2008年7月31日更新
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ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月31日分 ー水力発電は黄金の液体である

「水力発電は黄金の液体である」,と抱負を語っているのは,インドの水力発電公社NHPCの総裁ガルグ氏である。今日の記事は,まさしく,「黒色のダイヤ」,と,「黄金の液体」,の協奏曲となっているが,深刻なのは中国の石炭不足で,何しろ電力の80%を賄っている石炭が不足ではどうしようもない,しかもこれから冬に向かってまた輸送に問題が出てくるというのに,全国的に発電所の石炭備蓄は7日分しかないと言う。折角の上り調子の経済を折り曲げる可能性がある,特に欧米のメディアが書きたてている。

石炭は,哀しいかな,どうしても人類がここしばらく使わなくてはならないエネルギー資源である。これを使わないとまず中国とインドが倒れてしまう。私も石炭のことはよく分からないが,十数年前までは,インドも石炭をニューデリーまで運んで需要地で燃やしていたし,中国でもあの武漢大橋の鉄橋をどうして連続的に石炭を運ぶのか悩んでいた。今は大容量の送電線が敷設されて,山元で大規模な発電が行われるようになった。

これは大規模な石炭包蔵を有する中国やインドの話で,タイなど輸入石炭に頼ろうとしているところは,石油と同じで,連続して途切れることなく大型の石炭専用船を長躯,インドネシアやオーストラリアから走らせなければならない。一瞬も途切れてはならないのは,大都市のゴミ収集車とにている。その様なことがよく何十年も続くものだと思って感心している。

その点,「黄金の液体」,水力発電の方はその様な迷いはなく,水を大阪に運んで水力発電するわけにはいかないので,山元で発電するしかない。インド北辺や中国南西部の包蔵水力は,これを需要地に運ぶのが困難で,長い間開発されなかったが,50万ボルト送電線や直流送電が一般的になってきて,大いに開発が盛り上がってきた。特にインド北辺の水力は,人類最後の水力への挑戦とも言える。

しかし,インドの水力開発はかけ声は大きいが,すこしもたもたしているような気がする。民間資金を重要視しているところにあると思うが,中国人とインド人の差を時々見せつけられる。どうも中国人を見ていると,若いときの私の川歩きににているような気がする。彼等はまず飛び上がっておいてそれからどの石へ足を降ろすか,飛び上がっている間に考えているようだ。それに比べると,インド人は,まず飛び上がる前に,どの石に足を落とすか皆が集まって議論がくがくとして,最後は喧嘩分かれになってしまって飛び上がれない事態になる。

インド北辺の水力は人類最後の挑戦であり,原子力開発や熱帯林保護と並んで,ポスト京都の重要テーマーの一つである。日本のJBICとJパワーは,この貴重な秘境に切り込んでいったが,刻々成果が上がっているのか,8月にはドラフトが出ることになっている。問題はこの意欲ある報告書を,日本企業が如何に有効に引き継ぐか,それが問題である。マスタープランはうまいがそのフォローが下手くそなのは,日本のコンサルタントの欠点である,そう思いませんか?


本文

●中国の石炭不足は,電力供給の危機に発展

この記事を書いた専門家が最後に結んだ言葉は,「中国の石炭不足は,世界経済の中で発展を続ける中国の経済成長を,この重要な時期に挫折させる可能性がある。」,であり,最近の海外からの経済展望の記事でも,中国の石炭不足が毎日のようにメディアを賑わせている。発電の80%を石炭が担っている中で,昨年の炭坑での犠牲者は4000人に上る,まさに戦争である。

昭和37年に私は木曽川の水力建設現場にいたが,炭坑事故が起こって,ラジオで時々刻々犠牲者の数を報じていた,400人に達したときに,思わず建設事務所の中にもうめきとも思われる声が流れたのを覚えている。当時は日本も大変だったのだ。幸い当時はようやく石油火力が立ち上がり始めて,昭和39年には火主水従となって,安い石油に救われ,未曾有の経済成長を遂げることになる。

世界で現時点,石炭の可採埋蔵量は98,457億トンと言われていて,石油が41年で枯渇するのに,石炭は192年,約200年といわれている。中国は,米国,ロシアに次いで3番目の石炭大国で,世界の可採埋蔵量の11.6%を有しており,これからしばらくは石炭に頼って経済成長を遂げねばならない。多くの炭坑犠牲者を出して,中小の炭坑が閉鎖に追い込まれた影響も大きいが,実は価格の問題もあると言われている。

記事の中にもあるが,石炭価格の値上がりで,火力発電所の生産原価はこの1月から80%の値上がりを来しているが,政府は電気料金の値上げを許さない。自由経済と社会主義経済のしのぎ合いである。発電所が代金を払わないために,石炭が供給されない現実もあるという。国家電網の報告では,全体的には備蓄量は後7日の線まで来ていて,14の省で1000万KWの不足,現実はその3倍だ,と言う話もある。

●インドは,パキスタンがインダス川の水を守る関心を理解している

インドが建設中で,2008年9月にも第1号機が動き始める,インダス川上流カシミールのバグリハールダムは,下流国パキスタンが,インダス川条約に違反している,として世界銀行に調停を求め,世界銀行が中立的なエンジニアーを現地に派遣して,設計の調整が行われたが,今回はパキスタン側が調査団を現地に派遣することにインドも同意し,和解的な会話が進んでいることを,パキスタン側が明らかにした。

この記事の注目点は,現在インドの南西部で起こっている異常な渇水で,既設水力発電所が大きく出力不足を起こしているのに対し,このインダス上流,インドの北辺,カシミール近辺では,上流ヒマラヤでの氷河湖決壊など,流出に変化が起こっている,と言うことだろう。

●インドの電力不足はこの3月までの1年で731億KWh不足

昨年会計年度,2007年4月から2008年3月までの検査結果を報告したもので,実際に供給された電力量は6531億KWhに対して需要は7262億KWhであり,そのギャップは731億KWhだというのである。需要に対して約10%の不足である。これをどうやって計算したのか分からないが,40%近い損失はどの様に計算されているのか。昨日,損失が1%減れば80万KW有効が増える,と言ったら,うるさい友人から,盗電は減っても有効にはならない,元々有効に使っていたものだから,と言われた。

インド政府には,2009年までにインド全人口に対して電力を供給する,と言う重大な公約がある。インドでは全体の56%,7800万世帯が電力供給の実現を待っているという。一方,2012年までに電力設備を2億KWまで増大させる計画であるが,今はまだその60%に過ぎない。何でもかんでもまず造ってしまう中国とは,また別の問題があるわけである。

●インド水力公社NHPC,この10年で9000億ルピー投入へ

インド北辺の水力開発は,人類にとって最後の挑戦,ポスト京都の重要な目玉,と扇ぎまくっているが,その主役は民間資金なのか,このNHPCなのか。NHPCは何かしらもう一つインパクトに欠ける動きであるが,第11次五カ年計画の中の水力開発の目標の35%に当たる580万KWを開発しNHPCの設備を100万KWにしたい,そのために9,000億ルピー,約230億ドルが必要,としている。

この目標を達成するためには株式上場を目指しているが,これが円滑に行っていない。記事の中で,円滑に行かない理由として,6人の役員が非公式に入っているから,と書かれている,何のことか分からないが,何か問題があるようだ。NHPCは現在,ヒマラヤのアルンチャルプラデッシュで,インド最大,200万KWのスバンシリ水力プロジェクトを推進中である。


参考資料

2008年7月31日分

パキスタン

●080731A Pakistan, The Post
インドは,パキスタンがインダス川の水を守る関心を理解している
Hydropower projects in IHK India to protect Pak interests Vohra
http://thepost.com.pk/MainNewsT.aspx?bdtl_id=11964&fb_id=2&catid=14

インド

●080731B India, Economic Times
インド水力公社NHPC,この10年で9000億ルピー投入へ
NHPC lines up Rs 90k crore investment in next 10 years
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NHPC_lines_up_Rs_90k_crore_investment_in_next_10_years/articleshow/3305460.cms
●080731C India, Economic Times
インドの電力不足はこの3月までの1年で731億KWh不足
India has power shortage of 73,050 million units
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_has_power_shortage_of_73050_million_units/articleshow/3304871.cms

中国

●080731D China, Business Times Online
中国の石炭不足は,電力供給の危機に発展
Coal shortage brings fear of electricity crisis in China
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/industry_sectors/natural_resources/article4425801.ece


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月30日分 ー日本人は全部医者になる

「日本人は全部医者になる」,WTOの決裂が何を意味するのか,私もよく分からないが,国際的な開発問題に関心を持つ我々このメルマガの筆者や読者は,自分たちなりにその意味を考えておかなければならない重要な世界の動きだと思う。相変わらずの速読で,その辺のニュースを読みまくって見たが,決裂の衝撃場面だけが記事になっていて,自分で分かった,と言うところまで行かない。

いつもそうだが,この曲線をずっと追いつめて行くとどこに行くのか,と考えることがある。ダムの高さをどんどん上げて行くとどこまで行くのか,とんでもないところまで計算している私を見ていた同僚は,そこまでダムの高さを上げるのは非現実的,とよく言っていたが,私はダムの仮想最大高さを求めていたので,何もそこまでダムを造ろうとは思っていなかった。でも仮想極限の高さが分かると,適切なダムの位置づけが明確になる,と私は考えるのである。

WTOの問題であるが,今の国際的な議論は曲線の全く滑り出しの段階で,どこに行き着くのかなど余り書かれていないが,ある記事では関税の完全撤廃の行き着く先は,完全な世界分業体制で,それが人類の生産形態の極限なのだ,と言う一説を見て,すこし納得したのである。交渉している本人達はその様なことまで考えているかどうか,でも世界のどこかで超人的なこの発想でWTOを動かしている人がいるに違いない。

はっきり言うといろいろ怒る人が出てきて,また小沢さんの悪口を書いたときのように,読者が減るかも知れないと懸念する,先日も電力会社を批判したコメントを書いたら読者が減った。しかし,WTOを発想した人は,自分の自動車が売れるように,なんてけちな考えで発想したわけではなかろう。極端に言うならば,WTOを発想した人は,日本人が米など作る必要ない,と言っているのである。

関税を全く取り払った極限状態が,地球の人類がもっとも効率的に生産活動を行う状態である,と言うことだろう。大阪の町の中を考えてみればよい。皆が野菜を作ったり棺桶を造ったりしているわけではない。野菜を作る人は北摂の山の麓で野菜を作って大阪や茨木のスーパーに持ち込み,余ったものは見山の郷で,車で来る人に売っている。その人達は誰かが亡くなったら,棺桶やさんに頼んで棺桶を作ってもらうのである。自分たちでは造らない。北摂の野菜は農薬を作っているから,自分の庭でほうれん草を作って食べよう,と言う人は,大阪近辺にはあまりいないだろう。

おそらく,関税を全く撤廃した極限状態を考えると,日本では誰も米など作らないだろう。一生懸命コンピューターを全日本国民が造っているか,或いは教育設備の整った日本が,日本人全員が医者となって,世界各地の病院で働くなど,世界経済の生産額を最大にするような,動きになるであろう。それがWTOなので,その極限状態の大きなカーブの中のほんの端っこで,多くの世界の外交官が議論し,決裂してきたのだ。皆さん,どう思いますか,賛成してくれますか?


本文

●インド,州の配電部門改革,中央政府の計画は未達

しばらく触れていなかったが,インドの電力不足の一因は,40%に近い送配電損失にある。一度JICAの会議で,インドネシアの配電損失はどのぐらいですか,と聞かれて,いや,最近はインドの損失ばかり見ているので,インドネシアの損失が少しも多いとは思わない,と言ったことがあった。それほどインドの損失電力は大きい。それも盗電が多くの部分を占めている。

インド中央政府は,電力改革の重要な一貫として,損失の軽減を上げ,電力開発改革加速計画APDRDを立ち上げ,州政府に対する効率改善のための資金援助を行ってきた。これは2012年までに損失を15%に押さえるという目標を持っている。このためのプロジェクトに対してその25%をローンとして支援すると言うものだが,一向に進まない効率改善に関して,APDRD2としてこれらのローンを無償に切り替えて支援するという案が浮上していた。

昨日は,財務大臣,計画委員会,電力大臣の会議が開かれ,このAPDRP-II 案に関して協議が行われたが,その実効性に疑問を示す財務大臣はこれに反対し,結論が得られなかった。第11次五カ年計画中に,全国民に電気を供給する,という中央政府の基本政策にも影響を与えかねない協議の結果である。

インドでは,損失が1%軽減すると,80万KWの有効な電力が生まれるという。電力不足の厳しい状況の中で,第11次五カ年計画,2012年までに約8000万KWの電源を拡充する,としているが,30〜40%の損失をそのままにしておくわけにはいかないのである。しかも,大部分を石炭火力に依存するインドでは,地球温暖化の立場からも,何としてでもこの損失問題を解決しなければならない。

●インドネシア,経済調整相ムラヤニ女史,PLNの地域への電源対応は遅すぎると

このムラヤニ経済調整相,何かで頭に来たようである。北部スラウエシの州都マナドで,政府の建物を建て,その開所式に出席しようとしたところ,その建物に電気が来ないので,開所式を数ヶ月延期してくれ,と言われて,PLNに噛みついたわけである。彼女は,マナドさへ電気がないのに,一帯この地域の田舎ではどうなっているのか,と叫んでいる。1000万KWのクラッシュプログラムを推進している重要閣僚のムラヤニさんは,この開所式延期で,全く頭に来たようである。

実は私も20数年ぶりに,スラウエシやスマトラを訪問したとき,あのジャカルタの発展に比べて,これらの離島の経済状況は全く変化していないではないか,と強く感じたことがある。特に電力である。ジャワ島の電力不足は常にニュースになって多くの人の関心を集め,クラッシュプログラムなどの大きなお金が注ぎ込まれているが,スラウエシやスマトラの厳しい電力不足の状況は最悪である。JICAー中部電力は,数年前にスマトラのマスタープランを入れたが,そのケアーが出来ているのか。もっとも最近のスマトラは,中国勢に暴れ回られているが。

●タイの大規模国家プロジェクト,現場説明開催へ

私から,アジア開発4人男の一人,に指名されたタイのサマック首相が,政治的危機に立っている。彼は私と同年の1935年生まれで,私のHPにある1976年当時の私のビルマ滞在中に,彼は陸軍大尉として,当時の軍のクーデターを仕掛けたという,その時,ビルマの兵隊さんに守られてシッタン河の上流で山の中を駆け回っていた私とは大違いである。

今は,連立相手の党に去られ,カンボジアとの国境問題に揺られ,何人かの閣僚に去られて,元気がないが,ここで一芝居打つ彼のツールはやはり開発である。市内交通問題,水資源問題,教育問題,保険医療問題,空港問題,インターネットなど多岐に亘るが,各国大使を招いてのロードショウ,現場説明が彼を政治的に救えるかどうか,関心のあるところである。


その他

●ベトナム北部ナムチエン水力,インドBHEL機器受け入れ
●フィリッピン,マニラ配電と政府保険機構の争い,裁判所が判定に難色


参考資料

2008年7月30日分

ベトナム

●080730A Vietnam,
ベトナム北部ナムチエン水力,インドBHEL機器受け入れ
Nam Chien signs $46 million contract with India’s BHEL
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=03BUS290708

タイ

●080730B Thailand, Bangkok Post
タイの大規模国家プロジェクト,現場説明開催へ
Megaprojects roadshow focus
http://www.bangkokpost.net/300708_Business/30Jul2008_biz31.php

フィリッピン

●080730C Philippines, Manila Bulletin
マニラ配電と政府保険機構の争い,裁判所が判定に難色
Ruling on Meralco vs SEC TRO
http://www.mb.com.ph/BSNS20080730131103.html

インド

●080730D India, Economic Times
州の配電部門改革,中央政府の計画は未達
Power distribution reforms off for now
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power_distribution_reforms_off_for_now/articleshow/3303560.cms

インドネシア

●080730E Indonesia, The Jakarta Post
経済調整相スリ女史,PLNの地域への電源対応は遅すぎると
PLN's response to regions' power need too slow Minister
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/29/pln039s-response-regions039-power-need-too-slow-minister.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月30日分 ーバブル崩壊かバルブ崩壊か

