2008年6月24日更新
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ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月4日分 ー中国エネルギー事情に異変

「中国エネルギー事情に異変」,と論じているのは,いつも中国に対する辛口の論評でなる宮崎正之氏のメルマガである。情報源としては詳細は必ずしも高くないが,四川省が,一般に考えられているよりは,中国のエネルギー問題にとって重要な地域であることを強調している点に置いて,一読の価値がある。そこに書かれているのは,四川省の石油生産であり,水力ダムであり,更には原子力発電プロジェクトである。

氏の情報から数字を抜き出させて頂くと,四川省内だけで391の水力発電所が稼働してきたとされているが,各行政単位で中央の許可を必要としない中小規模の水力は110カ所,と論じている。また,4つの原子力プロジェクトが進行していたようだ。中国全体の原子力発電計画は,2020年に20ギガワット開発という壮大なもの。氏は,中国はこれからの総合的エネルギー計画の根本を見直すことになるか,と論じている。


本文

●インド中央政府,水力開発の促進のため企業を鼓舞

常にインド国会から,その対応のまずさを指摘されて苦境に立たされるシンディ電力大臣,国会の外に出ると,如何に五カ年計画に沿って計画が順調に進んでいるかを積極的に記者団に語ることにしている。先週も大規模火力のマディアプラデッシュ州ササン火力の建設が遅れていたところ,2基のうち1基については計画年度内に完成する目処がつき,ここで大見得を切ったところである。

彼によると,第11次五カ年計画で78,755MWの完成を目指しているうち75,000MW分については既に機器発注を終えている,としているが,この重電機器の鋼材不足が言われる中,契約がうまく進むのかどうか,大いに心配なところである。現在インドは,30GWの電力設備が不足していると言われている。

これに対してヒマラヤ地域では,150GWの水力包蔵があると言われており,今回のシンディ電力大臣の発言の大きな趣旨は,引き続き水力開発に携わる企業に対する優遇措置の再確認が目的だったようだ。企業によって開発された電力のうち,40%については企業側に売電先の選択が許される,という内容。ヒマラヤですよ,どこに売るか,と言われたって,選択のしようがないと思うのだが。

UPIも同じ内容の報道をしているが,インド政府,水力開発へのインセンティブを強化,として,40%自由化を強調している。特に,シンディ大臣が,国会を意識しながら,今回五カ年計画の目標は,現段階では依然として目標死守の姿勢を貫いている。

●水力開発に乗り出すNHPC,環境省から基準について糺される

少し理解困難なところがあるが,水力開発の環境調査について,NHPCは,2006年に制定された環境インパクトアセスメントEIAの法律に従ってEIA並びに環境マネージメント計画EMPを実施するつもりなのか,或いは現在草稿段階にある海岸マネージメント地域法CMZに従うのか,どうなのか,と逆に環境森林省から聞かれている。NHPCは勿論,2006年の環境法に従って認可を受ける,と答えている。

環境森林省の意図はよく分からないが,CMZは,マーングローブ,珊瑚礁,海浜などの保護と島嶼地域の環境を言っており,潮汐発電所と水力発電所を対象としている。これは,大河川の上流で開発される大規模貯水池が,河口の海岸地域に与える影響を言っているのかも知れないが,何とも不可解な両者のやりとりである。

NHPCは,現在14発電所,5,175MWを保有しているが,現在11プロジェクト,4,622MWを新たに開発推進中である。2017年までの第11次五カ年計画の中では,10,000MWを開発することになっている。NHPCは言っている,困難な条件の中で我々は戦っていると。それは,地質の悪さ,難しい法律,アクセス困難な地域などとの戦いであると。

●ネパールのブディガンディ水力,コンサルタント指名

ネパールで初めての大規模貯水池型の開発,ブディガンダキは,インドのサングループとロシア企業が造る合弁企業によって民間開発されることに決まっているようだ。このJVは,ブディガンダキ600MWだけでなく,インドのヒマラヤプラデシュ州の水力など,地域の水力開発を幅広く著鬱しているようだ。ブディガンダキの調査コンサルタントには,モットーマクドナルド社が指名された。どこのコンサルタント?


参考資料

2008年7月4日分

インド

●080704A India, Financial Express
水力開発に乗り出すNHPC,環境省から基準について糺される
NHPC hydro-electric projects caught in red tape over govt’s green signal
http://www.financialexpress.com/news/NHPC-hydro-electric-projects-caught-in-red-tape-over-govt-s-green-signal/330968/
●080704B India, Water Power Magazine
ネパールのブディガンディ水力,コンサルタント指名
Motts appointed to study Nepal dam options for RusSUNHydro
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectioncode=130&storyCode=2050068
●080704C India, Pepei Pen Net
インド中央政府,水力開発の促進のため企業を鼓舞
Indian government to give boost to hydropower
http://pepei.pennnet.com/display_article/333167/6/ARTCL/Display/none/1/Indian-government-to-give-boost-to-hydropower/
●080704D India, UPI
インド政府,水力開発へのインセンティブを強化
India announces incentives for hydropower
http://www.upi.com/Energy_Resources/2008/06/30/India_announces_incentives_for_hydropower/UPI-28441214872871/


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月27日分 ー水車発電機の鋼材不足が元凶

「中国企業の動きに目をつぶっている」,のはカンボジアの政府であり国民である,と記事は書きだしている。日本の支援に頼ってきたエネルギー省のイトプレイン次官,今や中国の激甚な攻勢に悲鳴を上げていることだろう。それでも,あの1992年のカンボジア復興期に,日本やADBなどの無償協力が入ってきた頃以上の嬉しい混乱の中にあるのだろう。トンレサップ川を渡る通称日本橋の上に掲げられた日章旗を見て,あれはよくないですね,と彼にに話しかけると,「いや,あれは陸上でなく橋の上だからいいんだよ。」,と自分自身を宥めていたイトプレイン氏だった。

彼は言う,「カンボジアの経済成長は著しい,すべてのセクターが安い電気の供給を望んでいる。外部の人たちは常に開発に対して環境問題を持ち出し反対するが,我々は電力が必要である,開発が必要である,我々は高い原油を輸入するのではなくて,出来るだけ我が国の資源を利用する必要があるのだ。」,と。日本,カンボジア,フィリッピンは資源が少なく電気料金が高い国である,原油高騰の影響をまともに受けている。

今や彼の敵は環境団体のIRNであり,更にカンボジア国会の中で開発反対の音頭をとる野党議員のソンチャイ,それにカンボジアの環境フォーラムのサムチャンティらである。例の嘗てシハヌーク国王が,開発されたカムチャイのダムの上から湖を囲む見事な森林を眺めてみたい,と言ったカムチャイ水力も例外でなくシノハイドロが開発に乗り出したようだ。10個のダムのうち6個は既に中国企業の資金が決定しており,合計出力は2045MWに達するという。


本文

●中国企業の水力開発,カンボジアに希望と恐怖

カンボジアのエネルギー省次官イトプラン氏,元気にニュースの中で踊っているのを見て安心した。嘗てはなかなか開発調査から外に踏み出してくれない日本政府に焦燥していた彼であるが,一時,ココンの石炭火力で接触を保ったことがある。その彼が,一挙に中国企業に囲まれて,しかも日本政府からは聞いたこともないような,10個のダムを2010年から2019年の間に完成するという,驚天動地である。

彼は言う,「カンボジアの経済成長は著しい,すべてのセクターが安い電気の供給を望んでいる。外部の人たちは常に開発に対して環境問題を持ち出し反対するが,我々は電力が必要である,開発が必要である,我々は高い原油を輸入するのではなくて,出来るだけ我が国の資源を利用する必要があるのだ。」,と。日本,カンボジア,フィリッピンは資源が少なく電気料金が高い国である,原油高騰の影響をまともに受けている。

今や彼の敵は環境団体のIRNであり,更にカンボジア国会の中で開発反対の音頭をとる野党議員のソンチャイ,それにカンボジアの環境フォーラムのサムチャンティらである。例の嘗てシハヌーク国王が,開発されたカムチャイのダムの上から湖を囲む見事な森林を眺めてみたい,と言ったカムチャイ水力も例外でなくシノハイドロが開発に乗り出したようだ。10個のダムのうち6個は既に中国企業の資金が決定しており,合計出力は2045MWに達するという。

●果たしてマレーシアは原子力開発に踏み切るべきか

1979年に私はマレーシアの北端,ケランタンにいた。丁度その時,米国のスリーマイルズ島の原子力発電所の事故が起き,マレーシアのカウンターパーツと新聞記事を覗き込みながら,どこまで熔解が続いて行くか分からない事故の深さに戦いていた。マレーシアの彼は,我々の国は原子力発電所を持っていなくてよかった,と言いながら私の顔を覗き込んでいたが,当時の衝撃はそれほど大きかった。

あれから30年,ここに至って,この記事も書いているように,「原子力発電」,と言う言葉は悪魔の言葉ではなくなった。今や近隣の東南アジアでも一気に原子力開発への流れが増している。これでいつまでもじっと出来なくなったのがマレーシアだ,近隣諸国の中でも先進国であるマレーシアが,原子力を無視しているわけにはいかなくなったのだ。マレーシアも,実際にはガスの枯渇やサラワクの距離に悩まされている。

ここで幾つかの重要な数字があるので拾っておこう。マレーシアのガスは,最近まで百万Btu当たり6.40RM,195ドルであったものが,14.31RM,4.31ドルにまで上昇してきている。100万KWの発電所を造るのに,原子力発電所は10億ドルから25億ドル(随分幅が広い)と安くなってきている。石炭火力は15億ドル,ガス火力は5億ドルから10億ドルである。マレーシアでの電力生産単価であるが,石油系がKWh当たり9.63セン,2.94セント,ガス火力が6.75セン,2.06セント,原子力は1.72セン,0.52セント。随分安いがどうしたのかな。


その他

●ネパール,オーストラリア大使,ウエストセティはまもなく着工と


参考資料

2008年6月30日分

ネパール

●080630A Nepal, The Rising Nepal
オーストラリア大使,ウエストセティはまもなく着工と
'West Seti to begin soon'
http://www.gorkhapatra.org.np/detail.php?article_id=2483&cat_id=4

マレーシア

●080630B Malaysia, NST Com
果たしてマレーシアは原子力開発に踏み切るべきか
Can Malaysia go NURRIS ISHAK and CHAI MEI LING
http://www.nst.com.my/Current_News/NST/Sunday/Focus/2279329/Article/index_html

カンボジア

●080630C Cambodia, AFP
中国企業の水力開発,カンボジアに希望と恐怖
Chinese-funded hydro-dams bring hope and fear to Cambodia
http://afp.google.com/article/ALeqM5hlun-PmvL0cfZ8P1lzML0ZrP31BA


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月27日分 ー水車発電機の鋼材不足が元凶

「水車発電機の鋼材不足が元凶」,と断じているのは,ラオスの水力地点の工事費の値上がりに悲鳴を上げているタイの電力公社EGATである。2007年末時点まではそれほどの影響はなかったのだが,今年の4月頃から各国で建設工事の値上がりが問題になっており,一時,米国のプロジェクトが今年に入ってから30%の値上がりに見舞われている,と言う記事もあった。私も試算してみたが,今年に入ってから,棒鋼が56.8%,厚鋼板が48.3%など,特に鋼材が激しい。セメントなどは7.7%で,殆どの問題が鋼材だという。

EGATは,ラオスのナムニエップなど,三つのプロジェクトについて,売電単価を上げざるを得ないところまで来たと見て,協定の見直しにかかったようだ。具体的な数字は書かれていないが,関西電力や丸紅など,日本の企業もこの問題の影響を受けている。今回の値上がりは一時的,と見たいが,今後の日経の価格表を注意深く見守りたい。


本文

●タイのEGAT,ラオスの3つの水力で,売電単価を上げることに同意

私も必要あって,2007年末からのこの半年の物価高騰を日経の表でまとめてみたが,2008年6月末,今日で見ると,企業物価指数が3.1%,消費者物価指数0,に対して建設物価は,棒鋼が56.8%,厚鋼板が48.3%,ガソリンが18.2%,NY原油が46.7%,セメントが7.7%,で特に生活物価よりも建設物価の高騰が激しく,水力発電所総合の工事費に当てはめてみると,この半年で24%上がった,と見ている。異常な数字である。

それに,問題は日本のコントラクターで,バブル崩壊の試練を経てその収縮が激しく,プロジェクトに対する意欲が激しく減退している,と見た。特に日本企業が興す民間プロジェクトについては,日本のコントラクターの支援が基礎にあったにもかかわらず,価格競争を行う意欲は全く失せている,と見ている。サンロケの時に,JBICのお金が皆米国コントラクターに持って行かれる,と叫んでいたが,それ以上の事態が危ぶまれる。

この記事でも具体的な売電単価は書かれていないが,タイの努力で国内の電気料金は7セントレベルまで上がってきているのではないか。つい先日まではEGATは4セント台でしかラオスの電気を買う気持ちはなかったが,7セントに対応する売電単価まで上がってくると,多くのラオスの水力が浮上してくるはずであった。

それが建設費高騰とコントラクターの萎縮で,難関に乗り上げている。日本のプロジェクトを興す企業も,日本のコントラクターに支えて貰う時期は過ぎて,果敢に,米国や中国のコントラクターとの提携が必要になってくる。日本のお金がどんどん外国へ流れるわけだから,何とかして日本のコントラクターに以前の光を取り戻して貰いたいものだ。

この記事で,EGATが売電単価の見直しを行おうとしているプロジェクトは,440MWナムグム3水力(丸紅とMDX,2013年),523MWナムテン1(EGCOとマレーシア,2014年),261MWナムニエップ(関西電力とEGAT,2014年),1,300MWサルイーン河のハッチの4プロジェクトである。ただ,この記事にはっきりと書いてあるのは,水車発電機の鋼材不足による工事費値上がり,とかなり問題を局限している。

●中国,四川大地震,中国の大ダム開発に衝撃

北京の十三陵揚水発電所の下部ダム,水漏れが激しく,揚水発電所の計画の中で大がかりな調査が行われた。なぜこんなに漏るのかと当時の中国の技術者と議論したが,彼らは一様に恥ずかしそうな顔をして,何しろ文化大革命の途上で建設されたもので,と言いながら顔を伏せていた。今日の記事では,当時の政治状況の中で全国で3万ものダムが建設されたという。今度の地震でも,この当時建設されたもの被害を受けている。

この記事で,もう一つ注目すべきは,2006年に完成した今回問題となったロンメンシャン断層の上に造られた大規模ダム,ジッピンプーダムの存在である。このダム自体が今回の地震の引き金になったのではないか,と言う議論があることである。今回政府に出された学識経験者グループの文書の中にもこのことが書かれており,今後議論を呼びそうだ。一般には,ダムは微小地震の原因にはなっても,それが大地震を引き起こす原因とはなり得ないだろう,と見られてきたからだ。

とにかく,この四川省付近は,紀元前よりダム工事が行われており,6000近いダムがあるという。69のダムが被害を受けたとされているが,紀元前よりの地震歴を見ても,最近の大ダム建設が引き金だ,という論拠となっている。中国では2万近い大ダムが存在し,更に30の大規模ダムが政府の計画の中に入っている。水利省は強気の発言であるが,40人の学者グループの訴状をどう扱うか。


その他

●中国,パキスタンのバシャダム建設へ労務者提供を提案
●ADB,ベトナムの水力へ,196百万ドル支援
●インドネシア,チラチャップの石炭プラント,一時閉鎖


参考資料

2008年6月27日分

ベトナム

●080627A Vietnam, Insurance News Net
ADB,ベトナムの水力へ,196百万ドル支援
ADB to fund Vietnam hydropower project
http://insurancenewsnet.com/article.asp?n=1&neID=20080626375.4_0b390028805bde54

タイ

●080627E Thailand, Bangkok Post
EGAT,ラオスの3つの水力で,売電単価を上げることに同意
Laos plants get new rates
http://www.bangkokpost.com/270608_Business/27Jun2008_biz99.php

パキスタン

●080627B Pakistan, Daily Times
中国,パキスタンのバシャダム建設へ労務者提供を提案
China offers labour for construction of Bhasha Dam
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C06%5C25%5Cstory_25-6-2008_pg5_14

インドネシア

●080627C Indonesia, The Jakarta Post
チラチャップの石炭プラント,一時閉鎖
Cilacap plant shuts down as coal supplies cease
http://www.thejakartapost.com/news/2008/06/25/cilacap-plant-shuts-down-coal-supplies-cease.html

中国

●080627D China, A Times
四川大地震,中国の大ダム開発に衝撃
Temblor shakes China's big dam ambitions
http://www.atimes.com/atimes/China_Business/JF26Cb01.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月24日分 ーラメッシュ,ネピドーに飛ぶ

「ラメッシュ,ネピドーに飛ぶ」,アジア開発4人男の一人,インドの電力省副大臣,ラメッシュが,突然,ミャンマーの新首都ネピドーに現れた。旅の名目はイラワジ上流でNHPCが苦戦している240万KWのタマンティ多目的ダム。NHPCはもう諦めて,あの電力はインドには持って来れません,と白旗を挙げたというのに,ラメッシュが突然躍り出てきて,インド輸出入銀行の80億円余りの繋ぎ資金をポケットに入れて,日曜日に突然,ミャンマーに現れたのである。

