2008年9月29日更新
[ HOME ]


2008年8月 2008年7月 2008年6月 2008年5月 2008年4月 2008年3月 2008年2月 2008年1月 2007年12月分2007年11月分2007年10月分


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月30日分 ーフィリッピンの再生可能エネへの取組

「フィリッピンの再生可能エネへの取組」,この8月26日に,「フィリッピン,エネルギー省,ココナツメチール計画,加速を要請される」,と題して,ココナツからとれるメチル油を自動車のガソリンの中に2%以上混入させることを法律で決めてしまった,それも2009年,来年の2月までに完全実施ですることが,報告されている。本当に出来るのか,とASEAN諸国が,息を詰めて見ている,となっている。

先日9月28日には,原油生産が落ち込み始めて焦っているインドネシアが,エネルギー省の省令で,発電燃料も含めて,2008年10月1日から発電燃料などへの一定量のバイオ燃料混入を義務化,試行し,2009年1月1日からバイオ5%混入と言う大量の義務化を伴う本格運用に入る,と報告されている。

今回フィリッピンは,大胆に,上院が,再生可能エネルギー法案 Renewable Energy bill を通過させて,先日のインドネシアに続き,ASEANのトップを走ることになった。上院では,Senators Edgardo J. Angara や Juan Miguel Zubiri などが中心となって,この先5年で10億ドルの市場となるだろう,と囃している。最大の宣伝文句は,これにより,原油輸入の代替として,金額にして36億ドルまたは2,000億ペソの経費削減となる,としている。

NEDOが解説しているように,結局は,2007年1月15日にセブで開催されたASEANサミットで,「東アジアエネルギー保障宣言(代替エネルギー協定)」である。これを受けたフィリッピンは,その時,4点の政策を掲げている。化石燃料効率化,水力など再生可能,バイオ燃料,市場の国際化,の4点である。

私は,フィリッピンが板挟みになっていると思う。国民からは,近隣諸国で一番高い電気料金の問題を追求され,一方で資源に恵まれない国として,高い電気料金を要求することになる再生可能エネルギーの開発,即ち,国内資源を活用して海外依存度を減らさねばならない事情である。私は,国際市場を信頼して,しばらくは輸入石炭による石炭火力の増設を行うのが,この10年の課題だと思うが,どうであろうか。

今日は10月1日である。おめでとう,JICAと旧OECF並びに外務省の無償資金を飲み込んだ新JICAの発足の日である。世界の電源開発に貢献してきたJBICの解体は残念であったが,技術協力と資金供与が少しでも一体化されるならば,それもよしとする。私の持論は,閣僚レベルのODA調整審議会の設置による長期プロジェクトの支援であり,このためにはODA基本法が必要なのだろう。

フランスのサルコジ大統領は30日,パリでインドのシン首相と会談,民生用原子力分野の協力について協議し,両国間の協力協定に調印した,と報じられている。米印原子力協力協定の進展と共に,原子力でのインド支援の世界の枠組みが,完成しつつある。


本文

●フィリッピンの上院,再生可能エネルギー法を承認

ココナッツなどのバイオ燃料法が施行されて話題となって,ASEAN諸国の注目を浴びていたフィリッピンは,今回上院が,再生可能エネルギー法案 Renewable Energy bill を通過させて,先日のインドネシアに続き,ASEANのトップを走ることになった。上院では,Senators Edgardo J. Angara や Juan Miguel Zubiri などが中心となって,この先5年で10億ドルの市場となるだろう,と囃している。

最大の宣伝文句は,輸入原油の削減による国家財政の立て直しで,今回の原油高が大きな引き金となった。政策の根幹は,2014年までに2,500MWの再生可能エネルギーによる発電施設を完成し,これによって1億バレルの原油輸入を節約,金額にして36億ドルまたは2,000億ペソの経費削減となる,としている。

具体的な発電所としては,太陽光発電が2030年までに4,700MW,2050年までに13,000MWを開発する。また風力は2030年までに15,000MW,2050年までに22,000MWを開発する,としている。電気料金はますます跳ね上がることになる。原油輸入に頼らなければならないことが,国民の不安をかき立てていることだ。

NEDOが,フィリッピンの再生可能エネルギー開発に関する報告を行っている。少し前のものであるが,東南アジア諸国の再生可能エネルギー開発の原典は,2007年1月15日にセブで開催されたASEANサミットで,「東アジアエネルギー保障宣言(代替エネルギー協定)」である。これを受けたフィリッピンは,その時,4点の政策を掲げている。

一つは,化石燃料使用に際する効率性及び環境性能の向上,二つは,エネルギー効率の増大と転換プログラム,水力,再生可能エネルギーシステム,三つは,バイオ燃料生産及び使用を通じた従来型燃料への依存軽減,4つは,経済的に無理のないエネルギーを推し進めるASEAN域内及び国際市場の奨励。いずれも文章は綺麗だが,難しい問題ばかりである。

関連資料
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1000/1000-03.pdf

●ベトナム,メコン上流での水力開発に懸念表明

この9月26日の本欄で,9月25〜27日までビエンチャンで MRC's Regional Multi-Stakeholder Consultation が開かれて,中国が参加したこと,上流の中国側が洪水に関する資料提供を約束したこと,などを報告した。今日は突然ベトナムサイトから発信された情報は,ベトナム代表として会議に参加した Dao Trong Tu, deputy secretary general of the Vietnam National Mekong Committee の発言についてである。

彼は,メコン流域内での水力開発に懸念を表明した。全くベトナムに言われたくない,と言う感じである。ベトナムは水力開発が好きで,水力に偏りすぎて,渇水期に電気が足りなくて困っている,と言う記事も出ていた。ベトナム代表は,ダムの建設が魚類の生息環境に影響を与え,それを生活の糧としている流域住民に被害を与えている,と主張する。

ベトナムのメコン下流では,pangasius と言う魚がいて,これが年間10億ドル相当の水揚げとなっているというのだが,ちょっと信じられない大きな数字である。現在メコン下流で計画されているダムの数は80カ所,そのうち11がラオス領内,全部の出力は40,800MW,貯水容量は全部で700億トンであるという。

いろいろな発言の中で,Do Manh Hung, director of the Mekong River Commission’s Operation Department の発言は注意を引く。殆どの水力は民間資本によって開発されているが,各国政府の関与が足りない,と彼は言うのである。開発の初期に,ラオス政府が開発の一部をシェアーするのはおかしい,と私も言い続けたことがあった。環境など監督規制の立場と,開発の立場は,やはり分けるべきなのだろう。

●インド政府,リライアンスのKGガス,電力への供給ストップ

インドの Reliance Industries (RIL) が進めるKG流域,Krishna-Godavari basin の天然ガス生産については,先日も取り上げたばかりである。「原油40,000 barrels of oil per day (bopd) と 240-350 mmscfd の天然ガス生産である。これらを含めて,リライアンスは,インドの原油ガス生産の50%を抑えることになる。」,と,RILが期待以上の成果に満足している,という内容であった。

今回,インド政府が執った措置は,天然ガスの優先順位がおかしいではないか,と言うところに起因している。天然ガス生産者である Reliance Industries (RIL), RIL-NIKO が,天然ガスを Reliance Natural Resources Ltd (RNRL) とNTPCが合弁で進める発電所に優先供給しようとしたところ,関係閣僚会議 The empowered group of ministers (E-GoM) が決定した国家ガス基本政策 Gas Utilisation Policy に反するという。

実際問題,この政策では,肥料工場が優先権を持っていて,肥料が必要としている天然ガスの量は,2011年から12年にかけて,76.39 million standard cubic meter (MMSCMD) とされているが,KG流域のガスは,40 MMSCMD しかないので,発電が使用する場合は,元々LNGガスを使用することになっていたはずだ,と言う政府の解釈で,電力へのガス供給がストップされている。

リライアンスの Mr Ambani 会長は,財務大臣や政府の幹部の間を走り回っており,この難問の打開に懸命である。この問題は結局裁判所に持ち込まれることになりそうで,産出が確認された貴重な天然ガスも,インド特有の政治紛争の中に,巻き込まれそうだ。

●カンボジア,原子力開発を視野に

寝耳に水,とはこのことを言うのかな。カンボジアが突然,2020年までに原子力発電所を開発することを視野に入れている,と情報が流れた。短い記事で,カンボジア政府が,具体的なアクションをとっているとは思えないが,これで東南アジア諸国で,全く原子力開発に触れていないのは,ラオスとミャンマーだけになってしまった。

私たちもよく知っている A secretary of state for the Ministry of Industry, Mines and Energy, Sat Samy,彼は既にこのような肩書きを持った有力なエネルギー官僚になっているのだ。彼はさすがに冷静で,押しかける記者に対して,「ASEANの閣僚会議で既に議題に上っているではないか,ASEANでは,メンバー国は原子力エネルギー開発の促進,と言うことで合意している。」,と冷静に答えている。


Refertence

Vietnam

●080930A Vietnam, thanhniennews
ベトナム,メコン上流での水力開発に懸念表明
Vietnam voices worry over Mekong hydropower

http://www.thanhniennews.com/education/?catid=4&newsid=42422

Philippines

●080930B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンの上院,再生可能エネルギー法を承認
Senate passes Renewable Energy bill
http://www.mb.com.ph/MAIN20080930136623.html


India

●080930C India, Economic Times
インド政府,リライアンスのKGガス,電力への供給ストップ
Govt may block KG gas flow to RNRL, NTPC
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Govt_may_block_KG_gas_flow_to_RNRL_NTPC/articleshow/3542676.cms

Cambodia

●080930D Cambodia, radioaustralia
カンボジア,原子力開発を視野に
Cambodia looks to nuclear power
http://www.radioaustralia.net.au/news/stories/200809/s2378032.htm?tab=asia


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月29日分 ーインドの地球温暖化との戦い

「インドの地球温暖化との戦い」,今日の話題は,余り私の知らない分野であるが,タイトルが余りにも大袈裟で,これでインドの電力不足は解決する,とまで書いてあるので,まあ読んでみるか,と言う気になった。それは,インドのムンバイを中心としたグリーンビルディングへの挑戦であり,またインド北部,山岳州の Himachal Pradesh 州政府の再生可能エネルギーへの挑戦である。

インドの人類としての地球温暖化への挑戦は,石炭火力を如何に抑制して行くか,がもっとも大切と思うが,最近は日本政府,JICAなども,インドの電力分野の効率化に取り組んでいる。それがグリーンビルディングであり,小規模な再生可能エネルギーであるにしても,インドの人々の意識の高揚が,大きな力に結集されて行くことを願う。

グリーンビルディングは,インドでは現在,敷地面積にして2万平方フィートに過ぎないが,これを2012年までに10億平方フィートに拡大する,としている。インド・グリーン・ビルディング協会 Indian Green Building Council (IGBC) の構想である。建築構造そのものから,太陽光や雨水の利用を考えているらしいが,通常の建築に比べて,40〜50%の電力使用量が節約されるとしている。ビルの電力需要は全体の20%だと言っている。

インド人に言われたくないと思って,日本はどうなっているのか,調べてみたが,大々的に実施している,という資料には行き当たらなかった。おそらく,電力会社などは大きな関心を持っているだろうし,研究も進んでいると思う。米国では,1994年7月に,「全米グリーンビルディング協会(US Green Building Council) が設立され,建築業界は勿論,電力・ガス会社,金融・不動産,地方自治体,大学,環境保護団体,一般製造,メーカー等が参画し,業界の枠を超えた活動を展開しているという。

私は,バンコクやジャカルタなどの電力需要の歴史的な動きを見ていて,次のように考えている。経済成長が高いレベルになると,夕方のピークよりは昼間のピークが高くなる。これは,経済を成長させている企業の主要都市のビルディングがどんどん増えてきて,特に冷房需要が大きく増えてくる。だから,必ず朝9時に冷房のスイッチを入れ,大部分が夕方5時にスイッチを切るので,8時間ピークが究極の需要の形だと。

だから,例えばタイなどは,現在の状況を見てラオスの水力に15時間などの昼間負荷の運転を要請しているけれども,これは必ず8時間ピークに収斂してくる。だから例えば,ナムテン2水力は15時間で1,000MWであるが,近い将来,必ず2,000MWに増設する必要があると。このような観点からも,グリーンビルディングは,電力需要に大きな影響を与える。

今日は,このグリーンビルディングの他,Himachal Pradesh 州の再生可能エネルギー開発への努力と,明日から開催されるネパールとインドの水資源連絡会議が話題になっている。ネパールの水資源問題を解決するため,ダムの高さは,Pancheshwor が315m, Kosi High Dam が269mとなっているから,とんでもない大規模ダムと発電所の計画である。もっとも,ヒマラヤからの土砂流出や,下流の洪水防御を考えると,この規模のものが必要だが,その資金調達と建設期間を考えると,気が遠くなる。


本文

●080929A インドとネパール,水資源全体の高官レベル協議を明日開始
●080929B インド,Himachal Pradesh,水力再生可能で,炭素無排出の州に
●080929C インド,グリーンビルディング,ムンバイで大きな話題に


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月28日分 ーインドネシアのバイオ燃料

「インドネシアのバイオ燃料」,産油国仲間から転落したインドネシアはかなりのショックで,国会でも,本当に原油生産は落ちて行くのか,と関連企業のトップが喚問されて,追求を受けている。バイオ燃料の使用義務化については,先日もフィリッピンが法制化したが,その時,ASEAN諸国の見方は冷静で,フィリッピンの成り行きを見てから決めよう,と言う姿勢であった。

ところが,不安に我慢しきれなくなったインドネシアは,Energy and Mineral Resources Minister Purnomo Yusgiantoro の省令として,2008年10月1日から発電燃料などへの一定量のバイオ燃料混入を義務化,試行し,2009年1月1日からバイオ5%混入と言う大量の義務化を伴う本格運用に入る。特に,cassava, sugarcane and sweet sorghum からとれる bioethanol は,現在,192,349キロリッターであるが,これを2010年には,大きく伸ばして,400万キロリッターとする目標の下に,今回の法制化がなされた。

現在の世界の総量の情報を当たってみると,2005年末の資料であるが,バイオエタノールが3,650万キロリッターと報告されている。今後の主流はバイオエタノールで,アメリカ,ブラジルの2カ国の生産量が突出,EU,中国,インド等で生産量は拡大している。生産されたバイオエタノールはガソリンとの直接混合で利用。アメリカの一部の州やブラジルでは,混合割合の義務化がなされている。

前にも紹介した鈴木篁氏の数字がある。マクロな数字として頭に入りやすい。「現在途上国の未開発潜在耕地は2,054MHA,今後農地として開発される1,059MHA,残りの995MHAの森林を輪作してバイオメタノール(バイオエタノールではなくてメタノール),これで石油換算年間58億トンを得る。」,としている。「2100年の総需要112億トンとして,原発水力60億トンを除いた52億トンがバイオメタノール」。

氏も,cassava, sugarcane and sweet sorghum からとれる bioethanol には否定的で,荒れ地に植生させる biomethanol,とわざわざ念を押している。私の主張は,バイオ燃料は主用燃料とはなり得ない,と言うことである。地球を面的に使ってエネルギーをかき集めて,将来の主用燃料に,と言う考え方は,地球を荒廃させる。石油燃料よりも,バイオ生産過程で節約以上の二酸化炭素を排出する,と言う研究結果もある。かけ声を掛け合って,原油価格を牽制する程度の役割しかないだろう。

インドの重電メーカーの話題がある,カトマンズから一点コルカタに飛んだインドの Ramesh は,NTPCとBHELの両公社で進もうとしていた5000MWプロジェクト関連で,他の私企業の51%参入をごり押しした。時折しも,一昨日の米国国会下院で,米印原子力協定が可決された。今回のコルカタの問題では,日本の東芝と組む Larsen & Toubro が含まれており,また,昨年,東芝は原子力で米ウェスチングハウスを買収している。インドの重電業界は風雲急である。

Reference

India

●080928A India, Economic Times
3つの企業,NTPCとBHELの合弁に主導権
Three major firms eye 51% in NTPC-BHEL JV
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Three_major_firms_eye_51_in_NTPC-BHEL_JV/articleshow/3532426.cms

Indonesia

●080928B Indonesia, The Jakarta Post
政府,バイオ燃料の推進に関して,義務づける法律
Government mandates gradual phase-in of biofuel for industries
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/27/government-mandates-gradual-phasein-biofuel-industries.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月27日分 ーサルウイーン河のダム開発

「サルウイーン河のダム開発」,私がサルウイーン河を最初に目の前にしたのは,2000年10月3日だ,と書いている。ミャンマーから入ってマンダレーで集結し,西のはて,中国との国境に近いコーカン特別自治区に入る途中で,道路の脇を流れる大河に接した。予感通り,水はどす黒く不気味な河であった。これが,全くダム開発が行われていない処女河川なのである。

タイが経済発展を遂げる1980年代後半には,サルウイーンの下流部は,日本の電源開発の庭で,発電と共にサルウイーンの水をバンコクに持ってくる計画が調査されていた。ミャンマーの軍事政権がますます孤立を深める過程の中で,力を付けてきた中国経済の元,中国企業がミャンマーのダム開発を手がけるようになり,日本勢は殆ど撤退した。今は,中国とタイの資本の元に,ダム計画が進められていると聞く。

タイの環境の専門家は,中国の現政権は,少しは海外で勝手に動き回る中国企業をコントロールしたらどうなのか,と問題提起している。この専門家の言い分は,サルウイーンの上流にある中国領内の怒江の問題で,上流と下流とが全く別個に開発計画を動かしているのはおかしい,と言っていて,まさに正論である。メコン河でもこの問題が,昨日の記事で扱われていた。

下流の計画には,Hutgyi ダムと Tasang ダムがあり,比較的規模の小さい Hutgyi ダムが先行しているが,Tasang ダムについては,タイの企業が40%の持ち分で走っていたのに,ミャンマー政府がこれを取り上げて,ミャンマー政府の持ち分を増やし,中国企業の持ち分を51%,マジョリティにして,中国企業に主導権を与えようとして問題になった。今日の記事の Wai Gyi ダムはこれより上流で,中国の主導であろう。

上流の中国,怒江の開発については,嘗てタイム誌が取り上げたことがある。サルイーン河上流,中国領内の怒川のダム開発の雰囲気について,住民の立場或いは環境団体の立場から,中国の地方政府の施策を批判的に書いたものであった。

新政権,湖錦濤の時代になって,温家宝が首相となったが,温家宝首相はダム開発に関して,国家的な目的は理解しながら,かなり消極的で,どんどん進む大規模開発に懸念を示していたようだ。下流についても,中国が主導権をとるつもりならば,何らかの国際的な開発組織を造って欲しいと思う。


本文

●サルイーン河のダム計画,生物多様性環境を破壊する

サルイーン河の開発の中で Wai Gyi ダムサイトが何処にあるのか,確認できないが,おそらく Shan state にある Ta Sang プロジェクトの更に上流にある中国との国境に近い,第3のダムサイトであろう。発電所出力は4,000MW以上で,貯水池の湛水面積は380平方kmで,琵琶湖の半分ぐらいに相当する大規模なダム計画である。

これに反対しているグループは,タイに本拠を置く Karen Environmental and Social Action Network (KESAN) で,40種以上の絶滅危機に瀕している動植物があって,ダム建設によって下流の流量が激減し,この生存が危ぶまれる,と言うものである。

主題以外に,中国とタイの資本が,この成果を持って行くもので,地元への便益還元がなされる可能性はない,との論拠である。中止せよと言うのか,便益を適正に分配せよと言うのか,いつもの通りその論点が確定しないところに問題あり。

●中国,チベットで新しい発電所が運転開始

小規模の水力発電所の運転開始のニュースである。場所がチベットなだけに話題を呼んでいる。40MW規模,Xoka Hydropower Station で,位置は,Gongbo'gyamda County in east Tibet's Nyingchi Prefecture となっている。2006年6月着工,7.23億元,約1.06億ドル相当,ダムの高さは20mで,貯水容量は86万トンの,調整池式水路型と言うところか。

●パキスタン,カシミールの Jagran 水力発電所建設へ

発電所は小さいが,地域が地域なだけに話題を呼ぶ。この Azad Jummu and Kashmir と言う地域は,パキスタンの首都から僅か50kmの西にあって,インドとの間で国境線で紛争地帯になっており,つい先日までは両国の戦場であった。しかし,水力の宝庫であって,既設 Mangla ダムや計画中の Neelum Jhelum Hydropower project 969MWの地点が散在する。

私たちが2000年ぐらいに地方電化で北西辺境州に入ったとき,この地域で活躍するドイツの GTZ (German Agency for Technical Cooperation) のスタッフが造った報告書をよく目にした。とんでもない山の中に居座って,中小規模の水力をまとめて行くねばり強い姿勢に敬意を表したものである。今日の場所は少しそれよりは東方であるが,やはりこれもGTZの成果のようだ。

この Jagran hydropower station は,Village Dilapi in District Neelum of AJK にあって,12.5MWのフランシス水車と16MWのペルトン水車からなっている。流域面積は317平方km。GTZは他に,Dhannan 1.6 MW,Battar 3.2 MW,Jhing 14.4 MW などを準備中である。彼等は偉い。

●フィリッピン,PSALM,NPCのローン返済,日本へ1.84億ドル

フィリッピンの電力改革は,元々は国家電力公社NPC National Power Corporation の負債に発したものである。今日の記事は,600MW Masinloc coal-fired power plant in Zambales の借款の返還に関するもので,相手はADBとJBICである。Masinloc が無事に売却されたことによる措置だと書いている。NPCの負債,2007年末の70億ドルは,2008年9月の時点で58億ドルまで減ったようだ。でもこれからだ。


Reference

Pakistan

●080927A Pakistan, pakobserver
パキスタン,カシミールの Jagran 水力発電所建設へ
Rs 5b Jagran hydropower station
http://pakobserver.net/200809/26/news/topstories09.asp

Philippines

●080927B Philippines, Manila Bulletin
PSALM,NPCのローン返済,日本へ1.84億ドル
PSALM to prepay $ 184-M yen loans
http://www.mb.com.ph/BSNS20080927136361.html

Myanmar

●080927C Myanmar, mizzima
サルイーン河のダム計画,植物環境を破壊する
Junta's hydropower projects to endanger biodiversity of Salween River
http://www.mizzima.com/news/inside-burma/1105-juntas-hydropower-projects-to-endanger-biodiversity-of-salween-river.html

China

●080927D China, xinhuanet
チベットで新しい発電所が運転開始
New hydropower station starts operation in Tibet
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/26/content_10118158.htm


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月26日分 ーメコン流域会議開催と中国

「メコン流域会議開催と中国」,今日のこのメモを書く直前に,友人の紹介で,2006年に執筆された東大の大西香世氏になる修士論文で,「メコン流域に於ける中国と下流国の国際流域の政治学」,と言う論文を見せて貰った。それは勿論,非常に学術的で,私には,まどろっこしい,と思わせるものがあるが,このように深くメコン河に突っ込んでいる研究者が居られるのか,と驚いた。

国際河川の最上流に地域の強国が存在すると,その強国は思うがままに上流の開発を行う,と言う学説があると言うことだ。氏は,中東や欧州などの歴史と比べて,どうして中国はメコン川下流国と,このように協調的なのであろうか。それは,この中国が下流の東南アジア諸国と,水資源以外で深い結びつきがあり,中国が,水資源と他の経済条件を同時に,下流国と折衝しているからだ,としている。

今日の記事の中でも,中国紙が,下流のメコン諸国から感謝されている,と言う記事を載せている。今回正式に調印された洪水時の水文資料の提供のことを言っているわけである。それは,洪水時期,6月15日から10月15日まで,流量資料をメコン河委員会事務局に提供する,と言うものである。大西氏の論文の中にも取り上げられているので,これは2006年には既に資料の提供が始まっていたのだろう。

