2008年5月31日更新
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ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月31日分 ートンレサップ湖を救え

「トンレサップ湖を救え」,と叫んでいるのは,ADBのトンレサップ湖環境プロジェクトのマネージャーである。カンボジアは,国の真ん中に大きなトンレサップ湖を抱えながら,その有効性について十分な認識がない。今日の記事でも,100万人がそのトンレサップ湖の魚類をタンパク源にして生きている,と言う程度の認識しか生まれてこない。私から見れば,忘れられたトンレサップ,とでも言いたいところだ。

カンボジアに関しては,私はその歴史の重要な流れの中にいたような気がする。1992年はまだ国際社会はカンボジアとのつきあいはなかった。パリや東京,更にはタイのパタヤで和平会議が行われていたが,カンボジアの人々というのはポルポトの印象があまりにも強く,初めてカンボジアの代表がメコン委員会を訪問したときは,怖いものを見るような気持ちであった。

当時,バンコクを訪問したエンジニアー達の中には,いまや国家の要職を占める人たちが多く,「アダチさんとバンコクで食事をしたときに,私もその末席にいたのですよ」,と言われる,いまでは,「閣下」の称号で呼ばなければならない人たちもいる。しかし,我々が果たして十分なことをカンボジアにしてあげられたのかどうか,反省させられるときがある,何も大きなものを残してあげられなかった,そのカンボジアはいま,中国の支援の中で,水力開発も活況を帯びてきている。


本文

●カンボジアのトンレサップ湖を救え

カンボジアのトンレサップ川,プノンペンの河岸からいつも眼にする川で,その下流でメコン本流と合流している。メコン河の洪水期には,この川が逆流して水をトンレサップ湖に送り,乾期にこれが徐々に下流に流れ出て,メコンデルタなどの乾期の水位を調整している,と言う話は,メコンに関わる人々には,最初に教えられるものである。ある時代の王様がこの事実を知っていて,もうすぐ川を逆流させてみせる,と宣言して民衆を従えてきた,と言う話は有名である。

この自然の大規模な河川調整を更に人為的に高めようとして,40年ぐらい前に,トンレサップの出口に堰とゲートを設けて,洪水時に貯留された水を調整しながら下流に流す計画が調査された。調査したのは,いまやインド,更には海外の開発を手がけるインドのタタ財閥のコンサルタントであって,私もメコン委員会にいるときに報告書を手にしたことがある。

しかし,調整したらどうなのだ,と言う感じで,その規模の大きなプロジェクトにしては,誰がどう便益を得るのか誠にはっきりしないプロジェクトで,投資する価値が判断できなかったようである。トンレサップ湖の問題を暗示するような成り行きだが,事実,トンレサップ湖の規模は大きいのに,また自然に与える影響は大きいのに,一体そこから何が生まれるのか,得体の知れない代物なのである。

フンセン首相も,「深刻な環境上の災害だ」,といいながら,またこの記事に出てくるADBのプロジェクト,「トンレサップ湖環境マネージメントプロジェクトTSEMP」,も,何を目的関数にしているのか,はっきりしない。要するに,この湖の魚をタンパク源とする100万人の人々の生活を守れ,と言う矮小な問題に集約されてしまう。もう少し,メコン水系全体の中での湖の機能,それに注目しなければ,開発にしても環境にしても,中途半端である。

●中国紙,ケニア大統領,日本訪問は成功だった

横浜での会議を終えて帰ってきたキバキ大統領を捕まえて,中国の新聞記者がその談話をとったもので,早速,中国のサイトに掲載されているところが興味深いが,事実を述べて,あまり論評はしていない。キバキ大統領は,発電所や港,食糧増産,道路,など多岐に亘る支援の説明の他に,資源のない国日本の経済発展をもたらしたのは,日本の国民がよく働いたからだ,と自国の国民を啓蒙している。

●パキスタン,電力危機はマネージメントのミス

前WAPDA総裁のカーン陸軍中将が,舌鋒鋭く,電力セクターのマネージメントのまずさを指摘している。もっとも彼にも責任はあるのだが,現今のパキスタンの電力に於ける鍵となる問題をリストアップする上で,重要な記事である。まず,現在の設備出力は1800万KWあるのだが,実際に有効に働いているのは1100万KWで,需要が1500万KWであることを考えると,的確に運用すれば,停電は防げているはずだ,と言う。

また,IPPが650万KWあるが,彼らが供給しているのは僅かに400万KWから500万KW,WAPDAの有する火力発電所は500万KWあるが現実には250万から270万KWしか供給できていない。水力は,下流の灌漑のために放流を強いられているから仕方がないとしても,650万KWの設備に対して,供給できるのは400万KWである。


その他

●パキスタンとインド,バグリハールダムで今日協議


参考資料

2008年5月31日分

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080531A Pakistan, The Post
パキスタンとインド,バグリハールダムで今日協議
Pakistan, India to discuss Kishan Ganga, Baglihar today
http://thepost.com.pk/CityNewsT.aspx?dtlid=164102&catid=3
●080531B Pakistan, The International News
パキスタン,電力危機はマネージメントのミス
Mismanagement cause of power crisis
http://www.thenews.com.pk/print1.asp?id=115500

ケニア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Kenya.htm

●080531C Kenya, News Xxinhua Net
中国紙,ケニア大統領,日本訪問は成功だった
Kenyan leader says trip to Japan successful
http://news.xinhuanet.com/english/2008-05/30/content_8284611.htm

カンボジア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Cambodia.htm

●080531D Cambodia, News BBC
カンボジアのトンレサップ湖を救え
Saving Cambodia's Great Lake
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/asia-pacific/7410187.stm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月30日分 ーかってマニラは憧れの都

「かってマニラは憧れの都」,我々が1970年代にビルマやマレーシアの仕事に取り組んでいた頃,時々立ち寄るマニラは,誠に華やかで東京を思わせる高級レストランが建ち並ぶ憧れの都だった。私自身は,あまり深くフィリッピンの仕事に打ち込んだ経験がなかったが,電力改革に積極的に取り組むフィリッピンは,東南アジアの中でも,最先端の国との理解であった。しかし,あれからいま,電力だけを見ても,少し勢いがなさ過ぎる。すべて政治に帰すことができるのか,或いは国民性そのものにあるのか,答えを求めるためには,まだ時間が必要だ。

横浜でアフリカ会議が開かれている,時々記事を見るが,感ずるのは,大いにインフラ建設支援に傾いてきた日本に対し,何か冷たいアフリカ諸国の反応である。過大な債務に泣いた過去の経験もあるが,勢い込む日本政府の追い込みに,いま一歩アフリカがついて行っていない。人道支援に慣れてしまって,先行きのない施し的な支援を期待し,開発への意欲を奪ってしまったようだ。


本文

●フィリッピン政府の経済担当,電気料金で特別ティーム編成

記事には,いろいろな経済的な問題が含まれているのだが,電気料金に関しては,実際になぜ高いのか不思議でかなわない,と言うのがアロヨ大統領達の実感であろう。電気料金の高い本当の原因を知りたい,と思っているに違いない。彼らが疑っているのは,マニラ配電の株式を3分の一以上を持って牛ずるロペス財団に大いに嫌疑をかけているわけだが,マニラ配電が言っているように,買電単価に20〜30%の配電経費を上乗せしているだけだから,根本の原因は他にあるのである。

根本の原因は,安い石油燃料に長い間安住してきたことと,石炭燃料の不足,海外輸入に頼るために本気で石炭火力開発に取り組んで来なかったこと,また,4千万人規模のルソン系統が比較的小さかったために,大規模石炭火力の採用が遅れたことなどだろう。これは,島国で資源を海外に頼ってきた国の宿命であろう。

一つ問題は,時間別料金制度の採用が必ずしも有効に働いていないところにも問題がある。NPCなど電源企業の売電単価には,ピーク時とオフピーク時で2倍から3倍の差がある。需要を平坦か使用という努力の表れだが,経済が発展して来るに従って伸びてくるマニラのオフィスの冷房需要,朝9時から夕方5時までの需要を抑えることは至難の業である。ここにも,高いピーク料金が,全体料金を押し上げている要因にもなっている。

電気料金特別調査ティームは,1ヶ月後にも大統領に答申する必要があるが,その様な研究ティームの設定で,電気料金問題が解決するとは思われない。

●インド,水力開発地元優遇政策,CERCの判断が遅れる

これはかなり難しいことが書いてある。短時間でもう一つまとめきれないが,これから大いに開発を盛り上げようとしている水力の規模について,料金システムとの関係が問題になっている。料金システムから,プロジェクトの規模の決定が大きくなりすぎる傾向にある,と言っているのか。アッサム州などが中央の料金政策に不満を漏らしている。問題はKW価値の取り扱いにあるので,民間開発となると,思わぬ問題が出てくる。

●インドネシアのガス石油産業,旧態依然の官僚主義など弊害続く

遂にOPECからの撤退もやむを得ない,と言う状況に追い込まれてきたインドネシアの石油ガス業界だが,開発への意欲が,その旧態依然とした官僚制度による開発手続きの煩雑さ,資金の競争力を減退させる規制,これが開発の意欲に水を差している,と言う議論である。この記事によると,インドネシアの原油埋蔵は89億バレル,ガスは187兆立方フィートである。


その他

●フィリッピン,SECのマニラ配電に対する総会中止命令,無効が訴追裁判所へ
●中国企業やBHEL,コルカタの60万KWEPC入札で競う


参考資料

2008年5月30日分

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●08050A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン政府の経済担当,電気料金で特別ティーム編成
Group formed to cut power rates
http://www.mb.com.ph/MAIN20080530126013.html
●080530B Philippines, Manila Bulletin
SECのマニラ配電に対する総会中止命令,無効が訴追裁判所へ
CA asked to nullify SEC orders in Meralco dispute
http://www.mb.com.ph/MAIN20080530126016.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080530C India, Economic Times
中国企業やBHEL,コルカタの60万KWEPC入札で競う
Chinese cos, BHEL eye Rs 2,400-cr CESC deal
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Chinese_cos_BHEL_eye_Rs_2400-cr_CESC_deal/articleshow/3071622.cms
●080530D India, Economic Times
水力開発地元優遇政策,CERCの判断が遅れる
CERC defers hydropower policy
http://timesofindia.indiatimes.com/Business/India_Business/CERC_defers_hydropower_policy/articleshow/3084105.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080530E Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアのガス石油産業,旧態依然の官僚主義など弊害続く
Same old problems plague investment in oil and gas industry
http://www.thejakartapost.com/news/2008/05/29/same-old-problems-plague-investment-oil-and-gas-industry.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月29日分 ー何とか発行を回復へ

「何とか発行を回復へ」,長い間マニラにあって,その間も,マニラ近郊の厳しい山中に入り込んだり,この,「日刊アジアの開発問題」,が月刊になりかかったり,と皆さんに心配して頂いて,本当に申し訳なかった。昨日帰国したので,何とか明日より回復させたいと思っているので,よろしく。

帰ってきた途端,今日,茨木の町を歩いていて交差点を突ききろうとしてクラウンに衝突した。あれっ,おかしいじゃないか,マニラでは車が止まっていたではないか,とぶつぶつ言っていると,クラウンのオッサンは私のことはそっちのけで,新品のクラウンに傷がないか,一生懸命調べている。それにしても,車も突然マニラとは反対の方向から走ってくるし,何とも危ない日本の道路である。マニラでは平気で赤信号を歩いていたのに。

いままでフィリッピンには何度も行っているし,山にも入っているが,マニラ近郊の山が,これほど深山とは知らなかった。あるプロジェクトの関係で歩いたが,山の中の道の付け方が,日本,中国,ベトナムなどとは基本的に違う。フィリッピンでは殆ど足が引っかかればよい,と言う作り方で,水の中の石に傷をポンと付けて滑らないようにして,それを道だと称している。

もう一つ驚いたことは,マニラからすぐ傍であるのに,山中で殆ど人が住んでいないところがある。そうしてそこには蛇やヒルもいないし,蚊までもいない。水もきれいで少なくとも魚は殆ど住んでいない。キャンプなどをしても食糧さへ持っていけば快適である。私の友人は,生態系が壊れている,とはこのことを言うのでしょう,と言っていた。


本文

●フィリッピン,マニラ電力の株主総会,ロペス財閥の動向で紛糾

フィリッピンの電力セクター,これまで何度も論じてきたように,改革のさなかにあって,従来,主導権を握ってきた国家電力公社NPCが,分割民営化政策で事実上,多数の電源保持者の中の一人に過ぎなくなりつつあって,また分離した送電公社Transcoも中国企業などへの運営委託の方向,主役が次々と退場する中,ルソンの需要の8割近くを握るマニラ配電MERALCOの存在が注目を浴びている。

マニラ配電を取り巻く環境は,まず異常に高い電気料金の元凶が誰かと言う問題,更に過去にERCの制限など徴収出来なかった料金を需要家へ加算する以降の経営陣,更には,3分の一づつを分け持つロペス財閥と政府,特にアロヨ政権との主導権争いなどがある。

今回の株主総会は,政府を支援する姿勢の政府系保険機構GSISのガルシア総裁が仕掛けて,マニラ株式市場からの株主総会停止命令に対し,これを無効と宣言するロペスグループ代表のマニラ配電総会進行のロゼッタの発言で,一昨日進行まで及んで,荒れた新人事の投票は終わったようだ。

今後のフィリッピンの電力セクターの行く先を占う上で,マニラ配電の今後の位置づけが極めて重要であることが,これらの記事から考えられる。アロヨ大統領に至っては,マニラ配電が,電力卸売市場WESMから電気を買うから電気料金が高いのだ,など改革の基本方針を否定するような発言が飛び出したり,巨大企業マニラ配電の分割が必要だ,など,電力セクターの回りは,政治も絡んで,非常に騒がしい。


その他

●ベトナム中部のクワンナム県,自然保護で5水力放棄
●地震の四川省の民江水力発電所,再建設に20億元が必要


参考資料

2008年5月29日分

ベトナム
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080529A Vietnam, English Vietnam Net
ベトナム中部のクワンナム県,自然保護で5水力放棄
Central province stops hydropower projects
http://english.vietnamnet.vn/social/2008/05/785231/

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080529B Philippines, Manila Bulletin
マニラ電力の株主総会,ロペス財閥の動向で紛糾
Meralco elects new board in disputed vote; Lopezes hopeful
http://www.mb.com.ph/MAIN20080528125795.html

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080529C China, China Knowledge
四川省の民江水力発電所,再建設に20億元が必要
Minjiang Hydropower expects RMB 2 bln for reconstruction
http://www.chinaknowledge.com/News/news-detail.aspx?type=1&id=15461


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月19日分 ーインドはブータンで中国を警戒している

「インドはブータンで中国を警戒している」,と言ったのは,ニューデリーにベースを置く軍事専門のコンサルタントである。ブータンとインドは盤石の関係にある,と殆どの人は見ているが,4000km近くも国境を接している中国が,ヒマラヤ山脈に遮られてきたとはいえ,このままインドの言うがままのブータンに,指をくわえているだけ,とは見えないのだろう。

わざわざインドのシン首相が乗り込んで,関係の強化に乗り出したのも,ブータンの民主化とは無関係ではない。専制の王制下では,政治的な意見は一つに統一されていたが,民主化された今日に於いては,どの様な少数意見が出てきてもおかしくない,と言うのである。聡明なワンチュック前国王であるが,意外に多様な意見が出てくる可能性もあるだろう。

マニラで仕事中で,日刊が途絶えてしまって申し訳ない,部屋に帰って来るとくたくたで,思わず寝込んでしまう,何とも1000人近い読者の方々に申し訳ないと思っている。今日はマニラ市内の面白い写真をお送りします。題して,「歩道でハンモックを吊ってくつろぐすごいオッサン」。

http://my.reset.jp/~adachihayao/08051901.jpg



本文

●インドのシン首相,1020MW,ブータンのタラ水力,竣工式へ

ブータンの歴史的な政治体制の変革の時期に,インドのシン首相がブータンを訪問し,民主化された直後のブータン国会で演説を行い,2007年3月末に運転を開始した102万KW,タラ水力発電所の除幕式を,新たに選ばれたブータンのティンリー首相とともに,あの白壁に囲まれたお城のような政府庁舎の庭で,赤で着飾った僧侶に導かれながら,厳かに執り行った,まるで絵に見るような華やかな儀式であったであろう。ブータンの官僚達は,例によって腰に金ぴかに飾った刀剣を差して臨んだことだろう,一服の絵物語のような光景が脳裏に浮かぶ。

またシン首相は,あのプナチャンチュウ水力の地鎮祭も行ったという,あの水力は,ブータンがいつもインドだから今度は何とか日本でやってもらえないか,とJICAに頼み込んで開発調査が実現したもので,我々も調査を引き受けたJパワーも一生懸命にやったわけであるが,当時のインドのルピーでは円借款の返済が出来ないと見た外務省などの反対で実現しなかった,惜しかった。

更にシン首相は,2020年までに1000万KWの電力輸入を約束したようだ。ブータンの包蔵水力は3000万KWと言われ,そのうち2350万KWは現時点で開発可能と言われている。まさしく,これから発展するインド経済にとっては力強い味方であり,ポスト京都の焦点であるインド北辺の水力と,毛派の政権参入で現実味を帯びてきたネパールの水力開発とともに,本当にこれが人類にとっては最後の挑戦となるだろう。

●インドのシン首相,ブータン訪問,新生民主主義国家を支援

ブルンバーグも大々的にシン首相のブータン訪問を報じているが,そこには,別の一つの見方,「インドはブータンで中国を警戒している」,と報じており,これもシン首相自らブータンへ足を運ばせた一つの原因であろう。1949年以来のブータンとインドの友好条約の中では,「インドはブータンの外交に関しアドバイスを行う」,と書かれていたものが,2007年の条約改定で,アドバイスと言う言葉の代わりに協力という言葉で置き換えている。

またこの記事では,専制王制と立憲君主制,そこに微妙な違いがあり,専制王制の元では,政治的な意見は一つしかなかったが,新しい議会の元に,国王自らが与えたとはいえ,それは民主主義であり,少数意見も重んじられる世界であることを認識すべきだ,として,ブータンの人々の微妙なインド感情と,長い国境を接してじっと見守る中国への思いに,複雑な感情を読みとっている。


●中国,四川省の地震,水力発電所のダムなどへ影響

多くの犠牲者を出した中国四川省の大地震,ダムなどへの重大な影響が漸次報じられている。中国の記事を英語で読むと,地名がさっぱり分からないのだが,2006年に完成したダムでは,水位を50%に下げ始めている,堤体に異常なくラックが認められたようだ。紀元前3世紀に造られた灌漑ダムの危険も報じられている,5千年間何事もなく過ごしてきたダムである。

あるダムでは,電源の故障でゲートが開かず溢水の恐れが出てきたが,工兵が電線を持ってダムを泳いで電源を繋ぎ,未然に危機を防いだという記事もあった。傍にいた元ダム保安課長は,日本は必ず予備電源を持っている,と威張っていた。しかし,これからの日本のダムへの点検も,いろいろ必要になる可能性が出てきていると思う。2006年のダムは断層上にあり,IRNは警告していた,と報じている。


その他

●インド,中央の意志に反し,アルンチャル,NHPCの水力キャンセル
●パキスタン,公共事業部門ダム建設に,国家予算増大を検討へ
●ベトナムには多くの発電所,しかし売るべきうるべき電気がない
●インドネシア,プルワカルタの企業,三つの水力に1億ドル投入へ
●中国,水力発電所でトンネル崩壊,8人が閉じこめられる


参考資料

2008年5月19日分

ベトナム

●080519A Vietnam, English Vietnam Net
ベトナムには多くの発電所,しかし売るべきうるべき電気がない
Where to buy electricity? It’s the right of EVN
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/05/782818/

パキスタン

●080519B Pakistan, Daily Times
公共事業部門ダム建設に,国家予算増大を検討へ
Govt to increase budget allocation for mega dams in PSDP
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C05%5C16%5Cstory_16-5-2008_pg5_1

インド

●080519C India, Economic Times
国家原子力発電公団NPCIL,マガラヤに18番目の原子炉計画
NPCIL to study feasibility of N-reactor in Meghalaya
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NPCIL_to_study_feasibility_of_N-reactor_in_Meghalaya/articleshow/3045930.cms
●080519D India, Live Mint
中央の意志に反し,アルンチャル,NHPCの水力キャンセル
Arunachal cancels NTPC hydel contract
http://www.livemint.com/2008/05/13000238/Arunachal-cancels-NTPC-hydel-c.html

インドネシア

●080519E Indonesia, The Jakarta Post
プルワカルタの企業,三つの水力に1億ドル投入へ
Indonesia Power Invests US$100 Million in Hydropower plant
http://www.antara.co.id/en/arc/2008/5/16/indonesia-power-invests-us100-million-in-hydropower-plant/

中国

●080519F China, Ww4 Report
四川省の地震,水力発電所のダムなどへ影響
Sichuan quake imperils hydro-dams
http://www.ww4report.com/node/5507
●080519G China, .Xinhua Net
水力発電所でトンネル崩壊,8人が閉じこめられる
Eight trapped in southwest China tunnel collapse
http://news.xinhuanet.com/english/2008-05/17/content_8194408.htm

ブータン

●080519H Bhutam, Bloomberg
インドのシン首相,ブータン訪問,新生民主主義国家を支援
Singh Visits Bhutan to Show India Backs Its Democratic Changes
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601091&sid=ae7X6KWq6mCk&refer=india
●080519I Bhutan, Tha Indian
インドのシン首相,1020MW,ブータンのタラ水力,竣工式へ
Manmohan Singh dedicates Tala Hydropower Project to India and Bhutan
http://www.thaindian.com/newsportal/india-news/manmohan-singh-dedicates-tala-hydropower-project-to-india-and-bhutan_10049640.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月15日分 ー最初からバイオは駄目だ

「最初からバイオは駄目だ」,と言い続けてきた,と言っているのは私ではなくて,何あろう,世界銀行のボーゲル農業農村開発局長である。ボーゲルさんその人がどの様に言ってきたか知らないが,再生可能エネルギーの開発を一生懸命主導し,支援し続けてきたのは,世界銀行であり,ADBであり,JICAなど世界の援助機関である。再生可能エネルギーの中には重要な要素としてバイオ燃料開発が含まれてきた。

昨今の米,食料の急激な値上がりが,これらの援助機関を震え上がらせている。ADBはその総会で,問題を一挙に切り替えて,食糧問題への議論に集中した。昨今のバイオ開発への扇動は,もういまやどこ吹く風,と言う感じである。この扇動に乗ってバイオ開発に一気に梶を切ってきたブラジルは,食糧危機の元凶にされている。

すぐに法律にしてしまうことが得意なフィリッピンは,早まって,ココバイオのエタノールを,自動車のガソリンに1%混ぜることを義務化し,先日これが発行した。農民はいまや一生懸命,畑を切り替えてココナツの生産に切り替えるべく,走り始めた。バイオは地球に易しくない,と言い続けてきたのは,我々,電力開発に携わるもの達で,エネルギーは分散ではなく,一点集中で行かなければ,地球の破綻を招く。ある地球の一点に何百万KWのエネルギーを発信する人類の技術は,最高度に活用する必要がある。


本文

●投資企業,フィリッピンの電力政策の安定を求めている

IFCのアン首席駐在,ADBのクラウチ東南アジア副局長,SNP,ノルウエー企業の現地法人の副社長,皆さんが言っていることは,フィリッピンはとにかく東南アジアで先駆けて電力自由化を,法律上敢行したのだから,それだけでも注目に値する。更に,PSALMはとにかく法律に従って資産の売却を曲がりなりにもやっているし,WESM,電力取引市場も皆が真剣にやっているではないか,とにかく真っ直ぐにそのまま突き進め,と。

問題はアロヨ大統領と議会の問題で,常に電気事業法の改定問題が話題になっている。このような状態では,いつ何が変更になるか分からない,危なくて投資も出来ない,と記事は言っている。特に議会の介入は目に余る,大統領にも責任があるが,議会も電気料金が高い本質を理解していない,と私は思う。誰かの責任だ,誰かが利益を独り占めにしている,という疑心暗鬼で議会が混乱しているところにも,問題がある。

●世界銀行,議論がある間,バイオを進めるべきではない

私に言わせれば,今更何を言っているのですか,と言いたい。再生可能エネルギー,バイオ燃料の開発に人一倍力を入れてきたのは,世界銀行も含めた国際援助機関ではなかったか,勿論日本のJICAなども当然含めなければならないが。バイオは決して地球に易しくない,再生可能エネルギーの範疇ではない,と言い続けてきたのは,我々電力エンジニアーではなかったのか。

世界銀行のボーゲル農業農村開発局長は,自分たちが食糧が危ないと言い続けてきたのに,誰も耳を貸さずバイオ燃料の開発に走った,と言っているが,再生可能エネルギーの中でもバイオに力を入れていたのは,世界銀行を含めた援助機関であった。彼は農業部門担当の立場からだけものを言っているが,世界銀行として反省の言葉が欲しい。いずれにしろ,バイオはおかしい,と言う世界的なコンセンサスが出来つつある。

●フィリッピン,ソロン,マニラ配電やNPCの負債に関し妥協せず

ソロン,と言うのは国会議員のグループを一般的にそう呼ぶのですね,知らなかった。電気料金に関して,国会議員の批判が毎日のように新聞を賑わせている。NPCとMERALCOが,過去の負債を一般の電気料金に上乗せしようとしている,と国会議員が反発している。NPCとMERALCOは,互いに紛争状態にあるように見せかけながら,実は結託して電気料金の高止まりを協力して工作しているというのである。

国会議員の先頭に立っている急先鋒は,合同電力問題委員会のサンチャゴ女史で,MERALCOの分割まで話題としている。MERALCOが強大になりすぎて,まずこれの分割から始めよう,と言うわけだ。過去に水道関係公社を二つに割って成功している,と言っている。それは,国有の健保機関GSISのガルシア総裁が,MERALCOをロペス財閥から乗っ取ろうとしている噂に輪をかけている。とにかく,この前の記事にもあるように,投資かが求めているのは,電力制度の安定であり,いたずらに内紛を助長して貰っては困るのである。


その他

●ベトナム,多くの発電所建設工事が遅れてきている
●中国の発電設備,8億KWを超える
●ベトナム,原子力発電所開発が視野に入ってきた
●中国の地震,水力発電所が停止,ジピンプ発電所
●中国,送電線延長,チンハイからラサへ


参考資料

2008年5月13日分

ベトナム
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080514A Vietnam, vietnamnet
多くの発電所建設工事が遅れてきている
Power plants way behind schedule
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/05/782784/
●080513B Vietnam, Vietnam Net
原子力発電所開発が視野に入ってきた
Nuclear power is on the horizon
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/05/782673/

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080513C Philippines, Manila Bulletin
世界銀行,議論がある間,バイオを進めるべきではない
WB urges countries to go easy on biofuel production
http://www.mb.com.ph/BSNS20080511124245.html
●080513D Philippines, Manila Bulletin
ソロン,マニラ配電やNPCの負債に関し妥協せず
Solons reject bid of Meralco, Napocor on debts
http://www.mb.com.ph/MAIN20080513124412.html
●080513E Philippines, Manila Bulletin
投資企業,フィリッピンの電力政策の安定を求めている
Investors want stability in power policies
http://www.mb.com.ph/BSNS20080513124397.html

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080513F China, china.org.cn
中国の地震,水力発電所が停止
Zipingpu Hydropower plant stopped by quake
http://www.china.org.cn/china/wenchuan_earthquake/2008-05/13/content_15201601.htm
●080513G China, english.people
中国の発電設備,8億KWを超える
China's installed power generation to exceed 800 million kw
http://english.people.com.cn/90001/90776/90882/6408730.html
●080513H China, thehindubusinessline
中国,送電線延長,チンハイからラサへ
China plans electricity line from Qinghai to Lhasa
http://www.thehindubusinessline.com/blnus/10101620.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月16日分 ーバイオで自動車も飛行機も造れる

「バイオで自動車も飛行機も造れる」,何を言っているのかさっぱり分からない,インドネシア以来のアジア開発の戦友である旧友がマニラを訪ねてくれた,異常に高いビルディングが建ち並ぶマカティの中心街を,町に似合わないジプニーと競争しながらに車中で,彼は,バイオはすごいよ,と言っている,言っていることが良く分からない,と言ったら,まあもう少し勉強してから講義してやる,と威張っている。どうやら退役している彼はあちこちの大学のセミナーに出席して勉強しているらしい,エネルギーは太陽だけ,と言う。

何か禅問答のような会話を車の中でやって,約束した日本企業の事務所に着き,現今のフィリッピンに於けるビジネスの現状について,意見を拝聴したが,インドネシアやタイで受けるような開発への熱気が全く伝わってこない。やはりフィリッピンは,人種もそうだが,社会も他の東南アジアとは少し違うようだ。政治の性とも受け取れるが,日本企業に開発への熱気が失せていることは,即ちフィリッピンへの外資の動きが鈍っていると言うことで,政府が期待する民間による電源開発は至難の業なのかも知れない。


本文

●温暖化ガス削減の日本案「有効」=中国は不参加−国際ワークショップ

日本政府提唱のセクトラルアプローチ,私も本当に地球を救うつもりならこれしかない,と思っている一人であるが,中国の不参加はある得ることだ。我々の目的は,インドと中国の石炭火力を如何に減らし,如何に効率化して行くか,に帰するから。日本の削減案がまもなく提案されると聞くが,京都議定書の削減義務を守るのがやっとで,ポスト京都は,どうしても中国とインドに頼らざるを得ないだろう。日本が技術的にはともかく,資金的にどこまで協力できるのか,によってインドと中国の姿勢が変わるのだろう。

●フィリッピン,アジア第2の高い電気料金,透明性を確保せよ

ながながとフィリッピンの電力の歴史を説きながら,結局なぜ電気料金が高いのか判断できていない,マニラ配電MERALCOの運営の不透明性にその怒りをぶつけている。私も初めて知ったが,フィリッピンの電力はまず米国経営のマニラ配電MERALCOから始まって,その持っていた発電設備をマルコスの命令でNPCに移管したのだそうだ。NPCの財政的破綻が,電力改革の主因であるが,そこには廃棄された原子力発電所の問題もある。やはり,時代に合わせた石炭火力の設備増強を,どうしても求めていかなければならないのではないか。

●フィリッピン,世界第2の電気料金下で生活しているとは

私たちはアジア第2の高い電気料金の国で生活していることに幸せを感ずる,と強烈な皮肉で始まるこの記事は,アロヨ大統領を,おばあちゃん,と愛称で呼び捨て,おばあちゃんの電気料金を値下げすることを約束したNAPOCOR,KWh4ペソから3.5ペソへ,そんなことをしてしまうと,シャツもパンツも脱ぎ捨てるようなもので,どうせおばあちゃんから補助金をせしめることになるだけだ,と悪口暴言で政府を批判している。


その他

●来週のシン首相のブータン訪問,まずは電力の交渉
●我がインドの科学者が,トリュームの活用に貢献
●ヒマシャルプラデシュ,192MWの水力開発,35000本の伐採


参考資料

2008年5月10日分

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●08010A Philippines, Inquirer
アジア第2の高い電気料金,透明性を確保せよ
Transparency and electricity
http://opinion.inquirer.net/inquireropinion/columns/view/20080510-135704/Transparency-and-electricity
●080510B Philippines, Manila Bulletin
世界第2の電気料金下で生活しているとは
Power pray
http://business.inquirer.net/money/columns/view/20080508-135307/Power-pray