「バブル崩壊かバルブ崩壊か」,どちらでもよいではないか,と思っていたら,昨日の私の記事でいつもうるさい友人からチェックが入った,TK戦でなくてPK戦ですよ,念のためTK戦とは何かグーグルで引いたら私のHPが出てきたとか,全く笑い話である。サドンレスでなくてサドンデスだと言われて,そんなことないだろう,一瞬にして失うからサドンレスだろう,と言ったが,どうも私に無理があったのかな。バルブで一生懸命経済をコントロールしたのに,そのバルブが経済の水圧で吹っ飛んで一気に水が流れ出し経済が崩壊した,と弁明したが,駄目だった。

野球のタイブレーク方式で,飛田穂州の「野球道」の書物の話をしていて,つい懐かしくなった。戦争が終わったときに小学校4年生の私は,田舎の学校で野球なるものを始めたが,ゴルフと一緒で下手だったが好きだった。おばあさんが,ミットを布で作ってくれたのでやっとキャッチャーをやらせてくれたが,夜遅くまで野球に打ち込んだ。田舎の学校の前の寂れた町一軒だけの本屋さんの本棚,片隅にその「野球道」という本があった。今でも,表紙に旧制第一高等学校の色あせた野球部の写真が載っていたのを覚えている。人間って本当に60数年前の一瞬の自分の姿を鮮明に覚えている,と言うことに,不思議な感覚を覚えた。本棚の高さ,土間の土の感覚,外のほこりっぽい通り,従って本棚も埃を被っていた,すべて鮮明だ。

余り開発と関係ない話だが,やはり新入社員の時の,あの6人の命を飲み込んだ大きな地滑りは,目の前にくっきりと覚えている。

WTO決裂は,これからの世界の開発問題にも,ある示唆を与えるものだろう。全く世界経済から取り残されていたインドと中国が,世界の交渉の舞台でも大きな役割を果たす,もう避けて通れない現実だ。しかし,中国もインドも,今日の記事にあるように,非常に基本的なエネルギー問題,電力不足という根深い問題を抱えて戦っている。中国は石炭の輸送と価格の問題,インドは今のところ発電設備の不足,と解釈されている。


本文

●中国の電力分析,構造的な問題点の兆候在り

ロイターの分析である。大体我々が指摘している範囲の問題だが,しかしこれらの問題は構造的で,そう簡単には解決の方向に向かうことは困難だろう,と言っている。2004年当時は,発電設備が足りない,と言うことで発電所建設の大ブームを迎えたわけで,各省が中央政府の意向に反してでも発電所を造り続けた。

あの当時に我々は,私自身は海外電力調査会にいたが,その場で,発電所の設備能力が経済に比べて大きすぎる,と言い始めた。お金が在れば発電所は幾らでも造れるが,問題は燃料の確保だ,と言い続けてきた。私のHPにもその頃の主張が残っている。そうして中国政府は発電所の建設にブレーキをかけ,老朽発電所の廃止に踏み切り,更に突っ込んで,事故災害に悩む中小炭坑の休止を大幅に実施した。

このときに襲ってきたのが昨年冬の中南部の大豪雪である。この記事でもこの問題を取り上げている。夏のピークに悩み始めていた中国が,一気に冬のピークの電力危機に襲われたのである。このときの設備の損害もあるが,記事が問題にしているのは,冬の燃料の輸送問題であり,中小炭坑の閉鎖と相まって,石炭不足が大きな問題としてクローズアップされた,これは一時的な事故ではなくて,長期的な問題だと論じている。これからの中国の冬の電力需給問題に注目が必要としている。

更に追い打ちをかけているのは,急増する発電用石炭の需要の伸びと国内石炭価格の高騰である。毎年石炭需要が2億トンのオーダーで伸びているが,これはインドネシア一国の年間使用量に匹敵するというのだ。価格の高騰が生んだ矛盾の中には,政府が抑制する電気料金とのギャップがあって,電力会社の石炭代の支払い遅れが,石炭供給を渋る行動となってきており,石炭供給不足に拍車をかけている。

特にこの記事のポイントは,石炭価格を規制しようという動き,即ち社会主義国家の根幹である価格コントロールから解き放たれた石炭と,依然として政府の価格コントロール下にある電気料金システムの矛盾だというのである。これは単なる電気料金と電力供給の簡単な公式の問題ではなくて,社会主義国家が資本主義に移行する時の基本的な問題に根ざしていると。ロイターの中国経済への見方は,深く厳しい。


●フィリッピンに於けるオイル高騰の衝撃

これもワシントンポストの,フィリッピンのエネルギー問題に対する厳しい見方である。フィリッピンは余りにも輸入石油に依存しすぎた,と言う根本問題を記事の中心に据えている。国民の人気が低迷していたアロヨ政権に対して,今回の原油高騰はその追い打ちとなり,明日,アロヨ大統領は,国民に対して直接呼びかけることになっており,その主題は原油価格動向関連だという。

一つは,アロヨ大統領が今フィリッピンで話題の付加価値税で,石油関連の付加価値税反対の議会などの意見を取り合わず,徴税を強行していることに問題があり,としている。このワシントンポストは,最後に次の言葉で締めくくっている,曰く,「どこの国でもそうだが,アロヨ大統領がやっているようなイージーな税取り立てに狂奔せず,もっとエネルギーの基本を見つめるのが,眞の政治家と言うものだ。」。

●アロヨ大統領,再生可能エネルギーなど8重要法案を議会要請

このマニラブリテンの記事が,アロヨ大統領のエネルギー大演説なのであろうか。彼女は重点項目を8つ上げて,エネルギー問題から目をそらしているように見える。エネルギーについては,再生可能エネルギー開発を言うしか彼女には論点がないようだ。8つとは,農業改革5年延長,西ビサヤ台風被害の救済,ミンダナオの和平で政治改革,住居建設補助の拡充,消費者保護法案,汚職の徹底防止,再生可能エネルギー開発,包括電気事業法改正,などである。

国産エネルギー開発は順調にいっており,エネルギー自給率は56%に達している,と言っているが,ある地域である瞬間風速を捉えたもの,と言う表現をしている。更に,電力規制委委員会に対して,電力料金を下げろ,と命令し,消費者を守るために,電気事業法を改正するのだ,としている。問題はこの改正によって海外資本の電力への投資意欲が注がれるところに,フィリッピンの近未来の危機がある。

●インド政府,火力発電所補修を中止して発電続行要請

電力危機のインド。日本などの温暖地域では,春と秋に電力ピークが小さくなるので,その時を狙って火力発電所の補修が行われる。この記事にもあるが,通常の年定期検査で10日,設備改善で50日から60日間,火力発電所止めることになる。インドのような熱帯地域では,水力発電所がフル稼働する雨期を狙って火力補修が行われるという。

ところが,今年のインドは,中央政府が,火力補修を延期するよう指示を出して大騒ぎになっている。今年は雨が降らず,特に西南部の諸州で軒並み貯水池の水位が下がり,水力発電所が出力低下を起こして,恒常的な電力不足に更に拍車がかかっている,そこでこの補修中止要請となったわけだが,29,394MWの火力発電所を有するNTPCなどからは,補修を延期した付けは必ず来るだろう,と警告している。

インドの水力設備は32,326MWあり,更に2012年までに16,501MWの新規開発が行われる。しかし多くの水力プロジェクトが政府の認可待ちの状態にある。この記事から察すると,この記事は出来るだけ多く水力発電所設備を作って,水不足分を補う,ようなニュアンスがあるが,すこしおかしいなあ,と思っている。


本文

2008年7月29日分

フィリッピン

●080729A Philippines, newsweek.washingtonpost
フィリッピンに於けるオイル高騰の衝撃
Oil Shock in the Philippines
http://newsweek.washingtonpost.com/postglobal/energywire/2008/07/oil_shock_in_the_philippines.html
●080729B Philippines, Manila Bulletin
アロヨ大統領,再生可能エネルギーなど8重要法案を議会要請
8 priority measures pushed
http://www.mb.com.ph/MAIN20080729131026.html

インド

●080729C India, livemint.
インド政府,火力発電所補修を中止して発電続行要請
Govt to power cos don’t close thermal plants for repairs
http://www.livemint.com/2008/07/29001233/Govt-to-power-cos-don8217t.html

中国

●080729D China, Reuters
中国の電力分析,構造的な問題点の兆候在り
ANALYSIS-China power crisis symptom of deep structural woes
http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKPEK1818320080729


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月28日分 ー電力29年ぶりの赤字決算

「電力29年ぶりの赤字決算」,と言う大きなタイトルが新聞を飾った,関係者は心穏やかでないと思うが,関電森社長の,「外圧だ」,の言葉に思い出すところ多々あり,それは,竹中さんや現任の太田さんが記者会見するときは,「これは外圧だ」,と説明するときの何となくホッとしたような表情に似通う森社長の記者会見であった。

私は大体,質の高い電力で生活をエンジョイしている日本の国民の支持の元で,世界一高い料金が容認されている,という考え方で,高い料金を容認している国民の一人である。特に,インドネシアやフィリッピン,その他の国での生活を経験していると,何の心配もなく電気を使い,早いネットを使いながらこうして情報社会で落ちついている自分を,やはり安定した安心の世界だと思っている。

それでも,電力会社はキチンと会社を運営していてくれると思うから,よけいに高い電気料金に無関心になるわけだが,「電力会社が赤字」,と言われると,ちょっと待ってくれ,とふと後ろを振り返る気持ちになる。日本の電力が赤字なら,他のアジアの国々の電力会社はどうなるのかと。最近,フィリッピンの電気料金を分析する機会があったが,やはりフィリッピンは高い,それでも経営がいろいろと問題となっている。

この日本の電力料金で電力会社が赤字になるのなら,ちょっと見せてくれ,どこがどうなっているのか,と言う人たちが増えてくるだろう。世界の電力を見ている私にしても,ちょっと分析したい気持ちが沸いてくる。おそらく情報は十分に公開されていると思うが,その安定した電力供給が故に地域独占を許されている電力も,赤字が問題になるなら,フィリッピンみたいに電力制度の改革が再び問題になってくるだろう。

別の話だが,「野球のタイブレーク方式採用」,で星野監督の機嫌が悪い。延長になって11回からは各回とも無死走者一二塁の状態から開始するという。これはやはり武士道に引っかかりますね。飛田穂州の「野球道」と言う本に魅せられた私たちは,野球は武士道,と考えていたから,最後まで戦う,としないタイブレーク方式は,日本人には受け入れられないだろう。

今までも,サッカーのTK戦に大きな疑問を持っていた。TK戦で勝負がつくのならば最初からTK戦でやればよいではないか,何とサッカーは軟弱なのだ,と思うし,バレーで5セット目は15ポイントまでしか戦わない,これも気に入らない,それなら最初から15ポイントで戦えばよいではないか,と思ってしまう。ゴルフのサドンレスは何となく死闘と言う感じがでるが,TK戦は受け入れられない,いつかそのうち,ジャンケンで決めよう,と言うことになるのではないかと心配している,全く軟弱である。


本文

●フィリッピン国会,エネルギーなど87重要法案審議へ

フィリッピン国会がここで奮起して87の重要法案に取りかかったのは二つのきっかけだ。一つは,いつまで経っても解決しないミンダナオ問題であり,もう一つは,電気料金が高い高いと言われながら,外圧によるエネルギー価格の高騰に敏感な国内のエネルギー問題に対する風当たりであろう。

フィリッピンに於けるミンダナオ問題は,まさに政治のアキレス腱である。フィリッピンの人口分布を見ると分かるが,全人口8000万人のうち実に2000万人の人がミンダナオに住んでいる,この島を治めずによく近代国家の仲間入りが出来るものだと思う。先日もモロイスラム戦線MILFと和平会談が決裂していたが,今朝のニュースでは,再び交渉の席に着いたという。議論されているわけだが,

エネルギー問題,これはまさしくエネルギー資源の問題で,国内資源開発が記事の基本となっている。即ち,風力,太陽光,海洋,水力,地熱,バイオとおきまりの文句が続くが,果たして本気でやろうとしているのか,疑いを持つ。

フィリッピンというのは,エネルギー資源の面からは,日本,台湾,スリランカ,カンボジアの分類に入ってくる。未開発の段階では小規模石油炊きから大規模輸入石炭火力に切り替え,そうして原子力へと進んで行く道を選ばざるを得ない国々なのである。

●インド,国内の水力発電所,出力が急激に低下

インドのデカン高原を東に流れる川,これらの川の渇水の悲惨さを目の当たりにしたことがある。何百億とかけたダムが空っぽで,そこで働いている人々の心は,更に川より悲惨である。もう過去の水量の実績など全く信頼できない,それほどインドの南西部の渇水はひどいものである。この地域を中心に27の水力発電所の出力が軒並み落ちているという。

特に問題となっているのは,マディアプラデッシュのインディラサガール貯水池,ケララ州のサバギリ貯水池,オリッサ州のバリメラとインドラバティの二つの貯水池だという。これに比べて,北の国境付近では,豊富なヒマラヤの雪解け水の影響で,比較的安定を保っている。この意味からも,今後のインド北辺,特にブータン,ネパールを入れての水力開発には,大きな期待が持てる。

その他

●カンボジアの総選挙,再びフンセンを首相の座に


本文

フィリッピン

●080728A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン国会,エネルギーなど87重要法案審議へ
House vows to pass 87 measures of nat’l importance
http://www.mb.com.ph/MAIN20080728130962.html

インド

●080728B India, thehindubusinessline
国内の水力発電所,出力が急激に低下
Hydel power output likely to fall sharply
http://www.thehindubusinessline.com/2008/07/28/stories/2008072851630100.htm

カンボジア

●080728C Cambodia, bangkokpost
カンボジアの総選挙,再びフンセンを首相の座に
Cambodia to re-elect Hun Sen in Sunday polls
http://www.bangkokpost.com/breaking_news/breakingnews.php?id=129093


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月27日分 ー政権は大砲打っても離さない

「政権は大砲打っても離さない」,カンボジアのフンセン首相を見ていると,まるでだだっ子のような政権執着で,1997年のラナリット殿下のクーデターの噂のあったときのあの行動が,いつも頭をよぎる。カンボジアは,日本を初めとする国際社会に助けられて平和を保ち,民主主義を何とか形だけでも保たれているのが現状であるが,現政権は,危機に陥るともう国際社会のことなど忘れて大砲をぶっ放す。

フンセン首相も,自分が首相にならなければ国が潰れる,と考えているのだろうし,国民も彼が政権を取らなければ大変な混乱が待ちかまえている,と言うことをよく知っているから,どんどん迷うことなく彼の人民党に投票して行く,今回も圧倒的な勝利が予測されている。1993年か,最初の選挙で負けたフンセンだが,行政も軍隊も彼の手の中にあったので,多数派の党もどうしようもなく,フンセンを首相に選んだ。

我々も,フンセンの安定政権がカンボジアの開発にとって有効だと言うことを知っている。政権が彼の手から離れると,プロジェクトがどこに行ってしまうか分からない状況だ。ココンに石炭火力を造ってはどうか,と言うときも,我々はフンセン首相から,石炭火力で悩んでいた当時のタイのタクシン首相への贈り物,という形を提案したが,タクシンは倒れ,フンセンはいつまでも生き残っている。

彼は,ベトナム軍の占領時代も入れて,既に23年間に亘って政権の座にあり,国王は変わっても彼は変わらない。独裁政権ならそれでもよいが,民主主義政治を標榜するカンボジアでは,問題は彼が政権の座につけなかったときのどうなるのか,プロジェクトを進める人も一抹の不安を抱えながら,仕事をしていることだろう。

まあ,でも,シハヌーク国王がいなくなったらどうなるか,と多くの人が心配してきたが,それもカンボジアは簡単に克服したので,ポストフンセンでも何とか動くのか。でも,フンセンの後継者の名前を耳にしたことはない。


本文

●カンボジアの選挙,日曜日,フンセン選出へ

カンボジアも4回目の総選挙を終えて,外見上は民主主義政治が根付き始めたように見える。1991年の最初の選挙の結果を覚えているが,最大多数とならなかったフンセンの人民党を無理矢理に政権党にしてしまった,と言うかそうしなければ再び国が壊れてしまう可能性があった。1985年に選挙で政権についたはフンセン,と書いてあるが,これはまだポルポトとの抗争中で,ベトナムによって造られた傀儡政権の時の話か。