しかし,私の実感は少し違う。私の実感は,中国の上流部でのダム開発に対して,下流国はよくここまで我慢しているな,と言うことである。確かに環境団体はいろいろ発言をしているが,政府,少なくともミャンマー,ラオス,タイの政府は,一言も不満を言っていないし,これらの政府によって管理されているメコン河委員会も,公式には中国政府に対して,何もアクションをとっていない。

1990年代初め,既に上流の漫湾ダムの建設が終わっていた頃,当時は上流は全く闇の中であった。今でこそ,我々は詳細なダム計画を知っているし,その進捗状況も分かっている。中国の代表が,メコン委員会の前に姿を現したのは,1991年のルワンプラバンの総会の時が初めてである。1998年頃,よく雲南省を訪ねた。下流国は大丈夫か,と幹部に聞いたら,「ASEAN会議で説明して,下流国はノーコメントだ,了承していると言うことだろう。」,と言っていた。

私は,上流のダム開発は,理論的には下流国に恩恵をもたらすと思っている。それは渇水量の補給であり,洪水の制御である。しかしいずれの場合も,両者が話し合って,ダム運用を適切に行った場合の話である。もし下流のことを全く考えずに運用すると,下流国にいろいろな影響が出てくる。もっとも,便益があるから下流国も,上流ダムにお金を出しなさい,とは中国は言わないと思うが。


本文

●メコン河委員会のトップは,中国の協力に満足している

中国側の報道である。9月25〜27日までビエンチャンで MRC's Regional Multi-Stakeholder Consultation が開かれている。ここで,中国から Ministry of Water Resources of China の代表が参加して,メコン事務局長 Jeremy Bird, Chief Executive Officer of the MRC との間で,中国側から河川流量観測所のデーターが提供される,と言う協定が結ばれ,それに事務局長が感謝した,と言う記事である。

上流の Lancang River の2カ所 Yunjinghong and Man'an ,の流量データーを,洪水期,6月15日〜10月15日まで,事務局に通知するというもの。この観測所は,漫湾ダムと景洪ダムの2カ所を意味するのだろう。事務局はこれをどう処理するのか,メコン河委員会のHPには,水位がかなり時間を追って出ているので,そこで情報は公開されるのだろう。

洪水に関しては一応の上下流連絡体制がとれたことになるが,渇水の問題については,両者とも,なかなか触れがたいようだ。実際には舟運や灌漑にも影響が出ているのだが,ダムの影響については,一旦出ると問題は大きくなる。基本的には下流に便益が出る,と考えるべきだ。今回の会議では,中国のコンサルタントが上流の問題をプレゼンテーションしたようだ。

Ph. D. Chen Guanfu, Senior Engineer of China Hydropower and Water Resources Planning and Design General Institute が説明を行ったが,上流ダムの下流への影響は小さい,と断じている。それは,Lancang river が河口の流域面積に対して僅か13.5%だから,と記事は説明している。しかしこれは不適切で,ラオスのビエンチャンでは,30平方kmの流域に対して,上流は20平方kmある。まだまだフランクに議論し合う雰囲気までには達していないようだ。

●メコン河のダム開発は悲劇的な危険をはらんでいる

このメコン河委員会の会議で,環境グループの Dr. Carl Middleton, coordinator of the International Rivers Mekong Programme が88ページに及ぶ報告書を提出して,ラオス政府に,ダム建設を一時中止するよう勧告している。長文の記事であるが,ただ一点,ダムの犠牲となる地元住民の問題を取り上げているようだ。

ダム建設を一時中止せよ,少なくとも,流域全体の総合計画が確定して,ラオス政府が環境保護立法を確立することが前提だ,と主張している。その一方で,ダム建設による便益は,地元住民も含めた関係者全体で分配されるべきだ,と言っている。ダム建設が駄目だ,と言っているのか,ダム建設をして便益を分けようと言っているのか,よく分からない。

●メコン河の水力開発の持続的発展はないのか

ジェームスボンド,どこかで切った名前だな。James Bond is Chief Operating Officer of the World Bank Group's Multilateral Investment Guarantee Agency,彼が昨日のメコンの会議で演説した内容を,5点にまとめてある。彼の前半のポイントはともかくとして,後半の部分に一つの論点がある。それは,メコン河が民間セクターによって開発が進んでいる,という点である。彼はここでMRCを持ち出している。

実は,15年前,メコン河の開発が民間資本に委ねられることが決定したときに,私もメコン委員会にいて,これに関して随分議論した。個別のプロジェクトを個々の民間に委ねる場合は,ラオス政府の法整備が欠かせないと,と主張していた。日本政府にもこの面での支援を要請した。技術基準については,JICAの支援が得られたが,開発そのものについては,結局,世界銀行がナムテン2で,そのコントロールを行うことになった。事実上のラオスのダム開発の法律そのものである。これが他のプロジェクトにも適用されるという保証はない。

●フィリッピン,化石燃料に頼ることを危ぶむ,水力資源はないのか

フィリッピンは,常に国産エネルギーの開発を最重点に置くべき,と言う議論が先行する。余りにも海外の化石燃料,特に石油に頼りすぎだ,と言うのである。これは実際どうしようもない話なのであるが,フィリッピンにはまだ包蔵水力が残されている,と主張している。未開発の水力は,大小併せて13,097MWと言われている。

水力開発の難点は,資本集中型で資金調達が困難なこと,開発に7年のような長い期間が必要なこと,社会的な受容性に問題のあること,それから特に小水力では,経済性に難点があること,などを挙げて,政府の税優遇制度など,公的なインセンティブが必要である,と論じている。

●中国建国50周年,雲南省の麗江など,観光客で賑わっている

写真が素晴らしく綺麗である。今や水力開発を最大のターゲットにしている雲南省であるが,建国50周年行事として,昆明,麗江,大理などを中心に,大々的な観光宣伝に乗り出している。ダムが出来,更に道路が整備されると,メコン上流,ランサン川周辺も,大きな観光スポットになるだろう。

●中東諸国が,カンボジアの食糧生産への投資を視野に入れている

全部読んでいないが,こういう動きがあるとは知らなかった。東南アジアが,水と土地という面から如何に恵まれているか,私たちはよく知っている。中東諸国が,近い将来の食糧問題から,東南アジアの土地に目を付けている,それに特のカンボジアだ,と言うわけである。将来の食糧増産の基礎として土地を買い,安い食糧を持ち帰る,と言うこと。


Reference

Philippines,

●080926A Philippines, bworldonline
化石燃料に頼ることを危ぶむ,水力資源はないのか
An alternative approach to energy self-sufficiency Hydro Energy
http://www.bworldonline.com/BW092608/content.php?id=056

Laos

●080926B Mekong, Bangkok Post
メコン河の水力開発の持続的発展はないのか
Sustainable development of Mekong hydropower
http://www.bangkokpost.com/260908_News/26Sep2008_news25.php
●080926C Mekong, peopleandplanet
メコン河のダム開発は悲劇的な危険をはらんでいる
Study reveals tragic dangers of Mekong dam boom
http://www.peopleandplanet.net/doc.php?id=3385
●080926D Mekong, xinhuanet
メコン河委員会のトップは,中国の協力に満足している
MRC chief satisfied with cooperation with China
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/25/content_10110507.htm

China

●080926E China, gokunming.com
中国建国50周年,雲南省の麗江など,観光客で賑わっている
Around Northwest Yunnan: Lijiang, Tiger Leaping Gorge and Dali
http://gokunming.com/en/blog/item/711/around_northwest_yunnan_lijiang_tiger_leaping_gorge_and_dali

Cambodia

●080926F Cambodia, Asia Times
中東諸国が,カンボジアの食糧生産への投資を視野に入れている
Gulf states covet Asian farms
http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/JI26Ae01.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月25日分 ーインド,25年までに6千万KW水力開発

「インド,25年までに6千万KW水力開発」,ネパールのカトマンズーに座り込んで,インドの電力を熱く語っているのは,我らが,「アジア開発3人男」,の一人,Minister of State for Power Jairam Ramesh である。因みに,今朝の朝刊によると,4人男の一人,タイの Samak 元首相は捕まってしまった,禁固2年の刑。

Ramesh が,60,000MWの水力,と言うから,何か聞いた数字だな,と思って過去の記録を見たら,この9月21日に,Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が,2050年までに原子力600,000MW開発と言っていた。

Ramesh は非常に包括的に,また網羅的に語っている。このポイントは,現在水力火力の比率が,25:75であるのを,2025年には,40:60に持って行く,と語っていることである。困難であるが,非常に意欲的な構想である。これは私は,Ramesh が,人類最後の仕事に挑戦している宣言であると思う。

今の世界は,地球を守るためには,インドと中国の石炭火力を,如何に抑制するかにかかっている。ただ,インドの水力開発は,言うに易いが,実現には,国際的な協力が欠かせない。私は,専門家は,日本でCDMを論ずる時間があるなら,ヒマラヤに行くべきだと思う。

Ramesh の言う60,000MWの内訳。50,000MWは国内資源であり,10,000MWはブータンからである。国内資源はその50%が水力資源豊富な北東の Arunachal Pradesh であり,残りは山岳州の Sikkim,Himachal Pradesh,Uttarakhand,Jammu and Kashmir である。ブータンからは現在1,400MWを輸入しているが,新規に1,100MWが具体化している。

Ramesh はカトマンズーでこれを語っているわけだが,彼の数字の中には,ネパールの話はまだ出てこない。国内,ブータンに続いて彼が言ったのは,先日自分でまとめてきたミャンマーの Chindwin basin の,1,200MW Tamanthi project である。そうして彼は最後に,これも,「アジア開発3人男」,の一人,世界の時の人,ネパール共和国初代首相,Prachanda の,10年間で10,000MW水力開発を持ち出す。


本文

●インド,2025年までに60,000MW水力開発へ

ネパールのカトマンズーにあって,インドの長期に亘る電力政策を語るのは,Minister of State for Power Jairam Ramesh である。既に,多くは発表されている内容であるが,幾つかは,注目すべき新しい点がある。それは,バングラデシュとの間で電力融通を行うことと,現在の,水力火力比率25:75を,火力を減らして,2025年までには,40:60にしたいという点である。これこそが,人類が願う石炭火力抑制である。

インドは,2025年までに60,000MWの水力開発を目指している。このうち50,000MWは国内資源であり,10,000MWはブータンからである。国内資源はその50%が水力資源豊富な北東の Arunachal Pradesh であり,残りは山岳州の Sikkim,Himachal Pradesh,Uttarakhand,Jammu and Kashmir である。ブータンからは現在1,400MWを輸入しているが,新規に1,100MWが具体化している。

また,先日 Ramesh がミャンマーを訪れて協定を結んできたミャンマーの Chindwin basin の,1,200MW Tamanthi project がある。また,the South Asian Association for Regional Cooperation (SAARC) の構想の中に入るものとして,アフガニスタンの送電連携,スリランカの海底送電連携と Trincomalee の500MW石炭火力も進んでいる。

ここまで話した Ramesh は,改めてネパールの Prachanda の提案を取り上げ,ネパールはこの10年で10,000MWの開発を提案している。インドはこれらも考慮して,水力の比率を40%まで上げたい,と演説した。更に,ネパールとインドの国境線180kmの各所の境界の道路整備も提案している。「アジア開発3人男」,の一人,Ramesh の構想は大きい。なお,もう一人,タイの Samak 元首相は,禁固刑の判決を受けている。

●インド,Riliance, 二つの大規模火力,年内に資金調達終了へ

タタと並んでインドの2大財閥,Anil Ambani 率いる Reliance Power,その会長の Reliance Power Chairman Anil Ambani が,この企業の電源開発に関する見通しを語った。なかなか進まない石炭火力大規模開発UMPPのうち,Tata Power のMudra は資金調達を完了しているが,Reliance の二つ,Sasan,Krishnapatnam はまだ資金調達が完了していない。年内の見通しという。Sasaan は2,000億ルピー,4.42 億ドル相当,krishnapatnam は1600億ルピー,3.54億ドル相当である。

その他に,原子力の民間開発参入を狙っていて,7,8年には実現したとしている。他に,280億ドルを準備して,28,200MWの石炭火力と水力を,これも8年以内に実現したい。また,100MWクラスの Grid Interactive Concentrating Solar Power Plant の開発も考えている。

●フィリッピン,Alson, Negros Occidental で40MW水力開発へ

フィリッピン企業 Alsons Consolidated Resources の関連会社 Alto Power Management Corp が,ネグロス島の中央部,Negros Occidental 県で,水力開発を提案。元はNPCが構想を持っていたが,火山 Mount Kanlaon の近くの Bago River の上流で,ダム式の構想を改めて流れ込み式の階段状開発,合計40MW,建設費38億ペソ,約57億円で建設すべく,pre-feasibility study に入った。KWh当たり4ペソ,Central Negros Electric Cooperative の現行の5ペソより安いだろう,と言っている。コンタクト先は,Alsons corporate information officer Premy Ann G. Beloy。


Reference

Philippines

●080925A Philippines,
Alson, Negros Occidental で40MW水力開発へ
Alsons eyes P3.8-B, 40-MW hydropower project
http://www.inquirer.net/specialfeatures/power/view.php?db=1&article=20080925-162739

India

●080925B India, Economic Times
インド,2025年までに60,000MW水力開発へ
India aims at 60,000 MW more hydropower by 2025
http://www.thaindian.com/newsportal/south-asia/india-aims-at-60000-mw-more-hydropower-by-2025_10099367.html
●080925C India, Economic Times
Riliance, 二つの大規模火力,年内に資金調達終了へ
Financial closure for 2 mega plants this year Reliance Power
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Financial_closure_for_2_mega_plants_this_year_Reliance_Power/articleshow/3519317.cms


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月24日分 ーインドと中国のネパール争奪戦

「インドと中国のネパール争奪戦」,すさまじいニュースの洪水である。ヒマラヤの辺境がエネルギー開発で,お祭り騒ぎである。私にとって面白かったのは,早くから目を付けた,「アジア開発3人男」,の二人,インドの Ramesh とネパールの Prachanda が直接ぶつかりあって,この旋風を巻き起こしていることである。

でも,今日の一連の記事で私の関心を引いたのは次の点である。インド企業は大挙してネパールの水力開発に押しかけているが,インドの銀行はその資金調達に極めて冷淡であること,とそれに対して中国企業が,政府系ファンドの全面的な協力を得て,それをバックにネパールに押し出そうとしている。そのことに,インド人が言いようのない苛立ちに襲われている。

中国企業,China National Machinery and Equipment Import and Export Corp., or CMEC と Sinohydro Corp が,中国の公的銀行 Bank of China and China Exim Bank の裏書きのあるクレジットをひらめかしながら,West Seti や Marsiangri の水力開発の乗り込んでくる。一方でインド企業は,自国の Punjab National Bank and Canara Bank などにアクセスするも,銀行は無関心で,中国の金融の方に目を向け見ざるを得ない,と言うのである。中国の手法はまさしく,アフリカの資源を狙った方法と同じである。

インドの Ramesh の電力サミット開会式での演説が,このような状態の中でのインドの割り切りを表現している。曰く,「資金調達は,取り立てて難しい仕事ではない。しかし,民間市場はこれを全額負担する気はない。どうしても官民の協力が欠かせない。そのためには,ネパール政府も一定の役割を果たす必要がある。はっきりしていることは,インドは発生する電力の買い取り手だ。遠隔操作のスイッチはネパール政府が握っている。ネパール政府が動けば我々も動く。しかし,ネパール政府が停まれば我々も停まる。私は,ネパールが再び元に時計を巻き戻すとことはない,と信じている。」。

それでも,インド人の苛立ちは隠しきれない。カトマンズーに駐在するインド政府高官は言っている。「中国のネパールでの競争は,やや大袈裟に伝えられている。それは余りにこちらが神経質であり,中国が余りにも巨大であるからだ。ネパールはインドの直接の隣人であるからこそ,我々インド人は,余計にいらいら神経質になっているのだ。'we get jittery'。」。


本文

●中国企業,ネパールの水力獲得のために資金活動

ネパールの新首相 Prachanda は,ニューデリー訪問の前に北京を訪れている。今日の記事は,ネパールの水力開発を真ん中に置いて,インドと中国がどの様な駆け引きを行っているか,誠に興味ある内容である。インドは,既に3つの企業をネパールに送り込んで水力開発の準備に余念がない。ネパール新政府も,中規模水力についての開発は,インド企業がマジョリティを取ることを許容して,積極的に支援する。

ところが,インドの銀行は,これらのネパール進出のインド企業に対する資金の支援には全く関心がないと言うのだ。そこで出てくるのが,豊富な資金の裏付けを持つ中国企業である。China National Machinery and Equipment Import and Export Corp., or CMEC は,750MW West Seti Hydro Project に,また,Sinohydro Corp は,50MW Marsiangri project に,それぞれ Bank of China and China Exim Bank の裏書きを持ったクレジットを手に,インド企業を尻目に乗り込んできている。アフリカで経験した中国の戦略である。

カマンズーに駐在するインド政府高官,その言葉が,インドの苛立ちを端的に表している。「中国のネパールでの競争は,やや大袈裟に伝えられている。それは余りにこちらが神経質であり,中国が余りにも巨大であるからだ。ネパールはインドの直接の隣人であるからこそ,我々インド人は,余計にいらいら神経質になっているのだ。'we get jittery'。

●インド,ネパールの水力開発のために,20 billion ドル準備

第3回インドネパール電力サミットが,この火曜日にカトマンズーで開会した。300以上のインド企業を中心とした参加者を引き連れたのは,我らが,「アジア開発3人男」,の一人,Indian Minister of State for Commerce and Power Jairam Ramesh である。ネパールの new Maoist Prime Minister Pushpa Kamal Dahal Prachanda が,この10年で10000MW開発を示唆して,その必要資金が20 billion ドルであることを頭の中に置いての,Ramesh の演説は興味深い。

「20 billion ドル,取り立てて難しい仕事ではない。しかし,民間市場はこれを全額負担する気はない。どうしても官民の協力が欠かせない。そのためには,ネパール政府も一定の役割を果たす必要がある。はっきりしていることは,インドは発生する電力の買い取り手だ。遠隔操作のスイッチはネパール政府が握っている。ネパール政府が動けば我々も動く。しかし,ネパール政府が停まれば我々も停まる。私は,ネパールが再び元に時計を巻き戻すとことはない,と信じている。」。

彼は当面の指標として,Australian Snowy Mountain Engineering Corporation がエンジニアリングを進め, Chinese EPC contractor が参入し,またインドの建設企業 IL&FS が建設し,インドの Power Trading Corporation of India が電気を引き取ることになっている,750MW West Seti project がこの6ヶ月ないに動き始めるかどうか,と考えている。

●インド企業3社に続いて,多くの企業がネパールへのライセンス獲得へ

何ともすごい勢いである。今まで凍てついていた氷を砕いたのは,インド企業 GMR Energy の300MW Upper Karnali project であるが,Nepal’s Department of Electricity Development に発電所建設のライセンスを申請しているのは,世界中から72企業に上り,そのうち60企業がインドからで,New Delhi, Mumbai, Karnataka and Hyderabad の各企業だという。この記事に挙げられたプロジェクト名だけ拾っておく。

500 MW Tila project,Karnali Gutu 144 MW,10,800 MW Karnali Chisapani Storage,Upper Arun, Lower Arun, Sapta Gandaki on the Narayani river,4 projects on the Dudhkoshi that range from 108 MW to 213 MW,Upper Arun, Tila, Karnali, Ande Pipal Arun, Chokan Lingam and Lunsun Pepuwa,Upper Trishuli 2A, Karnali 7A, Seti River Jal Vidyut Yojana, Karnali 4, Humla Karnali 1 and Mugu Karnali 1,3,300 MW Saptakoshi Storage。

●ラメッシュ,ネパールとの経済連携協定を締結へ奔走

カトマンズーを訪問中のインドの Minister of State for Commerce and Power Jairam Ramesh が明らかにした内容である。前回,Prime Minister Pushpakamal Dahal "Prachanda" がニューデリーを訪問したときに,ネパールインド経済連携協定 The Nepal-India Comprehensive Economic Partnership Agreement の推進について話し合われた。今回具体的に, Ramesh と Nepalese Commerce and Supplies Minister Rajendra Mahato が原則論を話し合い,10月中にも,再びインドで会議を持つ。3年を目処に締結したいと言っている。


その他

●インドとネパールので電力サミット,カトマンズで始まる
●インドネシア,プルタミナ,Cepu 油田に,来年以降500 million ドル投入


Reference

Nepal

●080924A Nepal, news.xinhuanet
インドとネパールので電力サミット,カトマンズで始まる
Indo-Nepal Power Summit 2008 begins in Kathmandu
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/23/content_10096451.htm
●080924B Nepal, steelguru
インド企業3社に続いて,多くの企業がネパールへのライセンス獲得へ
Indian firms flood Nepal with hydropower proposals
http://steelguru.com/news/index/2008/09/24/NjQxMDU%3D/Indian_firms_flood_Nepal_with_hydropower_proposals.html
●080924C Nepal, livemint
中国企業,ネパールの水力獲得のために活動
Chinese cos play the credit card to win Nepal hydro projects
http://www.livemint.com/2008/09/24001233/Chinese-cos-play-the-credit-ca.html?h=B

India

●080924D India, ptinews
ラメッシュ,ネパールとの経済連携協定を締結へ奔走
India, Nepal working on comprehensive eco agreement: Ramesh
http://www.ptinews.com/pti%5Cptisite.nsf/0/0BFF2D1C37C27D88652574CD00536412?OpenDocument
●080924E India, Economic Times
インド,ネパールの水力開発のために,20 billion ドル準備
India ready to help Nepal raise $20 bn for hydropower sector
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_ready_to_help_Nepal_raise_20_bn_for_hydropower_sector/articleshow/3518454.cms

Indonesia

●080924F Indonesia, The Jakarta Post
プルタミナ,Cepu 油田に,来年以降500 million ドル投入
Pertamina to invest $500m on Cepu project
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/23/pertamina-invest-500m-cepu-project.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月23日分 ーベトナムの電力不足の眞因

「ベトナムの電力不足の真因」,あれほどの快進撃を続けてきたベトナムのエネルギー問題,電力問題が,どうしてここに来て混沌としてきたのか?一つのヒントを与えるのが今日の記事だと思う。ベトナムは,2010〜2015年の間に,30,000MWを開発する計画を持っており,そのうち26,000MWが石炭火力である。インドネシアと同じ考えで,原油ガスの高騰を考えれば,当然の計画であろう。

Vietnam National Oil and Gas Group (PetroVietnam) は,この計画の一環として,13の石炭プロジェクトを計画し,首相へ直接手紙を書いて提案した。この提案に対して,EVNが拒否の姿勢を明らかにした。理由は,資金難,技術的困難,石炭確保困難,の三つである。現在のベトナムの電力セクターが,如何に混乱していて,中途半端かがよく分かる経緯である。

Tran Viet Ngai, Chairman of the Vietnam Energy Association が,このEVNの態度を,‘wise move’な措置だと,皮肉を込めて語っている。EVNのエンジニアーは水力開発に異常な執着心を持っていて,火力開発に不熱心だ。外国資本に委ねればよいが,嘗ては東京電力など,火力開発に大いに貢献したものの,今では,ベトナムの投資手続きの面倒さと買電交渉の難しさから,完全に腰が引けている。

問題は,硬直化してきたEVNそのものの組織にある。しかし,もっと基本的な問題は,ベトナム経済の先行きである。インフレの恐れが政府を悩ましており,電力料金値上げを許さない。EVNはIPPから高く買って需要家に安く売らなければならない仕組みが,改善されない。もう一つは,水力が電力不足を解決してくれると信じていることだ。

水力はあくまでピーク供給力であって,ベースとなる電源の開発をおろそかにしては,システムは成り立たない。原子力のあるところは,原子力と水力または揚水の組み合わせが主要な電源の基本であり,原子力のないところは,当面,石炭火力の開発をおろそかにすべきではない。石炭火力と水力ピーク,水力のないところ,例えばインドネシアやフィリッピンは,揚水で対処することになる。再生可能エネルギーや国内エネルギー資源の開発などは,あくまで補完的なものである。

タイの原子力が動き始めた。米国コンサルタントが,約5億円で,20ヶ月,2020年を目指してのタイの原子力開発に関する20ヶ月の予定で feasibility study を実施する。タイも,ラオスの水力開発の1年延期や,カタールからのLNG輸入が,10 million トン予定のところ,1 million だけが契約されただけで,需給に難問を抱えている。


本文

●ベトナム,EVN,13発電プロジェクト開発を拒否,なぜ?

