が高い確率で目に見えてきた
World Water Day Water shortage looms high
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C03%5C23%5Cstory_23-3-2008_pg13_6

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080324B Philippines, Manila Bulletin
NPC,夏期期間中は,安価な発電所で対応,市場を冷静に
NPC allays fears of peak prices at WESM this summer
http://www.mb.com.ph/BSNS20080323120038.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月23日分 ー中国企業の進め方は情報公開弱い

「全く開発の進め方の制度慣習が甚だしく弱い」,とNGOをして嘆かせているのは,今やカンボジアの水力開発を席巻する中国企業達である。カンボジアの水力包蔵は1000万KWと言われているが,その50%はメコン本流沿いで,実際には内陸部で開発可能なプロジェクトはそんなに多くない。しかし,14の優先地点のうち6地点が開発中で,すべて中国企業によるものである。この10年ですっかり様変わりしてきた。

NGOやダム開発の地元が言っているのは,とにかく中国企業が実際にダム開発のための活動している実態は,ほとんど情報が公開されていない,何をやっているのか分からない,と言うのである。話し合いは,フンセン首相府と鉱山エネルギー省,それに中国企業や中国の制度金融が交渉をしているが,その内容は一切漏れてこず,いろいろな環境上の注文を持って行くところがない,と嘆いている。

いつから日本企業はコンサルタントを含めてカンボジアから撤退してしまったのだろう。JICAは我慢強く農村電化に取り組んでいるようだが,華々しさがない。1万KWのキリロムと言うプロジェクトがあって,これの修復をしたらどうだろう,と中部電力の友人が私に相談してきたことがあった。私も現地を見て悩んでいたが,ダムが生き残っているのでその水をまず抜かねばならない,どうやってバルブを開けるのか,など迷っていた。

そこに中国企業が入ってきて,あっという間に修復して,民間の発電所としてどんどんプノンペンに電気を送り,大もうけをしている。中国のエンジニアーは勇敢だな,どうやって決死隊をダムの底に送って,バルブを開けたのだろう,と今でも不思議である。日本は恐らく,その既存で内戦の中で生き残ってきたダムを修復するのに,調査に多くの時間をかけなければ資金調達が出来なかった。中国とのその差はどこにあるのだろう。


1 今日の概要

●カンボジアの水力開発,今や中国企業の独断場で,14地点の優先プロジェクトで6地点が開発中,すべて中国企業である。しかし,NGOや地元民は情報が不透明で不安に晒されている。●タイのEGAT,PDPに基づき着々と電源を準備中,年末までにアユタヤとバンパコンで,それぞれ80万KWガス火力のコントラクター入札を予定している。Jパワーも天然ガス火力を準備中。●原油相場,価格高騰の影響で需要が減り,価格が下落してきている,目処は80〜90ドルとの見方も。


2 目次

●カンボジア,水力開発で政府は沸き立っているが,NGOなど環境を懸念
●タイ,EGAT,今年末にも2つのガス火力を着工へ
●原油相場,なぜ反転下落,景気後退で需要減,投機マネー流入一服


3 本文

●カンボジア,水力開発で政府は沸き立っているが,NGOなど環境を懸念

珍しくカンボジアの水力開発を取り上げた国際的な記事である。カンボジアの水力ポテンシャルは1000万KWと言われているが,その50%はメコン河本流のダムプロジェクトで,内陸部のポテンシャルは500万KW,そんなに資源に恵まれた国ではない。日本なども,何度も水力開発への挑戦が行われたが,結局何も出来なかった,特に10万KWを越すカムチャイは,折からの民間資本の波に中で埋もれてしまった。

今日の記事は,もっぱら中国の進出を話題にしており,特にこの2008年は中国企業によるカンボジアの水力開発が,焦点の年である。カンボジアには,14地点の優先開発水力地点があり,そのうち6地点について開発が進んでいるが,そのすべては中国企業によるものである。

シノハイドロによる145WMカムチャイ水力プロジェクトと,スタンアタイダム計画は,特にその中でも目立つ存在であるが,中国企業の実施するプロジェクトはすべて情報が不透明で,政府と中国企業だけが資金調達や開発計画の詳細を知っているだけである,とNGOなどの強い不満がある。「中国の企業の制度慣習は甚だしく弱体である」,と極評している。

カンボジアの水力開発地点位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08032301.jpg

●タイ,EGAT,今年末にも2つのガス火力を着工へ

EGATの電源整備の近況を伝えている。EGAT自身が開発するガス火力2地点で,いずれもタイ沿岸東部に建設されるLNG基地より天然ガスを得る初めてのプロジェクトである。二つの建設の規模は360億バーツ,約114億ドル相当である。二つの発電所はそれぞれ80万KW規模で,総工費はそれぞれ180億バーツ,約57億ドル相当である。2012年の運転開始で,この年末までにコントラクターなどの入札が行われる。地点は,アユタヤのワンノイと南部のバンパコンである。

また,IPPについては,Jパワーによるガス火力とタイ企業アドバンスアグロによる石炭火力を準備中である。EGATは,更に4つの地点で石炭火力プロジェクトを策定中である。いずれも2015年から2017年の運転開始である。ソンバットEGAT総裁によると,石炭火力については最新の技術を適用して公害問題に対処する方針であるが,もしそれでも地元が反対する場合は,代案を考える必要がある,としている。

●原油相場,なぜ反転下落,景気後退で需要減,投機マネー流入一服

バレル111ドルまで上げた原油価格が,このところ100ドル近くまで下がって,やや下げ足を速めている。これに対する分析が書かれているが,主な数字を拾っておくと,4〜6月期の世界需要は日量8640万バレルに対し,供給は8730万と供給超過になる見込みで,IEAの予測では,相場は90〜80ドルで落ちつく可能性を示唆している。一方で,依然として,サブプライムの影響でいつ資金が再び原油に向かうか分からない状況で,予断が許されないとの見方もある。


4 その他

●インド,2010年のデリー,コモンウエルス大会までに700万KWに
●マレーシア企業ガムダ,ラオスのナムテン1水力,工事費20%アップ


5 参考資料

2008年3月23日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080323A Thailand, Bangkok Post
EGAT,今年末にも2つのガス火力を着工へ
Egat to build two new plants
http://www.bangkokpost.net/Business/22Mar2008_biz26.php

電力一般

●080323B 原油価格動向,3月22日8時26分配信フジサンケイ ビジネスアイ
原油相場、なぜ反転下落 景気後退で需要減 投機マネー流入一服
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080322-00000000-fsi-bus_all

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080323C Laos, The Star
マレーシア企業ガムダ,ラオスのナムテン1水力,工事費20%アップ
No delay in double-tracking project
http://biz.thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/3/22/business/20724400&sec=business

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080323D India, Economic Times
2010年のデリー,コモンウエルス大会までに700万KWに
Delhi will have surplus power by 2010
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Delhi_will_have_surplus_power_by_2010/articleshow/2886708.cms

カンボジア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Cambodia.htm

●080323E Cambodia, IPS News
水力開発で政府は沸き立っているが,NGOなど環境を懸念
DEVELOPMENT-CAMBODIA: Bowing to Regional Hydropower Demands
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=41678


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月22日分 ー今の値上げは油を火の中に捨てると同じ

「今の値上げは油を火に注ぐに同じ」,と痛烈に電気料金値上げの申請を批判するベトナムの電気事業連合会長のチャンさんである。2,3日前から,ベトナムの電気料金の値上げが,このHPでも話題になっている。2008年7月1日を期して電気料金を上げるべく準備が進められてきたが,インフレを懸念するズン首相は,この値上げに待ったをかける,EVNは値上げしなければ全国の停電時間はもっと増える,と脅かす。

チャン会長の発言は,電気料金値上げだけで電力不足が解消するとは思えない,必要なのはEVNの発電,送電,配電の一貫した独占を止めさせることだ,特に配電部門を分割して,小売り電力の競争を行うべきである,としている。彼は,これから必要な電源を計算してみて,今後年間に25億ドル相当の電源開発を必要としているから,EVNの独占では,開発困難,と言っている。

私から見て,チャン会長の発言は,必ずしも筋が通っているとは思われない。フィリッピンなんかの分割民営化を頭の中に描いているようだが,それは少しも需給バランスには貢献してきていない。電気料金の値下げ競争が,どうして電源開発の促進に貢献するのか,聞いてみたいものだ。

私はそれよりも,EVNとIPPとの関係を問題にしたい。ベトナムではIPPによる電源開発が好調に進んでいて,電力セクター運営は円滑に進んでいるものと思っていた。しかし最近の記事から,カマウなどの天然ガス火力のIPPからの買電単価はKWh8セントに達している。EVNの平均買電単価は5セントと言われているから,大きな逆さやとなっている。

恐らくこれまでは,北の石炭火力や旧ソ連の造った水力発電所の貢献で,8セントで買って5セントで売っても何とかやりくりが出来たのであろうが,天然ガス火力の設備の割合が増えて来るに従って,財政がおかしくなるのは目に見えている。見えているから,IPPの方も,今は買ってくれるが将来どうなるか,と言う不安で電源開発に足止めがかかってくる,と言うことなのだろう。インフレと電気料金,ベトナムは大きな問題を抱えている。恐らく,中国も然りなのだろう。


1 今日の概要

●インド,山岳地帯でインダスが流れるジャムカシミール州,常に電力を融通される立場にあるが,豊富な水力資源を活かすために,IPP事業として60万KWのす力をシェナブ川に立ち上げる。●ベトナムの電気事業連合会会長,電力値上げしても電力危機は去らない,必要なのはEVNの独占を排することである。●従来のWAPDAを水力のWAPDAと電力運営のPEPCOに分けたパキスタンの電力セクター,それぞれに問題点を抱えて,電力不足の大混乱に陥っている。


2 目次

●ジャムカシミール州,69万KW,新規プロジェクトを計画
●ベトナムの停電がなくなるのは,独占を廃して後
●今やパキスタンの電力セクターは大混乱


3 本文

●ジャムカシミール州,69万KW,新規プロジェクトを計画

インドの電源構成では,中央が建設運営するものと州政府が建設運用するものの2種類がある。水力発電に関しては主体は州政府であるが,中央では従来はNHPCが中心であった。このジャムカシミールは,パキスタンと国境を接して,国境問題紛争の最前線である。電力需要は500万人の人口を有する州都ジャムーの需要を中心に180万KWであるが,このうち140万KWを送電線を通じて他州から融通されている。

従って,残りの40万KWについては,州が発電しているチェナニ,ラワージェルム,アッパーシンディなどの発電所と,中央機関が有するウリとサラルの発電所の12%無料送電分で賄っているが,不足気味である。このために,州政府として新たに州の中央を流れるシェナブ川,国立公園に指定されているキシュトバールに69万KWの水力発電所を建設したいとして,IPPの入札を実施する構えである。地点名はラトルである。

ジャムカシミール州は,州都のあるジャムーを除いて,州の大部分が山岳地帯で,その真ん中に,シェナブ川とインダス川が山岳地帯を3分している。ポスト京都のためのインド北辺の水力開発のうちでも,比較的需要地に近く,しかも将来はパキスタンとの協力の余地もあり,重要な地域ではないかと,私は考えている。ただパキスタンとの国境紛争の問題で良く火がついた地域なので,今後も注意して見守りたい。

ジャムカシミール州の地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08042203.jpg
キシュトバール地点付近地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08042201.jpg
キシュトバール地点付近 グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08042202.jpg

●ベトナムの停電がなくなるのは,独占を廃して後

またここでも,EVNの分割民営化が電力危機を救うという議論が行われている。ベトナム電気事業連合会とでも言うべきか,VEAのチャンビエトガイ総裁が記者の質問に答えて熱弁をふるっている。

今ベトナムで問題になっているのは,KWh5セント未満と言う安価な電力料金を,7月1日から値上げするとの路線を,インフレ懸念からズン首相が延期を示唆している問題で,EVNは,この値上げがなければますます電力不足となって,国民は苦しむだろう,と主張している。このチャン総裁は,値上げには反対しないけれども,EVNの独占を排するための分割民営化,特に配電の分割民営化を主張する。

彼によると,2000年時点での不足電力は50万〜60万KWであったものが,2007年時点では80万〜100万KWに達している,これを解消するためには年150万〜200万KWを新設していかなければならないが,石炭火力100万KWには20兆ドン,約12.6億ドル相当の費用がかかり,更に水力100万KWには16兆〜17兆ドン,約11億ドル,両者併せて200万KWのために40兆ドン,約25億ドルが必要である。

今後は,電源への民間投資に頼らざるを得ないが,そのためには送配電も含めた独占企業のEVNを解体する必要がある,このままでEVNの電力料金値上げを認めるのは,まるで油を燃えさかる火の中に投ずるようなものである,とチャン総裁は主張する。

EVNのホームページ
http://www.evn.com.vn/default_e.asp

●今やパキスタンの電力セクターは大混乱

先日からPEPCOの名前が出てきて,何かな,と思っていると,2007年11月1日から,従来のWAPDAが2分割されて,新しいWAPDAは水運用と水力発電所を担当し,PEPCOは水力発電所を除く火力電源,送電,配電を担当することになっていた。この分割によって混乱が生じて,それも現在の電力不足の一因となっている,と言うのである。

WAPDAが有するダムは,常に灌漑と発電の狭間で揺れている。夏の終わりにはほとんどのダムは満水になっているが,灌漑の要求によって放流するために,いざ発電しようとすると水位が低下している。特に今年は発電運用がPEPCOになったために,WAPDAが,発電をあまり気にしないで灌漑放流を続けたために,水位低下を招いて,水力発電の出力が落ちている。

またPEPCOの方だが,火力発電所はほとんどがIPPであるが,分割された後のPEPCOは常に金繰りに悩まされている,従ってIPPへの支払いが滞り,21日の備蓄を義務づけられているIPPの燃料は,予算不足のため供給が遅れがち,これが火力の発電力を落としている。特にブットー女史暗殺事件以来は,燃料供給がほとんど絶たれているというのである。

また,カラチの配電を担当するKESCは民営化されたが,旧WAPDAの管轄下で30億ルピーに達する債務が発生し,PEPCOになってからは厳しく債務の返済を要求して,更に負債は34億ルピーに達しているというのである。パキスタンの電力セクターは誠に無秩序,政治の混乱もさることながら,電力分野の改革が必須である。

WAPDAのホームページ
http://www.wapda.gov.pk/
PEPCOのホームページ
http://pepcopakistan.com/
KESCのホームページ
http://www.kesc.com.pk/


4 その他

●インド,KG流域のガス生産,83億ドル,金の板を掘っているのではない
●ブータン,政府系持株会社ドルック,ドンサム水力など,所有へ


5 参考資料

2008年3月22日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080322A Vietnam, English Vietnam Net
ベトナムの停電がなくなるのは,独占を廃して後
Vietnam will lack electricity until monopoly removed
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/03/774391/

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080322B Pakistan, The International News
今やパキスタンの電力セクターは大混乱
Power sector in a shambles
http://www.thenews.com.pk/print1.asp?id=102387

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080322C India, Economic Times
ジャムカシミール州,69万KW,新規プロジェクトを計画
New power project coming up in Kashmir
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/New_power_project_coming_up_in_Kashmir/articleshow/2884389.cms
●080322D India, Economic Times
KG流域のガス生産,83億ドル,金の板を掘っているのではない
Development cost of K-G gas field not gold-plated: Valuers
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Development_cost_of_K-G_gas_field_not_gold-plated_Valuers/articleshow/2885066.cms

ブータン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Bhutan.htm

●080322E Bhutan, Kuensel
政府系持株会社ドルック,ドンサム水力など,所有へ
Dungsum cement and Dagachu hydropower come under DHI’s wings
http://www.kuenselonline.com/modules.php?name=News&file=article&sid=10043


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月21日分 ー停電か仕方がないホッと一息

「停電でホッとして一休み」,していたのは,昭和26年,高校受験のために泥縄の勉強をしていた私であった。今日の記事にもあるように,パキスタンは深刻な停電に見舞われ,アジア各国,中国,インドの大国を初め,ネパール,ベトナム,インドネシアなども,ほとんどすべての国が電力不足に悩まされている。昭和26,7年頃の日本はもっとひどかったのではないか。

今日の産経新聞は,その当時の田中角栄代議士の活躍を解説している。昭和22年に初当選して,彼の若き日々は戦後復興のための議員立法に執念を燃やしていた。昭和27年7月,田中は,火力や水力の発電施設を整備するための「電源開発促進法」を議員立法で成立させて,よっしゃ,これで電力は大丈夫だ,と叫んで,次は道路立法だ,と言って,今現在問題となっている道路特定財源に取り組んだのである。

この電源開発促進法で生まれたのが電源開発株式会社で,今のJパワーであるが,昨今のJパワーの激しい中国やインドへの切り込みに感嘆していたのは,昨日の私のメールである。今日も改めてJパワーの新聞発表の原稿を洗ってみた。

それは,なかなか日本企業がなしえなかった中国の水力への参入で,「中国漢江一貫水力開発プロジェクトへの参画」,であり,人類最後の挑戦であるインド北辺の水力開発,JBICのプロジェクト形成の受託,「インド国水力発電案件の発掘・形成に係る 発掘型案件形成調査業務の受託について 」,であり,洞爺湖サミットが目指すセクトリアルアプローチの一つ,中国石炭火力への最新技術の投入,「中国・新昌大型石炭火力発電プロジェクトへの参画について」,であり,ここで中国へ深く切り込んだ証としての,「中国現地法人の設立について」,と続く。

サルウイーンのダムを捨てたJパワー,タイの石炭火力を捨てたJパワー,カンボジアのココンの石炭火力を捨てたJパワー,スリランカの石炭火力を中国に譲ったJパワー,インドネシアの石炭火力を捨てたJパワーであるが,ここで一気に中国本土の最新鋭石炭火力と,更に進んでインドの石炭火力の近代化に取り組んで欲しい。他の電力の奮起を祈る。


1 今日の概要

●Jパワー,東南アジアの石炭火力とダム開発を切り捨て,中国とインドの本土へ切り込み,昨日は最新鋭石炭火力技術で中国と協力,今日のニュースは,北京に現地法人を設立。●タイのサマック首相のタンシュエ将軍礼賛発言が波紋,昨日は「無分別」,と言われ,今日は,「酔っぱらい」, と罵られている。ASEANで大きな波紋。●日本企業のインドネシア投資が激減,1997年の9分の1,中国の影響も。●パキスタンの電力危機が深刻に,日5時間,近く6時間から7時間に延引されるだろう。


2 目次

●Jパワーが中国に現地法人
●ASEANのミャンマー問題の揺れ,タイの首相はまるで酔っぱらい
●日本,インドネシア投資低迷,2007年は6億ドル,1997年の9分の1
●パキスタン,電力需給ますます悪化,日5時間停電へ


3 本文

●Jパワーが中国に現地法人

昨日は,Jパワーが,東南アジアの石炭火力とダム開発を中国に任せて撤退,その代わりにインド北辺の水力や中国本土の漢江と最新鋭石炭火力に,懐深く飛び込んで,ポスト京都の主要テーマーを集中的に攻撃する姿を描いて見せた。

今日の産経新聞は,道路財源問題に絡んで,田中角栄が昭和27年に電源開発促進法を議員立法で成立させて,「これで電力拡大の目処はついた,後は道路だ。」,と道路財源に話が回るわけだが,この昭和27年の電源開発促進法で生まれたのがJパワーの前身,電源開発株式会社であり,これが佐久間ダムを建設する。

インドネシアの石炭火力を捨て,タイのカンボジアにおける石炭火力を捨て,長いこと温めた来たサルウイーン河のダム開発を捨て,すべて中国にくれてやって,その見返りに中国本土深く切り込み,今日はJパワーがいよいよ北京に現地法人を設立するところまで来た。資本金9000万円,当初10人体制でスタートするという。

私たちは,非常に早い時期に,中国への電力の民間参入を唱えてきたが,中国自体の電源開発は急速に進んで,日本企業がほとんど手を出すヒマはなかった。私のHPでも,5年ぐらい前は中国国内の電源開発事情のニュースで溢れていたが,途中で興味を失って,むしろ中国の海外進出に焦点を当ててきた。しかしここにいたって,中国の電源開発ラッシュにブレーキが掛かり,環境が問題になるところで,やおらJパワーが,中国の電源開発に関わってきたわけである。後は,漢江の水力開発をどう料理するのか,関心を持ってみている。

Jパワーのホームページ
http://www.jpower.co.jp/
中国・新昌大型石炭火力発電プロジェクトへの参画について
http://www.jpower.co.jp/news_release/news080319-2.html
インド国水力発電案件の発掘・形成に係る 発掘型案件形成調査業務の受託について
http://www.jpower.co.jp/news_release/news080318.html
中国漢江一貫水力開発プロジェクトへの参画について
http://www.jpower.co.jp/news_release/news071116.html

●ASEANのミャンマー問題の揺れ,タイの首相はまるで酔っぱらい

ミャンマーから帰国したタイのサマック首相が,ミャンマーは平和で秩序正しい,タンシュエ将軍は敬虔な仏教徒である,とTV番組で語ったことに対する反響は厳しい。昨日のバンコクポストは,誠に無分別,と非難したが,今日のIPSは,ASEANとの関係で彼はますます亀裂を深めた,まるで酔っぱらいの表現ではないか,と酷評している。

ただ,サマック首相が,サルウイーン河のダム開発などのミャンマーへの協力を合意してきた影には,前タクシン首相からの経済優先政策がある。これがどこまで通用するか,少なくともASEANからは阻害された形で開発を進めて行かざるを得ない。

●日本,インドネシア投資低迷,2007年は6億ドル,1997年の9分の1

日本企業のインドネシアへの投資額が,1997年,アジア経済危機直前の9分の1,と言うのは驚きである。確かに,インドネシアは昔から,投資の身代わりは現物で買っていってくれ,但し石油以外のものを,と言うような難題をふっかけてきていたが,インフラの未整備問題や労働者重視の法制度,治安情勢などをマイナスの要因が言われている。中国の進出が,相対的に日本企業の出番を押さえているのではないか。

●パキスタン,電力需給ますます悪化,日5時間停電へ

パキスタンの電力危機はますます深刻である。今は日5時間の強制停電であるが,更に伸びてくる可能性があり,日6時間から7時間の停電を覚悟しなければならない。需要は全国で16,000MWと推定されるが,供給力は13,300MWで2,700MWの不足である。IPPからは5,000MWを期待しているが4,000MWしか出ていないし,水力に至っては6,400MW期待の所,ダムの水位低下で2,400MWしか出ていない。

アジア各国の電力不足は甚だしい。各国は対策に懸命で,例えばインドはUMPP,即ち400万KWクラスの石炭火力開発を進めているし,インドネシアはクラッシュプログラムとして1000万KWの石炭火力開発を進めている。どうしようもないのは,パキスタン,ネパールなどであるが,開発に長期間を有する水力を中心に置いているので,需給対策も長期に渡ることになる。

PEPCOのホームページ
http://pepcopakistan.com/page_01.html
WAPDAのホームページ
http://www.wapda.gov.pk/htmls/power-it-wapda.html


4 その他

●インド,パンジャブ州の132万KWラジプール,タタなど事前審査に応募


5 参考資料

2008年3月21日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm


●080321A Thailand, IPS News
ASEANのミャンマー問題の揺れ,タイはまるでオカマ
SOUTH-EAST ASIA: Thailand Queers ASEAN's Burma Pitch
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=41651

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080321B Pakistan, The Post
電力需給ますます悪化,日5時間停電へ
Situation to worsen further
http://thepost.com.pk/CityNews.aspx?dtlid=150857&catid=3

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080321C India, Economic Times
パンジャブ州の132万KWラジプール,タタなど事前審査に応募
Tatas, RPower submit RFQ for Rajpura Thermal Power Project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Tatas_RPower_submit_RFQ_for_Rajpura_Thermal_Power_Project_/articleshow/2882296.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080321D インドネシア,3月20日8時26分配信フジサンケイ ビジネスアイ
日本、インドネシア投資低迷 07年は6億ドル、97年の9分の1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080320-00000007-fsi-bus_all


中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080321E 中国,3月20日8時26分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
Jパワーが中国に現地法人
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080320-00000023-fsi-ind


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月20日分 ーJパワーの海外の動きに瞠目

「Jパワーの海外の動きに瞠目」,しているのは私自身である。印象点けられているのは,アジアの中で鍵となるところに的を絞って動いているという気がしてきた。数ヶ月前から,東南アジアの石炭火力と大規模ダムプロジェクトは中国に任せた,と言う姿勢で,インドネシアやタイの石炭火力を捨て,サルウイーンのダムを捨てて,最近はJBICとともに人類最後の辺境,インド北辺の水力開発に取り組み,ポスト京都の重要テーマーにとりついた。また,中国の漢江開発に参加して,日本企業がなしえなかった中国大陸の水力開発の拠点に楔を打ち込んだ。