1997年には,クーデターを起こしそうになったフンシンペックのラナリットを大砲で脅かして押さえ込んだ。国民もフンセンでなければ何は起こるか分からないと言うことをよく知っていて,フンセンを勝たせるように持って行く。賢い国民である。全議席123のうち現在は73議席をフンセンが持っているが,今朝のニュースでは,既に63議席を獲得しているという。カンボジアの政治はなおしばらく安定か。

●インド,ウッタラカンド州,水力の民間開発政策に踏み切る

ウッタラカンド州というのはなかなか見つからない,ウッタランチャルが2000年に名前をウッタラカンドに変えたからのようだ。ここでは長い間,18カ所ある総計500MWの水力発電所を,民間資本に売り渡してよいかどうか,州政府側と州議会の間で紛争が続いてきたようだ。ここに来て,これらの発電所を民間資本に売り渡す,と言う州政府の決定が,州首相の口から宣言された。

考えてみればこの話は,10年以上も前に,デリーのレストランで聞いたことがある。日本政府として電力分野で何か出来ることはないか,と探していたときに,北の方に古くなって故障の多い水力発電所が沢山ある,元はと言えば日本の機械が入っていたので,これらを総合してリハビリし,再生させる計画はどうだろうか,と話を持ち込まれたことがある。余り気乗りがしなかったが,それが今,リハビリ込みで民間に売り出す,と言うフィリッピンの電力資産売却のような話になってきているのか。

●パキスタン政府,水力開発のために220億ドル準備

電力不足の悩むパキスタンは,大規模水力電源を開発すれば問題は解決する,と政府側は言う。それがすべて大規模なダム工事を伴い,開発が容易でない。今回も220億ドルをこれらの開発に引き当てる,と宣言しているが,どこにお金があるのか,全く書かれていない。パキスタンでは最近はこの話ばかりで,一向に前に進まない。やはり中国に大々的に出てきて貰わねば解決しないようだ。


参考資料

2008年7月27日分

パキスタン

●080727A Pakistan, The Post
パキスタン政府,水力開発のために220億ドル準備
$22b allocated for hydropower projects
http://thepost.com.pk/IsbNewsT.aspx?dtlid=174511&catid=17

インド

●080727B India, business-standard
ウッタラカンド州,水力の民間開発政策に踏み切る
Uttarakhand to set sold hydro projects` tariffs, says Khanduri
http://www.business-standard.com/common/news_article.php?leftnm=lmnu2&subLeft=1&autono=329559&tab=r

カンボジア

●080727C Cambodia, bangkokpost
カンボジアの選挙,日曜日,フンセン選出へ
Cambodia to re-elect Hun Sen in Sunday polls
http://www.bangkokpost.com/breaking_news/breakingnews.php?id=129093



ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月25日分 ー給料は1万円ガソリンは30円

「給料は1万円ガソリンは30円」,我々の大学卒業,新入社員時代の経済状況を示す記憶に残る数字である。あの原油価格の低い時代に,ずいぶんとガソリンが高かったな,と言う印象だが,インフレというものは一般には経済計算上無視してしかるべきもののはずである,何もが一様に上がって行くという前提ではあるが。全体的に見ればよいが,局部的な動きを見ると矛盾が目立つ。

今日の記事にあるラオスの水力の建設費高騰によるタイの電力公社EGATの買電交渉破棄は,関係者にとってはショックが大きいと思う,ずいぶんとお金をかけてきたのであるから。EGAT総裁の言葉の中に,電気料金で対処してでも買うべきと思うが,国内の発電所の売電単価より高くなるようではどうしようもない,と言うのがある。

これは,国内のIPP火力や,Jパワーの,「石炭火力は中国企業に任す」,という方針転換の結果,日本企業の手から離れたカンボジアの720万KWココン石炭火力プロジェクト,2016年投入,が総裁の頭の中にある。目の前のインフレは簡単に頭の中に入るが,将来の長期に渡るインフレを計算の中に入れることは難しいことだが,今回のEGATの難しい判断の中には,この問題が含まれている。

私は,EGATの今日の決断に対して反論すべきではないと思うが,このラオスの水力の交渉破棄の問題の中には,経営者としての大きな問題が含まれていると思う。ココン石炭火力の将来のインフレ問題はまだ見えていない,しかしラオスのナムニエップについては,既に現実に大きなインフレの波を被って身動きできなくなっている。おそらく2014年,このままナムテン1水力が完成していたら,ソンバット総裁のその時の評価は,計り知れないものがあるだろう。



本文

●ラオスの水力建設費高騰,EGATが買電できず

先日も書いたが,私も2007年末から半年の間の物価高騰,それを日経の資材別に見てみて,半年間で30%のプロジェクト工事費が上がったかな,と見ていた。それに,日本などのジェネコンや重電メーカーがまさしくアジから一散に逃げ出している,そこには,もう通常のプロジェクトの工事費を公正に見積もっているような雰囲気にない。特に最近はターンキー契約が増えてきて,工事中将来の責任が持てなくなってきたこともある。

ラオスの4つのプロジェクト,ナムテン1,ナムグム3,ナムニエップ,ナムウーの各水力地点については,先日も,買い手方のEGATが,売電単価を上げようと努力している,という記事が出ていたが,ここに来てEGATは,さすがにタイ国内プロジェクトとの比較から,この4つの水力プロジェクトについて,買電契約を破棄した,ショックである。球はラオス側に投げ返された訳である。

この代替として浮かび上がってきたのが,皮肉にも,我々が以前より主唱してきたカンボジアのココン石炭火力720万KWである。このプロジェクトは,Jパワーの,石炭火力は中国に任せよう,と言う方針転換の結果,日本企業の手を離れてしまった残念なプロジェクトであるが,ただ私は,インフレによる工事費値上がりと言うことに関して,EGATは分析が足りないのでは,と感じている。

●インドネシア国会,原油価格で,エネルギー首脳喚問へ

先日は,プルノモ・エネルギー大臣による,原油ガストップの首のすげ替え,という強攻策が打たれたところであるが,この原油問題の先行きについてはまだまだ灯が消えるどころか,更に燃え上がって来た。遂に国会が責任者の喚問に踏み切ったのである。プルノモ大臣やプルタミナ総裁のアリ氏を初め,喚問される責任者のリストアップが続けられているという。

この問題には,行政運用のまずさばかりでなく,汚職絡みの噂もあり,インドネシア政界を揺すっている。原油関係の輸出や国内消費の問題で,総額1200兆ルピー,131億ドル相当が闇と消えてしまって,今でも毎年21億ドル相当の費用が使途不明という。

●中国の電力用石炭,いよいよその曲がり角に

中国国内紙が,石炭値上がりと電力会社の経営の深刻さについて記事にした。今回,電気料金の値上げに踏み切ったばかりの発改委自身が,これでは電力企業が持たないであろう,と言い始めている。前回の電気料金の値上げは4%程度と言われているが,今日の記事では,発電用石炭の国内主要港積み出し価格が,トン当たり1000元と言われており,これはトン146ドルに匹敵する。


参考資料

2008年7月25日分

ラオス

●080725A Laos, The Nation
ラオスの水力建設費高騰,EGATが買電できず
Delays force Egat to cancel laos electricity deals
http://nationmultimedia.com/2008/07/25/headlines/headlines_30078961.php

インドネシア

●080725B Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア国会,原油価格で,エネルギー首脳喚問へ
Commitee to summon energy execs in fuel price inquiry
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/24/commitee-summon-energy-execs-fuel-price-inquiry.html

中国

●080725C China, China Daily
中国の電力,いよいよその曲がり角に
More curbs on coal for electricityBy Wan Zhihong (China Daily)
http://www.chinadaily.com.cn/china/2008-07/25/content_6876587.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月24日分 ーインドの重電は日本と組むべき

「インドの重電は日本と組むべき」,インドと中国は,少なくとも民間の企業活動ではなかなか溶け込まないのかと思っていた。事実インドは,その北辺に中国企業が入ってくるのを,国境問題と重ね合わせて悪夢と見ており,インドの政府要人は,北辺の開発が問題になるときはいつも,中国のブルドーザーを戦車と見間違える夢に悩ませられるという。

北辺の問題だけかと思っていると,中国はパラシュート部隊よろしく,インドの電力分野の中心である石炭火力にまで深い楔を打ち込んできた,インドの弱点に目を付けたわけである。最近のインドの電力不足の一つの原因は,国営企業としての重電メーカーBHELの機器生産能力が,政府の考える第11次五カ年計画,約8,000万KW新規開発に全くついて来れないことが問題化してきた。

これに焦ったのは政府ばかりでなく,民間投資を進めるインドの財閥で,リライアンスは,大規模石炭火力を次々と落札するも,BHELの機器生産能力が危ないことに気がつき,遂に中国の上海電気を巻き込んだのである。国営企業のBHELとしては見過ごせない中国企業のインド中央への進出であり,このリライアンスの動きは,国内で議論を呼ぶことだろう。

先日は,国営企業BHELが,石炭火力の効率向上を目指して超臨界ボイラーの製作に取り組み始めたところであるが,この技術は元々日本の売り込みに端を発している。インドの石炭火力の効率化は,ポスト京都を睨んで,国際政治のトップの命題にまで浮かび上がってきている。リライアンスと上海電気の提携の向こうには,当然,BHELと日本企業の提携が見えてもおかしくない。


本文

●パキスタン,日本のコジマ大使,日本の電力セクターへの参入を示唆

急にパキスタンで日本の名前が出てきた。17人の日本企業の代表がイスラマバードを訪れ,日本のコジマ大使に引率されて,パキスタン政府のアシュラフ水資源電力大臣と会見し,大使自ら,日本の民間資本の,パキスタン電力セクター,特に水力発電プロジェクトへの参加,その強い意欲を伝えた,と言うことになっている。日本のニュースでどこかにでていないか調べたが,全容はつかめなかった。

大臣の口からは,この7月28,29日でワシントンで,パキスタンの電力セクターのフォーラムが開催されるので,日本からも是非出席して下さい,と言う言葉と共に,パキスタン政府は今後,5年〜10年の間に,電力セクターで180億ドルの資金を必要としていること,また日本企業に対しては,是非,バシャダム計画への参加を要望している,と発言があったようだ。

インド,パキスタン,ネパール,ブータンの水力開発,これからポスト京都の目玉となる地域であるが,それに対する日本企業の働きかけは少ない。現在Jパワーが,JBICの元,インド北辺の水力調査を行っていると思われ,更に,ネパールについては,古くから日本工営や新しくはJパワーの活躍を見てきている。パキスタンの電力分野に日本企業が入るのは,余り眼にしていない,ムンダ多目的ダムの日本工営ぐらいか。

●インド,中国企業,リライアンスと機器製作で提携の可能性

インドは,特に電力分野において,中国企業の参入を容易に許さないのかと思ってきた,中国も遠慮しているのかと思ってきた。今日の二つの記事を見て,以外に大規模に,中国企業が進出しているのに驚いた。特にこの記事の,電力機器製作分野への,大規模な参入には驚いた。インドは,BHELという国営の重電メーカーが,一手にその火力分野での機器製作を引き受けてきたが,最近その生産能力が,国の電源開発計画に追いついていけない現状が問題になり,電力不足の一因とまで言われてきた。

タタと張り合うリライアンス電力,70億ドル規模の重電協力を,上海電気と進めるという。現在,インドの重電の機器生産能力は3500万KWと見られているが,ヤムナナガールの大規模石炭火力計画を進めるリライアンスは,上海電気と組んで,年間生産規模1000万KWクラスの協力を行うという。

これなんかどうなのだろう,今後のインドの石炭火力には,厳しくその効率化が求められており,BHELなどは超臨界ボイラーへの挑戦を明言している。ただ安いだけの中国のボイラー技術もさることながら,ポスト京都に後押しされる日本メーカーの,更なる参入の余地はないのであろうか。それにしても,最近の日本のメーカーやコントラクターの意欲の減退が目立つが,皆中東に飛んでしまっているのであろうか。

●インド,中国企業,ハリアナ州で132万KW発電プロジェクトを視野に

ここでも,中国企業のインド進出の記事である。ハリアナ州と言うのは,ニューデリーに北接した州で,そのホーダ州政府首相が,今回の中国電灯電力社の,民間投資を明らかにした。彼によればこれは一般競争入札で,この中国企業が落札したものであるという。地点は,ジャジャールの132万KW石炭火力で,落札の売電単価はKWh当たり2.996ルピー,7.12セント相当だという。結構高い値段である。

この中国電灯電力社は,100年の歴史を持っており,既に,オーストラリア,中国国内,タイ,台湾,インドなどで,石炭火力にとどまらず,原子力,ガス火力,風力まで手を伸ばし,1300万KW程度までの開発を行った実績があるという。

●インドネシア,プルタミナ,精製工場修理で,石油輸入を増量へ

ベトナムなどは,石油精製工場がなかなか出来なくて苦慮しているが,さすが歴史的な産油国,インドネシアだけあって,全国で6カ所の精製工場を持ち,日量65,200バレルの精製能力を持っているようだ。今日のニュースは,このうちのチラチャップ精製工場が修理に入り,国内使用に不足を来して,約日量300,000バレル程度の輸入に踏み切ったという。ここは,プルタミナの唯一の精製工場である。アスファルトの生産が大きいという。


参考資料

2008年7月24日分

パキスタン

●080724A Pakistan, Daily Times
日本のコジマ大使,日本の電力セクターへの参入を示唆
Japan offers investment in water, power sector
http://dailymailnews.com/200807/24/news/dmcitypage04.html

インド

●080724B India, Economic Times
中国企業,リライアンスと機器製作で提携の可能性
Chinese company to power RPL equipment plan
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Chinese_company_to_power_RPL_equipment_plan/articleshow/3272010.cms
●080724C India, Economic Times
中国企業,ハリアナ州で132万KW発電プロジェクトを視野に
China Light and Power to develop 1320 MW project in Haryana
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/China_Light_and_Power_to_develop_1320_MW_project_in_Haryana/articleshow/3271209.cms

インドネシア

●080724D Indonesia, The Jakarta Post
プルタミナ,精製工場修理で,石油輸入を増量へ
Pertamina to increase fuel imports to compensate for refinery repairs
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/23/pertamina-increase-fuel-imports-compensate-refinery-repairs.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月23日分 ー黒四ダムは地球の測定装置

「黒四ダムは地球の測定装置」,だと言って,黒四貯水池の水圧の動きや山の動きを解析して,私たちの先輩である横田潤氏(故人)が博士号をとったが,実物を通じて壮大な実験を行う発想に私も感動していた。今回の四川大地震だが,実は四川省に600万KWクラスの原子力発電所サイトについて,実際に振動実験を行ったのが,この大地震だ,

と言ってしまうと,多くの犠牲者に対して申し訳ないが,四川省の原子力推進派は一挙に勢いづいて,我々が選んだ地点はさすがだ,あの大振動実験に対してびくともしなかった,としていよいよフィージビリティ調査を完成させて,中央へ許認可申請をすることになった。総工事費は39億ドルという。

ネパール,あのネパールの荒くれ男,アジア開発4人男の一人,プラチャンダーは,「私の3ヶ月に亘る政権掌握への戦いは終わった」,と不気味な言葉を残して,自ら政権を掌握することを放棄宣言した。まさか武力闘争に帰ることはないと思うが,毛派が野党にいることは,折角軌道に乗り始めたインドとの水力開発協力に,不気味な影を投げかけている。毛派は大統領選挙に敗れたのである。

インド,下院がシン内閣信任を決議して,米印の原子力協力が進む見通しとなったが,まだ多くの関門がある。IAEAの査察については,核兵器を除くことになっており,22施設のうち14施設の査察にとどまる問題がある。また,米国側も,米国からインドへの核燃料移送や核技術移転を実現するには,米議会で法律を改正する必要する作業が残っている。


本文

●ネパール,マオイスト,政権から離脱の構え

ニューヨークタイムスの報道である,ジャカルタポストなども同様の趣旨の意見を述べている。ネパールは,地方を武力的にも掌握しているマオイストが,議席の40%と最大多数となり,地方の開発,特に軌道に乗り始めたインドとの水力開発協力が,インドの石炭火力代替の一つの決め手になるものと期待されていた。ところが,先日の国会議員による大統領選挙で,毛派の代表は敗れた,ショックである。