あれほど快進撃を遂げたベトナムの電力が,なぜここに来て問題を起こしているのか,なぜ電力危機回避の見通しが立たないのか,少し理解できるような今日の記事である。Tran Viet Ngai, Chairman of the Vietnam Energy Association が記者に語った内容が中心である。彼は,今回の大規模13石炭火力プロジェクト,13,000MWを,EVNが拒否したことについて,‘wise move’な措置だと,皮肉を込めて語っている。

ベトナムは,2010〜2015年の間に30,000MWの新規電源開発を計画しており,そのうち26,000MWを石炭火力と考えている。Vietnam National Oil and Gas Group (PetroVietnam) は,直接首相に手紙を書き,13石炭プロジェクト,13,000MWの開発を提案したが,これをEVNが拒否したという。理由は,三つ,一つは莫大な予算確保の問題,二つは技術的困難,三つは石炭供給の見通し。

EVNのエンジニアー達は,水力は巧みだが,火力は全然駄目だという。外国資本は,手続きと買電交渉が困難で出てこない。今回の13プロジェクトは次の通り。1,200 MW Duyen Hai 2 thermopower; Duyen Hai 3.1; Duyen Hai 3.2; Soc Trang 3.1; Soc Trang 3.2; Vinh Tan 3.1; Vinh Tan 3.2 (1,000 MW for each); Vung Ang 3.1; Vung Ang 3.2; Hai Phong 3.2; Hai PHong 3.3; Quang Trach (1,200 MW for each); and 600 MW Hai Phong 3.1.

●米国企業,タイの原子力発電所の調査参入,決定

EGATによる原子力投入,4,000MW,2020〜2021年開発,の計画に沿って,米国のコンサルタント企業 Burns and Roe Corporation が,180 million バーツ(5.33 million ドル),20ヶ月,2010年5月完成で,feasibility study を引き受けた。内容は,project cost, location, safety standards, environmental management and technology, as well as operation and management training issues の5項目である。

これは,Chavalit Pichalai, the acting deputy director-general of the Nuclear Power Project Development Office が語ったものである。この原子力開発構想が実現した段階で,タイの電源構成は,原子力が12.58%,ガス火力が57.25%,輸入を主体とした水力が16%となる。依然としてガスの比率は高いが,現在の70%から見れば,相当に改善されている。石炭火力には触れていない。

ただ,ラオスからの水力輸入が遅れていて,power development plan (PDP) を改訂する必要に迫られている。ラオスの2013年に予定されていた1,653MWの Hongsa Lignite,2014年に予定されていた440MW Nam Ngum 3,140MW Nam Bak がそれぞれ1年遅れる。また問題はPTTの進めるカタールよりのLNG輸入の遅れである。2012年に輸入開始を予定しているが,10 million トンの予定が,1 million しか目処が立っていない。

●ネパール,水力で方針転換,インド企業へ主導権

Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal のニューデリー訪問が,今後10年間で10000MWの水力開発を提案させた。この提案は,ネパールの水力地点がアクセスへのインフラを必要とすることから,総額1.2 trillion ルピー,約16.5 billion ドル相当の予算を必要としている。これだけの資金を集めるためには,インドなど外国企業に,majority を与えなければ不可能と判断した。

Arjun Kumar Karki, managing director at Nepal Electricity Authority は,300〜500MWの中規模の水力に限り,外国企業に51%以上の Majority を与えることを決断した。既にインド企業の,Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd, Bhilwara Energy Ltd and GMR Infrastructure Ltd. が現場に入っており,最初の具体例として,42MWの Upper Modi project が,South Korea’s Korea Electric Power Corp に70%のシェアーが認められた。

●インド,Baglihar dam,水没移住が完了せず

パキスタンとインドの間で長く紛争の続いた,インダス河上流 Chenab river の450MW Baglihar hydropower project, 総工事費335 million ドル,は湛水開始を1ヶ月後に控えて,移住住民への補償がまだ終わっていない,と住民側から不満が噴出している。移住は,ダムサイトから60kmの範囲に及んで,15,000家族が,土地か現金か,の選択を迫られている。


Reference

Vietnam

●080923A Vietnam, english.vietnamnet
EVN,13発電プロジェクト開発を拒否,なぜ?
EVN refuses 13 power plant projects, why
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/09/804957/

Thailand

●080923B Thailand, Bangkok Post
米国企業,タイの原子力発電所の調査参入,決定
US firm to do study on nuclear plant
http://www.bangkokpost.com/230908_Business/23Sep2008_biz38.php

Nepal

●080923C Nepal, livemint
ネパール,水力で方針転換,インド企業へ主導権
Nepal turns to Indian power firms for funding
http://www.livemint.com/2008/09/23004142/Nepal-turns-to-Indian-power-fi.html

India

●080923D India, thaindian
インド,Baglihar dam,水没移住が完了せず
Baglihar dam displaced yet to be rehabilitated
http://www.thaindian.com/newsportal/india-news/baglihar-dam-displaced-yet-to-be-rehabilitated_10098377.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月22日分 ーインドの南アジア送電連携構想

「インドの南アジア送電連携構想」,こういう話は,私の言う,「アジア開発3人男」,が出てきなければ成立しない。インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh とネパールの Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' の二人が,今日は別々の記事の中で相呼応し,南アジアのエネルギー開発構想を盛り上げた。

Ramesh が最近,嫌がるインドの水力発電公社NHPCを連れ出して,ミャンマーの首都を2度に亘って訪問し,二つの水力プロジェクトの開発で協力を約束した。それが Chindwin river basin の 1,200MW Tamanthi project and the 600MW Shwzaye project である。Ramesh の眞の狙いは,ミャンマー沖の天然ガスにあるのだが,この Chindwin 開発は,今回の South Asia power grid 構想に強く関連づけられていた。

ブータンについては既に輸入の実績があり,2020年までに5,000MW輸入の約束が出来ている。ネパールについては,今回の Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' のデリー訪問で,彼自身が,向こう10年間での10,000MW開発を申し出ている。また既にインドの民間企業が動き出している。ミャンマーは,Chindwin で活動を開始した。

今日の記事では,スリランカをも巻き込むものである。スリランカでは,450 million ドルの海底送電線構想が動いており,更にNTPCによる500MW石炭火力開発が動いている。これで,インドを中核に,ブータン,ネパール,ミャンマー,スリランカの大きなネットワーク形成への構想が,Ramesh の中に生まれてきたわけである。バングラデシュはどうするのかな。今のところ,ガスパイプラインで対立関係にあるのか。


本文

●南アジアの送電線連携で,インドがイニシャティブ

こういう場合は,必ず,「アジア開発3人男」,の一人が出てこなければ,芝居は成り立たない。インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh が,先頃から盛んにNHPCの尻を叩いてミャンマーに出かけていたが,今日の彼の構想をぶち挙げるために,殆どNHPCが諦め欠けていたミャンマーの Chindwin river basin の開発を繋いできたのだ。

彼は,インドが,第11次,第12次の五カ年計画で161GWの電源を確保しなければ8%の経済成長を続けられない,と言うことを前提に,南アジアの送電連携構想を打ち上げたわけである。それは,ミャンマー,ネパール,ブータン,更にはスリランカを包含する構想 South Asia power grid で,この構想はインドが主導しなければ成り立たない,と彼は声高に叫んでいる。

ネパールの包蔵は83,000MW,可能が45000MW,既開発は僅かに591MWの現状の中,既に GMR,state-owned Satluj Jal Vidyut Nigam, power trader PTC India Ltd などが活動を始めている。ブータンは,2020年までに5,000MW輸入の計画であり,既に,1,080MW Punatsangchhu-I, the 1,000MW Punatsangchhu-II and the 600MW Mengdechu が動いている。

ミャンマーは,包蔵水力39720MW,既開発は僅かに747MW。現在,NHPCが Chindwin river basin で 1,200MW Tamanthi project and the 600MW Shwzaye project を調査中である。スリランカは,450 million ドルの海底送電線プロジェクトと,500MWの石炭火力が動いている。

●ネパールの水力輸入に関し,強気の楽観論

二人とも,私が指名した,「アジア開発3人男」,(残念ながらタイのサマック首相は政治の場から姿を消した)の中の二人である。一人は,インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh,もう一人はネパールの Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda'。今日は,この二人が同時に私のHPを飾ってくれた。

Prachanda は強気である。インドの協力を得て,次の10年間で10,000MWの水力開発構想に固執している。これは Ramesh の South Asia power grid に呼応するものだ。ネパールの水力開発は,世界的にも環境に大きな影響を与えない,としている。水力開発と同時に,今回の Kosi 川の洪水をきっかけに,a joint Indo-Nepal water authority を組織する構想も浮上している。

現実に動いている両国共同のプロジェクトは,GMR group is setting up the 300 mw Upper Karnali project と the state-owned Sutlej Jal Vidyut Nigam is promoting the 402 mw Arun III project である。

●フィリッピン,天然ガスの価格に関し,透明性が求められている

天然ガスの価格,LNGも含めての話であろうが,この価格形成のメカニズムが不透明だという議論は続いていた。今回は,米国の Federal Energy Regulatory Commission (FERC) が,新たなルールを求めて,法の改正に乗り出したということである。フィリッピンがこの報道に鋭く反応したのは,最近のガス生産国として,価格メカニズムが不安定,と例を引かれたことに発している。


Reference

Sptember 22, 2008

Philippines

●080922A Philippines, Manila Bulletin
天然ガスの価格に関し,透明性が求められている
Transparency in gas price reporting urged
http://www.mb.com.ph/BSNS20080922135861.html

India

●080922B India, economictimes
ネパールの水力輸入に関し,強気の楽観論
Bullish on power sharing
http://economictimes.indiatimes.com/Editorial/Bullish_on_power_sharing/articleshow/3510916.cms
●080922C India, telegraphindia
南アジアの送電線連携で,インドがイニシャティブ
Bid to create South Asia power grid
http://www.telegraphindia.com/1080922/jsp/business/story_9868332.jsp


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月21日分 ーパキスタンの民間火力開発

「パキスタンの民間火力開発」,マリオットホテルの爆弾テロは衝撃である。新任の民間大統領で新たな出発が期待されているパキスタンは,また新しい騒乱の時代が訪れたのか。

電力供給は相変わらず厳しく,全国で供給制限が続いている。前大統領は,一生懸命大規模ダムの開発を主導して,国民の不満に対応しようとしていたが,何と言っても十数年後の供給力であるから,なかなか不満を吸収できなかった。今日の記事は,現実に戻って,民間開発による電源設備の進捗を,国民に説明している。

新しい内閣の Minister for Water and Power Raja Parvez Ashraf は,十数年のオーダーの大規模ダム開発の説明ではなく,2010年までの短期の見通しを国民に語りかけた。本来,民間資金による火力発電所は,パキスタンはアジアの中でも早いほうである。「アジアの隼」,の冒頭に出てくるのは,ブットー首相が出席した Hub 火力の着工式典である。

民間資本を扱う Board of Private Power and Infrastructure Board (PPIB) の構想が,詳しく報じられている。全体的には,来年2009年には新規2,380MW,2010年には1,100MWを系統に投入する。具体的には2009年,575MW,3つの石油火力と429MW,2つのガス火力,更に205MWを2010年に投入する,としている。中期的には,2016年までに12.4 billion ドルの投資により13,335MWを開発すべく,51のプロジェクトを審査中である。

パキスタンの概要に触れておく。少し古くてゴメン。パキスタンの国土面積は79.61万平方km,人口は約1億4,200万人GDP総額約930億ドル(2002年)。2002年末現在に於ける発電事業者の発電設備の総容量は,13,363MW(68.4%),IPPは6,183MW(31.6%)で合計設備容量は19,546MW(100%)である。

このうち水力が 6,460MW (33.1%),石油火力が4,015MW(20.5%),混焼を含むガス火力が7,570MW(38.8%),その他石炭及びディーゼルで火力がIPPの1,260MWを含めて,4,450MW (95.1%) である。また,全火力のうち国内産の天然ガスを燃料とするものは3,956MW(38.8%),その他1,039MW(4.1%)となっている。これに対して確認された最大電力は,2003年の12,929MWで,このときの可能出力は14,070MWとされている。

主たる発電所は,Tarbela 水力3,478MW,Koto Addu 石油火力1,621MW(KAPCO),Ghazi Barotha 水力1,450MW,Muzaffa Rgarh ガス/石油火力1,350MW,Hub Power 石油火力1,292MW(HUBCO),Bin Qasim ガス/石油火力1,260MW(KESC),Mangla 水力1,000MW,Warsak 水力240MW,Chashma 水力180MW,Chashma 原子力325MW,Karachi 原子力 137MW,などがある。


本文

●パキスタン,政府,この2年間で,発電能力を徐々に拡大へ

マリオットホテルの爆弾テロは衝撃である。新任の民間大統領で新たな出発が期待されているパキスタンは,また新しい騒乱の時代が訪れたのか。電力供給は相変わらず厳しく,全国で供給制限が続いている。前大統領は,一生懸命大規模ダムの開発を主導して,国民の不満に対応しようとしていたが,何と言っても十数年後の供給力であるから,なかなか不満を吸収できなかった。今日の記事は,現実に戻って,民間開発による電源設備の進捗を,国民に説明している。

パキスタンは,アジアの中でも比較的早くハブ火力などの電力の民間開発を進めてきた国である。しかし最近の報道では,民間の火力発電所が,燃料の高騰で供給を渋っているために,電力不足が起こっているとも言われている。Minister for Water and Power Raja Parvez Ashraf は,至近年に運転開始できる民間発電所の進捗を説明し,2010年には電力不足を解消したい,としている。

Board of Private Power and Infrastructure Board (PPIB) は,次の計画を推進している。全体的には,来年2009年には新規2,380MW,2010年には1,100MWを系統に投入する。具体的には2009年,575MW,3つの石油火力と429MW,2つのガス火力,更に205MWを2010年に投入する,としている。中期的には,2016年までに12.4 billion ドルの投資により13,335MWを開発すべく,51のプロジェクトを審査中である。

●インド,NTPC,Barth プロジェクトで,ロシアの重電メーカー提訴

彼の男,Minister of State for Power and Commerce Jairam Ramesh が怒ったようである。NTPCが進めている Bihar 州の Barh thermal power project,660MW3機の火力で,ロシアの重電メーカー Technopromexport (TPE) が工期を守ろうとせず,BHELに仕事を肩代わりさせる訴訟を行った。インドは,この激しい電源開発の中,機器メーカーの能力に悩ませられているようだ。上海重電を呼んできたり,また今日はロシアからも重電メーカーが入ってきていたことを知った。

●フィリッピン,地方政府,電化への基金供与で,制度単純化を要請

BAGUIO の地方政府が,中央の予算制度の複雑さとその時間のかかり方に,怒りを爆発させた。その人は,Juan Ngalob, Cordillera director of the National Economic Development Authority (NEDA) で,geothermal and hydropower resources を開発して地方電化を行うプロジェクトで,一向に Department of Energy (DoE) の手続きが終わらないのである。

この記事の中で,詳しくは書かれていないが,Binga and Ambuclao dams in Benguet と San Roque and Magat dams の例が引き合いに出されて,the Regional Development Council (RDC) in the Cordillera が,その二の舞をしてくれるな,と言っている。どうも,電源の便益の地元還元のことを言っているようで,これらの大プロジェクトでも,1%の便益汗顔の約束が守られていない,と言っている。その様な制度があったのか,或いは,プロジェクト個別の約束であったのか,調べてみる必要がある。


Reference

September 21, 2008

Pakistan

●080921A Pakistan, Daily Times
政府,この2年間で,発電能力を徐々に拡大へ
Govt plans gradual increase in power generation in next 2 years
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C09%5C21%5Cstory_21-9-2008_pg5_3

Philippines

●080921B Philippines, Manila Bulletin
地方政府,電化への基金供与で,制度単純化を要請
Simple fund-release rules sought
http://www.mb.com.ph/PROV20080921135816.html

India

●080921C India, Economic Times
NTPC,Barth プロジェクトで,ロシアの機器導入を検討
NTPC to sue Russian supplier for delays on Barh project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/NTPC_to_sue_Russian_supplier_for_delays_on_Barh_project/articleshow/3507340.cms


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月20日分 ーインド,原子力600,000MW開発

「インド,原子力600,000MW開発」,インドの Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が,会議を終えて,Integrated Energy Policy のドラフトについて,記者団に語った。Indo-US Civil Nuclear Agreement の米国による最終手続きが近づくにつれて,インドの原子力開発への盛り上がりが,連日,インドでニュースを賑わしている。来週,国連総会に出席する Prime Minister Manmohan Singh は,ブッシュ大統領と最後の打ち合わせに臨む。

今回の発表は,今までの計画を凌ぐ大きな構想である。2050年までに600,000MWは,今後40年間で年15,000MW,1,000MW機を15機づつ運転開始して行く,と言う。インドの数字の単位は複雑なので間違えないようにしなければならないが,lakh は10万だから,こういう数字になるのだろう。次の5年間で全電源で70,000MW開発だから,その殆どを原子力で開発する計算になる。如何に大きな構想かが分かる。

この構想の基礎になっているのは,勿論,Indo-US Civil Nuclear Agreement と,最近,この Agreement に同意を与えた Nuclear Suppliers' Group (NSG) の動きである。また,その条件としては,次の12年間で30,000〜40,000MW分の燃料確保と thorium technology の適用ということになっている。thorium technology とインドの核燃料確保の関係については,鈴木篁氏のHPに詳しい。

インドは,核不拡散条約に入っていない故に,核燃料の確保に苦労している。400万KWある原子力発電所の稼働率が落ちて,電力不足に拍車をかけている。また一方で,中国も大きな原子力開発構想を持っているが,「中国国内のウラン資源は,現状でも需要量の半分程度しか供給能力がなく,今後、海外のウラン資源を求めて探鉱開発活動を強化する必要に迫られている。」,と書かれた論文を先日紹介した。

インドと中国の核燃料確保の競争が激化する,と考えれれる。両国とも石炭火力が70%を占める国だけに,今後,この両国が何処まで原子力で石炭火力発電を抑えて行くかは,人類全体の関心事である。拡大すればするほど,原子力発電の安全性に大いに関心が集まってくるが,この面でも日本の支援が必要になってくると思っている。


本文

●インド,国家計画委員会,2050年までに600,000MWの原子力開発

2050年までに600,000MWは,今後40年間で年15,000MW,1,000MW機を15機づつ運転開始して行く,と言う大規模な構想だ。インドの数字の単位は複雑なので間違えないようにしなければならないが,lakh は10万だから,こういう数字になるのだろう。次の5年間で全電源で70,000MW開発だから,その殆どを原子力で開発する計算になる。如何に大きな構想かが分かる。

この構想は,Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が会議の後発表したもので,その基礎となるのは,次の12年間で30,000〜40,000MW分の燃料確保と thorium technology の適用という条件である。この構想に沿って,Integrated Energy Policy が起草されつつあるという。thorium については鈴木篁氏のHPに詳しい。また,民間による原子力開発の方向も打ち出されている。

このインドの原子力への盛り上がりは,Indo-US Civil Nuclear Agreement に基礎を置いている。最近,この Agreement を支援するために,Nuclear Suppliers' Group (NSG) が,インドへの支援を合意したことも,大きな支えになっている。Prime Minister Manmohan Singh は,来週にも国連第63次総会出席のためにニューヨークを訪れ,ブッシュ大統領と会談する。米国議会の承認が,最後の関門である。インドの原子力開発も,気候変動への人類の戦いの重要な一環であろう。

●インド,世界銀行とADB,Himachal の水力開発に関心

Himachal Pradesh 州は,インド西北部の山岳州で,これまでもたびたびこのHPで議論した。インダス川の上流,Chenab や Stluji の大支流を擁して,22,000MWの未開発水力があるとされていて,ポスト京都に重要な役割を果たす。Salman Zahir, energy development manager of the bank に率いられた6人の世界銀行調査団が現地に入り,州政府 chief minister Prem Kumar Dhumal と会談した。

世界銀行は,この州のエネルギー開発に際しては,森林保護の問題と道路インフラの重要性に着目しており,この二つの面から具体的に,436kmに上る道路整備と12,000haの植林を支援するため,1365 crore Rs ,約3 million US$ のプロジェクトを考えている。これには,ADBも同じ発想で協力の構えである。

●フィリッピン,エネルギー省,2009年予算で,1 billion ペソ,要求

10億ペソ,約25億円相当,目標は country’s energy security の確保であり,国外資源への依存度の減少である。おなじみの Energy Secretary Angelo Reyes の話は,いつまで経っても抽象的で,有効さに欠ける。日本と同じ貧資源国であり,如何にして海外資源確保の安定を得るかが重要で,国内資源の開発は,焼け石に水,の感が強い。マランパヤに出ている天然ガスは,国内エネルギー消費の僅かに7%である。

いろいろな総合計画,Philippine Energy Contracting Rounds (PECR),Natural Gas Vehicle Program for Public Transport も実効性が薄い。全力を挙げて,当面輸入石炭の確保に努力し,石炭火力の新設に力を注ぐべきだ。きれいごとでは,至近年の電力危機は避けられないであろう。

●ネパール共和国最初の国家予算,236 billion ルピー

はじめての共和国予算,毛派主導の政策実行のためには,前年度増45%の予算が必要という。Finance Minister Dr. Baburam Bhattarai の説明によると,我々の関心事項としては,東西を繋ぐ電気鉄道計画調査約4億円相当,南北縦断ハイウエー調査が約3億円相当,と構想は大きいが調査費が少ない感じ。Prachanda がインドで約束した,10年で10,000MW水力開発は,首相直属の high-level power sector development board を組織化すると言う。


Reference
September 10, 2008

Philippines

●080920A Philippines, Manila Bulletin
エネルギー省,2009年予算で,1 billion ペソ,要求
Energy department seeks P1-B budget for 2009 programs
http://www.mb.com.ph/BSNS20080920135698.html

Nepal

●080920B Nepal, kantipuronline
ネパール共和国最初の国家予算,236 billion ルピー
Rs 236b budget bold but sketchy
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=161282

India

●080920C India, Economic Times
世界銀行とADB,Himachal の水力開発に関心
World Bank, ADB show renewed interest in Himachal projects
http://www.financialexpress.com/news/world-bank-adb-show-renewed-interest-in-himachal-projects/363608/2
●080920D India, economictimes
国家計画委員会,2050年までに600,000MWの原子力開発
India can take N-power generation to 6 lakh MW by 2050 Montek
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_can_take_N-power_generation_to_6_lakh_MW_by_2050_Montek/articleshow/3504297.cms


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月19日分 ーネパール奥地の水力開発の難関

「ネパール奥地の水力開発の難関」,ネパールの包蔵水力は,80,000MWと言われている。現在のインドの電力設備の57%に相当する。ポスト京都の大きな目玉は,インドと中国の原子力開発とインド北辺,ブータン,ネパールの水力開発である。これらの電力が,どの程度までインドの石炭火力開発を抑制できるか。人類にとっては,まさに最後の挑戦である。

Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' が,はじめてのインド訪問を終わって,木曜日に帰国した。彼は最後にインド高官に要請した。ネパールの水力10,000MWを10年内に,インドの民間企業によって開発して欲しい。ポテンシャルが,80,000MWあるとはいえ,年間1,000MWの開発を10年間続けることは,難しい作業である。

しかし,あの難しかったネパールの政治情勢や,インドとの外交関係を克服して,Prachanda がその気になっている。これは,世界を挙げて支援して良い意義の高いものだろう。日本政府も,既にインド北辺の水力開発への協力の姿勢を示している。インド北辺とネパールは,全く同じ線上にある。ネパールとインドの外交関係が悪い間も,日本は積極的に,あの治安の悪かったネパールを支えてきたのである。

ネパールの水力開発には,多くの壁がある。今日の記事に書かれているのは,送電線の建設とアクセスの開発である。送電線は,当面,両国の間に220KV4回線の送電線建設計画があるが動いていない。Kosi 川上流のダム建設には,長いアクセス道路の建設が必要である。今日の記事は言っている,インドでは,水力1KW開発に平均1,105ドル出来るが,ネパールでは実に2,652ドル必要だと。

このほかに,ダムを建設して,ある程度は貯水池が必要である。ヒマラヤからの土砂流入を,どの様に考えるか,難しい問題である。また,氷河湖の決壊が問題になっている。現実に,ブータンなどでは,これによる洪水被害が出ている。人類最後の挑戦であるネパールの水力は,多くの優秀なエンジニアーを必要としている。


本文

●ネパールの水力輸出の意図,送電線が問題か

ネパールの新首相 Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' が,インドを訪問して,向こう10年間で10,000MWの水力開発を,インドの民間セクターと協力して開発したい,と言い残して,この木曜日に帰国の途についた。インドの民間セクター,Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd と GMR Infrastructure Ltd. は,既に開発のスタートラインに着いている。今日の記事は,この水力開発に横たわるインフラの困難を映し出している。

ネパールの電力の現有設備は617MWで,約100MWが不足しているものと考えられている。このうち大部分の569.87MWは水力発電である。包蔵水力は80,000MWと言われている。当面の電力不足を解決するためには,直ちに300MWを開発する必要に迫られている。

また,インドへの電力輸出については,10年間で10,000MWと言う大きな目標の前に,当面の開発目標,500〜600MWをインドへ送る必要があるが,現在ある両国間の送電線は,132KVラインが二つあるだけで,100MWがせいぜいである。220KV送電線を少なくとも4回線必要としているが,2006年に始まった送電線計画は,ネパールの政治情勢から全く進んでいない。これが一つのネックである。

また,ネパールの水力地点はいずれも奥地で,アクセスが大変に難しい。インドの国内であれば,KW当たり50,000ルピー,1,105USドル相当,で建設できるものが,ネパールでは120,000ルピー,2,652USドルを要することも,一つの問題だ。このように,ネパールの水力開発の難しさを,この記事は論じているが,これらの問題は,開発当事者達は当然織り込み済みであり,送電線や道路建設は,開発企業の頭の中に入っている。


●インドネシアと中国の電力改革の現状

なぜかこの記事がナイジェリアから発信されている。非常に簡潔に,インドネシアと中国の電力事情についてまとめられている。インドネシアのついては,その電力危機は,問題は電気料金の安さにあり,投資家の魅力を引かない,とズバリ指摘している。中国については,2002年当時からの分割の状況を詳しく描写している。

●インド,KG流域の天然ガス包蔵,リライアンスに期待以上の成果

インド財閥 Reliance Industries (RIL) が,Krishna-Godavari basin,即ち he KG basin off the Andhra coast で,期待以上の規模の 原油や天然ガス,更には hydrocarbon のポテンシャルに,嬉しい悲鳴を上げている。当面,KG流域の中の8つのガス田を中心に,2.34 billion ドルの投資を行うことで,directorate general of hydrocarbons の承認を取っている。原油40,000 barrels of oil per day (bopd) と 240-350 mmscfd の天然ガス生産である。これらを含めて,リライアンスは,インドの原油ガス生産の50%を抑えることになる。

●フィリッピン,NEADと投資調整委員会ICC,エネルギー6プロジェクト承認

National Economic and Development Authority (NED A) の Investment Coordination Committee (ICC) が,6つのエネルギー関連プロジェクトを承認した。いずれも,ADBや国内銀行の融資によるものである。総額は17.4 billion ペソに達する。エネルギー効率の向上や,気候変動への対応を目的としたクリーンエネルギーの開発などである。6.13 billion ペソは,具体的な送電線建設の当てられている。また,4.52 billion ペソは,Upper Magat and Cagayan, Upper Pampanga and Jalaur River basin などの流域保全に当てられる。


Reference
September 19, 2008

Philippines,

●080919A Philippines, Manila Bulletin
NEADと投資調整委員会ICC,エネルギー6プロジェクト承認
NEDA-ICC approves 6 energy projects
http://www.mb.com.ph/BSNS20080919135592.html

Nepal

●080919B Nepal, livemint
ネパールの水力輸出の意図,送電線が問題か
Inadequate transmission links may trip Nepal’s power trade goals
http://www.livemint.com/2008/09/19002843/Inadequate-transmission-links.html

India

●080919C India, Economic Times
KG流域の天然ガス包蔵,リライアンスに期待以上の成果
RIL strikes gas at 8 more spots in KG basin
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_strikes_gas_at_8_more_spots_in_KG_basin/articleshow/3500839.cms

Indonesia

●080919D Indonesia, punchng
インドネシアと中国の電力改革の現状
Power sector reforms in Indonesia and China
http://www.punchng.com/Articl.aspx?theartic=Art200809190141915


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月18日分 ーカンボジア水力での開発調査

「カンボジア水力での開発調査」,カンボジアは,1992年の和平実現以来,主としてプノンペンを中心に,日本を初め各国機関が協力して電力の復興に当たってきた。いずれは,全国展開が必要だと言われてきたが,治安と地雷の問題で,なかなか実現しなかった。今日の報道では,長らく待ったJICAが,遂に全国展開に踏み切って,電力に関する開発調査の報告書を完成したようだ。

今日の報道は,中国の Xinhua のニュースを通じて流れており,カンボジアの Ministry of Industry, Mine and Energy (MIME) の回りを,如何に多くの中国技術陣が取り囲んでいるかがよく分かる。このJICAの開発調査の間にも,カンボジア南西部,Cardamon 山地の中で,中国によって多くの水力地点が動き出そうとしている。

カンボジアは,1990年代に緊急手段として,多くのディーゼル発電機が据え付けられた。このディーゼル発電機のために,電力料金は高く設定せざるを得なかった。このために,カンボジアの電力料金は,日本やフィリッピンと共に,アジアの中でも高い料金となっている。これを解消すべく多くの人々が努力したが,大型の開発を行うだけの電力需要がないために,今日まで高い料金のままで来ている。

我々も,一時,カンボジア南西部,タイとの国境付近に,大規模石炭火力を造ってタイに送り,一部カンボジアで消費する案を考えた。日本の中国電力が調査に当たったが,後援が続かなかった。この石炭火力の案は,タイの企業に引き継がれて,生き残っていると聞いている。一方で,中国の海外進出気運と同時に,中国の技術陣が,南西部の水力開発を行うべく動いている。

いずれのプロジェクトも大規模で,近年に於ける実現は難しいが,カンボジア政府は,国民の期待を担って目標を掲げている。2020年までに,太陽光でも何でも良いから,全国全村落に電気を送る。2030年には,70%の家庭または需要家が,全国の送電網から電力を受けられるようにする。我々のよく知っているカンボジア政府の電力関係者の奮闘を祈る。


本文

●カンボジア,7つの水力開発のため,1.14 billion ドル必要

JICAの全国水力開発マスタープランの報告書が出来て,Ith Prang, Secretary of State for MIME がその内容を語った,と言う記事ですかね。カンボジアのMIMEの目標は,揺らいでいない。2020年までに全村落の電化を完成し,2030年までに個別の家庭への電力供給を,送電網の中に組み入れる,と言うものである。これをベースにして,JICAが開発調査を実施したのだろう。

報告書の内容が端的にまとめられている。なおこの記事は,中国の Xinhua のニュースソースから出ているので,Ith Prang 次官の回りは,今や中国のエンジニアーが取り囲んでいる状態が読んでとれる。報告書は,カンボジア南西部と北東部に於いて29の水力プロジェクトを抽出し,そのうち7プロジェクトを優先開発とし,そのための費用が,1.14 billion ドルと見積もっている。中国のダム開発グループとはどうなるか。

●インド,氷河が氷結,Himachal Pradesh 水力の出力危機

ニューデリーの気象の一般的な情報を見ると,9月から10月にかけて気温が,雨量が120mm台から10mm台に激減し,気温は,25度程度から18度ぐらいまで変わってくる。インダス川の上流の各河川,Chenab,Beas,Satluj の各支流の上流は,中国領に入ってチベットのヒマラヤを源流としている。Himachal Pradesh 州の河川の中流部には,多くの水力発電所があって,インド北部の重要な諸州,Punjab,Haryana, Uttar Pradesh,Delhi などに電力を供給している。

今日のニュースでは,これら重要な電源河川の上流の氷河湖が結氷を始めたようで,下流の水量が極端に落ちている。通常毎秒300トン程度の水が200トンに落ちて,これが原因で,インド北部諸州への電力供給が落ち,場所によっては供給不足が起こっているという。

記事に出てくる主な発電所は,1,500MW Nathpa Jhakri 水力,126MW Largi project in Mandi district 水力,120-MW Bhava project in Kinnaur district 水力,the 540-MW Chamera I and 300-MW Chamera II projects in Chamba district 水力などである。


Reference
September 18, 2008

India

●080918A India, sindhtoday
氷河が氷結,Himachal Pradesh 水力の出力危機
Himachal hydropower generation dips, supply to Delhi falls
http://www.sindhtoday.net/south-asia/21549.htm

Cambodia

●080918B Cambodia, insurancenewsnet
カンボジア,7つの水力開発のため,1.14 billion ドル必要
Cambodia needs 1.14 bln USD to develop 7 hydropower projects
http://insurancenewsnet.com/article.asp?n=1&neID=20080916375.4_23930029057986ca


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月17日分 ーミャンマーの Chindwin 開発

「ミャンマーの Chindwin 開発」,ミャンマーを南北に貫く大河,Irrawaddy 河がマンダレー上流で分かれて西の支流,Chindwin となる。この川はすぐ西がインドの北東地域であり,第2次大戦中は,激戦地として知られている。ここの1,200MW,Tamanthi 水力は,インドのNHPCが調査を行い,とてもインドには持って帰れない,と一時はした。

そこで,我らが,「アジア開発3人男」,の一人,インド電力省の minister of state for power Jairam Ramesh が,何を言っているのだ,とNHPCを叱りつけ,NHPCを伴って,ミャンマーの首都に乗り込み,調査を再開した。この調査の結果を受けて,再び Ramesh がNHPCを引き連れてミャンマーに乗り込み,MOU締結に持ち込んだ。Tamanthi の他,Chindwin 下流の600MW Shwzaye 水力も同時に進めることになっている。

Chindwin 川と隣り合わせているインドの北東地域は,余るほどの包蔵水力に恵まれている。それにも関わらず,Ramesh がミャンマーに拘るのは,勿論,ミャンマー沖の天然ガスである。インドが手を拱いていれば,その天然ガスは,中国やタイに持って行かれてしまう。Ramesh には,本気で Chindwin をインドの手で開発する気はないだろう。

インドを訪問中のネパール,prime minister Pushpa Kamal Dahal `Prachanda は,Prime Minister Manmohan Singh と会談し,両者の話題は,ネパールの水資源開発に集中してきた。特に,Prachanda のインド訪問直前に大洪水の被害をもたらした,Ganges 上流の Kosi 川について,Prachanda が上流ネパール領内に,洪水調節用の貯水池を建設することを提案している。ネパールの貯水池計画の敵は,ヒマラチャからの土砂である。


本文

●ミャンマー,インドのNHPC,Tamanthi など二つの水力開発へ

私の,「アジア開発4人男」,の一人,タイの Samak 首相退場で,3人になってしまった。その残った3人の一人,インドの minister of state for power Jairam Ramesh が,殆どインドのNHPCが諦めていたミャンマーの水力を,自らミャンマーの首都に乗り込んで,インドがそのプロジェクトを実施する,と大見得を切って,NHPCをその気にさせた。それもこれも,ミャンマー沖の天然ガスへの思いからだ。

今日,再び Ramesh がミャンマーに乗り込んで,先方電力省とMOUを交わした地点は,従来から話題となっていた,Chindwin river の 1,200MW,Tamanthi 水力,及び600MW,Shwzaye 水力の二つのプロジェクトである。Ramesh は,Chindwin river が,今発展途上にあって関心の高いインド北東地域と隣り合わせであることを強調している。

●ネパール,Prachanda,Kosi 川に,高ダム建設を指向

ネパール共和国初の首相としてインドを訪問した prime minister Pushpa Kamal Dahal `Prachanda,Prime Minister Manmohan Singh との会談などを通じて,水資源問題に話が集中している。特に,インド訪問の直前に,Ganges 河上流の Kosi 川,両国の国境付近で突発的に生じた洪水の被害,数百万人が被災した現実に反応した。インドは救援を申し出ると同時に,Prachannda は,Kosi 川上流に大規模貯水池を造ることを提案している。

また,話題はネパールの水力資源に及び,ネパールの包蔵水力が80,000MWあることや,Prachanda が,次の10年で10,000MWを開発する意志を表明している。勿論,インドの需要を考えての話である。なお,ネパールに大きな貯水池を建設することに関しては,問題は,ヒマラヤからの土砂流入であり,ネパールのダムの難しさはそこにある。


Reference
September 17,2008

Nepal

●080917A Nepal, economictimes
Prachanda,Kosi 川に,高ダム建設を指向
Nepal favours high dam on the Kosi: Prachanda
http://economictimes.indiatimes.com/News/PoliticsNation/Nepal_favours_high_dam_on_the_Kosi_Prachanda/articleshow/3491776.cms

Myanmar

●080917B Myanmar, economictimes
インドのNHPC,Tamanthi など二つの水力開発へ
NHPC to set up power projects in Myanmar
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NHPC_to_set_up_power_projects_in_Myanmar/articleshow/3491473.cms


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月16日分 ーネパール新首相のインド訪問

「ネパール新首相のインド訪問」,10数年前に,ネパールが中国から高射砲を買ったために,インドは国境を封鎖し,何ヶ月もネパールは車のガソリンもなかった時代があった。今回,我らが,「アジア開発男」,の一人,毛派の首領,Prachanda がネパール共和国初代の首相になってはじめての外国訪問が中国であったことに,Prachanda 自信がその言い訳に走り回っている。あれはオリンピックがあったからである,と。

今日の記事では,Prachanda が インド首相 Manmohan Singh に抱きついて,実に嬉しそうな顔をして写真に収まっている。Prachanda は農業の大学を出ており,一時,UNDPの農業の専門家をしていた。農村を渡り歩く間に,毛沢東主義に目覚め,毛派の首領に推されて,ゲリラ活動を指導することになる。その間何度も追われてインドにかくまわれたことがある。今日の写真は,両国の首相の挨拶,と言うよりは,兄貴に出会って懐かしがっている弟の表情を,Prachanda の顔に見る。

それだけに,中国の先に行ったことを頭に置きながら,'peculiar and different' than other countries' 即ち,インドとは他の国と違って特別な関係だから,とか,'Nepal would like to prosper along with India',我々ネパールはインドがあって繁栄があるのだ,と。

それにしても,ネパールのこの1年間の変わりようには目を見張る。1年前までは,毛派は銃を持って政府に刃向かい,カトマンズーには国王が政治を独裁していて,毛派は,また Prachanda はゲリラの首領で犯罪人であったのだから。それでも私が驚くのは,Prachanda が高邁な民主主義,資本の自由化を率先して主導していることだ。

彼はまだ毛派の軍隊を武装解除していなくて,ここまでネパールの自由経済化を大声で叫んで歩けるのか。大統領が毛派で占められなかったときは,再びゲリラに返りそうな口ぶりだったのに,いまや彼は,華やかなネパールの自由の騎士である。ネパールの莫大な包蔵水力は,地球人類のために活かされるかどうか,それは彼の胸一つにかかっている。


本文

●プラチャンダと新首相,ネパールとインドの関係,問題山積

ネパールの新首相 Prachanda は,元々大学を出た農業の専門家で,UNDPの専門家もしていて,長く農村で生活する間に,農民と接して毛派の思想に心酔していった。そういう意味から,初の共和国首相としてインドの土を踏み,インドのシン首相と抱き合って挨拶する彼の表情は,対等にインドの首相と対話できるという喜びと共に,まるでシン首相を兄貴と見立てたようなうち解けた表情が読みとれる。彼も一時は,毛派の頭領として国を追われインドに逃げていたわけだから。

インドとしては,このネパールの大デリゲーションは大歓迎であるが,やはりネパールの有する社会問題や,毛派が政治の主導権を握りながら,その軍隊の武装解除を行わずに温存しているところに,警戒感を感じている。治安と民主化とダイナミックな経済成長,と言う大きなテーマーを抱えたネパールに対して,インドは,民間企業がネパール経済の中に飛び込んでいって,水力開発を行うことに,現実の不安を感じている。

●ネパール,Prachanda 語る,インドに,中国との結びつきに問題ないと

ネパールが高射砲を中国から買ったとき,インドはネパールの経済封鎖を行い,ネパールは車のガソリンもなくなってしまったことがあった。今回,Prachanda が,インドに来る前に中国に行ったことについて,インドは沈黙を守っているが,Prachanda は饒舌に,中国に先に行ったことは大したことではない,インドとネパールの関係は,古来より特別なものであるから,これ弁明に努めている。

この記事の中の,経済に関する交渉を読むと,ネパール側の Prachanda が,一生懸命,治安の問題や,インド資本の投資への安全について,説きまくっている状態が手に取るように分かる。Prachanda の二つの言葉が印象に残る。中国を意識しながら,'peculiar and different' than other countries' 即ち,インドとは他の国と違って特別な関係だから,とか,'Nepal would like to prosper along with India',我々ネパールはインドがあって反映があるのだ,と。

●中国,2018年には,エネルギー需要は鈍化する

経済の専門家が,中国の近未来を描き出している。その人は,Chen Jiagui, vice-president of the Chinese Academy of Social Sciences。彼は,中国が工業化と都市化を一定レベルまで完成しないと,エネルギー使用を止めないであろう,と言っている。それは2018年である。まだそこまで待たねばエネルギー不足は続くのか,と言う感じである。


その他

●第4次インド北東部ビジネスサミット,通商を刺激
●インド,CEA,論議を踏まえ,水力開発の新ガイドラインを準備
●パキスタン,水危機,インドが Chenab 上流で流れをブロック


Reference
September 16, 2008

Pakistan

●080916A Pakistan, thepeninsulaqatar
パキスタン,水危機,インドが Chenab 上流で流れをブロック
Pakistan water crisis deepens as India blocks river flow
http://www.thepeninsulaqatar.com/Display_news.asp?section=World_News&subsection=Pakistan+%26+Sub-Continent&month=September2008&file=World_News2008091671317.xml

Nepal

●080916B Nepal, asiantribune
Prachanda 語る,インドは,中国との結びつきに問題ないと
Prachanda tells Delhi: Don't worry about Nepal's ties with Beijing
http://www.asiantribune.com/?q=node/13262
●080916C Nepal, nepalnews
ネパールとインドの関係,これより緊密に
Dealing with a new Nepal
http://www.nepalnews.com/archive/2008/others/guestcolumn/sep/guest_columns_06.php

India

●080916D India, Economic Times
第4次インド北東部ビジネスサミット,通商を刺激
Summit will help boost NE trade Ansari
http://www.assamtribune.com/scripts/details.asp?id=sep1608/at01
●080916E India, Economic Times
CEA,論議を踏まえ,水力開発の新ガイドラインを準備
CEA prepares new guidelines for hydro projects to curb disputes
http://www.livemint.com/2008/09/15215923/CEA-prepares-new-guidelines-fo.html

China

●080916F China, xinhuanet
2018年には,エネルギー需要は鈍化する
Energy demand may ease by 2018 in China
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/16/content_10027149.htm


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月15日分 ーインドの送電公社分割へ

「インドの送電公社分割へ」,インドの国家送電公社PGCILは,どの方向に行くのか,非常に関心があった。突然の今日の記事は,電力自由化の方向として,斬新である。インド電力省は,2月に,委員会を立ち上げて,検討を行っていた。additional secretary の Gireesh Pradhan が委員長である。

委員会は,8月に入って最終報告書を提出した。その内容は,送電施設 transmission lines and substations と給電指令 load dispatching を切り離そうというものである。会計的にも,2009年3月末までに分離することを求めている。送電線は単なる電線の世界であり,給電の世界は電力自由化の基本組織とする考えだろう。

電力自由化によって各国の電力会社は分割の方向に向かった。インドネシアとタイは,分割寸前で,憲法裁判所の判断で,送電線は本体から切り離されなかった。ベトナムは,まだ分割まで進んでいない。典型的に分割が進んでいるのは,インド,中国,フィリッピンである。

中国のケースでは,時の李鵬首相が東京電力を訪れて,日本は分割しないのか,と聞いたが,日本側は確答しなかった。帰国した李鵬首相は,直ちに分割 unbunddling に乗り出した。発電部門は完全に分割,送電部門は一本化して,国家送電網に大きな権限を持たした。分散した電力会社からの電力を国家送電網が一手に引き受け,供給責任を持つことになった。そのために揚水発電所を国家送電網の所属とした。

フィリッピンは,完全に分割して国家送電網 Transco を独立させた。しかし,電力の引き取り手とはしないで,単なる電気を送るだけの会社にしてしまった。中国国家電網に運用まで委譲しようとしている。電力の引き取り手は,従来までは国家電力 NPC が暫定的に引き取るが,今後はすべてプール市場 WESM で引き取られるという不安定な状態である。供給責任が曖昧になってしまった。

インドはどうなるのか,大いに関心を持っていた。既に分割されて独立した PGCIL は,中国のように,強大な責任と義務を持つ方向かと推測していた。今回の委員会の結論で,送電 transmissionn line と給電 load dispatching を分けると言うことは,フィリッピンに近い方式をとるが,供給責任や電力の運用は給電に持たせようと言うのか。新しい試みだが,不安もある。私は,中国の方式がよいと思う。


本文

●インド,中央政府,送電公社の分割を検討中

インドの送電公社については,どの方向に行くのか,非常に関心があった。突然の今日の記事は,電力自由化の方向として,斬新である。電力省は,2月に,委員会を立ち上げて,検討を行っていた。additional secretary の Gireesh Pradhan が委員長である。8月に入って最終報告書を提出した。その内容は,送電施設及びその運転と,給電指令を切り離そうというものである。会計的にも,2009年3月末までに分離することを求めている。送電線は単なる電線の世界であり,給電の世界は電力自由化の基本組織とする考えだろう。

●ネパール,いよいよ Prachanda, デリー着,月曜より協議開始

ビジネスマンや報道陣を含めて,44名に上る大ミッションが,ニューデリーに到着した。団長は,我らが,「アジアの開発男」,Nepal's Maoist Prime Minister Pushpa Kamal Dahal "Prachanda"である。月曜日には,Prime Minister Manmohan Singh と会談する予定である。Prachanda の大きな目的は二つあり,一つは1950年の Peace and Friendship Treaty between India and Nepal を再協議すること,もう一つは,水力開発など,インドの民間投資を促進することである。最近,洪水で問題となっている Kosi 川も大きなテーマである。