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080510C India, Economic Times
我がインドの科学者が,トリュームの活用に貢献
Getting electricity from Thorium: N-deal in nation's interest
http://www.centralchronicle.com/20080508/0805281.htm
●080510D India, Economic Times
来週のシン首相のブータン訪問,まずは電力の交渉
Electricity to power regional diplomacy
http://timesofindia.indiatimes.com/India/Electricity_to_power_regional_diplomacy/articleshow/3026302.cms
●080510E India, Economic Times
ヒマシャルプラデシュ,192MWの水力開発,35000本の伐採
Deforestation in Kullu for the Allain Duhangan hydropower project
http://www.dailyindia.com/show/238111.php/Deforestation-in-Kullu-for-the-Allain-Duhangan-hydropower-project

環境一般

●080510F 温暖化,時事通信
2008/05/09-08:45 温暖化ガス削減の日本案「有効」=中国は不参加−国際ワークショップ
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200805/2008050900143&rel=j&g=eco


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月7日分 ーまさしく大統領宮殿の牧場である

「まさしく大統領宮殿の牧場である」,と言われているのは,首都圏マニラの配電を一手に握るメラルコである。国会議員の追求は厳しい,どうして電気料金が下げられないのか,その根幹に迫る発言が続く。分割民営化の道を歩みながら,NPCは,IPPを一手にオフテーカーとして引き受け,これの大部分をメラルコに売っているわけだが,この両者の結びつき,それに大統領宮殿が絡んで,一般庶民からの電気料金を吸い上げているというのだ。

なぜフィリッピンは電気料金が高いのか,最近の批判の中にも正鵠を射たものもあるし,電力セクターの運営そのものにも問題があるであろうが,それはやはり近代産業の立ち上がりが大きく影響していると思う。電気料金の安いところを見てみれば分かる,いずれも安価な国産石炭で経済成長を遂げた国,それはインドネシアであり,マモーの石炭火力のタイであり,北部の褐炭石炭火力のベトナムであり,更にインドも中国も石炭を大量に燃やして発展し続けている。

これに対して対照的な国は,カンボジアとフィリッピンである,もっと時計を巻き戻せば日本も入るし,更にスリランカもそうだろう。いずれも頼る石炭がなく,一時は安かった石油に頼って発電し,それに頼って経済成長を図ってきた。根本原因はそこにあるのだが,フィリッピンの場合には,経済成長が思ったように伸びず,高い電気料金が,政治にとって大きな重荷になってきている。

それだけに,相対的に電力セクターの豊かさが目立ち,政治家のターゲットになって,その反映ぶりがあまりにも目立ちすぎ始めた,と言うことか。一体どうすればよいのか。カンボジアは,恐らくタイの系統と繋いで将来を期待する方法がある。フィリッピンの場合は,果たして石炭火力を大量に導入するような余裕があるだろうか。議論があまりにも市場化に拘りすぎて,根本の効率的電源の導入に目が向いていない。


本文

●フィリッピン,野党上院議員,電力料金の鍵を握るのはNPCであると

何かもの凄いことになってきている。上院議員や野党からは,この高い電気料金の鍵を握るのはNPCだが,問題の根元は,アロヨ政権とマニラ配電MERALCOの結びつきだ,というのである。マニラ配電はロペス財閥がその株式の大きな部分を握っているが,マニラ配電はまさしく大統領給電のミルク供給の牧場と化している,と厳しい表現をとっている。

国会のエネルギー委員会が,この金曜日に関係者を招いて公聴会を開き,如何にして電気料金を下げるかについて議論が行われたわけであるが,NPC自身が主要なIPPを握っており,NPCこそが料金の鍵を握っている,と言うのである。それはまさしくNPCとMERALCOの政府所有の企業の結びつきであり,企業そのものを政府が握っていると,必ず不正が起こる,とも言っている。

このような声に対して,大統領はどう言っているのか,それは大統領顧問の口を通じて,電気料金問題の根幹はIPP契約にある,IPPの既存の契約を徹底的に見直すことが必要だ,と論点をすり替えるような主張になり始めている。

●インドのラメッシュ副大臣のミャンマー訪問,NHPCを助ける

待ってました,と言わんばかりの,アジア開発4人男の一人,インド,電力省副大臣,ラメッシュの登場である。先日も出ていたが,120万KW,イラワジ川上流のタマンティ水力プロジェクト,インドのNHPCが調査を行ったが,インドへ以て帰るのはとても無理である,と結論を出しかけている。ラメッシュが,近くミャンマーを訪問して,この問題でNHPCのために一肌脱ごうというのである。とにかく,最近着任以来,ラメッシュは難しいところに頭を突っ込んで解決してやろう,と言う意気込みを,純粋に期待してみよう。


その他

●ネパール,投資やODAが再び帰ってくることを期待
●フィリッピン,8000KWの水力入札,5社が新しい規定で現場説明会へ
●ラオス政府,水力発電で更にベトナムの協力を期待


参考資料

2008年5月7日分


フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080507A Philippines, ABS
野党上院議員,電力料金の鍵を握るのはNPCであると
Senate minority leader: Napocor holds key to lower power rates
http://www.abs-cbnnews.com/storypage.aspx?StoryId=117422
●080507B Philippines, Manila Bulletin
8000KWの水力入札,5社が新しい規定で現場説明会へ
5 firms bidding for Amlan hydropower
http://www.sunstar.com.ph/static/dum/2008/05/07/bus/5.firms.bidding.for.amlan.hydropower.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080507C Nepal, VOA News
ネパール,投資やODAが再び帰ってくることを期待
Nepal Looks to Investors, Donors for Economic Revival
http://www.voanews.com/english/2008-05-07-voa19.cfm

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080507D Myanmar, Live Mint
ラメッシュ副大臣のミャンマー訪問,NHPCを助ける
Ramesh’s Myanmar visit may aid NHPC
http://www.livemint.com/2008/05/06224249/Ramesh8217s-Myanmar-visit-m.html

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080507E Laos, Water Power Magazine
ラオス政府,水力発電で更にベトナムの協力を期待
Lao PDR looks to more Vietnam hydro co-op, Namet cascade
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectionCode=130&storyCode=2049582


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月6日分 ーつまらないことで感電死させる気か

「つまらないことで感電死させる気か」,感電死,電気処刑,と言う英語を初めて知ったが,そういって怒っているのは,フィリッピン,常に電力問題では顔を出す上院議員のエスクデロ氏である。夏が来て更に今年は内外のインフレ圧力で,アロヨ政権の電力料金に対する怒りが,毎日のようにサイトを賑わせている。エスカルゴ氏の怒っているのは,マニラ配電が,盗電などの損失,それもその上に付加価値税を付けて,一般需要家の請求書の中に入れている,と言うのである。

この高い電力料金の上に12%の付加価値税は止めてくれ,と言う声が高いが,アロヨ大統領は,敢然として,それはならぬ,その様なことをしたら高い電気料金の弊害よりももっと大きな弊害が出てくると。それはまあそうであろう。しかしそれにしても,電力改革が電気料金の低減に貢献し,電源への民間投資も誘発する,としてきたフィリッピン政府,この問題をどの様に始末するのであろうか。


本文

●フィリッピン,野党上院議員,電力料金低下を図れと,付加価値税は必要と

連日フィリッピンの電気料金問題が揺れている。昨日は,アロヨ大統領が自ら,マニラ配電の電力購入価格に言及,WESM,即ち電力取引市場からは買うな,12ペソは何が何でも高い,と言って,自ら自由か市場を否定した。今日は野党の上院議員エスクデロ氏,彼は電力問題では必ず名前が出るが,マニラ配電の料金徴収に異議ありと主張した。

いま問題になっている付加価値税であるが,盗電または技術的損失で請求できなかった電力料にも付加価値税を付けて,それを一般需要家の請求書に上乗せしている,というのである。マニラ配電は,78%の系統損失を需要家に請求し,それにも12%の付加価値税を付けているのである。燃料に対する付加価値税も問題になっているが,これは日本も似たような議論をしている。

●インド,ITのように電力分野で革命を起こせ,原子力など

インドの電力革命とも言うべき,米国との原子力協定,これを政党間の争いに持っていって混迷を深めていることは,将来のインドの長いスパンを見つめたときに,大変に残念なことだ,と嘆いている。原子力燃料確保の問題に及ぶわけである。米国との協定が野党によって批准拒否されたとき,シン首相は辞めるのではないか,と噂が飛んだこともある。

2020年までには6〜7%の電力を原子力で賄う計画であり,1200万KWの新規開発を見込んでいる。インドのIT産業もそうであったように,必ず海外との強調がなくては円滑に進まなかったはずだ,原子力に於いておや,と筆者は嘆いている。


その他

●インドネシア政府,補助金問題を抱え,燃料費値上げを示唆
●フィリッピン,大統領府,電力への付加価値税免除要請を拒否
●フィリッピン,マニラ配電,第1四半期,655百万ペソの純益


参考資料

2008年5月6日分

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080506A Philippines, Manila Bulletin
マニラ配電,第1四半期,655百万ペソの純益
Meralco posts P655-M Q1 net profit
http://www.mb.com.ph/BSNS20080506123745.html
●080506B Philippines, Manila Bulletin
大統領府,電力への付加価値税免除要請を拒否
EVAT on electricity stays
http://www.mb.com.ph/MAIN20080506123749.html
●080506C Philippines, Manila Bulletin
野党上院議員,電力料金低下を図れと,付加価値税は必要と
Cut power costs, scrap tax on systems loss ? Escudero
http://www.mb.com.ph/MAIN20080506123752.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080506D India, Economic Times
インド,ITのように電力分野で革命を起こせ,原子力など
Like IT, India can revolutionise the power sector
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Like_IT_India_can_revolutionise_the_power_sector/articleshow/3012518.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080506E Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア政府,補助金問題を抱え,燃料費値上げを示唆
Govt plans 'limited' increase in fuel prices
http://www.thejakartapost.com/news/2008/05/05/govt-plans-039limited039-increase-fuel-prices.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月5日分 ーバイオ開発を進める勇敢な国

「バイオ開発を進める勇敢な国」,それはASEANが注目しているフィリッピンの取り組みを,マニラブリテン自そう評したのである。フィリッピンが注目されていることは知らなかったが,関連資料を読んでみると,なかなか大変なようだ。このフィリッピンのバイオ燃料法の成立に当たっては,内外の激しいロビー活動が行われたようだ,どうしてフィリッピンに矛先が向いたのか,フィリッピンはすぐ法律を作ってしまうからか。後ろに出てくるジュノの意見を引用させて下さい。

「バイオ燃料法は,エネルギー業界やバイオエタノール混合ガソリンで走る車の売り込みを狙う米国フォード,原料市場拡大の利益に与ろうとする農業界などの激しいロビー活動を通じて実現したものだ。必ずしも人間の健康や環境への配慮だけがバイオ燃料法制定の動機ではなく,食糧安全保障や環境を脅かという批判も免れるものではなかった。「農民はいまや、バイオジーゼルのためのココナッツを増産しろとの政府の要求のためにお互いに競い合っている」。農民がナイオ燃料需要を満たそうとして大量の森林破壊に突進するかもしれないと恐れている。などと書かれている。

バイオ燃料は,それぞれが地球のために頑張っている,と言う自己満足で十分で,地球規模で大々的にやるものではない,と言うのが私の感想。それは,地球を面で使うエネルギー,例えば太陽光や風力にも同じことが言える,エネルギーは集中して一点で強力に生み出すべきで,それによって地球規模の環境攪乱から逃れられる。


本文

●ベトナム,電力不足が深刻,デルタの産業や人々,いらいら

どうしてベトナムはこうなってしまったのだろう,あれほど一生懸命に電源開発を行い,日本政府,JBICも随分力を入れていたのに,それも世界銀行などが民営化を理由に電源開発から手を引いて行く中で,一時はカンボジアへの電力供給は任しておけ,みたいな感じだった。どうも私は二つの原因があると思う。民間資本による電源開発が中途半端だったことと,もう一つは水力開発の問題がある。

記事によると,特にメコンデルタでは厳しいようだ。主要都市カントーでは毎日13時間の停電,いまが一番熱いときだが,クーラーなしで工場が操業せざるを得ない状況とか。米の値段の値上がりが原因,と書いてあるが,これはよく分からないですね。この1月〜3月の需要の伸びは,昨年同期の19%伸びを示しており,これに対して電源の伸びは15%だそうだ。

水力開発については,約200万KWの旧ソ連が開発したホアビン貯水池計画で,私も少し納得できないところが以前よりあった,どうも池容量に比べて設備規模が大きすぎるのではないか,その後の水力開発でも,どうも設備の潜在化が激しいように思う,今後の大規模水力には,設備規模の見直しが必要ではないか。また,民間開発の電力を,高い値段でEVNが買わされている,ここにも系統計画の上で問題があるのではないか。

EVNのホームページ
http://www.evn.com.vn/default_e.asp
ベトナムの電力の長期計画
http://www.cpbjlf.com/electric/EVN/EVNPLAN.htm
みずほ銀行,ベトナムの電力不足分析
http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/asia-insight/asia-insight060928.pdf

●ASEAN諸国,フィリッピンのバイオの行くへを見つめている

私はフィリッピンは法律を作るのが大変に得意だと思う,何でも法律にしてしまう,法律が出来たら仕事が終わった,という感じで法律を作って行く,勿論それは日本でも同じだが,作った法律のフォローの体制に問題があるか,法律を作るときのシミュレーションに問題があるか,どちらかだろう。電力改革の方は明らかにシミュレーションに問題があったように思う,電気料金は安くなる,民間が電源開発はどんどんやる,と言う。

フィリッピンのバイオ燃料開発がそんなに問題になっているとは知らなかったが,記事によると,これもまず法律が先行したようだ。2006年のバイオ燃料法,と呼ばれているらしい,それは運輸方面での活用が主眼で,ココナッツが原料である。いま,フィリッピンでも問題になっているのは,やはり燃料か食糧か,と言うことらしいが,バイオは大規模にやるものではない,と言う私の思いは変わらない。

フィリッピン,エネルギー省のバイオ燃料の解説ページ
http://www.doe.gov.ph/AF/CME%20Utilization%20-Exec%20Summary.pdf
フィリッピンのバイオ,日本語の解説ページ
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/energy/news/07051101.htm

●080504C India, Economic Times
インド送電公社海外進出加速,最初はミャンマー
PGCIL to set up transmission lines in Myanmar
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/PGCIL_to_set_up_transmission_lines_in_Myanmar/articleshow/3009225.cms

中国の国家電網も懸命になって海外のプロジェクトを手がけ,最近ではフィリッピンの国家送電公社の25年間運営委託を勝ち取ったばかり,まだ国会の承認待ちの状態であるが,インドの国家送電公社も,いよいよ海外へ向かい始めた。最初のテストケースがミャンマー,これは中国との勝負になってくる。インドでは,送電の役割が大きくなってくるが,同じ民営化でも,フィリッピンの場合は,誰が主役か分からなくなってきている。

インド国家送電公社のホームページ
http://www.powergridindia.com/powergrid/

●中国,石炭火力への燃料供給,厳しくなってくる,代金が払えない

中国の電力分野,特に石炭火力の燃料供給に於いて構造的な弱点が存在する,と政府の中枢が認めている。それは,電気料金を低く抑えられた電力が,石炭に対して市場価格では払えない実態が生じてきているからだ。今年の夏は,オリンピックが重なって,1000万KWの電力不足が生ずると見られている。結局,インフレ懸念の政府の電気料金抑制策が,いつまで続くか,一つの中国の経済のポイントではある。

中国,発展改革委員会のホームページ
http://en.ndrc.gov.cn/

●カンボジア,14に水力プロジェクト,資金を求めている

カンボジアは決して水力には恵まれていない,だからこそ小さい地点を集めて開発することになるが,14地点で185万KW,32億ドルとされている。しかしその中には,メコン本流開発のサンボールが含まれている。カンボジアの担当者も,もしサンボールが出来るとするならば,それは上流のラオスが本流開発を実施したときだ,と言っている。

カンボジアの投資委員会のホームページ
http://www.cambodiainvestment.gov.kh/?q=ab_whowe


参考資料

2008年5月4日分

ベトナム
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080504A Vietnam, Thanh Nien News
電力不足が深刻,デルタの産業や人々,いらいら
Power outages frustrate Delta businesses, residents
http://www.thanhniennews.com/society/?catid=3&newsid=38235

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080504B Philippines, Manila Bulletin
ASEAN諸国,フィリッピンのバイオの行くへを見つめている
Asean looks at RP as ‘test case’ in implementing biofuels policy
http://www.mb.com.ph/BSNS20080504123544.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080504C India, Economic Times
インド送電公社海外進出加速,最初はミャンマー
PGCIL to set up transmission lines in Myanmar
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/PGCIL_to_set_up_transmission_lines_in_Myanmar/articleshow/3009225.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080504D China, Steel Guru
石炭火力への燃料供給,厳しくなってくる,代金が払えない
China faces thermal coal supply challenge -NDRC
http://steelguru.com/news/index/2008/05/04/NDQyNDI%3D/China_faces_thermal_coal_supply_challenge_-NDRC.html

カンボジア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Cambodia.htm

●080504E Cambodia, Monsters and Critics
カンボジア,14に水力プロジェクト,資金を求めている
Cambodia seeks billions of dollars for 14 hydropower dams
http://www.monstersandcritics.com/news/business/news/article_1403322.php/Cambodia_seeks_billions_of_dollars_for_14_hydropower_dams


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月3日分 ーマニラ配電は市場から電気を買うな

「マニラ配電は市場から電気を買うな」,と指示したのは,電気料金の低減を国民に約束した,フィリッピン,アロヨ大統領その人である。電力公社はマニラ電力に対して,9.7セント相当以上でマニラ配電に売るな,と命令したのであるが,9.7セントそのものがアジアではとんでもない高い料金で,これがルソン農村部の人々が組合を通じて買っている値段である。

電力取引市場では,夏になるとピーク時は20セント以上の高値になる,これを買うなというアロヨ大統領には大きな矛盾がある。電力改革は何のためにやるのか,それは競争を生み出すことによって電力料金を安くして,投資や産業を育成するための経済政策の基本だ,として進めてきたのである,それはアロヨ大統領が進めてきたのである。供給力の足らないところでの競争市場がどうなるのか,私のメールの読者はよく知っている。このメールを一般に公開したのは丁度1年前であるが,その当時のフィリッピンの電気料金に関する問題を論じていた,再録する。

2007年5月12日の私のメール内容,「フィリッピン,電気料金のスポット市場価格,2ペソも上昇・・・・・KWh当たり円換算で,3月末に15.1円であったWESMの電力取引値段が,この4月では一挙に円換算20.4円に上がったという。それぞれの発電所の詳細が記事にでているが,急騰の主たる原因は,燃料費の安い石炭火力が燃料不足が動かず,供給力不足が起こったことにあるという。フィリッピンの国民は,従来より高かった電気料金が,電力分野の改革,すなわち分割民営化で安くなると教えられてきたのに,ここに来て裏切られたわけである。需給が安定していない状況での電力自由化は,決して電力料金低廉に貢献しない,逆に混乱を招くと言うことは,我々がカリフォルニアで経験したことである。」,と。


本文

●フィリッピン,アロヨ大統領,ルソン系統の電力料金削減を求める

アロヨ大統領の政権での約束は5つあると言う,一つ,食糧確保,二つ,近代インフラ構築,三つ,科学技術教育,そうして四つが,共産系武力グループの排除。最大の約束は,アジアでもっとも高い電気料金の低減である。再び三度,アロヨ大統領は演説で電気料金に触れ,ERCの権限なので自分では如何ともしがたいが,電力公社NPCからマニラ配電MERALCOへの買電単価を下げてくれ,と懇願した。

記事によると,NPCからMERALCOへの買電単価を,少なくとも他の配電組合並みのKWh当たり4.11ペソ(約9.716セント)にしてくれ,と言っている。9セントはアジアの料金でも飛び抜けている。大統領は続けて,電力取引市場WESMからの買電,6ペソから10ペソ,これは14.184セントから実に24.643セントに匹敵するが,これだけは止めて欲しい,と懇願している。

冷たいのは電気料金に関する全権を握る電力規制委員会ERCのアルバノ委員長である,答えて曰く,「それは電力法に定められた規定であり,大統領と言えどもこれを強制することは出来ない。」,と冷たく言い放ったいるが,この5月6日には大統領から意見聴取することになりそうだ。当のMERALCOは,大統領の発言をよく吟味してみたい,と真摯に受け止める発言をしている。

MERALCOのホームページ
http://www.meralco.com.ph/
WESMのホームページ
http://www.wesm.ph/
電力規制委員会ERCのホームページ
http://www.erc.gov.ph/

●ADB総会,マドリッド,食糧高騰で緊急支援=貧困国に低利融資

その役割を問われているADB,黒田総裁が,大きく舵を取った。彼は,「的を絞った支援策が食糧高騰の影響軽減に有効だ。」,として,バングラデシュやタジキスタンなど,3倍以上に値上がりした米に対して,それそれの政府に補助金支出のための低利融資を行うことを明言した。果たしてこれが,ADBの標榜するような貧困削減へと繋がるのか,どこかで消えないように,誰かの目が必要だろう。

ADBのホームページ
http://www.adb.org/


その他

●インド,ビハールでインドとネパールのフォーラム,インドは神経質
●高村外相がパキスタン入り


参考資料

2008年5月3日分

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080503A パキスタン,時事通信
高村外相がパキスタン入り
http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=pol_30&k=2008050300065

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080503B Philippines, Manila Bulletin
アロヨ大統領,ルソン系統の電力料金削減を求める
Arroyo wants electricity costs in Luzon lowered
http://www.abs-cbnnews.com/storypage.aspx?StoryId=116959

ODA一般


●080503C ADB,2008/05/03-20:15 時事通信
食糧高騰で緊急支援=貧困国に低利融資−アジア開発銀
http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2008050300313

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080503D Nepal, Nepal Times
ビハールでインドとネパールのフォーラム,インドは神経質
People power to hydropower
http://www.nepalitimes.com/issue/398/Nation/14755


ー 日刊アジアの開発問題 2008年5月2日分 ーダム?そんなものはここにもあそこにもある

「ダム?そんなものはここにもあそこにもある」,ヒアアンドヒア,と叫んだのは,アジア開発4人男の一人,タイのサマック首相が,是非ともダム開発に参加させて欲しい,と発言したときに,ミャンマーのナンバーワン,タンシュエ将軍が発した言葉である。サマック首相は,ミャンマーを公式訪問したときの経験や逸話を最大限に使って,タイの開発意欲を刺激している。

一方で,イラワジの上流,マンダレーの北で,中国企業が開発に参加している60万KWシュエリ水力では,雨期に入って事故が起きたらしくて,崩壊した堤防の修復に,近隣の村落から350人の農民が,軍隊の指揮で駆り出されて問題になっている。


本文

●タイ,サマック首相の訪問でミャンマーでのビジネスに希望

アジア開発4人男,その一人はタイのサマック首相,他は誰でしたっけ。インドネシアのカラ副大統領,インド電力省のラメッシュ副大臣,そして今度新たに加わったネパール毛派の頭領プラチャンダ,この4人でしたね。今日の記事では,サマック首相が,対ミャンマー外交を自画自賛,中国と並んで,タイが,ミャンマーの水力開発と天然ガスを引き受ける,と明言している。

サマック首相が3月にミャンマーを訪問して,ナンバーワンのタンシュエ将軍と会見した際の将軍の言葉が引用されている。サマック首相が,ダム開発を引き受けたい,と言ったときのタンシュエの言葉,「あなたはいつでもそれが出来る,それあそこ,それここ,どこにでもダム地点が転がっていますよ。」。

●ミャンマー,中国との協力,シュエリ水力,村人350以上が強制労働

シュエリ水力,有名なイラワジ支流,マンダレーの北部に開発される60万KWのダム式の水力発電プロジェクトである。乾期が終わったところであるから,何か出水によって事故が起こったのか,堤防の修復に5村落から350人がその修復に,軍隊の命令によって駆り出されたようだ。それをNGO,人権団体が批判している。問題は,プロジェクトが中国企業との合弁であることにもあるのだろう。

●インドネシアの石炭,国内使用が輸出を超える

クラッシュプログラム,2010年までに1000万KWの石炭火力を開発する,それは当然,インドネシアの石炭輸出に大きく響くことは,容易に想像できる。現在の輸出量は,年間1.5億トンであり,政府はこれを上限として今後は輸出を増やさない,と決めているので,クラッシュプログラムが進展するに従って,2015年から20年には,国内需要が1.7億トンとなって,輸出を国内需要が追い越すことになる。

因みに,インドネシアの石炭確認埋蔵量は67億トンと言われており,世界的にはそんなに多くのポテンシャルを持っているわけではない。2009年には飛躍的に国内需要が伸びて,9億トンになると予想されている。石炭は今後,むしろ世界的な視点は,オーストラリアに移って行くだろう。


参考資料

2008年5月2日分

ミャンマー

●080502A Myanmar, Energy Tribune
タイ,サマック首相の訪問でミャンマーでのビジネスに希望
Thailand Says Burma Open for Business
http://www.energytribune.com/articles.cfm?aid=878
●080502B Myanmar, UNPO
中国との協力,シュエリ水力,村人350以上が強制労働
Shan Sino-Burmese Dam Project Force Villagers to Work
http://www.unpo.org/content/view/8086/143/

インド

●080502C India, Economic Times
インドのインフラ企業HCC,ティースタ水力の工事を落札
HCC bags Rs. 303 crore Teesta Hydro Electric Power Project order
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/HCC_bags_Rs_303_crore_Teesta_Hydro_Electric_Power_Project_order/articleshow/2998904.cms

インドネシア

●080502D Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアの石炭,国内使用が輸出を超える
Domestic coal consumption to exceed exports
http://www.thejakartapost.com/news/2008/04/30/domestic-coal-consumption-exceed-exports.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月30日分 ー車で走るか食べるかどちらかにせよ

「車で走るか食べるかどちらかにせよ」,と言ってバイオ燃料を批判しているのはカタールのアティーヤ石油相である。私もバイオ燃料はおかしいと想っている論者の一人であるが,しかしOPECからそれは言われたくない,と言う感じがする。ダム反対のNGOをOPECが支援している,と言ううわさ話はあるが,ここまで鎧を見せてしまうと,本音を疑いたくなる。

アジア開発4人男の一人,タイのサマック首相は,世銀と国連に対して,なぜバイオだけを標的にするのか,それならOPECの原油の価格についても,当然,世銀などが一言あるべし,と噛みついたが,そのサマック首相,今日の記事では,「これから選挙を行うミャンマーの民主化は50%」,と批判している,スーチーさんが選挙に参加して初めて100%だそうだ。
、見直しが必要だとの考えを示した。


本文

●バイオ燃料に懐疑論強まる,食糧危機に拍車も

これは当然の考え方だと想う。誰かが地球の隅っこで小さく楽しむにはよいが,世界規模でこれを開発しようなどと言うことは,これは地球のバランスに明らかに混乱が起こることは,早くから議論してきたところである。しかしこの記事の問題は,ブラウン英国首相が言うのはいいが,どうして石油輸出国機構(OPEC)に加盟するカタールのアティーヤ石油相がそういうことを言わねばならないのか,彼は関係ないではないか。

世界的なダム反対運動を支援しているのはOPECである,と言う話はよく言われているところであるが,OPEC幹部自身がそれを口にしたことはない。しかしここで,図らずもカタールのアティーヤ石油相から本音が出た,と言うか,衣の裾からつい鎧が見えた,と言うところか。それにしても,これは見え見えの発言ではある。

●ADB,マドリッドの総会で,食糧危機を議題に

ADBの役割論が問題になっているいま,NGOなどの矛先がADBの貧困削減の政策批判に向かっている。ADBはこの週末にマドリッドで開かれる年次総会で,食糧問題に対決する姿勢を打ち出すことで,自分たちの方向を見極めようとしている。この記事では,食糧の値上がりの原因を,エネルギーの高騰,従って肥料の高騰,世界的な需要の増大,渇水,バイオ燃料のブーム,食糧の先行き高騰感,にあるとしている。バイオがだんだん悪ものになってきた,時代の変わり目は早い。

●タイ,EGAT,ラオスの水力の遅れで,代替案準備を視野に

ラオスの水力が,送電線の費用の高騰で,遅れる可能性が強く,EGATは2013,2014年に15%の予備力率を下回る可能性が出てきた,と心配している。遅れるのは,関西電力のナムニエップ261MW,丸紅などの440MWナムグム3,マレーシア企業の523MWナムテン1などと言われている。しかし,ラオス,ホンサ石炭火力1,653MWは順調としている。


その他

●パキスタン,国会上院,WAPDAが220万KW緊急電源準備,説明を受ける
●フィリッピン,ロペスグループ,MERALCOの株式持ち分増加に懐疑的
●ネパール,政権に近い毛派,経済改革の10年を目指し,世界銀行と会談


参考資料

2008年4月30日分

タイ
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080430A Thailand, Bangkok Post
EGAT,ラオスの水力の遅れで,代替案準備を視野に
Egat looks to compensate for delayed projects in Laos
http://www.bangkokpost.net/Business/30Apr2008_biz31.php

電力一般

●080430B EU,2008/04/29-15:34 時事通信
バイオ燃料に懐疑論強まる=食糧危機に拍車も
http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=int_30&k=2008042900243

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080430C Pakistan, Daily Times
国会上院,WAPDAが220万KW緊急電源準備,説明を受ける
Senate question hour : ‘Govt working on generating 2,200MW on emergency basis’
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C05%5C01%5Cstory_1-5-2008_pg7_19

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080430D Philippines, Manila Bulletin
ロペスグループ,MERALCOの株式持ち分増加に懐疑的
Lopezes not hiking stake in Meralco
http://www.mb.com.ph/BSNS20080501123267.html

ODA一般

●080430E ADB,Manila Bulletine
ADB,マドリッドの総会で,食糧危機を議題に
ADB holds annual meeting in Madrid amid food crisis
http://www.mb.com.ph/BSNS20080501123266.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080430F Nepal, The Hindu
政権に近い毛派,経済改革の10年を目指し,世界銀行と会談
Economic revolution next, say Maoists
http://www.hindu.com/2008/05/01/stories/2008050155641400.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月29日分 ー「アンソリシティッド」,と言う言葉

「アンソリシティッド」,と言う言葉は,一般の英語では,押しつける,と言うような意味に解されるが,我々が開発問題を論ずるときには,企業が自ら発案して提案したプロジェクト,という意味で使われ,逆に,ソリシティッド,と来ると,政府または公共事業体がプロジェクトを形成してこれに参加する企業を競争で入札,選定する意味に使われる。

アジアで民間開発が始まった頃は,殆どのプロジェクトが前者のソリシティッドで,提案した企業が自らそのプロジェクトの培養,着工,運営に当たる例が多かった。しかし最近は,発憤した政府側は,インドネシアにしてもタイにしても,実態はともかく形態は,政府がプロジェクトを形成し企業に入札を求めている。

我々計画の畑を歩いてきた技術者にとっては,アンソリシティッドが自分たちの理想であり夢であり,それに向かって日夜アジアの地図とにらめっこしながら,その国の経済実態にあったプロジェクトを形成し政府に提案することに,無上の喜びを感ずる。大きなプロジェクトを仕掛けることだけが我々の夢ではなく,提案したプロジェクトが,全く好点に置かれた囲碁の石のごとく,ぴったりとはまった時こそ,至上の喜びを感ずるものである。


