2008年12月1日更新
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2008年11月30日分 ー マニラのプール市場に混乱 ー

インドとパキスタンの間が緊張している。ムンバイのテロの後,パキスタンのザルダニ大統領は,インドのシン首相に直接電話をして信頼関係を維持しようとしたが,インドがパキスタンの情報関係の司令官をニューデリーに喚問しようとして緊張が走った。パキスタン側は,軍部がこれに抵抗し,司令官でなくて,次席をニューデリーに送ったようだ。パキスタンは,軍を西から東に移動させているという。

エネルギー最前線では,とにかく,インド,ネパール,パキスタンの共同作戦が欠かせない。今日の記事にもあるように,ネパールの静かな革命,王制から共和制に移行し,民主的な政策を進めるマオイスト政権の,経済発展を目指す必死の努力が続けられている。よくここまでコントロールできる,と感心しているが,首領のプラチャンダーが,元々武人でなくて農業の専門家である,このことが大きく役立っているのだろう。

今日は12月1日である。昨日も書いたが,タイの騒乱は12月3日から4日が山だと見ている。12月3日に,最高裁がタクシン派を政治的に不適格とする審判を出して,12月4日にブミポン国王がこれを追認して,総選挙に入るか,或いはすんなりと前回の第2党に政権を譲るのか,とにかく早く落ちついて欲しいが,警察は5人以上の集会を禁ずる命令を出した,これ以上混乱するなよ。

今朝の新聞にオイルサンドの話が出ていたのでメモしておいた。カナダの現在のオイルサンドからの石油生産は日140万バレルに達しているという。因みに日本の日当たり石油使用量は400万バレルである。今のところオイルサンドの埋蔵量は,1.7兆バレル,これとは別に,ベネズエラのオリノコ流域で1兆バレルの可能性,原油埋蔵量は残り1.2379兆バレル。でもオイルサンド生産の公害は,ひどいらしい。

さて今日のフィリッピンの記事。詳しいことはもう少し過去の事情を調べてみなければ分からないが,首都圏マニラの中心的な送電線,23万ボルト,スキャット-アラネタ線(注3)を,クリスマスの週に遮断するよう裁判所が執行令状を発した。どうも,今年,2008年10月4日頃に発生した事故の責任問題の調査のようで,電力セクターが,とんでもない,と反発している。

それは,送電線の突発事故によって生ずるWESM(注1)での,電力取引価格の急騰の問題が,2008年10月25日本HP(注4)で取り上げられ,その中で,WESM(注1)は現在10%の市場規模であるが,今後の増分はすべてWESMを通すことになるので,将来は大きくなる,と解説している。そこで問題になるのは,この前に,サンホセ開閉所(注7)のときに起こった,取引価格の高騰の問題を思い出すわけだ。

送電線事故によるプール市場の取引料金の高騰は,時によれば,記事にもあるように,天文学的な数字になる。我々もカリフォルニアで勉強してきた。アジアの先陣を切るフィリッピンではあるが,プール市場100%を目指すには,とにかくまず需給バランスが必須である。ある確率の元,供給信頼度が必要で,それは当然,電源だけでなく送配電網までも言う。成熟した市場にはプール市場はよいが,フィリッピンには試練が待ち受けている。

(注) (1) Wholesale Electricity Spot Market,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081004A.htm,(3) 29.25-kilometer Sucat-Araneta line stretches from Sucat substation in Paranaque City to the Araneta substation in Sta. Mesa, Quezon City,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081025B.htm,(5) state-run National Power Corporation,(6) Department of Energy,(7) San Jose substation,(8) Quezon,(9) National Transmission Corporation,(10) TransCo vice president for operations Carlito Caludio,(11)

本文

●フィリッピン,スキャットの送電線カット,電力料金高騰を招くか

フィリッピンの電力卸売市場WESM(注1)は,アジアの中でも先進的なプール市場であるが,十分に成熟していない電力需給の世界で,円滑に運ぶかどうか,我々も注目しているところである。今日の記事をたぐってみると,2008年10月4日付本HP(注2)に辿り着く。その他の記事を調べてみると,このころに,今日の記事にある23万ボルト送電線,スキャット-アラネタ線(注3)の事故に問題は発している。

これに関連して,送電線の突発事故によって生ずるWESM(注1)での,電力取引価格の急騰の問題が,2008年10月25日本HP(注4)で取り上げられ,その中で,WESM(注1)は現在10%の市場規模であるが,今後の増分はすべてWESMを通すことになるので,将来は大きくなる,と解説している。そこで問題になるのは,WESM(注1)の運用経費である,として,この問題が論じられている。

今日の記事に行く。電力需要の大きな部分を占める首都マニラの需要家は,クリスマスの休日の間,停電の可能性とそれによるWESM(注1)の取引価格の影響を受ける可能性がある,それは,地方裁判所が,スキャット-アラネタ線(注3)の停電を行うことへの令状を発したからである。ここからよく分からないのだが,最高裁判所が,NPC(注5)の訴えを却下した結果を踏まえての執行令状,と考えられる。

この執行令状に対する影響について,エネルギー省DOE(注6)は,サンホセ開閉所(注7)の事故のために2008年7月〜10月の電力料金請求書で起こったような,天文学的な数字が,再びこの電力遮断で起こるのではないか,と予測して懸念している。このスキャット-アラネタ線(注3)を地図上で調べてみると,マニラ南の空港付近からケソン(注8)の中心部までの約30kmで,市内供給の心臓部に当たる。

送電公社Transco(注9)のカルディオ運用担当副社長(注10)は,この遮断を2009年1月31日以降に延期するための最後の手段,上級裁判所への上訴は行き詰まっている,と説明している。送電公社Transco(注9)は,このタイミングは全く間違っている,クリスマスに我々の需要家に迷惑を与えることは最悪だ,我々はそれを望んでいない,としている。

事情はもう少し調べないと分からないことがあるが,2008年10月初めの事故は,建設会社のクレーンが送電線を引っかけたようだ。しかし問題は,電力のプール市場を勇敢に採用してきたフィリッピンの電力セクターが,いろいろ問題に突き当たっていると言うことで,本格的な運用までには,電力需給のバランスを保つことと,これを需要家へ繋ぐ送配電網が,十分に整備していなければならない,と言うことを意味している。

(注) (1) Wholesale Electricity Spot Market,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081004A.htm,(3) 29.25-kilometer Sucat-Araneta line stretches from Sucat substation in Paranaque City to the Araneta substation in Sta. Mesa, Quezon City,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081025B.htm,(5) state-run National Power Corporation,(6) Department of Energy,(7) San Jose substation,(8) Quezon,(9) National Transmission Corporation,(10) TransCo vice president for operations Carlito Caludio,(11)