今日の時事通信速報には,私自身が驚いた。詳細はほとんど不明であるが,江西省に大型の石炭火力発電所建設に,中国と共同で取り組むという。これはJパワーの持つ最新鋭石炭火力の技術を惜しげもなく注ぎ込むという。このことは,先般来,洞爺湖サミットの前哨戦としての環境サミットで,日本政府が打ちだしている石炭火力技術の海外輸出の魁とも言える。

このストーリーはそのままインドへも持っていけるので,恐らくJパワーはインドでいろいろ画策していることが容易に想像できる。こうなると,東南アジアの石炭火力や大規模ダムを捨て去った代わりに,その力を,中国の水力,インド北辺の水力開発,中国の本土の石炭火力への貴重な一石,と続き,ここで更にインドの石炭火力の近代化にとりつけば,恐らく,世界の温暖化問題を支配するほとんどの要素に顔を出すことになる。

これは今のところ,Jパワー,一企業の動きであるが,この海外活動のノウハウは,日本の電力企業やエネルギー企業が一体となって動かなければならないテーマーで,そこにはJBIC初め公的機関の支援が,当然大きな原動力になって行くと思う。JICAの開発調査も,省エネルギーを通じて,この方向に収斂して行けば,ポスト京都を目指す日本の技術の総結集が可能となろう。

今日の日本経済新聞には,2020年度に,2005年度比で11%減らすには,52兆円,年換算で4兆円,GDPの1%を温暖化対策に投ずる必要がある,と出ているが,これは無駄な話で,日本が幾ら頑張っても地球には効いてこない。国際社会の義務を果たすためだけであるから,そんな話よりもむしろ,Jパワーの壮大なポスト京都への果敢な挑戦に手を貸すべきではないか。


1 今日の概要

●タイのサマック首相が,ミャンマーのタンシュエ将軍は敬虔な仏教徒,と褒め称えたことについて,タイの国民を侮蔑するものとしてバンコクポストが強い調子で首相を非難している。●インドネシア政府は,1000万KWクラッシュプログラムで資金調達に大わらわ,3月末にも約20億ドルの資金調達の入札を実施へ。●インドの電力不足で,コモディティが大論文,自家発電所と取引市場の関係を議論している。●IEAが原油高騰の理由は,情報不足と,今後更に調査続行。●ベトナムのEVN,料金が上がらなければ,電力カットは日常茶飯事になる,IPPからの買電単価の逆ざやを問題にしている。●中国政府の再生可能エネルギーの中には,1.9億KWの水力を含めている,当然であろうが大きい。


2 目次

●タイ,サマック首相のミャンマー政策,これでよいのか
●インドネシア政府,5つの石炭火力プロジェクトで,資金調達入札
●インドの電力不足はどの様に解決すべきか
●原油高騰の原因探れ,国際エネルギー機関,初の専門家会合
●ベトナム,EVN,もし料金値上げがないならば,ビジネスは成り立たず
●中国政府,2006年から10年の再生可能エネルギー計画


3 本文

●タイ,サマック首相のミャンマー政策,これでよいのか

この記事はバンコクポストの記者の記事として掲載されたのであろうか。ミャンマーから帰国してテレビ出演したサマック首相について,全く無分別な首相の姿勢で聞いている方は頭を掻きむしりたくなる苛立ちに襲われた,と最悪の言葉を連ねて非難している。ここまで書かれると,果たしてタイは国論が統一できるのであろうか,全くタイのこれからの政治に危惧を覚える。

もっとも激しい言葉は,仏教の僧侶に攻撃を与えたタンシュエ将軍に対して,敬虔な仏教徒で朝晩祈りを欠かさない,と褒め称えたことが,対の仏教徒や国民を侮蔑していることも甚だしい,と言うのである。今や,チベットやダフールやミャンマーでの行動が問題となって国際社会から激しい非難を浴びて中国政府と同じ立場に,タイ国民を立たせてしまった,と嘆いている。

このサマック首相のタンシュエ将軍を讃える言葉の後で,様々な開発プロジェクトが協議されて,ノッパドン外務大臣から,タッサンダムプロジェクトと海港の開発が合意されたと発表されている。この開発問題は,今後,どの様に両国の関係を進めて行くのか,この記者は懸念を表明している。この記事では,タイのミャンマー政策について,見直しを要求している。

●インドネシア政府,5つの石炭火力プロジェクトで,資金調達入札

インドネシアは,電力の供給力不足を一挙に解決すべく,2010年までにジャワ島を中心に1,000万KWの石炭火力を開発すべく,所謂,クラッシュプログラムを推進しているが,資金調達には苦心しているようである。中国政府の大きな支援が行われていると考えているが,どうも,政府保証の問題で,中国政府との間も議論があるようだ。

今回,資金調達のための入札を,5つの石炭火力プロジェクトについて3月終わりにも実施することとなった。全体で21.8億ドルのうち85%分約18.5億ドルについて,この2,3ヶ月のうちに目処を付けたいようだ。対象は,60万KW東ジャワのパチタン,90万KWバンテンのトルクナガ,90万KW西ジャワのプラブハンラト,スマトラの20万KWランプン,40万KWの北スマトラ,となっている。

前回既に,5つの石炭火力で237億ドルの資金調達を終えたが,更に政府は30の発電所プロジェクトのために42億ドルの資金を必要としている。PLNがこれらのプロジェクトの受け皿となって交渉を進めてきたが,どうしても政府保証を要求されて難航するので,資金調達については,財務省がこれをPLNから吸い上げて,直接交渉に望んでいる。

なお,60万KWチラチャップ石炭火力については,地点を変更したために遅れがでているが,今のところ18グループが資格審査を通過したところである。電源開発のために戦うインドネシアは立派だが,資金調達に苦労すると同時に,今後は大気汚染の問題や,全体としての地球温暖化の問題に対して,いろいろ意見が出てくるであろう。

●インドの電力不足はどの様に解決すべきか

極めて長文の論文調の記事で,大いに関心があるが,全部を具には読んでいない。後でじっくりと読ませて貰うが,どうも出だしから見ると,電源に偏りがあり,電力取引を活発化させることによって,ある程度は需給のアンバランスを解決できるのではないか,と言っているようだ。例えばインドには自家発電所が2007年時点で140,301.84MWあるというのである。これは恐らく桁間違いだと思うのだが,これを取引市場に載せれば,相当の有効な供給力が稼ぎ出せるというのである。また,誰か全体を読んでみて下さい。

●原油高騰の原因探れ,国際エネルギー機関,初の専門家会合

結局,なぜ高騰するのか,よく分からない,と言うことなのだが,このよく分からないと言うことが原因ではないか,と言っている。即ち,インドや中国などの新興国の在庫量や産油国の生産余力,市場に流れ込む資金の出所,など情報が混沌としていることが高騰に拍車をかけている,だから今後は,IEAが調査を続行して,その結果は,7月の中期オイル市場報告に盛り込むことになった。

●ベトナム,EVN,もし料金値上げがないならば,ビジネスは成り立たず

昨日から,ベトナムの電気料金がいろいろ話題となっている。平均4.9セントと言う極めて安い料金を動かせない政府の経済財政事情がある,それはインフレ懸念である,全く中国と同じ轍にはまっている。これに対してEVNは,利益が出ない状態でビジネスをやれと言っても出来るわけがない,と開き直っている。数字も出ているので拾ってみよう。

最近完成したカマウの天然ガス火力はIPPでEVNがこれを買っているが,1月は7セント,2月は8セントという契約であるが,これを買ったEVNは5セントで売ることになる。今やこのIPPやBOTが増えてきて,全体の49.73%となってきて,更に燃料の値上がりで,EVNは全く危機的状況である,これで値上げが認められなければ,もう供給力増強は限界であり,需要は増えて行く,停電は日常茶飯事になるだろう,と警告している。

しかしよく分からないですね,買電契約交渉で,最初から売値より高いものを買わされている,結局この辺りが中途半端な民営化と公的組織の狭間の悲劇ですかね。ただ,今のIPPなどの値段で電気料金を上げれば,本当にベトナム経済が混乱することになる。かなり深刻な問題と理解した。

EVNのホームページ
http://www.evn.com.vn/default_e.asp

●中国政府,2006年から10年の再生可能エネルギー計画

中国政府の再生可能エネルギー開発については,これまでも何度か記事で目にしており,中国政府はここに大きな力を注いでいることを喧伝している。私も記事を見るたびに,大規模水力をどの様に分類しているのか気になっていた。日本の場合は,どちらにしても新規水力はほとんどないので問題はないが,中国の場合はこれが大きい。この記事で確認したが,中国は1.9億KWの水力を再生可能と位置づけている,当然だが。


4 その他

●インド,ディベロッパー,インディアンブル,チャティスガールで160万KW
●インドネシア,2007年度円借款第2弾,220億円を調印


5 参考資料

2008年3月20日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080320A Vietnam, Vietnam Net
EVN,もし料金値上げがないならば,ビジネスは成り立たず
Is raising the electricity price the EVN’s ultimatum?
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/03/773958/

タイ
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080320B Thailand, Bangkok Post
サマック首相のミャンマー政策,これでよいのか
Burma policy needs rethink
http://www.bangkokpost.com/News/19Mar2008_news21.php

電力一般

●080320C 原油価格,3月19日8時3分配信 産経新聞
原油高騰の原因探れ 国際エネルギー機関 初の専門家会合
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080319-00000060-san-bus_all

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080320D India, Economic Times
ディベロッパー,インディアンブル,チャティスガールで160万KW
Indiabulls bags contract to set up 1,600-MW power project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Indiabulls_bags_contract_to_set_up_1600-MW_power_project/articleshow/2879000.cms
●080320E India,Commodity Online
インドの電力不足はどの様に解決すべきか
How to solve India's power crisis
http://www.commodityonline.com/news/topstory/newsdetails.php?id=6483

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080320F Indonesia, The Jakarta Post
政府,5つの石炭火力プロジェクトで,資金調達入札
Govt to tender out financing of five coal-fired power plants
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/18/govt-tender-out-financing-five-coalfired-power-plants.html
●080320G インドネシア,3月19日8時0分配信 NNA
【インドネシア】07年度円借款第2弾、220億円を調印
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080319-00000005-nna-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080320H China, China View
中国政府,2006年から10年の再生可能エネルギー計画
China unveils renewable energy development plan for 2006-2010
http://news.xinhuanet.com/english/2008-03/18/content_7815959.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月19日分 ーなぜベトナムはいつも電気がないの

「なぜベトナムはいつも電気がないの」,と国家電力公社EVNに食い下がっているのは,7月にも電力料金値上げが囁かれるベトナム国内紙の記者である。今週末にもベトナム全土の主要都市で電力使用制限が始まる。それは,ホアビンなどの貯水池の水位が低下を続けていることと,最近運転を開始した火力発電所の不調などが原因だとされている。

現在のベトナムの電気料金をざっと当たってみると,平均的にKWh当たり780ドンだから,換算すると4.9セントになる。まさに,フィリッピン,日本,カンボジアなどの3分の1である。これは,昨日も解説したように,北の石炭の恩恵であり,旧ソ連の国際政治的な支援を受けた巨大ホアビンダムの恩恵なのであるが,伸びて行く電力事業の中で,天然ガス火力が増えてきて,EVNの財政を圧迫し始めている。

EVNが創立されたときには,我々もベトナムの強力な国家政策の推進jを見るようで好感を持ったが,フーミーの火力発電所以降,民間資本が開発の主導権を握って,EVNではなかなかコントロールが効かなくなってきた。上記の質問,なぜベトナムは電気がないの,と聞かれたEVNの答えは,「責任は我々にはない,投資企業の責任なのだ,と暴言まがいの発言まで飛び出している。

またまたこの議論になるが,日本のように地域独占を許しても供給責任を電力会社に持たせ,安定した電気を得るために,高い電気料金を許容して,高いレベルの生活を営んでいる我々から見ると,電力のないベトナムなどは,考え方によっては悲惨である。ベトナムは,元々地方に分散していた電力企業を国で統合したのだが,南北に別れたベトナムという国家を統合するためには,背骨になる50万ボルト超高圧送電線を建設してでも,南北の調和を図る必要があったのだろう。


1 今日の概要

●成長かインフレか,難しい舵取りを迫られるベトナム経済,ズン首相は7月予定の石炭と電力の値上げ計画を延期する方向で調整に入った。●何故ベトナムは電力供給の質が悪いのか,良く停電するのか,とEVNを攻撃している。EVNはそれは投資家の問題だ,と変な逃げ方をしている。●インドの電力取引市場の創設で,PFCとNTPCが協力体制へ。●ネパールの水力開発,ローカルの民間資本に任せた方が経済的だ,と多くの例を挙げて主張。国の開発は民間の3倍かかっていると。


2 目次

●ベトナム,電気料金据え置きか,ズン首相が意向
●ベトナム,専門家筋,石炭と電力の値上がりは,ベトナム経済の死命
●インド,電力金融公社PFC,NTPCとの協力体制準備は順調
●ネパール,カリガンダキ峡谷プロジェクト,民間開発が有利


3 本文

●ベトナム,電気料金据え置きか,ズン首相が意向

ベトナムも,経済の舵取りが難しくなってきたようだ。発展を続ける中国と同じ様相を呈してきて,インフレ抑制が鍵となってくる。社会主義が原則だけに,インフレによる一般庶民の反発が怖いのは,中国と同じだ。そこで電気料金が重要な施策の一つになってくる。現在の平均的な電気料金はKWh当たり780ドン程度で,USドル換算で4.9セントと極めて低い水準にあり,先日もフィリッピンから米国企業がベトナムへ逃げる話があった。

何故ベトナムは電気料金が安いのか,という話は,結局北の石炭が重要な貢献をしてきたわけで,これに当時は経済規模と不釣り合いなホアビン水力190万KWと言う巨大な水力電気を,旧ソ連の支援で造っていたことなどが挙げられる。最近は,火力IPPの比重が増えてきて,EVNも生産コストと販売コストの逆さやに苦労しており,7月1日には料金値上げの計画があった,これにズン首相が待ったをかけようと言うわけである。

EVNのホームページ
http://www.evn.com.vn/default_e.asp

●ベトナム,専門家筋,石炭と電力の値上がりは,ベトナム経済の死命

ベトナムは,昨日も報じたように,貯水池の水位低下や新しく動き始めた火力の運転不調などが重なって,今週末にも全国の主要都市で電力供給制限が行われることになっており,市民が神経質になっている。ズン首相は可能性を否定したが,7月には電気料金値上げの計画が既に動き始めている,市民の懐疑心は電力公社EVNに向けられており,記者とEVNの間の興味あるやりとりが記事になっている。

まず一点は,財務省関係者から,もし計画通り,7月1日より石炭と電気料金の値上げを実際にやるならば,ベトナム経済はコントロール不能に陥る危険性がある,何としてでも値上げは延期すべきだ,と警告しながら,値上げに伴うEVN自体の情報の公開が不十分で,納得できない,7月値上げは,今進みつつあるインフレなどの経済状態に大きなブローとして効いてくるだろう,と言う。

日本の国民は,高い電気料金を払っても,質の高い電気の恩恵で豊かな生活を享受している,と書いたことがあるが,まさにベトナム国民の不満はそこにあって,こんなに停電を心配しなければならないような供給状態で,どうして電力料金値上げに応じられるか,と記者がEVNに迫る。EVNは,最近運転開始した西南部のカマウ天然ガス火力150万KWのIPPを例に,高い電気を買って安く売らねばならないEVNの立場を考えて欲しい,と答えている。

記者は厳しい質問を投げかける。アジア各地で安定的に電力供給を続ける国は沢山あるのに,どうしてベトナムはいつもこのように電力が足らないのか,と迫る。EVNの答えは,電源開発は我々だけの責任ではない,むしろ責任は投資の側にある。投資の伸び悩みと,投資企業の発電所工事の遅れや不調が電力不足を招いている,とEVNは責任逃れの発言である。

結局,強力な電源開発を推し進めようと組織した国家電力公社EVNであったが,日本の円借款など最初は大きな公的支援を得て電源開発を推進したものの,アジアに流れた民営化の波がここにも押し寄せ,民間開発の割合が高まって,EVNとしては供給の安定に責任が持てなくなってきた,と言うことだろう。経済とそのエンジンが安定して発展を続けるためには,しばらくは強力な国の指導が欠かせない,と言うことか。

話題になっているカマウ発電所の記事を拾ってみる。第1カマウ発電所,3月に最大出力へ。メコンデルタ地方カマウ省のカマウ・ガス火力発電・窒素肥料プロジェクト管理委員会はこのほど,第1カマウ発電所の3基目のガスタービン(出力250メガワット)の試験運転を開始した。同発電所は昨年4月から発電を開始しているが,最大出力の750メガワット到達は3月20日になる見込み。また,第2カマウ発電所の試験運転開始は4月になる予定。

●インド,電力金融公社PFC,NTPCとの協力体制準備は順調

このパワーエクスチェンジと言うのは,電力取引市場のことを指すのか,ちょっとよく分からないが,株式市場と同じような電力取引市場を創設氏よとしたが,参加予定企業が抜けていって,残ったのがPFCとNTPCの二つになってしまった。それでも,]将来の市場発展のために両者は頑張って協力してみよう,と言う記事か。

インドのパワーエキスチェンジの記事
http://www.thehindubusinessline.com/2005/01/20/stories/2005012000391000.htm

●ネパール,カリガンダキ峡谷プロジェクト,民間開発が有利

水力開発を国の手で実施すると,民間開発の場合の3倍の資金が必要だ,と叫んでいる。特に外国の公的支援を受けると,その国の企業を優遇してくるので極めて高い発電所になる。その点,ADBや世界銀行の場合は国際入札を行うのでまだ許される,として実際の数字を挙げて民間開発の有利性を説いている。

カリガンダキ,ミドルマルシャンディなどの例を挙げて,国の事業ではKW当たり4000ドル,民間開発は1499ドル,海外民間資本では2610ドル,と簡単な比較を行っているが,勿論国側は反論していて,水力発電所は地点の特性によって大きく変わってくる,国が実施する場合は,インフラが整備が困難なところが多く,当然高くなる,と言っている。では国は高いところばかり選んでいるのか,と逆をつかれている。

KW当たり建設費の比較が出ているので面白い。60MWクリカニはKW当たり3565ドル,69MWマルシャンディが5602ドル,144MWカリガンダキAが2639ドル,60MWキムティが2436ドル,36MWボテコシが2784ドル,20MWチリメが1547ドル,3MWピルワが1451ドル。


4 その他

●インドネシア,西ジャワのジャティゲデダムプロジェクト,反対に遭う


5 参考資料

2008年3月19日分

ベトナム
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080319A Vietnam Vietnam News Agency
専門家筋,石炭と電力の値上がりは,ベトナム経済の死命
Coal and electricity price increases will make price control impossible
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/03/773790/
●080319B ベトナム,3月18日8時4分配信 NNA
ベトナム,電気料金据え置きか,ズン首相が意向
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080318-00000007-nna-int


ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080319C Nepal, eKantipur
カリガンダキ峡谷プロジェクト,民間開発が有利
Pvt sector hydel projects more cost effective
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=141013

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080319D India, Economic Times
電力金融公社PFC,NTPCとの協力体制準備は順調
Power Finance Corp says power exchange deal with NTPC on track
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Power_Finance_Corp_says_power_exchange_deal_with_NTPC_on_track/articleshow/2873038.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080319E Indonesia, The Jakarta Post
西ジャワのジャティゲデダムプロジェクト,反対に遭う
Jatigede project meets opposition
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/17/jatigede-project-meets-opposition.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月18日分 ーコインにも裏と表がある

「コインにも裏と表がある」,と語って,軍事政権下のミャンマーは極めて平和で秩序だった社会を構成している,と褒めちぎったのは,ミャンマーの新首都ネピドーでナンバーワンのタンシュエ将軍と会談した後の,タイのサマック首相である。裏と表がある,と言ったのは,国際社会が忌み嫌っているタンシュエ将軍の裏は,敬虔な仏教徒で,彼は朝晩,仏様に祈りを捧げながらミャンマーの施政に当たっている,と言うのである。

どうもサマック首相は胡散臭い,と言っては失礼だが,本当に彼の言うように開発重視のタイが蘇るのかどうか,危ない気持ちで見ているのは,私だけではなかろう。今日の記事を読むと,彼は私と同じ1935年生まれで,1976年,我々が41歳の時,私は新しい道を求めて関西電力を飛び出し,ネウイン政権下の圧政厳しい当時のビルマに,水力開発を求めて飛び込んでいった。

あの時,初めてのバンコクで飛行機を乗り換えて,これが旅客機かと思われるようなビルマ航空でラングーン入りをしたわけだが,そのすぐ後で,バンコクは軍事クーデターに巻き込まれ,ビルマの新聞にも厳戒下のバンコク市内の模様が報道されていた。あのクーデターに於いて,41歳の青年将校サマック大尉は,当時右翼の民族主義者でこのクーデターを扇動し,結果として46人の犠牲者を出したのである。

サマック氏が今回の首相就任直後,今年の1月28日,CNNのインタビューを受けて,「私はあのクーデターには何も関与していないし,犠牲者は46人でなくて,たった一人が死亡しただけだ。」,と弁明している。自らほころびを出して,関係ないのなら犠牲者が46人でも一人でも良いではないかと質問されて,うろたえている。この首相があの時,私が寂しい思いで旅だったとき,彼は私のすぐ傍で,兵士を扇動していたのだ。

いずれにしても,タクシン元首相をそばに置きながら,恐らく策士の彼は,2度と政権をタクシンに渡すことはあり得ないだろう。そうして彼の強引とも思える開発重視政策,それはメコン河に及んでは分流によって東北タイに水を持ってくる,サルウイーン河に於いては228mの高さのダム建設に走る,危ないが,うまくいけば沈滞気味のタイの経済を救うことになるかも知れない。石炭火力の建設反対に,彼はどういう態度をとるであろうか。

1976年,41歳の私,ビルマで兵士に守られて
http://my.reset.jp/~adachihayao/08031801.jpg


1 今日の概要

●タイのサマック首相,ミャンマー訪問の印象を語る,平和で秩序正しいと。タッサン水力開発,更に推進を合意。●パキスタンで水力開発に関する国際会議,パキスタンの包蔵水力は4,200万KW。●ベトナム,いよいよ全土で電力使用制限が始まる。ホアビンアドの貯水池水位低下と,カマウなどの火力発電所の運転不調。


2 目次

●タイ首相,ミャンマーは平和で秩序正しい
●今日より,工科大学で,パキスタンの水力開発全国会議開催へ
●EVN,ダムの水位低下など,今週末からも全国的な供給制限へ


3 本文

●タイ首相,ミャンマーは平和で秩序正しい

タイのサマック首相,最初の外遊先がミャンマー,ミャンマー軍事政権を褒め称えることで,今後のミャンマーとの結びつきをより確実なものにしようと言う意図が明確となった。一般の両国の通商意外に,ミャンマー沖の天然ガスとサルウイーン河の水力開発と,二つの大きなエネルギー協力が目玉である。タイのクーデター政権は,サルイウイーンなど少し手控えた感じであるが,サマック首相は全然気にしていない。

サマック首相のミャンマー訪問後,ノッポドン外務大臣は,サルイーン河の巨大ダムプロジェクト,タッサン水力の推進を合意したと発表した。ダムの高さ228m,発電出力700万KW,果たして最後までタイの電力立地難を救う決め手になるかどうか。昨日,中国企業との株式持ち分で協議が難航していることを伝えたが,今日の記事ではこれに触れていない。

記事の最後に出ているが,ミャンマーへのタイの投資額は合計で13.4億ドル,列国で第3位と書いてある。第1位は意外にも英国で15.6億ドル,第2位がシンガポールで14.3億ドルである。中国はこの中に出てこない。やはり,沖合天然ガスへの投資額が大きいのか。

タッサンダムサイト付近地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08031501.jpg
タッサンダムサイト グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08031502.jpg

●今日より,工科大学で,パキスタンの水力開発全国会議開催へ

パキスタンの工科大学はタキシーラにあるのだ。ここで3日間の,第3回国際水力開発会議なるものが開かれる。海外からの参加者は,ドイツ,オーストラリア,中国で,会議の後,円借款が支えたガジバロチャ水力発電所とタルベラダムの現地視察が行われる。パキスタンの包蔵水力は4200万KWという数字が出ている。

イスラマバード郊外仏教遺跡,タキシーラ
http://my.reset.jp/~adachihayao/PakiTax1.htm

●EVN,ダムの水位低下など,今週末からも全国的な供給制限へ

いよいよ今週末から電力カットが行われるとEVNが警告を発した。電力需要の伸びが,昨年に比べて15.6%と言う高い数字になるようだ。また,ホアビン,タクバ,チュエンクアンなどの貯水池の水位が下がっていることと,新しくできた西のカマウ天然ガス火力や北のウオンビ石炭火力の運転が円滑に言っていないなどの原因を挙げている。南北を繋ぐ50万ボルト送電線は,南から北へ送電することになるそうだ。