本文

●マレーシア,JBICとの間で,バクン発電所の海底送電線で協議

サラワクのバクーン発電所,少し大きいものを造りすぎて,もてあましている感じ。最初はアルミ工場を造るつもりだったのだろうが,周囲の条件が許さなかった,そこで引けずにここまで来てしまって,これ以上続けるためには,海底送電線でマレーシア半島に持ってこなければどうにもならなくなってしまった,というのが実情だろうが,問題はこれからだろう。

何しろ,240万KWと言う図体の大きさ,それも2010年6月には完成するところまで費用を注ぎ込んでしまったわけであるから,それも32億リンギット,10億ドル相当を越す投資であるから何とかせねばならない,しかしながら,676kmの海底直流送電で9億リンギット,約3億ドル近い送電費用を注ぎ込んで,240万KWのうち160万KWを半島に送る必要がある。政府も,現時点で幾らの電気料金,とははっきり言えない,と口を濁している。

バクーンダム,ケーススタディ
http://www.idsnet.org/Resources/Dams/Bakun/BakunDam.html

●フィリッピン,世界銀行幹部,水力開発支援で,毛派のプラチャンダらと会談

アジア開発第4の男,ネパール,毛派の首領,ネパールの荒くれ男,プラチャンダ,11人の世界銀行の大デリゲーションがコイラ首相とは別の席を設けて会談,時代は変わった,と言う感じである。コイラ首相に対しては,引き続き貧困削減に向けて支援する,と約束したのに対して,まもなくその席をプラチャンダに譲るコイラ首相は,是非とも水力開発支援を,と頼んだようで,世銀はプラチャンダに対して,それを約束したようだ。


その他

●インド,アッサム州の産業界,もし電力が十分ならば,投資は増えるだろう
●インドネシア,石炭の需給に悩むPLN,供給遅れに対して罰金制度を
●フィリッピン,マニラ水道局MWSS,在シンガポール企業からカリワダムの提案を受ける

参考資料

2008年4月29日分

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080429A Philippines, Manila Bulletin
マニラ水道局MWSS,在シンガポール企業からカリワダムの提案を受ける
MWSS gets Kaliwa water supply bid
http://www.mb.com.ph/BSNS20080429123059.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080429B Nepal, The Himalayan Times
世界銀行幹部,水力開発支援で,毛派のプラチャンダらと会談
World Bank Directors Meet PM Koirala, Prachanda
http://www.thehimalayantimes.com/fullstory.asp?filename=6a1Va7tfo2am8&folder=aHaoamW&Name=Home&dtSiteDate=20080429

マレーシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Malaysia.htm

●080429C Malaysia, BERNAMA
JBICとの間で,バクン発電所の海底送電線で協議
Talks On Loan For Bakun Submarine Transmission Cables
http://www.bernama.com.my/bernama/v3/news_lite.php?id=329460

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080429D India, Economic Times
アッサム州の産業界,もし電力が十分ならば,投資は増えるだろう
Steady power supply must to woo investors
http://www.assamtribune.com/scripts/details.asp?id=apr2808/at02

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080429E Indonesia, The Jakarta Post
石炭の需給に悩むPLN,供給遅れに対して罰金制度を
PLN to charge late coal providers to secure supply
http://www.thejakartapost.com/news/2008/04/28/pln-charge-late-coal-providers-secure-supply.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月27日分 ーインド政府にとっては驚きであった

「インド政府にとっては正直驚きであった」,と率直に語ったのは,インド北東部,ビハール州の州都パトナ,古代インドのモーリャ王朝の王都であった旧名パタリプトラ,ここで開かれたセミナーの席上で,45人のネパール代表団を前に講演したインド中央政府首相名代のクマール氏であった。ネパールの毛派の圧勝について率直にその様に表現した後,「それは決して不愉快なものではなかった」,と続けている。

ビハール州は,人類最後の戦い,ポスト京都の目玉,インド北辺の水力開発の最前線であるが,同時に,毛派が制するネパールの水力開発の前線基地でもある。ネパールとの国境沿いの,しかもインド側に,1500kmの高速道路を建設する,と言うのであるから,これは大変な衝撃的なプロジェクトでもある。ネパールとしては,ネパール領域内に入れてくれ,と言いたいところだろう。

ブータンとインドの国境はどうして決まったか,それはブータンの山の中から石を投げても届かないところに国境線が引かれたのである。ブータンとの国境沿いのインド領内には道路が整備されているが,ブータン側には川を渡るにも橋がない,乾期は車は川の中に入って走って行くが,一般には目の前に走るインドのハイウエーを使うことは出来ない。我々も,一旦そこでインドに出てしまうと,ビザがなくなるから,ブータンの首都ティンプーに帰れなくなってしまうのである。

今回のセミナーで,45人のネパール大デリゲーションを率いてきた毛派に属する(と思われる)公共事業大臣ヨミ女史は,国境沿いにインドが道路を造ってあげる,と言ったとき,冷静に,「有り難う」,と答えていたが,本心はどうなのだろう,当然大きな警戒心を抱いたに違いない,いつでも即座に国境沿いにインド正規軍を動員できる訳だから。


本文

●インド,ラメッシュ副大臣,州の水力と火力,ガドギル公式,見直すべきと

ガドギル公式,よく分からないが,何か電源地元と他州への電力の配分で,地元を軽視した法則があるようだ。このようなことで紛争が起きているとは知らなかったが,本当にインドらしい問題である。そこで出てきたのが,アジア開発3人男の一人,インドの電力省副大臣ラメッシュ氏である。彼はNTPCを訪ねて会議に臨み,地元州の優位性を主張してこの談話を発表した。

結局,紛争の起こったビハール州をラメッシュが訪問して,州の首相と話し合うことになったが,ラメッシュ氏は,まず地元州が中央が建設した発電所でも,電力配分の優先権を電源地元州が持つべきで,特に発電所から半径10〜12kmの範囲内にある人は,絶対の優先権を持つべきだ,と述べている。結構技術的には難しい問題なのだが,さすがアジアの3人男の一人,ラメッシュ氏は思いきった案でまたしゃしゃり出てきた。

●インドネシア,PLN,中国企業と888百万ドルに上る発電所建設の契約

インドネシアのクラッシュプログラム,2010年までに10地点の石炭火力,合計出力690万KWをジャワ島に,残りを外島で開発し,合計1000万KWを新規に開発する計画であるが,その資金調達には,中国の協力があるとはいえ,結構苦労しているようだ。エネルギー省のヨゴ本部長の話では,総額83億ドルの中で,現在までに60%が調達完了であるに過ぎない,中国銀行もなかなかねばり強い。

対象プロジェクトの資金調達状況が示されているが,大きなところで中国からの資金調達が決まったものは,ジャワ,インドラマユ地点900MW,12億ドル,ラブアン地点600MW,11.8億ドル,スララヤ地点600MW,7.35億ドル,などがある。

●インド,国境沿いに1500kmの道路建設,水力開発のため

人類最後の挑戦の最前線,インド北東部,ビハール州の州都パトナ,古代インドのモーリャ王朝の王都であった旧名パタリプトラ,ここでインドとネパールの今後に関して議論するセミナーが行われ,ネパールからも,公共事業大臣のヨミ女史(文章からして毛派の大臣のように書かれているが)他45人の役人や政治家が参加した。

インドを代表しての首相名代サラン氏は,「正直言ってインド政府はネパールの選挙結果に驚いている,しかしそれは決してインド政府にとって不愉快なものではなかった。」,と微妙な言い回しでネパールの平和を讃えたが,何と言っても圧巻は,ビハール州政府首相クマール氏が示唆した計画である。それは,インドとネパールの国境沿いに1500kmに及ぶ高速道路を建設するというものである。

セミナーの雰囲気はよく,ネパール代表のヨミ女史も,「有り難う」,と冷静に答えていた。勿論これは人類最後の戦い,ネパールの国境沿いに広がる水力開発のためではあるが,同時に国境沿いにいつでも軍隊を機動的に配置できる軍用道路でもあることになる。メコンの南北回廊は中国正規軍の南下に寄与する,と言う人もいるが,これまでのインドとネパールの関係から見て,大変な計画ではある。


その他

●パキスタン,水資源大臣,ニールムジェールム水力は,8年以内に完成させるべき
●インド,J&K州アザド首相,4〜5地点の新規水力開発を計画


参考資料

2008年4月27日分

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080427A Pakistan, APP
水資源大臣,ニールムジェールム水力は,8年以内に完成させるべき
Neelam Jhelum hydropower project to be completed in 8 years: Raja Pervaiz
http://www.app.com.pk/en_/index.php?option=com_content&task=archivecategory&year=2007&month=11&module=1

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080427B India, Economic Times
インド,国境沿いに1500kmの道路建設,水力開発のため
India to build 1500 km road alongside border
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=145261
●080427C India, Economic Times
ラメッシュ副大臣,州の水力と火力,ガドギル公式,見直すべきと
Gadgil formula be reviewed: Jairam
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Gadgil_formula_be_reviewed_Jairam/articleshow/2986335.cms
●080427D India, Economic Times
J&K州アザド首相,4〜5地点の新規水力開発を計画
Four to five more power projects to be executed in J&K: Azad
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Four_to_five_more_power_projects_to_be_executed_in_JK_Azad/articleshow/2986

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080427E Indonesia, The Jakarta Post
PLN,中国企業と888百万ドルに上る発電所建設の契約
PLN signs $888m power contracts with Chinese firms
http://www.thejakartapost.com/news/2008/04/26/pln-signs-888m-power-contracts-with-chinese-firms.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月25日分 ーベトナムの子供の遊び場がマンハッタンに

「ベトナムの子供の遊び場がマンハッタンに」,全くアメリカ人も口が悪い,中国がラオスのビエンチャンに進出,5万人の移住計画で大規模な中華街を建設したという,いまやラオスは全く経済的には中国の影響下に入りつつある。タイもベトナムも気が気でないであろう,遠く離れた日本人の我々も,ラオスへの影響力が大きかっただけに,何かを失いつつあるような気持ちにさせられる。最近はラオスには行っていないので,すごい様変わりをしているのであろう。

カンボジアも,その和平を積極的に支援したのは日本であり,日本がカンボジアの復興を成し遂げた,と思っているのに,フンセンに,「日本は中国に比べてカンボジアへの投資が少ない」,などと言われる時勢である。しかし私は,恐らくラオスに対してもカンボジアに対しても,必ず日本の出番が来るものと思っている。それは,いまのインドが石炭火力の高度化を日本に求めているように,ラオスやカンボジアの熱が冷めた頃,必ず彼らは日本の技術を求まるときが来るに違いない。


本文

●日本と中国,メコン川流域開発で互恵関係確認

今年の初めに,高村外務大臣がメコン下流諸国を招く形で,東京でメコン沿岸諸国会議が開催され,5億円を通じてのメコン東西物流支援を約束した。3月の終わりには大メコン圏諸国の首脳会議がビエンチャンで開催され,温家宝首相の独断場で中国のメコン南北回廊に対する支援がアピールされた。あまりにもバラバラではないか,と誰しも思ったわけで,これでは世界に対して格好が悪い,と言うわけで北京で日中会談となった,と私は考えるがどうであろうか,日本側の持ちかけなのであろう。

●小切手帳を手に,中国がラオスとカンボジアに仕掛ける外交

エール大学の調査報道か,長文である。でも英語とはこのように書くものか,と思わせるほど米国人の皮肉が珠玉の言葉で連ねてある。ラオス,ビエンチャン,5万人の中国人が首都の近くに中華街を構築し,「ベトナムの子供の遊び場であったビエンチャンがマンハッタンと化しつつある」。1988年にカンボジアのフンセン首相が書いたエッセイでは,「カンボジアの悪の根元こそ中国である」,書かせたその中国が,いまやカンボジアの経済成長を支えている,しかも,「西欧の支援とは違って,民主主義の押しつけや行政のガバナンスは全く問題にせず」,にである。これはもっともっと読み進めたいが,少し長いので後回しにする。

●ADB,インドの400万KW高効率化に450百万ドル支援

ADBもインドの石炭火力に乗り出してきた。先日はJICAが,石炭火力の効率的運用を目指して開発調査を行うべく,予備調査団の役務提供を公募したばかりである。ADBの担当官は日本人のコイケさんである。彼は,インドはこの先の見通しのきく間では,石炭に頼るしか方法がない,何としてでもインドの石炭火力の高効率化を目指すことが,現時点に於ける最大の貢献である,と。従来の効率34%〜36%であったものを,44%に挙げることが目標と言っている。超臨界のことかな。


その他

●インド,遅れて工事費増の35万KWドルハスティ水力,シン首相が起工式
●インド,タタ電力,グジャラートの400万KW火力,42億ドルでコンソーシアム


参考資料

2008年4月25日分

ラオス

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080425A メコン,2008/04/25-21:49  【北京25日時事】時事通信
メコン川流域開発で互恵関係確認=日中
http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=eco_30&k=2008042501216
●080425B Mekong, Yale Global
小切手帳を手に,中国がラオスとカンボジアに仕掛ける外交
China Ascendant ? Part I Checkbook diplomacy raises China’s standing with Laos and Cambodia
http://yaleglobal.yale.edu/display.article?id=10702

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080425C India, Economic Times
タタ電力,グジャラートの400万KW火力,42億ドルでコンソーシアム
Tata Power ties up debt for $4.2 bln project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Tata_Power_ties_up_debt_for_42_bln_project/articleshow/2981175.cms
●080425D India, Economic Times
遅れて工事費増の35万KWドルハスティ水力,シン首相が起工式
PM to dedicate 350-MW Dulhasti power project to nation
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/PM_to_dedicate_350-MW_Dulhasti_power_project_to_nation/articleshow/2981662.cms
●080425E India, Economic Times
ADB,インドの400万KW高効率化に450百万ドル支援
ADB lends $450 million for Indian power project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/ADB_lends_450_million_for_Indian_power_project/articleshow/2982157.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月24日分 ー第4の男はネパールの荒くれ男

「第4の男はネパールの荒くれ男」,ネパール,今度の選挙で政権の主導権を握ることになった毛派の指導者プラチャンダ,この名前の意味はネパールの荒くれ男,と言うことらしい。私によれば,彼は,インドのラメッシュ副大臣,タイのサマック首相,インドネシアのカラ副大統領に次いでアジアの開発問題の鍵を握る第4の男と言う訳だ。

しかし,今日の記事を具に読んでみると,プラチャンダの行く手には厳しい試練が待ち伏せていることが窺える。国内的には,社会主義者としての彼に投票した農民達の土地改革への期待,政府軍による毛派武装部隊の受け入れ拒否,などであり,対外的にはインドと中国の間の綱渡り,である。ある人は,毛派は多数派となったから資本主義経済を受け入れることにしたわけで,そうでなければまた戦場に帰った可能性もある,と言っている。

ネパールの水力開発で,既にスタートラインに着いたインド企業やこれから入札に備えるインド,中国の企業は,はらはらしながら,ネパールの荒くれ男,プラチャンダの一言一句に,薄氷を踏む思いで見守っていることだろう。


本文

●ネパール,政権政党の可能性が高い毛派,60年間のインドとの諸条約を見直しへ

ネパール問題,特に毛派のリーダー,プラチャンダがどう動くか,それはインドだけでなく世界の大きな注目を浴びている。インドとの60年間に亘った友好条約は,すぐにも見直すことを宣言しているが,平和の回復については積極的な発言を繰り返している。1996年に結ばれたマカリ河条約も見直しの対象だ。この点についてはインドも承知の上だが,インドは自国の武器だけを買わせて来たことから,この点での問題は大きい。

更に一つ,毛派はYCLと呼ばれる一種の青年共産部隊のようなものを持ってきて,これがこれまでのゲリラ的活動の主役を担っていた。今回の選挙の結果では,プラチャンダが首相になることは間違いないとしても,会議派や共産党との連立が必要であり,この両党がYCLの解散がなければ連立は成立しないと言っている。プラチャンダは,武闘政策を放棄したわけではない,と言っているし,ネパールからはまだ目が離せない。毛派のプラチャンダは,アジア開発3人男の,更に第4の男が登場,と言う感じである。

UNEPのマカリ河に関するページ
http://hqweb.unep.org/dams/documents/ell.asp?story_id=123

●ネパール,選挙に勝利の毛派,多くの政治的バランスへの対策を迫られる

プラチャンダ,意味は,「ネパールの荒くれ男」,アジア開発3人男の次に現れた第4の男。非常に詳しくその男の前に立ちふさがる難関が記事に描かれている。「ヒマラヤに登り来る太陽」,と讃えながら,彼が直面している問題は,実に多くまた複雑である。それは内部の問題もあるし,外国との関係に置いてもそうだ。果たして,観光資源を多く抱えた東洋のスイスとなり得るかどうか。

毛派は,基本的には水力開発を含めた投資意欲の刺激を標榜している点に置いて資本主義経済を目指していて土地等の財産の私有を排除しない,と選挙後に言っているのだが,実は彼らを選挙で支えてきた農村の有権者達は,毛派による土地改革を期待して投票したので,資本主義と社会主義の狭間を行く微妙なバランスが求められている。

もう一つの国内問題は,王制廃止に反対の人々をうちに抱え込んでいることと,毛派と戦ってきた政府の正規軍の司令官が,毛派の3万の武装部隊を正規軍に編入を拒否して,「まずその武装解除,解散,再教育,そして正規軍へ編入」,と言うプロセスを踏むことを求めている。これは極めて厳しい問題で,果たして毛派が飲める条件かどうか。

外国との関係は,恐らくインドと中国の間の厳しい綱渡りを強いられることになりそうだ。インドは,あくまで中国のネパールへの介入を嫌ってきたし,特にチベット問題や国境問題と密接に繋がってくるので,容易に中国との密生な関係を妨害するだろう。また中国は,毛派を応援してきておらず,武器援助も,ネパール正規軍に対して行ってきた。これからの周辺大国との関係は,ネパール,毛派にとって厳しいものになる。

●インドのシン首相,最初のブータン国会で演説へ,二国間関係のモデルと

ネパールは国王を廃しての毛派の勝利であり,ブータンは逆に国王によって与えられた民主主義,即ち立憲君主制度である。このヒマラヤの二つの国,しかもどちらもインドに対する重要な水力輸出国の立場であり,ポスト京都の担い手でもある,この両国がほとんど同時に大きな変革の時代を迎えている。

ブータンは,1980年代にインドの手を借りて336MWチュカ水力発電所を開発し,最近になって1020MWタタ水力を完成,更にJICAも調査を行ったプナチャンチュウ水力1095MWを開発しようとしている。

インドとの間には,実に厳しい条項がその友好条約の中に残っていて,一つは,ブータンの外交関係についてはインド政府のアドバイスに従う,であり,もう一つは,ブータンが武器を輸入する場合はインド政府の支援と承認が必要,と言うとんでもない事項だ。しかし,今度の立憲君主制への移行をもっとも喜んでいるのはやはり世界一の民主主義国,とブータン人に言われてきたインドであり,シン首相の演説を,第1回の議会で受け入れることとなった。


その他

●フィリッピン,PSALM,NPCの負債を電気料金に上乗せしたことについて訴訟される


参考資料

2008年4月24日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080424A Philippines, Manila Bulletin
PSALM,NPCの負債を電気料金に上乗せしたことについて訴訟される
PSALM asked to file for universal charge for stranded cost of ‘least competitive’ IPPs
http://www.mb.com.ph/BSNS20080425122748.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080424B Nepal, Tha Indian
政権政党の可能性が高い毛派,60年間のインドとの諸条約を見直しへ
Maoists call for reviewing pacts with India
http://www.thaindian.com/newsportal/uncategorized/maoists-call-for-reviewing-pacts-with-india_10041570.html
●080424C Nepal, Daily Mirror
選挙に勝利の毛派,多くの政治的バランスへの対策を迫られる
After polls victory, Nepal’s Maoists face many political balancing acts
http://www.dailymirror.lk/DM_BLOG/Sections/frmNewsDetailView.aspx?ARTID=12764

ブータン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Bhutan.htm

●080424D Bhutan, Live Mint
インドのシン首相,最初のブータン国会で演説へ,二国間関係のモデルと
India-Bhutan relations age better with time
http://www.livemint.com/2008/04/24232542/IndiaBhutan-relations-age-bet.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月23日分 ーここにはバリアフリーはないのか

「ここにはバリアフリーはないのか」,と山道に毒づいているのは,若い人たちを追っかけて小走りに走って石に蹴躓いて怒っている私である。最近でも山にはよく登るが,一人で歩いているときと,自分よりほんの少し若いだけの連中と歩いているのでは大きな違いである。写真を撮っていると遅れそうになって,休みながら待っていてくれたところにやっと辿り着くと,さあ行きましょう,と来る。

でもいまにして思うと,30代初期に近畿の揚水発電所を探しながらよく歩き回ったが,得意になって山を駆け上り,自分が最初についたと喜んでいた私を思い出した。いま考えれば先輩に申し訳ないことをしたなあ,まるで早く上がれば偉いような気分で先輩の前をいつも歩いていた。あの大河内揚水発電所などは何度も駆け上ったが,500mの落差は1時間,と決めて走るように登っていた。

先輩より大分前を歩いて,道の全面に蜘蛛の巣が張っていたので,その蜘蛛の巣の下を潜って巣が壊れないように通り過ぎた。後から来た先輩は,おかしい,足立が道を間違えてどこかに飛んでいってしまった,と心配している様子を,山の上からにやにやしながら見ていた。人生,通り過ぎてみないと分からないものですね。


本文

●タイ,サマック首相,世界銀行と国連を厳しく非難

私の言うところの,アジア開発3人男の一人,タイのサマック首相がまた吼えた,しかも世界銀行と国連事務総長を相手に,勇ましく吼えた。彼は100億バーツに上る食糧と燃料の値上がり対策を国会に提出して,四苦八苦して通過した直後の話である。最初は私はタイトルを見て,これはバイオ燃料反対の立場のようだ,と思って急いで読んでみたら,そうではなかった。

要するに,国連と世界銀行が同時に,バイオ燃料を一生懸命に生産しようとしている国が世界的な食糧の値上がりを招いている,と言ったことに対して,それはおかしいじゃないかと,食糧値上がりばかりを標的にして発言して,なぜ燃料の値上がり,原油の値上がりに対しては 批判の手を挙げないのか,片手落ちも甚だしい,と言うのである。彼は,食糧と燃料の値上がり対策に100億バーツ支出を,国会に説明させられたのだ。

サマック首相は,タイはバイオ燃料に熱心な国だとの前提で話をしているのだが,実際はブラジルの話だと思われる。先日もインドのシン首相が,インドはブラジルのようなバイオ燃料には傾倒しない,と言ったのは食糧問題を心配しているからだ。私の意見を繰り返すが,バイオのような地球を面的に使うエネルギーは,小規模は自己満足で問題ないが,それを大規模な電源,エネルギー源,と考えると問題が起こる。

●ネパールは水力開発よりもっとやるべきことがあるのではないか

カトマンズーのエネルギー開発に関するセミナーで講演した商工会議所会頭や政府の担当のプレゼンテーションを要約しているが,はっきりしない,水力ばかりやらなくても需要側の問題をどう考えるのか,それが21世紀の政策のあるべき姿だ,と言っているように見える。どうも,政府を挙げて外国企業の水力開発を推しているのが,彼らの不満をかっているようだ。

●ミャンマー,ラングーンの市民生活,停電続きと不安

一市民の政府に対する不満を,匿名で描き出している。一つは,電気が来ない,電気が来ないことがどれだけ辛いか分かって欲しい,二つには,先週の爆発事件は政府の仕掛けたものではないか,その後それを理由に多くの軍や警察が街角に立ち始めた,迫る来る民主化への国民投票に備え手だろう,三つには,天然ガスを外国に売ったお金をどこに行っているのか,将軍達の懐に入っているだけで一般国民には全然返ってきていない,四つには,一生懸命ダムを造っているのにどうして電気は来ないのか。全く不満だらけのラングーン,と言う感じである。


その他

●パキスタン,WAPDA総裁,膨大な作業をしている,最終的には2500万KWの水力開発
●インド,NHPC,国内最大のエンジニアリング建設企業L&Tと合弁へ
●フィリッピン,ミンダナオの水力開発反対グループへ反論


参考資料

2008年4月23日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080423A Thailand, Bangkok Post
サマック首相,世界銀行と国連を厳しく非難
PM slams World Bank and the UN
http://www.bangkokpost.net/News/23Apr2008_news01.php

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080423B Pakistan, The Post
WAPDA総裁,膨大な作業をしている,最終的には2500万KWの水力開発
Wapda working on 25,000mw hydropower projects: chief
http://thepost.com.pk/CorpNews.aspx?dtlid=157266&catid=8

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080423C Philippines, Manila Bulletin
ミンダナオの水力開発反対グループへ反論
Anti-hydro plant groups criticized
http://www.sunstar.com.ph/static/dav/2008/04/22/bus/anti.hydro.plant.groups.criticized.html

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080423D Myanmar, BBC News
ラングーンの市民生活,停電続きと不安
Rangoon life Powerless and nervous
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/7362547.stm


ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080423E Nepal, Himalayan Times
ネパールは水力開発よりもっとやるべきことがあるのではないか
Look for Alternative to Hydropower: Experts
http://www.thehimalayantimes.com/fullstory.asp?filename=aFanata0va2qzpca3Pa0va.axamal&folder=aHaoamW&Name=Home&dtSiteDate=20080423


インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080423F India, Economic Times
NHPC,国内最大のエンジニアリング建設企業L&Tと合弁へ
L&T, NHPC to form JV
http://timesofindia.indiatimes.com/Business/India_Business/LT_NHPC_to_form_JV/articleshow/2973369.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月21日分 ーインドの農民から水代がとれるか

山の中を歩いたために,最近はデーターに追っかけられて,少しこの欄の時間が遅れてきている。そのうち回復するので,すみませんが少し我慢して待って下さいね。その代わり,マニラ近郊の山の中,スナップ写真を送ります。

http://my.reset.jp/~adachihayao/08042201.jpg

「インドの農民から水代がとれるか」,電気代さへ十分にとれていないインドの農民からどの様にして灌漑用水の負担をさせるのか,そのようなことが出来るのか,と心配しているのは,ダム開発が現実問題となってきたネパール,カトマンズーでの心配している人たちの声である。毛派がネパールの経済優先政策を明確に宣言してから,カトマンズーの株式市場が急騰し,人類最後の挑戦,ポスト京都の目玉,ネパールの外国資本による水力開発,ダム開発が俄然現実味を帯びてきた。

日本でも,ダム開発したときのそれぞれのセクター,電力,農業,治水,水道,などの間でのコストの分配,アローケーションについては,複雑な問題がある。一般には,治水や灌漑のコストを個人に負担させることは困難で,ダムの経済性の計算ではこれらの便益を例え見込んでも,実際の財務分析では発電だけで採算をとるケースは少なくない,特に東南アジアでは。

いま,ここに,ネパールの人々が気付き始めた,インドの上流,ネパールで貯水池を開発すれば,生まれるのは電気だけではなかろう,と言うのである。下流のウエストセティ水力などでは明らかに下流に灌漑の便益が考えられるが,いままで誰も,知ってか知らずか,問題にはしなかった。ここでこれが問題になり始めると,あちこちでこの問題が生ずる。メコンの中国のダム開発もそうだし,ラオスの水力もそうだろう。ネパールの人たちが,どこまでこれを追求するのか,目が離せない。


本文

●ネパールの水力開発,新しい展開になってきた

人類最後の挑戦,ポスト京都の重要なテーマー,ネパールの水力開発は,選挙の結果で有利に立った毛派が,経済優先の立場を鮮明にしたことから,俄然現実味を帯びてきた。まだ毛派が具体的にどう動くか,見極める必要があるが,水力開発をインド企業に任せたことについて住民達が出していたクレームは,裁判所が,水資源を売らない限り電力だけでは,政府の決定のままでよい,と判断している。

アルン3水力とカルナリ水力は既にインド企業が入札結果で,開発権益を得ているが,調査設計などで更に着工までには2年程度の年月が必要である。また,第3の地点,60万KW,ダム貯水池式のブディガンダキ水力は,現在入札審査中で,多くのインド企業に混じって二つの中国企業,一つのオランダ企業も入札に参加した。インドのGMRは12%の無料電力地元落としを提案しているのに対して,サトルジュ社は実に22%の地元落としを提案,大丈夫かと言いたくなる。

さてここで新たな問題が生じてきている。インド企業が落札したアルン3とカルナリは貯水池を持たない流れ込み式なので問題はないのだが,入札中のブディガンダキと,下流でオーストラリアのスノーウイマウンテンが進めているウエシュトセティ水力は,貯水池を持って下流の流況に影響を与える。洪水調節機能もさることながら,理論的には,渇水量を増加させて下流のインドの農業などに便益を与える。

電力は売ることになっているから両国間の取引は明確だが,渇水量増加の便益ははなはだ複雑である。例え農業便益が計算できたとしても,果たしてインドの農民からその便益分の取り立てが出来るかどうか,電気代さへとれていないのに,どうしてインドの農民から水代を取ることが出来るのか,これがいま問題になろうとしている。ネパールの人々は,その考え方が厳しく,問題が燃え上がる可能性を秘めている。

●環境グループ,ミンダナオの水力開発で,環境省を批判

ダバオに本拠を置く環境団体が,環境省の出先機関であるミンダナオ事務所に,簡単に水力開発を承認したことに対して抗議を申し込んでいる。水力発電所は,いろいろ議論を呼んでいるシブラン,サンタクルス,ダバオデルスールの3地点である。


参考資料

2008年4月21日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080421A Philippines, Manila Bulletin
環境グループ,ミンダナオの水力開発で,環境省を批判
DENR 11 director hit for OK of hydropower plant
http://www.sunstar.com.ph/static/net/2008/04/21/denr.11.director.hit.for.ok.of.hydropower.plant.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080421B Nepal, Economic Times
ネパールの水力開発,違った様相を呈してきた
Power sharing of different kind
http://economictimes.indiatimes.com/Editorials/Power_sharing_of_different_kind/articleshow/2966676.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月20日分 ー国民の教育は私たちが引き受ける

「国民の教育は私たちが引き受ける」,と賢くキーポイントを押さえてきたのは,ネパール,いまや政権奪取が夢でなくなった毛派のバッタライ副議長である。ネパールで車で西の水力地点で急ぐとき,JICA事務所から言われた,政府の車からは少し離れて走ってくれ,と。それほど毛派は賢いのである,政府は攻撃するが一般民間の車は襲撃しなかった。

今日のバッタライ副議長は,明確に財産の私有を認め,農業国から工業国への資本主義的脱皮を図る,と明言した。これは少し大げさとしても,西欧的な資本主義経済を取り入れる決意をしたわけで,途端にネパールの株式市場がはね挙がった,カトマンズーに株式市場があったなんて知らなかった人が多かったのではないか。

同じ毛派でも,カンボジアのポルポトとどうしてこんなに違うのか。私は,ネパールでいろいろな話を聞く度に,何となく彼らのやり方に親しみさへ覚えたことがある。野原で,村民を集めて毛沢東語録の勉強会をやっていた彼ら,まさか義務教育のネパール小学校で,毛沢東語録を読ませるのではないでしょうね。それにしても,これで,人類最後の挑戦,ポスト京都の目玉,インド北辺ネパールの水力開発に燭光が見えたのは事実だろう。


1 今日の概要

●ネパールの毛派が資本主義転換,その言葉でネパール株式市場が急上昇,でも彼らは教育は我々が握らせて頂く,とキーポイントを押さえてきた,彼らは賢い。●三菱重工が,インドの石炭火力に大きな一石を投ずる,超臨界で4800ルピーの受注を,あのラメッシュ副大臣が確約。●中国政府が無資格の小水力に警告,これは設備の二重投資として,昨日初めてベトナムで問題となった。

2 目次

●ネパール,毛派が経済改革を宣言,ネパール市場が急上昇
●三菱重工,インド現地企業と合弁で,4800億ルピー機器受注
●中国政府,3,415の無資格の地方水力プロジェクトを発表


3 本文

●ネパール,毛派が経済改革を宣言,ネパール市場が急上昇

これがあのネパール国王を追い出したネパールのマオイスト!?「国民から私有財産を取り上げない」,とはっきりとネパール国民に対して言い切ったのは,制憲議会選挙で地滑り的な勝利を得て,政権の中枢に踊り出ようとしているマオイストのバッタライ副議長である。ネパールのマオイストは本当に賢い,同じマオイストでもどうしてカンボジアのポルポト派と違うのか!