●ネパールの情報大臣,100日間の成果を,公表

王制を廃して共和制に移行,そうしてマオイストの主導の元に政権を樹立した,まさしく新生のネパールの100日を総括した記事である。エネルギーに関する記事の部分は少ないが,マオイストの旧兵士や軍隊をどう処置するのか,問題のポイントがまだ残っている。ネパールがここまで円滑に新しい政治に入るとは思わなかったが,もう戦闘下のネパールはイヤだという民衆の願望を表しているのだろう。

新政府は,100日経った政権で,70ポイントの達成度について自ら評価し,特に国庫の歳入が35.4%の伸びを示したことに焦点を当てている。マハラ情報通新大臣(注11)は,期待したまでに成果は到達していないが,成功に向かって進んではいる,と謙虚である。特に教育問題については,すべての教育を国で握ろうとは考えていない,と問題の一つを示唆して見せた。

しかし,全体的には民間セクターを重視するが,教育と医療については,国が責任を持つ,と明言している。商業政策は既に明確に示しており,特に情報技術の育成に重点を置いている。特別経済圏の設定についても,法案化を急いでいる。また,2011年を,「ネパール観光年(注12)」と位置づけている。土地改革についても,法案化すべく急いでいる。

水力開発について,政府は,法案や政策の改正を急いでいる。既に,多くの中小規模の水力開発に関するライセンスを,ネパール企業に付与した。大規模水力開発については,この記事では触れられていないが,比較的円滑に,インドを中心とした外国企業への国際入札による委託は進んでいる。一時,国内資源と外国企業の関わり合いの問題は議論になったが,一応の決着を見ている感じである。

(注) (11) Minister for Information and Communications Krishna Bahadur Mahara,(12) 'Nepal Tourism Year',(13)

Reference

Philippines

●081130A Philippines, Manila Bulletin
スキャットの送電線カット,電力料金高騰を招くか
Sucat-Araneta line shutdown may cause power price spikes
http://www.mb.com.ph/BSNS20081130142365.html

Nepal

●081130B Nepal, thehimalayantime
ネパールの情報大臣,100日間の成果を,公表
Mahara Unveils 100-Day Report Card
http://www.thehimalayantimes.com/fullstory.asp?filename=aFanata0vfqzpla4a8a3wa.axamal&folder=aHaoamW&Name=Home&dtSiteDate=20081130



2008年11月29日分 ー タイEGATの海外進出への飛躍 ー

ムンバイのテロ事件は一応の段落を迎えたが,タイの騒乱はまだ先が見えない。12月末まで続くことを見越した経済予測も出ている。このままではタイの経済が潰れるだけでなく,その波及は,ラオスやカンボジア,更にはベトナム,ミャンマーも含めたメコン河流域の経済にまで,影響が及ぶ可能性があるし,それが長期化すれば,アジアのエネルギー最前線に及ぶ影響は大きい。

この,2008年12月4日に,ブミポン国王の演説が予定されている,先日亡くなったお姉さんのことで,国民へのお礼なのであろう。そこで,今最高裁判所が動いている。タクシン派政党の追放を審議する法廷で,12月3日までには結審しなければならない。それは,ブミポン国王の演説の中に,それを入れなければならないからだ。国王は,立憲君主制を尊重する。国民は,国王には絶対に恥を欠かせない,判断に従うはずだ。

タクシン派を非合法とし,それを国王が追認して,軍部もそれに従う。タクシン派を除いた国王の意志による暫定政権を造って総選挙を行い,新しい政権を選ぶ,その様な道筋が見えてくるが,都市部と地方に分極したタイ国民,特に農村部に住む有権者が,タクシン派抜きの総選挙に,静かに従うかどうか,ブミポン国王は悩んでいることだろう。国王も高齢だ,タイの国民も国王を尊崇するなら,迷惑をかけないようにしたらどうか。

この混乱の中でも,エネルギーのテクノクラートは頑張っている。民営化を阻止された国家電力EGAT(注2)は,今や唯一の電力企業で,すべての民間開発の引き取り手を務めている。国際進出のためのEGATインターナショナル(注1)を組織したのはいつであったであろうか。既にラオスでは,関西電力(注13)と組んで,260MW,ナムニエップ水力(注12)の2015年運転開始に向かって走っている。

今日の記事では,スマトラ(注3)のジャンビ県(注11)に,インドネシア政府の認可の元,石炭の探査と生産の権利を獲得した。調査はこれからで,2009年2月に開始し,6ヶ月後に結論を出すという。現地の情報によると,石炭は良質で,埋蔵量は2億トンを超している。EGATインターナショナル(注1)は,可能性調査の結果が良ければ,現地にも発電所を造りたい,と言っている。

タイは,天然ガスへの依存度が70%近くに達し,2008年7月のような原油の高騰に襲われると,天然ガスも吊られて上がり,発電経済が崩壊しかねない。そのために,以前より,石炭火力を建設すべく,奔走しているが,マモーの国産石炭で大きな被害を被ったことがトラウマとなって,石炭火力建設を許さない。それでも,EGATは石炭火力を進めることで,立地の選定に苦慮している。スマトラの石炭は,この一部にも使われる。

それにしても,タイの人々の民衆力はこんなに強かったか。政府建物を包囲しているだけなら,余り国際的な影響は出ないが,彼等も学習したのか,或いは現政府が執務室を空港へ移したのが悪かったのか,国際空港の機能を奪えば,どれほど被害が大きいか,学んでしまった彼等は,今後の市民運動の重要な武器を握ったことになる。あれほど自由だったバンコク国際空港も,これからは厳重な警戒の元に置かれるだろう。

別件,京都議定書後の温室効果ガス削減の枠組み(ポスト京都)をめぐる議論が,この2008年12月1日,明日からポーランドで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP14)で始まる。新興国側と先進国の動き,新政権に移行する米国の出方,中国などの反発でCOP14の交渉が決裂する可能性はなさそうだが,絞り込み作業の先送りは,来年以降の交渉を厳しいものにさせそうだ,と報道されている。


(注) (1) Egat International Co (Egat Inter),(2) Electricity Generating Authority of Thailand,(3) Sumatra,(4) portfolio,(5) Egco Group Plc,(6) Ratchaburi Electricity Generating Holding Plc,(7) Egat governor Sombat Sarntijaree,(8) Prutichai Chonglertvanichkul, acting managing director of Egat Inter,(9) Inter Mining and Energy Co,(10) a memorandum of understanding,(11) Jumbi province,(12) Nam Ngiep hydropower plant,(13) Japan-based Kansai Electric,(14) Laotian government,(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081122D.htm,(16) Kalimantan,(17)


本文

●タイ,EGAT,インドネシアで,炭坑権利取得

タイは騒乱の続く中,まもなく,2008年12月3日に,タクシン党に対する審判が下って,12月4日にもブミポン国王の演説があるという。おそらく現政権は降りることになるだろうが,選挙を行うのか,生き残った他の政党で新政権を組むのか,大きな曲がり角に来ている。クーデターの可能性のあった軍部は,どちらかと言えば反タクシンの発言をしているので,内閣は替わるのだろう。その中でEGATが戦っている。