ホアビン発電所訪問記録
http://my.reset.jp/~adachihayao/Viet.htm


4 その他

●インドネシア,スラウエシのLNG基地の建設,ガス取引交渉で遅れが
●インド,ハリアナ州,第11次五カ年計画で,電力に約2400億ルピー投資へ
●ベトナム,エネルギーセクターなど,更なる外国資本の投資を期待


5 参考資料

2008年3月18日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080318A Vietnam, VNA
EVN,ダムの水位低下など,今週末からも全国的な供給制限へ
Power cuts this weekend
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=01IND150308
●080318B Vietnam, VNA
エネルギーセクターなど,更なる外国資本の投資を期待
Energy, mining sectors eye more foreign investment
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=03ECO150308

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080318C Pakistan, Daily Times
今日より,工科大学で,パキスタンの水力開発全国会議開催へ
3-day int’l conference on hydroelectric power development begins today
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C03%5C17%5Cstory_17-3-2008_pg7_38

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080318D Myanmar, Tha India
タイ首相,ミャンマーは平和で秩序正しい
Thai premier praises Myanmar as peaceful and orderly
http://www.thaindian.com/newsportal/world-news/thai-premier-praises-myanmar-as-peaceful-and-orderly_10027969.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080318E India, Economic Times
ハリアナ州,第11次五カ年計画で,電力に約2400億ルピー投資へ
Haryana to invest Rs 24316.82 cr in power sector in 11th Plan
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Haryana_to_invest_Rs_2431682_cr_in_power_sector_in_11th_Plan_/articleshow/2871610.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080318F Indonesia, The Jakarta Post
スラウエシのLNG基地の建設,ガス取引交渉で遅れが
Construction of Senoro LNG plant may be delayed BPMigas
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/16/construction-senoro-lng-plant-may-be-delayed-bpmigas.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月17日分 ーネパールに日本企業の影なし

「ネパールに日本企業の影なし」,と訝っているのは,何度かネパールを訪問し,日本企業の活躍ぶりを見てきた私自身のつぶやきである。ネパールが今日まで海外資本に水力資源を解放しなかったのは,いろいろな理由があるが,大きな理由は二つ,インドへの送電が外交上難しかったこと,それとマオイストの問題で,首都から遠く離れた地域での開発が困難であったこと,などであろう。

マオイストは,今でも大規模水力の開発には懐疑的だが,少なくとも政治への参加を決定して,地方の治安は回復することが期待されている。またインドとの関係は,この1年で随分改善されて,インド企業がネパールの水力開発に参入する素地が出来た。既に二つ,アッパーカルナリとアルン第3は開発が決定し,ブディガンダキは3月24日に提案書が提出される。

60万KW,ブディガンダキには,10社以上のインド企業の他に,中国,米国,アイスランドなどの外国企業が参入を視野に入れている。日本企業の影はない。ネパールの水力は,インド北辺の水力と同様,インドの石炭火力開発を抑制する上で,同じ位置づけにある。日本企業が,入札図書の購入にさへ顔を出していないのは,やはり治安の問題であろうか。水面下の動きは,何となく感じられるが,JBICの国際金融の動きがもう一つはっきりしないところに,日本企業の懸念があるのか。


1 今日の概要

●ネパールの水力第3弾,60万KW,ブディガンダキ水力,3月24日がプロポーサルの提出だが,インドはタタを初め10社が参入,他に中国企業も巻き込んで熾烈な争い。●インド,アッサム州政府が,平地ではあるがプラマプトラ川をうまく利用すれば,7000万KWは開発可能と。●横浜のG20で日本のセクトラルアプローチが波紋を。●タイの輸銀のミャンマーへの借款,なおタイの国会に迷いが。●ネパール,GMRのアッパーカルナリ訴訟,続く水力への影響も大きい。●スリランカの電気料金問題,長文,更に読解してから。


2 目次

●ネパール,600MW,ブディガンディ水力,タタ発電会社が参入
●インド,アッサム州政府電力大臣,ブラマプトラ川の水力開発を約束
●横浜のG20,途上国も一定の理解=温暖化の分野別対策
●タイの輸銀,ミャンマーへの40億バーツ承認
●ネパール,インド企業GMR,アッパーカルナリ論争で,ひとまず説得
●スリランカ,エネルギー専門家,LNG推進の危険性を警告
●スリランカ,電気料金値上げの実態を探る
●スリランカ,電気料金の実態とそのミステリー


3 本文

●ネパール,600MW,ブディガンディ水力,タタ発電会社が参入

三つ目のネパールの水力入札,3月24日にプロポーサルの提出となっている。前回とは違って,インド企業の参加が10社以上に上り,これに加えて米国籍のAES,更には中国企業の参入も報道されている。中国企業の名前は明らかにされていないが,これまでネパールに入ってこなかった中国企業の参入は,従来とは少し違った,政治的には微妙なニュアンスが出てくる,買電先がインドであるだけに。

それとこのプロジェクトの特徴は,前の二つ,アッパーカルナリとアルン第3水力が,流送土砂をあまり気にしない流れ込み式であったのに比べて,初めて大胆に大規模貯水池を提案している点である。ネパールでは初めての試みと言っていいのか,本格的な水力の開発のためには,どうしてもこの方式が必要だが,水没移住も出てくるであろうし,上下流への河川環境への影響も出てきて,先行き微妙である。

ブディガンダキ水力位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080312B01.jpg
ブディガンダキ水力 グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080312B02.jpg
ブディガンダキ水力 計画詳細図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080312B03.jpg

●インド,アッサム州政府電力大臣,ブラマプトラ川の水力開発を約束

インドのアッサム州は,地図でも見られるとおり,ほとんどが平地である。北のアルンチャルプラデシュ州は山岳地帯で水力資源に恵まれているが,アッサム州には具体的な水力開発計画がない。州の中央を東から西へ,巨大なブラマプトラ川が縦断している。州政府のボルドロイ電力大臣は,新技術を導入してここに水力発電所を造るべき,ポテンシャルとしては7000万KWあるはずだ,と強気。低落差発電だが,技術的には困難。

しかしこの州には,ADBが北東地域送電網の建設支援を表明したり,政府の2012年までには全国民に電気を,の政策の元で,今後とも電力については相当の投資が期待されている。

アッサム州地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08031701.jpg

●横浜のG20,途上国も一定の理解=温暖化の分野別対策

所謂,日本の提案するセクトラルアプローチが,大きな話題を提供している。私自身はこの日本案を完全に理解しているかどうか,よく分からないが,私の考えているように,例えば電力分野では,どこが革新的技術を持っており,それを世界のどの地域に適用すれば,地球の温暖化抑制にとってもっとも効果的か,というアプローチならば,まさに正鵠を得たものと言わなければならない。各国の総量問題との繋がりは私は分からない。

端的に言えば,日本の石炭火力の技術を積極的に中国とインドに,適用して行く,日本の貢献を数量化して評価する。また,インドや中国の石炭火力を,各国の資金力を動員して,原子力や水力に置き換えて行く,日本の石炭火力だけを革新してもほとんど効果はない。日本の提案に対して,中国とインドはどの様に反応したのか,南アフリカ共和国,インドネシア,ブラジルは,警戒を示したという。

●タイの輸銀,ミャンマーへの40億バーツ承認

サマック首相の初めてのミャンマー訪問は終わったようだが,ここで浮上してきたのは,前タクシン首相の時代に,ミャンマー軍事政権と約束したタイ輸出入銀行の車間供与の話である。サマック首相は,棚上げとなっていた約束の一部,約40億バーツを進めることで約束したようだが,残りの部分については,タイ国会の中での軍事政権への懸念が残っていて,今後に問題を残したようだ。

タイ企業MDXが進める711万KW,サルウイーン河のタッサン水力プロジェクトについて,ミャンマー軍事政権は,計画通り進めるよう迫ったようだ。この計画は高さ228mという巨大なダムを含むため,水没移住の問題や河川環境の問題がクローズアップしてくる。

●ネパール,インド企業GMR,アッパーカルナリ論争で,ひとまず説得

30万KW,アッパーカルナリ水力,外国企業初めての開発権の獲得で,インドのGMRが取得したが,住民から国会の3分の2以上の承認が必要と,最高裁に訴状が上がっている。ネパール政府側は,弁護士を立てて反論に移った。電気は資源ではない,との理屈だが,このプロジェクトに続くアルン第3水力や3月24日にプロポーサルの出るブディガンダキ水力にも大きな影響を与える。

アッパーカルナリ水力,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080314D01.jpg

●これ以下3項については,久しぶりにスリランカの電力問題が取り上げられた記事で,LNG輸入の可否や基本的な電気料金の問題が論じられている。長文であり,更に一日,十分に検討してみたい。スリランカは,資源に恵まれず,台湾や日本の道を歩むことになるが,経済規模が未だ小さく,大規模電源の導入が難しくて,電源で大きな課題を負っている。中国,インドなどが輸入石炭の火力を準備中である。

●スリランカ,エネルギー専門家,LNG推進の危険性を警告
●スリランカ,電気料金値上げの実態を探る
●スリランカ,電気料金の実態とそのミステリー


4 その他

●インドネシア,国内需要で更に天然ガス確保へ


5 参考資料

2008年3月17日分

スリランカ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Srilanka.htm

●080317A Srilanka, Sunday Times
電気料金値上げの実態を探る
The lessons of the electricity tariff increase
http://www.sundaytimes.lk/080316/Columns/eco.html
●080317B Srilanka, Sunday Times
電気料金の実態とそのミステリー
Electricity costs and prices Facts and myths
http://www.sundaytimes.lk/080316/FinancialTimes/ft309.html
●080317C Srilanka, Lanka Bisiness Online
エネルギー専門家,LNG推進の危険性を警告
Sri Lanka energy expert warns against LNG push
http://www.lankabusinessonline.com/fullstory.php?newsID=1791634062&no_view=1&SEARCH_TERM=4

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080317D Nepal, NDT Profit
インド企業GMR,アッパーカルナリ論争で,ひとまず説得
GMR wins first legal tussle in Nepal over hydropower
http://www.ndtvprofit.com/2008/03/15150706/GMR-wins-first-legal-tussle-in.html
●080317F Nepal, mangalorean
600MW,ブディガンディ水力,タタ発電会社が勝利
Tata among 10 Indian companies vying for Nepal hydropower deal
http://mangalorean.com/news.php?newstype=local&newsid=70750

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080317E Myanmar, Bangkok Post
タイの輸銀,ミャンマーへの40億バーツ承認
Exim bank to complete Burma loan Govt to boost economic ties with junta
http://www.bangkokpost.com/News/16Mar2008_news01.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080317G India, Telegraph India
アッサム州政府電力大臣,ブラマプトラ川の水力開発を約束
Minister promises more power
http://www.telegraphindia.com/1080316/jsp/northeast/story_9024578.jsp

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080317H Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア,国内需要で更に天然ガス確保へ
RI seeks more gas for domestic market
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/15/ri-seeks-more-gas-domestic-market.html

環境一般

●080317I 温暖化会議,3月15日20時1分配信時事通信
途上国も一定の理解=温暖化の分野別対策−G20
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080315-00000114-jij-int


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月16日分 ー毎日水位が20センチ下がり続けている

「毎日水位が20センチ下がり続けている」,と悲痛な声を挙げているのは,ベトナム電力公社,ホアビン貯水池の担当官である。毎年の行事ではあるが,今年はどうもガスの供給にも問題が出てきたようで,北から南まで,激しい電力使用制限を課されてきて,停電が頻発しているようだ。あれだけ一生懸命電源開発を行ってきたベトナムさへが,今や厳しい電力需給の下にある。

アジアに於ける電力需給の逼迫は大変なもので,最近話題になっているのは,インドネシア,インド,パキスタン,ネパール,中国,更にこのベトナムである。いずれも高度成長を続けている国々であるが,アジア経済危機で一時落ち込んだフィリッピンとタイは,今のところ落ちついているが,2010年から11年にかけては,もっと大変なことになるだろう。

このように見てくると,電力供給というものは,経済成長が激しくなれば,必ずと言って良いほど電力不足に見舞われる。昭和40年前半,石油危機直前の高度経済成長の頂点で,日本は良く持ちこたえたと思う。あのころは私たちの年齢が,まさしく電源開発の渦中におり,長期電源開発計画の中で,必死になって働いていたが,その時,頭の中にたたき込まれたのは,供給責任である。

民間会社とは言え地域独占の中で,もし供給不足に陥れば大変な責任が電力会社にかかってくる,と言うことだったのだろう。そのころに始まった揚水発電の開発でも,京都の北で始めた地点が着工できず,急遽,兵庫県北部の奥多々良木に切り替えて着工したが,工事半ばで石油危機に見舞われた。それでもあのころは,供給責任を果たした,と言う自負が我々世代にはあるのではないか。


1 今日の概要

●国際ダム反対デー,ミャンマーではサルイーンのハッチダム計画を中心に,250人ぐらいの地元住民が集まって反対の気勢を挙げた。反対グループのBRNは,特に中国企業の過度の介入を非難した。●国際ダム反対デー,タイではパクムーンダム周辺で500人ぐらいが11時間にわたり反対集会を行った。全ダムの撤去とメコン分流に反対した。●インドの大規模石炭火力開発計画UMPP,産炭地のオリッサ州に更に3カ所の発電所を追加することを決定した。


2 目次

●ミャンマー,サルウイーン河の住民,ダム反対運動激化
●タイ,ダム反対派グループ,すべてのダム撤去などを政府に要求
●インド政府,更に3カ所の大規模火力プロジェクトを計画
●インド,オリッサ州,3つの大規模火力プロジェクトを承認


3 本文

●ミャンマー,サルウイーン河の住民,ダム反対運動激化

3月14日は,「国際ダム反対デー」,だと言うのは知らなかった。ミャンマーには,「ビルマ河川ネットワーク,BRN」,と言うのがあるらしいが,少なくともホームページは開設されていない。良く国内で活動が許されているものだと思う。このネットワークが主宰して,サルウイーンの下流ダムプロジェクト,ハッチーダムの近くで,250人ぐらいの地元民を集めて集会を行い,イラワジ紙記者に,その代表が語った内容である。

一般的なダムによる影響を羅列して,ミャンマー内のダム建設反対を表明しているが,彼らが強く非難したのは,ミャンマーの軍事政権であると同時に,中国企業を強く批判している。中国は,現在ミャンマー領域内で,イラワジ,サルウイーン,シッタンの各河川領域で,25カ所の大規模ダムを進行させていると非難している。

彼らの意見の中の一つは,軍事政権がこれらのダムに関して,環境調査を全然行っていないことと,住民への情報の公開が全くないことを挙げている。軍事政権の間にダムを造ってしまえ,と言う人もいるが,個々までの意見を公にミャンマー領内で,しかも集会場で行うと言うことは,相当勇気の要ることなのであろう。このネットーワークは,地下組織なのだろうか,代表の名前まで出ている。

今日の記事で標的となったのは中国企業であるが,特に地点名として,着工にもっとも近い位置にいるサルウイーン河下流のハッチーダムと,イラワジの上流で300万KWを発電しようとするミートソネである。このイラワジ紙が,かなり正確なダムの位置を特定した地図を掲載しているので,それをここに借りて示す。

ミャンマー国内のダム位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080316C02.jpg
ハッチー,ダム位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080316C03.jpg
ハッチー,ダム,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080316C04.jpg

●タイ,ダム反対派グループ,すべてのダム撤去などを政府に要求

こちらはタイの,「国際ダム反対デー」,の状況である。100数年に亘るパクムーンダムの反対運動を思い起こそう,という行事で,パクムーンダム付近に500人ぐらいが集まって気勢を挙げたようだ。このパクムーンダムは,それこそ10数年に亘って戦い続けた歴史を持っているが,リーD−であったワニダ女史が,昨年肺ガンでなくなって,その後しばらく大きな動きがなかった。

この集会の声明では,既存のダムの撤去を要求しており,その代わりにそれを代替する水資源運用の方法を考えよ,と叫んでいる。また,サマック首相のメコン分流案については微妙な表現で,この案によって利益を得る人もいるが,犠牲になる人もいることを忘れるな,と言っている。問題が東北タイの水問題だけに,全面的な反対の姿勢をとっていないところが面白い。

パクムーンダムの研究例
http://www.gdnet.org/pdf/global_research_projects/br&p/Thailand.pdf

●インド政府,更に3カ所の大規模火力プロジェクトを計画

インド政府の大規模石炭火力発電計画UMPPは,一見極めて意欲的で効果的である。400万KWクラスの石炭火力を9カ所,同時に進行させようというもので,インドネシアの1,000万KW石炭火力のクラッシュプログラムと比肩される。インドネシアは中国の全面的な支援を得て進めているが,インドは民間資金が頼りで,国内のリライアンスやタタが,この計画に貢献しようとしている。しかし,インド独特の官僚制度で,円滑ではない。

ここにインドの石炭生産の分布図を付しておくが,これに見られるように,石炭は東部に偏在している。昔は列車で石炭をデリーまで運んでいたが,今は送電線の強化でこれを送っている。今のところ,石炭火力の集中による公害問題は出てきていないが,そのうちに石炭火力集中地域で大きな問題になる可能性を秘めている。

今回も,9カ所のUMPPだけでは電力不足を解決できないとして,新たに産炭地のオリッサに,]更に3カ所の大規模石炭火力を追加することで,電力省は発表に踏み切った。ただ問題は,西部沿岸,特にムンバイなどの電力が逼迫していることで,ここまで送電線を強化することは困難な状況の要だ。この地域については,原子力発電,LNG輸入によるガス発電,更には輸入石炭による石炭火力発電,などが必要になる。

このように,インドは,電力不足を解決するために膨大な規模の石炭火力を投入しようとしている。地球温暖化問題では,中国とインドの石炭火力が今後支配的な影響を持つので,日本としてもセクトラルアプローチの提案で,インドとの協力が,地球を救うことに繋がるのである。インドの石炭火力の効率化然り,原子力発電の強化然り,インド北辺の水力開発への協力然り,である。

インドの石炭分布図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080316F01.jpg
インド政府のUMPP計画
http://pfc.gov.in/MOP_UMPP.pdf
UMPP,ウイキペディアの解説
http://en.wikipedia.org/wiki/Ultra_Mega_Power_Plants(India)

●インド,オリッサ州,3つの大規模火力プロジェクトを承認

前項同様の趣旨であるが,オリッサ州の新たな発電所の具体的な位置はまだ未決定である。これらは,特別目的事業体SPV,即ち,電力融資公社が推進するプロジェクトとして,民間の力を借りることになる。今のところUMPPでは,リライアンスが,グジャラート州のササン計画,アンデラプラデシュ州のクリシュナパトナム計画を,またタタがムンドラ計画を,それぞれ手にしている,まだ手続きが進行中である。


4 その他

●ベトナム,EVN警告,ホアビンダムなど水位が昨年以上に低下,電力危機
●中国,石炭,電力価格の連動,「当面は発動せず」,政府高官
●インド,2007年度の第3四半期,産業界は厳しい電力不足に見舞われた


5 参考資料

2008年3月16日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080316A Vietnam, thanhnien
EVN警告,ホアビンダムなど水位が昨年以上に低下,電力危機
Energy supplier says blackouts to hit soon
http://www.thanhniennews.com/society/?catid=3&newsid=36712

タイ
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080316B Thailand, Bangkok Post
ダム反対派グループ,すべてのダム撤去などを政府に要求
Govt pressured to scrap dam projects
http://www.bangkokpost.com/News/15Mar2008_news07.php

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080316C Myanmar, irrawaddy.org
サルウイーン河の住民,ダム反対運動激化
Ban the Dam, Say Activists
http://www.irrawaddy.org/article.php?art_id=10888

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080316D India, Economic Times
オリッサ州,3つの大規模火力プロジェクトを承認
Orissa approves 3 ultra mega power projects
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Orissa_approves_3_ultra_mega_power_projects/articleshow/2865922.cms
●080316E India, Economic Times
2007年度の第3四半期,産業界は厳しい電力不足に見舞われた
'Industries experiencing acute power shortage since 2007 Q3'
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Industries_experiencing_acute_power_shortage_since_2007_Q3/articleshow/2867109.cms
●080316F India, Economic Times
インド政府,更に3カ所の大規模火力プロジェクトを計画
India considering three more large power projects
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_considering_three_more_large_power_projects/articleshow/2865815.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080316G 中国,3月14日16時44分配信 サーチナ・中国情報局
石炭・電力価格の連動「当面は発動せず」政府高官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080314-00000021-scn-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月15日分 ーやたらに動き回る一握りの役者達

「やたらに動き回る一握りの役者達」,とタイの環境専門家に言われているのは,サルウイーンで動きを続ける中国のダム企業である。この専門家は,10年に亘ってメコンやサルウイーンを見てきたが,中国の現政権は,少しは海外で勝手に動き回る中国企業をコントロールしたらどうなのか,と問題提起している。彼の発想は,サルウイーン河の開発計画は,個々のプロジェクトの問題ではなく,上流怒江を含めた水系一貫であるべきだと言っているのである,特に環境調査に於いては。正論ではある。

タイのサマック首相が昨日金曜日にミャンマーに入っているが,いろいろな報道の中で,ロイター電は,タイの政権がクーデターなどでもたもたしている間に,サルウイーン中流の700万KWダム計画,タサンについて,タイの企業が40%の持ち分で走っていたのに,ミャンマー政府がこれを取り上げて,ミャンマー政府の持ち分を増やし,中国企業の持ち分を51%,マジョリティにして,中国企業に主導権を与えようとしていることに,開発優先を唱えて政権を握ったサマック首相が調整に乗り出した,と言うのである。

日本のバブル経済の頃,日本の企業が世界を動き回って,森林破壊や不動産買収に走ったことは記憶に新しい。あのころ,電力については民間開発の考え方がなく,僅かに電源開発がトルコで動いたぐらいで,ほとんどのダム開発については,公的資金の元に民間が動いていた。それでもあのころのインドネシアやタイ,フィリッピンなどでのダムに関するコンサルタントの活躍は,結構,脚光を浴びていたものである。インドネシアなどでの政権との密着などは,後で良く問題にされたものだ。

その往事の日本企業を上回るペースで,またそれを超える範囲で,世界のあちこちで動き回るのが,中国のダム企業であり,石炭企業であり,エネルギー資源の企業である。中央政権にコントロールしろ,と言ってもとても出来ることではないが,動きの根元は資金であり,その資金調達がどの様に行われているのか,一度冷静に分析してみる必要がある。サルウイーン中流の700万KW,需要として中国領も考えているのだろうか。


1 今日の概要

●タイのサマック首相の初めての外国訪問はミャンマー。多くのニュースサイトがこの訪問を記事にしている。ほとんどは,政治抜きの通商に関する会談,としている中で,ロイター電だけは,サルウイーン開発に於けるタイと中国のつばぜり合いを取り上げている。●環境の専門家の書いた記事で,環境調査に於けるサルウイーン川の怒江を含めた一貫の計画と調査を提案,正論である。●インドのNTPCが,2012年を目指して5000万KW企業への成長を視野に入れている。●中国の黄河の調査団が,流砂の問題で米国のセントマリー川を訪問,面白い。


2 目次

●タイのサマック首相,エネルギー問題でミャンマー訪問へ
●タイ,サルウイーンにダムを建設する前に,検討が必要
●インド,NTPC,2009年度で1300億ルピー投入,270万KW
●中国の黄河調査団,オンタリオのセントマリー川を訪問


3 本文

●タイのサマック首相,エネルギー問題でミャンマー訪問へ

タイの新政権,サマック首相が最初に近隣諸国を訪問する国はミャンマーとなった。政治的に微妙ではあるが経済的には重要なこの訪問について,バンコクポストを初め,ロイターや中国紙まで一斉にこの計画を報じた。総じての報道は,政治的な問題には一切触れず,通商問題のみに限定される旅だ,と言うことを,サマック首相側が言っていることを記事の中心にしている。中国のチャナビューは,タイとミャンマーの通商が極めて額的に大きいことを強調して,中国自らの関わり合いの深さを相対的に薄める努力が伝わってくる。

ロイターの報道は,何故かサルウイーン河のダム開発を詳細に取り上げている。700万KW,63億ドルのタッサンダム計画であるが,現在タイ企業が40%の持ち分を有しているが,ミャンマー政府がこれを24%カットしたいと表明した事実に触れている。タイ側はあくまで40%維持の姿勢で,これが一つのサマック首相の目的としている。それは,ミャンマー政府が今の10%を25%に上げ,中国企業が現在の45持ち分を51%のマジョリティまで上げたいという,ミャンマー,中国両国の思惑に発している。

このタッサンダム計画は,クーデター後の政権が,撤退とも取れる態度をとったための動きではあるが,開発優先を唱えるサマック首相としては,メコン川と同様に,サルウイーンの開発は政策の目玉であり,中国企業と対等の持ち分を減らされて,しかも中国企業がマジョリティでプロジェクトの主導権を握ることには,何としてでも防ぎたい意図がある。中国企業が51%を持ちたい,と言うのは如何にも覇権的な意図を感じる。