勿論彼の目指すところはタマンティではない,彼から見てもタマンティは大変なプロジェクトで,いつまでもインドはこのプロジェクトから足が抜けないであろう。しかしそれが彼の狙い目で,彼が目を付けているのは,中国やタイにやられてしまって,どうしてもインドに持って来れないミャンマーの天然ガスである。その様な大きな目標があるのに,タマンティから撤退しようとするNHPCに対して,ラメッシュが業を煮やしたのだろう。アジア開発男の面目躍如である。


本文

●インドのラメッシュ副大臣,ミャンマーへ水力外交

私の定義する,「アジア開発4人男」,一人でも動けば必ず大きな仕掛けが動く。インドの政治職,電力省副大臣のラメッシュは,最近通商産業副大臣も兼務している。週末に急遽ミャンマーの新首都ネピトーを訪問し,ミャンマーの電力大臣ゾーウイン大佐と会談,暗礁に乗り上げていたイラワジ川上流の大規模多目的ダム,タマンティの復活を計った。ラメッシュは出発前からインド輸出入銀行からの84百万ドルの支援を取り付け,NHPCが120万KWと計画した発電所を倍増の240万KWとすることで,ミャンマーと合意した。

勿論,ラメッシュの意図はタマンティではない,事実タマンティはいつ出来るか分からない,84百万ドルは単なる準備の資金で,本格着工までにはまだまだ紆余曲折がある,それを承知の上で,あえて協力の継続を計った。彼の頭の中には,中国やタイが進めるミャンマーの天然ガス協力がある。バングラデシュを経由してのインドへのパイプライン構想は一向に進まない。このミャンマーの持つ89兆立方フィートとも言われる天然ガスへの突破口が,NHPCが手がけてきたタマンティ多目的ダムの眞の意図なのである。

●中国,発改委,西部開発のため,10プロジェクトをスタート

中国の発改委,四川地震の悪夢が今なお去らないこのとき,一気に西部開発の今年度着工分を打ちだした。全部で10プロジェクト,工事費総額4360億元,約641億ドル相当,大規模である,地震の被害者に回してくれ,と言いたいところだろう。開発の主軸は,中央部と結ぶ鉄道と道路であるが,その他に,水力などのエネルギー関係プロジェクトも含まれる。因みに,2007年までに着工した西部開発のプロジェクトは92で,投資総額は13兆と言われる。

●スリランカ,セイロン電力庁CEBの従業員,水力運営で法律違反と

久しぶりのスリランカの記事だが,よく分からない。CEBに対してセイロン電力会社LECOがあり,水力発電所をこの会社に運営委託したことが,CEBの回りの組織の反発を買っている,電力法違反だと言うわけだ。CEBには,水力に関しては,独占の権限が与えられているようだ。


その他

●インド,タタ電力,石炭火力出力増,輸入炭倍増へ


参考資料

2008年6月24日分

ミャンマー

●080624A Myanmar, Live Mint
インドのラメッシュ副大臣,ミャンマーへ水力外交
India uses power diplomacy to engage Myanmar, win project
http://www.livemint.com/2008/06/23234932/India-uses-power-diplomacy-to.html

インド

●080624B India, Bloomberg
タタ電力,石炭火力出力増,輸入炭倍増へ
Tata Power Will Double Coal Imports to Raise Electricity Output
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601091&sid=aCfA1477QhoY&refer=india


参考資料

2008年6月22日分

中国

●080622A China, Xinhua Net
中国,発改委,西部開発のため,10プロジェクトをスタート
China to launch 10 key projects in western regions
http://news.xinhuanet.com/english/2008-06/21/content_8413779.htm

スリランカ

●080622B Srilanka, Nation
セイロン電力庁CEBの従業員,水力運営で法律違反と
Govt. moves to destabilise CEB, charge unions
http://www.nation.lk/2008/06/22/news12.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月21日分 ーベトナム戦争とナムグムダム

「ベトナム戦争とナムグムダム」,今日もパキスタンのWAPDA総裁が,バシャダムなど2500万KWの水力開発を行うのだ,といつものように気炎を上げて,電力不足に悩むパキスタン国民を宥めに回っている。先日は,あのラオスの革命戦争の中,まだタイ経済も十分に成長していない中で,どうしてラオスのナムグムダムが出来たのだろうか,と疑問を投げかけた。

以前よりいろいろ資料を頂いている日本工営の小泉さんから,最近の氏の活躍の中で,特にラオス国民に対する愛情に溢れた話をメールで聞かせて頂いた。ナムグムダムに対する日本工営の当時の社長,久保田豊氏の話はよく聞いているし,そのメコン流域での氏の活躍は,我々の世界では有名な話である。だから,久保田氏のような方が,走り回ればプロジェクトが出来るのか,と言う一つの私の問いかけでもあったわけである。

小泉さんの書かれたもの読ませて頂きながら,久保田氏を初めとする日本工営の面々の努力を偲びながら,やはり,「その時歴史が動いた」,みたいな瞬間があるのではないか,と考えていたわけである。そこに注目しながら小泉氏の文書を読むと,特に,パテトラオとの革命戦争の中でのナムグム地域の中立化協定など,興味ある話がいっぱいあるが,「その時ナムグムが動いた」,と言うものも指摘してあった。

それは,私の解するところでは,ベトナム戦争の北爆開始,だったのであろう。久保田氏などの積極的な世界銀行へのアプローチにもなかなか動かなかったプロジェクトは,米国のベトナム戦争関連の10億ドル地域への投入で,その一部がナムグムに回されることになり,米国政府からもコンサルタントが送られて,久保田氏を初めとする日本工営の努力が実を結んできたという訳だ。勿論,着工後もマラリアとの戦いやパテトラオとの交渉など,苦労は大変なものであったようだ。

パキスタンは,多くの水力プロジェクトを抱えて,日夜,WAPDAなどが推進へ努力しているわけだが,「その時ダムが動いた」,と言う瞬間がこれからもあるのか。ナムグムではないが,戦争は結構プロジェクトを動かす結果になっている。ベトナムのホアビンダムなども,厳しい冷戦の結果なのだろう。そういう意味で,アフガニスタン攻撃は,まさしくパキスタンの,歴史が動く瞬間であったのに,ムシャラフさんは惜しい瞬間を逃した。


本文

●中国,国家発改委,電力料金値上げは,市場の改革を意図

数日前のロイター電,中国政府がエネルギー価格の改革推進の意をあらためて表明した地点では,「アナリストの間では,北京五輪を8月に控え,政府は社会不安を回避するため,エネルギー価格の大幅な引き上げは行わないとの見方が多い。」,としてきた。今回一転して値上げに踏み切ったのは,特に中国石油CNPCと中国石化CPCの財政状態悪化があったものと考えられる。輸入が増えてきたこの二つの大規模エネルギー企業の損失は,トン当たり3,000から5,000元に達していたとされる。

電気料金についても,2006年以来固定されており,状況は石油関係と同じ,特に石炭の値上がりが大きな影響を与えた。もう8月まで持ちこたえられない状況だったのだろう。発改委は,エネルギー市場改革への最初の動きに過ぎなく,今後の改革へのほんの入り口だと言うことと,弱者層への影響を最小限に食い止めることを強調している。今後,政府が気にするインフレ問題をどの様に制御してくるか,それが問題だろう。

●フィリッピン,国家経済開発庁NEDA,カガヤン開発で1,140億ペソを想定

「ルソン島北部には,フィリピンに2番目に長いカガヤン川という川が南から北に向かって流れている。この川がつくる渓谷は,カガヤン渓谷と呼ばれ,川沿いに広大な平野をつくっている。」,と記され,多くの考古学者が入っている。最近では,数少ないフィリッピンの石炭埋蔵が確認されて,量的にも質的にも十分ではないが,資源の少ないフィリッピンでは注目されている。

この地域は,太平洋戦争末期に上陸してきた米軍に攻められた日本兵が苦闘した地域で,当時我々の回りでも,フィリッピンから帰国した数少ない傷病兵の方々を見かけたものである。「タケ」,と言う名前で書かれた文章,「そこを流れる川の名前を取って「カガヤン平野」あるいは「カガヤン河谷」と呼ばれるその地域は,ルソン島有数の穀倉地帯であった。 しかし、今や水田地帯も芋畑も、米軍の空爆や日本軍とゲリラの地上戦等で,荒廃してしまっている。平地を見れば,荒れた田畑。森に入れば,戦傷やマラリア等の病気で動けなくなった,あるいは息絶えた兵隊達。」。

フィリッピンで政府は,この流域の開発のために,堤防の建設やダムの建設を通じて,洪水を制御し灌漑を進める総合開発計画を推進中である。2030年までに1,140億ペソ,約257億ドル相当を注ぎ込む計画だという。この流域には,かってニュージェックが発電計画を入れたことがあるし,最近ではJICAの開発調査で,日本工営が洪水対策に関する開発調査を行っている。

●パキスタン,WAPDA総裁,水力で2500万KW発電を目標

WAPDAの水力開発への執念は強いが,なかなかかけ声だけで資金力に問題がある。電力不足を水力開発のかけ声で宥めようとするが,話が長期に亘り問題である。今日の記事では,まず短期的な話を前に持ってきている。小規模ダムによる総合500MWや,レンタルベースの500MWなどである。レンタルとは,民間の施設を借り切ると言うことか。

続いていつもの大規模な話に移るわけだが,最初に出てくるのはニールムジェールムで,7年後に完成を目指している。総事業費1300億ルピー,
約19.3億ドル相当,KWh原価にすると1.92ルピー,約2.85セント相当,と極めて安いことを強調している。続いて,4500MW規模のバシャ-ダイムラー,1200MWのコハラ,5400MWのブンジ,と続く,いつもの調子である。

●マレーシア企業,ラオスに水力を建設

ナムセイン川,と言うのはどこか忘れてしまったですね,30万KWというからかなり大きい。マレーシア企業が合弁を組んで入るという,既にラオス政府との間では合意が出来ており,2014年に完成という。タイへの売電を狙っているのだろうが,それについては触れていない。マレーシア企業は,ナムテン第1水力で活躍中。


その他

●中国企業,カンボジアで水力建設,540百万ドル


参考資料

2008年6月21日分

パキスタン

●080621A Pakistan, Daily Times
WAPDA総裁,水力で2500万KW発電を目標
Hydropower projects to generate 25,000 MW: Wapda chairman
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C06%5C21%5Cstory_21-6-2008_pg7_17

フィリッピン

●080621B Philippines, Manila Bulletin
国家経済開発庁NEDA,カガヤン開発で1,140億ペソを想定
NEDA puts cost of Cagayan River dev’t project at P114 B
http://www.mb.com.ph/BSNS20080621127837.html

ラオス

●080621C Laos, The Star
マレーシア企業,ラオスに水力を建設
Local consortium wins mandate to build power plant in Laos
http://biz.thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/6/21/business/21617162&sec=business

中国

●080621D China, Xinhua Net
国家発改委,電力料金値上げは,市場の改革を意図
Latest fuel, electricity price rise part of "steady" reform on resources prices
http://news.xinhuanet.com/english/2008-06/20/content_8410130.htm

カンボジア

●080621E Cambodia,
中国企業,カンボジアで水力建設,540百万ドル
China to build $540m hydro plant in Cambodia -media
http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKPEK21739420080621


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月20日分 ーミサイルが三峡ダムに向けられている

「ミサイルが三峡ダムに向けられている」,と書いているのは,反中国の記事を満載するブログである。今日の記事の中にある四川省のダムの被害は,想像を絶するものだが,そのブログの中には,「最新鋭巨大ダムの紫坪舗ダムにも亀裂,決壊すれば60万人の都江堰市水没」,と言う言葉が踊っている。必ずしもこれは誇張ではないかも知れない。

台湾のミサイルが三峡ダムに向けられている,と言う発想は,この紫坪舗ダムの被害から出たものであろうが,三峡ダムの場合は被害者は1000万人としている。ダムにまつわる戦争の話はよく出てくる。古くは第2次大戦中のドイツのダム攻撃であり,また,北朝鮮がソウルの上流に大ダムを建設しているので,それに対抗するダムを設計してくれ,と頼まれたり,はたまた,ドイツの表面遮水壁ダムは必ず予備の止水壁を持っている話や,ダムと戦争は,結構結びつけられる。

しかし,どこの国でもこれからは,ダムや原子力発電所を攻撃するという発想は,誰でも抱いているものであろうが,結局この話は,原子爆弾と同じで,持っていても使えない武器,とも言える。結局,多数の非戦闘員の虐殺,と言うことで,国際非難を浴びるし,能力はあっても使えないと言うことなのだろう。戦争を想定した原子力発電所の設計や,爆撃を想定したダムの設計基準がないように。


本文

●中国,7月1日より一部の電力料金値上げに踏み切る

最後までインフレを懸念してきた中国の国家発展改革委員会,遂に7月よりの電気料金値上げに踏み切った。日本の各紙も一斉にこれを報じた。電気料金の値上げ幅は,ロイター電はKWh当たり0.025元(0.36セント相当)と報じており,一方日本の時事通信は0.25元(3.6セント相当)として4.7%の値上げとしている。時事通信が一桁間違っているのだろう。推定すると8セント相当まで上がったことになり,タイやインドネシア並みの電気料金まで上げてきた,常識的な線,と言うことのなるが,国内石炭による経済効果は薄れてきた,国際経済に投げ込まれた,とも言える。

地震の被害者や貧困層に対する例外事項を強調し,民衆の反発へ気を遣っているが,今回は同時にガソリンやディーゼルなどエネルギー関係の値上げも同時に行っており,今後のインフレ圧力への流れが,為政者にとってはもっとも恐れるところであろう。しかし,価格統制による闇経済の横行など,その弊害にあらがうことが出来なかった,と言うことだろう。

●中国,専門家,大規模ダム建設を棚上げせよ

この記事を読むと,これは大変な議論になっているな,と言う感じである。水資源部のジンピン副部長が5月25日に記者会見で発表した内容では,今回の四川地震で,近隣4省で2,830の貯水池やダムが被害を受け,四川省では69のダムが崩壊の危険にさらされ,310のダムが被害が甚大で,1,424のダムが軽微な被害に晒されている,と言うのである。そんなに沢山ダムが在ったのか,と言う感じである。

地震の起こった5月12日の時点では,まだ出水期の直前で,水位の低いダムが多かったが,これから水位が上がってくるので,更に危険は増す可能性があるという。中国は水開発の歴史も長く,しかも文化大革命当時に大急ぎで造ったダムも沢山あるという。記事を読むとまさに深刻であるが,中央も含めた学者や研究者が連名で政府に,しばらく棚上げを提案している影響は大きいだろう。

この学者グループが提案していることは,次の数点が解明されるまでダム建設を棚上げせよ,と言うもの。一つは,現在計画中のダムの耐震設計の再検討,二つは,階段状ダム群の地震に於ける影響の検討,三つは,大規模貯水池が引き起こす地震の問題の検討,四つは,5月12日地震による被害の緊急補修計画の確立,五つは,中国南西部に於ける河川一貫開発計画の再検討,である。

●中国雲南省,省境界河川で,新規発電所完成

今回の記事は珍しく,中央の国家発改委の副委員長が,下流の東南アジア各国への影響を考えて造った,特に漁業については水温などの影響を考えた,と発言している。実際には何も協議は行われていないのだが。この記事の発電所は,メコン上流ランサン河最下流,ラオスとの国境付近に完成しつつある景洪水力発電所で,最終出力は175万KW,総工費は123億元,約17.6億ドル相当,ダムの高さは108m,長さは704.5m。


参考資料

2008年6月20日分

中国

●080620A China, Probe International
中国,専門家,大規模ダム建設を棚上げせよ
Chinese experts appeal to authorities to suspend big dam projects in southwest China following Sichuan's deadly earthquake
http://www.probeinternational.org/catalog/content_fullstory.php?contentId=6849&cat_id=7
●080620B China, Reuters
中国,7月1日より一部の電力料金値上げに踏み切る
China to up some electricity tariffs from July 1
http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKPEK18670320080619
●080620C China, Xinhua Net
中国雲南省,省境界河川で,新規発電所完成
China completes new hydropower station on Yunnan border river
http://news.xinhuanet.com/english/2008-06/19/content_8400574.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月19日分 ー我々はビルマの捕虜ではない

「我々はビルマの捕虜ではない」,と現場からラングーンに電報を打って,ビルマ軍の情報将校の取り調べを受けたのは,初めての海外の仕事で軍に守られてシッタン河の支流でキャンプして調査を行っていた42歳の私であった。自分が若き日に汗をかいたプロジェクトが,30年後の今,再び新聞記事となって目の前に開発が展開しているのを見るのは,慚愧の思いながら懐かしい。

プロジェクトの実現には多くの人々の関わり合いがある。それでも,あの時私はもう少し頑張っておけば何とかなったんもではないか,と思うケースが良くある。自分が消極的だった,もっと何か出来たはずだ,と思うと,人生を取り戻したい気持ちにもなる。しかし実際には,このような大規模なプロジェクトは,まさしくタイミングである。事実当時も,中国エンジニアーがビルマに入っていたが,彼らはなすすべがなかった。