EGAT(注2)の子会社,EGATインター(注1)は,インドネシア政府から,スマトラ(注3)にて,石炭探査及び石炭採掘の権利を認可されたが,これはEGATインター(注1)の海外に於ける発電のポートフォーリオ(注4)を強化することになる。EGATインター(注1)は,EGCO(注5),ラチャブリ(注6)に続く国内3番目の株式上場発電企業である。

EGAT(注2)のソンバット総裁(注7)は,「今回の案件は,タイの将来の電力需給を満たすことを確実にするために,我が売り上げと発電設備の成長を保証するための我々のやり方だ。また更に,EGATインター(注1)は,フィリッピンの電源設備が資金不足に陥っている中で,その電源設備の300〜600MWを確保することに成功することを望んでいる。」,更なる海外活動の見通しを述べた。

EGATインター(注1)のプルティチャイ社長代行(注8)によると,今回のスマトラ(注3)に於ける石炭権利は,18万ライ,または2万9000ヘクタールをカバーしている。この案件のEGATインター(注1)の株式持ち分は90%で,残りは,タイ鉱山企業の国際鉱山エネルギー(注9)が持っており,この2企業が,炭坑を共同開発することで,昨日,協定(注10)を交わしている。

探査作業と可能性調査は,2009年2月に開始し,また6ヶ月間に亘り,ビジネスプランを策定するための市場調査を行う予定である。EGATインター(注1)のプルティチャイ社長代行(注8)は,調査の結果,経済的に可能と判断されれば,石炭を地元企業に販売し,また一部をタイへ輸出する,計画という。インドネシア政府から受けている現段階の権利は,ジャンビ県(注11)の1万5,500ライまたは2,500ヘクタールである。

現地の調査によると,ジャンビ県(注11)の石炭埋蔵量は,高度の質を誇る22億トンとされている。金融危機にも関わらず,石炭価格は現状維持に近く,地域の高い需要を反映して,昨年,2007年のトン当たり80〜85ドルに対し,70〜75ドルである。プルティチャイ社長代行(注8)によると,EGATインター(注1)は,調査の結果が良ければ,現地での発電所建設も視野に入れているという。

EGATインター(注1)の他のプロジェクトは,2015年完成を目指すラオスの,260MW,ナムニエプ水力(注12)で,これは,関西電力(注13)とラオス政府(注14)の共同プロジェクトである。なお,EGAT(注2)のソンバット総裁(注7)は,2015年以降,タイは,2,800MWの石炭火力建設を目指しており,この発電所には,今回案件の石炭も一部として利用する考えであると,表明している。

インドネシアの石炭については,最近では,2008年11月22日付本HP(注15)で扱っている。インドネシアの石炭埋蔵量は930億トンである。インドネシアの石炭はスマトラ(注3)とカリマンタン(注16)に分布している。インドネシアの石炭は,硫黄分と窒素酸化物が少なく,廃棄部分も少なく,それにインドネシアの石炭は露天掘りが多く,経済的である。国内的にも,既設ディーゼル,7,753MWを石炭に変える計画が進む。

(注) (1) Egat International Co (Egat Inter),(2) Electricity Generating Authority of Thailand,(3) Sumatra,(4) portfolio,(5) Egco Group Plc,(6) Ratchaburi Electricity Generating Holding Plc,(7) Egat governor Sombat Sarntijaree,(8) Prutichai Chonglertvanichkul, acting managing director of Egat Inter,(9) Inter Mining and Energy Co,(10) a memorandum of understanding,(11) Jumbi province,(12) Nam Ngiep hydropower plant,(13) Japan-based Kansai Electric,(14) Laotian government,(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081122D.htm,(16) Kalimantan,(17)

●インド,グリーン開発で,1,500億ドル計画

インドの気候変動への取り組みを書いた記事は少ない。先日も,私の読者から,インドの再生可能エネルギーへの取り組みを取り上げてくれ,とメールを貰ったことがある。一度,2008年9月29日付本HP(注17)で,今テロで苦しんでいるムンバイのグリーンビルディングの記事を取り上げたが,余りパッとしなかった。今日の記事は珍しいが,これもシンガポールから入った記事である。

記事の元になった報告書は,国際規模の銀行HSBC(注18)のもので,インドの気候変動への目玉は,バイオ燃料,風力,石炭クリーン化(注19)の3本が柱で,2008〜2017年の10年間に,1,500億ドルが投入されるとしている。報告書は,「インドの気候変動分野への投資機会」(注20)と題し,2008年7月に出された,「インドの気候変動対策への国家計画」(注21)の政策で,これを切っ掛けに投資が動く,と期待されている。

2008年11月27日付の報告書では,現在の金融危機の元でも,インドの気候変動への反応は,長期的視野に立った成長分野と見ている。インドは,世界の中でも,中国,米国,ロシアに続いて4番目に大きな温暖化ガス排出国で,人口一人当たりにすると,米国が20トン,オーストラリアが28トンに対して,インドは僅かに2トンである。

HSBC(注18)の報告書によると,投資予測は,11のテーマに対して,7.6兆ルピー,約1,500億ドル相当,で,その内訳は,石炭クリーン化(注19)に対して1.7兆ルピー,風力に対して1.34兆ルピー,バイオ燃料に対して1.47兆ルピーとしている。この投資の結果,2018年以降は,二酸化炭素の排出抑制は,4.8億トンに達するものと予測されている。


(注) (17) http://my.reset.jp/~adachihayao/index080929C,(18) HSBC,(19) clean coal,(20) "India's climate investment opportunities revealed",(21) India's National Action Plan on Climate Change,(22)

●インド,水力開発,地方電化で優先資金獲得

国家予算等で動かす電力分野への資金投入が,問題にされている記事である。中央政府は,銀行の融資対象としての優先度の中に,地方電化と水力発電を含めることで,見直す決定をした。既に関係閣僚会議(注22)の,電力セクター見直しのための小委員会は,技術的な問題から,財務省によってトーンダウンされていた。ここで,凍結されていた2兆ルピーを動かすことが期待されている。

一方銀行は,農業や中小企業の優先度の高いプロジェクトへのローンの40%を負担することを要請されている。新しい提案は,1件位1億ルピーを超えない範囲で,銀行が,地方電化,独立系統の電源,小水力などへの融資を行うことが好ましい,としている。計画委員会(注23)は,提案はインフラ重視で,その勧告を,財務省とインド貯蓄銀行(注24)に来月までに報告書を付けて提出する,としている。

地方電化は,UPA(注25)政府の重点政策の一つで,BNプログラム(注26)の項目の一つである。このプログラムは,地方インフラ,住居,道路,通信,給水など,の構築を目的としている。財務省は,優先度について明確な基準を求めているが,政府はこのため小委員会を設け,送配電線も含めた電力セクターの優先度を協議することになっている。