毛派の代表,ネパールのならず者,アジア開発4人男の一人,プラチャンダーは,「我々の3ヶ月に亘る政権掌握への努力は,ここに終わりを告げた。」,と宣言し,野党の立場に喜んで立つ,と宣言したのである。まさか武力闘争に帰る,と言うことではあるまいが,各地で起こっているインド企業による水力開発反対の機運は,毛派の指示を受けて,ますます先鋭化するだろう。

●ネパールの水力開発に挑むインド企業,世界銀行から強力な支援

プラチャンダーが野党宣言をしたショックの中,今問題となっているインド企業による水力開発事業,特にGMRによる402MWアルン3水力,ステルジによる300MWアッパーカルナリ水力について,強力な助っ人が現れた。世界銀行のアーム,IFCのインフラ部長アニタ女史が,10%の範囲内で資本参加すると発表した。総工事費は,アルン3が450百万ドル,アッパーカルナリが860百万ドルである。

●中国の電力生産,年率換算で13%近い伸び

中国のこの半年間の電力の伸びは,年率換算で12.9%だ,と発表された。経済成長を上回るペースで,弾性値としては1.2ぐらいになるのではないか。この半年の電力供給量は1.68兆KWhである,1,680GWhか。内訳は,石炭火力が1.41兆KWhで11.7%,水力が2149億KWhで18.5%,原子力が329億KWhで25.9%,それぞれの年率換算伸びであった。設備増強はこの半年で3,300万KWである。

●四川省の原子力発電プロジェクト,まもなくFS完成へ

進んできた四川省の原子力発電プロジェクト,400万KWから600万KWを目指しているが,可能性調査を終えていよいよ中央への許可申請の段階になってきた。今回の四川大地震は,まるでこの原子力プロジェクトのために実際に揺すってみた感じで,原子力サイトとして選ばれた地点が,地震に対して極めて安全,と言う。偉大なる振動実験である。工事費は37億ドルと想定されている。


参考資料

2008年7月23日分

ネパール

●080723A Nepal, sindhtoday
ネパールの水力開発に挑むインド企業,世界銀行から強力な支援
World Bank boost for Nepal ventures of GMR, Sutlej
http://www.sindhtoday.net/world/6306.htm
●080723B Nepal, New York Times
ネパール,マオイスト,政権から離脱の構え
Maoists Drop Bid to Form Government
http://www.nytimes.com/2008/07/23/world/asia/23briefs-MAOISTSDROPB_BRF.html?ref=world

中国

●080723D China, China Daily
中国の電力生産,年率換算で13%近い伸び
Power production rises by 13%By Wan Zhihong (China Daily)
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2008-07/23/content_6869362.htm
●080723E China, China Daily
四川省の原子力発電プロジェクト,まもなくFS完成へ
Nuclear research almost completeBy Huang Zhiling (China Daily)
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2008-07/23/content_6869234.htm


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月22日分 ー賛成275反対256棄権10

「賛成275反対256棄権10」,接戦ではあるが過半数である。インドのシン首相は危険な勝負を乗り切った感がある,左翼四派の閣外協力離脱の危機を,首相信任動議で乗り切ったシン首相は,果たして一気に,全人類が期待して見守る米印原子力協定の批准に踏み切ることが出来るかどうか,しかし,シン首相は信任を受けたことで,大きく原子力開発に踏み出したことは事実だろう。

70%近くの電源を石炭に頼り,果てしなく続く電力不足との戦いで,大規模石炭火力開発作戦UTPMを展開しているインドだが,どこで石炭火力開発の転換点を求めるかは,インド北辺,ネパール,ブータンなどの水力開発と共に,原子力がどこまで発展するインド経済を支えられるか,世界の人類の大きな関心事である。2020年までに2000万KWの原子力開発,そのためにはこの米印協定が欠かせないのである。

インドは核不拡散条約には参加せず,核兵器を有することは世界が認めていない。そのために,現存する約400万KWの原子力発電所の核燃料確保にも苦労している現状である。このNPTの問題をそのままにして原子力協定に踏み切る米国に対しても世界からの批判がないわけではないが,インドの世界経済への影響力の大きさを考えると,やはり,石炭火力は出来るだけ原子力などに置き換えてくれ,と願うべきだろう。


本文

●米印原子力協定,インド国会の行くへを見守る米国

インド国会,シン首相の進める米印平和原子力協定,これに反対する閣外協力の左翼4派が離脱,窮地に立ったシン首相は,昨日21日急遽首相信任動議の提出を行って事態の打開に乗り出した。一時,シン首相の退陣論まで出て大騒ぎになったが,この信任案の行くへを見守る米国政府は,ゴンザレス大統領報道官が会見して,静かに見守っている,明日のこの時間に,私は再びここに立っているだろう,と自信を示した。

2020年までに2000万KWの原子力開発を進めるインドだが,NPT,核不拡散条約に入っていないインドは,現在の400万KWの原子力を運転するだけでも四苦八苦している,燃料の供給で,国際的な支援が得られないためである。米国との間の協定が成立し,更にIAEA査察などの手続きを経て,やっとインドの原子力開発は軌道に乗る。原子力による石炭火力代替は,地球を救うためである。

●マレーシア,原子力開発を避けるべきではない

前にも書いたが,私がマレーシアのケランタンで猛暑にさいなまれながら川の中でダムサイトと格闘していた頃,米国のスリーマイル島で原子力事故が起こった,あの時は一時原子炉熔解がどこまで進むか分からない恐怖の時間があったが,マレーシアのエンジニアーが,我が国は原子力が中ってよかった,とホッとしていた,それほどあの時の世界は,危機にあった。

マレーシアの話が出るたびに,あの時の情景を思い出す。そのためかどうか知らないが,東南アジア諸国,タイ,ベトナム,インドネシアなどで原子力開発ののろしが上がっても,マレーシアは今日まで静かであった。シャジマンエネルギー担当大臣は,原子力開発を選択肢からはずすべきではない,と遂に口火を切った。準備に12年から15年,特に核廃棄物の処理問題と人材育成に時間がかかるだろう,と語っている。

●ネパール,75万KW,ウエストセティ水力,いよいよ動くか

ここに,アジア開発4人男の一人,インド電力省の副大臣,ラメッシュ登場である。もう一人の男,ネパール毛派のプラチャンダーとニアミスである。今,ネパール国会は,大統領の選出を終わって,果たして毛派のプラチャンダーが首相に選ばれるかどうか,瀬戸際である。40%の議席を握るとは言え,大統領を出すことの出来なかった毛派が,プラチャンダー,ネパールの荒くれ男の首相選出に失敗したら,ネパールはどうなるのか。

このきわどい瀬戸際で,インドのラメッシュが語った,曰く,「インドは電力で飢餓状態である,ネパールは世界で2番目の包蔵水力国である,この両者が組めばウインウインの関係が成立する,この重要な時期に,遂にインド企業はネパールのその足がかりを得た。」,といつもの発言に比べれば極めて冷静である。ADBの参加が可能かどうか,これも焦点のひとつ。

●タタ発電会社,ブータンの水力で26%株式を視野,114MW

ブータンの水力開発に民間資本が進出,というのははじめてではないか。114MWとはいえ,その意義は大きい。具体的なプロジェクト名は明らかにされていないが,タラ水力の送電線に載せる,と言っているから,比較的ブータンの奥地である。タタ電力がオフテーカーになる,と言うから,今までとは違う買電の枠組みである。


参考資料

2008年7月22日分

ネパール

●080722A Nepal, steelguru
75万KW,ウエストセティ水力,いよいよ動くか
Global collaborations get Nepal hydel power project rolling
http://steelguru.com/news/index/2008/07/22/NTU2NTA%3D/Global_collaborations_get_Nepal_hydel_power_project_rolling.html

マレーシア

●080722B Malaysia, The Star
原子力開発を避けるべきではない
Don’t reject possibility of using nuclear energy: Shaziman
http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/7/21/nation/20080721150745&sec=nation

インド

●080722C India, Economic Times
米印原子力協定,インド国会の行くへを見守る米国
US waits for trust vote decision to proceed with nuke deal
http://economictimes.indiatimes.com/News/US_waits_for_trust_vote_decision_to_proceed_with_nuke_deal/articleshow/3262073.cms

ブータン

●080722D Bhuta, economictimes
タタ発電会社,ブータンの水力で26%株式を視野,114MW
Tata Power acquires 26 pc in Bhutan hydro project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Tata_Power_acquires_26_pc_in_Bhutan_hydro_project/articleshow/3260633.cms



ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月21日分 ーインドとネパールの今日と明日

「インドとネパールの今日と明日」,と日本の新聞の片隅の小さな記事に目を見張っているのは,今朝,新聞に目を通していた私である。ここ数ヶ月,これらの動きを追ってきた我々,私や私のメールを読んでくれている人たちにとっては,一つの結論が,今週中にはある方向に向かって動き出すことになるのである。

一つはネパールである。ネパールの水力開発はインドとの協力なくして動かないが,それもネパールの各地に割拠したマオイストの政権参加によって,大きく前進するものと期待している。ところが昨日の国会内での大統領選挙で,僅差でマオイスト代表が敗れた。大統領は名誉職ではあるが,ことあるときには軍隊を掌握することが出来,毛派はここにも力点を置いていた。もっとも大切なのは,これから行われる首相の選定ではあるが,毛派は最大多数とは言え40%の議員で,もし他派が一緒になれば,プラチャンダーの首相の目はなくなる。毛派がもしも政治から離脱するようなことがあれば,ネパールの大規模水力開発は崩壊し,人類の温暖化対策への希望は絶たれる。

二つはインドである。昨日21日に,国会にシン首相の信任案が上程された。これは何を意味するかというと,米国との原子力協力協定に反対する左翼系の動きを封ずるための手段で,信任案が可決されると同時に,直ちに米印原子力協定の批准案が上程されることになっている。国会内での反米勢力は無視することは出来ず,もし米印協力が破棄されれば,インドの原子力開発への先行きは暗く,計画は頓挫するだろう。今日の記事の中にも,米国との協力で沸き立つインドの原子力産業界の興奮が伝わって来る。これは同時に,石炭火力を代替する人類の存亡にも影響してくる,実に重要なこの一週間の動きである。


本文

●メコン沿岸諸国,最近の景気悪化で開発に問題が

マレーシア企業から見たメコン沿岸諸国への経済進出の推移がテーマーだが,冒頭には,一時,激しく投入されていたメコン沿岸諸国,ミャンマー,ベトナム,ラオス,カンボジアへの外国資本投資が,最近の世界経済の低迷,原油の値上がりによるインフレ圧力,食糧の値上がりやプロジェクトの事業費の膨れあがり,などによって,これらの国への投資が,やや鈍ってきている,と書いている。タイについては,マレーシアは地域への投資の競争相手を見ているようだ。

カンボジアについて,電気料金が非常に高いことが,海外企業の進出を鈍らせている,と書いている。またベトナムについては,中国に経済的に接近してきたことが好感して,投資が増える傾向にある,としている。ミャンマーについては,政治的困難を克服して,周辺諸国はその原油ガスのポテンシャルに大きな注目を集めている,としている。

●インド,原子力開発,メーカーに新たな展望が開ける

まるで大戦前夜のような,これから起こるインドの原子力産業の大変革が,想像を絶する規模でインド経済を衝撃的に拡大する,との興奮した論調で書きまくっている。折からインド国会は,IAEA加盟を前提とした米国との原子力協定批准に向けて,試練の数日間が控えている。21日には,シン首相を信任するかどうか,の決議案が出され,これを可決して一気に米印原子力協定の批准に持って行こうというシン首相の作戦であるが,野党左翼系統が反対に回ると,連立も壊れかねない,誠に衝撃的な場面を迎えている。

原子力開発のロードマップ,政府が描いているものは,現在の総発電設備144,565MWのうち,原子力は僅か3,900MW,2.7%であるが,2020年までに20,000MWの原子力発電所を開発するというもので,これはあくまで米国との協力が実現し,原子燃料の確保と米国の原子力技術の導入が図られた上での計画なのである。この間の投資額は,500億〜600億ドルと見積もられ,インド国内の400企業が恩恵を受けるという。

昨日のニュースでは,IFCがムンダ石炭火力を支援するに際しての開き直りが書かれていたが,この石炭火力主導の発電を,如何にして原子力によって代替して行くか,大きな正念場である。動きが余りにも政治的で,日本の企業は主導できないが,米印協力の中で,日本企業がどの様に動けるか,水面下ではいろいろな思惑が交錯していることだろう。

●日本政府,二つの国際会議を通じて,アフリカ開発へ協力の意志

アフリカの片隅の新聞が,これほど熱く日本を語った記事は,最近はないだろう,ここまで書かれれば,アフリカも少しやってみるか,という気にもなる人がいるだろう。言葉を拾ってみると,「日本の畏怖を起こさせるその技術開発への勇猛果敢さ,そしてその経済の卓越した腕力,それらが今後,アフリカの後進性を引き上げてくれるだろう。」,「日本国内に於ける大規模で比類なきインフラへの投資や水資源の開発運用の成果,これらがアフリカ諸国へ大きな教訓を与えてくれるだろう。」。

これは,今年,横浜で行われたアフリカ諸国会議TICAD,それと洞爺湖で行われたG8が重なったことへの何かの因縁を探る意味でのきっかけのようだ。即ち,TICADは5年に一回の回数で日本に回ってくる,G8は8年に一回の回数で日本に回ってくる。だからこの二つのアフリカにとって意味のある会議が,今年日本で行われた,それが日本のアフリカへの関心や貢献を拡大してくれるだろう,と言う意義を熱く語っている。

●パキスタン,電力規制庁NEPRA,水力民間投資の刺激策へ

具体的にどうするのか,分かりがたいが,パキスタンが一生懸命,水力開発への民間資金の参入に苦慮しているかを窺わせる。一つの真理だが,水力への投資の困難は,地質の怖さ,水没移住への環境問題,生まれるまでの永さ,によるもので,最終的な売電単価を調査が完全に終わった時点まで延ばすことにより,投資を増やせる,と言っているようだ。


参考資料

2008年7月21日分

パキスタン

●080721A Pakistan, Daily News
電力規制庁NEPRA,水力民間投資の刺激策へ
NEPRA develops mechanism to attract investment
http://dailymailnews.com/200807/21/news/dmcitypage09.html

ラオス

●080721B Mekong, The Star
メコン沿岸諸国,最近の景気悪化で開発に問題が
The Mekong dilemma
http://biz.thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/7/21/business/21867361&sec=business

ケニア

●080721C Kenya, East Africa
日本政府,二つの国際会議を通じて,アフリカ開発へ協力の意志
Japan can help steer Africa痴 development
http://www.nationmedia.com/eastafrican/current/Opinion/oped1404200817.htm

インド

●080721D India, Economic Times
原子力開発,メーカーに新たな展望が開ける
N-deal New vistas for equipment makers for nuclear power plants
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/N-deal_New_vistas_for_equipment_makers_for_nuclear_power_plants/articleshow/3256776.cms


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月20日分 ー人類はしばらく石炭から逃れられない

「人類はしばらく石炭から逃れられない」,と開き直ったのは,世界銀行の関連機関として民間開発を支援するIFCのウエッブサイトである。石油は後40年,石炭は後200年,と言う世界の総量問題を見ていると,まあ少なくとも100年は,人類は石炭火力の足かせから逃れることは出来ない,と言うことを理解させられる。石炭火力を振りかざして世界の開発に挑戦する中国,しばらくは彼等の旺盛な開発意欲に任せて,人類の経済成長を求めなければならないのだろう。

IFCは,今回のインドのムンダ石炭火力への支援を,超臨界型ボイラーの採用で効率の改善を目指す,としている。石炭火力がしばらく経済成長を支える国としては,中国,インドの他,クラッシュプログラムを推進するインドネシア,天然ガスへの過重な偏りを懸念するタイ,などの大国があるが,これらの国々の石炭火力開発をすこしでも抑制するためには,水力や原子力の一層の推進を考えて行く必要がある。

しかし水力は,もうインドの北辺と中国の南西部にしか残されていないから,現在インドネシア,タイ,ベトナムが進める東南アジアの原子力開発,中国による原子力への置き換え,インドの,米国との協力による原子力開発の推進が,人類を救う数少ない手段の一つなのであろう。