私はこのような気持ちになったときにいつも思い出すのは,ラオスのナムグムダムである。1960年代後半のプロジェクトだと思うが,どうしてあの時代にあのプロジェクトが出来たのか,日本工営を中心とした人々が,良くあそこまであの時代に,あのプロジェクトを完成させたものだ,と感心する。あのころは,タイの電力需要もそう大きくないし,それに何よりもラオスは内戦中だったのだ。私たちより古い人に会うと,良く私はこの質問をする,なぜあの当時に出来たのかと。答えはなかなか返ってこない。


本文

●インド,中央政府,電源開発計画の正確な情報を公開すると

ラメッシュ副大臣が出てくるところ,今までの慣習が打ち破られる。インドは,五カ年計画毎に新規開発,運転開始の電源を積み重ねていって,その実績を計っているが,新任のラメッシュ副大臣にとっては,「完成」,と称している時期がおかしいのではないか,完成と称してから実際に営業運転に入るまでに半年はおろか1年も遅れるものがある,と彼は言うのである。これでは,2012年全国民に電気を,も怪しいと。

2008年に記録として残っている完成した発電所は6,620MWもあるが,実際に営業運転に入ったのは58%の3,810MWに過ぎないと言う。NTPCのシパット発電所は2008年5月に営業運転に入ったが,実際には1年前に完成したことになっており,マディヤプラデッシュの500MWのビルシンプールも同じような状態である。

火力発電所の運転開始の定義には,潤滑油同期,石炭同期,全面運転,試運転,営業運転,と5段階に分かれていて,どの時点でプロジェクトの完成というか,議論があり,中央政府の電源開発計画のカレンダーを大きく狂わせている,と副大臣は言うのである。ラメッシュ副大臣は,私に指名されたアジア開発4人男の一人である。

●タイ,サマック首相,水問題は政府に任せておけ

アジア開発4人男の一人,タイのサマック首相が,またタイの水問題で大風呂敷を広げた。タイの将来の水問題は深刻であるが,サマック首相は就任早々から,メコン本流の水を東北タイへ導水するとか,長い間,環境団体の反対で停まっていたダム計画を動かすとか,波紋を広げているが,今日の演説では,心配するなと,水は政府が責任を持って解決すると,3,000億バーツを注ぎ込む用意がある,と言っている。3000億バーツは約90億ドルに匹敵する巨額である。

●ミャンマーの新規ダム計画,数千人の移住を伴う

ミャンマーの新首都ネピドーのシッタン川対岸,ピンマナに東から流れ込むパウンラン川は,私も40代初めに涙を流しながら従事したプロジェクト,パウンラン水力発電所24万KWのある川である。この発電所は,我々が調査をやってから紆余曲折,結局29年後の2005年3月に中国企業の手によって完成している。今日の記事は,その上流のアッパーパウンラン水力14万KWに関してのニュースである。

これも中国企業によって進められており,高さ99mのダムを中心に,写真を見ると工事は最盛期である。2009年12月の完成を目指している。中国企業は現在ミャンマー領内で24の大規模ダムの工事を進めているという。このパウンラン地点は,元々カヤン族の地元で,中央政府に反抗して戦ってきたが,1994年に戦闘中止の約束が出来ている。

記事は,このカヤン族の村落が水没することが取り上げられており,カヤン族同盟KLNPがそのミャンマー正規軍によって追い立てられていると報じている。このカヤン族は,日本の戦後賠償のバルーチャン発電所でも追い立てられて,その後送電線爆破やテロが起こり,軍事政権外までも制圧に苦慮している地域である。


参考資料

2008年6月19日分

タイ

●080619A Thailand, Bangkok Post
サマック首相,水問題は政府に任せておけ
PM says govt cares about water problems
http://www.bangkokpost.com/breaking_news/breakingnews.php?id=128343

ミャンマー

●080619B Myanmar,
ミャンマーの新規ダム計画,数千人の移住を伴う
New Hydropower Dam to Displace Thousands
http://www.irrawaddy.org/article1.php?art_id=12821

インド

●080619C India, Economic Times
中央政府,電源開発計画の正確な情報を公開すると
Govt may release data on power capacity addition
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Govt_may_release_data_on_power_capacity_addition/articleshow/3143312.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月18日分 ー価格は政府の厳重な統制下に置く

「価格は政府の厳重な統制下に置く」,と発言したのは,3ヶ月前,3月の全人代を終えた中国政府の国家発展改革委員会の報告である。今日の記事では,エネルギーの価格政策について,その抜本的な体系の見直しを行う,とされている。この3ヶ月間の中国政府の政策にぶれはないが,ただこのまままで価格凍結は不可能な状況となってきたことは事実だろう。

これは3月当時のロイターの記事であるが,「中国はインフレ抑制と大気汚染などの公害対策のほか,エネルギーの浪費抑制を目指しているため当局のエネルギー価格政策は相反する目標で板ばさみにあっている面もある。」,と評している。価格を引き上げればエネルギー使用は抑制されるが,物価を押し上げ,インフレを招き,人心の不安を買う。今日の価格体系改革の記事は,その意味において関心がある。

今日の記事で,タイが来月にも原子力開発の可能性調査を開始する,2年間である。委託先のショートリストの中に,日本から2社,日本原子力開発とニュージェックの名前が挙がっている。


本文

●中国政府,エネルギー価格改革へ

改革の目的は,世界第2のエネルギー消費大国を,エネルギー節約の方向に向かわせるための改革だという。特に昨年11月以来のガソリンとディーゼルの値上がりが,中国政府をしてもっとも恐れさせているインフレ圧力への影響が強くなってきたことが大きなきっかけである。発展改革委員会は,この改革へのスピードはソフトランディングを考える,として慎重な姿勢である。

電気料金の問題については,時間によって価格の変わる格差制度を導入することで過剰設備の増大を防ぎ,多エネルギー消費型の産業の抑制に努めるという。これらの基本政策を,各省政府に流し,改革を実行する。ただ,電気料金には,インフレを懸念して,しばらくは手を付けない,としているだけに,政府のこの政策が早急に投入されるのかどうか,疑念がある。

●タイの原子力開発,来月より調査スタート

EGATのカマール副総裁が,フォーラムの席上で明らかにした。まず可能性調査から入るが,1982年以来50地点が候補に上って,今では10地点に絞られてきたが,いよいよ来月,3地点程度に絞り込むための調査の発注を行うという。内容は,地点選定,環境対策,安全基準,人的資源育成,法体系確立,経済評価,資金調達方法,などの7項目に亘る。

この2年間に亘る調査にための委託先のショートリストが公表されているが,現在名前の挙がっているのは世界各国から5社があり,日本からは,ニュージェックと日本原子力開発の2社が候補に挙がっている。米国から2社,スイスから1社である。

国内外の原子力開発反対派は,既に立ち上がっており,タイの民衆の社会的力から考えると,今後,相当の混乱が予想されるが,タイ政府のエネルギー部門は,バイオマスなどの再生可能エネルギーで対処できる問題ではない,とし,2020年時点で400万KWの開発,系統に占める割合を10%と想定している。


●インド,2006年エネルギーレポート,水力はクリーンと

インド中央政府の計画委員会が2006年に作成した総合エネルギー政策の中での,水力の重点開発について3つの理由を挙げている。一つは水力が地球温暖化ガスを排出しない,二つは流れる水の劣化をもたらさない,三つは発電の結果に廃棄物が生じない,と言うことである。

これに対して現今,水力のダムが温暖化ガスを排出するのではないか,と騒いでいるのが環境団体のIRNである。そうして更にIRNは,水質を乱さないとする政策方針について,貯水池に長期間ため込む影響や,堆砂の問題を挙げている。これから大規模に始まるインドの水力開発について,この記事では真剣な議論が行われている。


その他

●インドの原子力企業など,資金の海外調達へ
●インドネシア,政府,ナツナのガス田開発で,プルタミナへ開発権益
●インド,リライアンス,タタなど,パンジャブの大規模石炭火力で9社競う


参考資料

2008年6月18日分

タイ

●080618A Thailand, Bangkok Post
タイの原子力開発,来月より調査スタート
Nuclear study starts next month

http://www.bangkokpost.com/Business/18Jun2008_biz35.php

インド

●080618B India, Economic Times
リライアンス,タタなど,パンジャブの大規模石炭火力で9社競う
Reliance Power, Tata, Lanco among 9 cos qualified for Rajpura project

http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Reliance_Power_Tata_Lanco_among_9_cos_qualified_for_Rajpura_project/articleshow/3138241.cms
●080618C India, Economic Times
インドの原子力企業など,資金の海外調達へ
Nuclear power ventures may get overseas funding

http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Nuclear_power_ventures_may_get_overseas_funding/articleshow/3139387.cms
●080618D India, The Statesman
2006年エネルギーレポート,水力はクリーンと
Energy from water

http://www.thestatesman.net/page.news.php?clid=3&theme=&usrsess=1&id=208477

インドネシア

●080618E Indonesia, The Jakarta Post
政府,ナツナのガス田開発で,プルタミナへ開発権益
Govt entrusts Pertamina with Natuna block

http://www.thejakartapost.com/news/2008/06/17/govt-entrusts-pertamina-with-natuna-block.html

中国

●080618F China, Steel Guru
中国政府,エネルギー価格改革へ
China stands firm on energy price reforms

http://steelguru.com/news/index/2008/06/17/NTA3OTQ%3D/China_stands_firm_on_energy_price_reforms.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月17日分 ー緊急自動車が署名文書を運んできた

「緊急自動車が署名文書を運んできた」,日誌を繰るとそれは平成8年,12年前の10月2日,夕方6時頃,我々JICA調査団の一行を乗せた車は,一方通行かどうかよく分からない幹線道路を,パキスタンのペシャワールから首都イスラマバードへの道をひた走っていた。署名に失敗して,そのことを日本大使に報告するために急いでいたのである。緊急自動車が,けたたましくサイレンを鳴らしながら追っかけてきたので,「おいっ,やはり署名するために,緊急自動車で追っかけてきたよ。」,と我々車内で話していた。

全く変なことで内部紛争を起こす国,それがパキスタンの印象である。ムンダ多目的ダムの開発調査に合意する文書を何日かかけて合意し,これを両者が署名する日だったのだが,突然,北西辺境州の地方政府の主席が,この文書を入れなければ署名しない,と言い始めた。それは,ムンダのダムの工事費の支出は,地方政府は一切責任を持たない,と言う一文である。どう考えても地方政府と中央政府の紛争で,対JICA文書に入る文言ではない。結局その時は,この一文で両国間の署名が見送られたのである。

今日の記事で,また揉めているのか,と言う気持ちで,どこまで行ってもムンダ多目的ダムは,と言うよりはパキスタンの開発問題は,中央政府と地方政府の摩擦の中で言ったり来たりしているわけである。これはインドでも同じような現象があって,中央政府の決めたことを地方政府が無視する,これはインドやパキスタン,場合によってはネパールも同じ傾向を持っているのが不思議である。


本文

●インドの科学者トップ,インドにとって原子力開発は重要

コルカタで開かれた科学者の会合で,政府の科学技術最高顧問のチダムバラム博士が,インドの原子力開発の重要性を強調する演説を行った。現在インドは,400万KWの原子力発電所を有しているが,2020年までに2000万KWの原子力発電所を保有する計画であるが,博士は,この計画は今後の原子力の重要性に鑑みて,少なすぎると考えている。

この演説の中で重要な問題は,シン首相が進める米国との原子力協定,またこれと平行して走るべきIAEAへの加盟問題である。インドは,単独で原発開発を進めた来た関係で,国際社会からその原子力利用推進で認知を受けていない。そのためにウラン燃料の入手に苦労していて,米国との原子力協定によって救われると信じている。最近になって,オーストラリアから反論が出て,現在微妙な段階にある。

●ベトナム,依然として電力不足が続いている

ベトナムの恒常的な電力不足を解説している。それにしてもベトナムはこのような状態ではなかった。日本のODAが支えていた2000年ぐらいまでは順調に推移したし,世界銀行が電源開発の民営化に梶を切ってからも,JBICは,ある時点まではベトナムの電力は支える,と明言してきた。民営化もフーミーぐらいまでは順調だったはずであるが,どこでおかしくなったのであろうか。

今日の記事は,1990年前後,日本の単独制裁解除の頃からのベトナムの劇的な変化に言及している。1990年当時の一人当たりGDPは114ドルであったが,今や18年間で6倍の645ドルに達しているという。また一人当たりの電力使用量は,1990年に93KWhであったものが,710KWhに達している。あの,規制と自由の試行錯誤を繰り返してきた,ベトナムの制裁解除後の歩を見ると劇的であるが,ここに来て問題が噴出してきた,と言うか従来の経済政策では行き詰まりがある,と言う感じがする。

電力は,現在の供給量が1200万KWに対して,1300万KWの需要で,100万KWの不足となっており,しかもそのうち40万KWは中国から輸入している。問題は設備の37%を占める水力の渇水に伴う出力低下である。元々は私は,200万KWのホアビン水力の貯水池計画が問題だと思っているが,あの貯水池は多目的なので致し方がないのか。その後の果敢な水力開発,そこに冷静な有効出力概念の精査が必要だろう。

●パキスタン,ムンダ多目的ダム,2年以上の遅れ,コスト増大

何が揉めているのかさっぱり分からないが,本当にパキスタンは良く内紛を起こす国である,それも外国勢を待たせておいての内部の紛争だから,堪ったものではない。政府の手続き問題で,予定していた着工が二年遅れ,12億ドルと予定して融資機関と交渉していたら,その間に17.5億ドルに跳ね上がってしまった。これは,北西辺境州の75万KWの発電計画を持つ多目的ダムである。


参考資料

2008年6月17日分

ベトナム

●080617A Vietnam, Energy Tribune
ベトナム,依然として電力不足が続いている
Vietnam’s Ongoing Power Shortage
http://www.energytribune.com/articles.cfm?aid=923

パキスタン

●080617B Pakistan, Daily Times
ムンダ多目的ダム,2年以上の遅れ,コスト増大
Munda Dam Project delayed for two years due to bottlenecks
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C06%5C17%5Cstory_17-6-2008_pg5_9

インド

●080617C India, Bombay
科学者トップ,インドにとって原子力開発は重要
Nuclear energy is inevitable for India, says top scientist
http://www.bombaynews.net/story/371635


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月16日分 ージャングルで蚊も蛇もいない生活

「ジャングルで蚊も蛇もいない生活」,すっかり満足したのは,マニラ北東部の山中を訪ねた私である。今日のカンボジアの環境問題の記事,ノルコンが環境報告書で漁業の生態に焦点を当てていない,とカンボジアの環境団体が噛みついている。幾らの損害なのか,約2000万ドルだという。大きなメコンの流れの中で,上流ラオスの開発が,2000万ドルの漁業損失をもたらすと言って,IRNが反対している。余りにも桁が違うので,それはそれぞれの関係政府が話し合って解決すれば,と思うが,環境団体は,得体の知れない生態系破壊で反対しているのだろう。

生態系の破壊,と言うもっと大きな観点からものを言うのもなかなか大変だし,第一に調査が難しいだろう,結論が出そうにない。話はずれるが,あのマニラの山中の蚊も虫も一匹もいない,と言うことはどういうことなのか。私の友人は,生態系が壊れている,と呟いていたが,生態系が壊れると言うことが,水はきれいで魚が一匹もいなく,蚊も蛇も蛭も一匹もいない,その様なジャングルなんて想像できますか。生態破壊がこのような快適な環境を創り出すのならば,なんて思ってしまう。誰か,このマニラ山中の生態系で,良く知っている人,おられませんか。


本文

●カンボジア,ノルコンの環境報告書,批判される

これは昨日既に既報であるが,既に詳しく状況が報じられている。ナムコン1水力,セコン4水力,いずれもラオス南部の開発地点で,ノルウエーのノルコンが環境報告書を作成したもののようだが,当然のように流況の変化による下流への影響が主体になっている。しかし,IRNにリードされたカンボジアのNGOは,この焦点がはずれている,と言っている。

ここ数年,環境団体がメコン河の開発で問題にしているのは,漁業である。10年ぐらい前からメコン委員会でも,開発の影響として,漁業が問題になるケースが多い。これは恐らく,上流の開発が下流の漁業にどの様な影響を与えるかよく分からないことと,沿岸住民の経済生活とメコン河との関わりでは,まず漁業以外には考えられないことからも,漁業が集中攻撃を受けたのだろう。

IRNが,ライスのメコン川支流開発で,下流の漁民が受ける損害の総額は,1年間に約2000万ドルだ,と報じている。一人当たりの漁民のGDP100ドルとすると,20万人と言うこと?何かよく分からない数字だが,カンボジアのメコン委員会国家委員会は,少し数字が大袈裟だ,とコメントしている。

この辺りはどうjなのですかね,メコン河の開発費に比べて話が余りにも小さいので,こういう問題はもっと総括的に論じて,各政府が対処すべきで,これでもって開発は問題だとするのでは,オーダーとして問題の取り上げ方がおかしい。弱者救済,と言う点からは,もっと方法がいろいろ考えられるような気がする。

●パキスタン政府,2008年,9年で220万KW発電へ

電力不足に苦しむパキスタン,電源開発は進んでいる,と現状を詳しく報じている。ここは記事に忠実に拾ってみよう。2007〜8年度で20,097MWであった設備は,2008から9年度には22,297MWになる,従って増分は2,200MWである。内訳は,新設が期待されるものは,1,297MWがレンタル発電所(自家発のことか),IPPが615MW,コランギー火力が205MW,カラチのIPPが200MW,となっている。