毛派のバッタライ副議長が,「我々は方針を変更し,工業重視の資本主義政策に方向転換する,これからは水力開発などの開発重視の政策をとる,と発言した直後,ネパールの9日間休んでいた株式市場が10数%の上昇を見せた。特に,銀行などの金融企業と水力開発の企業が,20%近い上昇,ネパールの株式市場があるなど,あまり関心がなかった。

しかし,バッタライ議長の後の言葉には,意味深長なものがある。彼は,教育,特に12年生以下の義務教育の民営化は許さない,現在の私立学校も全部政府の管理下に置く,国民の教育は政府の責任である,と言明した。元々ポルポト派は,山の中で村人への教育に力を入れてきたゲリラとしては珍しい存在だった。でも,キーとなる教育を押さえる,マオイストは容易ならざる政党ではある。

マオイストとは, JICAのページ
http://www.jica.go.jp/japandesk/nepal/nepal-oukoku/nepal_oukoku6_1.htm

●三菱重工,インド現地企業と合弁で,4800億ルピー機器受注

「アジア開発三人男」,の一人,インドのラメッシュ電力省副大臣が,また強烈な発表を行った,それも昨日既報の通り,コルカタでDVC,獅子の尻尾を踏んづけた後での記者会見,「三菱重工と組む国内重電企業L&Tの合弁,そこの特殊な技術,超臨界ボイラー,ここに1200万KWの発注を約束する」,と強引に発言してしまった。次世代の人類のために戦うインドの石炭火力,ここに三菱重工が,総額実に4800億ルピーの発注予告を記者会見で行ったのである。三菱重工は戦っている,ラメッシュも戦っている,ポスト京都の焦点に向かって。

L&Tのホームページ
http://www.lntecc.com/home.htm
三菱重工ニュース
http://www.mhi.co.jp/news/story/200711064645.html

●中国政府,3,415の無資格の地方水力プロジェクトを発表

昨日のHPでは,ハノイの電力協会副会長が,小水力を造りすぎるのは問題である,と発言していた。今日は,同じような意味での中国での報道である。これを皆さん分かってくれるかどうか。小水力の膨大な開発は,発電所群の出力潜在化を招く,,潜在化という言葉は,一般には分かりがたいと思うが,電力を開発する人には重要なキーワードだ。

小水力というのは,大きなダムを一般には造らないため,乾期には水がない,発電できない,そのために火力などを借りて需要のピークを賄うことになる。小さい間はよいが,これが何千という地点の数になってくると,その分の乾期の出力はゼロに近く,ピークを賄うためには設備の二重投資になってしまうので,長期に亘ってはダウンブローとして経済に悪影響を及ぼす,これはかなり難しい理屈です。

このことは,私は前に小規模CDMをやっている人に対する批判として行ってきたことがある。しかしこの事実が公然と問題になったのは,昨日のベトナムと今日の中国が初めてです。これは,中国人やベトナム人は,本当に真面目で,再生可能エネルギー推奨,と政府が言うと一生懸命造ってしまう国民性にあるのだろう。でも,この観点はすごく面白いですよ。太陽光にも風力にも,これは当てはまるのです。

再生可能エネルギー,小水力,太陽光,風力,これらを開発することは,人類にとって善である,と皆信じていますが,決して善ではない,と言うことをここで主張したい,分かって頂けますかね。


4 参考資料

2008年4月20日分

ネパール

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080420A Nepal, Tha Indian
毛派が経済改革を宣言,ネパール市場が急上昇
Nepal market rebounds as Maoists pledge economic revolution
http://www.thaindian.com/newsportal/south-asia/nepal-market-rebounds-as-maoists-pledge-economic-revolution_10039967.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080420B India, Economic Times
三菱重工,インド現地企業と合弁で,4800億ルピー機器受注
L&T-MHI set to bag Rs 48,000-cr equipment order
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/LT-MHI_set_to_bag_Rs_48000-cr_equipment_order/articleshow/2963000.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080420C China, China Daily
中国政府,3,415の無資格の地方水力プロジェクトを発表
China uncovers 3,415 unqualified rural hydropower stations
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2008-04/19/content_6629043.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月19日分 ー話を聞いたが何の感動もなかった

「話を聞いたが何の感動もなかった」,と嘯いたのは,インドのコルカタを訪問し,ダマダール峡谷開発公社DVCのプレゼンを聞いた電力省のラメッシュ副大臣,あの,就任早々に,「国民に電力を供給できないならば,2011年にも首を吊ってみせる」,と啖呵を切った,あの方である。240万KWを米国のTVAを見習って,丁度日本が黒四を作り上げた頃に,造ってそのまま,というDVCを皮肉ったのだろう。

でも彼の動きは素早い,ちょっとおっちょこちょいかも知れないが,ポスト京都,人類の最後の挑戦,インド北辺の水力開発に於いて,まず眠っている獅子の尻尾を思い切り踏んで,叩き起こしに行ったわけである。この発言の後ですぐ,DVCをインド第1の発電企業NTPCに次ぐ第2の発電企業に育て上げる,しかも,それを4年内に1100万KWの企業に育て上げる,というのである。眠れる獅子も,ここで立ち上がらざるを得ないだろう。

私は,アジア開発問題3人男,と名付けて,このインドの電力省副大臣ラメッシュ,タイのサマック首相,インドネシアのカラ副大統領,の3人をおもしろおかしく眺めている。ラメッシュは,電気がなければ首を吊る,と言ったし,サマックは,タンシュエは敬虔な仏教徒,とか,メコンの水を東北タイへ,などと言うし,カラは,中国から帰って,中国の政治体制は最高だ,と言って中国から石炭火力のお金を引き出した。日本にも誰かいないかな,過去なら田中首相だが,現在の開発派で,となると誰もいないなあ,小泉さんは改革派ではあっても開発派ではないでしょう。


1 今日の概要

●パリで行われた温暖化主要国会合,一転して日本のセクトラルアプローチを評価,検討することに。●インド,コルカタを訪問したラメッシュ副大臣,DVCの業績に,何も感動しなかった,と横を向いておいてから,ダボール峡谷開発公社を,インド第2の発電企業の育ててみせる,と。●フィリッピンの電力改革,電源開発を忘れてプール市場のメカニズム構築に一生懸命,複雑になって追って行けなくなってきた。

2 目次

●パリ主要国会合,温暖化ガスの産業別削減を検討,日本案に各国賛同
●インド,ダマダール峡谷開発DVC,インド第2の発電企業へ
●フィリッピン,IPP管理組合IPPA,自身も発電所所有を視野に入れる


3 本文

●パリ主要国会合,温暖化ガスの産業別削減を検討,日本案に各国賛同

日経オンラインの非常に簡単な報道だけで,交渉の経緯などははっきりしないが,バンコクの会議,「日本の提案は誰にも受け入れられなかった,会議の時間を長引かせただけだ」,と厳しい言葉で報道された日本のセクトラルアプローチであるが,今回のパリで行われた「エネルギー安全保障と気候変動に関する主要国会合」は,ポスト京都議定書の枠組みをめぐる有力案のひとつとなる。

私は当然だと思う。中国は,まず先進国から減らせよ,と言っているけれど,幾ら頑張っても日本や欧州の努力の結果は目に見えている。今回の会議は,米国が招待した,あの先進国と主要排出国,中国,インドを含めた会議の流れだと思うが,中国はどう対応したのだろう。私は,このセクトラルアプローチを発電に適応するならば,端的に言えば,日本がインドや中国の排出抑制に技術的及び資金的な支援を行うことだ,と思っている。

Jパワーの中国に於ける石炭火力の最新技術による中国企業との合弁,これは民間で出来るセクトラルアプローチの最初のきっかけになるであろうし,インドについては,JICAが専門家を公募していたように,公的資金によるインドの石炭火力運用の効率化,ひいてはエネルギー効率の向上に資する,など,既にポスト京都は動き始めているのである。

いまや安全保障問題となった地球温暖化問題 大和総研経営戦略研究部 河口真理子氏
http://www.dir.co.jp/publicity/column/071004.html

●インド,ダマダール峡谷開発DVC,インド第2の発電企業へ

この記事も面白いですよ。あのインドの電力省の,電気を国民に送れなければ首を吊ってみせる,と啖呵を切ったラメッシュ副大臣が,コルカタを訪問して,ダマダール峡谷開発公社DVCの状況をヒアリングした後で,「何の印象も得られなかったよ」,と嘯いて見せた。DVCがやったことは,この60年間もかかって僅かに240万KW開発しただけではないか,と。しかし,彼の発言はそこでは収まらない,インドで一流の企業に育てると言い切ったのである,しかもNTPCに次ぐ第2の発電企業へ,と。

ダモダル川,ちょっとマイクロソフトのエンカルタから拾い読みをさせて貰う。インド北東部をながれる,ガンガー(ガンジス川)の分流フーグリ川の支流,ジャルカンド州のチョタ・ナーグプル高原北東部に源を発し,東流して西ベンガル州アサンソル付近で平野に出て南東に向きをかえ,コルカタの西方でフーグリ川に合流する。

ダモダル川は,1948年〜1961年,流域内の農業基盤の安定と鉱工業の発展を目的としてダモダル河谷総合開発がおこなわれた。1950年に着工されたティライヤ・ダムの発電所が1953年に完成,コーナール・ダムが1955年に,1957年にマイトン・ダムと発電所が,更に1959年にパンチェト・ヒル・ダムと発電所が完成した。この時期が日本で黒四の開発を行った時期である。

ラメッシュ氏は,ここでも,いまは240万KWであるが,必ず4年以内に1,100万KWの発電企業に育て上げる,というのである,4年内ですよ,彼は首が何本あっても足りないようだ。しかし私は,これは,人類最後の挑戦であるインド北辺水力の開発,ポスト京都の最前線であることを,ラメッシュ氏が知り抜いた上でのコルカタ訪問であり,眠っている過去の獅子の尻尾を思い切り踏んでこよう,と言う意図だったのだろう。

ダマダール峡谷開発DVCのホームページ
http://www.dvcindia.org/index.htm
ダモダール峡谷の地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08041901.jpg

●フィリッピン,IPP管理組合IPPA,自身も発電所所有を視野に入れる

フィリッピンの電力改革も,電源開発をそっちのけにして,随分ややこしいプロセスに入ってきた。読んでいても,IPP組合が出てきたり,IPP管理組合が出てきたり,それぞれがIPPのオフテーカーのNPCと複雑な関係を持っていて,私のように,まず電源開発に取り組め,と言っている人間にとっては,少しやりすぎではないか,と思うところがあるが,IPPなどに取り組んでいる人たちは,なかなか大変なのだろう。

例えば,下の二つのプレゼンテーション資料は,美しく造ってあって,複雑な関係者の間の相互機能をわかりやすく書いているようで,実はますます分かりにくくなってくる。しかし,最初のプレゼン資料の7ページ目などは,昨年の6月から12月までの需給の動きを,WESMの介入も含めて劇的な表現をしているので,これはほめて上げたい資料の一つだ。誰が書いているのだろう。

WESMの2006年に於けるフォーラムでのプレゼン資料
http://www.doe.gov.ph/ipo/WESM%20Current%20Operation%20and%20Near%20Future%20Development.pdf


4 その他

●ADB,インドのクリーンエネルギー開発に協力,風力
●フィリピン,ビサヤ系統の送電線増強,早急に必要


5 参考資料

2008年4月19日分

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080419A Philippines, Manila Bulletin
ビサヤ系統の送電線増強,早急に必要
Transmission upgrades for Visayas urged

http://www.mb.com.ph/BSNS20080419122210.html
●080419B Philippines, Manila Bulletin
IPP管理組合IPPA,自身も発電所所有を視野に入れる
IPPAs eyed to also own power plants

http://www.mb.com.ph/BSNS20080419122206.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080419C India, Economic Times
ダマダール峡谷開発DVC,インド第2の発電企業へ
DVC poised to become 2nd largest power producer: Ramesh

http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/DVC_poised_to_become_2nd_largest_power_producer_Ramesh/articleshow/2962279.cms
●080419D India, Monsters Nad Critics
ADB,インドのクリーンエネルギー開発に協力
Asian Development Bank to help India develop cleaner power sources

http://news.monstersandcritics.com/business/news/article_1400728.php/Asian_Development_Bank_to_help_India_develop_cleaner_power_sources

環境一般

●080419E 温暖化問題,日本経済新聞
温暖化ガスの産業別削減を検討、日本案に各国賛同・パリ会合

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080419AT2M1900K19042008.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月18日分 ー海の塩の中の米粒程度だ

「海の塩の中の米粒程度だ」,とベトナムの小水力開発を揶揄したのは,電力不足に苦しむベトナムのエネルギー協会副会長アン氏である。彼の言い分には一理がある。中国で一旦電力不足が深刻になり政府が各省の石炭火力開発を容認すると,石炭供給もはっきりしない段階で,どんどん資本が注ぎ込まれて,結局石炭供給不足で多くの石炭火力が停止した。

ベトナムの人も働き屋であるから,そういうところがあって,一旦政府が電力不足だ,と言うと各県が競って中小水力のプロジェクトを形成し,お金を集めて同時に何十と言う小水力が着工に踏み切る。アン副会長は,電力不足へ小水力が対応できるのか,と疑問を投げかけ,塩の中の米粒に過ぎない,とまた変な揶揄をしたのである。

流れ込み式の水力で,とにかく石炭や石油の焚き減らしの効果も期待できるのだが,有効出力というかいつでも頼りに出来る出力,貯水池を持つ推力なら,95%ぐらいの確立で出力対応できることが計画の基本である。小水力では,この数字がゼロに近くなってしまうケースが多い,アン副会長はこれを言っているのだろう。しかし,ベトナムのホアビンなどは,設備をあまりにも大きくしすぎて,必要な乾期には出力不足を起こしている。

別件,ADBの黒田総裁は食料高騰について,「中国やインド,東南アジアといったアジア地域だけでなくアフリカや中米などでも喫緊の経済課題だ」,と指摘,ADBとして「アジアの加盟国が食糧高騰による財政難に陥った場合,緊急融資などに応じる」,と述べた。最近のインフレへの懸念は,各国とも深刻だが,米の問題がサブプライムより深刻,と言う発言は,一つの見識かも知れない。


1 今日の概要

●フィリッピンが2007年8月1日時点の人口センサスを発表,総人口8857万人,この7年間の伸び率は2.04%,人口減の次世代の日本人を補完するだろう。●マレーシアのサラワク,前エネルギー大臣が,ASEANの電源地帯になり得ると。●電力不足のベトナムで中小水力の建設ラッシュ,お金の無駄遣いではないか,と疑問を投げかける人も。


2 目次


●フィリッピンの人口,8857万人を越す,2007年8月1日
●マレーシア,サラワクは,ASEANの発電所となる可能性を秘めている
●ベトナム,電力不足への対応,水力開発を急ぐ


3 本文

●フィリッピンの人口,8857万人を越す,2007年8月1日

2004年頃にフィリッピンの電力事情を勉強したが,その時は総人口が7,050万人で,ミンダナオには,発電設備が132万KWしかないのに,2,000万人近くが住んでいるのを見て驚いたことがあった。当南アジアでは都市への人口集中が極端に多いのに,フィリッピンは少し変わっているな,と感じ,ミンダナオの経済開発,電力開発は重要だと思ったことがあった。

今日の発表では,総人口が88,574,614人に達しており,2000年から2007年の人口の伸びは2.04%とされている。非常に高いが,これでも1960年代の3.01%に比べれば落ちているという。私は,日本の人口減少は東南アジアの人口増加でバランスしてくる,と言ってきた。息子達が,何?私たちは老後は東南アジアの人々に世話してもらえと言うのか?!と怒っていたが,そうだ!と答えてきた。そのために,いまお父さん達が頑張ってODAをやっているのだからと。

ルソンの人口増に関心があるが,首都圏が11.55百万人,ルソン中央部が9.72百万人である。首都圏を含めた都市の人口は,ケソンが268万人,マニラが166万人,カラバルゾン(キャビテ,ラグナ,バタンガス,リサール,ケソン)が11.74百万人である。これらの人口の伸びや人口分布は,その経済成長とともに,電力計画を考える上で,貴重な資料である。

2004年当時の私のフィリッピン電力事情分析
http://my.reset.jp/~adachihayao/adachi040306.htm

●マレーシア,サラワクは,ASEANの発電所となる可能性を秘めている

私自身は,早い時期にマレーシアで仕事をしたのも関わらず,サラワクについてはほとんど勉強する機会がなかった。時々,バクンの水力プロジェクトが,やや悲観的な情報を流しているだけであった。サラワクはカリマンタン(ボルネオ)島の北西部にあるマレーシアの州で,隣接するサバ州とともに東マレーシアを構成する。面積は12万4449平方km,人口は195万人(1997年推計)である。

前エネルギー大臣のリム博士が,サラワク州のアブドル州政府首相を訪ねて,サラワクこそが今後建設が予定されるASEAN全体の送電網構築に於いて重要な電源地帯となる,と発破をかけた記事である。記者に,サラワク州のアドバイザーに就任するのかと問われて,いや,いや,単にフリーで州政府首相を助けるだけだよ,と言っているが,何かサラワクへの思い入れがあるようだ。

記事の中に,懸案のバクン水力ダムの話が出てくるが,全出力は400万KWから500万KWという強烈な計画であるが,需要で問題になって来た。最初はアルミ生産だと言っていたが,最近では,マレーシア本土に送る,と言う考えに変わって,海底送電線の建設が話題になっている。リム博士はこのことを含めて言っているが,コストの問題もあり,建設には3年を要する。2011年と言っているが,あまり周囲は本気にしていない。

サラワクの地図
http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news.htm

●ベトナム,電力不足への対応,水力開発を急ぐ

ベトナムはすごい勢いで中小の水力開発を行っている。北のラオカイでは21地点,合計465MW,で中には,ゴイパット水力72MW,ミンルオン水力23MW,セオチュン水力22MWなどがある。またナムプン水力108.4MWが工事中であり,中部のクワンナム県では57地点を準備中で,48地点は既に2006年に着工している。ダックノン県では64地点が計画中である。

ベトナムの人は,中国の電源ラッシュと一緒で,一旦政府が容認すると,競って地点を見つけてきて金を集めすぐに建設に取りかかる。中国はこれで発電できない火力発電所が多くできてしまったが,小水力ならよいだろう,と皆考えるわけである。南ベトナムは古くから計画地点があり,我々もよく知っているが,北ベトナムについては,大規模計画を除いて,小さいものはすべて最近になって,皆が競って調査したのだろう。

この風潮に警鐘を鳴らした人がいる。ベトナムエネルギー協会のアン副会長である。彼が言うのはもっともなところがある。小水力を一生懸命造っても,この全国に亘る電力不足は救えない,と言うのだ。電力が必要な夏には水がなく,電力をあまり必要としない雨期には,水が余ってしまう,水力は初期投資がおおいいし,お金の無駄遣いだ,まるで海水の塩の中の米粒だ,とまで言っている。


4 その他

●電源開発株取得,政府初の中止勧告,英ファンドは対決姿勢
●フィリッピン,国内企業MORE,カガヤン峡谷での原油ガス探査に乗り出す


5 参考資料

2008年4月18日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080418A Vietnam, English Vietnam Net
ベトナム,電力不足への対応,水力開発を急ぐ
Lacking electricity, rushing to build hydropower plants
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/04/779090/

電力一般

●080418B Jパワー,北海道新聞
電源開発株取得 政府初の中止勧告 英ファンドは対決姿勢(04/17 00:40)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/87607.html

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080418C Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンの人口,8857万人を越す,2007年8月1日
RP population 88,574,614 as of Aug. 1, 2007
http://www.mb.com.ph/MAIN20080418122129.html
●080418D Philippines, Manila Bulletin
国内企業MORE,カガヤン峡谷での原油ガス探査に乗り出す
Group starts oil/gas drilling in Cagayan
http://www.mb.com.ph/BSNS20080418122110.html

マレーシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Malaysia.htm

●080418E Malyasia, Bernama
サラワクは,ASEANの発電所となる可能性を秘めている
Hydropower To Propel Sarawak To Become Regional Powerhouse
http://www.bernama.com.my/bernama/v3/news_lite.php?id=327463


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月17日分 ーフィリッピン全土でインターネット無線接続

誠にすみません,フィリッピンの仕事で少し遅くなったことと,明日早朝,山へ向けて出発するので,今夜はこれ以上仕事できず,筆を置きます。先日は,BCCの所,CCCで送ってしまって,一部の皆さんのアドレスが公開になってしまった,取り返しつかないがお許し下さい。明日は山の中なので更新できないかも知れない。

フィリッピンで,中国が2,3日前に,無線によるインターネット接続,即ち,フィリッピン国内ならどこでも電波が捉えられる接続方式を始めました。今日手続きして試したら,接続は極めて早いし,少なくともダイアルアップよりは早い,何と言っても嬉しかったのは,ftpが繋げると言うことです。これでフィリッピンからもHP更新が可能となるはずです。しかし,この接続技術は中国のもので,いま問題になっているアロヨ政権の汚職問題と関連したものかも知れない。中国は,とにかく広いから無線接続技術が非常に発達している,と言うかかなり強い電波を使っているのではないでしょうか。ミャンマーにいるときに,GSMの電話機が中国の電波を捉えていましたからね。今日はごめんなさい,おやすみ。


本文

●パキスタン,新政府クレシ外務大臣,中国との関係を強化することに焦点を
●選挙優勢の毛派,いつネパール全土を掌握することになるのか
●米の温室ガス 「25年までに排出増ゼロ」大統領新提案
●フィリッピン,国家送電公社,ミンダナオの15億ペソプロジェクト,入札へ


参考資料

2008年4月17日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080417A Pakistan, Daily Times
新政府クレシ外務大臣,中国との関係を強化することに焦点を
New govt to focus on strengthening Sino-Pak ties, says Qureshi
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C04%5C17%5Cstory_17-4-2008_pg7_28

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080417B Philippines, Manila Bulletin
国家送電公社,ミンダナオの15億ペソプロジェクト,入札へ
TransCo seeks bids for P1.5-B Mindanao transmission project
http://www.mb.com.ph/BSNS20080416121973.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080417C Nepal, Times
選挙優勢の毛派,いつネパール全土を掌握することになるのか
When the Maoists Take Over Nepal
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1731248,00.html

環境一般

●080417D 米国,2008年04月17日07時17分 朝日新聞
米の温室ガス 「25年までに排出増ゼロ」大統領新提案
http://www.asahi.com/international/update/0417/TKY200804170005.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月16日分 ーインターネット接続で疲れる

「インターネット接続で疲れる」,今日のマニラは,低気圧が南下して通り過ぎ,熱帯らしい天気になってきた。しかし,ホテルもオフィスもLAN接続があるのだが,事務所で繋ぐとホテルで繋がらず,全く仕事以上に疲れてしまう。日本の繋ぎっぱなしのエアーエイチみたいなものがあるだろう,とコンピュータ屋さんで探すが,なかなか英語でやりとりしても通じない。今日はやっとそれらしきものを見つけて研究中。

今日は,地図を集めに走ったが,インドネシアやラオスのようなしっかりした地図のオフィスがない。これはやはり投資のインフラとして,地図購入システムの合理化やネットワーク整備が必要だな,と思った。中国がインターネットで進出しているが,大統領関連の疑惑問題で揺れていることを思い出した。やはりJICAも,フィリッピンはある程度進んでいる,と考えてこの情報インフラには手を抜いているところがあるのではないか。


本文

●フィリッピン,熱帯低気圧アンボン,木曜までは雨を降らす

●パキスタン,ムシャラフ,中国の投資が,雇用を生むだろう

ムシャラフ大統領,政治が落ちついたところで北京を訪問,主たる目的はバシャダムへの中国の資金協力にあるが,投資フォーラムを北京で開催して,パキスタンは中国にとっても魅力ある市場である,と懸命にウインウインの関係を主張した。パキスタンの人口は1億6000万人に達しているようだ。中国の投資がパキスタン国内の雇用を増やし,テロなどの極端な勢力の力を弱めることが出来る,と強調した。

●インド政府,ブータンへの民間投資で積極政策

基本的にはブータンは,本来民間投資を進めてはいないが,インドとしては政府の介入よりは,活力あるインドの民間資本によって,更にブータンへの進出を果たしたいところである。パキスタンやネパールと違って,さすがの中国もブータンには出てきていないのではないか。


参考資料

2008年4月16日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080416A Pakistan, Daily Times
ムシャラフ,中国の投資が,雇用を生むだろう
‘Chinese investors to generate employment by investing in Pakistan’
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C04%5C15%5Cstory_15-4-2008_pg5_11

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080416B Philippines, Manila Bulletin
熱帯低気圧アンボン,木曜までは雨を降らす
Tropical depression ‘Ambo’ to bring rains until Thursday
http://www.mb.com.ph/MAIN20080415121892.html

ブータン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Bhutan.htm

●080416C Bhutan, Live Net
インド政府,ブータンへの民間投資で積極政策
Pvt sector to power India’s Bhutan push
http://www.livemint.com/2008/04/14012901/Pvt-sector-to-power-India821.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月15日分 ー今首相が水力開発で行っている

マニラ,依然としてホームページの更新は出来ず,ごめんなさい。昨日は珍しくマニラにも雨が降ってマニラブリテンも,低気圧が発生して,南に移動している,と報じている。マニラ電力の部長さんによると,これはまもなく台風に変わるのだ,と解説していた。それでその台風を日本に輸出するのか,と聞いたら,そうだ,でもこの輸出は全然儲からない,と行っていた。

「今首相が水力開発で行っている」,とニューデリーで記者に語っているのは,先日,電源開発が出来なければ首を吊ってみせる,と大見得を切った新任のインド電力省副大臣ラメッシュである。どうもラメッシュさんは面白そうだ,どこにでも顔を出しそう。今日も,シン首相がジャムカシミールに出向いてNHPCの水力開発の署名式に出ているのに,デリーで記者に,「シン首相を行かせている」,みたいなことを記者に語っている。インドネシアのカラ副大統領とこのインドのラメッシュ副大臣に注目していよう,面白そう。


1 今日の概要

●ネパールの制権議会選挙で,毛派が圧倒的な勝利へ向かっている。このことが,インドの水力民間投資や中国との関係に,微妙な警戒心を引き起こしている。●中国の湖錦濤主席が,海南島のアジア経済フォーラムで演説,金融を軸としつつエネルギーや食糧,貿易自由化や地球温暖化対策などの分野での協力を提唱。●インドのNHPCがジャムカシミールの電力会社JKPDCとの合弁会社,水力212万KWを開発へ。


2 目次

●インド,ネパールの選挙結果で,警戒心
●エネルギー金融政策、アジアで協調提唱・中国主席
●インド,NHPC,ジャムカシミールのJKPDCと水力開発で合弁へ


3 本文

●インド,ネパールの選挙結果で,警戒心

記事は非常に微妙である。毛派が,単独過半数は無理としても,第1党になることは間違いなく,毛派のリーダー,プラチャンダが首相になる可能性が高くなってきた。インドとしては,これをどの様に情勢を判断するか,密かに議論が戦わされている。プラチャンダは,過去に於いてはインドに対して強硬な意見を述べていたが,選挙中はこれを封印して来た。

そうして,選挙が終盤に近づくに従って,中国とインドとの間には穏やかなバランスを保って行くことを言明している。しかし,カトマンズ駐在のインド大使などは,この言葉をそのまま信じてはいけないと警告しているし,毛派が中国よりの政策をとる可能性が高いと見て,インド政界は警戒を強めている。

問題は,現政府が押し切った形の,インド民間資本によるネパールの水力開発に関する協定や契約である。もし毛派のプラチャンダが首相になると,彼が簡単にこれらの契約に妥協する気はないであろうと思われる。国家の主権,と言うものへの拘りはきつく,外国企業への資源の権利の浄土に関しては,応答厳しい見方をするのではないか,とインドは警戒している。

毛派が主導権をとらなければ,地方の治安に対する不安から水力開発が困難になるし,政権を取ったら取ったで,外国資本の過度の進出や,中国とのバランスの関係で問題が出てくる。ポスト京都の重要な一角であるネパールの於ける人類最後の水力開発が,やっとスタートしたところであり,関係者は,先行きに大きな関心を持っている。

●エネルギー金融政策、アジアで協調提唱・中国主席

海南省で開いた博鰲(ボーアオ)アジアフォーラム年次総会の開幕式,中国の湖錦濤主席が演説。金融を軸としつつエネルギーや食糧,貿易自由化や地球温暖化対策などの分野での協力を提唱。チベット問題や毒餃子など,問題が続出している中で,久しぶりの湖錦濤主席の発言である。特にサブプライム問題で混乱している国際情勢に,積極的な発言を行った。

●インド,NHPC,ジャムカシミールのJKPDCと水力開発で合弁へ

私も何度かファリダバードのNHPC本社を訪れているし,友人達もよく顔を出しいる。今回,JBICが円借款対応でプロジェクト形成を行っている技術部門はNHPCであろうし,NHPCが大規模な水力プロジェクトを,JBICに紹介もしている。NHPCの今までの実績は,NTPCに押されて必ずしも華々しいものではないが,ポスト京都の重要な一角を占める重要なインドの水力開発なので,張り切っていると思う。

ただ,彼らの考え方も,つい最近までは非常に保守的で,民間との協力,ましてや日本の民間との協力による水力開発は,彼らの頭の中になかった。今回も,あの,「NHPCが初めて現地民間資本と提携するのは初めて」,と書いているので,インドとしては異例の合弁への踏切のようだ。

今回の合弁によるプロジェクトは3地点が挙がっており,合計出力で212万KWと大きい。シン首相が現地で署名式に立ち会ったようだ。新首相は本当に真面目な人だと思う。地点名は,キル地点600MW,パカルドル地点1000MW,カルワ地点520WM,などである。


4 参考資料

2008年4月15日分

ODA一般


●080415B 中国,日本経済新聞
エネルギー金融政策、アジアで協調提唱・中国主席
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080414AT2M1201H12042008.html

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080415C Nepal, IBN Live
インド,ネパールの選挙結果で,警戒心
India wary of red surge in Nepal
http://www.ibnlive.com/news/india-wary-of-red-surge-in-nepal/63238-2.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080415D India, Economic Times
NHPC,ジャムカシミールのJKPDCと水力開発で合弁へ
NHPC to form JV with J&K’s power utility
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NHPC_to_form_JV_with_JKs_power_utility/articleshow/2949906.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月14日分 ーバイオでブラジルを追いかける気はない