タイ首相,ミャンマー訪問の主題はエネルギー協力
http://enews.mcot.net/view.php?id=3264
タイ首相のミャンマー訪問,民主化問題でなく通商問題
http://in.reuters.com/article/southAsiaNews/idINIndia-32463820080313
タイ首相のミャンマー訪問は通商問題の促進
http://news.xinhuanet.com/english/2008-03/14/content_7787010.htm
タイ首相のミャンマー訪問,政治問題を避けて通る
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C03%5C14%5Cstory_14-3-2008_pg4_15
サマック首相,近隣諸国との友好訪問の始まりでミャンマーへ
http://nationmultimedia.com/2008/03/13/regional/regional_30068090.php

タッサンダムサイト付近地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08031501.jpg
タッサンダムサイト グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08031502.jpg

●タイ,サルウイーンにダムを建設する前に,検討が必要

これは,中国からミャンマーまで流れるサルウイーン,怒川水系一貫の開発に対する,バンコクポストに書かれた,堂々の論陣である。10年間,メコンとサルウイーンを見つめ続けてきた環境専門家ザオノアム氏の書いた記事とされている。要は,怒江からサルウイーンの末端までの水系一貫の計画と環境調査EIAが必要であるにもかかわらず,ここのダムの環境調査を問題にしても十分な調査とは言えない,と言う点だ。中国は怒江のプロジェクトの環境調査を言っているが,下流までのことは考えていない。下流の計画然りであると。

全く正論で,我々もそれを主張したいが,一つは国際河川であって,下流の国民の声が上流の開発に伝わらない,また,上流から下流までの計画が一元化されていないから,これを一貫して調査する組織もない,と言うことである。あの長い歴史を持つメコン委員会も,上流中国の開発には一言も口が出せないし,上流中国は,下流に何も相談なしでダム開発を進めている。これは,流域首脳会議がまず必要だろう。メコン河はまだ情報公開が比較的行われているが,サルウイーンは全く霧の中である,と筆者は嘆いている。

サルウイーンウオッチ,ホームページ
http://www.salweenwatch.org/dam_site.html
怒江開発計画
http://my.reset.jp/~adachihayao/08031503.jpg
サルウイーン,怒江水系
http://my.reset.jp/~adachihayao/08031504.jpg

●インド,NTPC,2009年度で1300億ルピー投入,270万KW

巨大企業に発展するインド火力発電公社NTPC,第11次五カ年計画が終了する段階に於いては,5000万KWを有する大規模発電会社に成長する,そのためには,2009年度において,1300億ルピーを投入して,270万KWを完成させる必要がある,とサンカラリンガム総裁が語った,と言う記事である。インドの発電規模の増大とともに,大きく成長して行く企業だが,いろいろな試みが規制委員会によって規制もされている。また,海岸部の電力のため,ナイジェリアから300万トンのLNG輸入を計画している。

NTPCのホームページ
http://www.ntpc.co.in/home/index.shtml

●中国の黄河調査団,オンタリオのセントマリー川を訪問

面白い記事である。中国の黄河の調査団が,どうして米国のセントマリーにいるのか,要は両者が同じ砂の問題で,難題に遭遇していると言うことらしい。それぞれ詳しく勉強すれば面白いと思うが,それはまた後のことにしよう。


4 参考資料

2008年3月15日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080315A Thailand, eNews Mcot
タイのサマック首相,エネルギー問題でミャンマー訪問へ
Thai PM visits Myanmar with energy cooperation on agenda
http://enews.mcot.net/view.php?id=3264
●080315B Thailand, Bangkok Post
サルウイーンにダムを建設する前に,検討が必要
Damming Salween needs proper study first
http://www.bangkokpost.com/News/14Mar2008_news20.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080315C India, Economic Times
NTPC,2009年度で1300億ルピー投入,270万KW
NTPC to invest Rs 13k cr for adding 2,700 MW in FY09
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NTPC_to_invest_Rs_13k_cr_for_adding_2700_MW_in_FY09/articleshow/2862661.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080315D China, SOMD
中国の三峡ダム調査団,セントマリー川を訪問
Chinese Delegates Visit So. Md. to Seek Advice from St. Mary's Environmental Experts
http://somd.com/news/headlines/2008/7313.shtml


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月14日分 ー電気は単なる商品で資源ではない

「電気は単なる商品で資源ではない」,と強弁するのは,アッパーカルナリ水力の住民訴訟で開発側を弁護するネパール弁護士の理屈である。アッパーカルナリ水力30万KWは,初めての海外企業の水力開発として,インドのGMRが開発権を取得したものであるが,地元住民から,憲法違反だと訴状が出された。現在の暫定憲法で,国の天然資源を外国と共有する場合は,国会の3分の2以上の賛成が必要,と書いてあるそうだ。

これに似たような話は沢山あるが,少し趣旨は違っても,インドネシアのPLNの分割への違憲判断,タイのEGATの民営化への違憲判断,更に言わせて貰えば,Jパワーの株式取得を目指す外資系ファンドへの規制,など,必ずしもネパールがおかしいというわけではない。でも,このネパールの弁護士の強弁というか機転というか,屁理屈というか,なかなか読んでいて楽しい話である。

このネパールの弁護士は,天然資源とは河川の水であって,水をその落差から生み出す電気はもはや資源ではなく単なる商品だ,布製品などと一緒で,政府が許可すればそれでよい,と言う。また彼は,外国とは外国政府であって,会社は単なる法人であり憲法で言う外国とは言えない,国内の企業と同じカテゴリーだ,という。頭はすごくいいが,こういう議論で訴訟が成り立つのですかね。

旧友,と言うよりは日本の電力の中国ウオッチャーの代表である眞田さんが,とんでもないところヤンゴンからメールを送ってくれた。最近のミャンマーは,首都移転で,ヤンゴンは寂れていると思ったら,中国からのお客さんで賑わっているそうだ。中国通の眞田さん,中国のお客さんを捕まえて,また得意の中国語で喋りまくっているのだろう。眞田さんの白酒の飲み方には,独特の貫禄がある。メール一部引用。

「観光客が減り,外国人向けホテルはどこも苦しい状況と聞いて来たのですが,今回宿泊した施設は多少ガラの悪い中国本土からの客で盛況を呈しています。なんでも年に一度の大規模な翡翠の原石の交易会が開催中とか。そういえば、ホテルのエントランスには、大陸式に紅い横断幕に黄色い簡体字で,『熱烈歓迎珠宝展覧会来賓』のメッセージが掲げられています。宝石商というよりは山師という感じの大陸人がロビーや朝食ビュッフェで喧騒を生み出し、それぞれが我が物顔で闊歩する様子は大陸の三星級ホテルを彷彿とさせます。」。彼によると,客室からブロードバンド接続が出来るそうだ,制限があるようだが。

眞田さんのホテルから見えるシュエダゴンパゴダ
http://my.reset.jp/~adachihayao/08031401.jpg


1 今日の概要

●NNAが再びフィリッピンの電気料金問題,経済特区での優遇策を検討,それでも9セントから10セント,メラルコが反対で訴訟へ。●環境省などが,世界の温暖化ガス圧縮100億トンが可能と,特に中国などの途上国の効果が大きいと。●カンボジアとラオスの人々の経済活動を描く。●ネパール,ブディガンダキ水力60万KW,インドなどの10社が競う。●ネパール,アッパーカルナリ水力の訴訟問題,弁護士が,電気は単なる商品と反論。●インドのティースタ水力で住民がハンガーストライキ,公聴会がなかったと。


2 目次

●フィリピン,高い電気料金,経済区庁が対策検討
●世界の温室ガス,環境省「100億トン圧縮可能」
●カンボジア,ラオスに開発の波,連携強めるインドシナ半島諸国
●ネパール,ブディガンディ水力,タタなど10グループが競争
●ネパール,アッパーカルナリ水力の法廷闘争,バンジェイド弁護士が立ち上がる
●インド,ティースタ水力への反対グループ,ハンガーストライキ三日目に


3 本文

●フィリピン,高い電気料金,経済区庁が対策検討

昨日は,電気料金が高いためフィリッピン国内の米国企業は,電気料金の安いタイやベトナムに逃げて行くだろう,という米国商工会議所の話が出たが,今日はNNAが,経済特区の電気料金問題を取り上げた。経済特区は別の官庁が統轄していて,勝手に電気料金を決められる。このことに対して,マニラ電力メラルコは反対し,現在裁判所で係争中である。

経済特区については,オープンアクセスを検討中で,これが実現されれば,電気料金は下がるはずである,と政府は考えているようだが,私はそうは行かないと思っている。なお,記事中の特区の電気料金は,現在カビテでは6.4943ペソ,15.68セント相当,バターンでは5.3328,12.87セント〜64728ペソ,15.63セント,を設定している。バギオは3.8161ペソ,9.21セント,マクタンは6.8218ペソ,16.47セントという。高い。

この記事にも出てくるが,オープンアクセスになり,WESMが本格的に稼働すれば,東南アジアでは飛び抜けて高いフィリッピンの電気料金は下がる,と言う論調で書かれているが,昨日も書いたように,自由化が進めば進むほど,電気料金は上がってくる,と明確に私は予想する。それは,今から3年後の2011年までには需給が破綻することが目に見えており,ここで今国を挙げて電源開発に取り組まない限り,状態は悪くなるばかり。

マニラ電力メラルコのホームページ
http://www.meralco.com.ph/

●世界の温室ガス,環境省「100億トン圧縮可能」

私にとっては非常に興味のある記事だ。要は,世界の排出量は2000年時点で約250億トンだったが,2020年には約430億トンになる。しかし,排出量取引が世界に普及して二酸化炭素(CO2)の排出枠が1トン=100ドルで売買される場合や,1トンの排出に100ドルの税が課される場合を仮定すれば、企業や個人の削減意欲が高まるため,20年の排出量は約330億トンまで抑えられる。そのために1321億ドルが必要。

この試算が素晴らしいところは,排出量抑制の効果が大きいのは中国,インドなど発展途上国だ,と言うことに気がついている点である。日本などは幾ら頑張っても,量的にはほとんど地球に影響を与えない。ただ,CO2取引の経済的バランスから試算したもので,この結果を裏付けるために,例えばインドの石炭火力の開発スピードをどの様に抑えるとか,そういう試算を付け加えるべきだ。

国立環境研究所の温暖化ガスの研究ページ
http://www.nies.go.jp/kihon/juten/ondanka.html
京都大学の温暖化防止取り組み
http://www.kyoto-u.ac.jp/kankyo/reportd_07.html

●カンボジア,ラオスに開発の波,連携強めるインドシナ半島諸国

いつもニュースから欠け落ちるカンボジア,ラオスの経済の実態が,細かい情景を捉えられながら書かれている,味のある記事である。ベトナムのフェリー周辺の人々の活況とか,ラオスのビエンチャン郊外の繊維工場とか,その発展ぶりが目に見えるようである。私も,いつも歩いていた地域だが,ここしばらく遠ざかっているので,一度旅行でもしてみるか。

●ネパール,ブディガンディ水力,タタなど10グループが競争

これは昨日の記事と同じであったか。今朝も同僚からメールを貰ったが,ネパールの水力は問題はヒマラヤからの土砂流送問題である。中途半端な規模のダムでは全然役に立たない。そこに目を付けて,洪水期にはゲートを全開して土砂を全部下流に流せ,と計画したのがJパワー-JICAのアッパーセティ計画であったが,やはり本格的な開発方式でなく,何とかネパールの電力危機を救おうという姑息なプロジェクトであった。

大規模なダムを造って,土砂は全部ため込んでも50年,100年ぐらいは大丈夫,というダムを造ると,発電出力も100万KW近いものが必要で,ネパールの需要だけでは建設できない。この問題に挑戦しているのが,このブディガンダキ水力プロジェクトだと思う。ここにインドの10社以上が関心を示して,まもなくプロポーサルの提出が行われる。ただ,土砂が流れなくなった下流はどうなるの,と言う問題はある。その点ではこのプロイジェクトは本流で具中にあるから,比較的穏やかな影響なのかな。

プロジェクトは,カトマンズーからポカラに向かうカトマンズーよりの交通至便の場所で,貯水池式,150MW機4台,合計60万KW,落差185m,使用水量毎秒30トン,ダム高225m,池容量28億トン,センターコアーのロックフィルダム,地下発電所,トンネル2.5km,送電線22万ボルト,65km,工事費は1983年価格で774百万ドル。問題は流送土砂だが,池容量を大きくすることで対処しているのか。

ブディガンダキ水力位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080312B01.jpg
ブディガンダキ水力 グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080312B02.jpg
ブディガンダキ水力 計画詳細図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080312B03.jpg

●アッパーカルナリ水力の法廷闘争,バンジェイド弁護士が立ち上がる

前回2月26日の記事の解説は次の通り。二人のネパールの個人から訴えを受けて裁判所に引っ張り出される,訴状によると,水力資源は国家資産であり,閣議決定だけで外国企業に開発権益を委譲することは出来ない,国会の3分のに以上の同意が必要で,内閣だけで委譲したのは憲法違反である,と言うのである。現在,最高裁判所のクダールプラサドギリ長官が,両者から言い分を聞いているところである。問題にしているのは,GMRと水資源省で取り交わされた覚書MOUの中身なので,被告はこの両者と言うことになる。

ネパールの暫定憲法の中で,天然資源を外国と共有する場合は,国会の3分の2以上の同意を得るよう規定されているようだ。これに対してバンジェイド弁護士と当事者のNEAは,我々は天然資源を共有しようとはしていない,水から生まれる電気を共有しようとしているので,いわば電気は,単なる川の産物で,一般に取引される物品と同じ性格である,という。何だか実りのない議論ですね。

アッパーカルナリ水力,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080314D01.jpg

●インド,ティースタ水力への反対グループ,ハンガーストライキ三日目に

これからJBICのインド北辺水力への挑戦がどう展開して行くのか,大いに問題であるが,インドが環境に対して甘いはずはない。政府の態度を見ていると,ほとんどこの水力開発にまつわる住民問題に注意を払っていないように見える。このシッキムの水力開発に於ける住民の要求は,あくまで公聴会の開催である。だから今後,JBICプロジェクトがインド北辺に展開される場合も,日本国内的には温暖化防止,現地住民へは徹底的な情報公開と公聴会などによる意見の吸い上げが絶対条件である。

ティースタ水力,衛星写真
http://wikimapia.org/#lat=27.337577&lon=88.486591&z=11&l=0&m=a&v=2
シッキムに於ける水力ポテンシャル
http://www.sikkimpower.org/files/Hydropower%20advantages%20in%20Sikkim.htm
昨年9月のティースタの記事
http://www.thehindubusinessline.com/2007/09/01/stories/2007090151452100.htm
http://www.thestatesman.net/page.news.php?clid=10&theme=&usrsess=1&id=194874


4 その他

●フィリッピン,ティウイマクバン地熱の売却,10グループが関心


5 参考資料

2008年3月14日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080314A フィリッピン,3月13日8時0分配信 NNA
【フィリピン】高い電気料金、経済区庁が対策検討
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080313-00000008-nna-int
●080314B Philippines, Manila Bulletin
ティウイマクバン地熱の売却,10グループが関心
10 groups eyeing to bid for Tiwi-MakBan plants
http://www.mb.com.ph/BSNS20080313119262.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080314C Nepal, Tha Indian
ブディガンディ水力,タタなど10グループが競争
Tata among 10 Indian companies vying for Nepal hydropower deal
http://www.thaindian.com/newsportal/business/tata-among-10-indian-companies-vying-for-nepal-hydropower-deal_10026632.html
●080314D Nepal, The Himalayan Times
アッパーカルナリ水力の法廷闘争,バンジェイド弁護士が立ち上がる
A-G defends Upper Karnali project in Supreme Court
http://www.thehimalayantimes.com/fullstory.asp?filename=aFanata0sa2qzpca1Ua3a8a.axamal&folder=aHaoamW&Name=Home&dtSiteDate=20080313

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080314E メコン,3月12日20時26分配信 産経新聞
カンボジア、ラオスに開発の波 連携強めるインドシナ半島諸国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080312-00000970-san-int

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080314F India, The Statesman
ティースタ水力への反対グループ,ハンガーストライキ三日目に
Opposition flays Sikkim CM over hydropower projects
http://www.thestatesman.net/page.news.php?clid=10&theme=&usrsess=1&id=194874

環境一般

●080314G 環境省,3月13日3時0分配信 読売新聞
世界の温室ガス、環境省「100億トン圧縮可能」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080312-00000063-yom-soci


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月13日分 ー逃げるかと聞かれ格好良くイエス

「逃げるかと聞かれ格好良くイエス」,と答えたのは,高い電気料金でアメリカ企業はフィリッピンから逃げると思うか,と聞かれたフィリッピンの米国商工会議所のフォーブス氏である。スナッピーアンサー,イエス,と書いてある,如何にもアメリカ人らしい快活で明確な返答が目に見えるようである。彼らは,電気料金の安いタイやベトナムを目指している。高い電気料金に悩むアロヨ政権には,辛い記事である。

私たちは,カンボジアやスリランカのように,資源がなくてしかも最初から大規模な発電所を造るだけの需要がなかった国々の電気料金が,容易に安くならない実情を知っている。その点,タイとベトナムは豊富な石炭で最初からただみたいな電気料金の恩恵に浴してきたわけである。昔をたどれば,恐らくフィリッピンも日本も,カンボジアやスリランカのような歩をしてきたのだろう。

日本は,この前も書いたように,国民は供給の安定を一つのベースに,高い料金の元での電力の地域独占を許して,質の良い電気で近代的な生活を楽しんでいるわけだが,フィリッピンはこれに対してもがいている。彼らは,競争市場を創り出すことが電気料金を安くする唯一の方策であり,電源開発もその競争の中から進むものと勘違いしている。自由化を進めるに従って,電気料金が上がってくる,需給が逼迫する2011年からは,驚くほどのピークが,電力自由取引市場に現れてくるだろう。

タイやベトナムを相手にIPPプロジェクトを手がける日本企業も苦労している。日本の国内と同じようなプロジェクトの進め方をしていたのでは,電気料金が日本の3分に一以下のタイやベトナムのIPPは成り立たない。日本で3000億円で造った発電所と同じものを,タイやベトナムでは1000億円で造らなければ成り立たないからだ。

これは,発電所建設を請け負うコントラクターにも言えることで,高い電気料金のもと,質重視の発電所を潤沢な資金で建設してきたから,タイやベトナムではそのノウハウが役に立たない。事実,国内入札と国際入札の間に一線を引くコントラクターは多い。インドネシアのチラタで,国際入札の元,韓国の現代と渡り合って勝った大成建設が,着工に際して陸揚げしてきた重機類は,ほとんど償却が終わったとも思えるぼろぼろの機械であった。電気料金の安い国では,日本の企業はそこまで苦労しているのである。


1 今日の概要

●タイのIT企業ドラゴンワンが,カンボジアのパイリンに35万KW石炭火力建設へ。石炭をどこから持ってくるのだろう。●フィリッピンの高い電気料金を嫌気した米国企業が,タイやベトナムへ逃げて行く,アロヨ政権には痛手である。●EUは,地球温暖化問題は世界の安全保障と関係してくるとの報告書,中国と対立か。●中国が,発展改革委員会の下にエネルギー局を新設する計画,電力と石炭の一体化を目指すか。●インドネシアで,住友商事が,パイトン石炭火力とサグリン水力の改修事業を受注,需給逼迫でタイミングが問題。●マニラ電力,WESMの価格の動きにあわせ,料金を上げる方向,WESMの2月は14.33セント相当まで上がっている。●中国の龍灘発電所のダムが完成へ,出力630万KW。

2 目次

●タイ,ドラゴンワン,カンボジアの石炭火力建設を主導へ
●フィリッピン,米国企業は,高い電気料金のフィリッピンを避けている
●EU報告書「温暖化、安保上の脅威」・水や食料不足で紛争
●中国,エネルギー局新設,環境保護部門も格上げへ
●インドネシア,住友商事,2発電所改修を60億円で受注
●フィリッピン,マニラ電力,発電料金を,0.20ペソ上げ
●中国第3の大規模水力ロンタン龍灘,ダム建設を完了


3 本文

●タイ,ドラゴンワン,カンボジアの石炭火力建設を主導へ

この話は既に今年の1月ぐらいから報道されていたようだ。タイの有力IT企業ドラゴンワンが,ポルポトで有名なカンボジアのタイ国境付近,パイリンで,35万KWクラスの石炭火力を造り,両国の近傍に電力供給するほか,この地に工業団地を造成して海外企業を誘致し,電力供給しようとしている。私にとっては寝耳に水の報道であったが,過去の記録を見ると,半年ぐらい前から計画があったようだ。JBICのファイナンスも検討したようだ。

ただ,私にとって不思議なのは,どこから石炭を持ってくるのか,幾ら調べても分からない。カンボジア全体の鉱山分布の研究を見ても,この地に石炭が出るという記述はない。どこから持ってくるのか,タイかカンボジアの港からトラック輸送,なんて考えられない。もし,35万KWの石炭火力が経済的に可能ならば,カンボジアはシハヌークビルに造っていたはずだ,これはニュージェックなどの調査が,可能性を否定している。要するに,石炭のない内陸部に小規模の石炭火力が成り立つのかどうか,成り立つならば誰も苦労はしないはずだ。

2008年1月のこの石炭火力の報道
http://www.nationmultimedia.com/2008/01/23/business/business_30063097.php

●フィリッピン,米国企業は,高い電気料金のフィリッピンを避けている

電気料金の高さに苛つくアロヨ政権には,誠に厳しい記事である。米国企業は電気料金の高いフィリッピンから,どんどんタイやベトナムへ逃げて言っていると言うのである。これほどはっきりと電気料金を批判した記事は,今までなかった。記事は,早く競争市場を創出しなければ,電気料金は下がらない,と言っているが,私はこれは間違っていると思う。まず需給の安定が必要で,競争市場はその安定の上に造られなければならない。まず電源開発を政府の手で主導せよ,と主張する。競争市場で電源開発を競わせる,と言うのは,相当に成熟した電力市場である。

●EU報告書「温暖化、安保上の脅威」・水や食料不足で紛争

国連の安全保障理事会で,英国の女性外相が,地球温暖化,気候変動の問題を安保理の議題とすべきだ,と優等生の提案を行った途端,中国代表があざけるように,そのようなものは安保理の議題になるわけがない,とにべもなく反発して,英国に恥をかかせた場面,丁度写真も出ていて,演説する女性外相の傍で,国連英国代表が心配そうに見ているのが印象的だった。

安保理の主役の一人は中国である。他のサミットでは例え中国と言えども主導権をとれないが,安保理だけは中国が重要な地位を占めている。ここで地球温暖化の問題を一蹴された英国外相,EUはこの問題に拘っていたのだろう,ここに地球温暖化はやはり安保理問題だ,と確認しようとしている。中国のいない洞爺湖サミットで,米国がどう反応するか。

●中国,エネルギー局新設,環境保護部門も格上げへ

従来から問題となっていたエネルギー部門の統合の問題で,マクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会の外局として国家エネルギー局を新設することで,とりあえずスタートするのか。省庁統合とはまた別の問題のような気がするが。要するに,端的に言えば,電力と石炭供給を統合して一つの指令系統の中に置く必要があるわけだ。民主主義下のインドでは難しいが,中国では可能だろう。

●インドネシア,住友商事,2発電所改修を60億円で受注

国際協力銀行JBICが設定した電力向け輸出クレジットライン5事業の最後の事業で,建設後15年を経過したパイトン石炭火力と20年以上を経過したサグリン水力発電所の改修を受注した,という記事である。最近,盛んに補修工事の日本企業受注が続いているが,電力不足の中での修理なので,そう簡単な話ではないのであろう。

また,先日から問題になっているタンジュンジャティ石炭火力の石炭輸送問題では,悪天候などで燃料の石炭がひっ迫するPLN向けの輸送契約を交わしている上場海運アルペニ・プラタマ・オーシャン・ラインは,年400万トンを運搬すると明らかにしている。同社のロナルド・ナンゴイ秘書室長によると,15年間の契約額は3兆800億ルピアで,パナマックス型船舶2隻を投入するという。NNAの報道である。
 
●フィリッピン,マニラ電力,発電料金を,0.20ペソ上げ

電力取引市場WESMの動きがよく分かる記事である。マニラ電力は,WESMから現在10%程度を受電しているようだが,3月の予定としてマニラ電力は平均KWh当たり4.194ペソ,10.12セント相当,を4.19ペソ,10.60セント相当に値上げするという。これはWESMの値段の動きに併せたもので,WESMでは,1月は低く,3.38ペソ,8.16セントであったものが,2月には5.9356ペソ,14.33セントに高騰している。

今の所WESMの比率は10%程度であるが,この比率を上げてきた場合,2011年の需給の逆さやが起きると言われている時期が近づくにつれ,電気料金取引の世界が大混乱を起こす可能性を秘めている。