Reference

September 15, 2008

Nepal

●080915A Nepal, howrah.org
いよいよ Prachanda, デリー着,月曜より協議開始
Prachanda arrives in India, talks on Monday
http://howrah.org/india_news/29635.html

India

●080915B India, economictimes.indiatimes
中央政府,送電公社の分割を検討中
Government plans to bifurcate power grid, transmission operations
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Government_plans_to_bifurcate_power_grid_transmission_operations/articleshow/3483420.cms


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月14日分 ーインドとネパールのコシ川問題

「インドとネパールのコシ川問題」,9月1日にも,インドとネパールの間の河川管理問題を取り上げた。昨日,9月14日にニューデリーに着いたネパール共和国首相 Pushpa Kamal Dahal Prachanda は,インドとの間の不平等条約の改定に乗り出す意志を,出発に際しての記者会見で,表明している。これに対して,water resources minister Saif Uddin Soz は,両国間に存在する Koshi treaty には何の問題もないと思うが,一応,Prachanda の考えを聞いてみよう,との発言をしている。

Koshi 川は,インドの Bihar 州で Ganges 川に流れ込むが,上流は流域面積69,300平方kmで,上流 Everest から発する中国領内は,29,400平方km,ネパール内は30,700平方km,インド領内は,9,200平方kmである。ネパール内上流は,西に延びる Gandaki 川,東に延びる Mahananda 川に分かれている。上流では,インドの企業による水力開発,300MW Upper Karnali プロジェクト,402MW Arun III プロジェクトである。

下流の Bihar 州に大きな洪水被害をもたらすと同時に,肥沃な土地を育てている。国境地点で,平均流量は毎秒1,564トンであるが,1954年8月24日の洪水時の流量は,18倍,毎秒24,200トンに達した。(流域面積の割合に対して少ないですね)。国境にある Koshi 堰 の設計洪水量は毎秒27,014トンである。

問題に火を付けたのは,今年,2008年8月18日の大洪水である。ネパール領内の Kusaha で堤防が決壊し,インドの Bihar 州も含め,2.7 million の人々が被災し,いまでも 2 million の人々が避難生活を送っている。最大の悲劇は,取り残された地域の150人が,一挙に濁流に呑み込まれた事故が,この災害に強烈な印象を与えている。インド空軍が,ネパール領内に入って,救助活動を行った。

今日も,インドの water resources minister Saif Uddin Soz が言っているが,インドはネパールに入って水力ばかりを開発しているが,川の安定も考える必要がある。ネパールの河川を民間企業だけに任せておいて良いのか,と問題を提起している。日本に於ける議論と一緒だが,上流に洪水対策のためのダムを造る必要があるのではないか,堤防だけでは持ちこたえられない,との考えも出てきている。


本文

●インドの水資源省,Koshi 川条約の見なし不必要

2008年9月14日,ネパールの首相についた Prachnda が,いよいよインドに乗り込んだ。多くの課題と期待を載せた彼の飛行機であるが,インド側も緊張している。多くの問題の中で,インド側から発言のあったのは,ネパール東部からインドの Bihar 州に流れ込む Koshi 川の洪水制御の問題である。つい先週,ここで大洪水が起こって,大いに世界の話題になった。

Prachanda は出発に際しての記者会見で,インドとの不平等条約の改定を真っ先に挙げているが,その一つがこの Koshi 川条約である。迎え撃つインドの水資源大臣 Saif Uddin Soz は,インド側としては,現行の条約に何の問題もない,このままでよいと思うが,一応 Prachanda の話を聞いてみよう,と発言している。ネパール内のダム建設の問題が絡んでくる。

●シンガポールの Tamasek,最高裁の独占禁止法で,敗訴

先週は,シンガポールの電力企業 Seneko の買収劇で賑わったが,この買収劇を仕掛けたのは,シンガポール籍の株保有会社 Temasek で,この企業の株式売却によって,Seneko の買収が行われた。丸紅,関西電力,九州電力,JBICのグループが落札した。この4者とも,アジア地域内での華々しい電源開発を主導して来た期待の企業であるが,23億ドルが,ゼロサムゲームに投入されたのは,その続編があると考えねばならない。

Temasek は,シンガポールの電力企業売却によって得たキャッシュを何に使うのか。当然,丸紅,関西電力,九州電力,JBICのアジアの電源開発への意図をくみ取って,近隣諸国,インドネシアやフィリッピンなどの電源に投資して欲しいものである。そうしなければ,大金を投じたJBICを含めた日本企業の本来の意図が達成されない。レジャー産業などに投入されたのでは,目も当てられない。

その Tamasek は,インドネシアの最高裁判所から,独占禁止法違反と裁定された。それは,Tamasek がインドネシアの通信会社 PT Telekomunikasi Selular (Telkomsel) と PT Indosat の株式を保有しているからである。Temasek 側は,裁定は残念だ,とコメントしているが,日本の海外開発のための資金を持っていった Temasek が何をするか,じっと見ていますぞ!


その他

●フィリッピン,ERC,2008年の Transco 収入,36.11 billion ペソ,OK


Reference
September 14, 2008

Philippines

●080914A Philippines, Manila Bulletin
ERC,2008年の Transco 収入,36.11 billion ペソ,OK
ERC okays TransCo’s allowable revenue at P36.11 billion in 2008
http://www.mb.com.ph/BSNS20080914135116.html

Nepal

●080914B Nepal, Nepali News
インドの水資源省,Koshi 川条約の見なし不必要
Indian minister says no to Koshi treaty review
http://www.nepalnews.com/archive/2008/sep/sep14/news03.php

Indonesia

●080914C Indonesia, The Jakarta Post
シンガポールの Tamasek,最高裁の独占禁止法で,敗訴
Temasek loses last appeal
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/13/temasek-loses-last-appeal.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月13日分 ータイの電力は天然ガス偏重

「タイの電力は天然ガス偏重」,前から盛んにこの欄でも取り上げている問題である。タイの発電は,1980年代までは北部の石炭火力が主体で,安価な電力を供給してきたが,1990年代以降,タイ湾の天然ガスによる発電が急増し,このガス火力発電が70%を占めるようになってきて,懸念が増大している。

タイは今政治的混乱の中にあり,我らが,「アジア開発4人男」,の一人,Samak 首相が退陣に追い込まれて寂しい限りである。その代わりに,もう一人のネパールの荒くれ男,Prachannda が首相となり,はじめてのインド訪問に出発する。

さて,タイの天然ガスについては,何度もこのHPで取り上げている。タイ湾の包蔵は,約15 trillion 立方フィート tcf と言われており,既に4 tcf は消費した。今カンボジアと紛争状態にある国境付近には,5 tcf の包蔵があると言われている。タイは,ミャンマーからのガスも大いに期待しているが,いよいよLNG輸入の準備も始めている。

今日は,そのタイの天然ガスの価格が上昇したために,自動的に電気料金が10月に上昇することになった,と言う記事である。前期は million Btu 当たり200バーツ(5.65ドル)であったものが,230バーツ(5.76ドル)に上がったための,自動調整だという。

その結果,の10月より来年1月の電気料金は,自動調整分がKWh当たり0.40バーツ(1.15セント)上がって,現在の調整分0.6285バーツ(1.81セント)に併せると1.0285バーツ(2.96セント)ととなり,基礎料金2.25バーツ(6.48セント)に上乗せして,3.2785バーツ(9.44セント)となる。

先日は,インドネシアの Tanghhu のLNG価格が20ドル,という話があり,また,インドの東岸の天然ガスで,遂に10ドルの線が出てきている。最近の原油の値下がりが,今後どの様に影響してくるか分からないが,タイ湾の天然ガスの枯渇が進むにつれて,70%を天然ガスに頼るタイの電力の前途は多難である。

それでも,非常に巧妙に電気料金が10セント近くまで上がってきたことには,タイ人の巧妙な手口を見て,驚くばかりである。ここまで来ると,ラオスの水力は,少なくとも6セント,場合によっては7セントまで買えるのではないかと思ったりする。それにしても,我々も考えてきたカンボジアに於ける大規模石炭開発構想も,進めて欲しいものである。


本文

●タイ,ガス価格の上昇で,電気料金も上昇過程

タイの天然ガスの価格上昇により,自動調整機能が働いて,電気料金が上がる,と語ったのは,Energy Ministry's deputy permanent secretary の Norkhun Sitthipong である。次の10月より来年1月の電気料金は,自動調整分がKWh当たり040バーツ(1.15セント)上がって,現在の調整分0.6285バーツ(1.81セント)に併せると1.0285バーツ(2.96セント)ととなり,基礎料金2.25バーツ(6.48セント)に上乗せして,3.2785バーツ(9.44セント)となる。

タイの電気料金はいつの間にか10セント弱まで来てしまった,タイ人の巧妙な手口である。発電の70%を天然ガスに頼っているが,前期は million Btu 当たり200バーツ(5.65ドル)であったものが,230バーツ(5.76ドル)に上がったための,自動調整だという。

●フィリッピン,Iloilo City,石炭火力をDENR承認へ,環境グループが反対

フィリッピン中央東部より,パナイ島の東南端の町,Iloilo City の話である。Panay Power Corp. (PPC) が,164MW石炭火力の建設を計画して,環境省 Department of Environment and Natural Resources (DENR) の許可を得て着工しようとしたところ,環境団体,Rise,Pro-SR,We Heqal などが大気汚染を理由に反対している,と言う記事。発電所建設の許可手順についての議論に関心あり。

まず,市長の Mayor Jerry Trenas が,提出された Environmental Impact Statement (EIS) を承認して,これを受けて企業者 Panay Power Corp. (PPC) が,2010年の運転開始を目標に,DNERに,Republic Act 8749 (Clean Air Act) に基づいて,an environmental compliance certificate (ECC) を申請し,DNERがECCを承認した,と言う手順である。環境団体は,ECCの14の条件のうち,a Continuous Emission Monitoring System (CEMS) と the discharge of cooling water from the plant. に欠陥がある,としている。

●ネパール,新首相がインド訪問に先立って記者会見

我らが,「アジア開発4人男」,の一人,タイのサマック首相が消え去ろうとしていて寂しいが,もう一人のネパールの荒くれ男,毛派のプラチャンダーは,遂に首相となり,先の中国訪問に続いて,9月14日から17日まで,首相として初のインド訪問に旅立つ。これに先立って記者会見が行われたが,記者の厳しい質問にも,民主主義を貫く姿勢を示して,周囲を安心させたのではないか。長文である。

特に我々が関心を持った質問の要点は,Koshi 川で起こった洪水がインドとの国境の故に国際問題化していること,インドとの出入り口となる Terai とダム建設の問題,Mahakali の水問題,ネパールの水資源開発の基本的立場,更に,水力発電所開発について,政府間の取り決めを省略して,ネパール政府がインド私企業と協定したこと,など厳しい質問が飛んでいた。

●ベトナム,2009年,多くの発電所運転開始も,電力不足は続く

今年は多くの発電所が新規に動き出す。水力で,Buon Kuop,A Vuong, Pleikrong, Ba Ha River,Tuyen Quang 水力の第3号機など,火力では,Nhon Trach 1,Ca Mau 2,Son Dong. などで,15,000MWの全国システムの中に,3,000MWが付け加わる。それでも2009年も電力不足が続く,なぜなのか。EVNは,予定されている新規発電所の工事の遅れを懸念している。資金が十分い回っていないと言う。特に,民間開発が大きな分野を占める段階で,銀行がEVNへの財政支援を躊躇しているからだ,と言っている。


Reference

September 13, 2008

Vietnam

●080913A Vietnam, english.vietnamnet
2009年,多くの発電所運転開始も,電力不足は続く
Electricity shortage may recur in 2009
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/09/803354/

Thailand

●080913B Thailand, Bangkok Post
ガス価格の上昇で,電気料金も上昇過程
Power bill hike likely with gas price rise
http://www.bangkokpost.net/130908_Business/13Sep2008_biz24.php

Philippines

●080913C Philippines, Manila Bulletin
Iloilo City,石炭火力をDENR承認へ,環境グループが反対
Groups to sue DENR for OK of coal plants
http://newsinfo.inquirer.net/inquirerheadlines/regions/view/20080912-160307/Groups-to-sue-DENR-for-OK-of-coal-plants

Nepal

●080913D Nepal, The rising Nepal
Prime Minister Pushpa Kamal Dahal,初の訪印で記者会見
Interview with PM ahead of India visit
http://www.gorkhapatra.org.np/detail.php?article_id=6682&cat_id=4


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月12日分 ーインドの石炭に赤信号

「インドの石炭に赤信号」,お金さへあれば発電所は幾らでも出来る,しかし問題は燃料の裏付けである。これは我々が言い続けてきた言葉である。簡単な理屈であるが,開発者の目はどうしても発電所建設に向いてしまう。中国の電源開発最盛期がそうであったと思う。今中国は,石炭供給が困難な状態に陥り,政府は,石炭と発電の行政の一体化を検討している。

インドは,今まさしくこの問題に遭遇しつつあるようだ。今日の Power Secretary Anil Razdan の発言,それに基づく極めて短い Economic Times の記事がすべてを象徴している。207年から2012年までに,70,000MWの電源開発,それも60,000MWを石炭火力で開発しなければならない電力省である。今日の Razdan の短い発言に込められた内容は,私は,電力と石炭の行政が分断している問題に火を付けようとしたのではないか,と読んでいる。

中国に於ける電力と石炭の行政一本化は,そんなに難しい問題ではないが,インドは大変である。シン首相の一言で動くような国ではない。それに,中央がその気になっても,州政府達がそれについてきてくれる保証はない。Razdan の胸に秘められた苦衷の短い言葉を追ってみる必要がある。

インドの石炭は,中国に比べれば,大きな問題を秘めている。海外電力調査会によると,インドの石炭の埋蔵量は253.3 billion トンで,世界全体の10%である。この量は,米国,ロシア,中国に続いて,世界第4位である。昨年度,2006年〜2007年の総使用量は1.11 billion トン,このうち0.243 billion トンを輸入している。インドが輸入先としているのは,インドネシア,オーストラリア,南アメリカである。発電は,その70%が石炭で賄われている。

インドの石炭は,やや東部に集中して偏在している。石炭採掘は,電力省とは独立した石炭省のもと,インド石炭公社CILが,総生産量の85%を占めている。民間企業の参入は限られており,主にタタスチールなどの製鉄所や発電用の専用鉱山が主体である。現在電力省が進めている大規模石炭火力計画UMPPは,この石炭省との石炭供給契約が重要であるが,10プロジェクトのうち,具体化しているのは2つだけである。

私は,これらの問題に注目しながら,しばらくインドの石炭に関する情報に関心を持っていきたい。また,インドの石炭には,量的な問題と共に,質の問題がある。しかし重要なことは,鉄道省も絡む輸送の問題だろう。


本文

●石炭不足がインドの電源開発を遅らせる可能性

インド電力省の Anil Razdan 次官が,不気味なことを呟いた。現在進行中の第11次五カ年計画など,一連の60000MWに達する石炭開発は,石炭不足のために行く詰まるだろう,と言うのである。開発を主導する電力省のトップの発言は異様である。この報道は,僅か数行の記事であり,これに今後続報が続くのか,関心を以てこの発言のフォローを見てみたい。

●アッサムでインド北東地域ビジネスサミット開催

来週から Assam 州の Guwahati で開催される第4次北東地域サミットに関心が集まっている。インド北東地域に接する国は Bangladesh, Bhutan, China, Myanmar, Nepal, and Tibet であるが,これらの国の他,東南アジア各国の大使級の外交官と投資家,それにASEANからは Singapore, Malaysia and Thailand,国内各州,の各代表が参加する。

この会議を前にして,Ministry of Development of North Eastern Region は声明を発表した。インドの北東地域は,Arunachal Pradesh, Assam, Manipur, Meghalaya, Mizoram, Nagaland, Tripura and Sikkim の各州で成り立っていて,人口は40 million である。国の包蔵水力の38%がこの地域に集中している。また,900 million トンの石炭と500 million トンを越す原油を包蔵している。

開発は,貧弱なインフラ,市場経済への困難,治安問題などによって阻まれてきたが,周辺諸国の外交官社会に目覚めて貰い,これを突破口に,この地域の地形的地政的な特徴から,外国資本投資の中心とインドの貿易のハブとすることが,インドの念願である,と熱く語った。

●インド発電企業GMR,2000MWクラス原子力に挑戦

インド発電企業GMRは,本来建設企業の関連企業であるが,最近,ネパールの水力開発に先導的な役割を果たしていつ頃が印象深い。このたび,GMRの energy executive vice-president Avinash R Shah が,この先5〜7年の間に,100 billion ルピーの原子力予算を調達して,2,000〜3,000MWの原子力開発への参入を考えている,と語った。協力相手国として,フランス,米国,韓国を考えている。


その他

●フィリッピン,Hedcor Sibulan,ダバオへの供給,2億ドルプロジェクト推進


参考資料

2008年9月12日分

Philippines

●080912A Philippines, pia.gov.ph
Hedcor Sibulan,ダバオへの供給,2億ドルプロジェクト推進
Hedcor construction sources P200 million from Davao suppliers
http://www.pia.gov.ph/?m=12&r=&y=&mo=&fi=p080912.htm&no=05

India

●080912B India, Economic Times
インド発電企業GMR,2000MWクラス原子力に挑戦
GMR lines up Rs 10,000 cr for nuclear power project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/GMR_lines_up_Rs_10000_cr_for_nuclear_power_project/articleshow/3473295.cms
●080912C India, Economic Times
石炭不足がインドの電源開発を遅らせる可能性
Coal shortage delays Indian power projects-govt
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Coal_shortage_delays_Indian_power_projects-govt/articleshow/3470190.cms
●080912D India, bernama.com
アッサムでインド北東地域ビジネスサミット開催
Asean Diplomats To Tour India's North East To Explore Trade
http://www.bernama.com.my/bernama/v3/news_business.php?id=358685


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月11日分 ーインド,タタ,10,000MW開発へ

「インド,タタ,10,000MW開発へ」,インド Munnbai 籍の Tata Power は,今回のシンガポール,Senoko Power, 約6,000MWの売却入札で,日本側の丸紅グループや三菱グループなどと応札して健闘したことから,再び我々の脳裏にその名前を焼き付けさせた。今日の記事,Tata Power 会長 Mr. Ratan Tata の談話は,インドの経済成長と共に拡大して行く Tata Power の近未来を描き出している。

Tata Power は,インド最大の民間発電企業である。現在の所有する発電設備の規模は,2,278MWで,まだ小さいが,民間企業では最大規模で,火力発電,水力発電,風力発電,送電サービスなど,事業は多彩である。年間総売上は,423億ルピーである。会社の設立は,1919年と,長い歴史を持っている。

Ratan Tata 会長が語ったその新規電源開発の構想の概要は,次の通りである。4,000MW,国の大規模火力開発UMPPの最初のプロジェクト,Gujarat 州の Mundra は1,700億ルピーの資金調達を終わり,2011年9月運転開始の予定で,順調に進んでいる。他に予定されているのは,Jharkhand 州に,1050MWの Maithon 火力,Maharashtra 州沿岸の2,400MW火力などがある。

特に注目すべきは,最近の海外も含めてのエネルギー資源への進出である。インドネシアの石炭資源では,PT Kaltim Prima Coal (KPC) and PT Arutmin Indonesia と共同開発の契約を持っている。国内の石炭は,Orissa 州の Mandakini Coal Block と Jharkhand 州の Hindalco and Tubed Coal Mines Ltd を買収している。

Ratan Tata 会長の話の中で興味があるのは,建設コスト Tata としての見通しである。KW当たりで,石炭火力が40,000〜50,000ルピー(874〜1,093ドル),水力が60,000〜65,000ルピー(1,312〜1,421ドル),原子力が6〜8ルピー(1,312〜1,749ドル),風力が60,000ルピー(1,312ドル),太陽光が200,000ルピー(4,372ドル),ガス火力が28,000〜38,000ルピー(612〜831ドル)である。インド北辺で大規模な水力を目指しているのか,水力が比較的安価である。


本文

●インド,発電企業 Tata Power,次の5年で,新規10,000MW

インド有数の発電企業 Tata Power の Ratan Tata 会長が,その新規電源開発の構想を語った。4,000MW,国の大規模火力開発UMPPの最初のプロジェクト,Gujarat 州の Mundra は資金調達を終わり,2011年9月運転開始の予定で,順調に進んでいる。他に予定されているのは,Jharkhand 州に,1050MWの Maithon 火力,Maharashtra 州沿岸の2,400MW火力などがある。

●三峡ダム,9月半ばにも,水位が175mに,

先日も,26機目の最終機器の据え付け終了間近を伝えたばかりだが,いよいよ満水位海抜175mに達する日が来た。Yangtze River Water Resources Committee と China Three Gorges Project Corporation (CTGPC) が発表した。この水曜日の水位は145.84mである。結局,移住した全人口は,Chongqing と湖北省で,124万人に達した。今日の記事では,そのダムの全景写真が素晴らしい,永久保存版だ。

●フィリッピン,IPP企業 Team Energy, Benguet cooperative に直接売電

TeaM Energy は,Mirant を買収した丸紅,東京電力を主体とした現地法人である。今日の記事はその Sual 石炭火力200MWを供給源とした直接販売契約の記事である。フィリッピンの電力改革は,最終的には,需要家によるフリーアクセスを以てその完成を目指しているが,これはその第一歩と言えるのではないか。相手は Benguet Electric Cooperative Inc. (BENECO) である。一般のNPCからの供給に対して,KWh当たり0.2075ペソの割引を,ERCが裁定した。


その他

●フィリッピン,最高裁,マニラ電力とGSISの紛争に結論


参考資料

2008年9月11日分

Philippines

●080911A Philippines, Manila Bulletin
IPP企業 Team Energy, Benguet cooperative に直接売電
TeaM Energy to supply Benguet coop
http://www.mb.com.ph/BSNS20080911134847.html
●080911B Philippines, Manila Bulletin
最高裁,マニラ電力とGSISの紛争に結論
Supreme Court lauded on CA justices decision
http://www.mb.com.ph/MAIN20080911134852.html

India

●080911C India, Economic Times
発電企業 Tata Power,次の5年で,新規10,000MW
Tata Power to add 10,000 MW in next five years
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Tata_Power_to_add_10000_MW_in_next_five_years/articleshow/3468873.cms

中国

●080911D China, china.org.
三峡ダム,9月半ばにも,水位が175mに,
Three Gorges Project to raise water level to 175 meters
http://www.china.org.cn/environment/news/2008-09/10/content_16427275.htm


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月10日分 ーインドネシア原油生産の落ち込み

「インドネシア原油生産の落ち込み」,2008年5月に,ユドヨノ大統領は,インドネシアのOPEC脱退の方針を明らかにし,この9月9日のOPEC総会で正式に,脱退が確認された。原油生産が増大すれば,再びOPEC加盟を目指すことが出来る。

インドネシア国会は,国の威信をかけて,まだ原油は残っている,という命題に挑戦している。プルタミナや外資系企業の代表が連日国会に呼ばれて,原油生産の予想についての議論がなされている。国会議員は,外資系企業を非難している。彼等は,国営企業のプルタミナが,2009年の生産6%増の予想を出しているのに,なぜ外資系の予想は減るのか,と問いつめている。

PT Chevron Pacific Indonesia が,今年の生産予想を,408,000 barrel per day (bpd) から下方修正,405,000 bpd と報告したが,前年実績は425,000 bpd なので,相当の落ち込みとなっている。他の外資系企業はすべて前年実績を下回っているのに対して,PT Pertamina EP は,2009年の予想として,前年実績118,221 bpd から6%増える125,000 bpd としていることに,国会が鋭く反応している。