フィリッピン,マニラのホテルにて頑張っています。依然として ftp 不調でHP更新できず,HPだけで見て頂いている熱心な読者の方には申し訳ないが,この謝意も彼らには伝わらない。光ケーブルであればサーバーに繋がるそうだが,ADSLでは駄目みたい,ニフティのように有名なサーバーは大丈夫みたいだ。さて,どこかのインターネットカフェに光がないか,そのような時間もないしね。

「バイオでブラジルを追いかける気はない」,と,ブラジルから帰国したパティル大統領の調査団に冷たく言い放ったのは,10億の民のためにインフレと食糧危機と戦うインドのシン首相の言葉である。インドはブラジルに次ぐサトウキビの生産国らしい。そのブラジルでは,自動車の20%がエタノール使用可能な仕様になってきたようだ。鈴木篁氏のホームページでは,木質バイオを中心に,どうしても人類は液体燃料を一定の割合で確保する必要あり,と論じている。

私は,勿論バイオについてはあまり知識がないが,エネルギーを得るのに,地球のを面的に使う資源は,必ず混乱を呼ぶ,と感覚的に思っている。バイオエタノールにしても,鈴木氏の木質バイオガスにしても,局所的に生産するのは,その人の自己満足として立派だと思うが,それを地球規模まで広げると,必ず地球システムの故障が起こると思う。太陽光も面的だから,大規模に期待するのは不可能だと思う。

化石燃料を使わずに,原子力と水力を組み合わせるときに,飛行機や自動車はどうするのか,エアタノールは必ず必要だ,と言う議論だとすれば,他に化石燃料以外の液体燃料はないのか,水素と言うことになるのか。水素を積んで飛行機は飛べるのか。


1 今日の概要

●インドのシン首相,エタノール生産で,ブラジルを追いかける気はない,とインドによるバイオエタノールの開発を否定,世界的に議論のあるところ。●ネパールの選挙で,毛派が優勢,これで全国的な治安の確保が得られれば,人類最後の戦い,ネパールの水力開発に火がつく。●インドの西北部,ウッタラカンドで,小水力50地点が,今月末にも一挙に入札へ。水力開発新政策の成果か。●パキスタンのバシャダム,2009年着工。北京での資金調達交渉はうまくいったのだろうか。

2 目次

●インドのシン首相,ブラジルのバイオ開発に否定的
●ネパール,制憲議会選で毛派が第1党の勢い
●インド,ウッタラカンド,50の水力プロジェクトを入札へ
●パキスタン,バシャダムの着工は2009年になる


3 本文

●インドのシン首相,ブラジルのバイオ開発に否定的

インドのパティル大統領は,新エネルギー担当大臣ムッテンバール氏を伴ってブラジルを訪問した。ブラジルは,自動車の燃料の20%をバイオマスから生産されたエタノールで代用している,世界でも特殊な国である。サトウキビの生産量も世界第一であるが,インドはこのサトウキビ生産において世界第二位の位置にある。当然,インドはバイオエタノールの面で,ブラジルを見習うべきだという議論が出てきて当然である。

ブラジルから帰ってきた大統領一行は,早速シン首相の一喝を食らう,「インドはエタノールを造らない,このインフレに悩んで,食糧としての穀物が不足して行くときに,何がエタノールだ!」,と言ったかどうか分からないが,シン首相ははっきりと,ブラジルの後を追う気はないと,帰国したムッテンバール新エネルギー担当大臣に言い渡した。

バイオマスについては,いろいろな議論があるようであるが,私が最初に関心を持ったのは,鈴木篁氏のバイオマスの論点であって,氏は木質バイオマスを言っているが,私が単純に理解したのは,化石燃料から脱却して原子力と水力の組み合わせに漸次収斂していったときに,飛行機や自動車はどうするのか,と言う議論だと思う。飛行機に原子炉を積むわけにはいかないし,水素ガスも難しい,どうしてもエタノールが必要だ,と理解した。しかし,私は必ずしも氏の意見を理解したわけではなく,地球を面的に利用しようとするバイオや太陽光には,量的な制約があると思っている。

ジャトロパのホームページ
http://www.jatrophaworld.org/1.html
鈴木篁氏のバイオマスの論点
http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/worldenergy.htm#Label5

●ネパール,制憲議会選で毛派が第1党の勢い

私の見方が正しいかどうか,自信がないが,もしこの選挙の結果で毛派が敗れた場合何が起こるか,実は心配していた。毛派がもし敗れて政治から離れた場合の地方の混乱を思うと,やはりある程度の成績を収めて欲しかった。選挙に敗れたから,或いは選挙に敗れそうだから,ゲリラ化する,というのは卑怯だと思うが,カンボジアのポルポトの場合と違って,地方の民衆からは支持されているなら,結構な話だ。

ポスト京都で,インド北辺で人類最後の戦いが繰り広げられている,と言っているが,この人類最後の戦いには,当然,ネパールの水力開発が含まれる。つい先日までは,このネパールの地にインド企業が入って,膨大な水力資源の開発に手を付ける,など想像も出来ない状態であったから,今ここまで来たネパールの政治は,決して停滞して貰っては,ネパール人だけではなくて,世界の人類の損失だ。

●インド,ウッタラカンド,50の水力プロジェクトを入札へ

ウッタラカンド州と言うのは,ウッタランシャル州から最近独立して出来た州なのですかね,いずれにしても西北部の山岳地帯で,デリーには比較的近い地域だから,水力開発のポテンシャルも大きいが,今日は何と言っても小水力による地方電化,と言うことで,新しい水力開発方針で地元優遇の政策が発表されたから,一挙に脚光を浴びた,と言うことらしい。ほとんどが5〜25WMぐらいの小さい規模である。それにしても,50地点を一挙に入札に付す,と言うのは思い切った措置だ,今月末らしい。

●パキスタン,バシャダムの着工は2009年になる

ラメイヤーのドラフト詳細設計報告書が,ラホールで公開,説明されたと言うことらしい。この記事では,水の利用ばかり書いているが,我々にとって関心があるのは,先日,ムシャラフ大統領が北京を訪問して,この大プロジェクトの資金調達を交渉してきたはずだ。うまくいったのだろうか。2009年に着工の見通しが立った,と言うことは,その交渉の結果なのだろうか。

パキスタン,大規模ダムプロジェクト位置
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040401.jpg
バシャダム,貯水池の概要
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040402.jpg
バシャダム,ダム構造平面,高さ281m
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040403.jpg
2206年4月,ムシャラフ大統領,バシャダムの着工命令
http://www.paklinks.com/gs/showthread.php?t=215216
バシャダムサイト,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040404.jpg


4 その他

●パキスタン政府,7%の電力料金値上げへ


5 参考資料

2008年4月14日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080414A Pakitan, The International News
パキスタン,バシャダムの着工は2009年になる
Work on Basha dam to start in 2009
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=106432
●080414B Pakistan, The Post
パキスタン政府,7%の電力料金値上げへ
Govt to raise electricity tariff by 7pc
http://thepost.com.pk/MainNewsT.aspx?bdtl_id=10373&fb_id=2&catid=14

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

●080414C ネパール,4月12日19時44分配信 毎日新聞
<ネパール>制憲議会選で毛派が第1党の勢い
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080412-00000071-mai-int

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080414D India, Economic Times
ウッタラカンド,50の水力プロジェクトを入札へ
Uttarakhand to invite bids for 50 hydropower projects
http://www.business-standard.com/common/news_article.php?leftnm=10&bKeyFlag=BO&autono=319790
●080414E India, Economic Times
インドのシン首相,ブラジルのバイオ開発に否定的
PM says no to bio-fuel production out of foodgrains
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/PM_says_no_to_bio-fuel_production_out_of_foodgrains/articleshow/2948669.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月13日分 ー先進国は途上国の森林に資金を

昨夜収集した資料を,マニラに向かう機中で読んで編集しています。午後に着いて,さてうまくすぐに環境を整えて,送ることが出来るかどうか。マニラで待ってくれている仲間が,足立さんがうるさくうるさくネット環境のことを言うので,怒っているかも知れない。でも,数年前にアフリカの各国で苦労しながら更新していたことから考えると,マニラに対して当然のように,ブロードバンドを整えて下さい,と言える世の中になったわけだ,と感慨深い。

「先進国は途上国の森林に資金を」,と主張しているのは,日本のセクトラルアプローチを,会議の時間を長引かせただけ,と罵ったタイのバンコクポストである。非常に特異な理論の展開で,化石燃料を節約して経済成長を抑えるよりは,森林造成などの経済活動で温暖化ガスを抑制する方が,経済,即ち貧困削減には,早くて,安くて,易しい,と言っている。先進国が発展を続け,途上国の森林にお金を回せ,と言っているのか。


折から,今朝の日本経済新聞では,「日本,温暖化ガス排出枠1200万トン確保,2007年末時点」,と言うタイトルで環境省の調査結果を発表している。1200万トンである,日本の叡智を結集して1200万トンである。私は,日本の叡智は,日本の温暖化ガス排出抑制に動員するよりは,中国やインドの石炭火力,インドネシア,中国などの森林に動員すべきだと思う。それの方が余程地球のためになる。そこでセクトラルアプローチが出てくるわけであるが,途上国への押しつけと言われると,はや何とも。


1 今日の概要

●3月のバンコク気候変動会議,日本の提案を時間伸ばし,と罵ったバンコクポストが,化石燃料の節約入りは熱帯林の保護造成の方が,早くて安くて易しい,と森林論を展開。●インドのNTPCの輸入石炭が,前年の250万トンの倍増する勢い。インド西部の石炭火力に苦労しているのか。●ベトナムの電力不足,EVNはどうやら政府のIPP重視の姿勢が気に要らないようだ。


2 目次

●気候変動バンコク会議,森林への正しいアプローチ
●インド,NTPC,今年の輸入石炭は倍増の可能性
●ベトナム,全土で厳しい電力不足に見舞われる


3 本文

●気候変動バンコク会議,森林への正しいアプローチ

先月,2008年3月末にバンコクで行われた気候変動の作業部会,バンコクポストが改めて問題点を取り上げた。前回の同紙の記事は少し配慮に欠けたもので,日本のセクトラルアプローチが,会議を無駄に長引かせた,最終的には日本政府はこれを取りさげた,と書いたが,今回はもう少し冷静に考えてみようという雰囲気で,その前の2007年12月にインドネシアのバリで行われた森林問題を掘り下げている。

少し時間をかけて読んだ方がよいが,記事の言わんとしているところは,12月の会議でシンガポールのリー首相が言ったように,それぞれの国の経済には,それぞれ異なったところに関心がある。従って,どの国も一様に同じ行動をとるのではなく,その国の持つ経済の様相に従って行動を変えるべきである,と言っている。特に発展途上国の関心の持ち方は,先進国とは全く異なったところにポイントがある。

バリの会議で問題となった熱帯林の温暖化抑制への貢献には,大いに注目する必要がある。これは発展途上国が持っている大きな特徴で,タイには熱帯林がないと言われるけれども,それでも国土の27%の森林を持っている。森林は原始林であっても,例えそれが植林したものであっても同じ効果があり,化石燃料の燃焼を節約しようと言う努力よりは,森林を増やす方法は,早く,安く,また技術的に易しい。経済的な効果も大きいはずである。

面白い言い方だが,グリーンピースやWWFなどにとっては,貧困の撲滅よりは,商業的森林活動を中止することの方が重要なのである,と。また,結局,先進国が資金を供与することによって,発展途上国の森林を保護することが,考え方としてはよいと思う,と結んでいる。まあ,森林偏重であり,具体的な数字も挙げていないが,一つの示唆としては興味ある議論である。

「発展途上国にとっての眞の気候変動の脅威とは何か」
http://www.worldgrowth.org/assets/File/WG_The_Real_Threat.pdf

●インド,NTPC,今年の輸入石炭は倍増の可能性

今後のインドの石炭火力の主役であるNTPCは,2012年までに設備出力5,000万KWを目指し,新たに22,430MWを開発する計画であるが,国内石炭だけでは賄えなくなってきて,前年に250万トンであった輸入石炭が,2008〜2009年では,倍増の500万トンに達する見込みである。私の見方であるが,インド西部の電力不足を補強するのは,東部に偏在する国内石炭の流通が思わしくないのではないか。電力,石炭,輸送,と
3部門に別れた行政では,この燃料調達は大変なようだ,中国然り。

石炭の総量問題だが,世界で現時点,可採埋蔵量は98,457億トンと言われていて,石油が41年で枯渇するのに,石炭は192年,約200年といわれている。インドはこのうち,米国(25.4%),ロシア(15.9%),中国(11.6%)に続いて世界第4位の包蔵量を有し,推定で2,480億トン,確認埋蔵量は930億トンと言われている。

これに対して,昨年度,2006年〜2007年の総使用量は11.1億トン,このうち243百万トンを輸入している。インドが輸入先としているのは,インドネシア,オーストラリア,南アメリカである。

●ベトナム,全土で厳しい電力不足に見舞われる

先日から,ベトナム,特にハノイなどを中心とした北部の電力不足が深刻なようで,EVNが泣き叫んでいる。勿論原因は渇水で,ホアビンやタクバの水力発電所の出力不足なのであるが,EVNは,どうも政府のIPP重視の政策に不満があるように受け取られる。今回も,新しくIPPであるカマウ第1及び第2ガス火力などの,運転状況に問題があるようで,黙ってオフテーカーにされて,電力不足の責任をとらせられることに,不服のようだ。


4 その他

●インド,マハラシュトラの砂糖企業,100万KWの電源開発へ


5 参考資料

2008年4月13日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080413A Vietnam, VNA
ベトナム,全土で厳しい電力不足に見舞われる
Country faces severe shortage of electricity
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=02SOC110408

タイ
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080413B Thailand, Bangkok Post
気候変動バンコク会議,森林への正しいアプローチ
The right way to exploit forests
http://www.bangkokpost.com/Business/12Apr2008_focus01.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080413C India, Economic Times
NTPC,今年の輸入石炭は倍増の可能性
NTPC to double coal import this year
http://www.upi.com/International_Security/Energy/Briefing/2008/04/11/ntpc_to_double_coal_import_this_year/9090/
●080413D India, Economic Times
マハラシュトラの砂糖企業,100万KWの電源開発へ
Maharashtra sugar co-ops to produce 1,000MW surplus power
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Maharashtra_sugar_co-ops_to_produce_1000MW_surplus_power/articleshow/2944055.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月12日分 ーフィリッピンにも電源開発計画があった

私,明日早朝関空よりマニラ入り,しばらくマニラよりメルマガを送ることになりますが,最初はもたもたするかも知れず,若干の遅れはどうかご容赦下さい。マニラからの新鮮な情報もご期待下さい。

昨日来,インドの電力省の首を吊る話や,重電メーカーの問題で,新任のラメッシュ氏の話が出てきました。職名がよく分からなかったので,メルマガ上で助けを求めたところ,インド経済研究所の友人から情報を得ました。ラメッシュ氏は,ミニスター・オブ・ステイト・フォア・パウアーですので,電力省副大臣に匹敵する地位で政治職のようです。発言がきついのも政治家の性ですね。情報有り難うございました。

「フィリッピンにも電源開発計画があった」,私はいつも,資産売却にうつつを抜かして電源開発を忘れたフィリッピン,と随分悪口を書いてきたが,発憤,マニラに行って何らかの電源開発の一翼が担えないかと,明日旅立つわけですが,数日前にフィリッピンの記事とエネルギー省のページから,中部電力が作成した2014年までの需給計画以後,彼らもある程度研究を進めていることを知った。

それは,2007年12月19日にマカティのルネッサンスホテルで開かれたエネルギー投資フォーラム2007でエネルギー省のオカンポ次官が発表したもので,16地点,合計出力3,118MWに達する堂々たるものである。大きなものを挙げて行くと,バターンガスのサンガブリエル550MW,パグビラオ火力400MW(東京電力が関係したプロジェクト),カラヤン揚水3号機360MW,ケソンパワー増設400MW,ケソンの複合ガスタービン300MWなどが上がっている。

一部に具体的なものがあるが,これはあくまで「インディカティブ」,と称するもので,あくまでエネルギー省が示唆したプロジェクトで,実施についてはあくまで民間資本の動向に左右される。資産売却を進め,完全民営化が成されて,電源開発は自由競争の中で民間が行う,そこに見えざる手が働いて,自ずと需給のバランスがとれる,と言う考え方,これからお手並み拝見と言うところであろうか。

フィリッピンの電力需給,エネルギー省,インディカティブ電源開発プラン
http://www.doe.gov.ph/ipo/2007/DOE_Power%20Supply%20Demand%20Situationer%20and%20Power%20Sector%20Reforms%20Update.pdf


1 今日の概要

●フィリッピン,ルソン島が夏に入り需要が鰻登り,昨日のピークは6,333MW。マニラ電力の副総裁が家庭での節電を呼びかけ。●ODAの世界で出遅れる韓国,政権交代でインドネシアのカリマンタンへの石炭火力支援へ。●ブータンの氷河湖決壊問題,二つの氷河湖が2010年までに崩壊の危険,二つ同時に決壊すると5800万トン流出。●ODAで出遅れる韓国,インドネシア,カリマンタンに20万KW石炭火力を支援へ。


2 目次

●フィリッピン,マニラ電力,この暑い夏の電力運営は,重大な決意で
●韓国政府、インドネシアと戦略的経済協力に向け協議
●ブータン,氷河湖の崩壊の危険,目前に,2010年か
●ラオスのナムテン2水力,1.45億ドル,いよいよ湛水開始


3 本文

●フィリッピン,マニラ電力,この暑い夏の電力運営は,重大な決意で

フィリッピンの電力事情,特に人口4000万人を有するルソン系統については,4月9日の本欄でも若干の分析を行った。昨日の最大需要ピークは6,333MWで過去最大を上回ったのではないか。設備出力は12,092MWあるにもかかわらず,昨日の可能最大の発電力は8,062MWに過ぎず,4,030MWも発電不能になっている,イリジャンからのガスパイプラインの定期検査の影響もあるようだ。

今年の夏,6月は7000MWを超え,8000MWに迫るとの予想もあり,結構大変みたいである。マニラ電力Meralcoのチュナ副総裁は,供給に自信を示しながらも,各家庭での節電を呼びかけている。

マニラ電力のホームページ
http://www.meralco.com.ph/
フィリッピンの電力需給,エネルギー省
http://www.doe.gov.ph/ipo/2007/DOE_Power%20Supply%20Demand%20Situationer%20and%20Power%20Sector%20Reforms%20Update.pdf
フィリッピン,エネルギー省のホームページ
http://www.doe.gov.ph/
NPCのホームページ
http://www.eco-web.com/register/05881.html
国家送電公社のホームページ
http://www.transco.ph/
フィリッピン,エネルギー省のホームページ
http://www.doe.gov.ph/

●韓国政府、インドネシアと戦略的経済協力に向け協議

韓国は,その経済力に比べてODAの額が非常に小さいと,OECDからも指摘されている。新しく李政権になって,経済成長重視の姿勢とともに,ODA関連も見直しの雰囲気があるのか,知識経済部の李載勲第2次官がインドネシアを訪問し,カラ副大統領とプルノモ・エネルギー鉱物資源相に会い,カリマンタン島・バリクパパン石炭火力発電所建設運営事業,10万KW2基,5.5億ドルの支援を約束した。中国にジャワ島を席巻されての,ささやかな離島での巻き返しか。

円借款,中国,韓国,インドネシアの推移
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0960.html

●ブータン,氷河湖の崩壊の危険,目前に,2010年か

JICAー電発で,ブータンのプナチャンチュウ水力発電所の開発調査を実施したとき,問題になったのが上流の氷河湖の決壊である。既にその時に,1994年の18000万トンの氷河湖決壊があり,下流で20人が犠牲になっている。下にあるのは現地で入手した貴重な写真である。我々は,ダムを造っても,決壊した氷河湖による洪水を安全に下流に流すことが出来れば,問題はない,との考え方で走った。

今日の報道では,ソーソルミ,ラフストレンの二つの大きな氷河湖が,2010年までには決壊する可能性がある,との調査結果を報じている。二つが同時に決壊すれば5800万トンの水が一挙に下流に洪水を起こすわけで,1994年の3倍の規模となる。UNDPが資金を出して水を下流へ排水する工事を行うと言っているが,8000m近い山に300人の挙げねばならないと言う,火薬が使えないからだ。

1994年,1800万トンの氷河湖決壊,下流の状況
http://my.reset.jp/~adachihayao/08041201.jpg
プナチャンチュウ上流の氷河地帯,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08041202.jpg
ブータンの氷河と氷河湖
http://www.rrcap.unep.org/glofbhutan/guide/movie.html
気候変動,ブータンのページ
http://regserver.unfccc.int/seors/file_storage/oc4yf29aqms6vj8.pdf
北大,氷河湖のページ
http://www.museum.hokudai.ac.jp/activity/seminar/2003/seminar58.html

●ラオスのナムテン2水力,1.45億ドル,いよいよ湛水開始

メコン流域最大の経済性を誇るナムテン2水力プロジェクト,2009年12月にもダムゲートを閉め切って湛水を始める。14.5億ドル,1070MWの大規模な水力開発で,90%はタイのEGATが買電する。6200人の水没移住に関して,世界銀行の意向を受けて徹底的な対策を講じた,とされているが,このプロジェクトの功罪はどうであったか,あるグループは満足し,あるグループは不満,いずれにしても,エンジニアリングが容易に環境社会的な要素によって支配を受けることを証明したプロジェクトだ,とこの報道は断じている。

ナムテン2水力会社のホームページ
http://www.namtheun2.com/


4 参考資料

2008年4月12日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080412A Philippines, Manila Bulletin
マニラ電力,この暑い夏の電力運営は,重大な決意で
Use power wisely this summer ? Meralco
http://www.mb.com.ph/MTNN20080411121591.html

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080412B Laos, Scott
ラオスのナムテン2水力,1.45億ドル,いよいよ湛水開始
Reservoir flooding starts at $1.45 billion Laos dam project
http://www.hemscott.com/news/latest-news/item.do?newsId=62865436436559

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080412C インドネシア,4月11日10時32分配信 YONHAP NEWS
韓国政府、インドネシアと戦略的経済協力に向け協議
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080411-00000005-yonh-kr

ブータン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Bhutan.htm

●080412D Bhutan, Kuensel
氷河湖の崩壊の危険,目前に,2010年か
Global warming guarantees GLOF
http://www.kuenselonline.com/modules.php?name=News&file=article&sid=10186


「中国企業の増殖は許さない」,と息巻いているのは,昨日,電気が出来なければ首を吊る,と宣言したインドの新電力大臣ラメッシュ氏(彼が新任の電力大臣なのかどうか,よく分からない,ステートと書いてあるので,誰かフォローしてくれますか。)である。インドは,政治的には自由,資本主義国家であるのに,発電機などを製作する重電企業は,基本的には国営のBHEL一社に限られていたが,折からの電源開発気運で,BHELの生産能力が問題になり,中国企業がその辺をうろうろしているのだろう。

よくBHELの独占でここまできたものだ,と思うのだが,ラメッシュは中国企業を追い出すために,地元企業でなければ駄目,と言う条件を設定した,勿論外国資本との合弁は認めるので,三菱重工などは地元の有力企業L&Tと合弁に乗り出している。インドの電気機器メーカーが東南アジアに進出して,粗悪品で東南アジアの不評を買ったのは1980年代だ。それでも国内は,今でも国内企業に拘っている。

国際入札をすべきではないか,とふと思って日本の実情を見てみると,日本の実情はインドよりもっと悪い。日本ではコストは腹と腹で決まると思っているのか,或いは企業主の電力会社が価格査定に十分の能力を持っていると思っているからか,特命指値,が土木の世界でも主流である。とても海外のメーカーが参入できるような余地はない。日本の電気料金が,アジアの普通の国の3倍以上,と言うところにあるわけで,これを維持するためには,国際入札による競争が入ってくると,この社会と電気料金は崩壊する。勿論,電力の質確保,を担保して国民は許しているのだが。

昨日,ラメッシュは首を吊る発言をしたときに,重電機器メーカーのBHELの能力に言及し,NTPCとのジョイントを容認する姿勢で,特に80万KW級ユニットの超臨界機器についての積極的な推進を強調した。また,JICAは,火力発電所運用改善計画調査,と称して開発調査に乗り出すべくインドへのSW調査団の編成,役務提供の公募を行ったことにも触れた。今後,これらの事実がどの様に展開して行くのか。

私は,日本が提唱し,バンコク会議で蹴飛ばされ,再度7月のG8で挑戦しようとしている気候変動に対するセクトラルアプローチと,このインドの重電業界の閉鎖性が,密接に関係してくる,と言う予感にとらわれている。中国企業が入ってきて,また公害をまき散らす火力機器を沢山造られては地球が困るわけである。

日本のこの業界への企業やJICAの介入は,あくまで火力機器の効率改善,温暖化ガスの排出規制に繋がるものであるわけで,この点を,日本の官民が一致して協力することが重要。大阪ガスが建設するガス火力は,複合技術で効率が57%と言う,57%ですよ!インド人や中国人には想像も出来ない,Jパワーも今,中国にそのセクトラルアプローチの橋頭堡を築いた所である,G8,JICA,Jパワーの健闘を期待する。


1 今日の概要

●インド,昨日,首を吊る,と宣言したラメッシュ大臣が,重電メーカー業界への中国企業の浸食に怒り,焦り,地元企業でなけれなならない,と条件を設定へ。日本企業との関係も微妙。●鉄鋼の原料炭,98ドルから一挙に300ドルへの値上げの動き。電力業界に波及すると,燃料費はKWh当たり10セント以上に跳ね返ってくる恐れ。自動車は1台3万円の影響。●ネパールの憲法制定会議への選挙は比較的平穏,10日後の毛派の結果が気がかり。●インドの主宰するアフリカ会議,55億ドル,インフラ支援を打ち出す。


2 目次

●インド政府,重電機器で,外国企業の参入に条件
●原料炭3倍に高騰,車・電力に波及濃厚,鉄鋼大手合意
●ネパールの王室と毛派の長い戦いの結末
●アフリカと関係拡大へ,インド,14カ国招き首脳会談


3 本文

●インド政府,重電機器で,外国企業の参入に条件

昨日の,電源開発の約束を果たせなければ首を吊る,と言ったラメッシュ氏は,電力大臣かどうか分からないが,電力省の重要ポストに新任した,ミニスターオブステイツパウアーだから,はっきりするまで,ラメッシュ氏は新任の電力大臣,としておこう。今日も彼の発言でインドの現地紙は賑わっている。インドにはBHEL社と言う国営企業があって,発電機器製作の大部分を担っているが,最近,その生産能力に問題が出てきた。

今日のラメッシュの発言は,中国重電メーカーの,「プロリフィレーション」,増殖に耐えられなくなってきたラメッシュ氏の信条を吐露したもので,インドに本拠地を置くメーカー以外は,インドの発電業界に参入させない,と言う怒りの,或いは焦りから出たものである。資本主義社会のインドにおいて,長らくBHELが独占をしてきたわけだが,この能力の限界を見た中国企業が盛んに進出して,ラメッシュの神経を逆撫でしている。

そういえば,日本なんかでは資本主義といいながら,設備投資の重要な担い手である電力などは,いつまで経っても,「特命指値」,の制度に守られて,土木もそうだが,重電メーカーもほとんど外国企業の参入は不可能な状態だ。それがインドの場合は,それに輪をかけてBHELの独占状態が続いてきて,ここに来て膨大な電源開発に耐えられなくなった隙間をついて,中国企業が,ラメッシュが耐えられないほど,増殖してきたわけである。

少し調べてみると,日本の企業も一生懸命,間隙を縫ってこのインドの重電業界に侵入しようとしている。インドにはもう一つラーセン・アンド・トウブロL&Tという建設企業があるが,昨年7月頃に,三菱重工はここと合弁を組んで,日本の重電メーカーとして初めてインド合弁生産に乗り出すことになった。また東芝は,西のコルカタ近辺での円借款による揚水発電所の建設で,BHELと協力して,Jパワーのエンジニアリングによるプルリア揚水を昨年完成させた。

このように,日本のメーカーもインドの電源開発を見込んで参入を目指しているが,ラメッシュを焦らすほどではない。ラメッシュをあそこまで怒らせた中国企業のインド重電業界への参入とはどの程度のものなのか,この記事でははっきりしない。しかし,いずれにしてもインドの重電生産能力は低く,今後の膨大な電源開発計画には耐えられないであろう。日本のセクトラルアプローチに大きなチャンスがある。

インド重電メーカーBHELのホームページ
http://www.bhel.com/home.php
Larsen & Toubro (L&T) のホームページ
http://www.lntecc.com/home.htm
東芝のプルリア揚水参入の記事
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070306AT1D0506I05032007.html

●原料炭3倍に高騰,車・電力に波及濃厚,鉄鋼大手合意

石炭の値上がりが,中国の発電業界を揺らせている,中国政府が頑として電気料金の値上げを認めない,と言う記事は何度かこのHPでも取り上げているが,日本の鉄鋼業界が,ここまでの値上げに応ぜざるを得ない状況まで来ているとは思わなかった。英豪系資源メジャーBHPビリトンの発表ではあるが,日本の鉄鋼業界は原料炭の輸入でトン当たり98ドルから一挙に300ドルに跳ね上がるという。ショッキングな記事である。

鉄鋼業界の使う原料炭は良質で,KG当たり7600キロカロリーであるが,発電では一般炭が主流で6200KCLである。因みに,無煙炭は6500,亜炭は4100である。どの様に今後発電業界にこの値上げが影響してくるか分からないが,例えば電源開発に多量に使用される鋼材の値段は,トン5万円程度であったものが10万円に跳ね上がるという。例えば自動車は1トン程度であるが,自動車値段は三万円程度の影響を受ける。

電力も,水車発電機,水圧鉄管などは勿論のこと,鉄筋コンクリートの鉄筋などへも波及するが,重要な点は,発電用の石炭への影響である。トン100ドル程度の石炭で,KWh当たり3.4セントと理解していたが,トン300ドルの石炭だと,KWh当たり10セント以上になってくる。。

先日,インドネシアがLNG百万Btu当たり8ドル程度であったものを,プルノモ大臣が来て暴露したニュースでは,16ドルを要求したという。LNG16ドルの発電燃料費換算は13.7セント,今度石炭がトン300ドルまで来るとその燃料費はLNGに匹敵するところまで来てしまう。中国の発電業界は崩壊する可能性がある。インドなどでは経済を破壊しかねない。両国とも,国内石炭価格をどの様にコントロールするかだ。

●ネパールの王室と毛派の長い戦いの結末

この記事の詳細はなかなか読み応えがあるが,今日は読まない。今朝のニュースで,憲法制定議会への選挙が昨日実施され,比較的平穏に進行して10日後には結果が判明する。問題は,毛派の成績だろう。結果が気にくわなければ何をするか分からない。今,インド企業などが入ってやっと外国資本による水力開発が軌道に乗ろうとしているのも,毛派の政治復帰があるからだ。共和制移行は必至だろう,いいことだ。

外務省のマオイスト政治復帰の解説
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/18/dga_1122.html