WESMのホームページ
http://www.wesm.ph/

●中国第3の大規模水力ロンタン龍灘,ダム建設を完了

中国第3位の水力発電所「龍灘」,紅水河水系にある。「龍灘」発電所は中国の「西部大開発」,「西電東送」のシンボリックな事業で,総工費が300億元余り,総発電出力が630万KW,2007年5月,1基目の発電機が前倒しで発電を開始し,2009年末に完成する。

龍灘ダムの位置
http://my.reset.jp/~adachihayao/080313F01.jpg
龍灘ダムのグーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080313F02.jpg
龍灘ダムの写真
http://my.reset.jp/~adachihayao/080313F03.jpg


4 参考資料

2008年3月13日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080313A Thailand, Bangkok Post
ドラゴンワン,カンボジアの石炭火力建設を主導へ
D1 heads power plant investors
http://www.bangkokpost.com/Business/12Mar2008_biz42.php

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080313B Philippines, Manila Bulletin
米国企業は,高い電気料金のフィリッピンを避けている
US investors shun costly power rates
http://www.mb.com.ph/BSNS20080312119191.html
●080313C Philippines, Manila Bulletin
マニラ電力,発電料金を,0.20ペソ上げ
Meralco generation charge up by P.20/kWh
http://www.mb.com.ph/BSNS20080312119197.html

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080313D インドネシア,3月12日8時0分配信 NNA
【インドネシア】住友商事、2発電所改修を60億円で受注
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080312-00000005-nna-int

環境一般

●080313E EU,日本経済新聞
EU報告書「温暖化、安保上の脅威」・水や食料不足で紛争
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080312AT2M1002R11032008.html 

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080313F China, China View
中国第3の大規模水力龍灘,ダム建設を完了
China's third-largest hydropower plant finishes dam building
http://news.xinhuanet.com/english/2008-03/11/content_7767445.htm
●080313G 中国,3月11日19時37分配信 毎日新聞
<中国>エネルギー局新設、環境保護部門も格上げへ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080311-00000115-mai-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月12日分 ーとても公的資金だけでは支えられない

「とても公的資金だけでは支えられない」,今日のインドの円借款の記事の中の言葉,かってどこかで聞いたせりふだと思った。1997年,アジア経済危機前夜,日本政府は,東南アジア,特に,タイ,インドネシア,フィリッピンを中心に飛躍的な経済発展を遂げつつあった地域で,日本の円借款が主導的な役割を果たしていた時代である。当時の通産省の産業構造審議会は,公的資金を呼び水とする民間資金の動員のために,日本の電力などエネルギー企業の構造改革と海外進出を迫ったのである。

今日の記事では,インドで公的資金が動いているのは,日本政府,世界銀行,ADBの3者が全体の70%を占めているが,インドが今後必要としているインフラ構築への資金は50兆円相当,公的資金の額はその2%にしか過ぎない,従って,円借款の目的は民間投資の呼び水であり,この役割を果たすための円借款の新しい枠組みに挑戦している,と言うのである。あのアジア危機前夜に民間資金を,と言っていた時代はどの程度の金額を言っていたのか,恐らく20兆円台の話ではなかったか,と思う。

昨日の記事と思い合わせるわけだが,JBICはインド北辺の水力開発へ手を貸す決断をしたのではないか,とインドのサイトは書いている。JBICがポスト京都の大義名分の元,インド北辺に出かけていって,日本も含めた地球温暖化抑制に貢献することは,恐らく日本国民の大きな支援が得られるものと思われる,そこが地球のポイントなのだから。ダムを円借款で造り,民間資金が発電所を,と言う構想もありえるだろう。

ただ,アジア経済危機前夜の状況と違うのは,当時の財政投融資の巨大な資金に支えられたJBICの国際金融が,公的資金を受けての民間資金の進出を積極的に支えたことである。例えば,丸紅や関西電力のサンロケダムなどは,7億ドルに達するダムを含めたすべての資金を,JBICの国際金融が準備した,全部米国企業に持って行かれてしまったとは言え,日本企業の挑戦的な海外進出を支えたものである。

今度はインドの50兆円インフラ整備への挑戦である。日本企業健在なりや,と聞く前に,国際金融健在なりや,と聞いてみたい。円借款から分離された国際金融は,他の国策銀行の中に併合されて,資金調達も自己の起債に頼らざるを得ない,果たして,張り切る円借款の後を受ける民間資金の動員で,過去の栄光あるJBIC国際金融は,如何なる作戦を立てているのか,国民は大いに関心を持って眺めている。


1 今日の概要

●インドに対する円借款,約1856億円,JBIC発表。民間投資刺激策として,インド政府系基金を通じて民間プロジェクトを支援するなど,新しい試みに挑戦するJBICの姿。●ブラジル,1200万KWマデイラ川開発プロジェクト,ボリビアとペルーに協力を要請。●インドネシアのPLNが新しい陣容で発足,モクタール新社長は,補助金の削減と石炭火力の促進に重点。●ネパール,60万KWブディガンダキ水力,BOOTで国際入札へ,インド,中国企業など21社が関心,3月24日締め切り。●タイのサマック政権,外資規制を撤廃,大型プロジェクトで景気浮揚策。


2 目次

●途上国に民間投資呼び込みへ,新円借款,印に適用
●ブラジル,近傍諸国と協力,1200万KW水力開発
●インドネシア,PLNのモクタール新社長,燃料補助金依存は低減させると
●ネパール,60万KWグディガンダキ水力,21企業が関心表明
●タイ,サマック・タイ新政権,経済政策転換,外資規制を全面解除 


3 本文

●途上国に民間投資呼び込みへ,新円借款,印に適用

昨日は,インド北辺の水力開発に円借款が供与される可能性を示唆した記事で盛り上がったが,今日のこの記事は,それに呼応するかのように今年の円借款の新しい枠組みが記事の中心となった。JBICのHPにはこの詳細が出ている。JBICは,2007年度後期円借款として,インド政府との間で7件を対象に合計1,855億7,5007万円を限度とする貸付契約を調印した,と言うことである。この中には,電力分野として,ハリヤナ州送変電網整備事業分約209億円が含まれている。

私は,今日のこの記事を読んでいて,1997年,アジア経済危機前夜の情景を思い出した。当時,東南アジア諸国の成長は激しく,この地域の成長を支える日本政府としては,とても公的資金だけでは支えられない,今後は民間資金の動員が不可欠だ,特に電力エネルギー分野は,企業自体が構造改革を行って,海外事業に進出すべきである,として当時の通産省が,大号令をかけている。実際,電力が海外進出を真剣に考え始めたのはこの時期である。

今日の記事の中で,インドはインフラ建設に51兆円相当の資金がいる,公的資金の70%は日本政府と世界銀行,ADBが担っているが,その総額はインドが必要としている資金の僅か2%過ぎない,公的資金が民間投資の呼び水となるよう,円借款供与の仕組みを考えて行く,という部分に大いに注目した。これはまさしく,昨日のインド北辺水力への円借款の可能性,それに私の主張,民間投資が追いかけるべきだ,と同じことを言っているのである。方法論は難しいが,原則はそういうことだろう。

JBICのインド向け円借款,プレスリリース
http://www.jbic.go.jp/autocontents/japanese/news/2008/000034/index.htm

●ブラジル,近傍諸国と協力,1200万KW水力開発

いつかブラジルを研究しなければ,と思いながら今日までさぼっている。ブラジルの国土面積は約855万平方km,人口は約1.86億人(2005年推計),ちょっと古いが,2003年のGDP総額が4,923億ドル。2002年の総発電量は3,390億KWh,83%は水力発電によるものである。おもな水力発電所はリオグランデ川,パラナ川,サンフランシスコ川にある。パラナ川に建設された大規模なイタイプダムは1991年にフル稼働をはじめた。1980年代半ばには最初の原子力発電所が完成した。

今日の記事は,アマゾンの右岸支流,水系最長のマデイラ河の上流,ボリビアとの国境付近に建設を予定しているダム計画,発電力1,200万KWと言う巨大なプロジェクトについて,ブラジルのエネルギー大臣が,上流のボリビアとペルーに,協力を求めたものである。資料を見て下さい。

マデイラ川に於ける水力開発
http://www.worldwaterweek.org/Downloads/2007%20presentations/Sun/Lilla%20Teatern%20Managin%20Largest/Norma_VillelaWWW12-08-2007.pdf

●インドネシア,PLNのモクタール新社長,燃料補助金依存は低減させると

PLNの新しい人事による陣容が,この記事の中で紹介されている。新しく就任したモクタール社長は,まず何を置いても石油の消費量を減らすことを目標として,クラッシュプログラムに代表される石炭火力建設の促進と,政府からの膨大な補助金削減を目標とする旨,所信を披瀝した。補助金は,現在42.6兆ルピア,約46億ドルにも達しており,当面,10兆ルピアの削減を目指している。

●ネパール,60万KWグディガンダキ水力,21企業が関心表明

60万KWグディガンダキ水力のBOOT応募図書が発売されて,21企業がこれを購入し,関心ある企業は3月24日までに計画書を提出することになっている。その後,水資源エネルギー省の審査の後,受注者が決定する。これは国際入札で,21社のうちには,インドのタタやテリーなどの他,中国企業3社が含まれている。また,米国からもAESなどが関心をい表明している。

日本の企業名は全くない。プロジェクトの内容を見てみると,かなり魅力的な計画であるが,日本企業が関心を示さないのは,治安の問題か。Jパワーなどは格好のプロジェクトと思われるが,Jパワーは既に,石炭火力とダムは中国に任せる,と言う方針決定のせいなのか。中部電力や関西電力は,少なくとも入札図書ぐらいは買ってきても良いのではないか,研究のためにも。情報を持つ日本工営なども,日本国内で大いに宣伝に努めるべきではないか。インドの水力への円借款の可能性がある中,JBICがインド周辺に全く無関心と言うことはあるまい。

プロジェクトは,カトマンズーからポカラに向かうカトマンズーよりの交通至便の場所で,貯水池式,150MW機4台,合計60万KW,落差185m,使用水量毎秒30トン,ダム高225m,池容量28億トン,センターコアーのロックフィルダム,地下発電所,トンネル2.5km,送電線22万ボルト,65km,工事費は1983年価格で774百万ドル。問題は流送土砂だが,池容量を大きくすることで対処しているのか。

ブディガンダキ水力位置図
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ブディガンダキ水力 グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080312B02.jpg
ブディガンダキ水力 計画詳細図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080312B03.jpg

●タイ,サマック・タイ新政権,経済政策転換,外資規制を全面解除 

大型プロジェクトの開発を伴う徹底的な景気浮揚策を狙うタイのサマック政権,それに併せて中央銀行も外資規制解除に踏み切ったが,外資側の受け止めは微妙な面もある。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると,今回の外資規制解除について,「規制解除でバーツ高が進む」,と指摘する市場関係者がいる一方,「実質的には外資規制が従来も働いていなかった」,として解除の影響は少ないとの見方もある。当面はサマック新政権がさらに打ち出す経済政策を見極めたい,とする静観姿勢が主流となりそうだ,と言うのが記事の内容。


4 その他

●中国の石炭価格,この2カ月で5割も値上がり
●バングラデシュ,ADBの支援で,3つの発電所建設へ


5 参考資料

2008年3月12日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080312A タイ,3月11日8時26分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
サマック・タイ新政権 経済政策転換 外資規制を全面解除 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080311-00000010-fsi-bus_all

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080312B Nepal, eKantiour
60万KWグディガンダキ水力,21企業が関心表明
21 firms interested in 600 MW Budhi Gandaki
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=140397

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080312C インド,3月11日8時0分配信 産経新聞
途上国に民間投資呼び込みへ 新円借款、印に適用
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080311-00000090-san-bus_all

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080312D Indonesia, The Jakarta Post
PLNのモクタール新社長,燃料補助金依存は低減させると
New PLN head aims for subsidy cuts
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/10/new-pln-head-aims-subsidy-cuts.html

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080312E 中国,3月11日8時40分配信 サーチナ・中国情報局
中国の石炭価格、この2カ月で5割も値上がり
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080311-00000000-scn-cn

ブラジル
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Brazil.htm

●080312F Brazil, Reuters
ブラジル,近傍諸国と協力,1200万KW水力開発
Brazil to build two hydro plants with neighbors
http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKN1050598120080310

バングラデシュ
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Bangladesh.htm

●080312G Bangladesh, Independent Bangladesh
バングラデシュ,ADBの支援で,3つの発電所建設へ
Govt to seek ADB funds for three power units
http://www.independent-bangladesh.com/200803113004/business/govt-to-seek-adb-funds-for-three-power-units.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月11日分 ーJBICがインド水力に大きく賭けて来た

「JBICがインド水力に大きく賭けて来た」,と書いたのはインド中央政府電力省の高官の話を受けたインドサイトの記事のタイトルである。JBICとしては逆に,インド電力省がJBICの申し出に大きく乗って来た,と言いたいところだろう。日本側の発表はないので,真偽や詳細は不明であるが,インド側は,300万KW,アルンチャルプラデッシュのディバン水力などを候補として挙げてきている。JBICは,完全な環境対策と入札過程の完全な透明性を条件としている。

このJBICの「賭け」には,この記事がある程度信頼できるものとしても,今後いろいろな問題が発生して来るであろう。環境問題は最大であるが,その他にも政府保証の問題,中国との国境の近傍という問題,地域の治安問題,温暖化との関係,特に環境団体が言う貯水池からの温暖化ガス排出の議論,地域のインフラの貧困とその整備,などなど。しかし私は,やはりJBICは世界のエネルギー問題の急所,囲碁で言う三三の急所に一石を置いた,と言うことだと思う。

この三三の石がうまく生きるかどうかは,私はこの一石が円借款であるだけに,次の石,民間資本がどの様に動くかが,JBICの石が生きるかどうかの決め手であると思う。事実,円借款そのものの効果は,日本の企業にとってはそれほど大きくはないだろう,事実,日本企業が円借款対象の事業を手に出来る可能性は少ないかも知れない。しかし,円借款が入ることによって,これを呼び水に,インド周辺の水力開発に,日本の民間資本が流れて行くことを期待する。

それは,既に我々が,ベトナムの]フーミー火力や,インドネシアのパイトン石炭火力で経験したプロセスであり。円借款が築いたインフラの上に,民間企業が乗り込んで行く方式で発展させる必要がある。JBICの案件選定も,この将来を読んだ上での選定になることを祈るばかりである。アルンチャルプラデッシュ州は,景観的には素晴らしいところである,一度言って見たい。なお,JBIC自身もプロジェクト形成を行っていると聞く。今回の先方の提案とJBICのプロ形との関係はどうなのであろうか。


1 今日の概要

●JIBICがインドの水力支援について,インド電力省に打診した,とのニュースを現地サイトが伝えた。電力省はNHPCなどの推薦プロジェクトとして300万KWディバン水力などを考えているという。●インド,コルカタのDVC社が,第11次五カ年計画の500万KW開発に加え,第12次で600万KWを開発する方針を決定した。●中国雲南省長が,同省北西部の生物多様性保護対策を打ちだした。怒河の水力開発にも言及している。●フィリッピンの石炭火力が,中国の輸出中断で大きな影響を受けている,料金への跳ね返りも懸念される。●ベトナムも石炭値上げに踏み切る。トン当たり63〜76ドルに達する。●インドネシア,プルノモ大臣が,料金システム改訂は政府の権限で出来ると。また,PLN新社長に現PT PLN 発電一次エネルギー担当取締役代行のァハミーモハタール氏が発令された。ジャカルタ永井さんの情報。

2 目次

●JBIC,インドの水力開発に,大きな挑戦を決意
●インド水力公社DVC,第11次五カ年計画で,640万KW開発へ
●中国,雲南省,水力など省北西部へ大規模投資へ
●フィリッピン,石炭供給不足,電力料金値上がりに拍車
●ベトナム,石炭価格,年末までに価格上昇へ,VINACOAL
●インドネシア,丸紅,バンテン発電所の改修工事を受注


3 本文

●JBIC,インドの水力開発に,大きな挑戦を決意

どう訳せばよいのか,インド地元紙の表現を直訳すれば,「JBICがインドの水力開発支援という大きな賭に出た」,でもこれはJBICとしては気に入る表現ではなかろう。むしろ,インド側がJBICの資金を水力開発導入への大きな賭に出た,と表現すべき所だろう。JBICの意図は,JIBICとしてはインドへの切り口で運輸など多くの手段を持っているが,やはりインドの水力開発は,地球規模から見て重大な人類の挑戦と見た,と私は考えたい。それは,これから伸びるインドの温暖化ガス排出抑制に,地球第2のGDP規模を持つ日本の銀行が,積極的に支援を買って出た,と言うことだ。

記事は電力省高官の談話という形で書かれている。JBICのインド水力開発支援の申し出に,インド政府側は歓迎の意を持って対応している。政府は直ちに具体的な材料を提供するためにNHPCとテリー水力のTHDCにコンタクトを取り,それぞれからJBIC支援に相応しいプロジェクトを推薦させた。その結果出てきたのは,NHPCから300万KWディバン水力,150万KWタワン水力(いずれもアルンチャルプラデッシュ州),495MWティースター(シッキム)のいずれも大規模な水力プロジェクトでる。またTHDCは126MWジェラムタマック水力と55MWのマラリジェラム水力である。

JIBICの申し出は,25〜30年の低金利融資であると同時に,外資管理のノウハウの支援があり,更にJBICが強調していることは,完全な環境保護対策の実施と入札過程に於ける完全な透明性を求めている。これについてインド政府側は,このような条件でプロジェクトが選択されると,JBICが選んだというブランドが付き,他の融資者や投資者も出やすくなるだろうと,JBIC進出の効用に期待している。政府保証はどうするのか,まだ議論になっていないが,NHPCが完全に政府資金から分離されたので,JBICとの間でまた論議を呼ぶのだろう。

また,NHPCが推薦した大規模なAP州のプロジェクトは,いずれも中印国境に近く,先日も書いたように,インド側が,いつ中国から大規模なブルドーザー部隊が押しかけてくるか分からない,国境線が分からなくなる,と悪夢に見舞われている地域で,ここに国際政治的な意味もあって良いのではにかと,傍から見ているものにとっては興味深い。言うなれば,日本の公的資金を入れて中国資本の侵入を防ぎたい,とインドが考えていれば誠に面白い。

JBICが今後どの様な選択を行うかは分からないが,JBICの意図の中には明らかにODAでもって地球温暖化に貢献する,と言う意図はあるものと思う,或いはそれが主題かも知れない。インドの水力についてはかって,貯水池の温暖化ガス排出を唱える一派がいた,今もこの問題は尾を引いている。恐らく,CDMが絡んでくるとこれが問題になるだろうが,判断基準は流入量と貯水規模の関係で,貯留期間がほとんどないことを一つの根拠にして議論すれば良いと思う。

アルンチャルプラデッシュの二つの大水力,ディバンとタワンの状況と現地の地図や写真などを見てみたが,遙か北にチベットの雪山を望んで,景観的には素晴らしい地域である。今後,水力開発が進むにつれて道路などのインフラも整備が進み,一大観光地としても脚光を浴びることになるだろう。グーグルアースで見て下さい。

NHPCの水力プロジェクト位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080311C01.jpg
ディバン水力地点付近のグーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080311C02.jpg
タワン水力地点付近のグーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080311C03.jpg
ディバン付近の地図
http://www.mapsofindia.com/maps/arunachalpradesh/districts/dibangvalley.htm
ディバン水力の概要サイト
http://www.livemint.com/2008/01/31235804/Dibang-hydroelectric-project-y.html
IRNのディバン水力に関するコメント
http://www.internationalrivers.org/en/south-asia/india/laying-foundation-stone-3000-mw-dibang-hydropower-project
ディバン水力の環境問題
http://www.sfri.org/images/pdf/ch1_emp_anoverview.pdf
NHPCの水力プロジェクト位置図

●インド水力公社DVC,第11次五カ年計画で,640万KW開発へ

DVC社は,元々東部コルカタ付近のダモダール峡谷の水力開発を手がけてきた電力企業と思われるが,この電源開発の盛り上がりに併せて,同社では,第11次五カ年計画中の640万KW開発に加え,第12次五カ年計画でも500万KWの開発を行うことを決定した。また同社は,火力への進出も目指し,炭坑の買収にも乗り出している。

DVCのホームページ
http://www.dvcindia.org/index.htm

●中国,雲南省,水力など省北西部へ大規模投資へ

先日は,雲南省が中央政府の要請で延期されている怒川の水力開発を再開したとの意思表示をして,議論が巻き起こったが,今日の記事はこれを収めるための雲南省長の談話になるのか。彼は,雲南省北西部の生物の多様性に触れ,これを環境保護の立場から,今後そのための予算支出を行うことを表明した。言葉の節節には,エネルギー開発の重要性に触れることも忘れなかった。

●フィリッピン,石炭供給不足,電力料金値上がりに拍車

電気料金を下げろと言うアロヨ大統領の指令にもかかわらず,事態は悪い方向に走っている。石油の高騰もさることながら,問題は石炭である。中国の輸出停止が大きな衝撃をフィリッピンの電力に与えている。フィリッピンの石炭の大部分は中国からの輸入であるが,最近中国から入った石炭は65000トン船舶一隻,3月5日現在のルソンの備蓄は116,000トン,ビサヤが20,000トン。フィリッピンでは年間の石炭使用は400万トンである。

●ベトナム,石炭価格,年末までに価格上昇へ,VINACOAL

ベトナムの石炭を供給するVINACOALは,石炭の値上げを予告している。トン当たり100万〜121万ドン,であるから63〜76ドルにも達することになる。発電部門に対しては,一定の価格規制がかかっているが,最近の政府の方針は,徐々に市場価格に近づけるよう指導されている。

●インドネシア,丸紅,バンテン発電所の改修工事を受注

先日報道の,電気料金システムの改訂問題にも触れており,先日は実質的な値上げとなるので国会の承認が必要,との記事が出ていたが,プルノモ大臣は強硬で,一定の準備期間をおくも,政府の判断で実施できるとしている。なお,ジャカルタの永井さんのメールで,PLNの重役陣の交代人事が発令され,社長には,現PT PLN 発電一次エネルギー担当取締役代行のァハミーモハタール氏が発令されたという。


4 参考資料

2008年3月11日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080311A Vienam, VNA
石炭価格,年末までに価格上昇へ,VINACOAL
Cost of coal set to rocket by year end
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=02ECO080308

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080311B Philippines, Inquirer
石炭供給不足,電力料金値上がりに拍車
Coal shortage may drive up power rates
http://business.inquirer.net/money/breakingnews/view/20080309-123719/Coal-shortage-may-drive-up-power-rates

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080311C India, Economic Times
JBIC,インドの水力開発に,大きな挑戦を決意
Japanese bank betting big on Indian hydropower sector
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Japanese_bank_betting_big_on_Indian_hydropower_sector/articleshow/2850147.cms
●080311D India, Economic Times
インド水力公社DVC,第11次五カ年計画で,640万KW開発へ
DVC plans to add 5,000-mw capacity with Rs 20,000 cr
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/DVC_plans_to_add_5000-mw_capacity_with_Rs_20000_cr/articleshow/2850670.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080311E インドネシア,3月10日8時0分配信 NNA
【インドネシア】丸紅、バンテン発電所の改修工事を受注
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080310-00000005-nna-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080311F China, People's Daily Online
雲南省,水力など省北西部へ大規模投資へ
Yunnan invests in fragile northwest
http://english.people.com.cn/90001/90776/6369466.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月10日分 ーこのような難しい国に良く来てくれた

「このような難しい国に良く来てくれた」,と言ってJICA調査団をホロリとさせたのは,ネパール電力庁NEAの総裁である。当時の彼はマオイストと国の治安のことを言っていたので,事実,マオイストが政治参加する前までは,政府は町の点と道路の線を押さえているだけで,地方は殆どマオイストの天下であった。事実,この調査団の関係したプロジェクトは,マオイストの放った銃声一発で中断に追い込まれている。

私が初めて海外の仕事をしたのは,1976年のビルマであって,私が東南アジアの現地食嫌いになったのは,この当時のビルマの食事の不潔さとビールのコップを手のひらでカバーしなければ飲めなかったほど寄り集まってくる蝿の大群であった。それからしばらくしてカトマンズーを訪れたが,ここでもビルマに勝るとも劣らない町の状況,特に,川の遺体火葬場が観光名所になっているところ,薄気味悪かった。

その後しばらくはネパールを訪れる機会はなかったが,中国から高射砲を買ったためにインドからの油の供給を止められて,町の車が動けなかった事件,王制反対の強烈なデモと騒乱,王宮内での内紛による激しい銃撃事件と醜い王位争い,ギャネンドラ国王による強圧的な王制独裁,これに反対するネパール民衆。どこを取り上げても,ブータンとは全く違う,印象の悪いネパールだった。

今回,王制を廃止し共和制に帰る,地方を押さえていたマオイストも政治に参加し,やっと政治に燭光が見えてきて,厳しい電力制限に泣くネパールも,インドなどの外国企業を水力開発に参加させるべく,将来に明るい希望が見えてきたところであるが,突然に地元民などの訴えで,外国企業に国家資源の水力開発の権益を与えるのは違憲,として訴訟が始まった。ネパール人というのは,何と難しい人々か。