その他

●インド,リライアンス,UP州で325万KW,落札へ


参考資料

2008年6月16日分

パキスタン

●080616A Pakistan, Daily Times
パキスタン政府,2008年,9年で220万KW発電へ
Govt plans to generate extra 2,200MW in 2008-09
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C06%5C15%5Cstory_15-6-2008_pg5_4

インド

●080616B India, Economic Times
リライアンス,UP州で325万KW,落札へ
Reliance Energy bids lowest for UP power projects
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Reliance_Energy_bids_lowest_for_UP_power_projects/articleshow/3127347.cms

カンボジア

●080616C Cambodia, Scand Asia
ノルコンの環境報告書,批判される
Norconsult Environmental Report Criticized
http://www.scandasia.com/viewNews.php?coun_code=kh&news_id=4374


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月15日分 ーダムと石炭は中国へ任せろ

「ダムと石炭は中国へ任せろ」,と日本の電力,特に海外のプロジェクトを握るJパワーは決心したように見えるという話をしたが,カンボジアはまさしく,少なくとも電力セクターは,臆病な,と言うか慎重な日本が去って,中国企業が大挙して乗り込んできたために,全く時代が変わったように活気付いている。日本が主導していた頃は,本当に大使館の顔色を窺いながら100KW造るにも青息吐息だったが,中国企業は数十万KWどころか,数百万KWに手を出し,もう電力問題などはどこ吹く風,と言う風情である。私も親しかったカンボジアの官僚達も,もう顔も忘れているだろう。

1990年頃に,ラオスで水力の民間開発が始まった頃,私は現地で日本企業の進出を待っていた。三井物産や関西電力が今ラオスに入ってきてくれれば,まるで荒野を行くブルドーザーのように,大規模水力やダムは,何の心配もなく瞬く間に開発されるだろう,といつも想像をたくましくしていた。かっては米国全土を買いまくろうとした日本のバブルは消えかけており,バンコクにいた三井物産の社長さんも,いやアダチさん,水力は長いから勘弁してよ,と言われてガックリしたことがある。

それにしても中国の企業の勇敢さというか,商売があれば何のためらいもなくでて行く中国企業の活力には感心する。かって東南アジアを暴れ回った華僑の精神そのもので,もう中央政府のブレーキは全然効かない,国内で暴れ回った電源資金は,インフレを懸念したり,燃料不足を懸念する抑圧感から解放されて,カンボジアやミャンマーで,龍のように荒れ狂っている。


本文

●カンボジア政府,中国企業の二つのダム計画を承認

「ダムと石炭火力は中国に任せておけ」,と言うとおり,あのカンボジアで2つのダムで合計584MW,更に2019年までには1,942MW,その上に2020年までに輸入による石炭火力を9カ所建設するという,もうカムチャイ水力やココンの火力で唸っていた日本勢などは,何の役にも立たない状態で,全くゴミみたいな話を日本は一生懸命やっていたわけだ。

今回,フンセン首相出席の閣議で決定されたのは,カンボジア南西部に位置するスタンタタイ水力246MW,スタンラッセイチュルムクロム水力338MW,合計約10億ドル,建設資金はすべて中国企業が持ってくる。これらは今年着工して2014年,2015年に運転開始する。更に,2019年までに9つの水力,合計1,942MW,更に2020年までに石炭火力9カ所。

今日,名前の出ている地点は,いずれも旧来から取りざたされている地点ではあるが,そんなに大きな出力ではなかったし,更に日本政府は治安問題や地雷で怖じ気づいていた地域である。恐らくとんでもない高いダムを造って出力を挙げているのだろう。全く中国企業の勇気と資金力がカンボジアを根底から救うことになる。Jパワーの,ダムと石炭は中国に任せろ,の政策は,日本に難しいことを言われるよりは,カンボジアにとってはどれだけ大きなインパクトになっていることか。

●ラオスのナムテン2水力,下流カンボジアに不安を

一方で,カンボジアのNGOは,弱々しい声で,上流,ラオスで開発されるダムによるカンボジアへの悪影響を心配し,カンボジア政府はラオス政府と対話を行うよう求めている。2009年に運転開始するナムテン2水力の水の影響や,ロシア企業が開発するナムコン1水力,セコン4水力などのセコン河の開発も,環境調査を行ったノルコンの報告書が十分でない,と不満を述べている。

いずれも具体的でなく,流況が変化する,魚類に影響がある,など殆ど説得力のない主張なので,誰も耳を貸そうとしない。もう少し理論正しく組み立てて,メコン河委員会に持ち込むなど,協議のための場を積極的に造らなければ,まさしく犬の遠吠えになっている。恐らく,ダムの運用について,下流国としては,下流民の安全のための設備を理路整然と主張すべきだろう。

●インド国家送電公社PGCIL,世銀などより6億ドル調達を視野

現在インドは,一挙に電源不足の迫るべく,1カ所400万KW以上の大規模開発計画を各地で推進中であるが,これに国家送電公社PGCILの対応が今後は問題となる。とりあえず,政府保証のもと,ADBより4億ドル,世界銀行より2億ドル,合計6億ドルを視野に入れているが,現在走っている第11次五カ年計画の実現のためには途方もない送電線建設のための資金が必要となる。

次の財政年度には,540億ルピー,約12.4億ドル相当が必要であるが,2007年〜2012年までの第11次五カ年計画では,送電線建設費が700億ルピー,約1,630億ドル相当必要で,このうち2000億ルピー,約466億ドルを民間資金が負担する計画となっていおる。2008年に於ける設備増強は,超高圧送電線が5,500回線km,変圧器容量が6,300MVAである。


参考資料

2008年6月15日分

インド

●080615A India, Economic Times
インド国家送電公社PGCIL,世銀などより6億ドル調達を視野
PowerGrid to seek $ 600 mn more from World Bank, ADB
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/PowerGrid_to_seek__600_mn_more_from_World_Bank_ADB_/articleshow/3126573.cms

カンボジア

●080615B Cambodia, phnom penh post
ラオスのナムテン2水力,下流カンボジアに不安を
Lao dams may cast long shadow downstream
http://www.phnompenhpost.com/index.php/200806126707/National-news/Lao-dams-may-cast-long-shadow-downstream.html
●080615C Cambodia,
カンボジア政府,中国企業の二つのダム計画を承認
Cambodia govt approves 1bln usd Chinese dams
http://www.forbes.com/afxnewslimited/feeds/afx/2008/06/13/afx5113624.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月14日分 ー国産エネルギーのない国はどうする

「国産エネルギーのない国はどうする」,と考えさせられるのは,最近の原油の高騰である。石炭も値上がりしているが,石炭を主体のエンジンを持つ中国とインドの経済は,そんなに焦っていないのではないか。日本も余り焦っていない,国産エネルギーがほとんどないのに。日本の電力は,早くから石油を捨て,原子力発電の割合を増大させてきたから,それほどの焦りはないのであろう。

付近で常に目につく国で,真剣に困っているのは,フィリッピンとカンボジア,それによく分からないが,スリランカではなかろうか。勿論,インドネシアなどは国産エネルギーとは言え,国際価格の影響を強く受けている,しかし未だに国際資源にも多くの補助金を出して,前三者ほどには深刻には考えていないのではないか。

アジア諸国は,フィリッピンが自動車のガソリンの中に1%のココバイオの混入を法律化したことに,冷ややかな視線を向けながら,果たしてうまく行くかどうか,人ごとのように見守っている。農民が既に畑地をココナツ林に変換して問題になっていることを,それ見たことか,と言わんばかりの表情である。しかしフィリッピン国会は,その様な視線にもめげず,今日も,10年間で250万KW再生可能エネルギー開発の法案を成立させた。原油価格の高騰に,もうじっとしておれない状況なのだろう。

インドの記事の中で,燃料の高騰が,この先10年,電力セクターに大きな変革を呼ぶだろう,と予測している。インドは石炭の炭酸ガス封じ込めが決め手のように書いている。フィリッピンやカンボジアはそうは行かない,海外石炭の輸入は,彼らにとって大きな負担である。今日のフィリッピンの決意のように,本当に国産エネルギーの開発で,10年間,250万KWが可能なのであろうか。


本文

●この先10年間のインドの電力,大きな変化となるだろう

高名なコンサルタントであるプライスウオーターハウスPCWが,37カ国の118人の電力事業幹部の調査を行い,その中でインドを担当した研究者の意見をもとに書かれた記事で,インドの電力事業体の先行き10年を占った記事である。記事では詳しいことは書いてないが,大きな変革が予期され,その要因は,エネルギー確保,エネルギー価格,それに気候変動問題,の3点としている。

この中で変革の主役を務める電源手段は三つを挙げており,一つは,依然として発電の主役である石炭火力について,炭酸ガス封じ込めの技術の進展,二つが,当然のことながら原子力発電の拡大,三つは,再生可能エネルギーで,この中には,多様性のある技術発展,として,風力,太陽光,地熱,それに可燃性の再生可能手段,などを挙げている。

私から見ると,勿論今後10年間でのインドの石炭火力脱却は不可能で,PCWはそこに炭酸ガス封じ込め,を持ってきたわけであるが,価格の面ではなはだ不確定であり,恐らく石炭火力の新鋭化,効率化を主体に行かざるを得ないのであろうが,インドの原子力は,なかなか主力になりそうにない予感がする,それは核問題と切り離して考えがたい現状が,インドの原子力先行き不安である。

●フィリッピン国会,再生可能エネルギー法を可決

フィリッピンは,先月に,自動車の中に最低1%のココバイオ,ココナツからとれるバイオ燃料,の使用を規定した法律を制定,発効に持ち込んだが,これがアジア各国に批判的な眼で見られるようになった。農民はココナツの生産のために畑地をココナツ林に変えたり,森林を伐採してココナツに変えるなどの動きが見られ,果たしてフィリッピンがこの政策で成功するのかどうか,冷ややかな眼で見られている。

今回は,一部の国会議員,エネルギー委員会の委員長パンパンガのミルキアロヨ,などが中心になって,大々的な再生可能エネルギーのグリッドへの組み込みを規定する法律を作成,承認された。この10年間で250万KWの国産再生可能エネルギーを導入し,12億ドル相当を節減するもので,バイオマス,太陽,風力,水力,波力,地熱,などを目標としている。

フィリッピンがこれらの再生可能エネルギーへ傾倒して行くのは,基本的に国産エネルギーが少なく,このまま海外に依存する原油や石炭が値上がりしたならば,財政も破綻する,と言う危機感なのであろうが,フィリッピンと同じ実情下にある国,カンボジアなどは余り私のニュースには出てこないが,友人の集めた資料では,カンボジアはバイオマス開発の記事で一杯である。


参考資料

2008年6月14日分

フィリッピン

●080614A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン国会,再生可能エネルギー法を可決
House approves energy bill
http://www.manilastandardtoday.com/?page=politics1_june13_2008

インド

●080614B India, Economic Times
この先10年間のインドの電力,大きな変化となるだろう
India to see major changes in power sector: PWC
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_to_see_major_changes_in_power_sector_PWC/articleshow/3124356.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月13日分 ー早い雨期の到来が料金低下に

「早い雨期の到来が料金低下に」,で現地調査でひどい眼にあったのは,当時,マニラ北東部の山中にあった私たちであった。電力自由化の旗の下に,勇敢に電力取引市場の運用を続けるWESM,フィリッピンの電力セクターであるが,この5月の早い低気圧の襲来で,WESMの取引は,おおむね低調で,KWh当たり1.17ペソ,約2.634セント相当に下げたという。マニラ配電がWESMから買った単価である。

マニラ配電,或いは政府は,このように電力自由化は料金低下の重要な鍵だ,と喧伝している。確かにこのフィリッピンの雨期の初めは,市場が順調に動いて,IPPなどの契約単価を相当下回ったようだが,今のところは,マニラ配電は6%程度のWESMからの売電で,影響が少ないが,将来,この割合が増えていった場合,これだけ揺れるWESMの単価に,配電などのシステムがついていけるのだろうか。

割合を小さくする,これによって当面の揺れの影響を少なくしようとしているが,今後のWESM取引が計画通り増大するならば,極端に上がり下がりする,例えば今回のような2.6セントから通常の15セントぐらいまで揺れると,相当の混乱が起こりそうだ。自由化の一つのテストケースとして,我々も注目して行く必要があろう。


本文

●中国,サルイーン河,怒川,初めてのダム建設か

これはタイム誌に掲載された記事で,サルイーン河上流,中国領内の怒川のダム開発の雰囲気について,住民の立場或いは環境団体の立場から,中国の地方政府の施策を批判的に書いたものである。中国の地名を英語で書かれた場合は困難を極めるが,この記事でよく分からない地名は,怒河と共に中国のダム未開発の川はヤルザンブ川,これが分からないのと,怒川で開発されんとしているシアオショバ地点がよく分からない。

中国は,李鵬首相の頃は,三峡ダムの開発に見られるように,水力発電所の開発が国としての大きな使命であった。その頃でも,後を引き継いだ朱溶基首相はダム開発に批判的だったと聞く。新政権,湖錦濤の時代になって,温家宝が首相となったが,温家宝首相はダム開発に関して,国家的な目的は理解しながら,かなり消極的で,どんどん進む大規模開発に懸念を示していたようだ。

この欄でも取り上げたが,長江上流金沙江の虎跳峡ダムの中止を求めたのは温家宝首相であったが,処女河川怒川のダム開発に対しては,国際河川であることも考えて,温家宝首相は一時棚上げ,環境調査を先行せよ,と地方政府に指令を発したことは記憶に新しい。その指令の出し方が温家宝首相らしくて,調査は科学的にやれ,と言っている。これは下流への影響も考えよ,と言うように理解されている。

しかし今日の記事は,地方政府,特に雲南省が温家宝の指示に殆ど従わず,調査をどんどん進めている,それも住民移転まで手を付けている様子が書かれている。インドほどではないが,中国も結構地方政府が強く,ある基本方針が出されると,それを盾に走り始めるのは州政府である。一時,石炭が足らないのにどんどん石炭火力を造って設備過剰で燃料不足,と言う事態が生じた。中国政府は今や再生可能エネルギー開発の促進を大きな目標に掲げており,これを盾に,雲南省は,温家宝の指示を気にしながらも,徐々に計画を進めている,と言うことだろう。

●フィリッピン,WESMの影響など,マニラ配電の料金が低下

アジアで最も高い電気料金,その元凶はマニラ配電MERALCOだ,と言われて,アロヨ政権との結びつきまで追求されているが,今月は電気料金が安かった,とフランシスコ社長以下,宣伝にこれ努めている。マニラ配電の平均的な電気料金を言っているのだと思うが,KWh当たりで,先月のマニラ配電の売電単価が,4.8754ペソ,約10.980セント相当であったのに対し,今月は4.4520ペソ,約10.021セント相当に下げたという。

ここで興味ある話は,この5月は低気圧が多く発生して例年より早く雨が降り気温も低下,需要も抑えられて,電力取引市場WESMの取引値段が極めて低かったという。5月は1ヶ月を通じて水力や石炭火力が動き,1.17ペソ,約2.634セント相当,であった。このために私は雨でマニラ北東の山中で苦労したわけだが,一転して6月に入って,1.81ペソ,約4.074セントに上がり始めているという。

今月のマニラ配電のWESMでの取引は6%程度であったようだが,大体10%まで買い進むことになっている。更にこの値は,年につれて増大して行き,将来は多くの部分がWESMの取引に頼る計画であるから,今後WESMの影響が強くなる。5月は非常に安い値段で取引されたが,これが夏の需要や今後需給バランスの問題で,激しく変動して,需要家を悩ませることになるだろう。

●パキスタン,カラバーダム,消滅の危機か?