●アフリカと関係拡大へ,インド,14カ国招き首脳会談

今朝の日本経済新聞は,「インド,アフリカ資源争奪に名乗り,中国に対抗し巨額支援」,と題して,インフラ整備のために54億ドルの支出を約束したようだ。中国への対抗手段であるが,次に開かれる横浜での日本招待のアフリカ会議,日本は独自の立場であるが,あくまでアフリカ自立,を建前に拘ると,中国やインドのインフラ攻勢に影を失ってしまう。


4 その他

●タイのEGAT,ラオスの147万KWホンサリグナイト,買電契約
●中国の再生可能エネルギー,2010年までに10%,水力含むのか


5 参考資料

2008年4月11日分

電力一般


●080411A 石炭価格動向,4月10日8時3分配信産経新聞
原料炭3倍に高騰 車・電力に波及濃厚 鉄鋼大手合意

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080410-00000074-san-ind
http://www.sankei.co.jp/

ネパール
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Nepal.htm

080411B Nepal, Online WSJ
ネパールの王室と毛派の長い戦いの結末
Of Monarchs and Maoists

http://online.wsj.com/article/SB120768305816898893.html?mod=googlenews_wsj

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080411C Laos, Bangkok Post
EGAT,ラオスの147万KWホンサリグナイト,買電契約
Egat seals Laos deals

http://www.bangkokpost.com/Business/10Apr2008_biz28.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080411D インド,4月10日8時1分配信 産経新聞
アフリカと関係拡大へ インド、14カ国招き首脳会談
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080410-00000085-san-int
http://www.sankei.co.jp/
●080411E India, Economic Times
インド政府,重電機器で,外国企業の参入に条件
Govt to slap pre-condition on foreign power equipment cos

http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Govt_to_slap_pre-condition_on_foreign_power_equipment_cos/articleshow/2939477.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080411F China, Business Green
中国の再生可能エネルギー,2010年までに10%
China's renewable energy revolution gathers pace

http://www.businessgreen.com/business-green/news/2213892/china-renewable-energy


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月10日分 ー人々に電気を与えなくば恥じて首を吊る

「人々に電気を与えなくば恥じて首を吊る」,と大見得を切ったのは,新たにインドの電力大臣に就任したJラメッシュである。彼はアンデラプラデッシュ州の人で与党の中での重要な位置にいる人物。これまでは,国会で電力大臣が電力不足を強く叱責されて,そのたびにシンディ大臣は,大丈夫だ,第11次五カ年計画では78,000MWの新規電源を完成させる,と強気の発言をしてきた。

それでも国会は納得せずに,これまでの開発実績を見ると,そのような大きな数字を達成できるとは思えない,言うだけだろう,さんざんに電力省を攻撃してきた。このラメッシュも同じように,既に145地点,51,000MWが工事または準備中で,この目標を達成するが,今の直接の目標は,2008年〜2009年のこの年度で,11,000MWの完成だ,とりあえずこれが達成できなければ,首を吊る,と言ってしまった訳である。

日本の桝添厚生大臣の立場とよく似ている。年度内にやる,と言い切って,誰も出来ないと思っているのに言ってしまう,桝添さんが,出来なければ首を吊る,ともし言ったとするならば,本当に桝添さんは首を吊ることになるだろうか。このラメッシュさんは生粋の政治家であるから,人生の中で何度もこのような発言をしてきたのだろうか。

今日の記事の彼の言葉の中で,重電メーカーの超臨界火力機器の開発促進が出て来ていることが,彼が具体的に電源開発の進捗を真剣に考えていることを匂わせるが,彼の言った言葉で強い印象を持ったのは,民間開発と言う呪文では目標は達せられない,と言っている言葉である。

フィリッピンが,電力改革の結果,民間資金の活性化を期待し,この呪文を唱え続けているわけだが,これに対して,インドネシアのクラッシュプログラム,1000万KWの石炭火力開発や,タイのPDPなどには,政府主導の意識が強く感ぜられる。インドは現在,UMPP,400万KW大規模火力建設の計画を進めているわけだが,ラメッシュ氏は,民間という呪文に頼らずに,公共事業体,NTPCなどの開発に重点を置く,と言っている。感覚的には正しいのではないか。

折からJICAは,火力発電所運用改善計画調査,と称して開発調査に乗り出すべくインドへのSW調査団の編成,役務提供の公募を行った。これは,ラメッシュの公共体主導での電源開発,また,ポスト京都の日本の提案,セクトラルアプローチと密接に関係するであろう開発調査で,インドの電力危機回避への貢献や,G8で再度持ち出されるであろうセクトラルアプローチへの援護射撃になることを期待する。

ラメッシュ電力大臣の経歴
http://commerce.nic.in/MOC-CV-JR.pdf
JICA,公示案件・役務提供契約,火力発電所運用改善計画調査,事前調査(S/W協議)
http://partner.jica.go.jp/main_out/servlet/CTRL?NEXT_PAGE=/TI/TI_details.jsp?TAL_NO=102003000813869


1 今日の概要

●インド,新任の電力大臣ラメッシュ,2008年〜2009年の11,000MW運転開始が達成できなければ,恥じて首を吊る,と大見得を切ってしまった。●ラオスのナムテン2水力,湛水開始,世界銀行が経過を振り返って,住民との対話の成功などを評価。●インドによるカシミールのバグリハールダム開発,完成を2,3ヶ月後に控え,パキスタンとの間で不協和音,インドが現地調査を認めず。


2 目次

●インド,人々に電気を与えなくば,恥じて首を吊る
●ラオス,ナムテン2水力,多くの教訓を学んだ
●バグリハールダム,パキスタンの視察要請,インドは回答せず

3 本文

●インド,人々に電気を与えなくば,恥じて首を吊る

このラメッシュという人物,アンデラプラデッシュの人で,この記事では,新任の州電力大臣,と書いてあるから恐らくAP州の電力長官だと思うのだが,最初の書き出しからして,ひょっとしたら中央政府の電力大臣シンディ氏が交代になったのかも知れない,もう少し調べてみる。あまりにも大きなことを言っているから,中央の電力大臣が替わったのかな,と思ったりしている,再度確認の要。

との角彼が激しいことを言っている。これは自分自身のことを言っているのだが,「もし,中央電力省の方針である,2008〜2009年の電源開発計画,11,000MW運転開始,この目標が達成できなかったときは,私は首を吊る!」,と言っているのである。余程の覚悟があるものと見えるが,どうであろうか,政治的なものか,国会に対する政治的発言か。

彼の発言で注目すべきは,民間開発と言う言葉はマントラではない,即ち電源計画達成への呪文にはならない,と言っているのである。民営化を進める今でも,電源開発の決め手はあくまで公的な開発機関,公共事業体,即ち,NTPCであり,NHPCであり,PGCILだ,と言っているのである。シンディ前電力大臣は,民間への刺激策が即ち電源開発の起爆剤,と言っていた点では,認識が大いに違う。

またラメッシュ新電力大臣は,更に続けて,重電機器メーカーのBHELの能力に言及し,NTPCとのジョイントを容認する姿勢で,特に80万KW級ユニットの超臨界機器についての積極的な推進を強調している。更に,農村電化に言及し,RGGVYと言う地方電化推進機関への十分な予算措置の必要にも言及,残り12万5千無電化村落の早急な電化を約束している。

RGGVYの設定計画書,農村電化プロジェクト
http://nac.nic.in/atrs/atr_rggvy_19nov07.pdf
ラメッシュ電力大臣の経歴
http://commerce.nic.in/MOC-CV-JR.pdf
インド,電力省のホームページ
http://powermin.nic.in/

●ラオス,ナムテン2水力,多くの教訓を学んだ

この記事は世界銀行のサイトの中に書かれたもので,書き方は報道的だが,世界銀行自身の賞賛ともとれるし,これからの世銀プロジェクトへの覚悟を語った,とも言える珍しくて奇妙で,文章もなかなか味に満ちたものである。

実際にこのナムテン2水力プロジェクトは,1990年初期以来,私自身も深く関心を持ってきた典型的なプロジェクトである。それ以前にUNDPが可能性調査を行う段階で,オーストラリアのスノウイマウンテンと日本工営が激烈な競争をやった。日本工営は僅差で敗退したわけであるが,もし日本工営がかっていたら,場面はどの様に展開していったであろうか,とよく日本工営の友人と論じたものである。

このプロジェクトは,メコン流域きっての経済性と規模を誇る水力素材である,と言うことは,我々はよく知っていた。今でも私は,もし今後タイで大きな電力危機が生じた場合には,地下発電所を造って,合計200万KWまで持っていける,立派な地点であると思っている。結局,オーストラリアの手に落ちて,その後民間開発となり,フランスのEDFが主導する。

世界銀行の支援が得られるかどうか,大変な時期に,EDFが降りると言い始めて,一時騒然となった。その時私は東京電力の友人と語って,日本でこのプロジェクトを奪取できないか,と話したことがあった。いずれにしても,1990年より初めて,15年の月日が経ち,世界銀行が慎重に国際世論を睨みながら,最終的には着工にこぎ着けたわけで,今日の記事では湛水を開始した,と報じている。

この記事は一貫して,移住地元民の将来生活を如何に持続的とするか,住民達自身との対話を非常に重視した,と自負している。ラオス政府は,このナムテン2を一つの教科書として,その後のプロジェクトを運用して行くことを考えているが,最近は,ラオスもさることながら,ミャンマーやカンボジアで中国資金の参入から,情報開示が非常に閉ざされて,NGOなどが心配している。

ナムテン2のホームページ
http://www.namtheun2.com/

●バグリハールダム,パキスタンの視察要請,インドは回答せず

カシミールのシェナブ川に建設しているインドのバグリハールダム,下流のパキスタンが,その設計に不満で,世界銀行から派遣された中立的なエンジニアーの仲裁で,今日まで工事が続いてきたわけであるが,来月に行われるインダス川委員会の席上では,この議題は取り上げない,とのインドの主張が問題となっている。2,3ヶ月後には運転開始する予定で,それまではパキスタン調査団の現地視察を認めない方針で,パキスタン側の不満が募っている。

バグリハールダムのグーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08041001.jpg
バグリハールダム概要,インド側資料
http://www.pakistan.gov.pk/ministries/water-power-ministry/media/SUBMISSION-BHP/09/Salient_Features.pdf
インダス水条約
http://www.bharat-rakshak.com/SRR/Volume13/sridhar.html


4 その他

●<中華経済>電力会社の4割が赤字、火力発電のコスト増深刻―中国


5 参考資料

2008年4月10日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080410A Pakistan, The International News
バグリハールダム,パキスタンの視察要請,インドは回答せず
India quiet on Pakistan request for Baglihar inspection
http://www.thenews.com.pk/print1.asp?id=105809

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080410B Laos, World Bank
ナムテン2水力,多くの教訓を学んだ
Vital Lessons from Nam Theun 2
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/NEWS/0,,contentMDK:21719515~pagePK:34370~piPK:34424~theSitePK:4607,00.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080410C India, Economic Times
国民に電気を与えよ,さもなくば首をつれ
Give power to the people or hang head in shame: Jairam
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Give_power_to_the_people_or_hang_head_in_shame_Jairam/articleshow/2936389.cms

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080410D 中国,4月8日19時50分配信 Record China
<中華経済>電力会社の4割が赤字、火力発電のコスト増深刻―中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080408-00000033-rcdc-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月9日分 ー海面上昇?それまで生きていたくない

「海面上昇?それまで生きていたくない」,と,ベトナムのメコンデルタで農民を捕まえては地球温暖化,海面上昇の恐怖を説いて回るジャーナリストに答えるデルタの農民の答えである。本当に,しなくてもよいのに,デルタの中に入っていって,農民や子供達に,海面上昇,1991年以来毎年3.1mm上昇していて今世紀末には50cm上昇する,と脅かしてはコメントをとっているジャーナリストの記事である。コップの中の氷が溶けても水は溢れない,と言うことを知ってか知らずか。

メコンデルタは,ベトナムの米の40%を生産している重要な地域である。初めてメコンデルタに入ったとき,私はその豊かさに目を見張った。事実足を踏み入れる前は,メコンデルタというのは湿地帯で,歩くところもないぐらいの泥沼,程度にしか考えていなかった。ところが,カントーなどの大都市はあるし,市場の農産物の豊富さは,まさしく豊かさの象徴であった。

我々の問題意識は,洪水のために被害を受けるメコンデルタの問題とともに,メコン河の渇水期に,海水が川の河口に入ってきて,稲作が塩害の大被害を受ける問題であった。メコン河の水は,ラオスのビエンチャンの前で渇水量毎秒700トンであるが,タイが東北タイで500トンの水が欲しいと言っている,また,メコンデルタを塩害から救うには,毎秒2000トンのの増量が必要である,という計算を,当時我々は行っていた。

渇水量を増やすためには,どこかにダムを造らなければ解決しないのだが,とてもゴールデントライアングルより下流のメコン河でそれだけのダムを造ることは困難,中国領内に造らざるを得ないのではないか,と議論していた。当時は全く上流の中国で何が行われているのか分からず,恐らく中国はダムを造るだけの経済的な余裕がないから,下流から誰か行ってこい,なんてのんきな話であった。

でも,中国は今や独自の判断で上流にダムを建設しているが,大規模と言われる小湾でも,理論上僅かに毎秒700トンの水を生むだけで,とてもメコンデルタの塩害を救うような規模ではない,非常に困難な問題である。デルタの問題を解決するために,日本の河川の専門家を呼びたい,と言われて当時の建設省に話をしようとしたら,農林省から,ちょっと待った,と止められたことがあった。

メコンデルタ,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040902.jpg


1 今日の概要

●インドネシア,スララヤの石炭火力現場を視察したカラ副大統領,完成予定を選挙前の2009年3月に繰り上げてくれたら,報奨金を出すと叱咤激励した。●フィリッピン,資産売却にうつつを抜かすが,実はエネルギー省は電源開発計画を持っていた,インディカティブとしているだけに,民間頼り,ほとんど進行しないプロジェクトに憂鬱。●メコンデルタは海面上昇で真っ先に被害を受ける,とジャーナリストが脅かす。●フィリピンの資産売却で,燃料供給をどうするかの問題,IPPAの議論。●中国がスリランカで港湾建設に力点,中国海軍の駐留拠点の疑いも。


2 目次

●インドネシア,カラ副大統領,PLNへ指示,電源開発工事を急げと
●フィリッピン,電源開発への民間資本,動かず,僅かに920MW
●メコンデルタ,海水面の上昇,あまり多くの人は気にかけず
●フィリッピン,IPPプロジェクトについて,燃料供給は自身で契約へ
●中国,油田開発急ピッチ,渤海湾など新規発見,中東上回る


3 本文

●インドネシア,カラ副大統領,PLNへ指示,電源開発工事を急げと

「もはや何も問題がないならば急げ,2010年運転開始の予定を,選挙前の2009年3月に完成してくれるならば,報奨金を出すだろう。」,と現場で叱咤激励をしているのは,昨日,チレゴンのスララヤ石炭火力652MWの建設現場を視察したカラ副大統領である。電力不足に苦しむインドネシア,ジャワバリ系統は,クラッシュプログラム(クラッシュというのは,集中する,と言う意味なのですね,)と称して,35の石炭火力を,2010年までに1000万KW開発する計画を進行中である。

このスララヤは,中国の銀行などの支援を受けて334百万ドルの建設費で着工したものだが,中国支援と言うことで,機材や人材など多くを中国に依存せざるを得なかったが,今冬の中国国内の行による混乱の影響を受けて,資材輸送などに遅れが生じていた。それをカラ大統領は,自ら中国の参入を後押ししただけに,来年の選挙を控えて,現地で激励をなった訳だ。しかしこの石炭火力,KW当たり512ドルですね,安い!さすが中国だ,これでは日本は太刀打ちできないが,温暖化問題で近い将来,何か問題が起こりそうな予感がする。

クラッシュプログラムは何度もこのHPにも出てくるが,35カ所,1000万KWの石炭火力を建設する計画で,そのうち10カ所はジャワ島内,少なくとも2010年までには完成することになっている。このラインに乗ったものでスララヤ以外の主なものは,東ジャワのパチタン60万KW,バンテンのナガ90万KW,西ジャワのプラブハンラト90万KW,ランプーンの20万KW,などである。

この西ジャワのスララヤ付近では,7つの石炭火力,340万KWが稼働中であり,ジャワバリ系では1500万KWの発電能力があるにもかかわらず,潜在を含めたピーク需要は1625万KWと見られている。

PLNのホームページ
http://www.pln.co.id/
PLN, クラッシュプログラムの説明ページ
http://electricitygovernance.wri.org/files/Indonesias%20crash%20program%20for%20electricity-%20governance%20implications.ppt
PLN,クラッシュプログラム,プロジェクト位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040901.jpg

●フィリッピン,電源開発への民間資本,動かず,僅かに920MW

記事としては初めてフィリッピンの将来の電源開発について書かれたものであろう。先日,ルソン島の電力需給を,このHPでも分析したが,比較的現状では設備に余裕があり,皆のんきにしているが,心ある人は,2011年以降の需給に関して心配している。ほとんど電源開発計画が進んでいないと言うか,ないに等しいからである。もう一度ルソン系統を復習しておく。

ルソンの設備の合計は12,092MWあり,可能出力でも10,466MWを示している。しかしながら,昨日の対応可能な出力は僅かに8,210MWで,設備出力の僅かに68%弱である。その差は3,882MWで,これだけの出力が落ちているのである。需要予測では,今年の夏は7,000MWから8,000MWと言われており,問題は設備の保証出力が,極めて小さいという問題があるのである。話題のサンロケ水力などは,設備出力365MWに対して有効出力は85MWに過ぎない,逆調整池に問題があるのか。2011年のマラヤ石油火力60万KW廃止の予定もある。

資産売却にうつつを抜かすフィリッピンだが,実はエネルギー省のHPの中には,具体的な電源を挙げての開発計画が並べられている。ただ,インドネシアのようにこれを政府の主導権で実行するということは考えていない,何と言っても自由化が重要なテーマーのフィリッピンだから。インディカティブと言う言葉は,一種の提案というか,誰かやりませんかと暗示する,と言う意味であり,実行力のない機関がよく使う言葉である。メコン委員会なども,実際には自分たちで出来ないから,インディカティブな開発計画,と称していた。

実際にHPを見れば分かるが,相当の電源計画が並んでいるが,動き始めているのは,本当に惨めな憂鬱な数字で,ルソン系統では僅かに92万KWである,と記事は嘆いている。詳細なインディカティブなプロジェクトの名前は,記事を見て頂きたい。やはり,電力の引き取り手の問題と資金の問題が,民間開発のネックとなっているのである。


フィリッピンの電力需給,エネルギー省
http://www.doe.gov.ph/ipo/2007/DOE_Power%20Supply%20Demand%20Situationer%20and%20Power%20Sector%20Reforms%20Update.pdf
フィリッピン,エネルギー省のホームページ
http://www.doe.gov.ph/
NPCのホームページ
http://www.eco-web.com/register/05881.html
国家送電公社のホームページ
http://www.transco.ph/
フィリッピン,エネルギー省のホームページ
http://www.doe.gov.ph/

●メコンデルタ,海水面の上昇,あまり多くの人は気にかけず

メコンデルタは,ベトナムの米の40%を生産している重要な地域である。初めてメコンデルタに入ったとき,私はその豊かさに目を見張った。事実足を踏み入れる前は,メコンデルタというのは湿地帯で,歩くところもないぐらいの泥沼,程度にしか考えていなかった。ところが,カントーなどの大都市はあるし,市場の農産物の豊富さは,まさしく豊かさの象徴であった。

我々が問題意識を持ったのは,メコン河の渇水と洪水で,洪水の時のは多くの土地が水没する。日本のように洪水がどっと押し寄せてくるのではなく,あれっと思っている間に,じわっと水位が上がってくる感じなのだろう,稲作が大きな打撃を受ける。渇水時にはメコン河のからの流入が減少し,海から海水が入ってきて塩害を受ける,稲作が被害を受ける。タイが途中でメコンの水をとるプロジェクトには,常に反対している。

メコンデルタが,実は地球温暖化による海面上昇の影響を最初に受ける地域だ,と言う感覚は,我々の間にはほとんどなかった。しかし,この記事は,メコンデルタを含めて海岸部の長さ3000kmを持つベトナムは,相当深刻だというのである。この記事を書いた記者は,メコンデルタの人々にあってその意識を聞いているのだが,誰も関心はない。ところで,地球温暖化で海水面が上がるというのは理論的におかしい,コップの中で氷が溶けても水は溢れないではないか,と言う人もいる。

●フィリッピン,IPPプロジェクトについて,燃料供給は自身で契約へ

大切な議論である,今更,と言う感じがしないわけではない。この記事の私の理解だが,今電力自由化のために,国家電力公社NPCの資産を,最終目標70%売却することで,売却作戦がPSALMの手で進行中だが,NPCが運営していた燃料確保の任務は,売却した後どうするのか,ここのIPPの責任で完遂できるのか,と言う疑問らしい。

電力改革法案を書いたフエンテベラ議員も乗り出して,議論になっている。要するに,IPP管理組合IPPAsによってこれは行われるのだ,と言うことらしいが,フィリッピンの電力改革が抱える一つの問題点だろう。

PSALMの中のIPPA定義のページ
http://www.psalm.gov.ph/priva_IPPA.htm

●中国,油田開発急ピッチ,渤海湾など新規発見,中東上回る

この記事に関係してくる話だが,中国は石炭火力やダム建設を武器に,アフリカ,東南アジアなどに経済的な進出を積極的に行っているが,今まで日本が力を入れてきたスリランカでは,既に中国が援助額で日本を抜いて言うという,スリランカの援助関係日本人の間にも無力感が漂う。今までの石炭やダム,鉄道の他に,最近は懇湾建設に力を入れていると言う。

太平洋戦争の時に,モルジブの英国海軍の港を日本軍が空爆したことがあったが,あのモルジブやスリランカの北端は,欧州やアフリカ,中東からのからの重要な航路の中にあり,マラッカ海峡への入り口とも言える。そのうち,スリランカの港に中国海軍が駐在するのではないか,と昨日の朝日新聞が書いていた。


4 その他

●フィリッピン,石炭需要の急増,国内石炭企業が生産3倍計画へ


5 参考資料

2008年4月9日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080409A Vietnam, Bangkok Post
メコンデルタ,海水面の上昇,あまり多くの人は気にかけず
In Mekong Delta, few know or worry about rising seas
http://www.bangkokpost.com/News/08Apr2008_news20.php

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080409B Philippines, Manila Bulletin
IPPプロジェクトについて,燃料供給は自身で契約へ
Transfer of fuel procurement to IPP administrators proposed
http://www.mb.com.ph/BSNS20080408121275.html
●080409C Philippines, Manila Bulletin
石炭需要の急増,国内石炭企業が生産3倍計画へ
Local mining firm plans to triple coal production to meet strong demand
http://www.mb.com.ph/BSNS20080408121282.html
●080409D Philippines, Manila Bulletin
電源開発への民間資本,動かず,僅かに920MW
Committed new power projects remained dismal at 920-MW
http://www.mb.com.ph/BSNS20080408121281.html

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080409E Indonesia, The Jakarta Post
カラ副大統領,PLNへ指示,電源開発工事を急げと
VP orders PLN to speed up power plant constructions
http://www.thejakartapost.com/news/2008/04/07/vp-orders-pln-speed-power-plant-construction.html

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080409F 中国,4月8日8時26分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
中国、油田開発急ピッチ 渤海湾など新規発見 中東上回る
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080408-00000009-fsi-bus_all


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月8日分 ー一家族月100KWh10年間無料

「一家族月100KWh10年間無料」,で電気を供給する,と約束したのはインド中央政府の電力省。人類最後の挑戦であるインド北辺の壮大な水力開発を続けるに当たって,インド電力省が鳴り物入りで策定した水力開発政策の柱は,開発によって得られた便益の1%を地域の開発基金に組み入れることと,水没など影響を受けた地元住民の家族に月100KWh無料で電力を供給する,と言う2本柱で,いずれも地元対策である。

インド北辺の水力開発は大規模である。今日の記事に出ているスバンシリなども200万KWであり,詳細は調べていないが,巨大なダムを建設して多くの水没住民が生ずるのは間違いない。勿論,水没する前に移住するのであるが,ナルマダの苦い経験があるにもかかわらず,インド中央政府は,この人類の大きな挑戦の前に,あまり怯んでは見えない。しかし,やはり地元対策が開発の最大のネックであることは,この政策が物語っているのである。

プロジェクトが実行されるときに損害を受ける人々にはその損害をゼロにすべく補償が行われる,これは当然プロジェクト企業者の当然の義務である。日本も,昭和40年代に数多くのプロジェクトが計画,実行されて,影響を受ける地元住民との間で紛争が起きたが,補償の枠を超えて経済的支援を供与することには,理論的な抵抗があった。

しかし,これを打ち破ったのは,最初は当時建設省による水資源開発に対する特別措置法に基づく地域支援であり,続いて通産省の電源立地特別措置法による地元の地域開発への貢献を公に認めたことである。この措置は今でも継続しており,電源特別会計として,電源立地に対して多くの貢献をしているのではないかと思っている。

ただ,最近私はこの手法がタイなどでも採用されているにもかかわらず,もう少し何か方法があるのではないか,と思っている。地域開発はどうしても地方官庁の制するところであり,実際に被害を受ける住民が,これをプロジェクト側の貢献として受け入れているかどうか疑問である。特に最近は民間資本による電源開発が多く,これに対応するためには,地元住民の資本参加を促すべきではないかと思っている。地元住民のどこに資本に供する資金があるか,彼らの環境権こそがその供出する資本なのではないだろうか。


1 今日の概要

●インド中央政府は,北東地域及びシッキムでの大規模な水力開発に備え,新しい政策を発表,電力の1%を地域開発へ回すと。●タイの将来に亘るエネルギー源を心配している,原子力開発の必要性を力説している。●インドも長期に亘るエネルギー源を心配している。こちらは,新エネルギーの開発を論じており,自然エネルギーの投資額の大きさを問題にしている。●ミャンマーからのタイへのガス供給,事故で支障。タイの需要の30%をミャンマーのガスが満たしている。


2 目次

●インド,中央政府,北東地域の水力開発で新政策
●もしタイの電力需要が急増したらどうなるのか
●インド,長期的視野での代替エネルギーの開発について
●ミャンマーのガスパイプ,マレーシアのペトロナスが修理


3 本文

●インド,中央政府,北東地域の水力開発で新政策

長い間鳴り物入りで策定されてきた水力開発政策であるが,ここに特に大きな包蔵水力を有し,「人類最後の水力開発」,と私が言うインド北辺,特に北東地域及びシッキムの水力開発について,新政策が発表された。骨子は,発生電力の1%相当分を地域の開発に回した上,移住などプロジェクトによって影響を受けた家族に対しては毎月100KWh,10年間無償で電力を供給する,と言うものである。地域開発の問題については,日本でも電源特別立法で,類似の政策がとられている。考え方としては,失ったものへの補償,と言う観点を一歩超えて,開発への貢献を言う。

このインド北辺の水力開発は,かけ声ばかりでなかなか実際には進んでいないが,民間資本の投入に対する魅力の問題と,州政府を含めた地元の問題がある,と言うことがこれでよく分かる。大規模な水力が多いので結構水没移住の数も多いのだが,あまり中央政府がそれを開発のネックと思っている節は見られなかった。でもこれから十数年以上かけて開発して行くわけであるから,住民も漸次権利意識に目覚めてきて,問題が顕在化してくる恐れは十分にある。

この北東地域及びシッキムでは,2008年〜2012年の第11次五カ年計画の中で4,261MWの開発が計画されている。2003年5月に発表された,「5000万KW水力開発の発議」,によると,北東地域では62地点,30,416MW,シッキムでは10地点,の開発が可能とされており,全国の水力開発予定地点の38%がこの地域に集中している。現在の地域の設備出力は僅かに2,561MWに過ぎない。

今,具体的に上がっているプロジェクトは,スバンシリ下流水力2,000MW,カメン水力1,200MWの水力の他,ボンガイゴアン火力750MW,トリプーラ火力(ガス)750MWなどがある。この地域には現在,JBICの委託を受けたJパワーの調査団が,円借款対象のプロジェクト形成に入っているはずであり,6月と予定されているJパワーの報告書に大いに期待がかかる。いずれにしても,ポスト京都の目玉であり,インドの石炭火力をこの地域の水力で代替する,と言う壮大な地球規模の戦いが始まっているのである。

インド電力省のホームページ
http://powermin.nic.in/
インド電力省の電力政策
http://powermin.nic.in/JSP_SERVLETS/internal.jsp?query=hydropower&searchin=all
NHPCのページにある水力地点位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040801.jpg
スバンシリ水力,NGOの報告書
http://www.cseindia.org/programme/industry/eia/subansiri.pdf
スバンシリ下流水力のグーグルマップ
http://wikimapia.org/1769680/
カメン水力の概要
http://www.neepco.gov.in/kameng.html

●もしタイの電力需要が急増したらどうなるのか

何のために書かれた記事かな,首をかしげながら読んで行くと,要するに原子力開発が円滑に行かなかったら,タイの経済はどうなってしまうのか,と言う趣旨で,原子力開発への一般の関心を喚起している。6%成長で15年後には電力需要は倍になるではないか,今現在天然ガスへの依存が67%,石炭が17%,水力が7%,石油が6%である。これが15年後も経済を支えるとは思えない,と言っている。

タイの原子力開発の概要
http://genes4-anp2003.nuclear.jp/PPT/Closing1.pdf

●インド,長期的視野での代替エネルギーの開発について

タイの将来のエネルギー源と同じような議論である。でも方向が全く違う,ここでは水力を含めた再生可能エネルギーの話をしている。政府の計画委員会は8%成長が25年間続く,と考えて計画を進めているが,我々の経験から25年間続くとは思えないが,インドは真剣にこれを議論している。現在の設備出力は自家発も含めて160,000MWだが,25年後,2033年には800,000MWに達するとし,現在の化石燃料では持たないと議論。

代替エネルギーを開発しなければならない,としているが,原子力開発には全然触れてない,再生可能エネルギーの議論がしたかったようだ。インドは,新エネルギーに関する省を独立させたが,2012年までの電力設備は240,000MWになるものとしてその10%の240,00MWを新エネルギーで開発する方針である。再生可能だから水力もこの中に入っていると考えてよかろう,担当省庁は違うが。

ただ,ここで議論されているのは,再生可能エネルギー,特に太陽光,風力などの開発が,資金的に非常に困難である,という点を強調している。新エネルギーの建設費はKW当たり3700ドル見当,これに対して石炭火力はKW当たり1000ドルで,その差が大きすぎる,石炭は勿論燃料費が伴うとしても,これだけの投資額の差は,政府の強力な資金的な後押しが出来なかったら難しい,まあ当然の話だろう。

政府計画委員会の総合エネルギー政策
http://planningcommission.nic.in/reports/genrep/rep_intengy.pdf
インド,新設,新エネルギー省のホームページ
http://mnes.nic.in/


●ミャンマーのガスパイプ,マレーシアのペトロナスが修理

タイへのガス供給に支障が出て,これを修理して5日ほどで回復する,と言う記事であるが,大事な数字もでているので,記憶にとどめておこう。ミャンマー沖のイエタゴンのガス田でパイプ事故だが,ヤダナのガス田も含めて,タイへ送られてくるミャンマーからのガスは,タイ全体の消費量の30%,日量にして11.6億立法フィートである。日本企業としては,新日本石油開発のプロジェクト会社である日石ミャンマー石油開発が参入している。