ここでちょっと考えてみたのだが,インドネシアでもタイでも,電力公社の民営化は違憲である,と言う判断が憲法裁判所から出ている。また日本でも,Jパワーの株式問題や空港の問題で,外国企業をどの様に規制するか,紛糾している。考えてみればネパールも日本も同じなのかな,と言うことにも思い至る。事実例えば,木曽川の重要な地点に,例えば中国資本がダムの開発権益を得たら,日本人はどう反応するだろうか。


1 今日の概要

●ネパール,アッパーカルナリ水力30万KWの開発権益を得たインド企業GMR,権益委譲には国会の3分の2以上の同意が必要と,地元民から訴えられる。他のプロジェクトへの波及も心配されている。●インド,タミールナド州の工業都市コインバトール市で,午前6時から10時まで電力使用が禁止,どう周辺の企業が不満。


2 目次

●ネパール,GMR,決定後2ヶ月で,訴訟の場へ,アッパーカルナリ
●ネパール,アッパーカルナリ水力,地元住民がインド企業参加に訴訟
●インド,タミールナド,産業界が不満を訴える,24%電力カット指令に対して


3 本文

●ネパール,GMR,決定後2ヶ月で,訴訟の場へ,アッパーカルナリ

インド建設企業GMR,この会社が,30万KWアッパーカルナリ水力プロジェクトを,紆余曲折の上手中にしてから,まだ2ヶ月も経ていない。それにも関わらず,GMRはネパールの裁判所に引っ張り出されることになった。ネパールとは何と難しい国なのであろうか。インド企業も,ブータンとのあまりに大きな違いに戸惑っていることだろう。ネパールは大体,政治そのものも複雑怪奇である。

二人のネパールの個人から訴えを受けて裁判所に引っ張り出される,訴状によると,水力資源は国家資産であり,閣議決定だけで外国企業に開発権益を委譲することは出来ない,国会の3分のに以上の同意が必要で,内閣だけで委譲したのは憲法違反である,と言うのである。現在,最高裁判所のクダールプラサドギリ長官が,両者から言い分を聞いているところである。問題にしているのは,GMRと水資源省で取り交わされた覚書MOUの中身なので,被告はこの両者と言うことになる。

さて,ここで問題になるのは,このアッパーカルナリに続いて開発権益を得た,402MWアルン第3水力のインド企業SJVNと,ウエストセティ水力を獲得しているオーストラリア企業スノーウイマウンテン社の問題である。これらも当然,この訴状と関係してくるので,第2,第3の訴追となる可能性がある。今後,大きな問題に発展するのかどうか,よく分からないが,やっとネパールの大規模水力開発が可能となって,インドの石炭火力を代替するというポスト京都の大テーマーに挑戦するところで,とんだ障害が入ってきた,と言う感じである。

●ネパール,アッパーカルナリ水力,地元住民がインド企業参加に訴訟

前項の記事と同様趣旨のものである。この記事によると,訴え出たのは地元カルナリ地区の住民である,とされている。もし最高裁が違憲という判断をした場合は,続くアルン第3水力などもこれに従うことになる。議会で3分の二をとれば良いではないか,と言うことになると,政治参加したマオイストが問題になる。マオイストは反対に回る可能性がある。

●インド,タミールナド,産業界が不満を訴える,24%電力カット指令に対して

これは中央の問題なのか地方の問題なのか,よく分からないが,コインバトールと言う発信地は,タミールナド州の州都で,工業都市,一帯は綿花の産地として知られ,19世紀末から綿工業の立地がすすんだ。さらに19300年代以降はチュティア系財閥の拠点として,南インド内陸部を代表する工業都市に発展した。人口は約145万人(2001年)である。午前6時から10時まで毎日,電力使用禁止,厳しい制限である。


4 その他

●フィリッピン,ボホール島,NPCが管理下に,5ペソの料金下げ


5 参考資料

2008年3月10日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080310A Philippines, Manila Bulletin
ボホール島,NPCが管理下に,5ペソの料金下げ
Napocor to cut electricity rate by P5.00/kWh in Bohol
http://www.mb.com.ph/SP_BSNS20080309.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080310B Nepal, Economic Times
アッパーカルナリ水力,地元住民がインド企業参加に訴訟
Indian firm's hydro power project under legal scanner in Nepal
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Indian_firms_hydro_power_project_under_legal_scanner_in_Nepal/articleshow/2848183.cms
●080310C Nepal, Economic Times
GMR,決定後2ヶ月で,訴訟の場へ,アッパーカルナリ
GMR dragged to court over Nepal project
http://economictimes.indiatimes.com/Companies/GMR_dragged_to_court_over_Nepal_project/articleshow/2848698.cms

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080310D India, Economic Times
産業界が不満を訴える,24%電力カット指令に対して
24% power cut pushes industries into difficulty COIMBATORE
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/24_power_cut_pushes_industries_into_difficulty/articleshow/2847873.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月9日分 ー今は見積もりなど出来ません

「今は見積もりなど出来ません」,冷たい声を返してくるのは日本の重電メーカーである。アジア各所でIPPプロジェクトを手がける電力や商社は,ターンキーなどの責任施工のシステムが主流で,事前に工事費を抑えておこうとするが,重電メーカーはそれに答えようとしない。原油が遂にバレル105ドルに達し,これに続いて石炭や鉄鋼など原材料の値上がりが激しい上に,サブプライムでドル安が収まらない,激動の世界経済の中で,うめいているのは,発電所プロジェクトを抱えるIPP企業である。

今日のマニラの記事でも,資産売却にうつつを抜かしていたフィリッピンで,ミラント,東電,丸紅グループが,買収したパグリオ石炭火力の増設を試みて,三菱重工とのEPC契約のための交渉を続けているが,この価格高騰の影響で,交渉が暗礁に乗り上げているという。私も最近,あるプロジェクトのコスト概算を手がけているが,変動する価格市場で,にべもなく問いあわせに門前払いされている。

プロジェクトを仕掛ける人々にとって,プロジェクトの価格が決まらないと言うことは致命的である。インフレならインフレに対処する手法を我々は十分に知っており,プロジェクトの実現可能性を評価できるが,変動が偏りしかもトレンドが全く見えない情勢は,計画者泣かせである。米国では,この12ヶ月で発電所建設価格が27%上昇した,と記事に書かれている。


1 今日の概要

●資産売却にうつつを抜かすフィリッピン,しかし石炭火力を買収した東京電力,ミラント,丸紅のグループは,石炭火力の増設を計画している。そのEPC契約で三菱重工との交渉が暗礁へ,米国ではこの12ヶ月で27%の上昇が,発電業界に見られるとする。●ネパールの国内用水力に中国が約180百万ドルのソフトローン,ネパールで中印の水力開発に火花が散る。●インドのタタ発電会社がインドネシアの石炭に関心,ムンバイなどの電力不足へ備える海外石炭の輸入を視野。●中国で石炭価格が暴騰,20%,トン約100ドルに近いか。電気料金値上げとインフレの勝負が続く。●電力不足に悩むパキスタン,世銀などのグループが6億ドルでタジキスタンからの送電輸入を支援,テロは大丈夫か。


2 目次

●フィリッピン,価格の異常な高騰で,電源開発に遅れの懸念
●ネパール,中国政府,アッパートリスリ水力など,187百万ドル支援
●インド,タタ発電会社,東南アジアに視点,インドネシアの石炭など
●中国,火力発電用石炭の価格が20%近く上昇
●パキスタンの電力危機,世界銀行が6億ドル支援,タジからの輸入


3 本文

●フィリッピン,価格の異常な高騰で,電源開発に遅れの懸念

あれ,フィリッピンは電源開発を行っていたのか,資産売却にうつつを抜かしていたのではなかったか,と思わず記事を読んでしまった。価格の異常な高騰で,現在進行中の電源開発が遅れている,と言う記事だが,どこにも電源開発プロジェクトなどないではないか。読んでみると,ケソンのパグリオ石炭火力70万KWの増設計画の話である。このプロジェクト一つで騒いでいるので,大したことないではないかと言いたい。

パグリオ石炭火力は,マニラの南西160kmの海岸地帯にあるが,1980年代から東南アジアでも非常に早い時期のBOTプロジェクトとして生まれているが,最近になって,ミラントを中心としたTeaMEnergyに買収された。このグループには,東京電力と丸紅が参加しており,私も,既設の設備を買収するぐらいなら,火力を新設すべきだ,と少し非難めいた言葉を並べたことがあるが,東京電力などは,この増設に動いていたようだ。

フィリッピンのルソン系統は,2011年には需給バランスが逆ざやとなって深刻な電力危機が訪れると懸念されているが,この記事は,最近の原油の高騰や鉄鋼原材料の値上がりで,この電力危機に一層深刻な影響が現れると書かれている。でも書かれているのはこの東京電力などの増設計画だけである。グループは,三菱重工と増設のEPC契約を交渉中のようだが,途中の段階でコストがオーバーランして苦しんでいる。

最近の値上がりについては,私も国内業界からいろいろな噂が飛び込んでくる。某社は海外プロジェクトを抱えているが,インフレのためにプロジェクトコストの目処が立たなくなってきた,とか,水車タービンの参考見積もりをとろうとしてもメーカー側が価格高騰の動きを見ていてなかなかその見積もりに応じてくれないとか。この記事は重要な参考になるが,この12ヶ月で,米国のは電施設建設価格は,27%上昇したとしている。

●ネパール,中国政府,アッパートリスリ水力など,187百万ドル支援

インドが懸命になってネパールの水力民間開発で乗り込んでいるところに,中国の外務副大臣クラスを団長とするミッションが乗り込んできて,ネパールに対する中国輸出入銀行のソフトローン供与を申し出た。総額は2億ドルだが,二つの水力プロジェクトに,187百万ドルを割り当てるという。さすがに,この中国支援のプロジェクトはそれぞれ中規模で,ネパール国内需要対応とされている。ネパールを挟んで,中印の火花が飛ぶ。

この二つのプロジェクトは,カトマンズの西南西約130kmのコシ川にあると思われるが,既設トリスリ水力発電所の近くで,トリスリ3A水力が61MW,トリスリ3B水力が44MW,合計で105MW,危機に陥っているネパールの電力需給を救えるかどうか,中国の借款はまさしく恵みの雨と言えるが,もし中国がコントラクターを連れてくるならば,IPPに走るインドと,目の前で交錯することになる。

トリスリを述べたNEAのホームページ
http://www.nea.org.np/eng.php

●インド,タタ発電会社,東南アジアに視点,インドネシアの石炭など

タタ発電会社は,国内シェアーを大きく伸ばすべく,60億ドルを投入して,現在の設備230万KWを,2013年までに一挙に1000万KWに持って行く計画であるが,国内のもならず,海外へもその視野を広げている。大きな目的は,インドネシアの石炭狙いであるが,石炭が豊富にあるインドの企業が,どうして海外の石炭を狙うのか,不思議である。

これは,インド大陸の地形による。このページでも良く出てくるが,大陸南西部のムンバイは厳しい電力不足に見舞われている。地図を紐解けば一目瞭然であるが,インドの石炭は,大陸東部にあり,山脈を隔てて南西部の海岸にあるムンバイなどの大需要地への石炭輸送も送電線も,懇南ア状態である。原子力発電もこの地帯に集中しているが,タタはインドネシアからムンバイへの石炭海上輸送を狙っているのであろう。

●中国,火力発電用石炭の価格が20%近く上昇

中小炭坑の整理閉鎖を続ける中国であるが,その端境期か,火力発電への石炭供給に苦慮している。前回トン80ドルぐらいまで値上がりしていたから,最近はトン100ドル近くまで上がってきたのか。発電業界からの電気料金値上げの申請をすべて却下している中央政権であるが,中央が心配しているのは,インフレである,それは成長し続ける中国経済への赤信号になるから。電力企業が,料金このままでいつまで持つか。

●パキスタンの電力危機,世界銀行が6億ドル支援,タジからの輸入

ムシャラフ大統領は,電力危機を克服するためにはダム建設だ,と計画を強引に進めているが,これが危機を回避する緊急の手段とは誰も思っていない。世界銀行は,思い切ってタジキスタンからアフガニスタンを超えて,電力輸入する計画を推し進めるよう,6億ドルの支援を申し出た。約130万KWが供給可能であるが,30万KWはアフガニスタンに落とすという。

6億ドルは巨大であるが,超高圧送電線を建設する必要があり,ここが世界でもっとも激しいテロ地域であることを考えると,治安上,果たして送電線が持つのだろうか,送電線はテロのもっとも弱いと思われる。ダム建設も大変,送電線建設も大変,石炭もない,パキスタンのエネルギー問題はどこへ向かうのか。


4 その他

●中国,広西省白竜原子力発電所、国家計画に組み込まれる
●インド,160万KWクリシュナオパトム火力,ボイラーの応札で2社


5 参考資料

2008年3月9日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080309A Pakistan, Daily Times
パキスタンの電力危機,世界銀行が6億ドル支援,タジからの輸入
Electricity import: Consortium led by WB to provide $600m to Pakistan
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C03%5C08%5Cstory_8-3-2008_pg5_10

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080309B Philippines, Manila Bulletin
価格の異常な高騰で,電源開発に遅れの懸念
Rising costs trigger delays in redesign of power projects
http://www.mb.com.ph/BSNS20080308118848.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080309C Nepal, Nepal News
中国政府,アッパートリスリ水力など,187百万ドル支援
China to provide fund for two hydropower projects
http://www.nepalnews.com/archive/2008/mar/mar07/news05.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080309D India, Economic Times
タタ発電会社,東南アジアに視点,インドネシアの石炭など
Tata Power eyeing projects in Southeast Asia
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Tata_Power_eyeing_projects_in_Southeast_Asia/articleshow/2845371.cms
●080309E India, Economic Times
160万KWクリシュナオパトム火力,ボイラーの応札で2社
BHEL, L&T put in bids for 1,600 MW power project in AP
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/BHEL_LT_put_in_bids_for_1600_MW_power_project_in_AP/articleshow/2846072.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080309F 中国,「人民網日本語版」2008年3月7日
広西省白竜原子力発電所、国家計画に組み込まれる
http://j.peopledaily.com.cn/2008/03/07/jp20080307_84953.html
●080309G 中国,3月7日16時56分配信 サーチナ・中国情報局
火力発電用石炭の価格が20%近く上昇
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080307-00000020-scn-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月8日分 ー現地に来ない人は止めろと言う

「現地を知らない人は止めろと言う」,しかし,現地の人々がどれだけ貧しい生活を送っているのか,想像できますか,と問いかけているのは,全国人民大会で北京滞在中の中国雲南省共産党書記白恩培氏である。彼が話しているのは,サルウイーン河上流,怒川のダム開発を言っている。

この怒河は,有名な三川併走,即ち数10kmの幅の中に,長江,メコン,サルウイーンの大河川の上流部が寄り添うように流れている地域を言い,非常に珍しい地形で,UNESCOの世界遺産に指定されており,開発を急ぐ雲南省を,温家宝首相が宥めて,まあまず環境調査から始めろ,と2004年に事実上の棚上げとなった開発計画である。本文解説の中に地図や写真があるので見て下さい。

彼,白恩培氏は,ミャンマーからのガスパイプライン構想を含めて大いに語っているが,この三川併走については,少し考えさせられるところがある。三川併走が何故貴重か,地図を眺め,衛星写真を見ると,これは素晴らしいと思う。でも,それこそ上空を飛行機で飛んでみなければ,見えないわけで,その一つの渓谷の中で生活している人々は,三川併走なんて全然分からない。

白恩培氏が正しいかどうか分からないけれど,確かに大きな森林もなく,人々は獣の皮を衣服代わりに生活している状態で,灌木を伐採しながら煮炊きをしている状況とか。だから,地図ばかり見てダム反対というのでなく,実際に現地に来て,その貧困を確認して欲しい,と彼は言っている。ダムを開発すれば貧困が救えるのか,と言う話はまた別の話である。


1 今日の概要

●中国の雲南省,まだサルウイーン上流怒川のダム開発,ロイターとヘラルドが伝える。いずれも全国人民大会で北京に出てきた白恩培雲南省共産党書記の談話が元で,彼は現地の貧困を考えると,ダム開発はすべきと訴えている。●3月末にラオスでGMS,大メコン経済圏の3回目の首脳会議が開かれる。この15年の反省が長文の記事になっている。●先ほどの白恩培雲南省共産党書記の談話であるが,ミャンマーからのガスパイプライン構想には問題があるようだ,やはりミャンマーの政治体制か。●李鵬元総理の娘,李小琳政協委員は中国電力グループの理事長を勤めている。


2 目次

●中国の雲南省,まだサルウイーン上流怒川のダム開発諦めず
●中国,雲南省は,まだ怒川のダム開発を諦めてはいない
●3月末,ラオスにてメコン沿岸諸国首脳会議
●ミャンマーと中国のパイプライン構想,未だ承認されず
●李鵬元総理の娘、李小琳政協委員、「父が十冊の日記を出版」


3 本文

●中国の雲南省,まだサルウイーン上流怒川のダム開発諦めず

ロイター電が報じたものだが,怒河の開発については,2004年に温家宝首相が開発を一時棚上げするよう命じ,環境調査を継続するよう方針を変更した。今回,大きく記事になっているのは,全国人民代表会議に北京に出てきた雲南省の共産党書記が,雲南省は開発を諦めていない,と発言したことに始まる。彼の言い分は,流域住民が貧困に喘いでおり,開発が地域の貧困を救い,国家には大きな利益をもたらす,というのである。

サルウイーン河水系図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080308A01.jpg
中国怒川ダム開発計画
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怒川三川併走直上流の渓谷 グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080308A03.jpg

●中国,雲南省は,まだ怒川のダム開発を諦めてはいない

前項と同じ内容の記事であるが,こちらは,雲南省の共産党書記でエンジニアーの白恩培氏が語った,としてIHTが報じたものを,雲南省のサイトが取り上げたものである。ここで問題としているのは,この怒川の開発が,三川併走を形造る三つの渓谷,即ち,サルウイーン,メコン,長江それぞれの上流部分が近接して流れている区間で計画されていることで,この三川併走は,UNESCOの世界遺産に指定されている。

三川併走 グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/080308B01.jpg

●3月末,ラオスにてメコン沿岸諸国首脳会議

IPSニュースによって綴られた長文の記事である。1991年の当時からを振り返っており,私自身もメコン委員会の中にあってこの激動の時期を現地でつぶさに見てきただけに,興味ある記事である。この大メコン経済圏,即ちGMSは,ベトナムと中国の二国間関係が回復,カンボジアの和平が達成された年,1991年の翌年に,ADBによって提唱されたもので,首脳会議としては,2002年のプノンペン,2005年の昆明に続く第3回目である。

このGMSが提唱されてから15年が経ったわけであるが,果たして地域の統合への努力は実ったであろうか,と記事は問いかけている。最後までつぶさに読んだわけではないが,論点としては,ADBの言う貿易量の400%に上る拡大,環境団体IRNの言う統合に向かってダム建設が進み地域を破壊,また中国,タイ,ベトナムが大きく発展した影で,小国ラオス,カンボジア,ミャンマーが苦しんでいる状態,この3点であろう。

メコン流域図
http://my.reset.jp/~adachihayao/080308C01.jpg
GSMが当初描いた圏内道路開発計画
http://my.reset.jp/~adachihayao/080308C02.jpg

●ミャンマーと中国のパイプライン構想,未だ承認されず

これも先ほどの怒河開発で発言した雲南省の白恩培共産党書記の微妙な発言を元にしている。彼の発言の微妙なところを直訳すると,「確かに計画はある。しかし,それが可能かどうか,いつ敷設するのか,如何にして敷設するのか,どれもまだ決まってはいない。」,どうも彼はやる気gはないみたいな発言。やはり問題は,ミャンマーの政治体制にある,と見て良いのではないか。

ミャンマー 昆明 ガスパイプライン構想
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030801.jpg

●李鵬元総理の娘、李小琳政協委員、「父が十冊の日記を出版」

吉林省の仕事をしていた頃,現地の通訳の男性が,李鵬首相の娘さんと同級生だと言っていた。李鵬さんは,若いときに吉林で発電所長をしていた技術者でだったから,そういう配置になったのであろう。李鵬さんが発電技術者であったから三峡ダムが出来た,とも言えるし,彼が東京電力を訪問して電力改革の話をした直後,帰国して組織の大改革を成し遂げた印象は強い。

その同級生の男性は,どうでしたか,と聞いたら,彼女は毎日スポーツカーに乗って走り回っていた,と言っていた,美人でしたか,と聞いたら,いや,大したことなかった,と言っていた。今彼女は中国電力グループの理事長と言う要職にある。写真は結構美人ですね。

李小琳政協委員、中国電力グループの理事長
http://my.reset.jp/~adachihayao/080308F01.JPG


4 その他

●フィリッピン,送電公社の電力搬送,2007年は前年7.6%アップ
●インド,NHPC,167万株,IPO,7月から8月か
●丸紅,インドネシア最大の火力発電所の改修工事を受注


5 参考資料

2008年3月8日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080308A Philippines, Manila Bulletin
送電公社の電力搬送,2007年は前年7.6%アップ
TransCo’s power delivery up 7.6% in 2007
http://www.mb.com.ph/BSNS20080307118737.html

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080308B Myanmar, Reuters
ミャンマーと中国のパイプライン構想,未だ承認されず
Myanmar-China pipelines yet to be approved
http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKPEK21196220080306

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080308C Mekong, IPS
3月末,ラオスにてメコン沿岸諸国首脳会議
DEVELOPMENT-ASIA: Mekong Meet May Assess Regional Integration
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=41477

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080308D India, Domain B
NHPC,167万株,IPO,7月から8月か
NHPC to sell 1,670 million shares; IPO likely in July-August news
http://www.domain-b.com/industry/20080306_nhpc.html

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080308E インドネシア,3月7日8時34分配信日刊工業新聞
丸紅、インドネシア最大の火力発電所の改修工事を受注
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080307-00000022-nkn-ind

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080308F 中国,「チャイナネット」2008年3月6日
李鵬元総理の娘、李小琳政協委員、「父が十冊の日記を出版」
http://j.peopledaily.com.cn/2008/03/06/jp20080306_84919.html
●080308G China, Go Kunming
雲南省は,まだ怒川のダム開発を諦めてはいない
Official: Yunnan still hopes to dam Nu river
http://gokunming.com/en/blog/date.php?date=2008-03-07
●080308H China, Reuters
中国の雲南省,まだサルウイーン上流怒川のダム開発諦めず
China province seeks dams despite environment fears
http://in.reuters.com/article/worldNews/idINIndia-32330020080306


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月7日分 ー京都議定書の二の舞はしたくない

「京都議定書の二の舞はしたくない」,首相の温暖化対策懇談会の第1回会合を終えての奥田座長の一言である。取引市場創設の問題で,電力と製鉄が頑として応じない姿勢で,サミットまでに何とか国際政治の主導権をとりたい福田首相を助けるための,奥田座長の一言と言っても良い。国内的には市場創設の効果はないだろうが,ここでもたもたしていたら,EUはおろか米国にまで追い抜かれると言うことらしい。

この第1回の会合には東京電力の勝俣恒久社長は欠席しているが,ポスト京都の最大の日本政府の目玉,セクトラルアプローチでは,電力がその主役になるはずである。サミットの0ための国内取引市場の創設,と言うのは少し視点が狭いのではないか。いろいろセクトラルアプローチはあるだろうが,昨日の21の革新技術にもあるように,石炭火力技術のインドや中国へのアプローチが,日本としては最大の地球への貢献だろう。

Jパワー株の英系ファンドによる株式追加取得問題,経済産業省が財務省を巻き込んで審査を本格化させる動きにある,と報じられている。追加取得が,エネルギーの安定供給だけではなく,政府が掲げる対日投資促進方針にどのような影響を与えるかも見極め慎重に判断する。難しい決断になるだろう。でも,送電への安定供給への影響,これはかなり重く判断されるのではないか。


1 今日の概要

●先日来の電力需要抑制のための電気料金値上げ案は,議会などの反対で棚上げになっているが,スシロ大統領は,この値上げを真っ向から否定して見せた。●首相の温暖化対策懇談会,第1回会合を終えて奥田座長は,京都議定書の二の舞はしたくない,と。●この首相の温暖化懇は,国内で意見の不一致がある取引市場の創設について,サミット向け戦略造りのために創設した。●中国の原子力開発はポスト京都の重要テーマーの一つ。現在11基,約900万KWが稼働している。●パキスタン,20億ドルのニールムジェールム水力963MWのために,電気料金値上げ。


2 目次

●インドネシア,スシロ大統領,政府予算は苦しいが,電気料金は上げないと
●温暖化懇 排出量取引市場創設など焦点 
●排出量取引は官邸主導で,政府がサミット向け戦略づくりへ
●中国,内陸初の原発が湖北省に、省政府と中国広東核電集団が建設計画で合意―北京市
●パキスタン,ニールムジェルム水力,開発のため料金値上げの必要