今日の朝日新聞は,多くのスペースを割いて,パキスタン全土に亘る電力不足,停電続きの現状の厳しさを報じている。その中でも,この大規模なカラバーダムの行き詰まりの深刻さを嘆いている。水問題の国内での論争も噛んでおり,ますますパキスタンの水問題,エネルギー問題は,難しい局面を迎えている。長文,後で読もう。


その他

●マレーシア企業,ラオスの水力開発へ,サホン河


参考資料

2008年6月13日分

パキスタン

●080613A Pakistan,
パキスタン,カラバーダム,消滅の危機か?
Demise of Kalabagh Dam?
http://www.nation.com.pk/pakistan-news-newspaper-daily-english-online/Opinions/Columns/12-Jun-2008/Demise-of-Kalabagh-Dam

フィリッピン

●080613B Philippines, Manila Bulletin
WESMの影響など,マニラ配電の料金が低下
Meralco generation charge down by P0.4872/kWh in June
http://www.mb.com.ph/BSNS20080612127071.html

ラオス

●080613C Laos, the edge daily
マレーシア企業,ラオスの水力開発へ,サホン河
IJM to undertake Laos hydropower project with MFCB
http://www.theedgedaily.com/cms/content.jsp?id=com.tms.cms.article.Article_75a60b59-cb73c03a-18992130-2067a698

中国

●080613D China, Time
サルイーン河,怒川,初めてのダム建設か
Damming China's River Wild
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1813087,00.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月12日分 ーダムの設計で国際的な対立

「ダムの設計で国際的な対立」,と言うのも珍しい。ダムを造るかどうかで,関係国での紛争がよく起きるが,このインドやパキスタン,特にパキスタンが絡むと,建設資金があるかどうかの問題の前に,まず紛争が先に起こってくる。今日の記事を見ていても,あなた達,揉めている時間はないでしょう,と言いたくなるのだが,水問題とは,領土問題に匹敵する重要な外交問題なのであろう。

数日来,フィリッピンのテークオアペイに拘っていたら,シンガポールで働く友人からメールを貰った。彼によると,この条件は投資側としては当然の条件で,融資機関からもこの考え方を強力にサポートされていると言う。彼のポイントは,「売電料金を投資資金の回収コストと燃料コストに区分して(7:3位の割合)運転できる(スタンバイ)状態であれば,発電の有無に拘わらず投資資金の回収コストは支払いましょうという考え方です。」。

彼の話を聞いて,自分なりに,ああそうか,と膝を打ったわけだが,ブータンのチュカ発電所を訪問したときに,どうしてインドはKW価値を買ってくれないのか,と議論したり,ラオスの水力開発の初めの頃,タイにKW価値を売れるような計画にしなければ駄目だ,言ったり,私も随分供給の信頼度に拘ってきた経験と思い合わせた。水力は,KW価値がなければ基本的に成立しない,という我々の考え方を,テークオアペイに結びつけてくれたシンガポールの友人に感謝。

ただ私が思うのは,競争市場の中で,投資側がどこまでこの理論を通し続けることが出来,かつ需要家から納得してもらえるか,について,危機感を持っていることは事実である。「電気を送っても送らなくても」,お金が入ると言う一般的な感覚,をである。特にフィリッピンの場合,電力取引市場WESMの占有率は現在10%程度だが,今後のIPPはこのWESMに組み込まれる可能性があり,それがまたフィリッピンへの投資意欲を減退させているのだろう。


本文

●インドのバギリハールダム,パキスタンは今後の紛争の手本に

インダス川上流のシェナブ川にインドによって建設中のバギリハールダムは,下流国のパキスタンからその計画について深刻な抗議が出され,これを解決するために,2005年1月5日,パキスタン政府が世界銀行に対して紛争の調停を依頼した。依頼を受けた世界銀行は,2005年5月10日,スイスのエンジニア,ラフィッテ氏を指名し,ラフィッテ氏は2007年2月12日,スイスのベルンで,インドとパキスタンの駐在大使に対して,彼の報告書を手渡した。

今回この記事はワシントンから発信されているが,世界銀行のサルマン顧問が,ラフィット氏が如何にこの紛争を解決したか,についてメモと同時にその見解を発表し,これが両国の水問題解決の教科書となることを期待している旨発言している,これが報道となったものである。

内容は非常に専門的であるが,パキスタンは,1950年のインダス川条約との関わりから,その法的側面を重視しており,逆にインドはダム技術の点からの側面を重視している,と述べている。問題は,ダムにゲートを付けるのかどうか,と言う点に絞られてきているようだ。これは我々の周囲でも起こっている議論であり,最近の本格的なダムでも,ゲートを付けずに自然の流況をそのまま下流に持ち込もうとする案が有力になってきている。

ダムを有効に利用するためには,ゲートは有用であるが,人為的な突然の出水など,操作が可能であり,これが適正に運用されればよいが,何か事故が起こった場合には,ダム管理の責任が問われる。中国の今回の地震で,ダムの電源が壊れゲートが開かなくなった,そのままであればダムの水位が上がって溢水し,ダムの安全が冒される危険があった。そこで工兵隊の兵士が電源を持って湖水を泳ぎ,電源を繋いでゲートを開け,ダムの決壊を防いだという。日本の電力のダム保安課長経験者によれば,日本は予備電源がしっかりしており,それはあり得ない,と解説した。

今回のラフィッテ氏の裁定は,ダムは機能上,どうしてもゲートは必要である,と報告したようだ。

●パキスタン,ニールムジェルム水力,カナダのMWHなどが合弁

2003年に着工した963MW,22億ドルの大規模分水プロジェクトであるが,資金難のため中断していた。パキスタンにとっては,インダス水条約の基本になるプロジェクトで,今回,カナダのMWH社が,工事中を通して主たるエンジニアリングを担当するコンサルタントに決まったもので,プロジェクトは前進するものと期待されている。

●パキスタン,ムンダ多目的ダム,高裁裁定,現スポンサーが保持

一生懸命水資源を開発しなければならない,と言いながら,いつも紛争に明け暮れるパキスタンの現状にはがっかりさせられるものがある。このムンダ多目的ダムは,私にも,JICAのメンバーにも,また開発調査を担当した日本工営にも,忘れられないプロジェクトである。あの紛争地帯のカブールのすぐ近くで,多くの難民が暮らし,またトライバルという特別に自治を許された特異な地域でもあった。

スポンサーの名前は書いてないが,確かアメリカ国籍のスポンサーがこのプロジェクトを引き受けることとなり,改めて可能性調査を実施して,国の機関の承認を受けたのだが,WAPDAが設計に不満を抱き,政府もこれを承認せず,15ヶ月に亘って放置されたが,既に7百万ドル保証金として提出しているスポンサーが,地位保全の訴えを起こし,今回イスラマバードの高裁がそれを認めて,地位保全を行った,と言うものだ。

●フィリッピン,レイエス長官,パラワンのガロック油田が,来週より稼働へ

レイエス長官は,誇らかに,1992年以来続けていた原油探査の結果として,この5月16日に,パラワンのガロック油田から初めての原油生産が始まると宣言し,今話題となっているエクソンモビルのスル海での探査と共に,高騰する世界の原油の中で,フィリッピンにとって大きな意義を持っていると強調している。

レイエス長官の発表によると,このガロック油田の生産量は,日当たり17,000〜20,000バレルで,将来は30,000バレルまで引き上げ,国内需要の10%まで供給できる計画だ,と言うことである。この油田の埋蔵量は1000万〜2000万バレルであるが,今後の探査によって更に増えることが期待されている。また,エクソンモビルは,金曜日にアロヨ大統領と,探査開始に関わる会談を行うという。


●ネパール,財務大臣マハット,水力包蔵の調査推進を強調

毛派のプラチャンダーが言論統制の発言をして,ネパールはどうなっているか,と心配してこの記事を拾い上げてみたが,何も書いてなかった。


参考資料

2008年6月12日分

パキスタン

●080612A Pakistan, Water Power Magazine
ニールムジェルム水力,カナダのMWHなどが合弁
MWH-led JV gets Neelum-Jhelum contract
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectioncode=130&storyCode=2049876
●080612B Pakistan, Pak Tribune
ムンダ多目的ダム,高裁裁定,現スポンサーが保持
Munda dam project sponsors obtain injunction against govt
http://www.paktribune.com/news/index.shtml?201648
●080612C Pakistan, Dawn
バギリハールダム,パキスタンは今後の紛争の手本に
Baglihar sets basis to resolve other disputes, says report
http://www.dawn.com/2008/06/11/top10.htm

フィリッピン

●080612D Philippines, Manila Bulletin
レイエス長官,パラワンのガロック油田が,来週より稼働へ
Galoc oil field to start production in Palawan ? DoE
http://www.mb.com.ph/MAIN20080611126982.html

ネパール

●080612E Nepal, The Rising Neal
財務大臣マハット,水力包蔵の調査推進を強調
Mahat stresses exploiting rich hydropower potential
http://www.gorkhapatra.org.np/detail.php?article_id=1669&cat_id=4


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月11日分 ーいい方法があるVATをはずせば

「いい方法があるVATをはずせば」,と虫の良い提案をしてきたのは,フィリッピンの電力セクター,今や批判の渦中にあるIPP,その企業群をまとめるIPP企業連合PIPPAのパンタングコ総裁が,フィリッピン国会のエネルギー委員会に提案したものである。高い電気料金に対する批判に悩むアロヨ政権に,如何にも良い提案を思いついた,と言う感じで言っているが,他人の褌で相撲を取る,とはこのことだろう。

今,フィリッピン国会が包括電気事業法改革基本法EPIRAの改正を目指しているのは,主としてIPP契約のポイントの法改正である。今,EPIRAを触るべきではない,と進言しているのは,投資環境の悪化を恐れる外国資本であり,先日も,マニラの海外企業商工会議所が,アロヨ大統領に,EPIRAを触るな,と進言して,国会のサンチャゴ委員長に,猛烈に非難された矢先である。「我々はあなた方のために法律を作っているのではない,フィリッピン国民のために法律を作っているのだ」,と。

ここで先日の,「テークオアペイ」,の話だが,友人の白石さんがその豊富な知識の中から教えてくれたもので,例のインド英語のエバキュエーション,送電,を解説してくれた人である。彼も,フィリッピンの独特の英語風土に苦心してきた一人で,私もマニラの新聞を読みながら,タガログ語もたまに入ってくる記事を読みながら,当然のように書いている常用語が,日本人には難しい場面がある。山の中を歩いていて,ちょっとオシッコをしてくるとか,ウンコをしてくる,とか彼らが言うのに,何,何,と聞き直すのぐらい馬鹿らしい話はない。

テークオアペイ,は国際約款ではよく使われるらしいが,白石さんによると,フィリッピンの電力分野では,ラモス大統領の時代に次の趣旨の新聞記事が出ていたという。私の大まかな仮訳だが,今から考えるととんでもない表現で,これを探し出してきたら,多くの人がその当時の圧倒的な雰囲気にのまれてしまいそうだ。

「投資企業を鼓舞するために,私は,IPP契約の中に発電所が動こうとうごかまいと,15年から25年間のIPPの利益を保証する条項を入れることを認める。例えば,テークオアペイの条項,即ち,オフテーカーである国家電力公社NPC,必要であってもなくても,少なくとも70〜100%の電力引き取りを保証するものだ。」,すごい!


本文

●ブータンの電力需給,将来は不足へ

ブータンの産業民営化はまだ考えていないのですか,とブータンの通産大臣に質問したのは何年前であったか,プナチャンチュウ水力の予備調査の時だから,1998年,10年前か。あの時大臣は,とんでもない,と言う表情で,民間工場はプンツオリンに日本の合弁会社が一つあるだけで,とても全面解禁アド出来ない,発電所の民営化は考えていない,と断定していた。外国勢力の極度の介入を嫌っていたブータンである。

今日の記事では,パサカやプンツオリンで,企業設立申請が続き,それらへの電力の手当がとても間に合わない,という。一体どこの国の話ですか,と聞きたくなってくる。ブータンには最近運転開始したタラ水力発電所を含めて,1,488MWの設備がある。勿論,殆どはインドへ輸出しているものだが,冬と夏の出力差が余りにも激しすぎると言うのである。冬は雪のため流量が減り,僅か284MWしか発電能力がないという。

ベトナムやネパールでも同じようなことを行っているが,冬の渇水期の電力不足は,水力国共通の悩みの種である。ブータンの冬の需要は現在157MWと言うから,まだ余裕があるというものの,このぐらいのオーダーではすぐ一杯になってしまうほど,産業の設立申請が続き,インドとの国境付近では,大変な企業設立のブームが起こっているとか。ブータンでこのような話を聞くとは思わなかった。プナチャンチュー水力の完成には,まだまだ日時が必要である。

●フィリッピン,IPP企業連合,電力への付加価値税免除を要請

数日前に,外国企業商工会議所連合が,包括電気事業法改正基本法EPIRAの改訂の動きはフィリッピンへの投資の重大な障害になる,とアロヨ大統領宛にレターを書いて,フィリッピン国会,特にエネルギー委員会のサンチャゴ女史から,EPIRAはあなた方外国の人のためにあるのではない,高い電気料金に悩むフィリッピンの一般庶民のものだ,と強烈な批判を招いたところである。

今度は,IPP企業連合PIPPAが,国会に対して,EPIRAを改正せずに電気料金を下げる方法がある,それは電気料金への付加価値税の徴収を止めればよいので,EPIRAを改正すると,折角,NPCの資産売却が順調に進み,競争市場が育ちつつあるときに,再び投資環境の悪化を招いて,電力セクターを混乱に陥れる,と警告したのである。

これはまた国会の反発を招きそうな発言で,特に現在国会の委員会が法改正の狙いにしているのは,IPP契約の問題で,標的はIPP企業にある。まあそれだけにIPP企業としては,風圧を避けるために提案したわけであるが,何とも人の財布に手を突っ込むような話で,余りスマートとは言えないような気がする。

前回も問題になった「テークオアペイ」,の問題で,基本的にIPPに有利な契約,即ち,優先引き取りの原則を,ラモス大統領の時に,時の経済成長を助ける目的で,IPP招致のための施策であったものが,今国会の非難を浴びているところなのである。

●インド中央政府,リライアンスのガス価格,シーリングはずす

インド初めてのガス生産が始まったKG流域下流でのリライアンスのガス価格,政府によって厳しく規制された価格での,パイプラインでの供給となっているが,幾ら国家プロジェクトとは言え,百万Btu当たり4.20ドルのシーリングは低すぎる,という話になったようだ。

この価格のシーリングは,原油価格が60ドルの時に併せたもので,今や130ドル時代,改訂への動きとなった。タイでもガスは,百万Btu当たり7ドルから8ドルしており,インドネシアに至っては,日本へのLNG輸出価格について,訪日したプルノモ大臣が,ふと,16ドルと言うとんでもない価格を漏らしている,日本と中国を天秤にかけながらの,厳しい交渉である。


参考資料

2008年6月11日分

フィリッピン

●080611A Philippines, Manila Bulletin
IPP企業連合,電力への付加価値税免除を要請
PIPPA urges zero VAT for electricity
http://www.mb.com.ph/BSNS20080610126938.html

インド

●080611B India, Economic Times
インド中央政府,リライアンスのガス価格,シーリングはずす
Govt may replace K-G cap
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Govt_may_replace_K-G_cap/articleshow/3115145.cms

ブータン

●080611C Bhutan, Kuensel
ブータンの電力需給,将来は不足へ
The balance of power in Bhutan
http://www.kuenselonline.com/modules.php?name=News&file=article&sid=10538


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月10日分 ーダムで反政府派を分断

「ダムで反政府派を分断」,する意図だ,と欧米紙に書かれているのは,サルウイーン河でダムプロジェクトを推進するミャンマーの軍事政権である。60年以上に亘るカレン族など,ミャンマーの少数民族の反政府軍事行動は,遂に水攻めとなってきた,としている。秀吉以来の作戦である。

本来,ミャンマー軍事政権は,密かにことを運んでいたはずで,中国の支援を受けながら,ダム計画を進めてきて,既にタッサン地点では4万人近くが移住させられたとの情報もあるようだ。ところが,着任直後,ミャンマーを訪れたタイのサマック首相,アジア開発4人男の一人,はミャンマーの新しい首都で声たかだかに,サルウイーンのダムを中国と共に支援する,と宣言した。

比較的長文のこの欧米紙の記事は,環境団体のつぶやきとして,「中国はミャンマーをガスステーションと間違えているらしい」,と言っている。タップをあければエネルギーが幾らでも出てくる,と思っているというのである。実際問題,サルウイーンのダム開発は,非常に大きなエネルギー問題であるが,ミャンマーの政権が変わった場合にどうなるのか,気になるところである。


本文

●インドネシアの天然ガス生産,遂に原油生産を上回る

先週の水曜日,インドネシア国会の第7委員会,エネルギーを担当する委員会が,エネルギー担当大臣プルノモ氏を呼んでヒアリングを行った。日曜日になって,第7委員会の委員長であるアイルランガ議員が,記者会見で述べた内容である。天然ガスの生産がぐんぐん伸びてきている,落ち込んでいる原油生産に比べて,天然ガスが重要な国家戦略資源になってきた,と言う内容である。

プルノモ大臣によると,ガス生産は,MMSCFD(日当たり百万立方フィート)単位で,2006年が8,280,2007年が8,901,2008年が予想で9,946,更に2009年の計画は10,000を越す計画という。国内使用は今のところ37%程度であるが,今年は50%,50%のバランスを保つはずである,としている。

いずれにしても,既にOPECから脱退を明確にしているインドネシアであるが,日本や中国へのLNG輸出の基礎を持っており,国内,特に東部ジャワでLNG基地の建設を推進中,原油に変わる新しい戦略資源の確保に邁進する方針を決めたようだ。石炭もインドネシアにとってはまだまだ重要な資源である。

●ミャンマー,サルウイーンのダム建設,反政府派を水没へ

「中国はミャンマーをガスステーションと思っている」,と中国を批判しているのは,タイのチェンマイに本拠を置く環境団体サルウイーンウオッチのメンバーである。まだ開発が行われていないサルウイーンのダム計画については,中国,タイ,それにミャンマーの軍事政権主導で,密かに進められてきたのであるが,タイのサマック首相,アジア開発4人男の一人がミャンマーを訪問し,一気に加速する勢いである。

何と言っても,外貨を必要としているミャンマーの軍事政権が,強力に推し進めているところに問題がある,とこの欧米のサイトは述べている。軍事政権が狙うのは,反政府軍のカレンなどを一挙に分断する絶好の機会と見ている,と述べている。5カ所のダム計画のうち2カ所,発電所出力にして1400万KW,工事費80億ドル,は2009年にも,中国,タイなどの協力で着工の見込みという。

●中国の電力各社,利益の収縮と戦っている

中国の電力の3分の一は石炭に頼っている。今までは国内産の安価な石炭資源に頼って,アジアでもっとも安い電気料金の上にあぐらをかき,随分利益を得てきた電力会社が,石炭の値上がりで,その利益率が極限まで下がっている。5月の中国の港湾でのFOB単価は,670元,現在の為替レートで97ドルまで上がってきた。電気料金はがっちりと政府に抑えられたままだ。