本文

●第2世銀,インドの電力には,今しばらく石炭が必要

IFC,第2世界銀行,民間投資を支援する世界銀行の関連機関であるが,必死になって弁解しているところが面白い。IFCは,タタ電力会社を通じて,大規模火力開発計UMTPの一つである,400万KW,総事業費42.4億ドルの,グジャラート州,ムンダ石炭火力プロジェクトを支援することになった。支援内容は,20年のテノールローンで支援額は450百万ドルである。

ここで石炭の総量問題だが,世界で現時点,可採埋蔵量は98,457億トンと言われていて,石油が41年で枯渇するのに,石炭は192年,約200年といわれている。インドはこのうち,米国(25.4%),ロシア(15.9%),中国(11.6%)に続いて世界第4位の包蔵量を有し,推定で2,480億トン,確認埋蔵量は930億トンと言われている。これに対して,昨年度,2006年〜2007年の総使用量は11.1億トン,このうち243百万トンを輸入している。インドが輸入先としているのは,インドネシア,オーストラリア,南アメリカである。

このローンの決定に際してIFCは,そのウエッブサイトで,一生懸命言い訳をしている。太陽光は未だ高く,インドとしてこの高度経済成長を続けていくためには,どうしてもしばらく石炭火力に頼らざるを得ない。しかし,石炭火力については,その効率化を図るために,超臨界ボイラーの使用に踏み切っている,だからIFCは支援するのだと。この問題はインドだけの問題ではなく,中国もインドネシアもタイも,これから更に発展しようとしているアジアの国々が一様に持っている問題である。中国の石炭火力の効率化,これは東南アジアの開発にも大きく影響してくる問題である。

●ネパール,世銀の資金,水力開発支援で,改めて検討へ

ここでも世界銀行の資金が問題となっている。ネパールに対して,当初世界銀行は,電力開発基金PDFとして2003年に,中小規模の水力を民間の手で開発する支援を行おうとしたが,中小規模の民間開発の対象であった2400KWのリディ水力プロジェクトが,採算面で躓いて,ここに世界銀行は,このPDFを,一般の水力開発支援に切り替えようとしているわけである。小水力の民間開発,私は難しいと思っている。

●インドネシア,カラ副大統領,スラウエシで発電所視察,関係者が皆親戚

カラ副大統領を古くから知る私の友人は,彼がスラウエシの出身で,父から受け継いだ鉄工企業を足場に,政界進出を果たしたことを,よく私に話してきた。インドネシアでは有名なブカカグループであり,多くのアジアの空港でブカカのあの飛行機に付けるアコーディオンがブカカ製であることは,よく注意していれば分かるという。彼は今,副大統領,アジア開発4人男の一人として,故郷の土を踏み,親族に囲まれながら,水力発電所の視察を行っている。

このスラウエシ中部では,ポソ湖に発するスレワナ川に瀧が連続し,かなり大きな規模の水力開発が進行中である。殆どの地点をこのブカカグループが中心になって開発が行われるが,クラッシュプログラムの次期の計画として,大きく注目されている。

●インドネシア,問題の多いエネルギー省,二人の総局長を更迭

ジャカルタの永井さんからもニュースが寄せられているが,プルノモ大臣は,二人の総局長を更迭した。報道では,原油ガス総局の総局長が,新しく女性のエビタ女史となったことを,最近になって急激に落ちてきた原油生産の責任をとらされたルルク氏の更迭と報じている。昨年の原油生産は日換算で899,000バレルで,2001年の1,082,000バレルから急激に落ちている。


参考資料

2008年7月20日分

ネパール

●080720A Nepal, eKantipur
世銀の資金,水力開発支援で,改めて検討へ
Govt, WB restructure Fund
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=154043

インド

●080720B India, Economic Times
第2世銀,インドの電力には,今しばらく石炭が必要
Coal-based power must for India's energy needs IFC
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Coal-based_power_must_for_Indias_energy_needs_IFC/articleshow/3253543.cms

インドネシア

●080720C Indonesia, The Jakarta Post
問題の多いエネルギー省,二人の総局長を更迭
Troubled ministry appoints new oil, mining chiefs
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/19/troubled-ministry-appoints-new-oil-mining-chiefs.html
●080720D Indonesia, The Jakarta Post
カラ副大統領,スラウエシで発電所視察,関係者が皆親戚
It's all relative in Kalla power project
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/19/it039s-all-relative-kalla-power-project.html



「北半球は夏である」,どこをとってもまず電力不足のニュースが大きく取り上げられている。日本は幸せ,と言うか経済の低迷を反映して,まさに日本だけがゆったりと豊富な電力を満喫していると同時に,燃料の値上がりにも比較的余裕があるかに見える日本の電力企業は,おそらく原子力発電所の比率が高いことも影響しているのだろう,原子力漁船ってまだ聞いたことはないから。今日の記事でも,ベトナム,中国,それに激しいのはインドのムンバイの電力不足である。不足と言うには余りにギャップが大きすぎる。

天安門事件の後に,中国の電力を支援するために拡大ミッションが北京を訪問したが,あの時,話がかみ合わなかったのは,中国が発電所が出来たら電気を供給する,と言う考え方で,需要が幾らでどれほど電力が足りない,などと言う話はなかった。十三陵揚水の話だったので,「需要の形に合わせて」,なんて言う話をしていると,あの中国政府の女性報道官のような頭の良さそうな女性エンジニアーが,「国が違えば方法が違うのは当然ダワヨ!」,と吐き捨てるように言っている,と通訳の人が耳打ちしてくれた。

それにしても,中国,ベトナム,インド,などはどうしようもない状態で,これから電源開発をして需要に間に合わす,と言う方法では追いつかないだろう。タイや日本のように,経済破綻で発電所が余ってしまう事態を待たなければ,幾ら造っても追いつけるとは思えない。インドネシアのクラッシュプログラムが,果たしてこの方程式を打ち破ることになるのかどうか,これも石炭供給に破綻が起こる余感あり。ジャカルタの永井さんが,インドネシアのエネルギー問題の人事を伝えてくれているが,人事異動は燃料部門に集中している。


本文

●ベトナム,EVN,電源開発を続行するため,資金調達が必要

ビジネスの世界において,中国の人とベトナムの人との間には,何か共通点があるのだろう。一旦規制がゆるむと,個人のビジネス意欲が噴出して,どうにも制約が効かなくなる,暴走し始めてやっとまた政府が規制をかける,その繰り返しだ。中国とベトナムでは,経済の規模が絶対に違うが,何か流れはよく似ている。特にベトナムの場合は,まだ経済の流れの方向が決まらず,試行錯誤が続く。

今日の記事では,電力公社EVNが500以上のプロジェクトを抱えており,このうち発電プロジェクトは工事中が40地点だという。だから数の上から行けば,その殆どがノン電力と言うことだ。オフィスやビルディングの建設に,EVNがそれぞれいくらかの投資をしている,しかもそれは多くが銀行ローンであり,その利子率は年21%だと言う,全く危ない橋だ,バブル時代の日本と同じだ。

これに関して,ハイ副大臣から強いおしかりを受けたわけだが,タンEVN総裁は怯んでいない。プロジェクトの数の上ではノン電力が圧倒的だが,金額にすれば僅かに3.54%で,完全なコントロール可能な範囲にある,と副首相に反論している。発電分野も含めて全部の投資額は29億ドルに上るという。しかし現在,EVNは7億ドルの資金調達を必要としており,そのうち4億ドルはソンラ水力の重機購入で,財務省はまだOKしてない。

EVNタン総裁は,今の時点で電力不足が起こっていることに,国民への謝罪の発言を行っている。現時点では毎日のピーク時に,200万から250万KWの不足が生じており,この状態は7月末まで続くという。

●中国,電力不足の崖っぷちにある

最近,世界のメジャーなメディアが,盛んに中国の電力不足を取り上げている。論点は殆ど同じである。この今日のファイナンシャルタイムズも,政策が揺れる北京政府の状況を映し出している。昨年まで石炭供給の38%を占めていた危険な小規模炭坑に閉鎖を指示した。そこで石炭が今年に入ってから2倍という急激な値上がりをして,電力会社は経営の苦境に陥った。政府はインフレを懸念しながらも,つい最近になって5%の電気料金値上げを認可したが,それでも電力企業が必要とした値上げの30%に過ぎなかった。

北京政府は急遽,安全を確認の上,順次小規模炭坑の営業を認める朝令暮改の政策に踏み切ったが,これらの中小規模の炭坑を管理する地方庁は,事故で多数の犠牲者が出たときの厳しい処罰を思い出して,再認可に二の足を踏んでいるという。このメディアによると,今夏の中国の電力不足は,2004年の最悪の停電を上回る深刻さだという。北京オリンピックがまもなく始まる。

●インド,ムンバイ,計画停電を実施へ

北半球は夏である。インドのマハラシュトラ州,特に最大の都市ムンバイで,電力不足が極点に達し,住民の暴動が起こり始めているという。都市部で日4.5時間から7時間の停電,農村部では13時間の停電を課されている。先週金曜日には,需要のピークが1400万KWに達したときに(これ,どうやって計るのですかね),供給力は900〜930万KWしかなかった。

水曜日にはこれが更に悪化し,需要のピークが1528万KWで,その時の供給能力は,1030万KW,498万KWの不足が生じたという。マハラシュトラ州は,中央政府の命令を殆ど聞かず,電力改革も余り進んでいない。農業優遇の政策が,電力セクターの財政破綻を招いている。

●インドネシア,カラ副大統領,スラウエシのポソ水力発電所を視察


参考資料

2008年7月19日分

ベトナム

●080719A Vietnam, vietnamnet
EVN,電源開発を続行するため,資金調達が必要
EVN needs funds to continue power projects
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/07/794362/

インド

●080719B India, Economic Times
インド,ムンバイ,計画停電を実施へ
Power utility extends load-shedding
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power_utility_extends_load-shedding/articleshow/3252376.cms

インドネシア

●080719C Indonesia, The Jakarta Post
カラ副大統領,スラウエシのポソ水力発電所を視察
VP visits Sulewana hydro-power plant in Poso
http://www.antara.co.id/en/arc/2008/7/18/vp-visits-sulewana-hydro-power-plant-in-poso/

中国

●080719D China, Financial Times
中国,電力不足の崖っぷちにある
China on brink of electricity shortfall
http://www.ft.com/cms/s/0/88f27a7a-5399-11dd-8dd2-000077b07658.html?nclick_check=1


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月17日分 ー猛暑の中の測量作業

「猛暑の中の測量作業」,でぐったりしていた,更新遅れで申し訳ない。やはりすこし熱すぎるような気もする,年齢のせいもあるかも知れない。でも長周期の地球の温暖化に襲われている可能性もあり,温暖化,温暖化と言われる気のせいもあるのかも知れない。炭酸ガスだけでそんなに温度が上がるとは思えないから。もう一つの測量グループでは,日本に帰っているので誘って下さい,とメールしたら,この前の作業で懲りたので,測量作業はしばらく中止,大阪で飲みましょう,と言う返事が返ってきた,何を言っているのか,若いのに。


本文

●ネパール,日本の外務副大臣,毛派の代表と会談

日本政府の宇野外務政務官,ネパールでは副大臣と呼ばれているが,この時期のネパール訪問は,何の目的なのであろうか。宇野さんは先日もミャンマーの被災地に赴いているし,いろいろ情勢の調査なのであろうが,特にこのネパールでは,選挙で毛派が優位を占めたとはいえ,政権交代はまだ行われておらず,毛派の首領,4人のアジア開発男の一人,ネパールのならず者,プラチャンダの動きなど,政治情勢を探るのが主たる目的なのであろう。

未だ政権の座にあるコイララ首相との会談では,政治の安定を求めて,日本の支援について意見を交換したようだが,コイララ首相からは一方的に,大規模プロジェクトのウエストセティ水力への協力を求められて,返答のしようがなかったことだろう。政治情勢の安定を求めるにとどまったが,政治の安定がもたらされれば水力支援か,と言われれば,そうも行かないのだろう。

プラチャンダーとの個別の会見では,主として現在の議会勢力の中での毛派の立場を確認したかったよいうだが,最近の毛派の動きには何となく不透明なものが漂っている。水力開発など,地方のプロジェクト開発に毛派は反対しないのか,言論統制への発言はどうなったのか,いろいろベールに包まれたプラチャンダーの動きである。

●ネパール,コイララ首相,日本とインドの代表と会談

この記事では,宇野政務官のネパール訪問と同時に,インド代表のネパール訪問を同時に扱っている。コイララ首相からは,やはりウエストセティの協力を求められたと書かれており,また宇野政務官の側からは,日本人観光客の安全について言及したようだ。

●中国の電力企業,料金上げにも,まだ損失を出す

石炭など燃料の高騰に耐えきれない中国の電力企業,インフレを懸念する政府の料金抑制,先日は遂に北京政府が電気料金の4%程度の値上げを容認したところであるが,この記事は香港系の報道で,今回一度の料金値上げでは,まだ電力企業の損失は改善されておらず,再度の値上げが必要なことを示唆している。

●インドネシア,PLN,需要が抑えられれば,停電は避けられると

厳しい需給状況が続くジャカルタであるが,この月曜日と火曜日は,予定していた計画停電を避けた模様である。PLNは,企業などの協力の成果だとしている。月曜日には,午前11時にピークが1,330万KWに達し,更に午後2時には1,352万KWで最高値を記録した(記事は人気T5亜違っているようだ)。火曜日には,午前11時,1,273万KW,午後2時に1,275万KWを記録している。問題はBPのガス供給で,タンジュンプリオクとムアラカランが出力落ちしている。危機はまだまだ続く。


参考資料

2008年7月17日分

ネパール

●080717A Nepal, The Rising Nepal
ネパール,コイラ首相,日本とインドの代表と会談
PM meets with Japan official, Indian envoy
http://www.gorkhapatra.org.np/detail.php?article_id=3472&cat_id=4
●080717B Nepal, Nepal News
日本の外務副大臣,毛派の代表と会談
Japanese Deputy FM meets PM, Maoist chairman; PM stresses on politics of consensus
http://www.nepalnews.com/archive/2008/jul/jul16/news11.php

インドネシア

●080717C Indonesia, The Jakarta Post
PLN,需要が抑えられれば,停電は避けられると
Blackouts avoidable if load drops PLN
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/16/blackouts-avoidable-if-load-drops-pln.html

中国

●080717D China, quamnet
中国の電力企業,料金上げにも,まだ損失を出す
FOCUS - China's power companies still face losses despite tariff hike
http://www.quamnet.com/newscontent.action?articleId=894276


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月16日分 ーEVNは発電以外に手を出すな

「EVNは発電以外に手を出すな」,嘗てベトナムの電力公社EVNの総裁を務めたハイさん,我々と会見したときも,ハイさんは将来首相になる人だからそのつもりで会って下さい,と側近から言われたことがあるが,今日の記事では,このホアンチュンハイさんは,副首相である。側近の人が言っていたとおり,ハイさんが首相の座に着くのはそんなに遠くないかも知れない。

私も最近はベトナムの電力事情から遠ざかっているが,何となくあの権力華やかなりし頃の電力公社EVNが,何となく最近は悩める誇り高き電力公社,と言うイメージを持ってきたが,皆さんはどう感じていますか。まず,あれほど細緻に,またJBICの徹底した支援を得ながら進めてきた電源開発にもかかわらず,連日の電力不足が報じられている。

それと,もう一つは政府の民営化政策とかみ合っていないと言うか,高いIPP火力の引き取り手となって,一方では販売電力料金を政府に抑えられている,何かEVN内に鬱憤が堪っているような雰囲気を感ずる訳けである。ソンラの大水力を開発し,また東南アジアでは先頭を切って原子力開発に踏み切ろうとしているベトナムの電力,ここで頑張って欲しいものである。


本文

●インド,中央政府,電力での州政府の権限を認める

インドの電力改革は,10年以上前から始まっており,中心は州政府の電力機関の分割民営化にある。それも中央政府の方針にも関わらず,なかなか州政府側が足並みを揃えないことや,それぞれの州政府の中で電気料金制度の矛盾から財政状況が悪化し,中央政府の思うように進んでいない現状で,最近では中央政府側でも,改革のペースを落としている,と感ぜられるところがある。