小委員会はアルワリア計画委員会次席(注28)が指揮し,アンデラプラデシュ(注29),アッサム(注30),マハラシュトラ(注31),オリッサ(注32),ウッタルプラデッシュ(33)の各州の電力大臣がメンバーに入っている。財務省当局は,電力,道路,航空,など多くの優先度への要請が来ており,全部は無理だが,特別の優先度はやむを得ない,としている。銀行側は,電力セクターに,既に大きな融資残高を持っている。

銀行の電力セクターの融資残高は,全インフラ分の50%に当たるが,実際の準備金は6,000億ルピーで,電力セクターの必要額は,第11次五カ年計画(注34)で10兆ルピーを超す規模である。一旦銀行が,この電力セクターの提案を受け入れると,すべて融資残高で賄うことが出来る。11月7日現在の合計貸し出しは27兆ルピーで,30%伸びとすれば,10兆ルピーが,優先プロジェクトへ回せることになる。

(注) (22) group of ministers (GoM),(23) Planning Commission,(24) Reserve Bank of India (RBI),(25) United Progressive Alliance (UPA) ,(26) United Progressive Alliance (UPA),(27) Bharat Nirman programme,(28) Planning Commission deputy chairman Montek Singh Ahluwalia,(29) Andhra Pradesh,(30) Assam,(31) Maharashtra,(32) Orissa,(33) Uttar Pradesh,(34) Eleventh Five Year Plan (2007-12),(35)

Reference

Thailand

●081129A Thailand, Bangkok Post
EGAT,インドネシアで,炭坑権利取得
Egat gets mining approval in Indonesia
http://www.bangkokpost.com/291108_Business/29Nov2008_biz34.php

India

●081129B India, Economic Times
インド,グリーン開発で,1500億ドル計画
India green spending could reach $150 bn by 2017
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/India_green_spending_could_reach_150_bn_by_2017/articleshow/3769920.cms
●081129C India, Economic Times
インド,水力開発,地方電化で優先資金獲得
Hydro projects, rural power to get priority funds
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Hydro_projects_rural_power_to_get_priority_funds/articleshow/3771328.cms



2008年11月28日8分 ー 世銀の大規模インフラに批判の声 ー

インドのムンバイのテロ事件は収束に向かったが,死者の数は160人以上に上るという。パキスタンとの関係悪化が問題で,パキスタンの軍司令官がデリーに呼び出されている。バンコクは,空軍の飛行場を利用して,日本人観光客達約260人が引き上げてきたが,もう2度とバンコクには行きたくないと言っている。インドも,タイも,アジアのエネルギーの最前線である。これで投資意欲減退となれば,影響は大きい。

先日,インドがガスや原油を,トルコの地中海沿岸からイスラエルに運んで,イスラエル南端のアクバ湾の港エイラットに運び,タンカーでアカバ湾,紅海,アデン湾,アラビア海を経て,インドに運ぶ,と言う話のとき,イスラエルにアカバ湾,紅海への出口があることを知らなかった私は,地図で調べてその繁栄ぶりに驚き,誰か我々仲間で知っている人いるか,居たら表彰状を差し上げる,と言っていた。

私の読者1,300人のうち,ただ一人,エリオットを通過した人がいて,丁寧な表彰状を差し上げた。彼によると,「エイラット国境を通過した際にこのリゾート通過しました。アカバ湾は生物の多様性を保持しており,世界的にダイビングのメッカです。夜にヨルダン側から見ると,漁り火のようにエイラット側が輝いていました。またアカバ湾での夕日はエイラット側に沈み,夕焼けが,虹色になったのを想い出しました。」。

さて,今日は,世界銀行が出版した大規模ダムの書物に対して,世界銀行のダムへのこだわりを批判する記事を拾ってきた。世界銀行は,ラオスのナムテン2水力への支援に困って,世界の有識者に頼んで事例研究を行い,2000年に,ダム報告書を作成して世に問い,その結果をラオスに適用して,ナムテン2ダム支援を決定した。ラオスマイナスナムテンはゼロ,であったから,当時としては英断と見た。

そのナムテンダムもいよいよ完成が近づいてきたが,地球温暖化などやアフリカ支援の増大で,世界銀行としては,2000年の報告書以来8年,今ここで再び,世に大規模ダムの意味を問いかける必要があったのだろう,今度は書籍出版という形で,世に出したわけであるが,今日の記事ではさんざんに叩かれている。勿論主としてNGOグループであるが,世界銀行の大規模インフラ寄りを,その俎上に挙げている。次がポイント。

最近刊行された世界銀行の単行本,「大規模ダム」(注2)は,彼等の言うダムの便益を強調し,深刻な社会的,自然環境の代価を不適切に評価している。これは,世界銀行(注5)が,大規模ダムに好意を持っている証拠である。この,ダムの間接的な経済的影響,と題するものは,インド,エジプト,ブラジルを取り上げ,その経済効果を論じたもので,4つの例をとり,直接効果と貧困削減を取り上げている。

「大規模ダム」(注2)は4つの例を取り上げているが,10の例を挙げ,125のダムについて100項目に亘る技術検討を行ったWCD報告書(注3)に比べると,余りに対象が少ない。この対象の不足は深さにも及んでいる。経済効果を単純に論じて,社会的環境的代価の評価に失敗している。更に,初歩的な要素でダムを賞賛し,肯定的な要素が含まれる事例ばかりを取り上げている。

私は,世界銀行にしても環境NGOにしても,一般的な大規模ダムがよいか悪いか,を議論していることに誤りがあると思う。地形が違い,環境が違い,社会が違い,経済が違い,時代が違う。私たちのダムには一般的な設計や計画はない。必ず,その地点によって条件が異なる中での計画や,調査や,設計や,工事になる。その場所によっても違うし,時代も大きな要素だ。

日本がダムを造っていた頃は,日本はダムを必要としていた。インド,ベトナム,中国,ラオス,ミャンマー,などは,何千年と続く悠久の歴史の中で,ただ,いまの一点にダムを必要としているのでゃなかろうか。それも,同じインドの中でも,場所によって条件は全く違ってくるし,大規模ダムは善か悪かの一般議論は止めた方がよい。ダム地元の問題は別で,これは時代にあった対応が迫られていることは事実だろう。

(注)(1) World Bank commissioned book on large dams,(2) http://www.amazon.com/Future-Large-Dams-Environmental-Institutional/dp/1844071553,(3) World Commission on Dam's (WCD) 2000 report, (4) Nam Theun 2 hydropower project,(5) World Bank, (6) http://www.brettonwoodsproject.org/,(7) Bhakra dam,(8) Peter Bosshard of International Rivers,(9) 2005 Deaton report,(10) John Briscoe, the Bank´s senior water advisor,(11) Himanshu Thakkar, the coordinator of the South Asia Network on Dams, Rivers and People,(12) Democratic Republic of the Congo,(13) Grand Inga Dam,(14) Three Gorges Dam,(15) Inga 3,(16) Washington-based NGO Bank Information Center (BIC),(17) Shannon Lawrence of NGO International Rivers,(18) Damming for development: Lessons from Laos,(19) Nile river,(20) public-private partnership (PPP) project,(21)