ミャンマー政府の油田ガス田の総合サイト
http://www.energy.gov.mm/MOGE_2.htm
ミャンマーガス田,ブロック図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040802.jpg


4 その他

●インド,ランコグループ,水力開発へ2015年までに1800億ルピー


5 参考資料

2008年4月8日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080408A Thailand, Bangkok Post
もしタイの電力需要が急増したらどうなるのか
What if Thailand's demand for electricity outgrows its supply
http://www.bangkokpost.com/News/07Apr2008_news98.php

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080408B ミャンマー,4月7日8時0分配信 NNA
ミャンマーのガスパイプ,マレーシアのペトロナスが修理
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080407-00000004-nna-int

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080408C India, Economic Times
ランコグループ,水力開発へ2015年までに1800億ルピー
Lanco to invest Rs 18,000 cr for hydro power by 2015
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Lanco_to_invest_Rs_18000_cr_for_hydro_power_by_2015/articleshow/2930712.cms
●080408D India, Business Standard
中央政府,北東地域の水力開発で新政策
Govt announces new hydropower policy for N-E
http://www.business-standard.com/common/news_article.php?leftnm=3&subLeft=1&chklogin=N&autono=319269&tab=r
●080408E India, Business Standard
長期的視野での代替エネルギーの開発について
Clean alternatives
http://www.business-standard.com/common/news_article.php?leftnm=lmnu6&subLeft=2&autono=319179&tab=r


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月7日分 ー我々は来る暑い夏も乗り切れる

「我々は来る暑い夏も乗り切れる」,と電力需給に自信を示したのは,電力改革によって手足となる電源設備をもぎ取られながらも,強気に需給の責任を自負するフィリッピン国家電力公社NPCである。私がいつも,資産売却にうつつを抜かして電源を造ろうとしないフィリッピン,と批判している相手だが,果たしてフィリッピン,特に人口4,000万人の最大の人口を有するルソン系統はどうなっていおるのか。

フィリッピンの国家送電公社のHPの最初に,毎日のピーク需要実績が発表されている,毎日である。昨日の記録を来てみると,最大ピークが5,581MW,昨日の供給可能は8,210MW,余裕は2,774MWと,十分の余裕を示している。ここで問題は,これから暑い夏が来て6月には最大ピークを迎えると思われるが,過去に2006年5月10日には6,466MWに達している。

もう一つ,ルソンの設備の合計は12,092MWあり,可能出力でも10,466MWを示している。しかしながら,昨日の対応可能な出力は僅かに8,210MWで,設備出力の僅かに68%弱である。その差は3,882MWで,これだけの出力が落ちているのである。需要予測では,今年の夏は7,000MWから8,000MWと言われており,問題は設備の保証出力が,極めて小さいという問題があるのである。話題のサンロケ水力などは,設備出力365MWに対して有効出力は85MWに過ぎない,逆調整池に問題があるのか。

2010年電力危機説がある,これだけ長く電源開発をやらなければ当然起こってくる問題で,大統領の心配する電気料金の市場価格に大きな影響を与えるが,この根拠は,1995年に運転開始したマラヤ石油火力60万KWの停止と,ガスタービン100MWの廃止が絡んでくる。電源開発は今後の問題だが,設備出力に対して有効な出力がこれだけ小さいと言うことは,少し研究してみる必要がある。


1 今日の概要

●フィリッピンの国家の電力需給は大丈夫,とNPCが保証した記事であるが,電源を全く造ろうとしないフィリッピンの将来需給はどうなっているのか,現在ではルソンの過去最大6,466MWに対し,マランパヤのガスパイプラインが定期修理に入っている。●パキスタンのバシャダム,ムシャラフ大統領は北京に支援を取り付けるため旅立つ,世界最大のRCCダム建設のため。


2 目次

●フィリッピン,NPC,この夏の電力需給を確実にすると
●パキスタン,バシャダム,ダム高さで世界一の記録


3 本文

●フィリッピン,NPC,この夏の電力需給を確実にすると

NPCの見方は,2008年6月,今年の夏のピークを心配している。どうもフィリッピンの電力需給の動向を見ていると,1997年以来の供給力余剰の余韻が残っていて,誰も電源開発に熱心ではない。事実,現状で見るときに,昨日の4,000万人の人口を有するルソンのピークは,僅かに5,581MWである。これに対して,国家送電公社のサイトに出ている電源設備は12,092MWで,可能出力は10,466MWと相当に余裕がある。過去の最大のピーク需要は,2年前,2006年5月10日の6,466MWである。何か動きがよく分からない。

ルソンの現有設備(カッコ内は供給可能)を見てみると,石炭火力が3,769MW(3,287MW),ディーゼルが783MW(648MW),天然ガス火力が2,763MW(2,703MW),ガスタービンが900MW(630MW),地熱が954MW(762MW),水力がカラヤーン揚水685MW(670MW)を含めて2,247MW(1,813MW),石油火力が650MW(650MW),風力が25MW(9MW)で,合計で12092MW(10,466MW)である。

規模の大きいものを挙げると,スワル石炭火力2機1,294MW(1,152MW),イリヤン天然ガス火力1,200MW(1,200MW),サンタリタ天然ガス火力1,000MW(1,000MW),パグピラオ石炭火力2機764MW(728MW),カラヤーン揚水685MW(670MW),マラヤ石油火力2機650MW(650MW),リマイガスタービン複合590MW(540MW)などで,水力ではマガット水力360MW(360MW),サンロケ水力365MW(85MW),アンガット水力245MW(226MW),などで,サンロケがピークをとれないのが残念である。

エネルギー省のホームページに出ている2006年から2014年までの長期需給計画(全然長期でない)によると,2010年に必要予備力を含めて供給力不足が起こると言う。2010年の予想ピーク需要は7,878MWで,その年前後にマラヤ石油火力650MWとガスタービン100MWが廃止されることになっているため,2010年に於ける供給予備力は2,000MW前後に落ちる,と言うのが2010年電力危機説の根拠である。

今日の記事は,今年の夏6月に,ピーク需要が6,600MWから8,000MWに達する危険があるのに,マランパヤガス田からのガスパイプラインが定期修理に入っており,これを管理しているシェルの説明によると,この修理では,サンタリタ1,000MW,サンロレンソ500MW,イリヤン1,200MWは影響を受けない,としており,これが今日のNPCの今夏の需給は大丈夫,と言う根拠のようだ。

NPCのホームページ
http://www.eco-web.com/register/05881.html
マランマヤガス田,シェルのページ
http://www.offshore-technology.com/projects/malampaya/
国家送電公社のホームページ
http://www.transco.ph/
フィリッピン,エネルギー省のホームページ
http://www.doe.gov.ph/

●パキスタン,バシャダム,ダム高さで世界一の記録

ムシャラフ大統領が北京に旅立った,それは,高さ281mの世界最大のRCCダム(ローラー,コンパクティッド,コンクリート,ダム)を持つlことになるインダス上流,既設タルベラダムから300km上流の,バシャダムの建設の可能性を左右する重要な旅である。当面の電力危機には何の役にも立たないが,2014年,450万KWを期待する85億ドル大規模プロジェクトは,ムシャラフ政権によって果たして完成されるのか。

パキスタン,大規模ダムプロジェクト位置
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040401.jpg
バシャダム,貯水池の概要
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040402.jpg
バシャダム,ダム構造平面,高さ281m
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040403.jpg
2206年4月,ムシャラフ大統領,バシャダムの着工命令
http://www.paklinks.com/gs/showthread.php?t=215216
バシャダムサイト,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040404.jpg


4 その他

●インド,リライアンス,リグで合弁,25億ドルをガス化事業へ


5 参考資料

2008年4月7日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080407A Pakistan, The Post
バシャダム,ダム高さで世界一の記録
Basha to be world’s highest dam
http://thepost.com.pk/IsbNews.aspx?dtlid=153897&catid=17

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080407B Philippines, Manila Bulletin
NPC,この夏の電力需給を確実にすると
NPC assures steady summer power supply
http://www.mb.com.ph/BSNS20080406121167.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080407C India, Economic Times
リライアンス,リグで合弁,25億ドルをガス化事業へ
RIL to make rigs, invest $2.5 bn in gasification project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_to_make_rigs_invest_25_bn_in_gasification_project/articleshow/2929011.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月6日分 ー日本の提案は会議を長引かせただけ

「日本の提案は会議を長引かせただけ」,バンコクの気候変動会議,小町日本代表団の提案,セクトラルアプローチをこっぴどく批判したのは,親日で鳴るタイの現地紙バンコクポストである。「日本は遂に自ら提案を取り下げた」,中国代表の,「それは単なる手段の一つに過ぎない」,「ままならない日本経済のように京都議定書義務も果たせない日本,」,「まだ日本はそれでもこの案をG8に持って行くつもり」,最後は,「第5日一日,会議を長引かせただけの提案だ」,と。

私自身は,政府の考えるこのセクトラルアプローチを完全に理解しているかどうかは自信がないが,しかし東京大学の松橋教授のプレゼンテーションの内容を見ても,私が考えてきたことにかなり近いような気がする。日本が如何に京都議定書で課せられた義務を必死に果たしても,地球にはほとんど効果がない,それよりも,日本が今までに得た技術を,今から伸びようとしている中国やインドへ技術移転した方が効果的だ。

特に,石炭技術の移転はもっとも大きな課題であり,これに,インド,パキスタン,ネパール,ブータン,中国,などの残存水力の開発と原子力の普及,それは今盛り上がりつつある東南アジアの原子力開発への流れなど,そこに日本の技術や人材を注ぎ込むべきではないか,と思っている。それは当然インドや中国への削減義務に繋がりかねないが,技術移転と資金援助,と言うテーマーならば,もっと受け入れやすいのではないか。

技術移転にしても,資金援助にしても,日本の協力にはいろいろな障害がある。技術移転にはノウハウの流出の問題があるし,資金援助についてはもはや日本のODAは衰退の一途,JBICの解体,国際金融の資金源の問題,などなど,口でセクトラルアプローチと言っても,なかなか実行の段階で主導権がとれない悩みがある。それでも,やはり日本の根回しの不足,特にG8ばかりを見て,インドや中国との対話が足りないことを痛感。

別件,英ファンドの計画拒否へ,電源開発株の買い増し。一応政府は結論を出したようだ。これが日本の経済にどの様に跳ね返ってくるのか分からないが,それはまた次の問題であり,ここは政府の決定を支持したい。ファンド側が,原子力や送電線には口を出さない,と言っていることは,やはりその方向には国家安保の問題がある,と言うことを認めている,世界的な流れもそうだ,と言うことだろう。


1 今日の概要

●気候変動,バンコク会議。タイの現地紙は日本提案のセクトラルアプローチについて,痛烈な記事を載せている。日本が放棄,中国が主題にはならない,会議を長引かせただけ。●インドのアフリカ進出,4月にもデリーでアフリカ会議。インド人のアフリカ進出には長い歴史がある。●中国の石炭値上がりに絡む電気料金問題,漸次,主要な政治的課題に発展。●パキスタンの電力危機,ジラニ政府の重要課題,石炭と風力に注目。


2 目次

●日本代表,バンコク会議で,分野別アプローチを取り下げ
●急成長を遂げるインド、資源豊富なアフリカ諸国と接近
●中国,石炭高騰が火力発電業を直撃,電力値上げ要求高まる
●パキスタン,電力危機への対策を検討している


3 本文

●日本代表,バンコク会議で,分野別アプローチを取り下げ

気候変動に関するバンコク会議,あまり多くは取り上げられていない。日本代表は外務省の小町恭士さんが努めている,私がJICAにいた頃の総務部長であった。日本では報じられていなかったが,バンコクポストの日本代表への風当たりはきつい。日本の報道は少しオブラートがかぶせてあるが,このタイ現地紙は情け容赦もなく,日本案,セクトラルアプローチのひどい審議状況を伝えている。

まずタイトルである,「日本の提案は葬り去られた!」,に近い表現で,会議全体の報告記事がこのタイトルである。今朝の朝日新聞は,バンコクポストの記事を引用しながら,日本側が今回の作業部会,次回の作業部会も,この案を出さないことに同意させられたが,次の次まで延期された,としている。バンコクポストは容赦なく,日本政府が案を取り下げた,としている。

また日本の記事にはないが,途上国代表という形で中国代表リリアン氏の言葉をそのまま表現している。「このセクトラルアプローチの手法が注目を引いたとしても,それは単なる手法の一つとして注目されただけで,議論を支配するものではない。」,と言うことは,この案を基本にして議論されることはない,としているわけで,途上国への義務の強制,と理解した結果である。

バンコクポストの最後の行はもっと日本に対して痛烈である。「経済停滞から抜け出せないと同様に,京都議定書も守れない日本は,まだこのセクトラルアプローチの手法をG8に持ち出す積もりでいる。今回の日本の提案は,第5日の全体を費やして議論されたが,全く会議を長引かせただけの効果しかなかった。」,と。

セクトラルアプローチ,東京大学松橋教授の解説
http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/res/res5/ir3s/documents/matsuhashi.pdf

●急成長を遂げるインド、資源豊富なアフリカ諸国と接近

モーリシャスを何回か訪ねたことがある。インド人の世界である。エネルギー大臣と会食したが,彼は,「私は元々ティーチャーだったが,今では政治家となりチーターとなって人々をだます役割をしている。」,と皆を笑わせている。フィジーでも感じたが,インド本国から離れたインド人は,全く快活で旅人に優しく,あまりにもインド本国で威張り返っているインド人と,どうしてこのように違うのか,と感じた。

今日のインドのアフリカへの進出の記事を見ていて,中国と比較しながら,インド人のアフリカとの関係は,中国人や日本人が比較にならないほど,歴史的に深いものがあるのだ,と書いてあることに納得した。インド洋を越えてモーリシャスなどのインド洋の諸島にとりついたインド人は,そこを拠点にして,アフリカ大陸の奥深く入り込んで,歴史を刻んでいったのだろう。

アフリカ諸国も大変である。昨年は中国の集められて,中国アフリカ会議をやらされたし,もうすぐ横浜に呼びつけられて日本アフリカ会議に出なければならない,次はインドとのサミット会議である。いずれもそれぞれにお土産はあるとしても,アフリカ諸国の政府にとっての大切なものはインフラ開発への支援であろう。日本もやっとアフリカのインフラに舵を取り始めたが,人道主義だけでは,彼らをこちらを向かせることは難しい。

インド,アフリカのサミットが4月に開催
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/080313/17696.html
知られざるインド洋アフリカ
http://www.tabisen-palmtour.com/optourlists/SPtour/optourComoro_LeUnion_Mauritias.html

●中国,石炭高騰が火力発電業を直撃,電力値上げ要求高まる

この中国の石炭価格の上昇と電気料金の抑制の問題は,静かに中国経済の一つの台風の眼となって来つつあるような気がする。今の温家宝首相にとって,だんだんと声が大きくなってくる庶民の不満は,経済成長に伴って起こるインフレの加速に映りつつある問題が,最大の焦点である。インフレを年4.8%に抑える目標は極めて困難,電力料金を上げるなど,とても出来ない。電力セクターは耐えられなくなってきた。

中国電力市場の課題と今後,電発西江氏
http://www.nira.go.jp/newsj/seisakuf/05/pdf/hs03.pdf
中国の電気料金と石炭価格の記事,ニュース
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2003&d=1228&f=business_1228_001.shtml
中国石炭の世界的な位置づけ,JETRO
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g40324b30j.pdf

●パキスタン,電力危機への対策を検討している

3月25日に,難産の末誕生したギラニ首相の最大の課題は,テロと戦い,電力危機と戦うことだ。毎日4時間の停電を経験しているパキスタン国民は我慢の限界にある。6月がもっとも熱い夏であるから,問題はこれからである。自家発電のための発電機が飛ぶように売れているという。しかし,燃料はパキスタンの最大の問題点,電力設備19,500MWのうち60%が輸入燃料なのだ。

この記事で取り上げられている東南部の石炭埋蔵は本当なのか,世界第3位の包蔵の可能性がある,と書いてある。昨日のニュースでも,ムシャラフ大統領の北京訪問は,水力のバシャダムとタールの石炭協力だ,と書いてあった。この記事の後半では,いずれにしても解決に年月を要する,風力であればすぐにでも対応できる,と専門家の動員を促している。

NEDO,パキスタンに於ける石炭利用の可能性
http://www.nedo.go.jp/kankyo/iea_ccc/jp/083.html


4 その他

●大規模油田,メキシコ湾で発見,と丸紅発表,約5億バレル
●フィリッピン,30万KWスービック石炭火力増設,5億ドル契約に台湾企業関心


5 参考資料

2008年4月6日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080406A Thailand, Bangkok Post
日本代表,バンコク会議で,分野別アプローチを取り下げ
Japan's proposal withdrawn
http://www.bangkokpost.com/News/05Apr2008_news02.php

電力一般

●080406B メキシコ,4月4日18時56分配信 毎日新聞
<大規模油田>メキシコ湾で発見、と丸紅発表
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080404-00000085-mai-bus_all

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080406C Pakistan, Earth Times
パキスタン,電力危機への対策を検討している
Pakistan searches for solution to power shortages - Feature
http://www.earthtimes.org/articles/show/196673,pakistan-searches-for-solution-to-power-shortages--feature.html

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080406D Philippines, Manila Bulletin
30万KWスービック石炭火力増設,5億ドル契約に台湾企業関心
For $ 500-M coal-fed power plant in Subic
http://www.mb.com.ph/BSNS20080405121044.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080406E インド,4月4日20時27分配信 ロイター
急成長を遂げるインド、資源豊富なアフリカ諸国と接近
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080404-00000652-reu-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080406F 中国,4月4日21時17分配信 Record China
<中華経済>石炭高騰が火力発電業を直撃、電力値上げ要求高まる―中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080404-00000029-rcdc-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月5日分 ー1974年8月21日タルベラ魔の日

「1974年8月21日タルベラ魔の日」,これはアジア経済研究所の小林英治氏が1979年に書かれた,「インダス河の開発」,という極めて丁寧な参考書の中のクライマックスの一場面である。私たちが1980年にインドネシアのチラタプロジェクトに取りかかった頃,タルベラの事故の話が良く出た,我々の世界では有名な話である。そのせっぱ詰まったパキスタンの状況を,小林氏の書物から書き写したのが,下記の私の文。

土木工事が完成し湛水を開始したのは,1974年7月である。順調に湛水していった7月中旬,右岸の4つのバイパスをテストするため通水試験が行われたが,7月27日,その第2トンネルに異常が起こった。これがパキスタン全土をパニックに陥れた事故の始まりである。この間の経緯は前述小林さんの著書の78ページ以下に記されている通り,8月21日の「魔の日」を迎えるわけである。このとき貯水池は既に99億トンの水を湛え,満水まで僅かに余すところ37億トンであった。8月22日,専門家グループの決断で,全水門を開いて湛水した水を放流することとし,貯水池が空になるまで3週間を要したが,この間下流住民にはダム決壊のデマが流れ,ブット首相自ら国民に訴えた場面もあった。

その後の世界を上げての修復工事の状況や,このタルベラダムが持つインダス川の水争いの問題をまとめた私のサイトを見て下さい。勿論ほとんどは小林氏の書かれたものだが,タルベラの文字は嫌でも私の脳裏に張り付いている。今日の記事は,ほとんどがムシャラフ大統領のパキスタン大規模ダムとの戦いであるが,彼は,政敵を向こうに回しながら,ダム建設一筋で行くべく,北京に旅立つ。

パキスタン,タルベラダムに関する私のサイト
http://my.reset.jp/~adachihayao/power.htm#power06


1 今日の概要

●450万KW,インダス川のバシャダム水力は,80億ドルの一部を中国のソフトローンを得ることとなり,ムシャラフ大統領が北京に向かう。●パキスタンは,インダスのダス水力4,000MWなど11地点の詳細設計を2010年までに完了する予定。●中国の温家宝首相がメコン会議に出発する前に,外務次官がメコン上流のダムについて,下流国には大きな影響は与えない,と説明していた。


2 目次

●バシャダム,中国とパキスタンが借款に関して合意
●パキスタン,WAPDA,11ダム,11,170MW,2010年までに着工へ
●中国,温家宝首相,GMSサミットへ,小湾計画問題


3 本文

●バシャダム,中国とパキスタンが借款に関して合意

ムシャラフ大統領が,来週から北京を訪問する。昨日の記事にもあったように,ドイツのラメイヤーが急いで詳細設計のドラフト報告書をまとめたのは,80億ドルに上る建設費をどの様に調達するか,重要な問題が控えていたわけだ。ダムの高さ281m,長さ990m,有効貯水容量80億トン,貯水池の長さ110km,水没移住27,000人,発電機12機で合計出力450万KW,と言う世界屈指の大規模計画である。2016年完成の予定。

パキスタン政府は,世界銀行の融資も当然考えたが,とても世銀の基準には合わないと見て中国と交渉し,ラメイヤーの報告書を既に北京に送って検討させている。ムシャラフ大統領が4月7日にも北京に向かって発つ,と言うことは,既に北京はこの借款を受け入れる判断をしたと言うことだろう。ソフトローンと書いてあり,世銀よりも条件はよい見通しであると書いてある。

中国は既にパキスタンに対してはゴマルザムやニールムジェールムの各水力プロジェクトへの資金協力も合意している。当然中国は,資金協力の見返りとして中国企業の工事への参入を要求しており,中国企業が大挙してパキスタンに入ってくることになる。少し前には中国人への攻撃が行われて何人かの犠牲が出ているが,中国企業はものともしない。

なお,中国政府は,パキスタン唯一のタールの石炭生産にも手を貸すことになっており,石炭の質は非常に悪いが,パキスタンとしては初めての石炭生産と石炭火力の建設に着手することになる。

パキスタン,大規模ダムプロジェクト位置
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040401.jpg
バシャダム,貯水池の概要
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040402.jpg
バシャダム,ダム構造平面,高さ281m
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040403.jpg
2206年4月,ムシャラフ大統領,バシャダムの着工命令
http://www.paklinks.com/gs/showthread.php?t=215216
バシャダムサイト,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040404.jpg

●パキスタン,WAPDA,11ダム,11,170MW,2010年までに着工へ

すごい調子で大規模な水力発電所の準備状況を書いているし,更にそれがなぜ必要かの需要予測も書かれている詳しい記事であるが,資金はどこにあるの,と聞きたくなってくる。パキスタンの包蔵水力は54,000MWと言われており,既開発は6,500MWである。それにしても結構大きな開発を行っている。ある人が調べていて,パキスタンの民間開発の先進性に驚いていた。

ここには移しきれないほどのプロジェクトが並べてあるが,それでも規模の大きなものを拾っていくと,インダス川のダス地点4,000MW,ギリギットのインダス川上ブンジ水力5,400MW,などが2010年までに詳細設計を終える11プロジェクトの中に入っている。その後に続くものとして,同じくインダス河のタコット水力2,800MW,パタン2,800MWなどがある。

一方で,既設ダムのタルベラ水力3,478MW,マングラ水力1,000MW,ワルサック240MW,チャシュマ水力187MW,ガジバロタ水力1450MW,その他諸々108MW,などについては,堆砂が進んで,20%ぐらいは平均して貯水容量が減少しているという。

その他,バシャダイムラー水力4,500MW,ニールムジェルム水力969MW,が進行中であるが,カラバーダムプロジェクト3,600MW,61億ドルについては,政治的な問題があって,1960年以来,紛争のために着工できていない。

パキスタンの主要ダム位置図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040501.jpg
WAPDAのホームページ
http://www.wapda.gov.pk/
カラバーダム詳細
http://www.wapda.gov.pk/pdf/KBDAM.pdf

●中国,温家宝首相,GMSサミットへ,小湾計画問題

これは先月末のビエンチャンでのメコン諸国首脳会議の前の記事であるが,温家宝首相が北京を離れる際に,外務次官が話した上流ダムに対する中国の公式なコメントが出ているので収録した。彼のコメントは次の通り。しかし,実際には,誰もこの問題には触れなかった。

中国がメコン上流で開発しているダムは,環境的には下流に対して大きな影響を与えない。中国は決して下流国に不利になるような行動は行わない。北京政府は,いつでも下流国とこの問題について議論する用意がある。中国の行う合理的な開発は,下流にも便益をもたらすものと信じている。


4 参考資料

2008年4月5日分

パキスタン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080405A Pakistan, The Post
WAPDA,11ダム,11,170MW,2010年までに着工へ
Wapda to construct 11 dams by 2010
http://thepost.com.pk/Ba_ShortNews.aspx?fbshortid=2866&bcatid=14&bstatus=Current&fcatid=14&fstatus=Current
●080405B Pakistan, Daily Times
バシャダム,中国とパキスタンが借款に関して合意
Pakistan and China to sign MoU for Basha Dam financing
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C04%5C04%5Cstory_4-4-2008_pg5_8

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080405C China, Asia Press
中国,温家宝首相,GMSサミットへ,小湾計画問題
China to Attend Southeast Asian Summit
http://www.aapress.com/nationalnews.php?subaction=showfull&id=1207264733&archive=&start_from=&ucat=1


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月4日分 ーああカラコルムで殺されそうになった

「ああカラコルムで殺されそうになった」,と汗を拭き拭きパキスタンから帰ってきたコンサルタントの一行が,バンコクのメコン委員会に赴任していた私を,日本への帰途の途中で訪ねてくれた。日本料理屋に案内すると,幾ら待っても彼らのメニュー選びが終わらない,早くしてよ,と催促する私に,彼らから返って来た言葉は,アダチさん,メニューに書いてるもの,皆食べたいよ。とにかく彼らは,パキスタンのバシャダムをやろうと思って現地に行き,カラコルムの工事中のハイウエーで崖から落ちそうになりながら,命からがら帰ってきた一行なのである。

今日の記事で,ドイツのラメイヤーが,元気にこの大規模ダムの詳細設計を終えて,WAPDAの審査に対応しているニュースを見て,一度も2度も,日本のコンサルタントも挑戦したのだが,と思いながら,あの時の弱卒揃いの日本のコンサルタントの面々を思い出していた。どうして欧州のコンサルタントはあのように強いのか。

昔,インドネシアのサグリンダムをやっていたとき,フランスのコントラクターがやってきて,すぐダム工事に着工するのかと思ったら,なかなか着工しない,どうしたのかと偵察に行くと,彼らはまずフランスレストランを造り,プールを造って,家族を現地呼び寄せてフランス村を造ってから,ようやくダムの工事に取りかかるのである。その下流でチラタプロジェクトに入ってきた大成建設は,とるものもとりあえず,ダムの掘削に取りかかった。

それを思い起こしながら,同じ西欧でもフランスとドイツは違うのか,と思ったりしながら,今やパキスタンの北西辺境州は,鬼をも怖がらせるテロのアルカイダの一団が住み着いていると言われている,そこに住み込んで,281mの高さのダムの現地調査を行いながら,更に近傍を歩き回って,4つの新たな水力発電所を提案する,このドイツ人魂に魅せられているのである。

バシャダム付近遠望,グーグルアース
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1 今日の概要

●パキスタンの大規模,高さ281m,水没2万7000人のバシャダムは,ドイツのラメイヤーが詳細設計を完了,現在審査中のようだ,80億ドルの資金調達も目処がつかないのに,ムシャラフ大統領の命令で走っている。●インドのマディアプラデッシュ州,送電容量強化,8170MWへ。●インドのウッタラプラデッシュ州,NTPCと組んで132万KW火力開発へ。●マニラ電力,取りはぐれた調整金の取り立てで,ERCと難しい交渉。●ベトナムのハノイの電力不足が続く,4月は更に悪化へ。


2 目次

●ドイツのラメイヤー,北西辺境州で4水力,115万KWを提案
●インド,マディアプラデッシュ州政府,2008〜2009年に8170MW開発へ
●インド,NTPCとUP州,132万KW火力を共同で準備中
●マニラ電力Meralco,ERCが料金調整を承認することを期待
●ベトナム,首都ハノイ,停電が頻繁に起きている


3 本文

●ドイツのラメイヤー,北西辺境州で4水力,115万KWを提案

このインダス川の上流に建設される大規模なダム計画,バシャダイムラープロジェクトは,詳細設計をドイツのラメイヤーが詳細設計を請け負っていたのだ。ダムの高さ281m,水没人口25,000人,本当にパキスタンという国は,インダス川との戦いがその政治までも左右する重要な要素になっている。資金調達を待たずに大統領は着工を命令している。かって日本のコンサルタントも何度か出入りしている有名なプロジェクトである。

バシャダムは現在,詳細設計が審査に回されている状況であるが,2年前にムシャラフ大統領が着工命令を出したものの,やっと詳細設計が終わった段階なので,まだこれから,カラコルムハイウエーからの接近路の建設が事前に必要な段階,政府は80億ドルの資金が必要だと言っている。水と電気,インダスから得られるこの大きな便益は,実現するまでに,まだまだ多くの犠牲を強いることになる。

パキスタン,大規模ダムプロジェクト位置
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バシャダム,貯水池の概要
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バシャダム,ダム構造平面,高さ281m
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2206年4月,ムシャラフ大統領,バシャダムの着工命令
http://www.paklinks.com/gs/showthread.php?t=215216
バシャダムサイト,グーグルアース
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●インド,マディアプラデッシュ州政府,2008〜2009年に8170MW開発へ

マッディヤプラデシュ州はインド中央部に位置する。デカン高原の北部に広がり,高山地帯にへだてられた平野が南北方向によこたわる。面積は30万8209平方kmで,人口は6038万人(2001年),。州都はボパール。経済は農業によってささえられている。中央部に位置するだけに,電源よりも通過する電力を送電線を強化して如何に電力供給を安定させるかが課題となっている。2007年,6493MW容量を,w008年には8170MWへ増強するものである。

マディアプラデッシュ州
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●インド,NTPCとUP州,132万KW火力を共同で準備中

ウッタルプラデシュ,インド北部の州。北はネパール,北西はウッタランチャル州,西はハリヤーナ州,南西はラージャスターン州,南はマッディヤプラデシュ州,東はビハール州に接する。州都はラクナウ。面積は23万平方km,人口はインド最多の1億6605万人(2001年)。州面積の多くを平野が占める。ヒンドゥー教徒にとって神聖な川であり,灌漑(かんがい)用水としてもきわめて重要なガンガー(ガンジス川)は,北部のヒマラヤ山脈に発する。この州の電力局とNTPCが合弁で,メジャテシルに660万KW2台の石炭火力132万KWを建設することになった。

ウッタルプラデッシュ州
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●マニラ電力Meralco,ERCが料金調整を承認することを期待

話が複雑で追っかける気がしないが,マニラの配電を担当するメラルコは,規制委員会ERCとの間で,長い間,料金調整で紛争は続いている。料金規制が厳しいために,徴収が先送りされた分の調整である。電気料金は,アロヨ大統領の直接の介入で,これから電気料金を下げて行く約束であるのに,過去の分を取り立てる難しさなのだろう。

Meralcoのホームページ
http://www.meralco.com.ph/

●ベトナム,首都ハノイ,停電が頻繁に起きている

まだまだ今日困難は続くようだ,特に3月から6月までの4ヶ月間は,北の貯水池の水位が回復せず,4月はもっとも熱くなる時期なので,大変である。この記事では,ひどく道路の信号灯の心配をしている。信号灯の停止による交通の混乱が非常に怖いようだ。信号灯優先,と言っているが,そのようなことが出来るのか。日本のように信号灯にポータブル発電機を持ち込むことを考える,と書いてあるが,日本はそのようなことをしているのですかね。