政府は,今年,2008年の生産が,977,000 bpd に対して,2009年は,950,000 bpd と減産になると予想している。国会は,この減産予想を修正するよう政府に求めているが,政府はこの要請に抵抗している。Energy and Mineral Resources Ministry の director general of oil and gas である Evita H. Legowo 女史は,政府の目標は,代替エネルギーの開発である,と反論している。

「インドネシアは1962年にOPECに加盟,1976年に原油生産量は頂点に達した。その20年後の1995年から,原油の生産量は減少し始め,2005年には原油の純輸入国になった。現在の生産量は,上の如く,1日百万バレル以下になっている。」。このインドネシアの原油の落ち込みは,近い将来の世界の原油の枯渇の推移を象徴したものだ,と言われている。

今日,OPECは,原油価格の急激な落ち込みに,実質減産で対応する,と報道されている。この半年の原油価格の動きは激しい。2008年1月にはバレル70ドルであったものが,7月には一挙に147ドルを記録した。しかし,世界景気の落ち込みを反映して,この2ヶ月で,105ドルのレベルまで急落した。原油の先行きは,誠に風雲急である。なお,世界の原油需要は,86,760,000 bpd である。


本文

●米企業 Chevron,インドネシアの原油の生産は落ちると予想

インドネシアの国会で,原油生産に関わる追求が激しさを増している。国会に呼ばれた石油企業は,PT Chevron Pacific Indonesia,PT ConocoPhillips Indonesia, state-controlled PT Pertamina EP, PT Medco E&P Indonesia, PT ExxonMobil Oil Indonesia などで,国会が一番問題にしているのは,なぜ外資系企業の生産実績が落ちているのか,と言う一点である。よく言われる,生産ピークが過ぎてしまったインドネシアの原油について,国会は連日緊張したやりとりが続いている。

PT Chevron Pacific Indonesia が,今年の生産予想を,408,000 barrel per day (bpd) から下方修正,405,000 bpd と報告したが,前年実績は425,000 bpd なので,相当の落ち込みとなっている。他の外資系企業はすべて前年実績を下回っているのに対して,PT Pertamina EP は,2009年の予想として,前年実績118,221 bpd から6%増える125,000 bpd としていることに,国会が鋭く反応している。

●インド,第2の石油企業OIL,アッサムで石炭液化,15億ドル

インド第2の規模の石油探査企業 Oil India (OIL) が,石炭公社 Coal India (CIL) と組んで,アッサムで,15億ドル規模の石炭液化事業に乗り出すこととなった。OILの MJ Pasrija 会長は,今年に入ってからの原油高を考えると,石炭液化は採算がとれると判断した,バレル60ドル以上であれば採算に乗るだろう,としている。この事業の入札には,Reliance Industries など多くの企業が名乗りを上げている。

●ネパール,West Seti 水力,750MW,議会の3分の2承認は必要ない

Snowy Mountaineering Engineering Project (SMEC) が進める750MW West Seti 水力は,インドに売るためのプロジェクトで,憲法違反である,国会で3分のに以上の賛成が必要,と言う訴えに対して,Supreme Court (SC) が,その必要はない,との裁定を下した。国の資源,と言う定義の中に電気は入っていない,国の資源を外国に渡すのではなく,国の資源によって生まれた電気を売るのだ,という。ネパール人らしい議論が続いている。


その他

●フィリッピン,オーストラリア企業 Nido, Palawan でボーリング開始


参考資料

2008年9月10日分

Philippines

●080910A Philippines, Manila Bulletin
オーストラリア企業 Nido, Palawan でボーリング開始
In northwest offshore Palawan Nido Petroleum starts oil drilling
http://www.mb.com.ph/BSNS20080910134745.html

Nepal

●080910B Nepal, nepalnews
West Seti 水力,750MW,議会の3分の2承認は必要ない
‘No need for two-third majority in parliament on West Seti’
http://www.nepalnews.com/archive/2008/sep/sep10/news01.php

India

●080910C India, Economic Times
第2の石油企業OIL,アッサムで石炭液化,15億ドル
OIL plans $1.5-b coal-to-liquid project in Assam
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/OIL_plans_15-b_coal-to-liquid_project_in_Assam/articleshow/3464741.cms

Indonesia

●080910D Indonesia, The Jakarta Post
米企業 Chevron,インドネシアの原油の生産は落ちると予想
Chevron forecasts drop in oil output
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/09/chevron-forecasts-drop-oil-output.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月9日分 ーインドの電力改革とプール市場

「インドの電力改革とプール市場」,丁度1ヶ月前の2008年8月11日の本欄で,インドの電力プール市場が話題になっている。「なかなかプール市場創設に動かない政府を見て,証券取引所が,国家火力発電公社NTPCに働きかけ,NHPCやタタを募って,その市場のプラットフォーム,基盤の創設のための法人設立の約束に踏み切った。」

今日の記事は,タタ財閥系の Tata Consultancy Services が技術的な中心となり,NTPC,NHPC,PFCが参加した合弁会社を造り,国家レベルの電力取引市場のプラットフォームの設計に乗り出すこととなった,と言うことである。前回の記事で,証券取引所側から動きがあったわけであるが,今日のこの動きも,証券取引所が主導権を持って動いている。

インドの電力改革については,IEEJの2004年9月掲載の文章が,簡潔にまとめている。2004年時点に於いて,今後5〜10年間で整備すべき項目として,送電線のオープンアクセス,州間トレードの促進,電力のプール市場の形成/自由化,が挙げられている。このプール市場についてIEEJは,「競争を促進させるためにも,未供給エリアの整備も含めた送電ネットワークの整備が重要である。」,と注意を喚起している。

先日,フィリッピンのプール市場WESMに於いて,変電所の事故から発して供給力不足が起こり,一時,KWhの市場取引の値が70 cents 近くまで上昇して大混乱が起こった。確かに,現在のインドに於ける送電線には,ネットワークの整備の他に,大きな損失の問題も残っている。私は,現在のインドの供給力不足を考えると,もう少し電源設備が整備されてからでなくては,おそらく大混乱が起こるだろう,と予測する。

今日は,2,3,重要なニュースが続いた。北朝鮮の金正日首席が,半身不随になった可能性がある。タイのサマック首相が,憲法裁判所から憲法違反を指摘され,首相の職を失った。原油価格については,バレル115ドル近辺で動いていたが,一気に102ドルのレベルまで下がってきた。OPECの増産の可能性を期待したものと言われている。


本文

●中国,三峡ダム,11月にも完成,フル稼働へ,18,200MW

長江の三峡発電所が,いよいよ今年の11月に最終機の完成を迎え,フル稼働する見込みとなった。単機容量700,000MW,重量1,700トンの水車発電機が,14機がダム左岸,12機がダム右岸に設置されている。改めて全体を眺めると,総出力が18,200MW,年間発電量が84.7 billion KWh,総工事費が22.5 billion US$,本格着工が1993年,最初の水車発電機生産開始が2003年7月である。なお,更に6機が2012年までに据え付けられる予定と言う。おそらく地下発電所の分であろう。

●ネパール新政府政策発表,水力開発にも重点

毛派のプラチャンダーを首班とするネパールの新政権が,基本政策を発表した。記事を読む限り,新政策は堂々たる内容で,民主主義を高い口調で謳い上げている。特に目を引いたのは3点。一つは,インドと中国両国を重要な近隣国と考え友好を深める,二つは,外国資本にとって魅力ある投資市場とする,三つは,この次の10年を水力開発の10年と定め,10,000MWの開発を目指す,と言うものである。

●パキスタン,高裁,ムンダ多目的ダムに関する判決を棚上げ

ペシャワールの北,30分の位置にあるムンダ多目的ダム,一時は,JICA - 日本工営で開発調査が行われたプロジェクトである。その後,米国の Amzo Corporation LLC が中心となって民間開発を行うべく Feasibility Study が行われたが,パキスタン政府がこれを取り上げてWAPDAに実施するよう進めた。これに反発した米国企業が,イスラマバード高裁に訴えたが,このニュースでは,WAPDAによって進めるよう裁定がなされた。米国企業は “unjust and contrary to contact rules” と主張,今後の他の外国資本にも影響を与えそうだ。

●インド,タタコンサルタント,電力取引市場の枠組み検討へ

インドの電力改革は複雑きわまりない。基本的には州政府関連の機関が電力の引き取り手であるが,州間にまたがる電力の動きは,一時は国家送電公社がオフテーカーになるような動きがあったが,電力取引公社PTCの取引規模が大きくなり,特に州間に限らず,ブータンやネパールの国外の電力もこのPTCが引き取るケースが増えている。

全国にまたがる取引市場の構想は,まだ動いていなかったが,今日の記事で,インドもいよいよプール市場の創設を進める決意をしたようだ。タタ財閥系の Tata Consultancy Services が技術的な中心となり,NTPC,NHPC,PFCが参加した合弁会社を造り,国家レベルの電力取引市場のプラットフォームの設計に乗り出すこととなった。


参考資料

2008年9月9日分

Pakistan

●080909A Pakistan, Daily Times
高裁,ムンダ多目的ダムに関する判決を棚上げ
IHC suspends previous verdict on Munda Dam Project
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C09%5C09%5Cstory_9-9-2008_pg7_20

Nepal

●080909B Nepal, The Rising Nepal
ネパール新政府政策発表,水力開発にも重点
Focus on statute, socio-economic transformation
http://www.gorkhapatra.org.np/detail.php?article_id=6447&cat_id=5

India

●080909D India, Economic Times
タタコンサルタント,電力取引市場の枠組み検討へ
TCS signs JV with NTPC, NHPC, PFC to set up power exchange
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/TCS_signs_JV_with_NTPC_NHPC_PFC_to_set_up_power_exchange_/articleshow/3458865.cms

China

●080909C China, xinhuanet
三峡ダム,11月にも完成,フル稼働へ,18,200MW
Three Gorges project to begin full operation in November
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/08/content_9859678.htm


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月8日分 ーベトナムの電力危機未だ去らず

「ベトナムの電力危機未だ去らず」,ベトナムの電力不足は,特に2004年,2005年が深刻であった。大規模な水力発電所の貯水池が底をつき,石炭火力やガス火力がフル稼働した結果,次々と故障を起こして,電力不足が長いた。当時書かれた「みずほ」の報告書があるが,この事態に,日本政府や世界銀行なども協力して,その対策に力を貸した。その報告書は,この経験が近い将来,良い結果をもたらすだろう,と結んでいる。

しかし,私がしばらくベトナムから遠ざかっていた間に,再び2008年に入って電力不足が深刻化してきた。2008年7月17日には,EVNの社長が,ベトナム国民に対して異例の謝罪会見を行っている。彼が,電力不足の原因に挙げたのは,新規発電所稼働の遅れ,複数の発電所の事故停止,南部のダム水位の低下,の3点である。いずれも,従来の原因が改善されていない。社長は,9月には回復に向かう,と宣言していた。

しかし,今日の報道を見ると,水力発電所の水位が回復に向かい,需要の最盛期を過ぎたというのに,午前のピークや午後のピークでも電力制限が続いている。国民や企業の不満は高まっている。特に,EVNが,計画なしに停電してくる事態を非難している。計画停電ではある程度防げる損害も,突然起こる停電には対処できないと言うのである。

今日の報道では,潜在需要が11,000〜12,000MWに対して,現実に対応できる出力は10,200MWで,毎日,800〜1,800MWが不足していると見られている。このため,朝のピーク,午前9時〜午前11時と,夕方のピーク,午後6時〜午後9時の間では,電力使用制限が続いている。語っているのは,EVNの deputy general director,Dang Hoang An 氏である。

8月15日,私はベトナムの電力体制についてメモしている。あれほど順調に発展を遂げてきたベトナムの電力が何処でおかしくなったのか。私は,EVNの強力な電源開発への体制が出来たところで,民間開発が入って来て,それを十分に消化できなかった工業省やEVNの対応に問題があったと思う。それは主として電気料金の問題に集約される。

この点では中国も似たような条件下にある。経済のインフレや国民の声を考えると,電力料金が思い切って上げられないのである。現在,KWh当たり4.5セントと,東南アジアで最低のレベルにあるが,一方でIPPなど民間投資が増えてきて,EVNがそれを一手に引き取っている。そこに矛盾が発生しているのではないかと思う。次も前回の私のメモである。

「約10年前に,米国企業が首相や副首相の支援で,大々的な発電投資を進めようとしたが,EVNがどうしてもKWh当たり4セントでしか買わなかったために,そのプロジェクトは潰え去ったと言うことだ。今でもEVNの電気料金は低く抑えられており,4.5セントレベルにあるという。EVNにしてみれば,電気料金を上げて貰わねば,IPPとの売買協定に対応できない。しかし政府は,電力の40%は古い水力であり,60%が4.5セント原価の新しい発電所であるから,コストは4セント以上ではあり得ない,と頑張っている。」


本文

●米国のクリーンエネルギー調査団,中国へ

米国政府の商務省次官補 US Commerce Assistant Secretary,Mr. David Bohigian に率いられた米国のクリーン技術の有数19企業で構成される第3次クリーンエネルギー及び環境通商使節団 the third US Clean Energy and Environment Trade Mission to China が中国を訪問し,記者会見に応じた。中国に於けるこの分野のマーケットは,2010年で186 billion US dollar,2020年で555 billion US dollar と見られている膨大な分野で,米国企業の注目を浴びている中国の市場である。

特に,最近の中国の立法や政策の中でも,循環経済法 Circular Economy Law と再生可能エネルギー法 Renewable Energy Law が注目を浴びている。調査団は,中国政府の新任の環境保護相 Minister of Environmental Protection と発展改革委員会 the National Development and Reform Commission の要人と会談し,成果を強調している。

Bohigian 次官補は,太陽光,風力分野の再生可能エネルギーについて多くを語り,更に,石炭クリーン化技術 clean coal technology と炭素捕捉技術 carbon capture technology についても大きな期待を語っている。私が特に注目した点は,環境問題の一環として,原子力平和利用 civilian nuclear applications に対する関心を語っていることで,今進んでいる米印原子力協定と併せ,中国の原子力への米国の関わりに関心を持つ。

●EVN,依然としてベトナムの電力不足は深刻

季節が進み,ベトナムの電力需給も,幾分かは緩和したとはいえ,恒常的な電力不足に悩ませられている。今日の報道では,潜在需要が11,000〜12,000MWに対して,現実に対応できる出力は10,200MWで,毎日,800〜1,800MWが不足していると見られている。このため,朝のピーク,午前9時〜午前11時と,夕方のピーク,午後6時〜午後9時の間では,電力使用制限が続いている。語っているのは,EVNの deputy general director,Dang Hoang An 氏である。

Pha Lai I 石炭火力と Phu My ガス火力は,ベトナムの2大電源であるが,Pha Lai I は100MW機が補修停止,Phu My は,Phu My 2-1 で150MW機が,Phu My 2-2 では240MW機が,それぞれ補修点検で停止していることが影響している。停まっていた Phu My 3 は運転を開始したが,今度は Ca Mau 1 ガス火力が点検に入り,また300MWの Uong Bi Expanded 石炭火力が動いていない。

●インド,Jharkhand 州,DVCが電源開発にギアアップ,

このニュースは既報であるが,Jairam Ramesh 副大臣がこの東部の小さいが工業開発のポテンシャルを持つ Jharkhand 州,その州都 Ranchi に,中央の発電公社DVCや重電公社BHELの代表を伴って乗り込んできたたために,州政府が大騒ぎしている状況が,手に取るように分かる。Ramesh の要請に応じて,州政府は直ちにDVCの事務所を置くための土地確保を約束している。

Ramesh はここで,35,000MWという大きな電源の開発を提案している。DVCは本来水力発電の企業であるが,ここでは石炭火力を目指しているものと考えられる。具体的な地点名として,Bokaro, Chandrapura, Maithan (in Dhanbad) and Koderma の4カ所が上げられている。Ramesh の現れるところ,何処でも開発の旋風が巻き起こる。

●インドネシア,中央スラウエシ,電力不足に苛立つ,水力開発へ

人口1,053人の小さな町の電力との戦いが,この記事に描かれている。Crash Program 10,000MWの建設を進めるPLNではあるが,ジャワ島を除いた地方の島々,スマトラ,スラウエシ,カリマンタンなど,地方は置いてけぼりを食っている。政府の地方支援運動である Mandiri National Community Empowerment Program (PNPM Mandiri) の基金を得た,この中央スラウエシの町が,大人から子供まで,小水力の建設に協力し,まもなく完成する,と言う状況を,生々しく伝えている。


参考資料

2008年9月8日分

Vietnam

●080908A Vietnam, vietnamnews
EVN,依然としてベトナムの電力不足は深刻
Electricity shortages continue as things cool off across the country
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=05ECO060908

India

●080908B India, Economic Times
Jharkhand 州,DVCが電源開発にギアアップ,
DVC gears up for power generation in 4 years
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/DVC_gears_up_for_power_generation_in_4_years/articleshow/3455973.cms

Indonesia

●080908C Indonesia, The Jakarta Post
中央スラウエシ,電力不足に苛立つ,水力開発へ
Tap water resources to generate badly needed electricity
http://old.thejakartapost.com/detailfeatures.asp?fileid=20080907.S20&irec=19

China

●080908D China, China View
米国のクリーンエネルギー調査団,中国へ
Mutual understanding in clean energy(China Daily)
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2008-09/08/content_7007475.htmower-plant-output.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月7日分 ーインドネシアの第2次電源開発

「インドネシアの第2次電源開発」,2004年5月の私のメモがある。2002年時点でパイトン石炭火力からの送電線が円滑に行かず,設備増強もままならず,ジャワバリ系統の電力需給が逼迫して当時のメガワティ大統領は苦境に立っていた。

2003年1月末メガワティ大統領訪日,このとき大統領は住友商事の当時の岡社長を訪ね,次期有力石炭火力候補であった Tanjung Jati B の投入を懇願した。インドネシアのIPPがどうなるか,まだリスクの多かったジャワ島の電力開発に対して,岡社長は,大統領の直接の要請に応えた。住友商事のこの英断は,今でも私たちの脳裏に焼き付いている。

今日の時点で,住友商事は沈黙を守ったままだが,インドネシアの Energy and Mineral Resources Ministry の director general for electricity and energy usage である J. Purwono 氏が,再びこの住友商事が,政府が現在策定中の第2次 Crash Program 10,000MWの先陣を切ることなったと語ったことが,ジャカルタポストの記事になっている。

場所は舞台も同じ,中部ジャワの Tanjung Jati B coal-fired power plant, 規模も1期と同じ単機660MW,2機,合計1,320MWの石炭火力である。総事業費は1.5 billion US$ であり,KW当たり1,136ドルと,最近の資材高騰を反映してやや高めである。PLNへの買電は,KWh当たり4.3 cents の見込みと書かれているが,これはやや安めの発言である。

記事では,JBICが資金調達を全面的に支援することになっているが,最終調整はこの年末までとなり,日本側からはまだ何の発表もない。売電単価は,最近,KWh当たり4〜5 cents が一般的で,日本側が沈黙を守っているのは,或いはこの売電単価にあるのかも知れない。

インドネシアの需給は,これまでも報告してきたとおり,毎日が綱渡りである。現在 Ramadan 中で,需要も2〜3%高めという。第1次の Crash Program 石炭火力10,000MWは進んでいるが,やや遅れ気味で,2010年の運転開始にずれ込む可能性がある。

この段階で,インドネシア政府は,第2次の10,000MWの Crash Program の策定に取りかかっている,と現地の永井さんが報告していた。その内容はまだ具体化していないが,再生可能エネルギーを前面に押し出していると言われている。今回の住友商事のプロジェクトは,この第2次に属するもので,運転開始は2011年とされている。


本文

●インドネシア,住友商事,Tanjung Jati B 石炭火力増設へ15億ドル

インドネシアは,現在,脱石油を合い言葉に,石炭火力を中心とした10,000MW開発計画,クラッシュプログラムを推進中で,2009年から2010年の運転開始を目指して,鋭意石炭火力建設を進めている。このクラッシュプログラムの前途は工期的に必ずしも楽観できないが,インドネシア政府は既に第2次のクラッシュプログラムを策定中だ。

第2次クラッシュプログラムは,再生可能エネルギーを含めての構想であるが,内容はまだ十分に煮詰まっていない。この段階で再び住友商事がその突破口に挑戦する。中部ジャワの Jepara の Tanjung Jati B 石炭火力の第1期1,320MWに続いて,第2期分1,320MW,総事業費15 billion US$ とされている。

この報道は,Energy and Mineral Resources Ministry の Purwono 総局長からリークされたもので,住友商事側はまだ沈黙を守ったままである。総局長の話では,JBICが資金調達を支援し,住友商事の現地関連会社 PT Central Java Power が,PLNと23年間,KWh当たり4.3 cents で買電契約が成立する見込みとなっている。最近の石炭の価格を考えると少し安いと思われるが,この辺りが住友の沈黙の原因か。

年末を目指して最終調整を行う,としている。PLNの現在の買電価格は4〜5 cents と書いてあり,末尾に,not including fuel prices, と書いてあるが,理解困難である。また,1,320MWで15億ドルは,KW当たり1,136ドルであり,やや最近の工事費の値上がりを反映している。なお,第2次クラッシュプログラムに入るこの計画は,2011年運転開始を目指している。

●インド,Jharkhand 州,DVCが3,500MW開発

Jharkhand 州 は聞き慣れないインドの州であるが,東部 Bihar 州の南に位置する小さい州で,州都は Ranchi である。2000年11月15日に州として独立した新しい州である。州都の Ranchi は,この地域では比較的発達した工業都市で,貧困脱出に他の州に先駆けて成功しつつある有望な地域であり,電力も重要な要素である。

ここにも,我らが,「アジア開発4人男」,の一人,電力省の Jairam Ramesh 副大臣が顔を出す。彼が行くところ必ず旋風が巻き起こる。彼が中央から中央の水力開発公社 Damodar Valley Corp (DVC) を伴って3,500MWの開発を提唱した。また,現地の重機メーカー Heavy Engineering Corp (HEC) と中央の重電公社 Bharat Heavy Electricals Ltd (BHEL) の協力を行うため,現地に土地の手当てを要求,これを州政府に飲ませている。

●インド,原子力供給グループの同意,原子力産業活気つく

今朝の日本の新聞も,この原子力供給グループNSGの,米印原子力協定への同意の問題で,仮説記事や反対論で賑わしい。インドの Economic Times はこの問題を大きく取り上げ,インドの原子力の新たな幕開けと,評価している。ただポイントは,インドはこれを "to attain a win-win situation" と評価し,インドも供給国側も利益を得るものだ,と強調している。

Nuclear Power Corporation of India limited (NPCIL) Chairman S K Jain の談話が中心である。米国のブッシュ政権は,任期内,即ち年内の議会の批准を期待している。それがこの問題の最終手続きとなる。


その他

●パキスタン,中央開発委員会,Chasma 原発など43プロジェクトを承認
●フィリッピン,マニラ配電,ERCの指示に従い監査を受けることに同意


参考資料

2008年9月7日分

Pakistan

●080907A Pakistan, Daily Times
中央開発委員会,Chasma 原発など43プロジェクトを承認
CDWP likely to take up 43 projects worth Rs 199.077bn
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C09%5C07%5Cstory_7-9-2008_pg5_3

Philippines

●080907B Philippines, Manila Bulletin
マニラ配電,ERCの指示に従い監査を受けることに同意
Meralco agrees to open books to COA as directed by ERC
http://www.mb.com.ph/BSNS20080907134488.html

India

●080907C India, Economic Times
原子力供給グループの同意,原子力産業活気つく
NSG waiver to India will boost power industry NPCIL
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/NSG_waiver_to_India_will_boost_power_industry_NPCIL/articleshow/3452633.cms
●080907D India, Economic Times
Jharkhand 州,DVCが3,500MW開発
Damodar Valley Corp to produce 3,500 MW in Jharkhand
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Damodar_Valley_Corp_to_produce_3500_MW_in_Jharkhand/articleshow/3452889.cms