本文

●世界銀行のダム報告書,批判への説得に失敗している

現在工事中でまもなく完成するラオスのナムテン2水力プロジェクト(注4),融資と保証を求められた世界銀行(注5)は随分悩んだ。私たちも,世界銀行(注5)は最終的には承認しないのではないか,と思ったりしていた。その間,2000年に,世界銀行の支援で,世界の有識者によって書かれたWCD報告書(注3)が作成され,世に問われた。世界銀行(注5)は,これを一つの突破口に,ラオスへの支援に踏み切った。

ナムテン2水力プロジェクト(注4)が出来なければ,ラオスは潰れ,と言う認識もあった。このWCD報告書(注3)は,我々も注目して読んだり,サマリーを造ったりしたものだが,基本は,住民参加,だったと思う。あれから8年,世界銀行は再び,「大規模ダム」(注1),(注2),として,世に問うた。これを,ブレトンウッズ(注6)が,批判した記事である。

最近刊行された世界銀行の単行本,「大規模ダム」(注2)は,彼等の言うダムの便益を強調し,深刻な社会的,自然環境の代価を不適切に評価している。これは,世界銀行(注5)が,大規模ダムに好意を持っている証拠である。この,ダムの間接的な経済的影響,と題するものは,インド,エジプト,ブラジルを取り上げ,その経済効果を論じたもので,4つの例をとり,直接効果と貧困削減を取り上げている。

「大規模ダム」(注2)は4つの例を取り上げているが,10の例を挙げ,125のダムについて100項目に亘る技術検討を行ったWCD報告書(注3)に比べると,余りに対象が少ない。この対象の不足は深さにも及んでいる。経済効果を単純に論じて,社会的環境的代価の評価に失敗している。更に,初歩的な要素でダムを賞賛し,肯定的な要素が含まれる事例ばかりを取り上げている。

例えば,インドのバクラダム(注7)では,農業生産の成長を,農業の産業化と結びつけているが,農業は,ダム建設による土壌沃土の低下と地下水の低下という逆効果に悩まされている。反論が世界的に起こっている。IRのボシャード(注8)は,短絡的で政治的な調査に属するとし,それは2005年のディートン報告書(注9)にも書かれたことで,世界銀行のブレスク(注10)のダム擁護論,大規模水インフラの力,を筋書きにしている。

また,NGOのタッカー(注11)は,「大規模ダム」(注2)は,短絡的で世界銀行のダムとのギャップを埋めるのに役立っていない,調査そのものも,不正確で誇張が多く,見落としも多数ある,と酷評している。教訓はまだ生かされていなくて,最近の動向を見ても,世界銀行は未だ大規模インフラにこだわっており,その投資が貧困削減という重要な任務への動機となり得る証拠は,見つけ出せない。

コンゴー(注12)の例では,ダムの便益を受け取るのは,投資企業だけのように見受けられる。グランドインガダム(注13)は,三峡ダム(注14)を凌ぐ規模で,工事費は800億ドルであるが,インガ第3水力(注15)はその一部をなす。ワシントンのBIC(注16)は,この出力は,鉱山運営の拡張と電力輸出が主目的であって,開発の便益は,甚だ不明確である,とコメントしている。

WCD報告書(注3)の目的であったナムテン2水力プロジェクト(注4)は,対象が貧困ではなかった。NGOのIR,ローレンス(注17)の2008年7月の報告書,「ラオスの教訓(注18)」,によれば,今では移住者が6,000人と考えられている問題で,現地住民をプロジェクトの過程の中に巻き込む,という試みは,失敗に終わっている,と批判している。2008年6月時点で,完成時期は守られるが,環境計画はつまずいていると。

世界銀行(注5)の大規模インフラへの偏りは,ダムまで及んでいる。2008年9月1日に,世界銀行(注5)はエジプト政府と,新規灌漑施設で145百万ドルの支援を約束した。従来までナイル川(注19)の灌漑は公共事業であったが,今回は,公共民間協力(注20)となっている。雇用増大が言われているが,新技術導入で限界があり,便益は投資者にある。2009年着工であるが,貧困者への配分は未だ不透明である。

世界銀行(注5)刊行の「大規模ダム」(注2)は,相当の批判を招いている。私は,ダムがよいか悪いか,を一般的に論じようとしている企業サイドも,また環境グループの側も,正しくないと思っている。地形も違うし自然も違うし社会も経済も違う。ダムはある時あるところでは必要であるし,場所によっては無用で逆効果が目立つ場合もある。ある時点,日本がダムを必要としたように,世界でダムが必要な場所は,あるはずだ。

(注)(1) World Bank commissioned book on large dams,(2) http://www.amazon.com/Future-Large-Dams-Environmental-Institutional/dp/1844071553,(3) World Commission on Dam's (WCD) 2000 report, (4) Nam Theun 2 hydropower project,(5) World Bank, (6) http://www.brettonwoodsproject.org/,(7) Bhakra dam,(8) Peter Bosshard of International Rivers,(9) 2005 Deaton report,(10) John Briscoe, the Bank´s senior water advisor,(11) Himanshu Thakkar, the coordinator of the South Asia Network on Dams, Rivers and People,(12) Democratic Republic of the Congo,(13) Grand Inga Dam,(14) Three Gorges Dam,(15) Inga 3,(16) Washington-based NGO Bank Information Center (BIC),(17) Shannon Lawrence of NGO International Rivers,(18) Damming for development: Lessons from Laos,(19) Nile river,(20) public-private partnership (PPP) project,(21)

●インド,世界経済危機,NHPCの株式上場を遅らせる

インドの水力発電公社NHPC(注21)は100%政府株式保有の国営公社である。何度も株式上場の話が持ち上がっていたが,今回の金融危機で,上場時期を遅らせたようだ。NHPC(注21)のガルグ会長(注22)は,記者会見で,「あなたがたも感じているように,時期が悪い,上場を延期して,時期が至るのを待つ,」,とした。日本の郵貯と同じ環境に置かれたようだ。

NHPC(注21)は,2012年までに発電設備を倍増するため,2,800億インドルピー(注23)を投入する計画を持っている。このうち,1,100億ルピーは内部留保と上場による株式市場で,1,700億ルピーを外部よりの借り入れで調達する計画である。これらの借り入れはローンで賄われるが,信用問題が起きたわけではないので,現在のプロジェクトは,遅れることなく,進めることが出来る,と。

2008年8月にインド証券市場(注24)に提出され,ウエッブ上でも公表された株式売買説明書(注25)によると,売り出し株式は,168万株で,新たに市場に出すのが112万株,インド政府持ち分が55万9,100株となっている。こららの新規資金調達分は,計画中の7つの水力プロジェクトの資金調達の一部として使う予定である。