上海の経済界では,弱小炭坑の閉鎖を進めてきたことが,石炭の値上がりに拍車をかけた,と批判しているが,政府はこれを否定している。事故が続いた弱小炭坑なので,閉鎖はやむを得ないとしても,生産量にすると全体の40%もの炭坑が閉鎖されたようだ。電気料金については,政府はインフレが水平となるか下がる傾向が見えない限り,電気料金は上げない,と見ている。電力会社の苦闘が続く。


参考資料

2008年6月10日分

ミャンマー

●080610A Myanmar, SF Gate
ミャンマー,サルウイーンのダム建設,反政府派を水没へ
Burma dams would flood rebel territories
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2008/06/08/MNIM10GJUC.DTL

インドネシア

●080610B Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアの天然ガス生産,遂に原油生産を上回る
RI's natural gas production surpassing crude oil
http://www.thejakartapost.com/news/2008/06/08/ri039s-natural-gas-production-surpassing-crude-oil.html

中国

●080610C China, China Daily
中国の電力各社,利益の収縮と戦っている
Power companies struggle with shrinking profits
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2008-06/09/content_6746890.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月9日分 ー紙の上と現実が違うのは当然だ

「紙の上と現実が違うのは当然だ」,とインドのジャムカシミール,州都スリナガールに居座って,30万KWキシャンガンガ水力の,発電開始予定繰り上げを迫る人は,アジア開発4人男の一人,インド中央政府電力省,ラメシュ副大臣その人である。彼が動くところ,必ず大きなプロジェクトが動いてくる。この30万KWだけでなくて,シェナブ流域,3プロジェクト,合計210万KWのNHPCの3プロジェクトを動かしにかかった。

彼は,下流の同じシェナブ流域で,パキスタンが,しかもインドの対抗馬中国が支援して,ダムを造り始めている,同じ流域に二つも発電所が必要なわけがない,何としてでもこちらのプロジェクトを先に造ってしまえ,とはっきり中国とパキスタンへの敵愾心をむき出しにしているところが,開発男の本領である。昨日もパキスタン紙が,インドは水資源開発で残虐行為,と罵ったばかりである。

アジア開発4人男のラメッシュは今日の紙面に踊り,その一人,タイのサマック首相は,昨日の環境セミナーで環境グループを,「環境のオッサン達のおかげでダムが30年遅れた」,と面と向かって罵倒し,もう一人,インドネシアのカラ副大統領は,先日,エネルギー関係閣僚を密かに自分のオフィスに呼んで,原発のことは大統領選挙が終わるまで何も言うな,と来年の大統領選への意欲を露わにした。

さてもう一人,ネパール,毛派のプラチャンダーはどうしたのか,とニュースを探ってみると,先日もネパールの水力開発に入ったインド企業が苦境に立っている,と言う記事があったが,どうもプラチャンダーがとんでもないことを言い始めたらしい。彼は,カトマンズでの集会で大手新聞社を名指しし,「記者諸君は制憲議会選前に絶え間ない毛派批判をよくやってくれた」,と皮肉り,今後も批判を続けるなら「重大な結果」を招くと警告。毛派批判をするなら,他のすべての新聞社にも「同様の結果が待っている」と述べた,という。

プラチャンダーさん,頼みますよ,これからのネパールの水力開発,インドへの電力支援,ひいては地球温暖化を救うポスト京都の重要な担い手が,そんなことを喋って,折角の政権を逃さないで下さいよ,彼の発言で,既に組閣が大きくずれ込む,との予想が広がっている。


本文

●インド,ラメッシュ副大臣,キシャンガンガ水力,推進せよ

アジア開発4人男の一人,インドの電力副大臣ラメッシュ,昨日はパキスタン側からインドの水資源開発に関する残酷さが訴えれらたわけだが,このラメッシュにかかると,パキスタンの声も何のその,ジャムカシミールの州都スリナガールまで足を運んで,キシャガンガを早く造れ,急げ,下流ではパキスタンがカシミール内で中国の支援を受けながら,工事を急いでいる,と叱咤激励している。


このキシャガンガ水力プロジェクトは,ジャムカシミールのパキスタンとの紛争中の国境の近くで,30万KWを発電する流れ込み式,即ち大きなダムを造らない方式の開発計画で,中央政府が2007年に開発を許可したものである。位置は,J&K州,バラムーラ地区,バンディポールのクラルポール村にある。110MW機3台の330MWとされているが,2005年ベースで241億ルピー,約5.7億ドル相当,KWh当たり2.5ルピー,US5.86セント相当,と解説されている。

●フィリッピン政府,原油値上がり先行き見えず,節約を

原油の輸入に大きく頼っているフィリッピンは,この週末の原油の値上がり,更にこれに続く週末2度に亘るパニック的な国内ガソリンとLPGの値上げに慌てふためいている。日本も同じだが,弱者をどう救うかまでは日本はまだ来ていない。週末,大統領次席報道官のファジャルド女史(名前はローレライ,そんな名前を付けてよいのかな?)は,政府内建物の省エネの徹底と,付加価値税に収入の一部を,弱者の電力需要家への補助金支給に踏み切る,と発表した。

記事の中では,現在バレル130ドルの急騰で,更にドバイ原油が150ドルまで突っ走る可能性に言及している。どうもそれはイランとイスラエルの関係にあるらしい。記事を拾ってみると,その関係は大変な事態になっているようだ。イスラエル副首相モハズが,イランが核開発を継続した場合イスラエルがイランを攻撃する可能性を示唆,これをイランが国連事務総長当てに国連の怠慢非難の書簡。モハズ副首相は,汚職で瀬戸際のオルメルト首相に代わって首相職務を行う準備をしており,彼は米国の戦略問題の連絡役を務めているという。懸念はかなり現実である。

●インド,NHPC,ジャムカシミールで,210万KW水力開発を約束

アジア開発4人男が動けば,必ず何かが起こる,必ず大規模プロジェクトを動かしにかかる。ジャムカシミールの州都スリナガールにいるインド電力省副大臣ラメッシュは,NHPCがジャムカシミールで,3プロジェクト,総計210万KWの水力開発の手助けをしている。NHPCと州のジョイントベンチャーで,120万KWパカルドール水力の他,いずれもシェナブ流域に属するキルとカワールで,建設費用は1500億ルピー,約35億ドル相当である。今月中に正式に覚書に署名するという。ポスト京都への動きは早い。


参考資料

2008年6月9日分

フィリッピン

●080609A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン政府,原油値上がり先行き見えず,節約を
Gov’t appeals Conserve fuel, power
http://www.mb.com.ph/MAIN20080608126819.html

インド

●080609B India, Economic Times
ラメッシュ副大臣,キシャンガンガ水力,推進せよ
Work on Kishanganga project will be expedited Ramesh
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Work_on_Kishanganga_project_will_be_expedited__Ramesh/articleshow/3109311.cms
●080609C India, Economic Times
NHPC,ジャムカシミールで,210万KW水力開発を約束
NHPC may sign pact with JKPDC for 2,100 MW power projects
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NHPC_may_sign_pact_with_JKPDC_for_2100_MW_power_projects/articleshow/3109194.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月8日分 ーインドは水で残虐行為を犯している

「インドは水で残虐行為を犯している」,と強烈な論調でインドの水政策を批判するのは,パキスタンの有力紙,ザポスト,である。西ではバングラデシュの水源を押さえ,東では,カシミールの水を押さえてパキスタンの首根っこ,インダスの水を恣にしている,更に,パキスタンのインダス川に流れ込むカブール河の上流で,アフガニスタンのダム開発を支援するため,4000人もの大群を送って,コントロールしている,とまで言及。

記事を,地図を片手に細かく読んでいけばよいのだが,一つのポイントは,インドがカシミール,インダスの上流で開発しようとしている93万KW,32kmのトンネルで分流を図るニールムジェルム水力の開発計画のようだ。

インダス河の水争いには,インドとパキスタンの分割に伴う長い話があるが,1947年に両国に分割されたときに,インダス平野の総灌漑面積は946万ヘクタールで,そのうち84%に当たる791万ヘクタールがパキスタンに帰属した。1947年のインダス河の年量895億トンのうち,パキスタンが793億トンを使うこととなった。ところがインドでこの水に依存する人口は,パキスタンの2500万人に対し,2100万人で,これがインド側に深刻な食糧問題を引き起こすことになった。インドは上流で運河への送水を止めてパキスタン側に深刻な水問題を引き起こす。両国の交渉で,暫定的にインド側は下流に必要な水を流すが,運河を運営するための経費をパキスタン側からインドへ支払う,という協定が,1948年に成立している。


本文

●タイの電気料金,投資減少で若干の低下

最近のタイの電力セクターの価格動向が,うまく記事の中に納められている。タイの電気料金は安いと言われながら,密かに最近は,タイ人らしく選挙の合間を巧妙に縫って値上げをして来た。フィリッピンや日本,カンボジア,スリランカなどと違って,タイは,ベトナム,中国,インドのように,経済の立ち上がりを,自国産の石炭,タイの場合はマモーの褐炭で賄ってきたから,料金は安い。それも最近では,相対的にこの石炭はゼロに近い。

今日の記事は珍しく電気料金値下げの記事である。エネルギー大臣ポーンピロン氏の談話として,この6月から9月までの料金請求書は,通常の4ヶ月毎に行われる燃料通貨調整FtはKWh当たり0.06バーツ,018セント相当下がるので,0.628バーツ,1.897セント相当になり,ベースコスト225バーツ,6.796セント相当にこれを積み上げると,2.878バーツ,8.692セント相当になるという。

タイの電気料金は,4〜5セントが頭の中にあったが,じわじわと余り摩擦もなく,よくうまく8セント台まで載せてきたものだ,さすがタイ人である。それでも,フィリッピンやカンボジアに比べると3分の一とも言える値段で,これで国内火力のIPPやラオスの水力IPPが生きていかなければならないから大変だ。ナムニエップをやっていた頃,電気料金が7.5セントに達すれば開発可能,と言われてきたが,さて今はどうであろうか。

エネルギー大臣が大見得を切って電気料金が下がるという記者会見を行ったわけだが,原油の値上がりにもかかわらず,70%を天然ガスで賄うタイの電力は,時間遅れか,まだ原油高騰のあおりから若干逃げているようだ。今回は,EGAT,MEA,EGATを含めた国有公益事業体が,364億バーツの経費削減を実施した結果,とエネルギー大臣は言っている。

●パキスタン,将来の世界の戦争は,原油でなく水になるであろう

パキスタン側から見た何とも激しい論争である。インドア大陸に於ける水問題でのインドの横暴ぶりを,西はバングラデシュに対して,東はパキスタンに対して,水の残虐行為,と論じ立てている。とにかく,バングラデシュに対してもパキスタンに対しても,インドは奇しくも上流にある,と言うだけで強大な権限を行使している,と非難している。国際的な話し合いが必要であり,特に,インド,パキスタン両国は核を持ちながら対峙していると言う危うさがある,とまで論究している。


参考資料

2008年6月8日分

タイ

●080608A Thailand, Bangkok Post
タイの電気料金,投資減少で若干の低下
Small dip in electricity bills coming
http://www.bangkokpost.net/Business/07Jun2008_biz23.php

パキスタン

●080608B Pakistan, The Post
世界の将来の戦いは,原油でなく水になるだろう
Hydrological warfare against Pakistan
http://thepost.com.pk/OpinionNews.aspx?dtlid=165415&catid=11


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月7日分 ー環境のオッサン達のために30年遅れた

「環境のオッサン達のために30年遅れた」,世界環境デーの席上で,環境派を愚弄しながら,棚上げになっている北部タイのカエンスワテン多目的ダムの建設再開を宣言したのは,アジア開発4人男の一人,タイのサマック首相である。会議を主宰していたアノンガン環境大臣は,慌てて,この問題については早速政府内で関係者を集めて協議する,と後始末に奔走した。

サマック首相は敢然と環境派との衝突に踏み切ったのである。「チークの林が不満を言っている?何を言っているのだ,チークがものを言うか!チークなどはとうの昔に家を造るために切り倒されているではないか!」,「何?,クジャクがいる?クジャクが失われる?君たちはクジャクがそんな馬鹿だと思うのか!」,と環境派の主張を漫才よろしくあざけり倒している。

「環境派と言われる君たちは,一体,ブミポンやシリキットのダムが出来るときに何をしていたのか,あの当時は君たちの影さへなかったではないか,何を今になってから,チークやクジャクを持ち出すのか。君たち,環境のオッサン達のおかげで,30年も灌漑計画が遅れてしまった,おかげで建設費は暴騰するし,東北タイは水に苦しむし,君たちの犯した罪は大きい。」,さて,この勢いに,環境グループはどう動く?


本文

●フィリッピン,国家電力公社NPC,電気料金値下げを申請へ

NPCの電気料金は,まさしく激動の中にある。70%の資産売却を命じられて,今40%の売却が終わったところ,売却が終わる毎に料金調整を迫られる。それに,いろいろな省略語が飛び交うが,通貨変動調整ICERA,発電原価調整GRAM,精算遅れ調整DAA,などを複雑に絡み合わせて,一定期間毎に計算させられて,それがERC規制委員会の許認可事項となってくる。

料金構成の原則は,収益率ベースRORBで,時間毎に料金を変化させるTOUの構成になっている。今回の改訂は,最近売却を完了したパンタバンガンーマシウエー水力,マガット水力,マシンロック石炭火力に関する調整だという。

NPCの時間料金は,大まかに言って,深夜で1.5ペソ(3.4セント),昼間ピーク時には6ペソ(13.5セント),これを買電したマニラ配電などが配電経費などを上乗せして一般需要家に売ることになる。ピーク時に一般需要家が支払う電気料金は,KWh当たり20セント近くになり,アジアでも日本に次いで高い電気料金と言われている。

現在,電力取引市場WESMが活発に動いているが,全体の供給の10%程度に抑えられている。NPCは現在資産を売却の途上にあるが,買い取った民間企業,即ちIPPは,NPCを主要なオフテーカー,即ち引き取り手として,その殆どをNPCに売電している。今後,WESMがどの様な発展を遂げるか見物であるが,恐らく影響力を大きくして行くだろう。しかし,一旦問題が起こったときには,そこにカリフォルニア事件のような厳しい電気料金の高騰が待ち受けていることになり,将来とも波乱含みである。

●タイ,サマック首相,古いダム計画を持ち出し,環境派と激突へ

アジア開発4人男の一人,タイのサマック首相が,天然資源環境省主催の「世界環境の日」,の演壇に立ち,環境派を激しい言葉で愚弄しながら,北タイの30年間棚上げになっていたカエンスワテンダムの建設を開始することを明言した。まさにサマックらしい激しい演説であり,環境派との激突開始の合図である。環境派を前にしては誰も言わなかった言葉で主張している。


参考資料

2008年6月7日分

タイ

●080607A Thailand, Bangkok Post
サマック首相,古いダム計画を持ち出し,環境派と激突へ
Samak to revive old dam project PM on collision course with environmentalists
http://www.bangkokpost.net/News/06Jun2008_news01.php

フィリッピン

●080607B Philippines, Manila Bulletin
国家電力公社NPC,電気料金値下げを申請へ
NPC raises generation charge adjustment application with ERC
http://www.mb.com.ph/BSNS20080606126621.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月6日分 ー大統領任期を超えるものは言うな

「大統領任期を超えるものは言うな」,と,アジア開発4人男の一人,インドネシアのカラ副大統領は,プルノモ・エネルギー担当大臣などに釘を刺したのだろう。2009年に大統領選挙を迎えるインドネシアでは,カラ現副大統領が現ユドヨノ大統領の有力な対立候補として名乗りを上げることは,明白な状態となっている。彼が,大統領選挙の有力な鍵としているのは電力問題であり,中でも2017年にも計画されているムリヤの原子力発電所プロジェクトであろう。

一時華やかに原子力開発再開を匂わせてきた政府だが,ここに来てぴたりと報道規制がなされ,この水曜日,カラ副大統領との会談を終えて記者会見に臨んだプルノモ氏は,記者のけしかけにもかかわらず一言も原子力開発の言葉を使わなかった。ジャワ島は,今実施中の石炭火力を主体としたクラッシュプログラムで,環境的には一杯だと,これ以上は石炭火力を造らないと言っている。

ではクラッシュプログラム以降のジャワの需給はどうするのか,誰の頭の中にも原子力開発が浮かんでくる。プルノモ氏は,「任期を超える大規模プロジェクト」,と称して,原子量開発の基本方針に口をつぐんだ。ユドヨノ大統領も,ムリヤ原子力計画は決まっていない,とかって明言しているし,副大統領との間で暗黙の原子力停戦協定が結ばれているのか,或いは両者が決定的な切り札として機会を窺っているのか。

本文

●インドネシア政府,更に次の1000万KW電源開発を計画

アジア開発4人男の一人,インドネシアのカラ大統領,この水曜日に関係閣僚を自分のオフィスに呼び,重要な協議を行った。呼ばれたのは,エネルギー鉱工業大臣プルノモ,産業大臣ファーミイドリス,国家開発計画大臣パスカー,財務大臣スリムリヤニ,国有企業大臣ソフィアン,それにPLNの新総裁モクタールなど,国家のエネルギーを統括する大臣達である。