Indonesia

●080907E Indonesia, The Jakarta Post
住友商事,Tanjung Jati B 石炭火力増設へ15億ドル
Sumitomo to invest $1.5 billion to increase power plant output
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/06/sumitomo-invest-15-billion-increase-power-plant-output.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月6日分 ー中国とインドのウラン獲得競争

「中国とインドのウラン獲得競争」,1989年,天安門事件直後に中国に入ったときは,数字を忘れもしないが,電力設備は80,000MWであった。日本が大体140,000MWぐらいではなかったか。2000〜2008年の中国の電力投資報告書が発表された。2007年末に於ける中国の電力設備は713,000MWと報告されている。19年間で8.9倍に達したことになる。複利計算をして年12.2%の伸びを19年間続けたわけである。

GDPの値に対して発電設備が大きすぎる,と我々が言い始めたのが,今から5年ぐらい前か,大きなエンジンを積んだ中国と言う経済である。それだけに,設備についていかない燃料供給が問題になっている。2008年は,経済成長は13%を維持する,としているが,発電設備への投資は抑えられ,11.8%の伸びになる,と報告されている。

中国の電力が比較的安く抑えられている原因は,石炭火力が78%を占めていることにある。最近は石炭価格の高騰で,供給不足が起こり問題となっている。我々人類にとっても,インドと同様に,中国がこの石炭火力をどの様に,水力と原子力で代替して行くか,が大きな関心事である。水力は現在全体の13.88%であるが,今後も積極的に水力の開発を続けて行くことは間違いない。インドより円滑に進むだろう。

問題は中国の原子力の今後の伸びである。現在原子力が占める割合は1.94%であるが,石炭火力と競い合うには,まだまだ時間が必要だろう。最近のの計画によると,2020年までに原子力設備を40,000MWとし,原子力が総発電量に占める割合を6%まで上げることになっている。これは,2020年までに1,000MWクラスの原子力を約30基建設する,と言うことを意味する。

最近完成した Tiwanan 2基(PWRロシア製2,000MW)を入れると,現在稼働中の原子力は,11基,8,587MWである。今後は内陸部に向かっても原子力建設の計画が進行している。2006年に書かれたJAEAの小林孝男氏の論文を見ているが,氏によると,「中国国内のウラン資源は,現状でも需要量の半分程度しか供給能力がなく,今後、海外のウラン資源を求めて探鉱開発活動を強化する必要に迫られている。」,とある。

今日の報道で,原子力供給国グループNSGが,殆ど無条件で米印原子力協定を承認したとある。現在のインドの原子力も核燃料不足に悩んでいる。このNSGの合意に続く米国議会の批准が終われば協定が発効し,インドの核燃料輸入が可能になる。中国とインドのウラン獲得競争が激化してくる。私は,インドと中国の原子力開発がなければ,地球温暖化問題は解決できないと思う。


本文

●中国の電力セクター,2000年からの投資報告書

1989年,天安門事件直後に中国に入ったときは,数字を忘れもしないが,電力設備は80,000MWであった。日本が大体140,000MWぐらいではなかったか。2000〜2008年の中国の電力投資報告書が発表された。2007年末に於ける中国の電力設備は713,000MWと報告されている。19年間で8.9倍に達したことになる。複利計算をして年12.2%の伸びを19年間続けたわけである。

GDPの値に対して発電設備が大きすぎる,と我々が言い始めたのが,今から5年ぐらい前か,大きなエンジンを積んだ中国と言う経済である。それだけに,設備についていかない燃料供給が問題になっている。2008年は,経済成長は13%を維持する,としているが,発電設備への投資は抑えられ,11.8%の伸びになる,と報告されている。

総設備713,000MWのうち,水力が13.88%,原子力が1.94%,風力発電が0.26%,石炭火力が78%と,石炭への依存が大きい。今後の見通しとしては,水力と原子力の比率を上げていくことになるが,依然として石炭に頼る体質は変わらないだろう,としている。この8年間で大きな伸びを示した地域は,Guangdong province と Inner Mongolia Autonomous Region と Shanghai だとしている。

●インド,タタ電力,シンガポール買収劇で丸紅に敗れる

今回のシンガポールの電力企業 Senoko Power の買収劇をインドから見てみたい。 Senoko Power は設備出力約6,000MWの電力企業であるが,インドの Tata Power は,大きな野望で買収劇に参加した。State Bank of India の支援を得て,3 billion US$の資金を準備して入札に望んだが,2.5 billion US$ 提示の日本グループに敗れ,海外事業進出への再起を図る必要に迫られている。

落札した日本グループは,Marubeni Corporation, GDF SUEZ SA, Kansai Electric Power, Kyushu Electric Power and Japan Bank for International Co-operation のJBICを入れて5社で構成されるが,関西電力は15% equity と報道されている。シンガポールに,この Senoko Power を含めて三つの電力企業を持つ Tamasek は,"highly reputable investors" の日本グループ,と表現している。

厳しいプール市場での電力運営となるようだが,日本グループのこれからの健闘を望む。ただ,企業買収は,基本的にゼロサムゲームだから,日本グループがアジアの電源開発に貢献できなかった分は,25億ドルの売却資金を手にした Tamasek グループに期待したい。結局資金を,アジアの開発の中でどの様に活かして行くかで,この買収劇の評価も変わるのだろう。

●インド,オリッサ州,NTPCの発電所が深刻な石炭不足

インド東部の Orissa 州,その西部の石炭産出地域にある Angul 市の近くの Talcher 石炭火力は,総設備3,000MWのNTPC所有の大規模火力である。インドの場合は,中国と違って豪雪はないが,雨期に石炭供給不足が起こる。この500MW6機のうち1機は定期修理で停まっており,5機を運転するために残された石炭は1日しかないという。

因みに,この3,000MWの石炭火力を動かすために,1日に48,000トンの石炭を必要としている。1,000MW当たり16,000トンである。Mahanadi Coalfields Limited (MCL) から石炭供給を受けているが,今回は雨期の重なりと同時に,従業員のストライキが影響したようだ。

●インド,シェナブ川,450MW Baglihar 水力,試運転へ

インドの Baglihar 水力プロジェクトは,Jammu and Kashmir 州,インダス河流域,パキスタンに流れ込む Chenab 川の Doda 地区に位置する。容量150MWの機器3台で,総出力は450MWである。HPの地図を見て頂きたい。パキスタンとの国境から120km東の位置にあり,1999年にカナダ企業の系列の Jaiprakash Industries がMOUを得て開発に当たったが,下流の水利権との関係で,パキスタンより反対が持ち上がった。

主として下流に影響する水運用の問題であるが,パキスタンが世界銀行に調停を依頼し,中立的なエンジニアーを選んで調査に当たった。この7月31日には,パキスタン側の調査団も現地に入り,145mの高さのダムを143mとすることでお互いが合意し,今回試運転の運びとなった。


参考資料

2008年9月6日分

India

●080906A India, Economic Times
シェナブ川,450MW Baglihar 水力,試運転へ
Test trials begin on Baglihar hydro electric power project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Test_trials_begin_on_Baglihar_hydro_electric_power_project/articleshow/3448296.cms
●080906B India, Economic Times
タタ電力,シンガポール買収劇で丸紅に敗れる
Tata Power loses Senoko bid to Japan’s Marubeni
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Tata_Power_loses_Senoko_bid_to_Japans_Marubeni/articleshow/3450007.cms
●080906C India, Economic Times
オリッサ州,NTPCの発電所が深刻な石炭不足
Coal shortage hits NTPC unit in Orissa
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Coal_shortage_hits_NTPC_unit_in_Orissa/articleshow/3449622.cms

China

●080906D China, pr-inside.com
中国の電力セクター,2000年からの投資報告書
Investment Report of China Electric Power Industry 2000 to 2008 -
http://www.pr-inside.com/investment-report-of-china-electric-power-r788108.htm


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月5日分 ーインドの天然ガスは戦国時代へ

「インドの天然ガスは戦国時代へ」,先日,インドネシアの Tangghu LNG基地の問題で,LNGの価格が百万Btu(mmBtu) 当たり20ドルになった,大変だ,それでは電力の直せば17セント,日本以外は採算に乗らないではないか,と書いた。これに対してLNGなどに詳しい友人からメールを貰った。彼は次のように言っていた。

「 LNG には原油のように取引されている市場がないので,生産国と受入国との相対契約で決まります。天然ガスにはアメリカに Henry Hub という市場がありますが,アメリカだけの取引で WTI のように影響力はありません。同じカタールの LNG でもインドやパキスタン向けと日本,韓国向けでは全く価格が違います。(中略)現在日本の一般的な LNG の Formulaは,0.15 * JCC ( Japan Crude Cocktail Price) +1.0 だそうですので,JCC が現在 US$110 とすると US$ 17.5/mmBtu ということになります。」。

また,ネット上で,みずほ情報総研,環境・資源エネルギー部,シニアコンサルタント冨田哲也氏の論文の中にも,次のような説明が見られる。「現時点では,輸入設備や貯蔵設備が十分でないため,ガス価格が非常に高騰しやすくなっており,昨年11月にはスポットの取引価格が20ドルという,原油価格にして100ドル/バレルを大きく超える事態も発生しており,価格安定に向けたインフラ整備が急がれる。」。

これらの説明を頭に入れながら,今日のインドの記事を見るとわかりやすい。インドでは,インド国家石油ガス公社ONGCと Reliance Industries (RIL) などを中心とする民間企業が,インド東部低地,KG basin などで激しい競争を展開している。政府の標準価格と言うものがあって,それは mmBtu 当たり4.32ドルとされ,これは原油 barrel 当たり60ドルから算出されたとしているが,現実に原油は現在110ドルである。

Reliance Industries (RIL) などの既存の民間のガス供給企業は,これを尊重して,大体,5ドルから6ドル程度で,天然ガスを肥料工場や発電に提供してきた。そこにONGCが,一挙にこの標準を打ち破る16ドルで,Maharashtra 州政府と交渉をはじめて,chief minister Vilasrao Deshmukh の抵抗に遭い,結局,11ドルで合意し,ムンバイ対岸の Uran 火力発電所に供給することになった。

これが,インド国内の天然ガス業界に大きな衝動を与え,eliance Industries (RIL) など,一挙に価格でクライアントとの再交渉を視野に入れ始めた。まさにインドに於ける天然ガス価格は,戦国時代に入った,と言っても過言ではなかろう。この11ドルは,発電単価に直すとKWh当たり9セントぐらいに相当するのではないか。


本文

●インド,ONGC,ガスをマハラシュトラへ,11ドルで

先日,インド国家石油ガス公社ONGCが,インド東部の陸上の試掘権を獲得して,大規模にガス田の探査を始めることが記事になっていた。場所はHPの地図を見て頂きたい。一方, Maharashtra 州は電力不足に悩み,設備が足りないだけでなく,石油ガスの不足が問題になっている。石炭山地からは遠く,従来よりナフタやガスによる火力発電所が多かった。

今日の記事は,そのONGCが,Maharashtra 州政府が所有するマハラシュトラ発電会社 Mahagenco にパイプラインを通して天然ガスを供給することになったものであるが,問題はその天然ガスの価格にある。ONGCは,百万Btu(mmBtu)当たり16ドルを主張したが,Maharashtra の抵抗にあって結局,mmBtu 当たり11ドルで合意したのである。

インドでは,政府の天然ガス標準価格というものがあって,これは4.32ドルである。KG basin でガスを生産している Reliance Industries (RIL) はこの標準価格で肥料工場や発電所に供給しており,他の民間セクター,Panna Mukta Tapti (PMT) JV なども6ドルであり,Cairn-Videocon consortium は5ドルである。政府の標準価格4.32ドルは原油価格 barrel 当たり60ドルとリンクしているが,今原油は110ドルである。

意気込んだのは,このONGCの11ドルという価格を見た Reliance などの民間ガス供給企業で,今後のインドの天然ガス業界は,価格の面で戦国時代にはいることになる。なお,ONGCが狙った16ドルは,数ヶ月前,日本に来たインドネシアのプルノモ大臣がLNGに対して示唆した価格であるが,今回は Maharashtra 州政府の chief minister Vilasrao Deshmukh と petroleum minister Murli Deora の直接交渉で,11ドルで合意した。

このONGCの天然ガスは,ムンバイの南東対岸に位置する800MWの Uran 火力発電所に供給される。この発電所は,ここしばらく,燃料不足のために半分の出力しか出ていなかったので,インドとしては非常に高価な燃料とは言え,電力不足には,強い見方といえる。

●第13回メコン河委員会総会,中国との連携強化を決議

第13回メコン河委員会総会 the 13th Mekong River Commission (MRC) Dialogue Meeting が,先週金曜日,ラオスの首都ビエンチャンで開催されたが,Dialogue Meeting と称しているのは,このメコン河委員会に入っていない中国とミャンマーの代表との対話がなされたことを意味する。この地域にはADBの主導する大メコン経済圏構想GMSがあるが,中国はMRCへの加入は避けてきている。

この報道の注目点は,中国が,メコン上流,中国領内,ランサン川の二つの測水所の記録を,下流国に提供することに同意したことであろう。従来から,少なくともメコン河委員会の範囲では,中国は上流ダム建設について,公式な対話は出来ていなかったはずである。しかし,このベトナムの報道を注意深く読むと,この流量データーは,あくまで舟運のため,としている点で,この理由付けが,如何にも中国らしい。

●フィリッピン,ERC,マニラ配電の財務報告書の監査委員会への提出を指示

フィリッピンの電気料金が高いのはマニラ配電のせいだ,と言う見方が,政界にはびこっている。ロペス財閥と政府側の対立などを含んで,多くの疑惑の目が向けられてきたが,遂に新任の規制委員会 Energy Regulatory Commission (ERC) が,強硬な手段に打って出た。マニラ配電 Manila Electric Company (Meralco) の財務状況の一斉監査に乗り出す。

この監査命令には,合法性に疑問があり,マニラ配電社長 Meralco President Jesus P. Francisco は,あくまでマニラ配電すべての監査ではなくて,料金設定に関するものだけ,と言うことと,対象期間は2004年から2007年まで,と念を押している。我々の見るところでは,マニラ配電よりも上流の問題だと思う。それはNPCの料金設定と卸売市場WESMの問題であり,更に突き詰めるならば,石油火力が多いこととNPCの負債問題であろうと思う。監査は10日間に亘って行われる。


参考資料

2008年9月5日分

ベトナム

●080905A Vietnam, vietnamnews
第13回メコン河委員会総会,中国との連携強化を決議
MRC extends co-operation with China
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=03POL040908

フィリッピン

●080905B Philippines, Manila Bulletin
ERC,マニラ配電の財務報告書の監査委員会への提出を指示
ERC directs Meralco to open books to COA
http://www.mb.com.ph/BSNS20080905134316.html

インド

●080905C India, Economic Times
ONGC,ガスをマハラシュトラへ,11ドルで
Power woes make state pay through nose for ONGC gas
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power_woes_make_state_pay_through_nose_for_ONGC_gas/articleshow/3446205.cms


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月4日分 ーインドの水力開発遅れ

「インドの水力開発遅れ」,人類にとって,ポスト京都の重要なテーマーの一つは,中国とインド,特にその石炭火力の効率化以上に,ベースからは供給力は原子力で,ピーク供給力からは水力開発で,この二つで石炭火力を挟撃して如何に少なくして行くか,と言うことである。インドの原子力については,今日も供給国グループの話や,核実験の場合の問題で,盛り上がっている。

原子力に対比して重要な問題は,難航するインド北辺の水力開発である。2008年から2012年までの第11次五カ年計画では,70,000MWの新規電源開発のうち,約15,000MWは水力で開発されることになっている。これがなかなか難問で,第10次五カ年計画分にも大きな遅れが出て,今日の記事を賑わしている。

インド北辺,それにはブータンやネパールの水力からのインドへの輸入も含まれるが,そこに横たわる水力プロジェクトの規模は極めて大きい。今日,話題になっている Himachal Pradesh 州の Koldam 水力プロジェクトは800MW,Uttarakhand 州の Koteshwar 水力発電プロジェクトは400MWで,これは2,400MWの Tehri 水力プロジェクトのコンプレックスの一部をなしている。前者は,丸紅と東芝の日本企業が参加している。

水力は工事期間5年,とされているが,いずれも規模が大きく,問題が発生しやすい。今日取り上げられている問題は,着工意志決定の遅れ,用地手当の難しさ,地質的問題,自然災害,などが上げられているが,インドの問題点は,契約上の紛争が余りにも多いと言うことだろう。Koldam 水力は,コントラクターとして落札した企業が,国会議員の息子の会社で,資金詰まりなど,インド的な要因に悩まされている。

一方の原子力は,供給国グループ臨時総会が9月4日からウイーンで開催されるが,米国が提起した無条件案について,問題が発生している。米国は議会に対して,核実験があった場合の取り消しを約束しているが,インド側は,核実験実施の権利はインドが持つ,と主張している。供給国グループは,あくまで条件付きの姿勢である。


本文

●フィリッピン,パラワンの深海天然ガス探査,すべての井戸を2年内に設ける

フィリッピン,Palawan 島の西海域の Malampaya ガス田は,既に三つの天然ガス火力発電所,合計出力2,700MWに供給されているが,一体このガス田が何処まで量的に頼りになるのかは良く分かっていない。エネルギー省でもこのことが問題になり,従来の調査結果など総合的に見直す会議が,関係者によって金曜日に開催されることについては,この欄でもメモしたところだが。

本日の記事がこの会議と関係あるのかどうか分からないが,Trans-Asia Oil and Energy Development Corporation などがこの先2年をかけて1800m近い深海ボーリングを行うことになっている。なおこれは,従来の Malampaya ガス田の南に位置する 新しい Marantao prospect ガス田 を含むもので,過去の電気的探査によると,Malampaya の5倍に匹敵する包蔵を持っている,と推定される。今後は,Malampaya の他,この Marantao prospect が話題になってくるだろう。別の資料によると,1.3 billion バレルの原油と 4 tcf の天然ガスを包蔵しているという。

●インド,ヒマッシャルプラデッシュのNTPC,800MWコルダム水力,問題発生

この800MWの Koldam 水力プロジェクトは,インド西北部の Himachal Pradesh 州,Satluj 川に,NTPCとしてはじめて水力の手を付けたプロジェクトで,機器供与は,BHEL,丸紅,東芝が担当している,極めて重要なプロジェクトであるが,2000年に着工したにもかかわらず,非常に遅れていて,NTPCが手を付けた他の2,3の水力プロジェクトにも問題が波及する可能性がある。

この記事から,何が問題なのかはっきりしないが,設計にあるコンクリートが省略されている,というもので,それはダムの一部をなす取水口部分だと書いてあるから,その通りに解釈すると,大変な怠慢で,まさにNTPCは何を監督していたのか,と言うことになる。電力省の Power secretary Anil Razdan 氏がNTPC総裁宛に,この欠陥を指摘する文書を出している。

800MWの水力は大きい。この Himachal Pradesh 州の他,東北地域でも多くの水力建設が進んでおり,インド第11次五カ年計画や,ポスト京都の問題で大きな期待のかかっているインドの大規模水力には,いろいろと問題が発生する。今回のプロジェクトは,日本の丸紅,東芝も関係しており,各業界に対する衝撃は大きい。でも何か信じられない話ではある。

●インド,ウッタルカンドのコテシュバールダム,工程遅れる

Uttarakhand 州と言うのは,時々地図から見つけにくいことがある。2006年以前は Uttaranchal と呼ばれていて,2000年以前は,Himachal Pradesh 州と Uttar Pradesh 州に分割されていた。現在の州都は Dehradun で,位置としてはニューデリーに接近した山岳地帯で,北辺はチベットに接して,中国との国境問題も持っている。

またまた水力プロジェクトの工程遅れのニュースである。ここで問題になっているのは,2400MWの Tehri 水力プロジェクトのコンプレックスの一部をなす Koteshwar 水力発電プロジェクト,400MWの工程遅れの問題である。工程が遅れて問題になっているわけは,この工事を発注した先が Progressive Constructions Ltd,or PCL と言うコントラクターで,これが国会議員の息子の経営になる会社だったからである。

Koteshwar 水力は,高さ97.5mのコンクリートダムを擁しており,遅れの原因となったものは,投資判断の遅れ,契約と用地準備の遅れ,地質問題,自然災害などが理由に挙げられているが,最近になっての鋼材やセメントの高騰に対して,資金準備が遅れたと指摘されている。この水力は,2007年の第10次五カ年計画期間中に完成すべきところ,2010年にずれ込むと懸念されている。


参考資料

2008年9月4日分

フィリッピン

●080904A Philippines, Manila Bulletin
パラワンの深海天然ガス探査,すべての井戸を2年内に設ける
Exploratory well drilling set in SW Palawan prospect
http://www.mb.com.ph/BSNS20080904134199.html

インド

●080904B India, Economic Times
ヒマッシャルプラデッシュのNTPC,800MWコルダム水力,問題発生
Power min raps NTPC for shoddy work at Koldam
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power_min_raps_NTPC_for_shoddy_work_at_Koldam/articleshow/3441921.cms
●080904C India, livemint.com
ウッタルカンドのコテシュバールダム,工程遅れる
Govt may ban Congress MP’s firm from projects
http://www.livemint.com/2008/09/04004856/Govt-may-ban-Congress-MP8217.html?h=B


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月3日分 ーミャンマーの水力と天然ガス

「ミャンマーの水力と天然ガス」,2001年頃に,私は日本工営の水力部隊とミャンマーのシャン州の山の中にいた。JICAの開発調査の一環で,小水力のパイロットプラントを造るためであった。大体,その発電所の場所もミャンマー側と合意して,本格調査にかかる途上であったが,ヤンゴンに帰ってきて,突然ミャンマー側から,その小水力は必要ない,中国が近くに大水力を造るから,と言われた。それが今日話題の Shweli 水力600MWプロジェクト である。

このプロジェクトは,中国雲南省の企業の連合体 Yunnan United Power Development Company Limited が関わってきたものだが,雲南省当局は既に1993年に,ヤンゴンに事務所を置いていたという。ミャンマー中部,シッタン川の左岸支流に,Paunglung 水力発電所280MWを,2005年3月25日に完成させたのも,このグループである。

1993年と言えば,私は当時のメコン委員会におり,はじめて中国グループと,ラオスのルアンプラバンで遭遇して,言葉を交わしたばかりであった。それからJICAは,長江上流金沙江で,この雲南省のグループと,水力の開発調査で協議をしている。1993年というようなその様な早い時期に,既に雲南省がヤンゴンに拠点を持っていたのは,驚きである。

Shweli 水力600MWプロジェクトは年内にも完成するが,ミャンマー側にとっては,中国主導で進められたために,何となく不明な点が多く,戸惑いを感じているようだ。その電力の15%はミャンマーで使われるが,残りは昆明に送るという。その買い取りの値段の交渉がまだ行われていない。このプロジェクト地点が,地図で確認すると,メコン上流ランサン河の漫湾ダムのすぐ近く,山の裏側であることに気づく。

Paunglung 水力発電所280MW,Shweli 水力600MWプロジェクトが完成すると,ミャンマーの電力事情は一気に好転する。そのために,ミャンマーの軍事政権は,沖合のガス田の天然ガスは,輸出に専念できる。その販売代金は政府予算の40%を占めているという。ADBはこれを危ないと見ている。

もし天然ガスの価格の低下が起こると,ミャンマー経済は崩壊すると言うわけである。ADBはその報告書で,今全面的に輸入に頼っている化学肥料やセメント工業,更には国内の発電事業にも,この天然ガスを使うべきだと言っている。もしそれをやらないならば,将来の経済発展のための基金を創設してプールすべきだと言っている。軍事政権は,ガスの収入に酔って,聞く耳を持たない。