NHPC(注21)は,2012年までに新規電源を,5,322MW開発の予定である。現在の発電設備は,5175MWである。もしこの株式上場が実行されると,現在,インド政府が100%保有しているNHPC(注21)の株式は,インド政府持ち分が,86.4%に低下することになる。

(注) (21) NHPC formerly National Hydroelectric Power Corp,(22) Mr SK Garg chairman of NHPC,(23) INR, (24) Securities & Exchange Board of India,(25) share sale document,(26)

●インドネシア,国有ガス会社PGN,2009年は売り上げ好調と

インドネシアの国有ガス企業PGN(注26)は,発電需要の伸びで,来年,2009年も30%の成長を続ける見込みである。売上量は,2008年の予想が日6億立方フィート(MScfd(注27))に対して,2009年は,7億〜8億MScfd(注27)に増ぢする見込みである。水曜日の記者会見でヘンディPGN社長(注28)が,見込みを発表した。

ヘンディPGN社長(注28)は,金融危機の最中であるが,発電事業者の需要は高い。PGN(注26)がこの発電事業者の需要を賄うことが出来るならば,来年度,2009年は極めて有望である,しかし,金融危機が如何に規模が大きいのか,いつまで続くのか,良く見極める必要がある,と語っている。しばらくはPGN社長(注28)は,最大の顧客である発電事業者の需要を満たすことに重点を置く,と。

現在,PGN(注26)は,発電事業者向けに,日2.6億立方フィートを供給中で,需要増大ではあるが,状況が変わらない限り,価格は変更しない,とヘンディPGN社長(注28)は言っている。現在,PGN(注26)は,百万Btu当たり(注29)5.5ドルで販売しており,購入価格は百万Btu当たり(注29)3.9ドルである。PGN(注26)のリサ財務部長(注30)は,2009年の経費は,2億ドルに達する,と語っている。

この費用は,内部予算とローンで賄われるが,ローンは,JBIC(注31)と世界銀行が大部分である。費用の殆どは,パイプラインネットワークのの開発に使われるもので,今年,2008年8月には,その全延長が1,035kmに達し,その容量は,日9.7億立方フィートである。PGN(注26)は政府所有であるので,その純益は政府の大きな歳入源で,政府財政の流動性に貢献している。


(注) (26) State gas distributor PT Perusahaan Gas Negara (PGN),(27) million cubic feet per day (MMScfd),(28) PGN president director Hendi Prio Santoso,(29) million British thermal units (mmbtu),(30) Riza Pahlevi Tabrani, PGN finance director,,(31) Japanese Bank for International Cooperation,(32)

Reference

Laos

●081128A Laos, brettonwoodsproject
世界銀行のダム報告書,批判への説得に失敗している
new World Bank book fails to convince critics of large dams
http://www.brettonwoodsproject.org/art-562990

India

●081128B India, steelguru
世界経済危機,NHPCの株式上場を遅らせる
Recession reports - NHPC defers share sale
http://steelguru.com/news/index/2008/11/28/NzMwNTg%3D/Recession_reports_-_NHPC_defers_share_sale.html

Indoinesia

●081128C Indonesia, The Jakarta Post
国有ガス会社PGN,発電需要で,2009年は売り上げ好調と
PGN expects robust sales in 2009 on demand from power producers
http://www.thejakartapost.com/news/2008/11/27/pgn-expects-robust-sales-2009-demand-power-producers.html



2008年11月27日分 ー フィリッピンの再生可能エネルギー再び ー

インドのムンバイ,テロ事件の最新情報では,死者数は125人、負傷者数は327人,で,タージマハールホテルは制圧されたが,トライデントホテルはまだ制圧中。それにしても津田さんの犠牲は人ごととは思えない。エネルギー最前線で戦っていた人だったから,ひょっとしたら一度ぐらい私のメルマガも読んでいてくれたかも知れない。冥福を祈ります。ただ,いろいろな解説を聞いていると,外国資本投資への反発,との意見もあり,しばらくのインドは,外資導入にも障害が生ずる可能性がある。外資導入が貧富の格差を生んだ,とテロの遠因を説明する人がある。

バンコクは,既にタイの経済学者などは,空港閉鎖が年末まで続く可能性がある,として損害額やGDPの落ちを計算し始めている。それほどタクシン派を追放するのは難しいのか,と思ってしまう。結局,地方の支持がタクシンから離れないので,総選挙をやってもまた同じことになるのか。結局タイは,バンコクと地方に経済格差が大きくなりすぎて,国民が2極化した,と言うことなのであろうか。1990年頃でも,我々も余りの落差に驚いていたぐらいだから,バンコク市民は,実力で政権をひっくり返すより仕方がない,何とも不幸な成り行きだ。

今日は再び,フィリッピンの再生可能エネルギーを取り上げている。面倒くさいが,どうも最近は,このフィリッピンの国産エネルギーへのこだわりが突出してきて,東南アジアでは特殊な動きを始めたことが気になり始めた。今日の記事は,再生可能エネルギー法案(注14)を積極的に進めてきたアンガラ上院議員(注2)が,2008年10月に上海で開かれたフォーラム(注3)で講演した内容に基づく。ポイントを上げると。

フィリッピンであるが,2010年までに60%を国内エネルギーで賄う目標を持っている。2000年に45%であった国産依存は,2007年には57.20%に達した。発電分野では,自給率が2006年に66%となり,石油依存度は,20.28%であったものが8.2%まで落ちている。この2010年,60%と言う目標は,フィリッピンに豊富な地熱などを中心に,再生可能エネルギーの利用で実現したい。

2003年に策定された再生可能エネルギー政策枠組み(注9)のもと,10年間で再生可能エネルギーを倍増する目標で,2007年末時点には5445MWに達した。フィリッピンエネルギー計画(注10)は,2009〜2012年で新規電源5,393MW必要で,この内訳は,ルソン(注11)が3711MW,ビサヤ(注12)が844MW,ミンダナオ(注13)が838MWである。再生可能エネルギーによる新規電源は,現在,2,469MWが準備中の状態にある。この計画に対応する法律整備も進めている。

私は,とにかく世界の最先端に,落ちつくところを考えずにまず飛び上がるフィリッピンの行政の特徴を見る。原子力然り,電力セクター改革然り,そうしてまたこの再生可能エネルギー然り,である。原子力はとんでもないところでひっくり返ったし,電力改革は,東南アジアでも一番高い電気料金を下げることが改革の目的だったのだが,今のところはこれがその意に反している。電力改革は,とにかくそのまま進め,と言う人と,電気料金が高い,という一点で反対する勢力があるが,もう引っ返せない。需給バランスが壊れたときどう対処するか,それが改革の正否を決める。