3 本文

●インドネシア,スシロ大統領,政府予算は苦しいが,電気料金は上げないと

この問題については,一昨日のジャカルタポストとJICAの永井専門家からの解説を元に,報じたばかりであるが,PLNに対する補助金が増大する政府としては,何とかして需要を抑えたいとの意向から,全国平均より沢山使う人は高く,少なく使う人は安くする,と言う料金政策の導入で,実質的には料金値上げの方向であるが,議会の承認なしで決定できるとの考え方であったが,需要サイドと議会からの反対が多く,プルノモ大臣が,実施延期を決断したばかりである。

昨日行われた西ジャワ住民強化国家計画の会議の席上で,スシロ大統領は,明確に料金値上げを否定して見せた。要するに,燃料への補助金を減らすこともしないし,それに伴う電気料金の値上げもない,と言い切ったのである。大統領は,財政は苦しいと,しかし,この補助金の削減によってではなく,他の方法で予算を削減したい,それが国民のためだ,と言い切った。料金値上げが如何に政治に影響を与えるか,インドネシアの歴史が証明しているのである。

一昨日の記事,料金値上げ制度の提案,葬り去られる
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/03/pln039s-new-billing-system-halted-our-doorstep.html

●温暖化懇 排出量取引市場創設など焦点 

座長の奥田碩トヨタ自動車相談役の会議後の発言が注目を引く。「京都議定書の二の舞になる」,というのは何を意味するのか。欧州に押されて日本が厳しい目標を押しつけられた,と言う意味のようで,ここで更にEUに先行されたままだと,更に大きなつけが回ってくると言っている。取引市場創設に反対しているメンバーは,東京電力の勝俣恒久社長と新日本製鉄の三村明夫社長であるが,勝俣社長は第1回会合であるのに欠席している。一方,経産省は7日,排出量取引制度を検討する研究会の初会合を開く。

この懇談会設置の閣議決定に於いては,次のように述べられている。地球温暖化の克服には,社会や経済が新しいステージに移行することが必要であり,したがって,地球温暖化の危機は,むしろ世界全体が発展していくためのチャンスととらえるべきである。我が国はこれまで様々な危機を乗り越える中で環境に対応する技術や社会の仕組みを蓄積してきており,来るべき低炭素社会づくりにおいて大いに世界に貢献することができ,また,そのことは我が国自身にとっても発展のチャンスとなる。

首相官邸,地球温暖化問題に関する懇談会
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/index.html

●排出量取引は官邸主導で,政府がサミット向け戦略づくりへ

この記事では,「政府内で足並みが乱れている温暖化対策を主導するための首相の「知恵袋」となるものだ。」,と書かれている。日本が有する技術を地球上でもっとも効果的なところに持って行く,と言うのが良いと思うが,日本の国内で取引市場を議論することは,まさしく,国際政治の上での主導権の問題であり,地球そのものとはあまり関係ないのではないかと思う。

●中国,内陸初の原発が湖北省に、省政府と中国広東核電集団が建設計画で合意―北京市

中国の原子力発電,総量としてまとめておこう。2008年2月現在,中国国内で稼動している原子力発電所は泰山第一,第二,第三(いずれも浙江省),大亜湾(広東省),第一期嶺澳(広東省),田湾(江蘇省)の6か所11基。総発電容量は906.8万KWである。「国家原子力発電中長期発展計画」,では,2020年までに4000万KWを原発でまかなうとの方針を掲げている。中国が,石炭火力を如何に原子力で代替して行くかは,ポスト京都の重要なテーマーの一つである。


●パキスタン,ニールムジェルム水力,開発のため料金値上げの必要

この大プロジェクト,出力963MW,落差が420m,トンネル総延長が32.5km,壮大な計画であるが,これにはインドとの水争いが絡んでいる。何としてでも完成させなければ,インドのキシャンガンガ水力プロジェクトで,インダスの水をインドへ持って行かれてしまうのである。しかも,当初15億ドルと言われたプロジェクトが,20億ドルまで跳ね上がり,やっと選挙が終わって,電気料金の値上げに踏み切った。

ニールムジェルム水力の概要
http://www.waterinfo.net.pk/pdf/njhp.pdf
パキスタンの水力計画地点位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030701.jpg
ニールムジェールム水力,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030702.jpg


4 その他

●フィリッピン,ビンガダムの住民移転問題,地方庁が大統領などに陳情


5 参考資料

2008年3月7日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080307A Pakistan, The International News
ニールムジェルム水力,開発のため料金値上げの必要
Power tariff hiked to raise funds for Neelum-Jhelum project
http://www.thenews.com.pk/print1.asp?id=99924

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080307B Philippines, Sun Star
ビンガダムの住民移転問題,地方庁が大統領などに陳情
Arroyo, House help eyed for displaced Ibalois
http://www.sunstar.com.ph/blogs/citizenwatch/?p=858

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080307C Indonesia, The Jakarta Post
スシロ大統領,政府予算は苦しいが,電気料金は上げないと
No fuel prices, power rates hikes this year: President
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/05/no-fuel-prices-power-rates-hikes-year-president.html

環境一般

●080307D 温暖化,3月5日22時34分配信 読売新聞
排出量取引は官邸主導で、政府がサミット向け戦略づくりへ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080305-00000050-yom-pol
●080307E 温暖化,3月5日21時38分配信 産経新聞
温暖化懇 排出量取引市場創設など焦点 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080305-00000940-san-pol

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080307F 中国,3月6日9時14分配信 Record China
内陸初の原発が湖北省に、省政府と中国広東核電集団が建設計画で合意―北京市
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080306-00000005-rcdc-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月6日分 ーバルブから吹き出すヒマラヤの土石流

「バルブから吹き出すヒマラヤの土石」,と言う印象を持ったのは,ブータンの河川がアッサムに流れ出す地点に立ったときの印象である。ブータンの山岳地帯を出るところに王様の別荘があって,そこには王様が釣りをする岩場が柵で囲んで保護されていた。そこをくるっと回ると,目の前はバンッと開けたアッサムの広大な河原が広がる,それはまさしくヒマラヤの山から供給される土石が,バルブから放出されるようにアッサム平野に扇状に吹き出している状態である。

ヒマラヤの土石がアッサム平野にバルブのごとく吹き出される様
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030604.jpg

今日のインドのスバンシリ水力を研究しながら,実際にこの目で見たヒマラヤの土石がアッサムに吹き出される状態を思い出していた。このようなところにダムを造るのですね,どうやって土石流をコントロールするのか,不可能だと思うが,それでもここに200万KWの水力を造って地球を救おうというのだから,素晴らしい技術への挑戦だと思う。

大体,水車が本当に持つのだろうか,それどころかダムが持つのだろうか,と言う気にさへなってしまう。しかし,過去の記録を良くと,丸紅もこの水車の国際入札に参加しているのですね。本当に男なら,このようなプロジェクトの一端を担ってみたいと思う。


1 今日の概要

●インドの2008年度国家予算の発表,貧農救済を前面に押し出し,今後とも農民への電力優遇が止まらない様子,電力不足への手段は民間資金に託された形である。●中国も,全国人民代表大会への国家発展改革委員会報告によると,最大の眼目は格差是正とインフレ防止,この観点から電力料金の値上げは至難の業である。●中国の電力不足は,石炭供給の問題に帰する。特に中央部の新設石炭火力で,価格高騰の問題も含めて,供給契約が円滑に行っていない。●インドのNHPCが,向こう5年間で水力設備を倍増,1000万KWへ,目玉はアルンチャルプラデシュのスバンシリ水力200万KWである。●経済産業省が,21項目に亘る温暖化革新技術を公表,石炭火力の高効率かが目玉である。●3月31日から始まる気候変動バンコク会議への日本の資料提出が遅れている。


2 目次

●インド,貧農救済に1兆5600億円,08年度予算案方針,選挙にらみ“借金帳消し”
●中国,エネルギー価格は近い将来引き上げず=国家発展改革委員
●中国の石炭供給,電力需給のボトルネックに
●インド,NHPC,向こう5年間で,新規1000万KW建設
●温暖化対策で21の革新技術を選定,経産省
●<ポスト京都議定書>日本の提案提出、締め切り遅れ


3 本文

●インド,貧農救済に1兆5600億円,08年度予算案方針,選挙にらみ“借金帳消し”

インドの新予算,貧困層救済に大きな手を打ってきた。先日も電力に対する予算政策が発表されていたが,電力不足に対する抜本的な手は打たれておらず,むしろ電力のようなインフラは民間資金の導入を主眼とし,国家予算としては貧困層に重点を置く,インド独特の政策である。電力は,農民への優遇政策が大きな発展の障害になっているが,現在の政党では,この問題の解決は,まだまだ先と言うことだ。

●中国,エネルギー価格は近い将来引き上げず=国家発展改革委員

インドの2008年度予算に続いて,中国も5日開幕した中国の全国人民代表大会に上程すべき国家発展改革委員会報告を発表した。インドと同じく,格差の解消を一つの焦点にしているところに,両国の共通点がある。日本がバブルの頃,どうだったのだろうか,格差の問題を議論したのだろうか。中国政府が今もっとも気にしているのはインフレ,それによる民衆の怒りである。電気料金の値上げは,当分政権幹部の頭にはない。

●中国の石炭供給,電力需給のボトルネックに

従来から報じられてきた中国の石炭供給問題を,リライアブルプラントと言う西欧一般紙が取り上げたものであるが,広東省では2月に1000万KWの電力不足であり,3月には更に悪化して1200万KWに達するとしている。ここで注目すべき記述は,中国中央部で新たに建設された石炭火力発電所が,石炭供給に関する完全な契約が出来ていない,とする点である。石炭価格の高騰と,政府の電気料金抑制策がこの事態を生んでいるのか。

●インド,NHPC,向こう5年間で,新規1000万KW建設

NHPCは,国家水力発電開発公社,と言う名前の割合には,あまり多くの水力を開発していない。現在の保有水力設備はわずかに470万KWで,しかも民営化の波で,国家予算の配分の対象外となりつつある。私も何度か訪ねているが,何かインドの近代的なオフィスと言う感じはなく,旧態依然とした水力開発の遺物の感がなきにしもあらず,少し言い過ぎか。

火力のNTPCが水力に手を出したり,ブータンやネパールの水力に挑戦する一般民間企業に比べれば影は薄い。しかし,これからの5年間で設備出力を1000万KWに持って行くべく,また資金調達の面から株式上場を狙うなど,現在のガルグ総裁は張り切っている。この5年間で2800億ルピーの資金を調達すると言っているが,結構内部留保もあるらしいし,PFCも協力体制にある。

ここ数年の目玉は,北東部,ブータンの西,アッサムの北,アルンチャルプラデシュ州の200万KWスバンシリラワー水力プロジェクトが目玉で,ダム工事を今年の12月に開始するという。地図などにも見られるとおり,プラマプトラ川に合流する大河川の平野に出る直前にダムを造るという大胆な計画で,丸紅も入札には参加したが,フランスのアルストムに敗れている。

インドの主要水力プロジェクト位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030601.jpg
スバンシリ水力位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030603.jpg
スバンシリ水力グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030602.jpg
Lower Subansiri 地区のホームページ
http://lowersubansiri.nic.in/welcome.htm

●温暖化対策で21の革新技術を選定,経産省

洞爺湖サミットを控えて,経済産業省や政府の動きが激しい。「クールアース エネルギー革新技術計画」,として経済産業省が発表した革新技術は21項目に亘るが,主体を成す発電送電部門では,12項目が上げられている。経済産業省の提起メールマガジンの中に詳細が書かれているが,その発電部門の項目を並べてみると,次の通り。

(発電・送電部門)◯ 高効率天然ガス火力発電◯ 高効率石炭火力発電◯ 二酸化炭素回収・貯留(CCS)◯ 革新的太陽光発電◯ 先進的原子力発電◯ 超電導高効率送電(発電・送電部門)◯ 高効率天然ガス火力発電◯ 高効率石炭火力発電◯ 二酸化炭素回収・貯留(CCS)◯ 革新的太陽光発電◯ 先進的原子力発電◯ 超電導高効率送電

これだけのものを国内対象としても温暖化にはあまり影響がないが,高効率天然ガス火力発電,高効率石炭火力発電などの技術は,どうしてもこれからインドや中国,更には中国が開発の主導権を握るインドネシアなどの東南アジアに協力の幅を広げるべきだ。即ち,セクトリアルアプローチだ。それがあってこそ地球が救える。技術者は技術を携えて海外に飛び出すべきだ。

経済産業省のクールアースエネルギー革新技術計画
http://www.meti.go.jp/press/20080305001/03cool-earth-p.r.pdf

●<ポスト京都議定書>日本の提案提出、締め切り遅れ

3月31日からバンコクで開かれる第1回会合,資料の提出期限は2月22日であったにもかかわらず,日本はまとまらずに出し遅れて,国連は既に提出した26カ国分をまとめて冊子にし配布を始めたという。後で出して,一つの冊子にした方が目立ち安いという訳か。

既に出されたもので,中国は,「先進国は毎年,GDP(国内総生産)の0.5%以上の資金援助を途上国の温暖化対策に供する」,と言う意見を添えているという。米国は依然として削減と経済発展の両立を唱える従来の主張を繰り返している。日本の,セクトリアルアプローチは,出来るだけ強く,これを主張して早く出すべきだ。問題は石炭の革新技術である。


4 その他

●インド,重電メーカーBHEL,水力タービンの製作に遅れはない
●タイ,EGAT,燃料料金加算について,削減へ最大の努力


5 参考資料

2008年3月6日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080306A Thailand, Bangkok Post
EGAT,燃料料金加算について,削減へ最大の努力
Egat wants to reduce charges
http://www.bangkokpost.com/Business/05Mar2008_biz26.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080306B インド,3月5日8時27分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
印貧農救済に1兆5600億円 08年度予算案方針 選挙にらみ“借金帳消し”
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080305-00000020-fsi-bus_all
●080306C India, Economic Times
重電メーカーBHEL,水力タービンの製作に遅れはない
No delay in turbines supply to hydel projects by BHEL
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/No_delay_in_turbines_supply_to_hydel_projects_by_BHEL/articleshow/2837556.cms
●080306D India, Economic Times
NHPC,向こう5年間で,新規1000万KW建設
NHPC to become 10,000 MW plus in 5 years
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NHPC_to_become_10000_MW_plus_in_5_years/articleshow/2836795.cms

環境一般

●080306E 日本政府,日本経済新聞
温暖化対策で21の革新技術を選定・経産省
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080305AT3S0500P05032008.html
●080306F ポスト京都,3月5日15時1分配信 毎日新聞
<ポスト京都議定書>日本の提案提出、締め切り遅れ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080305-00000053-mai-pol

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080306G 中国,3月5日15時33分配信 ロイター
中国、エネルギー価格は近い将来引き上げず=国家発展改革委員
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080305-00000583-reu-bus_all
●080306H China, Reliable Plant
中国の石炭供給,電力需給のボトルネックに
China's energy supply suffering from lack of coal
http://www.reliableplant.com/article.asp?pagetitle=China's%20energy%20supply%20suffering%20from%20lack%20of%20coal&articleid=10816


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月5日分 ー省エネは簡単,電気料金だけ

泉南の測量作業で更新が遅れてゴメン。

「省エネは簡単,料金だけ」,と私の同僚も言っていた。確かに料金操作もある視点から見れば正しいが,問題は料金制度で省エネを強制された場合,後,技術的のどの様にカバーするか,それが省エネ技術というものだ,とどこかで説いたことがある。インドネシアのエネルギー省は,増え続ける補助金抑制の手段として電気料金制度に頼ろうとしたが,反対多く,一時棚上げ。

ジャカルタの永井専門家の情報によると次の通り。

2007年の全国平均電力月使用量(kwh/月)(電気料金契約種別毎に算出される)x80%を基準使用量として,月額使用量が基準使用量を上回る場合(割増:ディスインセンティブ):基準使用量を下回る使用量分については、従来どおりの料金単価を適用。、基準使用量を超過する使用量分(kwh)については、160%割高の料金単価(/kwh)を適応,月額使用量が基準使用量を下回る場合(割引:インセンティブ):従来どおりに算定される電気料金より、基準使用量と実際の資料量との差(kWh) x 電気料金単価(/kWh) x 20%を割引く。


1 今日の概要

●インドネシア,エネルギー省などが提案の新しい料金制度,需要抑制を狙ったが,議会などの反対で一時棚上げ,4月にも再挑戦。●インドの包蔵水力は1500,00MW,再生可能エネルギー大臣が発表。●ネパールの問題のアルン第3水力,インド,HP州のSJV社が落札,5年内の完成を約束。


2 目次

●インドネシア,新しい料金制度,議会などの反対で,PLNが棚上げ
●インドの包蔵水力は,150,000MW
●ネパールのアルン3水力,402MW,インド企業へ


3 本文

●インドネシア,新しい料金制度,議会などの反対で,PLNが棚上げ

この問題については,JICAの永井専門家からも解説を頂いているが,PLNに対する補助金が増大する政府としては,何とかして需要を抑えたいとの意向から,全国平均より沢山使う人は高く,少なく使う人は安くする,と言う料金政策の導入で,議会の承認なしで決定できるとの考え方であったが,需要サイドと議会からの反対が多く,プルノモ大臣が,実施延期を決断したものである。

インドネシアの電気料金は,常に政治問題と直結してくる非常に微妙な問題である。特に,憲法裁判所がPLN資産は国家財産と位置づけ,分割や民営化を認めない方向に走ってからは,補助金制度が正当化されて,これがどんどん大きくなり,2007年には予想を超えて65兆ルピア,約71.4億ドル相当にまで上っており,電力供給の問題もさることながら,政府の財政面から,何とか需要を抑える必要が出てきている。

今回は,政府,エネルギー鉱山省,PLNとも,この案を一時棚上げしたが,PLNのエディ総裁は,機を見て再度挑戦する意向のようだ。3月1日実施を見合わせたが,再び4月1日実施で挑戦したいとしている。

●インドの包蔵水力は,150,000MW

新エネルギーと再生可能エネルギーを扱う専門の省がインドにはあるのだ。この省のムッテンバール大臣は,インドの包蔵水力は150,000MWと発表し,また同時に,25MW以下の小水力も,15,000MWのポテンシャルがあるとし,更に,風力のポテンシャルも45,000MWと発表した。また包蔵水力に関し,負荷率60%としたときは,出力は84,000MWであるとした。

●ネパールのアルン3水力,402MW,インド企業へ

アルン第3水力,いろいろと問題の多い地点である。アルン河は中国から流れ込んで来てネパールの東部をほぼ横断してインドに至る。その中国との国境に近いところでダムを建設し402MWを発電する。インド企業がネパールの水力に参入してから,ネパール国会が,一度の入札で一社に限るとしたために,GMRが落ちてこのヒマチャルプラデシュ州ベースのSJV社に決定した。

このプロジェクトは,古くは1995年に世界銀行が,反対が多くて支援を放棄した地点で,理由は環境問題や道路建設の問題,ネパールとしては高い電気料金,などが反対の理由で,今回もマオイストが反対をしており,問題が多い。しかし,ネパールの電力不足問題を一挙に解消する切り札であり,インドへの輸出も見込まれている,政府にとっては重要なプロジェクトだ。開発までに与えられた期限は5年である。22%をフリーで地元に落とすことを義務づけられている。

インド企業SJV社のホームページ
http://sjvn.nic.in/
アルン第3水力の経緯
http://www.nepalnews.com.np/contents/englishweekly/spotlight/2004/oct/oct08/coverstory.htm
アルン第2水力位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030503.jpg
アルン第3水力グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030502.jpg
アルン第3水力現地写真
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030501.jpg
ネパール水力地点位置図など
http://www.doed.gov.np/uploaded/documents/HydropowerProjects%20in%20Nepal.PPT#397,19,スライド 19


4 その他

●フィリッピン,エネルギー省,重油炊きの小規模火力のIPPを認める


5 参考資料

2008年3月5日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080305A Philippines, Manila Bulletin
エネルギー省,重油炊きの小規模火力のIPPを認める
DoE supports inclusion of heavy fuel oil-fired small power plants in IPP
http://www.mb.com.ph/BSNS20080304118496.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080305B India, Economic Times
ネパールのアルン3水力,402MW,インド企業へ
Sutlej Jal Vidyut bags second Nepal hydropower deal
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Sutlej_Jal_Vidyut_bags_second_Nepal_hydropower_deal/articleshow/2833192.cms

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080305C India, United Press International
インドの包蔵水力は,150,000MW
India's hydropower potential at 150,000 MW
http://www.upi.com/International_Security/Energy/Briefing/2008/03/03/indias_hydropower_potential_at_150000_mw/1412/

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080305D Indonesia, The Jakarta Post
新しい料金制度,議会などの反対で,PLNが棚上げ
PLN's new billing system halted, on our doorstep
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/03/pln039s-new-billing-system-halted-our-doorstep.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月4日分 ーハノイとサイゴンを紐で結んでおけばよい

「ハノイとサイゴンを紐で結べばよい」,それだけの意味に近い,と随分今から考えれば罵ったものである,失礼だった。1991年のベトナムへの制裁解除を受けて,外務通産JICAの合同ミッションが,肌寒い小雨の中のハノイを訪ね,日本政府の最初の公的資金支援の交渉に当たっていた。ベトナム側は,今のような西欧のビジネスマンのような官僚はいなかった。皆,今ベトナム戦争の戦場から帰ってきたような,やせこけて精悍なベトナムの官僚達であった。戦場で片腕を失った人もいた。

とにかくベトナム側は,何としてでも北のソンラ水力500万KWの開発が,ベトナムの経済復興の鍵だと主張する。北で発電してもホーチミンの電力不足が支えられないではないか,まず南の電源開発から手を付けるべきだ,と日本側が反論する。北から南まで50万ボルト送電線を建設するから,南北連携は問題ない,とベトナムは言う。日本側は,そのような夢のようなことを言うな,どうしても北と南を繋ぎたいなら,紐で結んでおけばよい,と暴言まで飛び出した激しい会議であった。

時代に流れは速い,あれから16年,遂に円借款を獲得できなかったベトナムは,自力でソンラを開発することを決意し,ここまで来たのである。普通ならここで中国が出てくるところであるが,さすがに中越関係の長い歴史があるのか,ベトナムの水力開発へは,中国の声を聞かない。コンサルタントとしては,日本工営など随分協力していると聞いているが,資金的にはここまで来たようだ。2010年にも,240万KWの第1号機が運転を開始するという。


1 今日の概要

●タイの原子力開発,賛成,反対,両派の議論が熱くなってきた。エネルギー省側の説明も,具体的になり,技術的のも勉強の成果か相当に突っ込んだ説明となってきている。●それに対して反対派の議論は,安全と高コストの問題で,それだけの費用を注ぎ込むなら,もっと他の再生可能エネルギーを研究せよと言っている。●ベトナムのソンラ水力,久しぶりの記事である。グエンタンドン首相が現地を訪問し,地元の発展を約束している。2010年にも第1号機が運転か。●インドのヒマチャルプラデシュの水力開発が熱くなってきた。150万KWのBOT,40年契約である,ポスト京都に向かって水力開発に拍車がかかっている。


2 目次

●原子力はタイにとって必要,エネルギー安定とクリーン
●タイは原子力を必要としない,高価で危険
●ベトナム,グエンタンドン首相,ソンラを訪問,貧困削減を強調
●インド,ヒマチャル,第11次五カ年計画で,150万KW水力開発


3 本文

●原子力はタイにとって必要,エネルギー安定とクリーン

タイが,2020年を目標とする原子力開発に関して,着々と国民への教育を実践しつつある,と言うことがよく分かる記事である。この記事の元は,新たに設立された原子力発電計画開発庁NPPDOの専門アドバイザーコプル氏である。これまでの記事に比べれば,かなり説得力もあり,また勉強した結果か,理論面でも新たな説明を持ち込んでいる。東南アジアでは,ベトナム,インドネシア,フィリッピンといろいろな原子力開発へのアプローチがあるが,タイの場合はまず国民の説得へ重点が置かれていることがよく分かる。

最大のポイントは,今電力の70%が依存している天然ガスであるが,タイ湾沖とアンダマン海の資源が底をつくのが大体30年ごと予想されていることから,いつまでもこのままでは駄目なのだ,と言うことを言い切っている点だ。LNGの問題があるが,これは無視しているところが面白い。また,太陽光,風力,バイオマスなどに関しては,余程の技術革新がなければ,コスト面でも量的な面でも支えきれない,と言っている。もし何らかの大きな技術革新が起これば,その時原子力を捨てればよいのだ,と言っている。