本文

●ミャンマー,シュエリー水力,まもなく運転開始,国のエネルギーに変化

記事は二つの部分の長文から成り立っている。一つは,中国支援による北東部,中国国境に近い水力プロジェクト,Shweli 水力600MWが完成に近づいて,一気にミャンマーの電力事情を一変させる可能性であり,二つ目は,ミャンマー沖合で生産される天然ガスが,将来のミャンマー経済に与える影響である。いずれも,ミャンマー政府の外部から書かれた記事であるが,ミャンマーを心配している。

Shweli 水力600MWプロジェクトであるが,中国雲南省の企業の連合体,Yunnan United Power Development Company Limited が主導で開発しており,イラワジ川のマンダレー上流約220km地点で左岸に分かれて蛇行しながら東の中国国境から入ってくるイラワジ支流に位置する。HPの地図に落としてみたが,驚くことに,この地点はランサン河の漫湾ダムなどのすぐ西側に位置する。

この地点の問題点は,その発生電力の15%を,ミャンマー側が敷設する280kmの長大な送電線によって国家送電網に送られるが,残りの電力はすべて中国側に持って変えられることになっている。ところが,その輸出電力は幾らで売るのか,基本的な協定が出来ていないようで,ミャンマー側を焦らせている。中国側からは何の話もないと言う。ミャンマー側の担当は,第1電力省の水力局長 U Win Kyi 氏である。

話は繋がるが,このShweli 水力600MWが完成すると,2005年3月25日に同じ中国企業の手によって完成したシッタン川上流の Paunglung 水力発電所280MWと共に,ミャンマー国内の電力事情は安定してくる。ミャンマー沖合には,2004年に韓国の Daewoo International が発見した Arakan off-shore と,タイの PTTEP が発見した Gulf of Mottama の豊富な天然ガスがあるが,ミャンマー軍事政権は,これらのガスを外国に売ることしか考えていない。

天然ガスの輸出によって,ミャンマーは2007/8年度の国家予算の40%,約2.56 billion US$ の現金を得ている。主としてADBのコメントであるが,天然ガスの相場が落ちたときのミャンマー経済は極めて脆弱である。本来は,国内の発電事業や,セメント,肥料の製造などに当てるべきであるが,それがやられていない。少なくともガスの売却代金は,基金として国内に蓄積しておく必要がある,と警告している。

●フィリッピン,マランパヤガス田,エネルギー省など,総合レビュー

フィリッピンの西南沖,マランパヤガス田(私のHPのグーグルマップで位置確認可能)については,昨年の10月10日に,私の解説記事が出ている。「レイエス・エネルギー長官が,「今後は天然ガスに頼ることにする,3,000MWへの投資を求めている,と大見得を切った。ところが,マランパヤ天然ガス田は残り300MW〜500MW増設が可能な量で,不足分はLNGの輸入に依存する,LNG設備はバターンへ計画をしていて,天然ガス関係で50億ドルの投資を目指している,と言うのである。

このLNG建設についても先日の私の欄に出ていたが,とにかくフィリッピン政府は,このフィリッピンはじめての,また唯一の天然ガス資源が,一体どのぐらい包蔵があり,生産できるのか,甚だ不明確,将来のエネルギー計画を考えるための障害になっている。今週末にも,エネルギー省の Energy undersecretary Ramon Oca 氏が中心になって,大会議を開くことになったようだ。資料が公開されることを期待する。

このマランパヤ天然ガスプロジェクトは,2002年9月のヨハネスブルグで開かれた持続可能な開発に関する世界首脳会議で,「持続可能な開発パートナーシップのための世界ビジネスサミット賞」,を受賞している。その時の記事。

「マランパヤ天然ガスプロジェクトでは,パラワン州北西沖の極めて深い海底から天然ガスが抽出され,500kmに及ぶ海底パイプラインでバタンガス州まで輸送されている。バタンガスからは,シェル・フィリピン開発 BV (Shell Philippines Exploration BV) が天然ガスを3つの発電所に供給している。」。

●インドネシア,PLN,電力不足深刻,ラマダン中は供給可能

今日はジャワバリ系統の話ではない。地方都市からも,一度に電力不足の話が吹き出しているようである。開発で置いて行かれた地方の不満が凝縮されているようだ。記事では,来たスラウエシのパル,とスマトラ中部のリアウ州で,中でもスマトラでは学生が抗議活動を行うところまで来ている。地方分権で責任が不透明になっているが,PLNが対応している。ラマダンで皆興奮しているのか。PLNはラマダンにとって重要な午後6時から10時までは電力を確保したい,と哀しい声明を出している。

●中国第3の規模の水力発電所,今年運転開始へ

中国西南部,Zhujiang 河支流 Hongshui 川の上流に建設中の4,900MW,中国第3の規模を誇る Longtan 水力プロジェクトが,年内にも全面稼働するという。工事費は30 billion yuan, 4.35 billion US$ 相当,年間発生電力は18.7 billion KWh である。コンクリートダムとしては世界でも有数で,192mと称され,貯水池容量は126.2 billion 立方m,移住人口は約8万人である。なお,第2位は金沙江の Xiluodu 水力発電所である。


参考資料

2008年9月3日分

フィリッピン

●080903A Philippines, Manila Bulletin
マランパヤガス田,エネルギー省など,総合レビュー
Malampaya gas project DoE, consortium to review reserve data
http://www.mb.com.ph/BSNS20080903134130.html

ミャンマー

●080903B Myanmar, mmtimes
シュエリー水力,まもなく運転開始,天然ガスではない
Natural gas favours regime, not national interest More electricity soon as Shweli hydro plant feeds national grid
http://www.mmtimes.com/no434/n008.htm
●080903C Myanmar, mmtimes
シュエリー水力,まもなく系統へ投入
More electricity soon as Shweli hydro plant feeds national grid
http://www.mmtimes.com/no434/n008.htm

インドネシア

●080903D Indonesia, The Jakarta Post
PLN,電力不足深刻,ラマダン中は供給可能
PLN faces power shortages but promises no blackouts for Ramadan
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/02/pln-faces-power-shortages-promises-no-blackouts-ramadan.html

中国

●080903E China, xinhuanet
中国第3の規模の水力発電所,今年運転開始へ
China's 3rd-largest hydropower station to be fully operating this year
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/02/content_9758738.htm


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月2日分 ーインドネシアのピークは21セント

「インドネシアのピークは21セント」,インドネシア,特にジャワバリ系統は,需給の逼迫を解決するために,精力的にクラッシュプログラム,石炭火力の建設を進めているが,これらが稼働し始めるのは早くて2009年,2010年にずれ込む可能性があると言われており,まさに電力需給の危機的状況の中にある。9月1日から1ヶ月間のラマダンに入ったが,この間は毎年,新年と共に,電力需要が2.5%伸びると言われている。

インドネシア政府,PLNは,国家節電プログラムなるものを打ちだして,大口需要家である企業との節電交渉を行っているが,必ずしも円滑にいっていない。この政策は,考えてみると,JICAが数年前に調査した Captive power, 自家発電設備の系統への繋ぎ込みと共通するところがあり,各企業に手持ちの発電機を動かしてくれ,と言うことである。しかし,燃料費が高いので,企業はこれを嫌っている。

企業がなぜ嫌うのか。それはPLNからの供給電力が安いからである。なぜ安いかというと,PLNの発電燃料には国家の補助金が出ているからで,いつもこの補助金は,国際機関からの批判の対象になっている。今日の記事でも,昨年,2007年,の補助金総額が33.1 trillion ルピア,約3.61 billion US$相当,であったものが,今年,2008年,は,燃料費の高騰で,88.4 trillion ルピア,約9.65 billion US$相当,になるものと予想されている。ユドヨノ大統領は,2009年度,来年度は,原油価格バレル100ドルで国家予算を造った,とこの前,議会に説明していた。

この補助金と電力料金の問題は,少し分かりにくかったが,今日の記事の数字を使うと,少し概要を理解することが出来る。ある企業グループは,節電対策の外,と言うことで合意したが,その代わり,燃料補助金の対象からは外すことになった。その結果,従来平均KWh当たり約6.92セント相当であったものが,補助金の対象から外して,昼間ピーク時約10.64セント相当,夕方ピーク時は何と約21.29セント相当,夜間オフピーク時は
約9.58セント相当,と大きく電気料金が跳ね上がることになった。

今日のこの記事は示唆に富むもので,補助金なしの電気料金は,東南アジアで最も高いフィリッピンや日本と同等かそれらを超えるところまで来ているわけである。要するに,アジア諸国の電気料金の安い国は,補助金で安くなっているのだ,と言える。しかし,タイ,インド,中国,ベトナムなどは電気料金は安いが,必ずしも補助金がカバーしているとは,明確には言われていない。中国やインドは石炭主体だから安い,と言えるが,タイやベトナムはどうであろうか。いずれにしても,電気料金の実態はこのようなものだ,と言うことが理解できた。

タイの政治情勢が,一層緊迫してきた。サマック首相は,昨日,非常事態宣言をした後,今朝は,軍隊の投入を示唆している。軍隊も割れていると言われており,また最後はブミポン国王にお願いする分けか。早い静穏化を願っている。


本文

●インドネシア,PLN,節電対策除外で,2企業と協定を締結

インドネシアは9月1日より1ヶ月間のラマダンに入った。ラマダンの間は電力需要が25%上昇すると言われている。PLNは,ジャワバリ系統について,需給逼迫,200MWを節電する必要のある橋わたりを演じている。既に,国全体の節電計画,the national power-saving program が発布されて,企業などの大口需要家との間で,具体的な調整に入っている。

既報であるが,既にショッピングモールと事務所関係について,難航の末,節電計画で合意している。PLNは一週間10時間の節電,即ち自家発電機を回してくれ,と交渉したが,燃料費高騰の折からこれを拒否され,結局,一週間3時間で合意した。この程度でよいのか,と言う気がするが,需要側は交渉に応じず,やむなくこの線で合意している。

今日の報道は,この節電規制からはずされるべき重要企業について協議が行われ,その間の電気料金上乗せについて合意されたことが,PLNのジャワバリ担当の Murtaqi Syamsuddin 重役から発表された。それは二つのグループで,INAplas,the Indonesian Plastic and Olefin Industries Association に所属する企業と,ATSI,the Indonesian Cellular Telecommunication Association,である。 INAplas はよく分からないが, ATSI は通信の要を握っていると言うことだろう。特に,Base Transceiver Stations (BTS) と Mobile Switching Centers には,完全に電力を供給することを,PLNは約束している。

この話の中で,電気料金に関する問題が出ている。発電燃料については国家補助金が出ているが,昨年,2007年,の補助金総額が33.1 trillion ルピア,約3.61 billion US$相当,であったものが,今年,2008年,は,燃料費の高騰で,88.4 trillion ルピア,約9.65 billion US$相当,になるものと予想されている。

このことを考慮して,今回節電対策から INAplas のグループについては,補助金なしの電気料金が課されることで合意が出来た。この数字に非常に関心がある。従来,補助金込みの電気料金は,KWh当たり,637ルピア,約6.92セント,であったものが,今後,午前10時から午後6時の昼間ピーク時は980ルピア,約10.64セント,また午後6時から夜10時の夕方ピーク時は1,960ルピア,約21.29セント,夜10時から翌朝10時までの夜間オフピーク時は882ルピア,約9.58セント相当,となっている。

これらの数字は,これからインドネシアの電気料金を考える上で,非常に参考になる数字である。まず夕方ピークが一番料金が高いこと,その値は補助金を抜くと21.29セントと,フィリッピンや日本のピークの料金と同等か或いは超えるものである。それを補助金を付けて6.92セントに落としているのだから,政府は全く大変である。もっとも,原油ガスで稼いだ収入で補助しているから,同じことか。

●インド,リライアンス同志のKG流域ガス紛争,高裁へ

インド東部の低地,KG流域の平野で,14 trillion 立方フィートの天然ガスが,リライアンスによって発見されて,今後大いに生産が進むものとして,国家火力発電公社NTPCがこれを発電のために受け取ることになっている。このブロックは,多くの生産が見込めるD6ブロックであるが,この7月にもガス供給を開始する予定であったが,技術的問題で10月まで延期されていた。

この記事は,インドの有名なリライアンスの兄弟間の紛争が絡んで複雑な様相を示していることを書いている。ボンベイ高等裁判所で進んでいる,兄 Anil Ambani の Reliance Industries (RIL) と弟の Mukesh の所有する Reliance Natural Resources (RNRL) とが,そのガス田の所有を巡って,法廷で争っているようだ。今まで余り関心がなかったが,彼等の母親の Kokilaben さんも絡み,インドでは面白い話題のようだ。

●インド,ヒマチャルの960MW水力の紛争,企業との合意ならず

インダス川上流,Bhakra ダムのある Sutlej 川上流,HImachal Pradesh 州にある960MW大規模水力,Jangi-Thopan and Thopan Powari プロジェクトについての記事である。ここでも,入札問題で紛争が起こっている。インドは,プロジェクトの前に必ず紛争あり,それも最後は差板書に言ってしまう。外国から入ってきたら,本当に困ってしまうだろうな。訴訟費用だけで時間が過ぎてしまう。

今日の記事は,まだ裁判所まで入っていないが,州のプロジェクトなので,州の chief minister Prem Kumar Dhumal が,州議会との間に挟まれて苦慮している。民間開発で,Brakel Corporation NV が落札したが,他の企業,Brakel Kinnaur Power,Reliance Energy などから疑義が出て,入札作業が中断している。プロジェクトの位置は,大体,HPの地図で見て下さい。


参考資料

2008年9月2日分

インド

●080902A India, economictimes
リライアンス同志のKG流域ガス紛争,高裁へ
RIL-RNRL KG gas dispute hearing to resume on Tuesday
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL-RNRL_KG_gas_dispute_hearing_to_resume_on_Tuesday/articleshow/3433773.cms
●080902B India, himachal.us
ヒマチャルの960MW水力の紛争,企業との合意ならず
No Agreement Signed With Brakel For 960 MW Project
http://himachal.us/2008/09/01/no-agreement-signed-with-brakel-for-960-mw-project-dhumal/6275/general/ravinder

インドネシア

●080902C Indonesia, The Jakarta Post
PLN,節電対策で,2企業と協定を締結
INAplas, ATSI sign new deals with PLN
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/01/inaplas-atsi-sign-new-deals-with-pln.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年9月1日分 ーインドとネパールの河川管理

「インドとネパールの河川管理」,が今日のインドのニュースの中で問題となっている。バングラデシュに流れ込む Brahmaputra 河は大河である。そのバングラデシュとインド,ブハール州の境界にある農業用水取水のためと思われる Bhimnagar barrage 付近で大水害が発生したようだ。この記事は,インドの経済紙 Economic Times のものであるが,この水害を契機に,大きな問題を提起している。

このインドの北東部を東から西に流れる大河 Brahmaputra 河 には,ブータンやネパール東部から多くの支流が北から南へと流れ込んでいる。今日問題となっているのは,ネパール東部の Kosi 川で,ここでは,今回のネパールとインドの水力開発協力によって,二つの水力プロジェクトが動き始めている。GMRグループの300MW Upper Karnali プロジェクトであり,州企業 Satlej Jal Vidyut Nigam による402MW Arun III プロジェクトである。

これらはいずれも民間投資であるが,民間投資だけで河川をコントロールするのは困難である,と言うのがテーマである。これは,我々が海外のプロジェクトを手がける度に考えさせられる問題である。メコン河の場合には,メコン委員会が古くからあって,これが河川管理や開発の総合化をやるものだとばかり思っていたが,この国際河川の動きに対しては,殆どその機能を発揮できなかった。

これが改めてインドから取り上げられたことに大いに敬意を表するものの,その困難さを思うと,前途は厳しいと言わなければならない。この地域には,インドとネパールで共同開発するためのNIWA,Nepal-India Water Authority があるが,これを大いに活用して,電力の民間開発と,洪水や農業用水に対処する総合計画を持つべきだ,と主張している。

インドのシン首相は,米国のTVA,Tennessee Valley Authority が見本だ,と言っているが,一つの基本は,水力開発に伴う貯水池の効用を問題にしているようだ。流域全体としては,少なくとも1ヶ月分の降雨を貯留できるだけの容量が基本,などと述べているが,大変に難しいことだ。そうかといって日本の河川のような規模の堤防はなかなか出来ない。民間投資と公的資金の動員,と言うことになるが,道は遠い。

タイの政治的混乱,遂に首都バンコクに非常事態宣言が出た,との報道が流れている。日本もタイも,政治が混乱して,エネルギー問題など何処吹く風,と言う感じになってきた。しかし,昨日の福田首相の突然の辞任で,我々日本人も覚悟を決めなくてはならないのかも知れない。今,本屋さんに,Bill Emmont の Rivals,「アジアの三国志」,が出ているが,その中の1節,「日本はプロの行政機構があるから政治混乱は特に問題にならない」,を信じて進まざるを得ない。それならそうで,官僚機構に頼る体制を,国民が自ら造る必要がある。

なお,「日本政府,米印原子力協定,政府が条件付きで容認」,とのニュースが流れている。条件とは,「インドがこれまで自発的に続けてきた核実験のモラトリアム(凍結)の継続などを条件」,と書かれている。9月初旬にもウィーンで開く原子力供給国グループNSG,日本など45カ国加盟,の臨時総会への対応である。


本文

●フィリッピン,NAPOCOR,今や電気料金値上げへ,プラス0.5ペソ視野

国家電力公社NAPOORは,現在その資産を売却中であるが,IPPも含めて,これらのすべての電力の引き取り手,オフテーカーになっている。なPCORはこうして買い取った電力を,マニラ配電MERALCOなどの配電会社に売っている。その卸売りの基本になる売電単価は,time-of-use TOU と言って,ピーク時間に高くオフピークに安い時間制を取っている。今ここに問題となっているのは,その基本となる平均値の話をしているのだと思う。

現行の時間制単価は,昼間のピークでKWh当たり6.06ペソ,約13.07セント相当,夜間などオフピークで1.87ペソ,約4.03セント相当,であるから平均すると大体3.97ペソ,約8.56セント相当,になる。配電会社はこれに,送電配電経費とマージンを入れて末端消費者に買電することとなる。この記事の中で,ルソン系統では現行の3.8966ペソを4.2651ペソに上げたい,と言っているから,9.5%近い値上げを画策しているわけで,相当な上げ幅である。

この値上げは,NAPOCORが提案しERCに持ち込んでいるのだが,ERCの委員長 Francis Saturnino Juan は,決定に際しては,公聴会などを開く必要があり,容易に容認できない,手続きには年内一杯を要するだろう,と値上げに消極的である。アロヨ大統領の決定で新しく委員長のいすに着いた Juan 女史としては,高い電気料金に悩ませられるアロヨ政権にの顔を見ざるを得ない。

NAPOCORがなぜ値上げを申請してくるか。燃料費の上げについては既に Gram によって自動的に調整できるようになっているし,為替の変化に対しては Icera によって自動調整が行われている。 Gram とは generation rate adjustment mechanism であり,Icera とは incremental currency exchange rate adjustment である。だから今回提案の値上げは,IPPからの引き取り価格の影響だと説明している。

このIPPの引き取りに関して問題となっているのは,Malaya 火力,Caliraya-Botocan-Kalayaan 水力,Naga 火力,Mindanao 石炭火力を上げている。また,小水力の影響も上げており,その対象発電所は,売却された Talomo, Agusan, Barit, Cawayan,Loboc などの水力発電所である。

●インド,コシ川,上流ネパールで決壊,水系管理見直しを

ネパールから流れ込んでくる Kosi 川は Brahmaputra 河に流れ込む。この Brahmaputra 河の下流部に Bhimnagar barrage と言う堰があって,今回この辺りで堤防が決壊するなど大きな被害が出たようだ。インドとしては,上流ネパール領域内の河川については制御の方法がなく,これでは困る,と言うのがこの記事の趣旨と思われる。

ネパール領内には,40,000MWという膨大な水力が眠っているが,この Kosi 川上流のネパールでは,今回初めてインド企業が水力開発に当たることになった。それはGMRグループの300MW Upper Karnali プロジェクトであり,州企業 Satlej Jal Vidyut Nigam による402MW Arun III プロジェクトである。またインドの電力取引企業PTCが,その電力の送電に当たる。

今回の水害を考えると,民間投資型のネパールへの参入だけでは問題がある。河川管理という概念を持ち込んでのインドとネパールの協力でなければ,Brahmaputra 河の水をコントロールすることは不可能である,と断じている。Nepal-India Water Authority (Niwa), の組織が現存するので,これを最大限に活用して,貯水池や堤防など,総合的な管理が必要だ,と言っている。Tennessee Valley Authority for the Brahmaputra と言う言葉を使って,これはまさしく,はじめての経験,“most benign in the world,” と言っている。

●フィリッピン,国家石油PNOC,LNG基地建設を促進へ

丸紅が中心になって,フィリッピンのLNG基地建設に関する feasibility study が過去に行われたそうだ。しかし一向に進まぬ民間側の動きに対して,エネルギー省の Energy undersecretary Mariano S. Salazar 氏が,しびれを切らしてこの発言となった。民間投資がないならば国がそのリスクを取るしかない,と言い切った。その受け皿は,国有石油探査 PNOC-EC Philippine National Oil Company-Exploration Corporation であると。

フィリッピンも含めたASEANには,ASEANを繋ぐ送電網構想があるが,それと同時に,ガスパイプライン網構想もある。どちらも線を引けば出来上がるから,いとも簡単にその構想が,ASEANの閣僚会議にも公然と上げられている。Salazar 次官は,このASEAN構想は,大いにフィリッピンのエネルギー問題に貢献するもので,その基礎となるのはインフラ建設だ,とLNG基地建設を打ち上げている。

現在フィリッピンは,西南の位置にある Malampaya で,45億ドルに上る Malampaya deep water gas-to-power project を進めており,4.0 trillion cubic feet の包蔵があると言われている。これらと共に,LNG基地建設でASEAN構想が進むならば,Sucat,Limay,Bataan などの石油火力をガス火力に変換可能,と主張している。

●インド,鉄鋼省副大臣,原子力開発を歓迎する意見を述べる

副大臣というのは政治職なのだろう,電力省のラメシュと同じように,今回の米印原子力協定について,国会内での議論を顧みながら,政治家としてやらねばならないテーマーである,と強く主張している。今でも左派系の政治家からは,いろいろと反対意見がくすぶっているのであろう。この副大臣は,1980年代に,時の首相 Rajiv Gandhi がITの提唱をしたときと同じ状態,彼は正しかった,と言っている。

折しも,今日の日本のニュースでは,日本政府が,原子力供給国グループの中での,9月上旬にも開催される臨時総会で,条件付き賛成に回ることを決定したことを報じている。


参考資料

2008年9月1日分

フィリッピン

●080901A Philippines, Manila Bulletin
国家石油PNOC,LNG基地建設を促進へ
PNOC-EC pushes first LNG facility
http://www.mb.com.ph/BSNS20080901133930.html
●080901B Philippines, Manila Bulletin
NAPOCOR,今や電気料金値上げへ,プラス0.5ペソ視野
Napocor now seeks P.50 rate hike
http://www.sunstar.com.ph/static/man/2008/09/01/news/napocor.now.seeks.p.50.rate.hike.html

インド

●080901C India, Economic Times
コシ川,上流ネパールで決壊,水系管理見直しを
Re-engineering water systems
http://economictimes.indiatimes.com/Columnists/Jaideep_Mishra_Water_management/articleshow/3428920.cms
●080901D India, Economic Times
鉄鋼省副大臣,原子力開発を歓迎する意見を述べる
Minister hails govt for initiating nuke deal
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Minister_hails_govt_for_initiating_nuke_deal/articleshow/3427500.cms


トップページ