再生可能エネルギーについては,これは資源のない国としての建前を前面に出してきて,国産資源を開発することと一体となって進んでいる。太陽光や風力もさることながら,やはり行き着くところは,地熱発電と水力だろう。水力は相当に開発が進んだと思わているが,治安の関係で手が付けられていないところが,まだミンダナオやルソン北部に残っている。フィリッピンの戦いを見守ろう。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) Sen. Edgardo Angara,(3) Asia Pacific Finance and Development Center Biennial Forum,(4) International Energy Agency,(5) tons of oil equivalent (toe),(6) solar photovoltaic,(7) European Union,(8) Global Wind 2007 Report,(9) Renewable Energy Policy Framework,(10) Philippine Energy Plan,(11) Luzon,(12) Visayas,(13) Mindanao,(14) Renewable Energy Bill,(15) Renewable Portfolio Standard,(16) feed-in-tariff mechanism,(17) Green Energy Option,(18) carbon credit,(19) Green Revolution,(20) Rep. Mikey Macapagal Arroyo (Kampi, Pampanga), chairman of the House Committee,(21)

本文

●フィリッピン,再生可能エネルギーによるクリーン開発

フィリッピンの国産,再生可能エネルギーへの取り組みは激しい。ココナッツバイオを自動車のガソリンの中に,強制的に入れさせる法律の行くへを,ASEAN諸国が,疑いの目でじっと睨んでいる。また,2008年10月10日本HP(注1)では,フィリッピン国会が,再生可能エネルギー報告を了承,アロヨ大統領の署名待ちとなっている。この法案を積極的に進めた一人が,アンガラ上院議員(注2)である。今日の記事は,アンガラ上院議員(注2)が,2008年10月に上海で開かれたフォーラム(注3)で講演した内容に基づく。ポイントだけ拾う。

IEA(注4)の報告書によると,2005〜2030年の間に,世界経済の拡大が,エネルギー使用量55%伸びを必要としている。これは石油換算(注5)で,114億トンを177億トンに持っていかなければならないことを意味する。これは,二酸化炭素ガス排出量で,2005年に於ける270億トンから,2030年に於ける420億トン,57%伸びをもたらす。そこで,再生可能エネルギーによるクリーンな開発が要請される。

再生可能エネルギーにとって,昨年,2007年は画期的な年で,これまでの再生可能エネルギーへの投資は710億ドルに達し,発電力で言えば,240,000MWに達した。風力は28%を占め,出力で,95,000MW,投資は370億ドルであった。送電網に組み込まれた太陽光発電(注6)は,7,700MWで,150万世帯の屋根に取り付けられた。バイオ燃料の2007年世界総量は,530億リッターと推定されている。

EU(注7)は,2020年までに20%の再生可能エネルギーを目指しており,中国は,15%としている。特に中国の風力について,昨年,2007年,初めて風力タービン製造の世界市場へ打って出た。2007世界風力報告(注8)によれば,中国の風力タービン製造能力は5,000MWに達し,2010年には,10,000〜12,000MWに達すると予想されている。

フィリッピンであるが,2010年までに60%を国内エネルギーで賄う目標を持っている。2000年に45%であった国産依存は,2007年には57.20%に達した。発電分野では,自給率が2006年に66%となり,石油依存度は,20.28%であったものが8.2%まで落ちている。この2010年,60%と言う目標は,フィリッピンに豊富な地熱などを中心に,再生可能エネルギーの利用で実現したい。

2003年に策定された再生可能エネルギー政策枠組み(注9)のもと,10年間で再生可能エネルギーを倍増する目標で,2007年末時点には5445MWに達した。フィリッピンエネルギー計画(注10)は,2009〜2012年で新規電源5,393MW必要で,この内訳は,ルソン(注11)が3711MW,ビサヤ(注12)が844MW,ミンダナオ(注13)が838MWである。再生可能エネルギーによる新規電源は,現在,2,469MWが準備中の状態にある。この計画に対応する法律整備も進めている。

もっとも注目を浴びているのは,再生可能エネルギー法(注14)で,今月,国会を通過し,再生可能エネルギー市場の形成の促進を図る。法案は今,アロヨ大統領の署名を待っている。この法案の特徴は,再生可能エネルギー採算基準(注15)で,一定の割合の導入を課し,12年間は価格を据え置くフィード-イン-タリフメカニズム(注16)を採用している。需要家が選択するグリーエネージオプション(注17)も用意している。

財政的なインセンティブも施策には含まれており,関連所得税免除1年延長で7年に,再生可能エネルギー関連機材の関税免除,国内機器準備への融資,カーボンクレディット(注18)の免税措置,地方電化への補助,などである。フィリッピンのこの方針は,有効だとの国際的な評価を得ている。世界的のも,気候変動へのコストは2000億ドルを超すと言われている。フィリッピンが,先頭になってグリーン改革(注19)を行うことに,喜びを感じている。

フィリッピンで,再生可能エネルギー法(注14)を,アキノ上院議員(注20)と共に推進してきたアンガラ議員(注2)だけに,まとまった報告であるが,目標にはまだまだ数字的に疑問がある。しかし,少なくとも,東南アジアの中では突出した行動で,電力改革と共に,何でも法律化してしまうこの区のの特性が印象づけられる。国産エネルギーへのこだわりがこうさせた,とも言えるので,資源を持たない国の焦りともとれる。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) Sen. Edgardo Angara,(3) Asia Pacific Finance and Development Center Biennial Forum,(4) International Energy Agency,(5) tons of oil equivalent (toe),(6) solar photovoltaic,(7) European Union,(8) Global Wind 2007 Report,(9) Renewable Energy Policy Framework,(10) Philippine Energy Plan,(11) Luzon,(12) Visayas,(13) Mindanao,(14) Renewable Energy Bil,(15) Renewable Portfolio Standard,(16) feed-in-tariff mechanism,(17) Green Energy Option,(18) carbon credit,(19) Green Revolution,(20) Rep. Mikey Macapagal Arroyo (Kampi, Pampanga), chairman of the House Committee,(21)

●今日,ネパールとインドの総括協議,水力開発など

2008年9月半ば,ネパールの首相として初めてニューデリーを訪問してインドの新首相から暖かく迎えられたプラチャンダーは,ネパールの経済開発を軌道に乗せるために,矢継ぎ早に,主としてインドに対して,協力案件を投げかけた。それは,10年間,10000MWの水力開発であり,その他水資源を中心とした案件であった。今日の記事は,外務大臣の間で,いよいよ協議が始まる。

今日,2008年11月27日,ネパールとインドの二国間外務大臣協議が始まる。まず両国の外務大臣は,犯人引き渡し条約(注21)の交渉から入る。インドのムケルジ外相(注22)は,ニューデリーを離れるに当たり,記者団に対して,条約の早期取り決めに当たる,と語った。出発前に,ムケルジ外相(注22)は,国境の町ビルグンジュ(注23)を訪ね,建設中の国境関門(注24)を視察している。