4 参考資料

2008年4月4日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080404A Vietnam, VNA
首都ハノイ,停電が頻繁に起きている
Frequent power outages to continue across capital city
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=03ECO010408

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080404B Pakistan, Daily Times
ドイツのラメイヤー,北西辺境州で4水力,115万KWを提案
Basha Diamer Dam Project: Setting up of 4 hydropower stations recommended
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C04%5C03%5Cstory_3-4-2008_pg5_1

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080404C Philippines, Manila Bulletin
マニラ電力Meralco,ERCが料金調整を承認することを期待
Meralco seeks provisional OK for P0.1938/kWh rate adjustment
http://www.mb.com.ph/BSNS20080403120878.html

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080404D India, Economic Times
NTPCとUP州,132万KW火力を共同で準備中
NTPC, UP govt enter JV to set up power plant
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/NTPC_UP_govt_enter_JV_to_set_up_power_plant/articleshow/2920647.cms
●080404E India, Economic Times
マディアプラデッシュ州政府,2008〜2009年に8170MW開発へ
Madhya Pradesh aims at 8170 MW power capacity for 2008-09
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Madhya_Pradesh_aims_at_8170_MW_power_capacity_for_2008-09/articleshow/2916867.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月3日分 ー彼は道頓堀を流してもおかしくない

「彼は道頓堀を流してもおかしくない」,彼とはタイのサマック首相であるが,私はその風貌といい,この2ヶ月の間の彼の言動が面白くて仕方がない,大阪の道頓堀を部下を従えて歩かしたら,非常によく似合うと思う,お笑いのセンスもあるのではないか。彼の言動を拾ってみる。

1976年のタイの軍事クーデター,彼が私と同年で1935年生まれ,私がミャンマーに赴任するとき,彼はバンコクで軍事クーデターを扇動していた,と言う話をしたが,首相になって記者団から,あのクーデターの関わりは,と聞かれて大阪弁で,「わしゃしらん」,と答えて,横を向いて部下を見ながらにやっと笑って舌を出す,まさしくお似合いのセンスである。

選挙に勝って最初の演説で,皆が気を遣って黙っているプロジェクト,メコン本流の水を東北タイへ運ぶ,と言ってしまった。元々サマックの政党は地方の票で勝ってきたから当然の発言とも見られるが,見通しもなく周辺諸国の気遣いもなく,当然のごとく喋ってしまう。途端に足下の王室灌漑庁から,可能性は全くない,それよりも自己流域の中でダムを造って調整する方が,実際的だ,と反論されている。

ミャンマーの軍事政権を訪問して,タンシュエ将軍と会い,ミャンマーは極めて平和的な社会だ,将軍は敬虔な仏教徒で,毎日仏に祈りながら政治を行っている,と言いきって,内外の顰蹙を買った。でもそれで,彼の帰りのバッグの中には甘い甘いお土産が一杯詰まっていた,それはマルタバン沖の天然ガスであり,サルウイーン河のダム開発である。

ミャンマーから帰ってきたサマック首相は,すかさずラオス代表と会談して,ラオス南部,タイの国境が接する部分で,昔捨て去られた本流ダム,バンクムダムの建設を提案,困惑するラオス代表をして,まあ調査だけなら仕方がないでしょう,と言わせてしまった。数万人の水没を伴う大プロジェクトである。

彼の晴れの舞台,ビエンチャンでのメコン沿岸諸国首脳会議,中国の温家宝首相とともに主役を務めた。最大のセレモニーは,南北回廊の開通を宣言する式典での演説,温家宝首相が立ち上がって,これで中国の昆明からタイのバンコクまで道が繋がった,と言ったそのすぐ後で演台に立ち,南北回廊が完成した,おめでとう,これで中国の北京から遂にシンガポールまで道路で繋がった,彼は常に大げさである。

ミャンマーの首相と会談するサマック首相
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東芝が米国の電力会社2社から計4基の原子力発電所を総額約1兆4000億円で受注,と言うニュースが日本経済新聞で報じられている。しばらく途絶えていた原子力発電開発の中で,新たな地球温暖化対策とともに,再び多くの建設計画が視野に入ってきて,日本企業の活躍が期待される。世界最大の市場である米国での実績をてこに、新興国を含めた原発事業の世界展開を加速する。


1今日の概要

●3月のタイのサマック首相,ミャンマー訪問,まだその強烈な印象が残っている。タイは1988年のチャバリット首相のミャンマー訪問といい,ミャンマー軍事政権との対話窓口としての役割を認識しているようだ。●ミャンマーから見たメコン会議,ラオスとの強い絆と,水力への海外民間資金に期待。●紛争中であったカンボジアとタイの沖合油田交渉が,この4月20日にバンコクで開かれる。●タイはミャンマー沖のガス田について,中国企業との間で持ち分を得る。●メコン会議に於けるベトナム首相の動き,東西回廊や中国との国境問題。●中国企業,パキスタンの水力開発で活躍,国営重電メーカーDECが水資源電力大臣と会見,電力危機に積極的に協力すると。


2 目次

●タイ首相サマックのミャンマー訪問,もう一度振り返る
●ミャンマーから見たメコン首脳会議,水力への外資導入
●タイ,豊富な油田,タイ湾沖,カンボジアと交渉の席に
●タイ,ミャンマー沖のガス田交渉,中国企業と持ち分変更へ
●メコン会議のベトナム首相,交通運輸と貧困削減と戦う
●中国企業,パキスタン国内のダム建設,必ず間に合わせると


3 本文

●タイ首相サマックのミャンマー訪問,もう一度振り返る

サマック首相の3月ミャンマー訪問と彼の言葉,タンシュエ将軍は敬虔な仏教徒で毎日お祈りを欠かさない,と言う言葉は,タイ国民だけでなくて国際社会でも大いに議論の対象になった。この記事では,1988年に起こったラングーンでの血のデモ行進直後,時のタイの首相,元将軍のチャバリットが,ラングーンを訪問して国際社会が非難するミャンマーの軍事政権と通商や投資の話をしたことを思い起こさせている。

今回のサマック首相のミャンマー訪問で,彼はミャンマーの軍事政権に甘い言葉を残して,その代わりに天然ガスの輸入やサルウイーンのダム開発など,帰りの彼の荷物の中身は,甘いお土産で一杯になっていた,と言う見方がある。チャバリットの行動にしても,今回のサマック首相の行動にしても,国際社会は沈黙して批判の矛先を向けていない。国際社会はタイの政権がミャンマー軍事政権と対話できる,と言うことに期待をかけているようだ。

しかし,サマック首相,と言うよりはサマックのオッチャン見たいな感じで,あのまま友達に囲まれながら道頓堀を流していてもおかしくない感じ。1976年のクーデターを青年将校として仕掛けたでしょう,と記者が聞いても,「わしゃしらん」,と言って横を向いてにやっと笑いながら舌を出す,そんな雰囲気を持っている。メコンの水を東北タイに持ってくる,とか,メコン本流のバンクムにダムを造る,とか,温家宝首相が,昆明からバンコクまで道が繋がった,と言うと,これで北京からシンガポールまで道が繋がった,とサマックのオッチャンが言う,面白い。

●ミャンマーから見たメコン首脳会議,水力への外資導入

今までのビエンチャンのメコン会議の報道は,中国とタイが中心で,大いに南北回廊の話に夢中になってきたが,この記事では,ミャンマー代表のテインセイン首相達が,どの様な表情で参加したのかが記事となっている。大したことは書いてないのだが,ミャンマー側が,ダム建設など,大いに民間資本の投資を求めていること,しかし,彼らが求めるのは,民間企業の軍事政権との強い繋がりが条件となっているようだ。

このメコン6カ国の中では,貧困の度合いなどから,ミャンマーとラオスの繋がりが,相当に意識された雰囲気である。二国間の話し合いも相当行われたようで,二国は共通の立場に立って,貧困削減に取り組むことを誓い合ったようだ。いずれにしても,国際社会では居心地の悪いミャンマーの軍事政権も,中国やタイに囲まれて,ラオスからも厚遇を受け,結構面目を施したのではないか。

●タイ,豊富な油田,タイ湾沖,カンボジアと交渉の席に

JOGMECのホームページを参照すると,このカンボジアとタイが競合している経緯がよく分かる。両国主張が重なる地域をOCAと言っているらしいが,この地域はまだ未探鉱であるが,タイの主要油ガス田地域と同じパタニ堆積盆地であるため,炭化水素賦存が確実視されている注目地域だと言う。この4月20日より,両国がバンコクで協議を持つ。

タイ側としては,マレーシアとの間で結んだ協定を一つの凡例とし,更に,オーストラリアとインドネシアが交渉した結果も参考にすると言う。日本と中国の交渉過程は全然参考にならないのだろう。中国と日本も,一つこの二国間の交渉を,傍聴させて貰ったらどうか。

タイとカンボジアが競合している鉱区の位置図
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JOGMECのホームページ
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0704_out_m_kh_new_oil_discovery.pdf&id=1628

●タイ,ミャンマー沖のガス田交渉,中国企業と持ち分変更へ

タイも忙しい,東ではカンボジアと油田を交渉し,西では,ミャンマー沖のガス田で,中国,インド,韓国などと競争をしている。今日の記事は,中国のCNOOCが有している採掘権について,今月末にも,タイ企業がある一定の株式の譲渡を受ける契約式が行われる。

ミャンマー沖ガス田のニュース
http://www.chosunonline.com/article/20070823000045

●メコン会議のベトナム首相,交通運輸と貧困削減と戦う

先月末のGMS会議について,中国の温家宝首相とタイのサマック首相がクローズアップされていたが,ベトナムのグエンタンデュン首相がどの様に動いたか,報告されている。彼はあまり派手な動きはしなかったようだが,今回あまり触れられていない東西回廊の重要性を強調したり,中国との国境問題に関する協議を行ったり,一定の動きをしたようだ。

●中国企業,パキスタン国内のダム建設,必ず間に合わせると

中国重電メーカー,国営企業DECがイスラマバードを訪問し,水資源電力大臣やWAPDAの代表と会談し,今後も密接な関係を保ちながら,パキスタンの電力危機と戦うことを約束している。彼らの関係したプロジェクトは,145万KWガジバロタ水力があり,更に5カ所の水力合計出力869MWで仕事を行っている。また,チッコキマリアンの525MWのコンバインについても,契約を行ったようだ。中国のパキスタンへの進出は目覚ましい。


4 参考資料

2008年4月3日分

ベトナム

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Vietnam.htm

●080403A Vietnam, VNA
メコン会議のベトナム首相,交通運輸と貧困削減と戦う
PM urges Mekong countries to focus on transport, battle hunger
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=02POL010408

タイ
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080403B Thailand, Bangkok Post
豊富な油田,タイ湾沖,カンボジアと交渉の席に
Oil-rich gulf waters to be negotiated
http://www.bangkokpost.com/Business/02Apr2008_biz33.php
●080403C Thailand, Bangkok Post
ミャンマー沖のガス田交渉,中国企業と持ち分変更へ
Burma gas deal
http://www.bangkokpost.com/Business/02Apr2008_biz99.php

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080403D Pakistan, The International News
中国企業,パキスタン国内のダム建設,必ず間に合わせると
Chinese firm vows to complete power projects in time
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=104341

ミャンマー 
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080403E Myanmar, Irrawaddy
タイ首相サマックのミャンマー訪問,もう一度振り返る
Thai Premier’s ‘Flashback’ Visit to Burma
http://www.irrawaddy.org/article.php?art_id=11204&page=2
●080403F Myanmar, Mizzims
ミャンマーから見たメコン首脳会議,水力への外資導入
Mekong countries focused on economic cooperation
http://www.mizzima.com/MizzimaNews/News/2008/April/01-April-2008.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月2日分 ーダムについては黙して行かん

「ダムについては黙して語らず」,ビエンチャンのメコン首脳会議で饒舌に南北回廊を語り続けた温家宝首相とタイのサマック首相,ベトナムもカンボジアのフンセン首相も,口を挟む時間さへなかったのではないか。中国もそうだが,タイもラオスも,会議直前に大いに下流本流のダム開発やメコンの水の分流など,過激なプロジェクトへの提案があったばかりである。

会議の直前に出た環境グループの様々な声は,首脳会議では全く議題にもならなかったのだろう。ある環境グループは,下流域について管轄しているメコン河委員会の不甲斐なさをなじる記事も中にはあったが,首脳会議の前には,メコン河委員会は手も足も出ない。問題はADBの態度にもある。ADBはGMSを主導しているが,ADB自身も首脳達の管理下にあるわけで,国家の主権はそれほどに強いものなのであろう。

その昔,私は雲南省の幹部達と,上流のダム開発問題について論じたことがあった。私の関心は専ら池の大きい小湾ダムにある。彼らに,なぜもっと小湾ダムの下流への効用を訴えないのか,渇水量を毎秒700トンも生み出すことが出来る,ビエンチャンの前では渇水量が倍になる可能性を秘めている,と言ったら,

彼らは,我々も700トンの数字は計算して知っている,と言っていた。下流との話し合いについて言及すると,中国としては既にASEAN首脳会議で発言しているので,下流国は同意しているものと考えている,と無責任なことを言っていた。

私は,やはりメコンの本流にダムを造ることは大変な事業だと思う。だからこそ,萬湾や大朝山のような小さなダムは別にして,小湾のような大きな貯水池が発電の便益だけで建設できると言うことは,大変に意義のあることだから,これを有効に利用するために,中国と下流国は,もっと話し合いをして,下流国は,流砂減少の問題は何とか考えるから,渇水時に700トンが放流できるよう,確実に運用してくれ,と交渉すべきだ。

確かに流送土砂減少という問題はある。ビエンチャンで流域面積が30万平方kmだから,小湾計画15万平方kmとして,半分の流域を締め切るから,河岸浸食におののくビエンチャンは問題だと思う。護岸と言う手法もあるが,それとビエンチャン下流に堰を造って土砂流出を止め,その堰から上流で生み出された渇水量700トンの水の一部を東北タイに運んだらどうか。中国とタイの対話に持って行くには,政治の壁を破るという大仕事がある。

メコン流域図と小湾の位置
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河岸浸食に戦くビエンチャンのメコン河岸
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1 今日の概要

●メコン会議,南北回廊jの開通を宣言,サマック首相は,これで北京からシンガポールまで繋がった,と大げさ発言。バンコクを英語学習の拠点にすると。●中国政府の,メコン会議に対する公式なペーパー,最近の軍事協力についても言及。●メコン会議,NNAの日本語報道。メコン友好橋の鉄道,ビエンチャンまで延伸,と報道。●ベトナムとラオス,セカマンの水力開発合意,33万KW規模。●フィリッピンのIT関係BOTが問題に。●インドネシアのLNG,日本に対して百万Btu当たり16ドルを提示,高い,14セント相当。●中国の軍事機密は地形図も。


2 目次

●メコン,関係国首相立ち会い,南北回廊の開通式,遂に北京シンガポール繋がる
●中国とラオスの有効の絆,その基盤について
●タイ,インフラ整備を加速、メコン圏首脳会議
●ベトナムとラオス,セカマン川水力開発で合意
●フィリッピン,経済専門家,BOT案件の法律改定必要と,工期の問題
●インドネシア,対日LNG契約,単位当たり16米ドルも
●中国,<軍事機密>地図データを保護、2007年十大違法測量事件を発表


3 本文

●メコン,関係国首相立ち会い,南北回廊の開通式,遂に北京シンガポール繋がる

月末にビエンチャンに集合しているメコン沿岸関係国首脳,これはタイのバンコク側の報道であるが,南北回廊,即ち,昆明からバンコクまで,を謳い文句に,中国政府が力を入れているルートに話題が集中している。日本政府はこれに対抗して,ベトナムのダナンからバンコクまでの東西回廊重視で,先月もメコン外相会議を東京で開いて,支援を決めた。

ビエンチャンに集まったこの南北回廊関係諸国の首相クラスが集合して,ラオス領内国道3号線の完成式を行って,南北回廊開通を宣言したわけだが,タイのサマック首相は,昆明からバンコク,と表現せず,北京からシンガポール,と表現した。サマックのオッチャンは常に大げさである。

ただ,東西回廊と違って,メコン架橋が完成していない。昨日は中国正規軍の南下ルートになるから,タイが橋の完成を渋っているのではないか,と書いたが,中国とタイの資金で,2011年にも完成と書いてある。まあ正規軍が戦車で南下してくる前に,ミサイルが飛んでくる時代だが。でもイラクなど見ていても,最後は歩兵部隊が入らないと占領にはならないことがよく分かったから,二つの回廊でベトナム軍と中国軍が同時にバンコクに入ったら大変ですね,半分冗談だが。

もう一つ,サマック首相の突飛な発言は,これでバンコクを英語学習のハブにする,と言うのである。全くサマックのオッチャンの突飛さには参ってしまう。どうしてここで英語学習が出てくるのか。中国,ラオス,ミャンマーから英語学習のための学生が南北回廊を使ってバンコクに集まるというのか。このグループの中でもっとも英語が下手くそなのは,日本人に次いでタイ人だと思うのだが。

いずれにしても,今回のGMS首脳会議は,美辞麗句の上に,南北回廊開通で盛り上がって,友好的に終わったわけだが,東西回廊があまり問題にならないのは,日本に遠慮したのか,メコンはただ横断するだけだから関係ないのか。集まった首脳は,胸に溜まっているメコン本流ダム開発への思いは,一言も語らずに別れたようである。今こそ,上流中国領内の小湾ダムを,如何にメコン下流域のために有効に運用するかの話し合いが大切なときなのだが。


昨日うまく出なかった老街の歓楽街
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メコンウオッチの南北回廊の報告
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20021228_01.html
GMSの道路網構想
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ヘラルドトリビューンの南北回廊開通道路,写真
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040101road.jpg

●中国とラオスの有効の絆,その基盤について

これはメコン会議に際しての中国側の公式な報道,と言うよりは温家宝首相が読み上げた演説の内容ではないか。外交の歴史を振り返りながら,中国とラオスが今ここに確固とした友好関係を築き上げたことを,それこそ美辞麗句を重ねながら,表現している。古代からの交流から始まって,2000年11月に,時の江沢民主席の,中国のトップの歴史上初のラオス訪問を謳い上げている。

両国の主な業績を連ねているが,協調しているのは,ラオスのTVシステムはほとんど中国の主導で完備されたと言っている。他に,ナムガオ川の水力や送電線,何のことかよく分からないが,強調している。あの派手な文化会館やセメント工場なども,中国の誇る支援だ。軍部同士の交流が行われていることも書かれている。こうなると,日本が力を入れてきたことが,何だったのかな,と思ったりする。

中国とラオスの国境線,マイクロソフト
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中国とラオスの国境線,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040203.jpg

●タイ,インフラ整備を加速、メコン圏首脳会議

これは,同じくビエンチャンに於けるメコン圏首脳会議に関するNNAの日本語記事である。ここでもダム問題は取り上げられておらず,温家宝首相は,南北回廊の完成を2011年として,積極発言で会議を主導したという。ダムの話が出ないうちに南北回廊を喋った,と言う感じか。メコン友好橋を渡っている鉄道を,ビエンチャンまで延長する計画をタイが支援する,新しい計画である。

メコン友好橋地点,グーグルアース
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完成直後のメコン友好橋,ラオス側より
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●ベトナムとラオス,セカマン川水力開発で合意

ラオス南部のセカマン川開発がベトナムの手によって行われる,と言うことは既に報道されていたが,今回は,メコン会議の中でラオスとベトナム首脳の間で,契約の調印が行われたようだ。二つのダムで,工事費が441百万ドル,出力は二つ併せて322MW,着工は2008年,完成は2013年である。どこに持って行くのか,タイに売るのか,ベトナムに持って帰るのか。

セカマン水力付近,マイクロソフト
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040207.jpg
セカマン水力付近,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040208.jpg
セカマン水力付近,ダムサイト写真,セカマン第1
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040206.jpg

●フィリッピン,経済専門家,BOT案件の法律改定必要と,工期の問題

BOTの法律を見直さなければいけない,と言う主張で,読んでみると,どうもIT関係のプロジェクトの遅れのようだ。工期が遅れた場合の反則金の徴収や補償金の準備などを言っていて,所謂,発電プロジェクトでは早くから採用されている制度で,最近発足したこのようなITのBOT契約では,まだまだ多くの欠陥が制度的にはあるようだ。

●インドネシア,対日LNG契約,単位当たり16米ドルも

先日から問題になっていたインドネシアのLNG日本への輸出に関する問題で,インドネシアは国内需要が増えたことや,インドや中国がLNGを使い始めたことで,日本に対して強硬な姿勢を打ちだしてきた。先日のプルノモエネルギー大臣の発言の中では,価格の問題は具体的には口をつぐんでいたが,百万Btu当たり16ドル,と言う数字が出てきた。

16ドルというのはかなり高い。計算してみると,40%効率でKWh当たり燃料費として14セント近くになる,とんでもない話である。今まで9ドルぐらいだから大変な話。もっとも原油バレル100ドルでは14.6セントだから,これに合わした発言,ともとれるが,今やLNGの代替は石炭であり,石炭トン100ドルでは3.5セントに過ぎない。では日本ですぐに石炭に変えられますか,と言うことだろうが,さてどこに落ちつくのか。

●中国,<軍事機密>地図データを保護、2007年十大違法測量事件を発表

中国の地図では我々も苦い経験を味わっているが,中国はこの他にも,水の流量資料も国家機密で日本人が直接生データーを扱えない。無断で百葉箱を設置して観測していて捕まったJICA専門家がいると聞いている。


4 その他

●インド,電力金融公社PFC,コンサルタント部門設立

5 参考資料

2008年4月2日分

フィリッピン

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080402A Philippines, Manila Bulletin
経済専門家,BOT案件の法律改定必要と,工期の問題
BOT changes eyed to hasten completion
http://www.mb.com.ph/BSNS20080401120692.html

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080402B Laos, Antara
ベトナムとラオス,セカマン川水力開発で合意
Vietnam, Laos sign hydripower contact
http://www.antara.co.id/en/arc/2008/3/31/vietnam-laos-sign-hydripower-contact/
●080402C Mekong, Bangkok Post
タイのサマック首相立ち会い,南北回廊の開通式
Prime ministers open new highway to China
http://www.bangkokpost.com/News/01Apr2008_news06.php
●080402D Laos, China View
中国とラオスの有効の絆,その基盤について
Backgrounder China-Laos relations
http://news.xinhuanet.com/english/2008-03/31/content_7891829.htm
●080402E ラオス,4月1日8時0分配信 NNA http://nna.asia.ne.jp/
【タイ】インフラ整備を加速、メコン圏首脳会議
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080401-00000006-nna-int

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080402F India, Economic Times
電力金融公社PFC,コンサルタント部門設立
PFC floats consultancy arm
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/PFC_floats_consultancy_arm/articleshow/2915358.cms

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080402G インドネシア,4月1日8時0分配信 NNA
【インドネシア】対日LNG契約、単位当たり16米ドルも
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080401-00000005-nna-int

中国
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0China.htm

●080402H 中国,4月1日11時9分配信 Record China
<軍事機密>地図データを保護、2007年十大違法測量事件を発表―中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080401-00000004-rcdc-cn


ー 日刊アジアの開発問題 2008年4月1日分 ーラオス人はカジノ場に入っては行けない

「ラオス人はカジノ場に入っては行けない」,と規制されているのは,メコン南北回廊の工事の進展に伴って中国との国境際に設けられて行く歓楽街の一角である。中国やタイでは,賭博は禁止されている,しかしなぜか中国人とタイ人は賭博が大好きなのである。国境が開かれると,必ずカジノ場が出来,すぐ車で中国人やタイ人が押しかけてくる,ビルマ人とラオス人は入れない,自国の警察領域だから。

私が最初に驚いたのは,ミャンマーの東北端,かっては麻薬の巣窟であったラオカイの町である。サルウイーン河と国境線に挟まれた狭いところにその町はあって,まるで歌舞伎町と見まがうばかりの歓楽街が開かれ,国境を越えて入ってくる中国人でごった返している。使えるお金は人民元だけであり,中国語以外はほとんど通じない。携帯電話の電波は中国からどんどん入ってくる,中国の電波って,どうしてあんなに強いのか。

国境が開かれると,必ずこのような状況になる。最初に計画され耳にしたのは,ミャンマー,ラオス,タイの国境にある黄金の三角地帯で,既に1990年代の初めに開発され,タイ人が押しかけているという。次はコーンの瀧に代表されるベトナム,カンボジア,ラオス,タイの4角地点で,今この歓楽街を賄うためのドンシャン水力計画が進んでいる。タイとラオスが接する南部のココンの町も同様で,タイ人がカンボジア内のカジノに押し寄せているのである。

今日のメコン南北回廊のニュースの中で,中国からラオスへ入る道路建設は進んでいるが,もう一つのバイパス,ミャンマーに入る道路は,政治的な問題もあって遅れているという。その昔,日本軍が断ち切ろうとして苦労した援蒋ルートの一部である。先日,チベットの鉄道は,中国正規軍を急速にチベットに送り込むためだ,と書いた人がいた。このメコン南北回廊,中国軍が南下するには格好のルートである。だからタイは,メコン架橋の計画を遅らせているのか,今の時代,それはないか。でも,経済進出,それはまるで戦車で攻め込まれたような圧迫感があるのだろう。

ミャンマー東北端,ラオカイの歓楽街
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1 今日の概要

●ビエンチャンにはメコン沿岸諸国の首脳が集まっている。ヘラルドトリビューンは,メコン南北回廊の進捗する様を,関係者や一般住民の声を集めながら,地域の変貌,特に中国の劇的な経済進出を描写している。●気候変動のバンコク会議始まる。日本のセクトラルアプローチに,新興国や欧州から警戒の声,日本政府は説明に大わらわ。●インド,ナルマダ開発,ラジャスタンにもたらされた水の恵みを,住民の声を借りながら,説明している。

2 目次

●メコン,南北回廊の建設,中国は近隣諸国と密接な関係に
●バンコク会議,温室効果ガス,「ポスト京都」部会、タイで31日から会合
●インド,ナルマダ開発,渇水のラジャスタン州に恵みの水


3 本文

●メコン,南北回廊の建設,中国は近隣諸国と密接な関係に

今メコン沿岸諸国首脳がビエンチャンに集まっている。美辞麗句を重ねて声明が発表されるが,首脳の関心は,道路とダム建設に集まっている。このヘラルドトリビューンの記事は,主として南北回廊の中国昆明からタイのバンコックに繋がる道路の影響の大きさについて,多くの人々の証言を集めて見事に現状を描き出している。まだ完成はしていない,メコン架橋がまだである,しかし中国は既に多くの仕事を成し遂げている。読んでみたインパクトのと良かった話を挙げてみよう。

中国自身は,その領内で既に昆明からラオスとの国境まで,2車線の完全舗装道路を完成している。40億ドルをかけ,430の橋を架け,15のトンネルを抜いている。今まで車で24時間以上をかけた行程が僅か数時間に短縮されている。60以上の監視カメラが設置されて,中央監視所でモニターされているが,主として250頭いる象の動きを監視しているという。麻薬を含む犯罪人逮捕にも効果を上げているという。

中国は,ラオスに入ってきて,既に多くの仕事を始めているが,特に長期に亘る土地の貸借契約を結んでいる。ビエンチャンの近郊で50年の租借地を造っており,大規模な競技場などとともに,工業団地も造成する。更に西のナムタの町でも,30年に亘る借地の契約が完成して,工業団地の造成が進んでいる。ラオスは中国に侵略されている,と表現する人もあるが,現地の人々は中国経済の進出を歓迎している。

タマサット大学の先生が学生に向かって,君たちはリンゴを食べたことがあるか,と学生に質問すると,ほとんどの学生は最近食べた,と報告している。バンコクのマーケットでリンゴが買えるのはほんの一部のお金持ちだけであった。ところが今は,中国からリンゴが大量に入ってきて,誰でも帰る値段になってきた。ただ,南北回廊の線上でラオスとタイを結ぶメコン架橋がまだ計画の段階だ。中国は資金提供を申し出ているが,進んでいない。タイの何かの配慮を感ずるのは私だけだろうか。

メコンウオッチの南北回廊の報告
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20021228_01.html
GMSの道路網構想
http://my.reset.jp/~adachihayao/08033001road.jpg
ヘラルドトリビューンの南北回廊開通道路,写真
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040101road.jpg

●バンコク会議,温室効果ガス,「ポスト京都」部会、タイで31日から会合

既にテレビなどで状況が報告されているが,問題は日本のセクトラルアプローチのようだ。私も分からないのは,「産業分野別の削減可能量を積み上げて国別の削減目標を定める」,という文言で,国別の削減目標に持ってくるのは大変だと思う。分野別に積み上げると,もっとも削減効果のあるのは中国とインドの石炭火力と,インドネシアなどの森林で,日本などは幾らやっても効果がないのだから。

途上国や欧州は,このことを見透かしているわけで,日本は逃げるという結果になることが明白だからだ。しかし,地球にもっとも効果のあるのは,日本政府の言う分野別アプローチで,これは計算してみれば分かることだから,日本が温暖化ガス抑制に使う費用を,どんどんインドや中国に回してあげる,と言うのがセクトラルアプローチの本旨だから,そう説明せざるを得ないだろう。

バンコク会議,環境省の報道発表資料
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=3525

●インド,ナルマダ開発,渇水のラジャスタン州に恵みの水

「我々の生活がここに永遠に変わることになった!」,と喜びの声を挙げているのは,サルダルサロバルダムからはるばる75kmの水路を流れてきた水に,泳げないのに飛び込んで溺れかけた息子を助けての,親の喜びの声である。この地方にとって如何に水というものが憧れの対象であったかがよく分かる。激しい反対運動の末に完成した一部の施設の効果を,余すところなく表現している。

ナルマダ川の流域図
http://my.reset.jp/~adachihayao/08033101narmadam.jpg
ナルマダ河,グーグルアース
http://my.reset.jp/~adachihayao/08033102narmadaG.jpg


4 その他

●対日制裁を欧州委員に要求=Jパワーが増配拒否なら−英ファンド
●【インドネシア】基盤向け円借款600億円、大学病院など


5 参考資料

2008年4月1日分

タイ

http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Thailand.htm

●080401A タイ,3月30日21時52分配信 毎日新聞 http://www.mainichi.co.jp/
<温室効果ガス>「ポスト京都」部会、タイで31日から会合
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080330-00000078-mai-pol

電力一般

●080401B Jパワー,時事通信
対日制裁を欧州委員に要求=Jパワーが増配拒否なら−英ファンド
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2008033100050

ラオス
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Laos.htm

●080401C Laos, International Herald Tribune
メコン,南北回廊の建設,中国は近隣諸国と密接な関係に
A highway that binds China and its neighbors
http://www.iht.com/articles/2008/03/30/asia/road.php

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080401D India, Economic Times
ナルマダ開発,渇水のラジャスタン州に恵みの水
Narmada waters quench thirst, bring hope to Rajasthan
http://www.thaindian.com/newsportal/enviornment/narmada-waters-quench-thirst-bring-hope-to-rajasthan_10032681.html

インドネシア
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Indonesia.htm

●080401E インドネシア,3月31日8時0分配信 NNA http://nna.asia.ne.jp/
【インドネシア】基盤向け円借款600億円、大学病院など
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080331-00000005-nna-int


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