カラ副大統領は,これらのキーパーソンを前にして,来年に迫った大統領選挙を意識しながら慎重に話を進めたようだ。彼は,2004年大統領選挙では議会第一党のゴルカル党内での立候補者指名選挙に名を連ねていながら,土壇場でユドヨノと組んで副大統領となったが,2009年大統領選挙ではゴルカル党党首としてユドヨノと争うことになると見られている。

この会議で議論されたのは,現在進行中の1000万KW推進計画,クラッシュプログラムに続く電源開発計画である。会議の後でプルノモ担当大臣は,ジャワ島はこれ以上の石炭火力建設は,環境問題から無理であり,次の1000万KWはジャワ島の外で,しかも30%だけが石炭火力,他は地熱や水力で賄う,と説明した。地熱の包蔵は2700万KW,水力の残存包蔵は6000万KWと説明している,そんなにあるかな。

この記者会見で問題となったのは原子力開発である。記者からの質問が出たわけであるが,プルノモ担当大臣は,一言も原子力という言葉を使わなかった。彼は,「多数年に亘るプロジェクト」,と言う表現を使い,この原子力開発が大統領の任期である5年を超えるプロジェクトであることを示唆して,現大統領政権下での次元不可能な原子力には口を閉ざした。カラ副大統領との間でどの様な会話が交わされたか,容易に想像できる。

●インドの電力需要,現在の120GWから2017年には335GW

マッキンゼー社の調査,「インドの電力強化,2017年に向かって」,が発表されて,その衝撃的な内容が話題となっている。今のところインド政府は,第11次五カ年計画として2012年までの電源開発計画しか持っていないが,この調査は更に5年後,即ち第12次五カ年計画に相当する2017年までの予測を行ったもので,例え現在の8%経済成長下でも,電力の伸びは次の10年間年率14%を越すだろう,としている。

現在のインドの需要は120GWであるが,2017年には315〜355GWの需要があるとしている。いろいろ理由を挙げているが,最大のポイントは農業国から工業国への変質であろう。この数字は需要予測を示したもので,この需要を満たすためには予備力も含めて415〜440MWの設備が必要であり,2017年までに300GWの設備増強,年にすれば毎年3000万KWの開発が必要,と言うわけである。

コンサルタントの需要予測が,実際の経済成長を引き上げる例は,1980年代に我々はインドネシアで見てきている。コンサルタントが報告書で成長を囃し立てれば,その報告書に基づいて世界銀行などがお金を融資し,実際にコンサルタントの囃し立てるような成長が実現する。しかしこのインドの場合は,時代も違うが,物理的な対応限度を超えた予想である。

●ネパール水力参入のインド企業,関心を喪失

やはりネパールの人々は難しい人だったのか。300MWアッパーカルナリ水力や402MWアルン3水力の開発権を手に入れたインド企業であるが,第3の600MWブディガンダキ水力では,入札に二の足を踏んでいる。内外29社が見積図書を購入し,そのうち18社がインド企業であるが,彼らが入札に踏み切る節が見られない。

ネパールの現コイララ政府が発注したこれらの水力について,外国企業に簡単に渡してよいのか,と言う声がネパール国内で沸々と沸いてきており,特にマオイストの政権離脱が噂される中,少なくとも手続きだけから見ても数年かかることになり,インド企業の失望を誘っている。ポスト京都の重要な一角が揺れている。


その他

●300万KWディバン水力,インド最大のダムをアルンチャルで
●フィリッピン,アロヨ大統領,政府庁舎内でのエネルギー節約を指示
●インド,ナルマダプロジェクト,2010年に完成へ


参考資料

2008年6月6日分

フィリッピン

●080606A Philippines, Manila Bulletin
アロヨ大統領,政府庁舎内でのエネルギー節約を指示
Save on energy, GMA orders government offices
http://www.mb.com.ph/MAIN20080605126554.html

ネパール

●080606B Nepal, Tha Indian
ネパール水力参入のインド企業,関心を喪失
Indian companies lose interest in Nepal power deals
http://www.thaindian.com/newsportal/uncategorized/indian-companies-lose-interest-in-nepal-power-deals_10056394.html

インド

●080606C India, Tha Indian
ナルマダプロジェクト,2010年に完成へ
Narmada project to be completed by 2010
http://www.thaindian.com/newsportal/enviornment/narmada-project-to-be-completed-by-2010_10056526.html
●080606D India, Economic Times
インドの電力需要,現在の120GWから2017年には335GW
India's power demand to rise 120 GW to 335 GW
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Indias_power_demand_to_rise__120_GW_to_335_GW/articleshow/3101315.cms
●080606E India,Business Stand
300万KWディバン水力,インド最大のダムをアルンチャルで
Building India`s highest dam in the heart of Arunachal
http://www.business-standard.com/common/news_article.php?leftnm=lmnu2&subLeft=1&autono=325101&tab=r

インドネシア

●080606F Indonesia, Antara
政府,更に次の1000万KW電源開発を計画
Govt planning second 10,000-MW series of power plants
http://www.antara.co.id/en/arc/2008/6/4/govt-planning-second-10-000-mw-series-of-power-plants/


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月4日分 ー外国企業はお節介で略奪者

「テイクオアペイはラモス時代」,昨日,フィリッピン英語も歴史があってなかなか難しいところがある,と言っていたら,インド英語のエバキュエーション,送電で助けてくれた白石さんが,今フィリッピンで大問題になっているこのテイクオアペイの制度は,ラモス大統領時代のIPP優遇の必要に迫られて生まれた制度,と例文を引用しながら丁寧に教えてくれた。即ち,国家保証に変わる投資資金の保護だと言うことだ。

彼によると,前回問題となったインド英語で,インド英語の辞書のサイトがあって,いろいろなインド人独特の言い回しが逐次蓄積されたもの,その中に彼の提案になるエバキュエーションも新たに登録されたようだ,すごい。見てみると,東京の白石さん提案,と書かれている。因みに,インディアン,イングリッシュ,エバキュエイション,とグーグルすると,ちゃんと出てくる。

さて,テイクオアペイに発するフィリッピンの電力料金問題だが,昨日のJICAの公示案件で,フィリッピン電力公社の財務管理マスタープランの事前調査を行う電力料金制度専門家の募集が出ている。遂にJICAもフィリッピンの電気料金問題,その伏魔殿に入り込んできたか,と言う印象である。資産売却で役割の縮小が見通されたNPCであるが,今でもIPPの完全なオフテーカーの役割を演じて,まさにこのIPPとのテークオアペイ問題の渦中にある組織である。

フィリッピン政府というか,基本になっている包括電気事業法改正基本法EPIRAは,現在全体に対する10%程度の影響で動いている電力取引市場WESMに,漸次移行していって,現在NPCが引き受けているIPP契約を,相対的には順次減らして行く方向で考えていると思う。これ以上のIPPは引き受けない,と言う立場だが,これが次期の電源開発への投資意欲の減退に繋がっている。

JICAが引き受けようとしている開発調査はマスタープランであり,恐らく長期に亘る財務管理を対象としていると思われるが,その場合,WESMが今後どの様に成長して行くのか,それが,相対的な影響力を減少させて行くNPCの財務にどの様な影響を与えるのか,それも一つの大きなポイントであるような気がする,健闘を祈る。今,11時10分に入ってきた速報では,JICAはシエラレオネの首都電力計画にも進出するようだ。誰か,両案件とも,大いに協力してあげて下さい。


本文

●カンボジアのNGO,セコン河開発で,環境考慮を呼びかけ

ラオス領内のメコン河左岸支流セコン河,大きな川で懐が深いが,ラオス領内の人口は非常に少なく,灌漑のポテンシャルはあるが,それに匹敵する労働力は少ない。20年前に流域内を走ったことがあるが,とりとめのない広さを持った流域で洪水のために土色一色であったが,その支流セカマンに入ると緑に囲まれている。JICAの報告書の中に,貴重な航空写真の入ったマスタープラン報告書があるはず,当時の電発によるもの。

そのセコン河には既に15万KWのファイホー水力があり,セカマンでは現在2010年の完成を目指してダムを含む25万KWの水力プロジェクトが,ベトナム企業の手で進んでいる。いずれも,日本企業が造ろうとして果たせなかった,日本にとっては幻のダムである。セコンの本流は,下流でカンボジアにはいるが,カンボジアのNGOによるラオスへの情報公開の申し入れを,中国紙が報じている。

カンボジアの開発のニュースはなかなか手に入らないが,今日のこの中国紙の報道で,メコンタイムスというサイトや,カンボジア・メコン河アライアンスの組織などがあることを知った。少し追いかけてみよう。でも,カンボジアのNGOは優しい。「政府の計画には反対は出来ないが,下流3万人の村人,それも少数民族の人々のために,政府からラオス政府へ情報公開を申し入れて頂けないか。」,おそるおそる申し上げた感じ。

●インド,マハラシュトラ州,農業を除き,6.5%電気料金値上げ

今日は各国の電気料金に関する記事が多いが,インドのマハラシュトラ州の電気料金が話題になるのは久しぶりである。中央政府の基本方針に頑として従わないこの州だが,原因は農業需要が大いいことが一因である,40%は農業需要と聞いている。

今回の平均6.5%の値上げも,農業用施設の料金は据え置きされた,ゼロに近い。政治と大いに関係があるわけだが,ますます州財政の圧迫に繋がる。農業料金を上げない理由を,日12時間から15時間の電力使用制限を農業施設に課しているからだ,と説明している。

●フィリッピン,アロヨ政権,20億ペソ,弱者への電気料金補助制度

先日から,ファーストガスなどが,ガス燃料への付加価値税が電気料金を高めている,と政府を批判してきたが,ここでアロヨ大統領は,この富裕層から徴収した付加価値税を財源として,貧困層の電気料金に対して補助金20億ペソを支出する,と言う政策を発表した。一家族500ペソで400万家族がその対象だという。姑息だが,今のアロヨ政権にとっては,まず火の粉を振り払う必要があるのだろう。この国の電気料金は根深い。

●インドネシア,2009年以降でなければ,電気料金値上げはなかろう

インドネシアも,電気料金値上げに対しては苦しい立場だが,2003年以来,基本的な値上げはしていない。電力エネルギー総局長のプルオノ氏は,少なくとも政府としては2009年には値上げの意図はない,と噂の沈静化に努めている。しかし,全電源の35%を石油に頼る現実から,補助金が過去の3倍の65億ドル相当に跳ね上がって,既に新しい政策の導入を促されていた。

結局,この国も,富裕層から取り上げる,という表現で既に実施に踏み切っており,6600KWh以上の需要家に対して補助金を加算しないことにしてきたが,このレベルを落として,2200KWh以上,とすることに決定している。事実上の値上げである。PLNのモクタール総裁は,石油がバレル1ドル上がるたびに,PLNは5000億ルピアの損失を抱えることになる,と嘆いている。


その他

●インド,ヒマシャルプラデッシュ,オランダ企業の水力開発で高裁決定


参考資料

2008年6月5日分

フィリッピン

●080605A Philippines, Manila Bulletin
アロヨ政権,20億ペソ,弱者への電気料金補助制度
P2-B subsidy program launched
http://www.mb.com.ph/MAIN20080604126466.html
●080605B Philippines, Manila Bulletin
マニラ配電MERALCO,損失も需要家が負担している
Meralco’s systems loss
http://business.inquirer.net/money/columns/view/20080604-140605/Meralcos-systems-loss

インド

●080605C India, Economic Times
マハラシュトラ州,農業を除き,6.5%電気料金値上げ
MERC retains agri tariff, modest hike for others
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/MERC_retains_agri_tariff_modest_hike_for_others/articleshow/3097039.cms
●080605D India, Tha Indian
ヒマシャルプラデッシュ,オランダ企業の水力開発で高裁決定
Court pulls up Himachal government on power projects
http://www.thaindian.com/newsportal/uncategorized/court-pulls-up-himachal-government-on-power-projects_10056234.html

インドネシア

●080605E Indonesia, The Jakarta Post
2009年以降でなければ,電気料金値上げはなかろう
No general power tariff increase until after 2009, official says
http://www.thejakartapost.com/news/2008/06/02/no-general-power-tariff-increase-until-after-2009-official-says.html

カンボジア

●080605F Cambodia, News Xinhua Net
カンボジアのNGO,セコン河開発で,環境考慮を呼びかけ
Cambodian NGO Forum asks Sekong River dam developers to consider environmental effects
http://news.xinhuanet.com/english/2008-06/04/content_8310909.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月4日分 ー外国企業はお節介で略奪者

「外国企業はお節介で略奪者」,と言う言葉があのフィリッピンで聞かれるとは思わなかった,しかもそれは上院議員,その一人は,電力問題を一手に握る委員会の委員長サンチャゴ女史である。昨日,外国企業で造る商工会議所連合体JCFが,アロヨ大統領宛に,改革を続行せよ,法律をいじるな,それが投資を呼ぶ重要な要素だ,と大統領を叱咤激励するレターを出したところである。

国会は,包括的電気事業改革基本法EPIRAの修正を目指して議論が盛り上がっているところに,思わぬお節介が出てきて,このような乱暴な言葉が飛び交うことになった。最近は,このフィリッピンの電力セクターで,全く泥試合とも見られる言葉のやりとりが飛び交い,上品な私は,下品な英語の単語に惑わされて辞書を引きまくっている。

プレデイターズ(略奪者),カーペットベガーズ(議会内をうろつく物乞い達),インパーシエンス(無礼な言葉),メッドリング(お節介),などなど,このような英文を大学入試に出したらどうなるだろうか(知らなかったのは私だけ,と言うことはないですよね)。

最後に,「テークオアペイ」,で,この言葉は投資関係者の間では普通に使われている言葉だが,百万人の辞書にも出ていない。グーグルで見ると何とか解説が出てくるが,電力のIPPと関係付けようとすると,なかなか難しい。「現実の電力供給を行う前に既に支払額が決定している取引」,とでも訳せばよいのかな。フィリッピンでは,マニラ配電が優先的に契約している3つのIPPとの契約を指している。フィリッピン議会は,この条項の改正に奔走しているわけで,これは一般のNPCが引き取るIPPプロジェクトにも影響してくる。


本文

●フィリッピン,上院議員達,外国企業連合は略奪者達だ

とんでもない上院議員達の反発を招いている。昨日報道された,マニラ日本商工会議所イナミ会頭を初め欧米諸国のマニラビジネス代表達が,共同してアロヨ大統領に提出した公式レターに対する反発である。「全くお節介極まる,彼らは略奪者であり,議会内をうろつき回る物乞いだ。」,と激しい言葉で非難の口火を切ったのは,いつもこのような場面で登場するエンリレ上院議員である。

昨日の記事にあったように,外国ビジネス代表団JFCは,大規模需要家の完全な電源選択制を決めている現在の包括電気事業法改正法EPIRAの2010年までの完全実施を要請したもので,EPIRAの改正問題の議論に釘を刺し,政策のぶれを警戒したものだった,むしろ勇敢に改革を進めるフィリッピン,特にアロヨ政権を叱咤激励するものだったはずだ。

この問題の主役で,それこそアジアの開発問題5人男の一人に追加してもよいサンチャゴ上院エネルギー委員会委員長(彼女は女性なので5人男と言うわけには行かないが)は,JFC代表を国会へ喚問する勢いである。彼女の説明によると,上院はどうしても必要な改正に取り組んでいる,それは海外企業の利益のためではなく,フィリッピンの一般電力需要家を守るためである,JFCは出しゃばりで誠に無礼,とまで言っている。

サンチャゴ上院議員が問題にしているのは,「テークオアペイ」,の条項で,これが一般の需要家を異常に圧迫しているので,改訂の必要がある,と言う趣旨である。私も余り詳しくないが,「テークオアペイ」,は,商取引の中で,実際にサービスされる以前に支払いが義務づけられているもの,とでも訳せばよいのか。いま問題になっているのは,マニラ配電と契約している3つのIPP問題だ。

マニラ配電MERALCOは,ケソンパワー(石炭火力511MW),サンタリタ(ガス火力1000MW),サンロレンツ(ガス火力500MW)の3つのIPPの優先引き取りを,EPIRAの中で認められている,一部は,マニラ配電を牛ずるロペス財団が関係している。これが所謂,「テークオアペイ」の契約であるらしい。他のIPPの引き取り手であるNPCも,これに近い契約をしている。EPIRAの弱点,と上院議員達は感じているのだ。


●ベトナム,石炭を輸出して買い戻し,大きなロスになっている

ベトナムの石炭が大きな矛盾に遭遇している。ベトナムの石炭は,北の紅河流域下流の堆積で,良質と言われている。北には多くの石炭火力が建設され,最近の経済成長の大きな原動力となってきた。一方で石炭の輸出が続き,特に中国の経済成長と共に,輸出の殆どは中国向けである。最近の原油価格の高騰に引っ張られて,矛盾が露呈してきた。

産業通商省のブイスワンク副大臣が明らかにしたものだが,昨年の実績では,3250万トンを輸出したが,電力の需要増大で750万トンを逆に買い戻している。輸出するときはトン32.2ドルであったものが,買い戻す時点ではトン135ドルに値上がりしていたのである。一体何をやっているのか,と言いたくなるが,どうも最近のベトナムの電力やエネルギー政策には,変調が見られる。