この改革の中で一つの大きな問題は,配電ロスの問題である。40%近くになる配電ロスを何とかしなければ,改革も容易に軌道に乗らない,と言うわけだ。アンデラプラデッシュを訪問したときに,警察力の動員によって相当改善された,と説明を受けたように,盗電が大きなロスの一部を成していることが推定されるのである。

今日の記事では,昨年,2007年に,35%と言う当時高いレベルにあった配電損失を,5年内に15%に納める目標が中央政府で指令され,その改善のために必要な費用の一部を中央政府が補填する,と言う改革案が実施中であるが,なかなか目標をクリアーすることが困難な状況である。改善に要する費用の25%を中央政府が負担するとの決定が,この記事の内容のようである。

●ベトナム,ハイ副首相,EVNに発電以外の投資を止めよ,EVN反論

副首相のハイさんが,古巣のEVNに対して苦言を呈し,反発を買っている。副首相が言うのは,EVNに対して,発電以外の事業に手を出しては行けない,と言うものだが,現在の総裁のファムルタンさんは,国内の発電事業に影響は与えていない,と反論している。問題は,EVNがラオスの発電事業に参加していることを問題にしているようだ。

EVNは難しい局面に置かれていると思う。ソンラ水力などの大きなプロジェクトを進めながら,一方で政府の主導で民間開発が進み,IPPから高い電気を買わされている,一方で販売電力の料金は,政府の政策によって低く抑えられている,渇水期で停電は頻繁だし,どうにも動きがとれない状況で,EVNの士気が阻喪している,と見ているのは私だけであろうか。

●パキスタン首相,水力開発への外資投入を期待

パキスタン,新政権のギラニ首相は,中国国際水電CIWECの副社長一行の訪問を受け,水力開発に於ける民間資金導入の基本方針を説明したのがこの記事である。商談の具体的な内容は,ジェルム河の110万KWコハラ水力プロジェクトに関して,CIWECがプロジェクトの80%相当分の民間資金投資を行う,と言う内容で,更にCIWECは,他の50万KW水力の全額出資を申し出ているとのこと,中国の水力分野の旺盛な海外進出意欲は収まらない。

●中国の老朽火力の閉鎖,幼児の成長障害を減らす

中国中西部のトンリアンというのはどこですかね。ここに欧米の保健関連の研究団体が入って,中国政府の方針で各地で老朽火力の閉鎖が進められているが,この閉鎖によって乳幼児の発育障害が大きく改善された,と言う報告である。記事の中では,老朽火力を問題にしているので,新鋭の大気汚染対策を講じた発電所は別だ,と書いて,70%以上の発電量を占める石炭火力の開発に,一定の心配りをしている。


参考資料

2008年7月16日分

ベトナム

●080716A Vietnam,english.vietnamnet
ハイ副首相,EVNに発電以外の投資を止めよ,EVN反論
EVN asked to stop non-electricity investments
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/07/793733/

パキスタン

●080716B Pakistan, tehrantimes
パキスタン首相,水力開発への外資投入を期待
Pakistan seeks investment in hydropower projects PM
http://www.tehrantimes.com/index_View.asp?code=173252

インド

●080716C India, Economic Times
中央政府,電力での州政府の権限を認める
State power utilities may get leeway
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/State_power_utilities_may_get_leeway/articleshow/3238781.cms

中国

●080716D China, International Heraqld Tribune
中国の老朽火力の閉鎖,幼児の成長障害を減らす
Closing coal-burning power plant in China cut rate of toddlers' development problems
http://www.iht.com/articles/ap/2008/07/15/asia/AS-China-Coal-Pollution.php


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月15日分 ー中国は小規模炭坑復活か

「中国は小規模炭坑復活か」,度重なる炭鉱事故と増え続ける犠牲者に,中国政府は,安全基準に満たない小規模の炭坑の閉鎖を進めてきたが,ここに来て,安全基準を満たしたものから順次再開の指示を出していると言う情報がある。朝令暮改もよいところだが,豪雪や地震で大打撃を受けた電力供給を回復させるためには,やむを得ない措置か。

それにしても,大きな石炭の埋蔵量を誇る中国,インド,インドネシアなどで,生産もさることながら,輸送問題で石炭火力の運転に影響が出ている現実は,いろいろと考えさせられるところがある。海外への積み出しには大きな影響は出ていないのに,国内輸送で問題が出る,想像できないところだが,現実はその様である。中国の場合は鉄道の問題だろうし,インドネシアの場合は,小規模船舶での輸送に頼るところに問題が出るのであろう。

中国とインドネシアで,少し電力不足の様子が違うことに気がついている。インドネシアは明らかにピーク供給力の不足で,設備量そのものに大きな問題があるが,中国の場合は石炭不足で,ピーク節約だけでは問題が解決しないと言う差がある。中国の記事を読んでいると,石炭の備蓄が後3日分しかいない,というような表現がよく使われている。

このように,電力不足と言うから,ピークのでない夜などのオフピーク時の発電は問題がなかろう,と考えていると大間違いで,後3日分しかない石炭をどの様に長く持ちこたえるか,と言う問題となると,とにかくいつでも石炭の焚き減らしに努力しておく必要があるわけで,その中国の記事を読んでいると,その深刻さがひしひしと伝わってくる。



本文

●フィリッピン,ERCの新任委員長ドウカット女史,6つのポイントを指摘

改革途上のフィリッピンの電力セクターで,電気料金などの決定権を持つ電力規制委員会ERCの委員長は7年間という長期の任期で絶大な権限を持っている。先日は,オープンアクセスの環境が定まりつつあるとして一部実施の方向を打ち出したアルバノ氏が退任し,新しく着任したのは,何とアロヨ大統領の親友で女性のゼナイダ・ドウカット女史である。着任早々,大統領とは単なる故郷の繋がりだ,何も政治的な繋がりはない,とまず弁明から始まった。

堂々たる枠組みで進めているフィリッピンの電力改革だが,そこには不安定な政策と将来の見通しが立たない投資家のフィリッピン離れで,必ずしも明るい未来があるようには思えないが,もう一つ問題は,常にアロヨ政権につきまとうお金の問題である。マニラ配電の独占問題が一時,新聞を賑わしたが,このような疑惑の人事が続くと,ますます投資家が離れて行くことが心配される。

新任のゼナイダ・ドウカット委員長が上げたERCを巡る6つの基本政策とは,需要家重視の合理的な電気料金制度の確立,電気料金低減への各事業体の秩序ある協力,各事業体の料金体系の監視と標準的なサービスの確保,委員会スタッフの誠意ある業務の遂行,など,通り一遍の方針を述べている。

●石炭不足が中国の電力不足を追い打ち

英国のガーディアン紙が,中国の電力危機を取り上げている。この報道は最近の一連の中国の石炭不足を取り上げたものだが,特に石炭火力の重要な基地である貴州省の石炭不足を問題にしており,この貴州省の電力が,工業の中心である広東省への送電に大きな支障を来していることが,中国経済にとって大きな問題であることを示唆している。

●フィリッピン,セブ島に2万KWの水力発電所建設へ

発信されたコロナダル市は,フィリッピンの南の島,ミンダナオの南部,港町コトバトの近くの内陸部である。ミンダナオには現在日本も関係した石炭火力の建設が進んでいるが,地元の電力組合が,石炭火力よりも水力を開発すべきだ,と言って,2万KWの水力開発を計画した。誰か行って助けてあげてはどうかな。

●インド,ハリヤナ州,200万KW発電所開発準備へ

ハリアナ州というのは,首都デリー市を西から取り巻く重要な州である。2012年には400〜500万KWの電力の不足が生ずると心配されている。ハリアナ州政府首相のホーダ氏が,近隣州のオリッサやグジャラートからの電力融通を視野に,当面200万KWの手当を行うべく,政策を進めている。現在,この対応のために進められている火力の料金の目処は,KWh当たり2.355〜2.940ルピーであるが,これは5.46〜6.81USセントに匹敵するものである。


参考資料

2008年7月15日分

フィリッピン

●080715A Philippines, Manila Bulletin
ERCの新任委員長ドカット女史,6つのポイントを指摘
New ERC Chairperson Ducut assumes office, outlines priorities
http://www.mb.com.ph/BSNS20080715129791.html
●080715B Philippines, Manila Bulletin
セブ島に2万KWの水力発電所建設へ
Electric coop eyes P2.8-B hydropower plant in S. Cotabato
http://www.sunstar.com.ph/static/gen/2008/07/15/bus/electric.coop.eyes.p2.8.b.hydropower.plant.in.s..cotabato.html

インド

●080715C India, Economic Times
ハリヤナ州,200万KW発電所開発準備へ
Haryana ties up for supply of 2,000 MW power
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Haryana_ties_up_for_supply_of_2000_MW_power/articleshow/3233532.cms

中国

●080715D China, guardian uk
石炭不足が中国の電力不足を追い打ち
Coal shortages aggravate China power woes
http://www.guardian.co.uk/business/feedarticle/7650002


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月14日分 ーインドも温暖化対策には熱心

「インドも温暖化対策には熱心」,今回の洞爺湖のG8の後のMEM(温暖化対策のためのG13)でも,インドは中国と共に,規制数値化反対の急先鋒であるが,私の友人でインド研究の専門家は,インドはそういいながら一生懸命,地球温暖化に取り組んでいる,と説明してくれた。昨日は,インドのニュースの中の言葉が分からずに困ったが,私の読者の中から何人かが,解説に応じてくれた。

ワンススルーが貫流ボイラーのことだ,と教えてくれた友人は,インドの防衛産業の格付けに関する情報サイトを送ってくれたし,インド研究の専門家は,インド人の専門家と話して,その情報を送ってくれた。そういえばインドの企業などの評価や表彰の言葉の中によく宝石の名前が出てくることに気がついた。今度の防衛産業の格付けでも,ラットナ,宝石という言葉が出てくる。

友人によると,今度のMEMの会議では,インドのシン首相は,各国首脳と積極的に議論を行い,インドと米国の原子力協力への協力を得るべく走り回ったようだ。フランスやロシアは,おそらく米国との協力よりも,自分たちの技術を売り込んだのであろう。ただ問題は,インドにとっては,技術協力や機器の売り込みよりも,気になるのはウラン燃料の確保であろう。

オーストラリアのウラン燃料が,インドにとっては大きな頼みであり,オーストラリアを動かすためには,どうしても米国の協力を取り付ける必要がある。先日も,オーストラリアの新政権が,国際協定に入っていないインドへの燃料供給を拒否したばかりである。少なくとも,米国との協力が実現しなければ,燃料の確保は難しい状況だ。国内的には,シン政権の野党の動きが焦点になっているのではないか。


本文

●インドネシア,カラ副大統領,クラッシュプログラムへの不要な介入は許さず

来年の大統領選挙を視野に入れたインドネシアのカラ副大統領,アジア開発4人男の一人,1000万KWクラッシュプログラムの一つ,30万KW2機総計60万KW,総工費290百万ドルのラブアン石炭火力の現場を訪れて,並み居る官僚を睨みつけながら一喝,「長引かせるだけの何の必要もない官僚の介入,何の重要性もない法律上の争い,その様な行為でこの重要なクラッシュプログラムを遅らせることは,この私が絶対に許さない!」,と強い口調で発電所建設への決意を披露した。

計画停電に悩むジャワバリ系の電力不足を目の当たりにして,直接現場に飛んで,担当の官僚達を激励したわけであるが,何しろ首都では連日の停電騒ぎで,政権をも揺るがしかねない事態に,来期はユドヨノ大統領に対抗して立候補するとはいえ,身に降りかかった火の粉を振り落とす必要があったわけだ。彼は,「来年には供給力を心配しない状態になるだろう」,としているが,クラッシュプログラムの遅れが気になるところである。

しかしこの発電所,60万KWで290百万ドルだから,もの凄く安く,KW当たり500ドルを切って,483ドルだ。大気汚染対策を付ければ,幾ら中国の設計とは言え,とても安い,日本企業が歯が立たないわけである。今日の新聞では,日本は300億円程度の温暖化対策の円借款を決めたようだが,森林対策を行っても,この石炭火力の効率化に手を貸さなければ,どうしようもない,と言う感じではある。

●フィリッピン,電力規制委員会ERC,暫定的なオープンアクセスを認可

改正された包括電気事業改革法EPIRAは,段階を踏んでのオープンアクセス,即ち,ある一定の需要家に対しては,どこの電力会社から買電するかを選ぶことが出来る制度を,早期に発足させることを規定している。そのためには,いろいろな条件整備を経て,規制委員会ERCが命令を発することになっている。電力取引市場WESMの制度と共に,このオープンアクセスが,フィリッピンの電力改革の目玉である。

規制委員会の委員長アルバノは,今度交代して止めて行くわけだが,その置きみやげに,1MW以上の需要を1年以上保った特別な需要家のみ,その権利が発生した,と宣言した訳である。従来は,NPCが70%の資産売却を完了することが条件であった。アルバノ氏はしかし,「実際のオープンアクセス実施にはいろいろな準備が必要で,実際の制度投入はもう少し時間が必要,」,と述べている。

●ブータンのティンリー首相,はじめてインド訪問へ,タラ水力など

国王が退位してはじめての立憲君主国となったブータンのティンリー首相が,外務大臣,経済産業大臣,財務大臣を伴って,はじめてインドを訪問する。先日国会を訪問して演説したインドのシン首相に応えるものであるが,主たる目的は,昨年,2007年3月30日に完成した100万KWのタラ水力の完成へのお礼と,これからの水力開発への協力要請だ。ブータンの開発可能水力は,2350万KWと言われている。

●パキスタン,タルベラダム,まもなく新規96万KWを増設へ

370万KWのタルベラダム,私のHPにも収録しているが,この発電所の増設,96万KWについて,約20億ドルの資金が必要である。前政権がこのプロジェクトを民間で開発すべく,PPIB,民間電力開発庁に託したわけであるが,新政権は急遽このプロジェクトをWAPDAに差し戻した。20億ドルの資金調達は,民間では困難と考えたもので,国際金融機関をこれから頼ることになる。


参考資料

2008年7月14日分

パキスタン

●080714A Pakistan, The International News
タルベラダム,まもなく新規96万KWを増設へ
Tarbela to soon generate 960MW extra electricity
http://www.thenews.com.pk/print1.asp?id=123993

フィリッピン

●080714B Philippines, Manila Bulletin
電力規制委員会ERC,暫定的なオープンアクセスを認可
ERC approves interim open access
http://www.mb.com.ph/BSNS20080714129734.html

インドネシア

●080714C Indonesia, The Jakarta Post
カラ副大統領,クラッシュプログラムへの不要な介入は許さず
VP wants power project red tape-free
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/14/vp-wants-power-project-red-tapefree.html

ブータン

●080714D Bhutan,
ブータンのティンリー首相,はじめてインド訪問へ,タラ水力など
Bhutan’’s Prime Minister to visit India tomorrow
http://www.thaindian.com/newsportal/sports/bhutans-prime-minister-to-visit-india-tomorrow_10070953.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月13日分 ーアジア恒例の電力危機たけなわ

「アジア恒例の電力危機」,夏になると必ず電力不足が問題になる,それもアジアの殆どの国で,中国,インドネシア,インド,ベトナム,と続く。考えてみれば,石炭に大きく依存してきた,或いは水力に大きく依存してきた国で電力不足は顕著である。やはり,原油やガスは,石炭に比べて輸送が比較的容易だと言うことだろうか。中国もインドネシアもインドも,いずれも悩んでいるのは石炭供給だから。それも原資がないのではなく,石炭の供給ルート,或いは生産ルートの問題である。

タイとフィリッピンでは差し迫った電力危機の話は聞かない。一つには,この二つの国が1997年のアジア経済危機で大きな打撃を受けて経済が落ち込み,電力設備に余裕が出てきたせいでもあるが,両国とも,石炭火力にそれほど依存していない。領土が広く,そこで国内の石炭生産地から石炭をかり集めてくる国で電力不足は顕著である。そこに何か問題のヒントはないか。


本文

●中国の電力事情,オリンピックに向けて最悪の状態

まだ中国は電力不足から脱出できない,脱出できないどころか,オリンピックに向かって,状況はますます悪くなっているようだ。今年の夏の全国予想では,10GW,全国設備の1..4%に相当すると言う。炭坑の事故が相次いでこれを防止するために中小の炭坑を閉鎖し始めた頃は,うまく政策が回り始めたな,と思っていたが,湖錦濤政権にとっては大変に試練の年となってしまった。