核燃料の問題について,世界的なマーケットが確立しつつあるし,GNEPなどの動きも大いにタイを勇気づけている。燃料は湿式貯蔵で3〜5年,乾式貯蔵で40〜50年が可能であることも,燃料備蓄面での有利さである,と強調している。安全面については,現在世界で440の原子炉が動いており,スリーマイルズとチェリノブイリの二つの事故を除いて安全,特にIAEAの存在を強く主張している。全体的に,説得力が出てきた。

タイの原子力計画開発庁に関する記事
http://www.thaienergy.org/index.php?option=com_content&task=view&id=1&Itemid=62
IAEAのホームページ
http://www.iaea.org/
GNEPの解説
http://en.wikipedia.org/wiki/Global_Nuclear_Energy_Partnership
GNEPのホームページ
http://www.gnep.energy.gov/gnepMinisterialMtg.html

●タイは原子力を必要としない,高価で危険

一転,原子力開発への反対論である。環境回復機構のウイトン事務局長。彼の論点は三つで,一つはPDP,すなわち長期電源開発計画の過大な電力需要の伸びをベースとした原子力必要論への反論,二つは,安全面で,ヒューマンエラーが起こったときの被害の甚大さ,三つは,甘利にも大きな投資額,と言う問題で,それだけの投資を再生可能エネルギーへ向ければ,どれだけ多くのクリーンなエネルギーが得られるか,と言っている。どう見ても,前項の原子力推進論が理論的に見えるが。もっとも,これからタイの国民が,これらの議論に巻き込まれていくことになる。

環境回復機構のホームページ
http://www.terraper.org/

●ベトナム,グエンタンドン首相,ソンラを訪問,貧困削減を強調

ベトナムは,政治体制とは案外に,プロジェクトで犠牲が発生する人々を大切にしている,と言う人々がいる。大統領や首相が,直接彼らを訪問してねぎらう習慣が定着しているという。今回のグエンタンドン首相のソンラ訪問は,そのような目的の一つなのであろう。久しぶりのソンラのニュースであるが,記事に出てくる2,3の数字に着目しておこう。

この記事ではソンラ水力の最終規模は出ていないが,約250万KWであったか。水没移住が6,700世帯,これを人口に直すと4万人ぐらいだが,当初言われていた12万人から,規模を縮小して来たためか。また,完成時期について記述があり,201年末に第1号機の完成を目指し,続く5基について,2012年に運転開始としている。

ベトナム大ダム会議,ソンラ水力の写真
http://www.vncold.vn/En/Web/Content.aspx?distid=344
ソンラ水力ダムサイト付近,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030401.jpg

●インド,ヒマチャル,第11次五カ年計画で,150万KW水力開発

ポスト京都の重要テーマーの一つは,インドの石炭火力をどこまで水力で置き換えられるか,という問題である。インドの包蔵水力は148,701MW,このうちまだ70%が未開発である。インド政府は,2008年から2012年までの第11次五カ年計画の中で16,553MWの水力を開発する計画であるが,そのうちの4,610MW,即ち28%がこのヒマチャルプラデシュ州で開発されようとしている。エンカルタの記述を引用させて貰う。

「ヒマーチャルプラデシュは,サンスクリットで,「雪山の州」,を意味する。総面積は5万5673平方km,人口は607万7248人(001年),州都はシムラ。州の面積の大部分を占めるのは,州名の由来でもあるヒマラヤ山脈である。標高は約4,600mから6,700m以上にも達し,高い山々は万年雪に閉ざされる。南部は丘陵地で,樹木のしげる谷がある。おもな河川はチェナブ川,ラービ川,ビアス川,サトレジ川,ヤムナ川。州政府は多くの川にダムを建設し,水力発電の開発をすすめてきた。サトレジ川のバークラー・ダムによって,この地方最大のゴビンドサガル湖がつくられた。気候は温暖もしくはやや冷涼である。」。行ってみたくなりますね。

そこで,HP州電力局HESEBの主任技師ネギ氏は,今回,150万KWの具体的な40年のBOP開発を発表,更に400万KWをこの期間中に開発するとした。HP州の包蔵水力は18,820MW,この数字は,アルンチャルプラデシュの50,328MWに続いて2番目の数字。このヒマラヤの州の中では,4,570MWが現在開発中で,6,086MWが既開発である。今回取り上げられているのは,GMRによる180MWホリバジョリ水力とDCMによる108MWチャトル水力である。

HP州電力局のホームページ
http://www.hpseb.com/
ヒマチャルプラデシュ地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030402.jpg
ヒマチャルプラデシュ グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030403.jpg


4 参考資料

2008年3月4日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080304A Vietnam Vietnam Net
グエンタンドン首相,ソンラを訪問,貧困削減を強調
Son La urged to intensively focus on poverty reduction
http://english.vietnamnet.vn/politics/2008/03/771413/

タイ
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080304B Thailand, Bangkok Post
原子力はタイにとって必要,エネルギー安定とクリーン
Nuclear provides clean energy
http://www.bangkokpost.com/Business/03Mar2008_biz22.php
●080304C Thailand, Bangkok Post
タイは原子力を必要としない,高価で危険
A dangerous, expensive option
http://www.bangkokpost.com/Business/03Mar2008_biz23.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080304D India, Steel Guru
ヒマチャル,第11次五カ年計画で,150万KW水力開発
Himachal targets 1,500 MW through hydropower projects
http://www.steelguru.com/news/index/2008/03/02/MzgyNTk%3D/Himachal_targets_1%25252C500_MW_through_hydropower_projects.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月3日分 ー単なる金儲けのツール

「単なる金儲けのツール」,になってしまっては効果がない,そういう落とし穴に陥る危険性もある,と述べたのは甘利経済産業大臣の記者会見で,記者から東証の取引市場創設の提案について聞かれたときの答弁である。やはり経済産業省はこの辺りの心配をしているわけで,この前,経産省次官が,京都議定書に従ってハンガリーから排出権を買ってどこが悪い,と開き直ったのとは,両極端である。

金儲けのツールにすれば,多くの人が集まって大きな市場になり効果も上がる,と考えている人々は,金儲けのツールに当てはまらない規模の手段,例えば,原子力発電所や大規模水力は除外しようとする。400万KWの原子力発電所が,東証の温暖化ガス取引市場に持ち込まれれば,一度にシステムは壊れてしまう。しかし実際に地球に効くのは,個々の小さいプロジェクトの取引ではなくて,400万KWの原子力発電所だろう。


1 今日の概要

●甘利経産相の有識者会議(座長・吉川弘之産業技術総合研究所理事長)が3月5日に開かれる。洞爺湖サミットに向けて,セクトラルアプローチと革新技術が2本の柱,いい感じかな。●中国国家電力網,凍結対応能力を高めるための行動に移る。●インドネシアと中国の包括協力協定の中で,中国企業がパプアで発電所を建設する。パプアのミリカ地区。


2 目次

●温暖化ガス半減へ21の技術開発,政府が計画案
●中国国家電力網,凍結対応能力を高める
●インドネシア,中国企業,パプアで発電所建設へ


3 本文

●温暖化ガス半減へ21の技術開発,政府が計画案

2月5日に開く甘利明経済産業相の有識者会議(座長・吉川弘之産業技術総合研究所理事長),過去の甘利経産大臣の記者会見の内容をずっと逆上って読んでみると,洞爺湖サミットへ向けての政府考え方,良い方向に向かっているのではないか,と思っている。2005年で262億トンの温暖化排出ガスを130億トンの減らす行程表,と言う意味で,方向性も良い。

それと,アプローチの方法を,セクトラルアプローチと「クールアース エネルギー革新技術計画」,の2点に絞り込んできたところが,なかなか説得力がある。セクトラルアプローチについては外務省は全然分かっていないようだが,経済産業省はかなり具体的なイメージを持っているのではないか。革新技術については,今日の記事では不満だが,恐らく経産省の考えている主流は,石炭火力への革新技術なのであろう。

甘利経産相の記者会見の中で,記者の東証の動きに関連した質問で,大臣は次のように答えている,「公平,公正であって,全体として排出削減に資するという意味ですけれども,そこを議論しなければいけない。そこを無視して進めていくと、単なる金もうけのツールにだけなってしまって効果がないと,そういう落とし穴に落ちてはいけないということを言い続けてきたわけです。」。

甘利経済産業大臣記者会見,080229
http://www.meti.go.jp/speeches/data_ed/ed080229j.html

●中国国家電力網,凍結対応能力を高める

中国は東北地方があるから,送電設備の凍結対策は発達しているはずだが,急に南部に雪が降って慌てまくったのだろう。車でも一緒で,しょっちゅう雪の降っているところは慣れているが,大阪や東京でたまに雪が降ると大混乱する。私も,北海道大学の土木が勉強していることで,全く我々が無関心であった道路などの凍結など,やはりその地元地元で技術への姿勢が違うのだ,妙に感心したことがある。

日本のコンサルタントの中にも氷雪や凍結対策を専門とした企業があることを確認して,感心している。その中には送電線対策もあって,各種電線の着氷雪に関する低温室実験,電線への着氷,着雪の調査,解析・シミュレーション,各種アンテナへの着氷雪対策検討,雪荷重調査,解析シミュレーション,などが行われていることを知った。

氷雪コンサルタント
http://www.mtsnow.co.jp/japanese/consul.htm

●インドネシア,中国企業,パプアで発電所建設へ

中国とインドネシアの包括的な協力協定の一貫らしい。規模は書いてないが,恐らく30万KW規模の石炭火力なのであろう。このような辺境まで中国は出て行って,電力をカバーしているのか,すごい。パウマコと言うミリカ地区の港らしい。今年3月着工,2010年運転開始と書いてある。

ミリカのグーグルアース,雲がかかっている
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030301.jpg


4 参考資料

2008年3月3日分

インドネシア

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080303A Indonesia, The Jakarta Post
中国企業,パプアで発電所建設へ
Chinese contractor to build power plant in Papua
http://www.thejakartapost.com/news/2008/03/01/chinese-contractor-build-power-plant-papua.html

環境一般

●080303B 温暖化ガス,日本経済新聞
温暖化ガス半減へ21の技術開発・政府が計画案
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080302AT3S0100P01032008.html

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080303C 中国,「中国国際放送局 日本語部」より2008年3月1日
中国国家電力網、凍結対応能力を高める
http://j.peopledaily.com.cn/2008/03/02/jp20080302_84666.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月2日分 ー穴埋めで水を生み出す

「穴埋めで水を生み出す」,我々の河川の技術の中でよく使う言葉であるが,私も若いときに,同僚からこの言葉を教えられた。彼は私と同年代だが,水に関する感覚は鋭敏で,複雑困難を極めた木曽川の水資源問題は,彼でないと分からないことが多かった。当時は,東京や大阪もさることながら,愛知用水を中核とした名古屋の水問題で,木曽川が大きくクローズアップされていた。1960年代後半か。

要するに,渇水量は年間を通してほんの一時期に起こる,日本では夏であり,東南アジアでは乾期だ。その一時期のためにダムにため込んでおいてあった水を流してやれば,その流量に匹敵する水が年間を通じて使えるようになる,灌漑であろうと工業用水であろうと,わずかな乾期の補給で,年間を通してその量の設備を作ることが出来るのである。

今日は,東北タイの水が問題になっていて,サマック首相が強引にメコン本流から水を分流して来る案を提示し,下流への配慮から,本流からでなくて対岸のラオス領内のナムグム河の水を持ってきてはどうか,と言う記事なのである。この話は,新聞記事を書いた人が分かっていないのか,天然資源省の技術者が分かっていないのか,よく分からないが,ナムグムなら大丈夫,と言うことを専門家が真剣に考えているわけではなかろう。

1990年代初めに,私はタイに対して,既設のナムグムダムを買い取りなさい,そうして自分たちで好きなように運用して,穴埋めの水を造り,これを東北タイに持ってくれば,下流国は文句を言わないはずだ,と主張した。この話は,上流の中国の小湾ダムも同じことで,小湾ダムに少しお金を出して穴を埋めて貰い,メコン本流からそれを分流する。とにかく水はダムによって新たに生み出されるのだ,と言うこと。勿論タイの技術者は理解しているのでしょうね,まさかと思うがね。


1 今日の概要

●インド,本年度の国家予算で,石炭セクターの改革を目指す意思を表明,今後のインドのエネルギー供給に対して重要である。●中国の2007年の石炭生産量は25.23億トンに達し,5年前の73.8%増大となった。●インドネシアの石炭生産企業ブキットアサム,生産1000万トン,駐gと句の鉄道協力を得ることになる。●タイ,サマック首相の意図を受け,天然資源省が,直接ナムグムの水を東北タイへ運ぶ案も検討へ。


2 目次

●インド,電力セクターに一脈の光,なお問題も,国家予算
●中国,原炭,2007年生産量は25.23億トン
●インドネシア,ブキットアサム,今年の石炭生産を10%アップの見込み
●タイの天然資源省,メコン分流の調査費を要請


3 本文

●インド,電力セクターに一脈の光,なお問題も,国家予算

今回の国家予算の発表が,どの様に電力セクターに影響してくるか,について論じた記事である。送配電への基金,地方電化などが論じられているが,重要な点は石炭セクター問題であろう。予算上の主な目的は,石炭値上がりによって影響を受けている企業の救済,と書いてあるが,むしろ石炭セクターの改革を促す予算と考えられる。中国でもそうだが,70%以上を占める石炭火力の燃料確保が,今後の重要な課題だ。

インドの石炭について,石炭の総量問題だが,世界で現時点,可採埋蔵量は98,457億トンと言われていて,石油が41年で枯渇するのに,石炭は192年,約200年といわれている。インドはこのうち,米国(25.4%),ロシア(15.9%),中国(11.6%)に続いて世界第4位の包蔵量を有し,推定で2,480億トン,確認埋蔵量は930億トンと言われている。これに対して,昨年度,2006年〜2007年の総使用量は11.1億トン,このうち243百万トンを輸入している。インドが輸入先としているのは,インドネシア,オーストラリア,南アメリカである。

インドの石炭事情
http://eneken.ieej.or.jp/data/summary/1518.pdf

●中国,原炭,2007年生産量は25.23億トン

2002年の中国の石炭生産量は14.15億トンであったから,5年間で73.8%増大したことになる,急激な伸びである。これに対して犠牲者の数は,2002年が6,587人に対して,2007年の犠牲者は3,786人で45.9%の減,と高らかに発表しているが,まだまだ犠牲者は多い。中国の一つの課題だろう。

日本エネルギー経済研究所,中国のエネルギー
http://eneken.ieej.or.jp/data/pdf/833.pdf

●インドネシア,ブキットアサム,今年の石炭生産を10%アップの見込み

南スマトラのブキットアサムの石炭生産は,大きく伸びようとしている。年間生産量1,000万トンのレベルで,国全体としては約1億トンを生産しているから,全体の10%の生産を占めている。記事を読んでみると,中国の影響が急激に大きくなっている。石炭と水力は中国に任せておけ,と言っていたが,もう一つ,鉄道は中国に任せておけ,と言わねばならない。ブキットアサムの石炭生産地から,港タラハンまでの鉄道増強は416kmと言う長距離であり,中国が計画している石炭火力など,10億ドルの設備投資が見込まれている。中国の影響がどんどん大きくなる。

インドネシアの石炭資源は主に17 州に拡がっているが,中でも,南スマトラ州と東カリマンタン州の埋蔵量は全体の72.15%に上る。インドネシア全体の石炭は約613.8億トン,確認埋蔵量は67億トンである。

NEDO,インドネシアの石炭事情
http://www.nedo.go.jp/sekitan/database/list/list41-10_2.htm

●タイの天然資源省,メコン分流の調査費を要請

サマック首相が,メコンの水を分流して東北タイへ送る,というプロジェクト開発を生き返らせようとして,内外で大きく論争になっている。今日は,首相のアイディアを受けて,天使現環境省が,調査のための予算配分を要求することのなる,との報道である。

記事によると,メコン本流からとるか,対岸のラオスのナムグム河から持ってくるかの比較をしたいのだ,ナムグムの方が問題が少なそうだ,と言うニュアンスで書かれている。しかし下流のカンボジアとベトナムにとっては,全く同じことである。ただ,私も昔提案したことがあったが,既設のナムグムダムをタイが買ってしまいなさいと。そうして自分でダムを運用して渇水量を生み出し,その水を分流しなさい,と言う案は成り立つはずだ。

タイ側からラオスのナムグム河を見る
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030201.jpg


4 その他

●フィリッピン,ADB,2億ドル融資を,マシンロック買収者へ直接供与
●ネパール,来年,ミッドマルシャンディ70MW完成も,なお不足
●中国,エチオピアの水力開発を支援すると
●インド,NTPC,ビハールの火力開発132万KWに18億ドル投入へ


5 参考資料

2008年3月2日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080302A Thailand, Bangkok Post
タイの天然資源省,メコン分流の調査費を要請
Budget sought for river water diversion studies
http://www.bangkokpost.com/News/01Mar2008_news06.php

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080302B Philippines, Manila Bulletin
ADB,2億ドル融資を,マシンロック買収者へ直接供与
ADB to extend $ 200-M direct loan for Masinloc acquisition and rehab
http://www.mb.com.ph/BSNS20080301118276.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080302C Nepal, The Rising Nepal
ネパール,来年,ミッドマルシャンディ70MW完成も,なお不足
Country will be under power deficit even after Mid-Marsyangdi [ 2008-3-1 ]
http://www.gorkhapatra.org.np/content.php?nid=37277

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080302D India, Economic Times
Power sector sees light at end of tunnel
電力セクターに一脈の光,なお問題も,国家予算
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power_sector_sees_light_at_end_of_tunnel/articleshow/2828066.cms
●080302E India, Economic Times
NTPC,ブハールの火力開発132万KWに18億ドル投入へ
NTPC to invest $1.8 billion in new power plant
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NTPC_to_invest_18_billion_in_new_power_plant/articleshow/2827425.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0indonesia.htm

●080302F Indonesia, The Jakarta Post
ブキットアサム,今年の石炭生産を10%アップの見込み
Bukit Asam aims for 10% rise in coal output this year
http://www.thejakartapost.com/news/2008/02/29/bukit-asam-aims-10-rise-coal-output-year.html

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080302G 中国,2月29日18時30分配信 サーチナ・中国情報局
原炭:2007年生産量は25.23億トン
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080229-00000036-scn-cn
●080302H China, United Pres International
中国,エチオピアの水力開発を支援すると
China, Ethiopia to work on hydropower
http://www.upi.com/International_Security/Energy/Briefing/2008/02/29/china_ethiopia_to_work_on_hydropower/6244/


ー 日刊アジアの開発問題 2008年3月1日分 ー塩水揚水か雨水揚水か

「塩水揚水か雨水揚水か」,と論争を繰り広げていたのは42年前の中部電力と関西電力の水力屋達。今日は,久しぶりに関西電力の兵庫県市川,大河内揚水発電所128万KWの現場を,後輩達に伴われて,歩き回り,更新が遅れてごめんなさい。

大河内揚水発電所の空中写真
http://my.reset.jp/~adachihayao/08030101.jpg

私が29歳の時,関西電力の揚水発電所候補地点100地点の中で最初にこの大河内の山を登った。勿論当時は道路はなく,山道を約500mの高さ,1時間で駆け上ったのだが,さて40年後の今日,私は何時間で上ることが出来るか,一度試してみたいものだと思う。

当時,関西電力は,山間に二つのダムを造っても揚水プロジェクトは成り立つ,水がなければ工事中に雨水をためればよい,と大河内に先立つプロジェクト,奥多々良木に挑戦したが,中部電力は長い間,新鹿地点という海水揚水に拘った。お互いに,雨水揚水,塩水揚水とけなし合いながら,開発を競ったものだ。懐かしい。


1 今日の概要

●インドの2007年の経済白書が発表になったが,GDPの8%以上の伸びに関わらず,電力生産の伸びは小さい。特に,原子力の発電量の減少が大きな問題である。●インドに於いて,ノルウエー企業のSNPとタタ発電会社の子会社TPCが,ブータンなどの水力開発でJVを組むことになった。●フィリッピンのオープンアクセスについて,その原案が暴露されたが,基準価格は352ペソ,約8.7セント相当に設定されている。アロヨ大統領が,電気料金を下げる決めてとして,実施を焦っている。


2 目次

●インドの電力供給の伸びが,前年比鈍化,6.6%
●インド,ノルウエー企業SNPとタタの子会社,ブータンなどの水力で提携
●フィリッピン,オープンアクセスの最初のTOR,NPCが除外される


3 本文

●インドの電力供給の伸びが,前年比鈍化,6.6%

インドの経済成長はGDPの伸びで大体8%を上回っている。一般には,電力需要の伸びは,GDP伸びに対する弾性値と称して,1.0以上,1.1などが通常とされているが,インドに於いては,GDPの伸びを下回っている,しかも前年より伸びが小さい。この場合は電力供給量,すなわち電力生産量を言っているので,電力需要は恐らくGDP以上に伸びるはずであったから,供給不足が大きくなったと解釈され,電力開発が難航していることが読みとれるのではないか。

注目すべきは,原子力発電は伸びでなく,5.7%の減少となっていることである。最近,インドの核燃料の不足が言われており,米国との原子力協力協定で救われるかと思ったのに,オーストラリアの政権交代で,NPTPに加入していないインドにはウラン供給が出来ない,と言うことになって,インドは窮地に立たされている。シン首相は,ロシアとの連携を模索しているが,まだ具体化していない。今後,インドの原子力発電量が伸びないと,それだけ石炭を沢山燃やすことになり,地球温暖化への影響も出てくる。

水力発電の伸びは,前年13.8%と大幅に伸びたが,今年は9.8%にとどまっている。これは開発の遅れと言うよりは,渇水など気候変動による影響なのであろう。石炭などの火力も,伸びが前年6.1%であったものが,今年は57%の伸びにとどまっている。これは電源開発の遅れであろう。

インドの経済調査2007
http://www.domain-b.com/economy/ecosurvey2008/20080229_rich-poor_gap.html

●インド,ノルウエー企業SNPとタタの子会社,ブータンなどの水力で提携

タタ発電会社の子会社で,ブータンの大規模水力,最近完成したタラ発電所からインドまでの送電線を持っていて,タラ水力の電力をインドへ売りさばいている。インドには,PTCという元々電力取引を専門とする官製の企業があるが,これに対抗してタタがブータンからの重要な送電線を握ったわけである。一方,SNPは,我々もフィリッピンの水力発電所の買収でなじみが深いが,元々水力国ノルウエーの電力会社スタットクラフトの海外子会社で,フィリッピンの他,ペルーやチリーの水力開発で活躍している有名な企業である。

このSNPが最近デリーに事務所を開設,これを機会に両者が提携してJVを形成し,ブータンのみならず,ネパールやインド本国での水力開発に乗り出そうと言うわけである。SNPは,ネパール最大のIPP企業ヒマール電力とも提携関係にあり,ネパールのタマコシ河の開発で権益を持っている。私はいつも思うが,日本の水力企業も,インパキの水力開発には,地元企業と提携することが必須ではないかと。

SN Power のホームページ
http://www.snpowerinvest.com/
タタ電力取引会社ホームページ
http://tatapowertrading.com/

●フィリッピン,オープンアクセスの最初のTOR,NPCが除外される

アロヨ大統領は,何とか早く電気料金を下げなければ,と一生懸命焦っている。特に最近は,側近の中国電話企業との汚職が問題となって,退陣を迫られる一幕もあったように,電気料金問題がそれこそ大統領職の死命を制することになりつつある。大統領は,現在のエネルギー長官の前のペレス氏に,大規模需要家が電源を選べるオープンアクセスを,NPC資産売却が終了する前に投入できないか,検討を命じていて,その内容が電気器具生産企業の代表からリークされたのである。

これはまだ草案の段階であるが,オープンアクセスの対象となるのは,容量1000KW以上で負荷率が80%以上の需要家が,電源を自由に選べるもので,その標準価格をKWh当たり3.52ペソ,約8.7セント相当としている。現時点でNPC資産は40%の売却が終わったところで,目標の70%にはほど遠い。従って,需要家が選べる電力供給者の中からNPCが除かれていることが,公表されたのである。しかし,アロヨ大統領の焦りにも関わらず,この案が起死回生となるかどうかは疑問だ。


4 その他

●フィリッピン,ガロック油田からの生産,日17,500バレル,4月より開始


5 参考資料

2008年3月1日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080301A Philippines, Manila Bulletin
ガロック油田からの生産,日17,500バレル,4月より開始
Production from Galoc field to raise Philippines crude oil output by 70%
http://www.mb.com.ph/BSNS20080229118169.html
●080301B Philippines, Manila Bulletin
オープンアクセスの最初のTOR,NPCが除外される
Interim open access excludes NPC from offering capacity
http://www.mb.com.ph/BSNS20080229118177.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080301C India, Water Power
ノルウエー企業SNPとタタの子会社,ブータンなどの水力で提携
SN Power in hydro development JV with Tata
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectioncode=130&storyCode=2048910
●080301D India, Sify
インドの電力供給の伸びが,前年比鈍化,6.6%
Power generation growth slows: Economic Survey
http://sify.com/finance/fullstory.php?id=14612212


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