●中国,需要の高まりで,電力不足を予測

中国の電力不足は,連続第5年目に入る。今回は,四川省の地震で多くの水力発電所がダメージを受けたことと,石炭不足で,迫り来る夏の季節には,各地方で数百万KWの不足が予想されている。全国では35カ所の石炭火力が石炭不足で停止しており,全国的には4,381万トンの備蓄にとどまり,これは僅か11日分の過ぎないレベルまで落ち込んでいるという。


その他

●中国,直径12mの巨大なトンネル掘削マシーン登場


参考資料

2008年6月4日分

ベトナム

●080604A Vietnam, Vietnam Net
石炭を輸出して買い戻し,大きなロスになっている
The more coal Vietnam exports, the greater its losses
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/06/786218/

フィリッピン

●080604B Philippines, Inquirer
上院議員達,外国企業連合は略奪者達だ
Senators call foreign chambers 'predators'
http://newsinfo.inquirer.net/inquirerheadlines/nation/view/20080603-140394/Senators-call-foreign-chambers-predators

中国

●080604C China, Steel Guru
直径12mの巨大なトンネル掘削マシーン登場
Cutterhead for biggest TBM tunneling project in China
http://steelguru.com/news/index/2008/06/01/NDgxMjU=/Cutterhead_for_biggest_TBM_tunneling_project_in_China.html
●080604D China, News Xinhua Net
中国,需要の高まりで,電力不足を予測
China expects power shortages amid surging demand
http://news.xinhuanet.com/english/2008-06/02/content_8302938.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月3日分 ーマニラ配電非難よりやることがある

「マニラ配電非難よりやることがある」,とアロヨ大統領に直接レターを書いたのは,マニラの日本商工会議所会頭のイナミさんも含む欧米企業のマニラ連合体JFCPである。最近のマニラの話題は,マニラ配電が電気料金高止まりの元凶,と言わんばかりの論争が続き,大統領も,高料金の元凶は誰か,調査のための機動部隊を組織した。

マニラ在住外国企業の主張は,とにかく非難の応酬は止めて,高邁な電力自由化の精神を盛り込んだEPIRA,2001年の包括電気授業改革法,これの完全実施を,規定の2010年までに行うことに全力を尽くせ,と言うのである。基本は二つ,大規模需要の電源の完全な選択権の実現と,安定した政策,即ちEPIRAはもういじらない,とすれば自ずと民間資金の電源開発にも弾みがつくだろう,と提言している。

国際エネルギー機関IEAの田中伸男事務局長の時事通信社との会見記事が,時事通信に出ている。彼の焦点jは,IEAに中国とインドの加盟がなければ,現今の世界のエネルギー問題や地球温暖化問題は解決しない,と言う主張である。記事によると,IEA加盟の条件は,上部組織の経済協力開発機構(OECD)に加盟することがまず必要,と言うことらしい。

インドはともかく,中国のOECD加盟は,G8の問題や独自のODA政策に問題を持っており,OECDに加盟すれば,その輪の中で海外支援を行う機会も増え,現在のような国益中心の荒っぽいODA活動が阻まれることになるのだろう。豪雪やチベット,更には四川大震災と続き,国際社会との共存がますます必要となってくる中国は,今後どの様に変化して行くのか。


本文

●フィリッピン,外国企業連合,アロヨ大統領に,マニラ配電批判を止めよと

日本のマニラ商工会議所会頭のイナミさんも含めて,欧米各国の企業が集う商工会議所連合JFCPが,アロヨ大統領宛に異例のレターを発出した。最近のマニラ配電を中心とした泥試合を見かねての,思い切った内容で,むしろ,基本的な趣旨は,高邁な改革を提言した2001年のEPIRA,包括的電気事業法改正法を讃え,その確実な実施,2010年を目標とする完全実施について要望したもので,記事は全文を掲載している。

アロヨ大統領には,その側近達や公社トップ達,国会議員などによるマニラ配電MERALCOへの皆が納得できないと思われる不当な非難,これを止めさせるよう求めている。それは,マニラ配電を非難するよりも,もっと大切なことが電力改革の一連の流れの中にはあるはずだ,そこに集中せよ,と言うのである。JFCPも,EPIRAには問題点もあるが,それを議論しているときではない,と言う気持ちであろう。

フィリッピンの高止まりした電気料金については考えさせられるコメントも多いいが,あえて問題を絞るならば,MW以上の大口の需要家に対する完全な電源の選択自由,これを計画通り2010年までに実現させることが,料金の低下に繋がる,と言っていることと,国会を中心に,EPIRAの手直し,改変が話題にされることが,次の民間による電源開発に大きな悪影響を及ぼしている,政策を安定させろ,と主張している。

●インドネシア,原油ガスへの投資が増えてきた,しかしまだリスクも

OPECから脱退の意向を示すインドネシア,もはや産油国ではない,と言うわけだが,ここ数日,インドネシアでの新たな原油ガス生産への投資の見通しについての記事が続く。今日の記事は,有名なイギリスの経済コンサルタント,プライスウオーターの調査結果を基にしているが,現在インドネシアで活動する外国企業の90%近い企業が,ここ数年,原油価格が下がることはないであろう,との見通しを掲げている。

従って,現在に於ける年100億ドルベースの原油ガス投資は活況であるが,そこに不安があるのは,原油価格が高いので,インドネシアにとどまって投資を続けている,と言うことで,インドネシアの官僚制度の悪弊については各企業とも不満を呈しており,もし原油価格が少しでも下がる傾向を見せた場合には,恐らく多くの企業がインドネシアから去って行くだろう,そうしてその不安が常に投資企業につきまとっていると言うのである。

●中国,オリンピックの聖火が三峡ダムへ,輝く世紀の金字塔

「この聖火の道を100年かけて」,造ってきた,と興奮しているのは,オリンピックの聖火を掲げて,18分かかって三峡ダムの天端を走った三峡ダム公司のグアンジン副社長である。三峡ダムを計画してから100年で完成し,そこに中国の人々の夢であるオリンピック開催の時期が来て,その聖火が宜昌を発して,三峡ダム地域を1時間走り,そのうちの18分をダム上で過ごしたのである。中国にとっては,まさしく,三峡ダムとオリンピック,世紀を超える事業の会同と言うことだろう。


その他

●フィリッピン,ベルギー公的援助機関ONDD,カラカの保証へ


参考資料

2008年6月3日分

フィリッピン

●080603A Philippines, Manila Bulletin
外国企業連合,アロヨ大統領に,マニラ配電批判を止めよと
Foreign Chambers urge GMA to stop attacks on Meralco
http://www.mb.com.ph/MAIN20080602126296.html
●080603B Philippines, Manila Bulletin
ベルギー公的援助機関ONDD,カラカの保証へ
Belgian firm provides political risk guarantee for Calaca deal
http://www.mb.com.ph/BSNS20080602126265.html

インドネシア

●080603C Indonesia, The Jakarta Post
原油ガスへの投資が増えてきた,しかしまだリスクも
Oil and gas investment to rise, but risks remain
http://www.thejakartapost.com/news/2008/06/02/oil-and-gas-investment-rise-risks-remain.html

中国

●080603D China, News .Xinhua Net
オリンピックの聖火が三峡ダムへ,輝く世紀の金字塔
two national century-year-old dreams shining to each other in Central China
http://news.xinhuanet.com/english/2008-06/01/content_8295402.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月2日分 ー蛙電気料金を上げないでくれ

「電気料金を上げないでくれ」,と単刀直入に政府に申し入れているのは,インドネシア国会のラクソノ報道官である。久しぶりのインドネシアの報道が続くが,もう一つつぼを押さえていない記事ばかりである。インドネシアは,クラッシュプログラムで,強引な石炭火力開発を進めているが,政府としては,それらの完成をそれこそ一日千秋の思いで待っていることだろう。

インドネシアの永井専門家が,そのクラッシュプログラムの進捗を追っかけているが,彼によると,ジャワ島10プロジェクトのうち,既にEPC契約は9プロジェクトで成約しているという。私は,このクラッシュプログラムの資金調達は,中国がその80%ぐらいを引き受けて順調,と思っていたが,ドル資金調達契約が終了したものは,僅かに3件という。中国が,豪雪,チベット,地震,と災厄が続くと,世界の開発事業にも影響が出る可能性がある。

本文

●インドネシア国会,政府に対し,電力料金の値上げをするな

インドネシア国会が,政府に対して電気料金値上げに走らないよう,ラクソノ報道官の口を借りて釘を刺した。政府は,先週の金曜日,燃料価格を30%挙げたところで,これが電気料金の値上げに繋がることを,国会が心配している。スワルト大統領が退陣したとき以来,インドネシアは電気料金の値上げに神経質である。

●インドネシア,PLNの電力供給危機,ヌサテンガなどで停電騒ぎ

インドネシアのヌサテンガ(東方の島)や西ジャワの各地で,ディーゼル燃料の不足で発電所が停まり,騒動を起こしている。バンドンでも突然に電力が停まり,病院などが危なかったようだ。ヌサテンガのPLNの担当者は,プルタミナが供給するディーゼル燃料の到着が遅れている,どうしようもない,と嘆いている。どうも,輸送問題だけではなく,燃料の高騰が売り惜しみを呼び,供給困難に陥っているようだ。

●ベトナム国会,公共事業投資で,関係大臣を追求

ベトナムの経済が,中国と同じように難しい局面に来ていることを物語る記事である。国会で追及されたホホンフック投資計画相とフバンニン財務相,共に詳細な数字を公表することを,市場への悪影響,として明らかにしなかったが,ベトナムの政治もここまで来たかと言う感じがする。地方選出の国会議員が,経済関係閣僚を厳しく追及する場面は,これまでにはなかったベトナムの風景ではある。

金余りの時代を迎えて,国営企業が分野をわきまえず投資に走る姿は,数年前の中国の姿だ。ベトナムでも年率20%を超えるインフレが起こりかかっており,経済成長の目標を8%台から7%台に押さえ込もうとしている。やり玉に挙がっているのが,ベトナム石油ガスグループのラオスの水力への投資である。財務大臣は,政府はこれらの自由な投資を規制する立場にはない,と抗弁している。

●世界銀行,パキスタンの電力料金値上げを要請

昨日は世界銀行が,WAPDAからPEPCOを分離することに関して,どこにお金を貸したことか分からなくなる,と苦言を呈したところだが,更に今日は,アシュラフ水資源電力大臣が,世界銀行から,電力への補助金を廃止して電力料金を値上げするよう要請されていることを明らかにした。大臣は,この結果がすぐに貧困層に影響することがないよう留意する,と付け加えている。

電力危機にあるパキスタンは,数日前から全国的な節電運動に入っており,サマータイムの採用や官公庁の冷房抑制に動いている。大臣は,2009年8月14日までには,600万KWを新たに投入して,電力不足に対応する,としている。


その他

●インド,パキスタンにバギリハールダムなど視察を許容


参考資料

2008年6月2日分

ベトナム

●080602A Vietnam, Thanh Nien News
ベトナム国会,公共事業投資で,関係大臣を追求
Legislators grill ministers over public sector firms, inflation
http://www.thanhniennews.com/politics/?catid=1&newsid=38941

パキスタン

●080602B Pakistan, The Post
世界銀行,パキスタンの電力料金値上げを要請
WB wants increase in power tariff: minister
http://thepost.com.pk/Ba_ShortNewsT.aspx?fbshortid=3041&bcatid=14&bstatus=Current&fcatid=14&fstatus=Current
●080602C Pakistan, The Post
インド,パキスタンにバギリハールダムなど視察を許容
Baglihar Dam, Neelum-Jhelum project | Pakistan, India allow inspection
http://thepost.com.pk/MainNewsT.aspx?bdtl_id=11127&fb_id=2&catid=14

インドネシア

●080602D Indonesia, The Jakarta Post
PLNの電力供給危機,ヌサテンガなどで停電騒ぎ
Power cuts hit public services in NTT, W.Java
http://www.thejakartapost.com/news/2008/05/30/power-cuts-hit-public-services-ntt-wjava.html
●080602E Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア国会,政府に対し,電力料金の値上げをするな
House Speaker urges government not to raise electricity rate


ー 日刊アジアの開発問題 2008年6月1日分 ー蛙を食べて生き延びろ

「蛙を食べて生き延びろ」,外国勢力が持ってくるチョコレートの板切れなどに頼るな,ミャンマー国民は強い民族だ,支援団体のような顔をしてのこのこ家に入ってくる外国人は,スパイだから気を付けろ,と書いているのは,ミャンマー軍事政権の公式な機関紙,ザライトオブミャンマーである。イラワジ川の下流の河口付近には,大型の食用蛙が豊富に生息しているという。

四川省の地震も悲惨だが,ミャンマーのサイクロンも悲惨,恐らく伊勢湾台風のような高波に襲われたのであろう。5月2日のサイクロン「ナルギス」の犠牲者は13万4千人という。中国政府は,積極的な情報公開で,ミャンマーの対応とは一線を画している,オリンピックを控えた配慮だろう。それにしても,湖錦濤政権になってから,余りにも大規模な災害が多すぎる,他の国なら,頭をすげ替えろ,と言う話になるのだろう。


本文

●ミャンマーの被災民,軍事政権,蛙を食べておけと

「ミャンマー国民は,国際的支援がなくとも生き延びることが出来る,多くの大型食用蛙がいるから。支援と称しながら家に入ってくる人は,ミャンマーの政治情勢を探りに来た密偵だから気を付けろ。」,と書いているのは,政府の広報紙,ザライトオブミャンマーである。ここまでバンコクポストに書かれると,軍事政権の問題点が浮かび上がる。5月2日のサイクロン「ナルギス」の犠牲者は13万4千人という。

●フィリッピン,ロペス財閥,政府の発電燃料に対する税制が高料金の元凶と

フィリッピンの高い電気料金,全く泥試合になってきた。ロペス財団が持つファーストガス,そのタントコ副社長は,電気料金の高いのは政府の電力及びエネルギーに対する租税政策にある,と激しく糾弾してきた。高い電気料金の元凶は,ロペス財団が経営を掌握するマニラ配電のせいだと攻撃されてきたので,ここに反撃に出た。

ファーストガスが供給するガスに対して,政府はKWh当たり2ペソ,即ち4.6セントも持って行っている,というもので,付加価値税を12%取って,まさに税金の上に税金を重ねている,と言うのである。問題は,ガスが国内資源であるにも関わらず,原油が上がるとそれに併せて国内産のガスも上げている。タイやインドネシアは,国内産は安くしているどころか,逆に政府補助金まで出している,と言っている。

またマニラ配電が消費者に課金しようとしている130億ペソが問題になっている。マニラ配電は,正当な課金である,と主張しているが,消費者の代表はこれを納得していない。政府経済部門が指名した,電気料金調査特別班,今月中に何らかの答申をする必要があるが,とても有効な対策に行き着くとは思われない。

●世界銀行,パキスタンのPEPCOの分離に強い懸念

昨年,2007年10月に行われた組織改革,PEPCOが発電の全部門を握り,WAPDAはダムと発電所建屋の保全だけにされてしまった,これに世界銀行が強い不満を述べたものである。まさに多額の借款を与え現在も大規模ダムへの支援を協議しているところに,突然に得体の知れない独立体が発電の基本部分を持っていってしまう,世銀の強い不満がよく分かる。

●インド政府,NTPCに,外国企業との紛争を早急に始末せよと

アジア開発四人男の一人,インドのラメシュ電力副大臣,超臨界火力プロジェクトの機器供給に参入してきた韓国とロシアの企業のトップを捕まえて,その遅れは許されない,と強い口調で抗議した。インドは,電力不足の主要な原因が開発工程の遅れにある,と見られており,この点でラメッシュは精力的に走り回っている。また,超臨界は日本の誇る技術であるが,ここにも韓国,ロシア勢が進出してきているわけだ。


その他

●インド,ウッタラプラデッシュ,100万KW水力開発,ビデオコン


参考資料

2008年6月1日分

パキスタン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Pakistan.htm

●080601A Pakistan, Daily Times
世界銀行,PEPCOの分離に強い懸念
WB warns against merging PEPCO with WAPDA
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C05%5C31%5Cstory_31-5-2008_pg5_8

フィリッピン
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Philippines.htm

●080601B Philippines, Manila Bulletin
ロペス財閥,政府の発電燃料に対する税制が高料金の元凶と
Lopez exec blames government for high cost of electricity
http://business.inquirer.net/money/breakingnews/view/20080530-139817/Lopez-exec-blames-government-for-high-cost-of-electricity

ミャンマー
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0Myanmar.htm

●080601C Myanmar, Bangkok Post
ミャンマーの被災民,軍事政権,蛙を食べておけと
Let them eat frogs
http://www.bangkokpost.net/topstories/topstories.php?id=127914

インド
http://my.reset.jp/~adachihayao/indexmap0India.htm

●080601D India, Economic Times
ウッタラプラデッシュ,100万KW水力開発,ビデオコン
Videocon to set up hydropower plant in Uttarakhand
http://www.thaindian.com/newsportal/business/videocon-to-set-up-hydropower-plant-in-uttarakhand_10054250.html
●080601E India, Economic Times
政府,NTPCに,外国企業との紛争を早急に始末せよと
Govt asks NTPC to resolve row with foreign vendors
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Govt_asks_NTPC_to_resolve_row_with_foreign_vendors/articleshow/3086685.cms


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