冬の豪雪に続き,今回の四川省の大地震と続いて,それにチベット問題が絡んできて,湖錦濤政権あやふしと思ったのは私だけではなかろう。古今東西,うまくいかない時は指導者やプロジェクトの担当者を思いきって変える発想がよく出てくる。親しい中国の人に意見を求めると,多くの人はそう思っているけれど,それは誰も口にしないのだと言っていた。

今年の夏の電力不足の原因は,主として石炭の供給不足で,7月6日現在で石炭の備蓄は全国平均で僅かに11日から12日だといい,最悪の地方で残り2,3日という。それに夏の渇水は輪をかけ,中国は未曾有の電力不足に陥っている。2004年には全国で停電が発生したが,この状態に更に輪をかけた電力不足が起ころうとしている。問題は石炭供給に集中している。

●インドネシア,効率的な電力使用,それが停電からジャカルタの悲惨を守る

ジャカルタ市民は,懸命になって節電に協力したようだ。150MWの停電を予期していたPLNは,20MWの強制停電でよかった,と市民の努力に感謝をしている,勿論それは主として大企業の工場やショッピングセンターなどの法人の努力ではあるが。先週の金曜日は,行き詰まる思いで需要を眺めていたPLNの様子が窺えるが,交通信号までは影響がなかったようだ。さて,今週もジャカルタは,月曜から強制停電と戦っている。

●中国の石炭不足は,原油の使用量を増大する

オリンピックを控えて,中国の原油使用量が急拡大し,世界に大きな影響を与える,と警告している。それは石炭の不足によるもので,80%を石炭から得ている電力を,臨時の発電機など重油に切り替えたときの影響の大きさを言っているのであろう。何か分からないが,第2次世界大戦での米国の中国支援に文句を言っている。

●インド企業,原子力ビジネスから大きな利益を期待

先日のG8の関連ニュースで,フランスのサルコジ大統領が親しくインドのシン首相と握手している画像を流しながら,フランスはインドの原子力発電支援に手を差し伸べるだろう,と言っていた。今日の記事は,米国との原子力協定が円滑に運ばれれば,インドは燃料のウラニュームを,オーストラリアやロシアから豊富に入手でき,原子力開発が大きなブームを呼ぶだろう,と予測している。

インド商工会議所の推定では,原子力産業に関わる企業は,基幹から末端まで含めて,400企業に登り,10から15地点の原子力開発に5年間で1000億ドルのビジネスチャンスが訪れるという。ラクシャウジョッグラットナと言う訳の分からない言葉が出てくるが,どうもこれは,国防省から認可された企業のことを言うようだ。


参考資料

2008年7月13日分

インド

●080713A India, Economic Times
インド企業,原子力ビジネスから大きな利益を期待
India Inc eyes big gains from nuclear business
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/India_Inc_eyes_big_gains_from_nuclear_business/articleshow/3227203.cms

インドネシア

●080713B Indonesia, The Jakarta Post
効率的な電力使用,それが停電からジャカルタの悲惨を守る
More efficient electricity use saves Jakartans from blackout misery
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/12/more-efficient-electricity-use-saves-jakartans-blackout-misery.html

中国

●080713C China, istockanalyst
中国の電力事情,オリンピックに向けて最悪の状態
China power woes may worsen before Olympics
http://www.istockanalyst.com/article/viewarticle+articleid_2390356~title_China-Coal-Shortages.html
●080713D China, istockanalyst.
中国の石炭不足は,原油の使用量を増大する
China Coal Shortages Could Raise Their Oil Use
http://www.istockanalyst.com/article/viewarticle+articleid_2390356~title_China-Coal-Shortages.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月12日分 ー大統領の任期内で完成せよ

「大統領の任期内で完成せよ」,よい意味でも悪い意味でも,アジア諸国の大統領の任期と大規模プロジェクトの実施期間には,密接な関係があるようである。日本でも同じことだが,日本の場合は政府がよく変わるので,また自民党ばかりだから余り関係がないみたいだ。でも大規模な発電所の工期は大体4年だから,発電所は一人の大統領がその政権内で実施するには,なかなか適切なプロジェクトと言えるかも知れない。

タイの電気料金値上げも,大体選挙が終わった途端に,その間隙を縫ってあげられることが多い。インドネシアでは,電気料金を任期内に上げようとしたスハルト政権が,民衆の反発で崩壊した。今日の記事にあるインドネシアのエネルギーや燃料に対する政府補助金の額が,国際価格の高騰で,とんでもない額まで跳ね上がって行きそうだ。

これは財政を圧迫するので,好調に6%の成長を維持してきたインドネシアの経済に暗雲を漂わせている。インドネシアは,来年,2009年に大統領選挙を控えており,この補助金の減額は,選挙が終わるまで出来ないと言う。電力不足といい,燃料の補助金といい,インドネシアの経済の足を引っ張る要素が出てきて,かえって選挙への影響が大きくなるのではないか。


本文

●インドネシア,大蔵大臣,来年のエネルギー関連補助金は300兆ルピアに

止めどもなく上がる原油価格で,特に困っているのは国内価格維持のために補助金を大量に出しているインドネシア政府である。ニューヨーク価格は遂にバレル145ドルを超え,発電換算で行くと21セントを超えてしまった。インドネシアの原油の国際価格と国内価格の差はどのぐらいになったのか,この差のために原油の密売が増えているという。

インドネシアの問題点は,来年2009年に大統領選挙を控えていると言う点で,どうしてもそれまではエネルギー価格を上げられないと言う。2009年の補助金は300兆ルピアに達し,今年の50%増しと言うからすさましい。経済成長の足を引っ張ることは確実である。

●トルコ,新規水力16,500MW,開発へ

私にとって,今は遠く懐かしい国は,ペルー,モロッコ,それにこのトルコである。今トルコは一生懸命にEU加盟を目指しているが,なかなか果たせていない。一緒に東の国境まで旅をしたカウンターパーツは,途中のドライブインで団長がよってきて,私たちには一緒に食事をする予算がないので申し訳ないが別にさせて貰う,とわざわざ丁寧な言葉で断ってきた。

大きなポテンシャルを持ちながらなかなか開発が進まないトルコの水力,石灰岩に囲まれて大変な地質であるが,この原油高に際して,5年間で1650万KWの水力開発を行うという,それもすべては民間資金頼りだという。

●インド,国営重電メーカーBHEL,超臨界ボイラーに挑戦

超臨界ボイラーについては,日本からの技術の輸出として大いに注目された時期があったが,遂にBHELが本格的に,600MWユニットや800MWユニットまで手を付けるところまで来たか。最近の日本企業の重電機器は高くてどうしようもない,民間開発が多い中で,これからはどうしてもインドや中国のメーカーに大いに成長して貰う必要がある。

ワンススルーと言う言葉が出てくるけれど,これは何ですかね。核燃料の再処理を行わない使い方,のような意味合いだと思うが,火力はどこでこの言葉を使うのか。コンバインドの反対ですかね。


その他

●フィリッピン,USAID,環境とエネルギーへ,73百万ドル支援
●中国,40人の学者達,ダムの安全性について政府に質問


参考資料

2008年7月12日分

トルコ

●080712A Turkey, Steel Guru
トルコ,新規水力16,500MW,開発へ
Turkey to add 16,500MW of Hydroelectric Power
http://steelguru.com/news/index/2008/07/11/NTQ0MjY%3D/Turkey_to_add_16%25252C500MW_of_Hydroelectric_Power.html

フィリッピン

●080712B Philippines, Manila Bulletin
USAID,環境とエネルギーへ,73百万ドル支援
For environment and energy programs
http://www.mb.com.ph/BSNS20080712129568.html

インド

●080712C India, Economic Times
国営重電メーカーBHEL,超臨界ボイラーに挑戦
BHEL gearing up to produce super critical boilers
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/BHEL_gearing_up_to_produce_super_critical_boilers/articleshow/3222270.cms

インドネシア

●080712D Indonesia, The Jakarta Post
大蔵大臣,来年のエネルギー関連補助金は300兆ルピアに
Energy subsidy may hit Rp 300 trillion next year: Minister
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/09/energy-subsidy-may-hit-rp-300-trillion-next-year-minister.html

中国

●080712E China, ciobinternational
中国,40人の学者達,ダムの安全性について政府に質問
Chinese appeal for dams inquiry
http://www.ciobinternational.org/news/view/1365


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月11日分 ーインドネシアの石炭供給は大丈夫か

「インドネシアの石炭供給は大丈夫か」,連日のインドネシア,ジャワバリの電力不足のニュースである。2009年または2010年までは,現在推進中のクラッシュプログラムの発電所が動かないので,しばらく我慢しなければならない。しかし,今2008年だから,今年の夏と来年もう一年を何とかしのげれば,先が見えてくる,と言っていいのかどうか。

現在,電源の出力不足の一つの原因は,石炭の供給に問題がある,と報じられている,しばらく前まではパイトン石炭火力への石炭輸送が滞ったことがあり,この2,3日,問題になっているのはチラチャップ石炭火力への石炭供給である。嘗てインドネシアの石炭火力プロジェクトに関わった友人の意見では,民営化された石炭価格に問題が生じているのではないか,と心配している。

彼によると,LNGは完全民営化されていないので,百万Btu当たり7ドルぐらいで推移しているが,石炭は民営化されているためにトン145ドルぐらいまで上がってきて,LNGに匹敵するところまで値上がりしてきている。今,財政難が言われるPLNは,この石炭の高騰のために,資金繰りが円滑に行かず,石炭供給不足が起こっているのではないか,と推測するのである。

2009年終わりには,いよいよ1000万KWのクラッシュプログラムが発電に時期に入るが,もしこれらが2009年から2010年にかけて一斉に動き始めると,途端に石炭供給能力の問題が突出して出てくることになる。ジャワバリ系全体の問題として見過ごすことの出来ないポイントである。現在投入中のJICAーニュージェックの全系マスタープランの中では,この秘められた問題点を見逃さないで欲しい。



本文

●インドネシア,ジャカルタの電力制限は2009年まで続く

一種の投稿記事であるが,先日から続く一連のジャカルタ停電騒ぎで,今政府に出来ることは,如何に公平に停電時間を分配し事前に停電情報を知らせるか,と言うぐらいで,そのために関係閣僚会議が開かれて政策を決めるという,しかしそれも,すぐに解決するのではなく,その状態が2010年の終わりまで続くだろうというのだから,産業界はうんざりしてしまうだろう。

日本企業42社のこの5月と6月の2ヶ月間に被った損害額は45億ドルと言われており,日本企業団体とインドネシア商工会議所は,昨日も出ていたように,電力がないなら仕方がない,しかしせめていつ停電するか教えて欲しい,そうすれば停電によって失われる原材料だけでも助けられるのに,と言っている。

今回の電力不足は,2002年ぐらいから予測されており,当時進みつつあった発電部門の民営化政策は,2004年の憲法裁判所の判断で,PLNの民営化に待ったがかかった。この風潮はタイのEGATにも波及して,一斉に進みつつあった東南アジアの電力セクター民営化にブレイキがかかった。これは電源開発にとっては悪いことではないのだが,結局,1000万KW開発の強力な電源開発政策に移って行き,2010年には需給問題に一定の解決が得られるはずである。後1年凌げばよい,と言って良いのかどうか。

●インド,ガンジス川上流で,125kmの区間に及ぶダム段階開発が進む

環境専門家からの警告である。最後はいつものように,水力開発地域の環境変化という矮小な問題に集中しているが,最初の部分は,今までにない迫力で,ダム開発による地山の動きへの影響を論じている。ヒマラヤの周辺で水力開発に取り組む難しさは,昔,インドの技術者から聞いた覚えがあるが,動きつつある主要中央部圧力MCTの恐ろしさを,描写している。

多くの経験を持つインドの水力技術者ではあるし,彼らが進める科学的な構造物の安定への努力は分かる,しかし問題は,彼らが果たして山の動きまで止めることが出来るのかどうか,と問いかけている。


その他

●パキスタン,WAPDA,水力開発に拍車をかける
●マレーシア,サラワク,70万KWリワグダム,再び脚光


参考資料

2008年7月11日分

パキスタン

●080711A Pakistan,
WAPDA,水力開発に拍車をかける
Work on hydropower projects being accelerated
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=123382

マレーシア

●080711B Malaysia,
サラワク,70万KWリワグダム,再び脚光
Liwagu dam project on SESB
http://www.dailyexpress.com.my/news.cfm?NewsID=58600

インド

●080711C India, Central Chronicle
ガンジス川上流で,125kmの区間に及ぶダム段階開発が進む
State Pulse Uttarakhand The last 125 km
http://www.centralchronicle.com/20080711/1107303.htm

インドネシア

●080711D Indonesia, The Jakarta Post
ジャカルタの電力制限は2009年まで続く
Power rationing until 2009
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/11/editorial-power-rationing-until-2009.html

ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月10日分 ー電気がないならせめて情報でも

「電気がないならせめて情報でも」,送りなさい,と言っているのは,インドネシアの電力不足に悩むジャカルタ商工会議所の代表がPLNにぶっつけた言葉である。とにかく突然に電気を切ってしまって,機械が止まってしまい,どうしようもない,と不満をぶちまけている。ぎりぎりの線でピーク料金を上げるなど,姑息な手を打って凌いできたPLNであるが,ここに来て主要発電所の発電に支障が出てきて,電力不足がジャカルタ市民の生活を直撃している。7月11日からは街頭の交通信号にも影響が出て,混雑を極める道路にも影響が及ぶだろうという。

記事の中には,日本企業のグループの名前も出てくる。日本企業は,これだけODAを注ぎ込んだジャカルタで停電が起こって,日本企業が被害を受ける状況は,ODAを担当する日本政府の責任だ,と息巻く連中もいる。JICAも非常に適切な時期,5年ぐらい前にマスタープランを入れておきながら,その結果を十分に活かすことが出来ずに,批判を浴びている。今また,JICAーニュージェックでマスタープランを投入中だが,中国が本格的に進出したジャワ島では,日本の威力は十分に発揮できないだろう。とにかく,マスタープランを入れたら,それを徹底的にフォローする執念深さが,JICAにもコンサルタントにも要求される。

ジャワ島西部のチソカン揚水などは,相当前からプロジェクトが動きながら,全然実現に至っていない。この時期の揚水発電所は,ジャワバリ系統にとって大きな助けになったはずだ。関係者の熱意の不足を感ずる。特に,石炭火力が大きく動き出す2009年には,大規模な揚水発電所が必要になることは目に見えている。インドネシアのことを真剣に考えてあげる日本の技術者がいない,と言いたくなる。

まあそれも,インドネシア政府が中国へ傾倒していったせいもある。中国の石炭火力の安さには,日本はとても太刀打ちできないから,電源が中国の手に渡っても致し方はない,Jパワーが,石炭とダムは中国に任せておけばよい,と言っているように,それでよいのだが,日本の出番はジャワ島に散在する石炭火力を,どの様にうまく総合運用して行くのか,その一貫としては,サグリンチラタの大水力のピーク時の運用問題やチソカンの揚水をどうするか,一つのキーポイントだろう。少し時宜を失した感はあるが。


本文

●ジャカルタの企業群,もし電気を寄越さないならば,情報ぐらい寄越しなさい

ジャワバリ系の電力不足の問題は,何かとんでもない方向に走っているようだ。どうやって供給力を確保するか,よりも,もう諦めて,停電にどの様に対処するかの問題に,議論の焦点が移ってきている。ジャカルタ商工会議所も,「電気を寄越さないなら情報を寄越せ」,と言っているように,電気が来ないことは分かったから,突然に切らないで,きちんと切る時間を教えてくれ,と言うわけだ。

また,関係閣僚会議が開催されて停電への対応策や共同の省令を準備するという。何かと思えば,どの産業を優先的に電気を供給するかの優先順位を決定するものだという。従来から病院や政治の中枢などには優先権があったのだろうが,個別の産業への優先権を省令で決めるというのは,まさに前代未聞ではないか。ジャカルタの電力不足問題はここまで来ているのである。

●ジャカルタの計画停電,交通混乱の引き金になる

それこそ私の友人の友人が最近ジャカルタへ転勤した,挨拶回りの一日で,4時間は車の中へ閉じこめられたままだったという。これは停電の性かどうかは分からないが,記事では,7月11日より25日まで一斉に輪番停電を行うという。優先供給の対象は,汽車,病院,学校,政府庁舎,空港だと言うが,PLNによると,交通信号は系統の複雑さから,停電の影響を受ける可能性が強いという。

交通の大混乱を招くことは必至で,それでなくても交通ラッシュに悩んでいるジャカルタでは大変な混乱が予想されている。昨日も報道されていたが,直接の問題は,BPが運営するスマトラ,ジャワ間の海上で,ガスのパイプラインが故障して,90万KWのタンジュンプリオク,75万KWのムアラカランがフル稼働できないことのようだ。石油炊きで対処しているが,大幅に出力が落ちている。

●インドの発電ビジネス,いよいよ最盛期へ

いつもインドの記事を探るときに,インディアインコという言葉が目を引く。最初はインディアインコという企業のことが書いてあるのかと思っていたが,恥ずかしながら一度密かに調べてまでしたことがある。インディアインコというのは,現在70万社とも言われるインド企業の総称のことなのだ,だから,インディアインコと言う言葉が出てくれば,インド経済の全体を扱う記事と見て間違いない。

「ノーブレインナー」,何の考えることもせずにやれる仕事が,インドでは今や発電事業だというのである。7%から8%と言う高い経済成長の中で,発電設備は常に不足に悩んでいる,何も難しいことを考えずに投資しても,決して失敗することはない,と言うのである。事実,この3ヶ月間に15の発電とは関係ない企業が,発電への投資に踏み切ったという。

このメールの読者にはもう常識だが,インドの発電総設備は1億4500万KWであるが,2012年までの第11次五カ年計画で7800万KWの電源開発が予定されている。ある企業のトップも,発電事業は決してバブルではない,基礎のしっかりした経済活動に入ってきていると。

●フィリッピン,アンブクラオ,ビンガなど,修復工事が始まる

故障したコンピューターをそのまま修理せずに売りに出すような感じの,フィリッピンの発電資産売却である。インドの配電設備などは,民営化する前に修理しておかねば恥ずかしい,と言うので,ADBや世界銀行がそのリハビリに支援の手を差し伸べている。フィリッピンのこのアンボクラオービンガの水力は,土砂で埋まったままの発電所を売り出して,本当に恥ずかしい限りである。

二つ併せて175MWの発電所を買い取ったのは,ノルウエー籍企業のアボリティスなどの合弁,買い取り価格は325百万ドルであるが,修復に,ビンガの水車発電機の取り替えを含めて,約200百万ドルを予定している。発電所は建設してから既に40年以上が経過している。


その他

●インド,アルンチャル州政府とNHPC,ディバング水力開発で衝突
●ネパール,34MW,マルシャンディ第3水力,資金調達完了へ


参考資料

2008年7月10日分

フィリッピン

●080710A Philippines,
アンブクラオ,ビンガなど,修復工事が始まる
Rehab of Ambuklao, Binga power plants starts
http://www.mb.com.ph/PROV20080710129444.html

ネパール

●080710B Nepal, Nepal News
34MW,マルシャンディ第3水力,資金調達完了へ
BPC and ACE seal a financial deal on developing a hydro project
http://www.nepalnews.com/archive/2008/jul/jul09/news05.php

インド

●080710C India, Economic Times
インドの発電ビジネス,いよいよ最盛期へ
India Inc lured to power generation business
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_Inc_lured_to_power_generation_business/articleshow/3216272.cms
●080710D India, Live Mint
アルンチャル州政府とNHPC,ディバング水力開発で衝突
Arunachal, NHPC blame each other for Dibang project delay
http://www.livemint.com/2008/07/08005711/Arunachal-NHPC-blame-each-oth.html?d=1

インドネシア

●080710E Indonesia, The Jakarta Post
ジャカルタの計画停電,交通混乱の引き金になる
Scheduled power cuts may trigger traffic chaos
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/10/scheduled-power-cuts-may-trigger-traffic-chaos.html
●080710F Indonesia, The Jakarta Post
ジャカルタの企業群,もし電気を寄越さないならば,情報ぐらい寄越しなさい
Businesses demand certainty from PLN over power supply
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/10/businesses-demand-certainty-pln-over-power-supply.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月7日分 ー保険制度の信頼感を実感

「保険制度の信頼感を実感」,2週間ほど出張していて,親しい友人からも,どうした,なぜ日刊が日刊でないのか,何かあったのか,と電話がかかってきたり,心配してくれて,有り難い話である。私が元気であるかどうか,それだけに注意しながら面倒なメールを我慢して受け取っていてくれる友人達の数も結構多い。年齢もあるから,その友人達の心配は有り難い。

今度は,帰国直前に用事が出来て帰国の予定が2日ほど伸びた。その結果,海外保険が切れたまま2日ほど海外に滞在することとなった。結構気持ちの悪いものである。若いときの海外旅行では,子供達がまだ学校に行っていたので,しっかり生命保険に入っていたが,子供達が成長してもう大丈夫かな,と大きな保険は止めようとしたが,止めた途端に飛行機落ちたりして,落ちながら悔いを残すのは残念,としばらく続けたことがあった。

今の場合は少し状況が違う。今の心配は,海外で倒れた場合,治療や遺体も含めた日本への輸送費など,数千万円が必要な場合がある。これは家族にとっては全くの持ち出しで,今度でも,保険が切れた朝からあのマニラの危ない交差点を走る車を縫いながら横断して,随分神経を使った。食事していても,あれっ,何か気分が悪いなあ,大丈夫かな,と気のせいとは思いながら,飛行機に乗り込んだときはホッとした,ここから先は何が起こっても航空会社がやってくれるだろうと。

それで日本に帰って,日本というのは何と安心な国なのか,と改めて感じてしまったわけである。どこで倒れたってどこで交通事故に会っても,何も心配することはない,と言うのは,いつもその様なことは全然考えないのに,改めて社会制度の充実した国で生活できることが安心なものなのか,と思わぬことに感心してしまったわけである。経済大国に住んで政府のシステムに守られている老いて行く,皆さんは不満ばかりで,そんな実感したことないでしょう。

帰ってきたら,早速,市役所から,介護保険を払え,と言う請求書が来ていた。


本文

●強い経済,忍び寄るインドネシアの電力危機

しばらく見なかったインドネシアの需給問題であるが,この記事は投稿記事としても,ジャカルタ現地で業務に当たる永井さんのメールを見ると,そうとうに深刻な状況となって,ジャワバリ系統の昼間の停電が頻発し,日系企業からもPLNに対する苦情が続出しているようだ。最近のインドネシアの経済成長は順調で,年間5.5%から6.3%の伸び率で,2006年以降,設備出力が増えていない分,事態は深刻だ。

記事の中で問題になっているのは,予備力が減少して,どこかで事故があると決定的な事態を引き起こす。まず,チラチャップの石炭火力60万KWが,石炭供給不足で出力低下を起こす,ムアラカランとタンジュンプリオクの火力が,ガス供給の故障で倒れる,更にチラタやサグリンの大規模水力が渇水期で昼間のピークに対応できない,など問題の連続である。

さすがのカラ副大統領,アジア開発4人男の一人,も強気の発言で,1,000万KWのクラッシュプログラムは2009年運転開始を目指して順調に進んでいる,としているが,実際にはかなりのプロジェクトが2010年にずれ込む可能性を否定していない。

なぜ燃料不足が起こるのか,特にチラチャップの石炭不足などは理解しがたい問題だが,永井さんの言葉を借りると,どうも長い間電気料金を抑えられてきたPLNは,資金不足に悩んでおり,燃料支払いの遅滞が起こっているようで,これも燃料供給不足の原因ではないか,と考えているようだ。とにかく,何も手を打たないフィリッピンなどに比べると,インドネシアは積極的に開発を進めているが,契約問題や資金調達に於ける政治的な絡みも,工事の進行に影響しているようだ。

●フィリッピン国会,電気事業法改正を棚上げ

大もめに揉めた電気事業法EPIRAの改正問題,遂に国会は棚上げとすることに同意したようだ。先日は,外国企業の商工会議所が,直接アロヨ大統領に,改正問題にけりを付けてくれ,そうしないとこの不安定な状況では投資も出来ない,と手紙を書いたら,国会のエネルギー委員長であるサンチャゴ女史が,我々は国民のために働いているので外国企業のために働いているのではない,と外国企業の行動を強く批判した。

改正問題では何が揉めているのか,少しよく分からないが,誰でも好きなところから電気を買うことの出来るオープンアクセスを促進することで改正案が出ていたのか。もう今現在,需要家も1メガワット以上の大口は,2009年半ばにもオープンアクセスで納得し,改革が進められているのだから,何も今更法律をいじる必要はない,との上下院の合意が出来た,と言うことは,外国企業の申し入れに同意した,と言うことか。

しかし,従来,前ラモス政権がとってきた電源開発の積極策は,NPCの負債問題で揺れて,これを一挙に電力改革で解決に持っていこうとした結果は,結局,WESM,電力自由取引市場の創設と,まもなく効力を発生すると思われるオープンアクセスに戦いて,電源開発への意欲が萎縮し待っており,2010年とも言われる電力危機が現実味を帯びてきた。


●インド,アッサム新知事,ブラマプトラ川の開発促進を叫ぶ

この新知事の提案には二つのポイントがある。彼はまず,大規模ダムは必要ない,と言っている。それはこの大流域の河川で低落差または流域変更で,大きなダムを造らずに,水力発電を開発することは可能であろう,と言っている。これは一つには,この新知事の周囲で巻き起こっている学生やNGOの大ダム建設反対への動きを考慮したものであろう。

もう一つは,隣のアンデラプラデッシュ州と提携して,ブラマプトラ川開発庁を組織しよう,と言う提案である。これは,ブータンなどの動きをどう見るか,国際的な組織となって行く可能性も含まれており,なかなか関心のあるところである。


その他

●カンボジア南西部,水力開発が森林を破壊する
●パキスタン,WAPDAは,水力利用への最大限の努力を行う


参考資料

2008年7月7日分

パキスタン

●080707A Pakistan, Daily Times
WAPDAは,水力利用への最大限の努力を行う
‘WAPDA striving for optimal hydropower use’
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C07%5C04%5Cstory_4-7-2008_pg5_12

フィリッピン

●080707B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン国会,電気事業法改正を棚上げ
House to shelve EPIRA amendments
http://www.mb.com.ph/BSNS20080707129175.html

インド

●080707C India, Hindu
アッサム新知事,ブラマプトラ川の開発促進を叫ぶ
Tap Brahmaputra hydropower: Mathur
http://www.hindu.com/2008/07/05/stories/2008070551040700.htm

インドネシア

●080707D Indonesia, The Jakarta Post
強い経済,忍び寄るインドネシアの電力危機
Bigger power crisis looms
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/03/editorial-bigger-power-crisis-looms.html

カンボジア

●080707E Cambodia, Phnom Penh Post
カンボジア南西部,水力開発が森林を破壊する
Dammed if you do...
http://www.phnompenhpost.com/index.php/2008070415884/Online-Edition/Dammed-if-you-do.html


ー 日刊アジアの開発問題 2008年7月4日分 ー中国エネルギー事情に異変

「中国エネルギー事情に異変」,と論じているのは,いつも中国に対する辛口の論評でなる宮崎正之氏のメルマガである。情報源としては詳細は必ずしも高くないが,四川省が,一般に考えられているよりは,中国のエネルギー問題にとって重要な地域であることを強調している点に置いて,一読の価値がある。そこに書かれているのは,四川省の石油生産であり,水力ダムであり,更には原子力発電プロジェクトである。

氏の情報から数字を抜き出させて頂くと,四川省内だけで391の水力発電所が稼働してきたとされているが,各行政単位で中央の許可を必要としない中小規模の水力は110カ所,と論じている。また,4つの原子力プロジェクトが進行していたようだ。中国全体の原子力発電計画は,2020年に20ギガワット開発という壮大なもの。氏は,中国はこれからの総合的エネルギー計画の根本を見直すことになるか,と論じている。


本文

●インド中央政府,水力開発の促進のため企業を鼓舞

常にインド国会から,その対応のまずさを指摘されて苦境に立たされるシンディ電力大臣,国会の外に出ると,如何に五カ年計画に沿って計画が順調に進んでいるかを積極的に記者団に語ることにしている。先週も大規模火力のマディアプラデッシュ州ササン火力の建設が遅れていたところ,2基のうち1基については計画年度内に完成する目処がつき,ここで大見得を切ったところである。

彼によると,第11次五カ年計画で78,755MWの完成を目指しているうち75,000MW分については既に機器発注を終えている,としているが,この重電機器の鋼材不足が言われる中,契約がうまく進むのかどうか,大いに心配なところである。現在インドは,30GWの電力設備が不足していると言われている。

これに対してヒマラヤ地域では,150GWの水力包蔵があると言われており,今回のシンディ電力大臣の発言の大きな趣旨は,引き続き水力開発に携わる企業に対する優遇措置の再確認が目的だったようだ。企業によって開発された電力のうち,40%については企業側に売電先の選択が許される,という内容。ヒマラヤですよ,どこに売るか,と言われたって,選択のしようがないと思うのだが。

UPIも同じ内容の報道をしているが,インド政府,水力開発へのインセンティブを強化,として,40%自由化を強調している。特に,シンディ大臣が,国会を意識しながら,今回五カ年計画の目標は,現段階では依然として目標死守の姿勢を貫いている。

●水力開発に乗り出すNHPC,環境省から基準について糺される

少し理解困難なところがあるが,水力開発の環境調査について,NHPCは,2006年に制定された環境インパクトアセスメントEIAの法律に従ってEIA並びに環境マネージメント計画EMPを実施するつもりなのか,或いは現在草稿段階にある海岸マネージメント地域法CMZに従うのか,どうなのか,と逆に環境森林省から聞かれている。NHPCは勿論,2006年の環境法に従って認可を受ける,と答えている。

環境森林省の意図はよく分からないが,CMZは,マーングローブ,珊瑚礁,海浜などの保護と島嶼地域の環境を言っており,潮汐発電所と水力発電所を対象としている。これは,大河川の上流で開発される大規模貯水池が,河口の海岸地域に与える影響を言っているのかも知れないが,何とも不可解な両者のやりとりである。

NHPCは,現在14発電所,5,175MWを保有しているが,現在11プロジェクト,4,622MWを新たに開発推進中である。2017年までの第11次五カ年計画の中では,10,000MWを開発することになっている。NHPCは言っている,困難な条件の中で我々は戦っていると。それは,地質の悪さ,難しい法律,アクセス困難な地域などとの戦いであると。

●ネパールのブディガンディ水力,コンサルタント指名

ネパールで初めての大規模貯水池型の開発,ブディガンダキは,インドのサングループとロシア企業が造る合弁企業によって民間開発されることに決まっているようだ。このJVは,ブディガンダキ600MWだけでなく,インドのヒマラヤプラデシュ州の水力など,地域の水力開発を幅広く著鬱しているようだ。ブディガンダキの調査コンサルタントには,モットーマクドナルド社が指名された。どこのコンサルタント?


参考資料

2008年7月4日分

インド

●080704A India, Financial Express
水力開発に乗り出すNHPC,環境省から基準について糺される
NHPC hydro-electric projects caught in red tape over govt’s green signal
http://www.financialexpress.com/news/NHPC-hydro-electric-projects-caught-in-red-tape-over-govt-s-green-signal/330968/
●080704B India, Water Power Magazine
ネパールのブディガンディ水力,コンサルタント指名
Motts appointed to study Nepal dam options for RusSUNHydro
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectioncode=130&storyCode=2050068
●080704C India, Pepei Pen Net
インド中央政府,水力開発の促進のため企業を鼓舞
Indian government to give boost to hydropower
http://pepei.pennnet.com/display_article/333167/6/ARTCL/Display/none/1/Indian-government-to-give-boost-to-hydropower/
●080704D India, UPI
インド政府,水力開発へのインセンティブを強化
India announces incentives for hydropower
http://www.upi.com/Energy_Resources/2008/06/30/India_announces_incentives_for_hydropower/UPI-28441214872871/


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