一方,ネパールのヤダブ外相(注25)は,二国間協力に関する16項目の談話を発表している。10年間に,10000MWの水力開発,に関してインドの協力を求める。また,国境のテライ(注26)の問題も重要視している。テライ(注26)のマケシ(注27)関連については,インドのムケルジ外相(注22)も,既にマケシ(注27)のリーダー達に会っており,彼等を支援してインフラ構築など協力を惜しまない,としている。

インド側は,ネパールの要請する貿易規制や,定期的な両国の会合の提案を受け入れており,ネパールは,インド企業のネパールへの参入に対応する投資環境の整備を約束しており,事前の空気は友好的である。国境問題については,技術委員会が既に,地図上への線引きを終えており,この地図上に両外相が署名する段取りになっている。

(注) (21) a provision for extradition,(22) Indian Minister for External Affairs Pranab Mukherjee,(23) Birgunj,(24) Integrated Check Post,(25) Foreign Minister Upendra Yadav,(26) Tarai,(27) Madhesi,(28)

●ラオス,新たな水力プロジェクト,ベトナムとの連携

この記事は,ハノイ駐在の中国紙の記者が書いたもので,最近の中国メディアは,ベトナムの周辺国への動きに神経質である。記事によると,新規水力発電所が,ラオスのフアパン県(注28)に計画されていて,地方の電力需要とベトナムへの輸出を考えている,とビエンチャンタイムス(注29)が報じている,というもの。

フアパン県(注28)が何処なのか,まだ私は確認できないが,おそらく北部のベトナム国境に近いところなのであろう。現時点では,地元の小水力とベトナムからの2MWの融通で,電力供給している。フアパン県(注28)のブアソン電力担当(注30)によると,県全人口の30%が,電力を受けている状況という。

彼によると,今回のプロジェクトが円滑に進めば,県全体の電化のみならず,ベトナムへの輸出も,2020年には,可能である,と言っている。プロジェクトは複数で,大きいものは,600〜800MW,小さいものは8MWで,調査は2010年には終了する。

ラオスのエネルギー鉱業省のエネルギー開発推進局(注31)によれば,ラオスの包蔵水力は,メコン本流を除いて,26,500MWであり,過去30年間でその2%が開発されたに過ぎない,と言っている。

(注) (28) Huaphan province,(29) Vientiane Times,(30) provincial Energy and Mines Department Manager Bouasone Thammaly,(31) Energy Promotion and Development Department of Lao Ministry of Energy and Mines,(32)

Reference

Philippines

●081127A Philippines, abs-cbnnews
再生可能エネルギーによるクリーン開発
Clean development through renewable energy?Edgardo Angara
http://www.abs-cbnnews.com/views-and-analysis/11/26/08/clean-development-through-renewable-energy%E2%80%94edgardo-angara

Nepal

●081127B Nepal, thehimalayantimes
今日,ネパールとインドの総括協議,画期的な取り決めへ
Bilateral nod to update extradition treaty
http://www.thehimalayantimes.com/fullstory.asp?filename=aFanata0sa3qzpla4Sa0qa.axamal&folder=aHaoamW&Name=Home&dtSiteDate=20081127

Laos

●081127C Laos, news.xinhuanet
新たな水力プロジェクト,ベトナムとの連携
New hydropower plants to be built in Laos
http://news.xinhuanet.com/english/2008-11/26/content_10416643.htm



2008年11月26日分 ー ミャンマーのラシオへの思い ー

昨日はバンコク空港の閉鎖でショックを受けたが,今日はインド,ムンバイの連続テロで,これも大きなショックだ。外務省によると,日本人268人のうち20〜30人と連絡が取れないと言う。ムンバイにいた朝日新聞記者によると,武装グループに襲われたのはムンバイのタージマハルホテルだという。我々が,日本レストランでその値段の高さに驚いたホテルだ。バンコクにしても,ムンバイにしても,我々友人達の働く場所の中心地だから,関係した人がいないか,懸念する。バンコクは,王様も軍も,まだ動かない。

昨日,インドのパイプラインで振り回されたが,パイプラインって安全なのですかね。昨日,HPを更新してからゆっくりとグーグルアースを回して,昨日話題になったミャンマーのシットウエイ海港,カラダン川,イスラエルのエイラット海港,などの衛星写真を見ていたが,自分の知識の狭さに恥ずかしさを覚えた。ミャンマーのシットウエイ海港などは,単なるミャンマーの漁村だと思っていたら,大都市ではないですか。ヨットのようなものが浮かび,観光客の写真も出てくる,地球は広いなあ,と思った。

また驚いたのは,イスラエルのエイラット海港,大きな地図では確認も出来ないような針のようなアクバ湾の奥深く存在するエイラットは,まさしく大観光地で,ヨットが飛び交い,世界一流の高級ホテルが並んでいる。このアクバ湾の奥のイスラエルのリゾート地を知っていた人が,我々の仲間にいますか?いたらメールを下さい,表彰状を差し上げる。分かっているようで地球が分かっていないことを,大いに反省した。

それでも,自分が一度行ったところは,懐かしさと共に強く印象づけられている。その一つが今日のミャンマーのシャン州,ラシオ(注1)の町である。ミャンマーの東北端,コーカン自治区に行く途中に立ち寄って一泊した町(注2)だが,奥地に向かう最後の拠点,その様な感じがして,その緑の中に立つ金色のパゴダの写真を撮るために,彼方此方,朝日と睨めっこをしながら,動き回ったことがある。麻薬退治のためにコーカン自治区に向かっていたのだが,このラシオの町には,麻薬退治の親分のような日本の大学教授が,デンと居宅を構えていた。

このラシオの少し手前,と言うか西の方に,メイミョウという,昔日本軍が司令部を置いていた町,その近くで,JICAの仕事で小水力を造ろうとする日本工営の部隊と一緒に山に入ったことがある(注6)。数100KWの小さい発電所だが,日本の手でプロトタイプの発電所を,と頑張っていて,ヤンゴンに帰って先方電力省と話し合いを持ったら,近くで中国がもっと大きな発電所を造ってくれるから,君たちはもういいよ,と言われた。

その時は,何のことかよく分からなかったが,それから数年,姿を現してきたのは,600MWのシュエリ水力発電所(注5)である。2008年末完成,と行っているから,もうそろそろ出来上がるのだろう。この発電所は,ラシオから80kmほど北で,電気はマンダレー(注4)に送られるが,ラシオの人々は,これで24時間電灯が灯る,と期待している。

このシュエリ発電所の位置は,イラワジ川から分かれて東に走るシュエリ川の上流にあって,中国の国境までは僅かに30kmだ。大きな部分が中国の国境区域に送られるのだろう。その国境の町で,ドルを中国元に換金したが,国境の橋の上を歩いていたら中国の公安らしき警官に,入るな,と言って追っ払われた。全く周辺は中国人の世界で,中国語と中国元がなければ生活できない。中国のミャンマーでのプレゼンスは大きくなるばかりである。

(注) (1) Lashio,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/Myanmar.htm,(3) Mandalay,(4) http://yokohama.cool.ne.jp/esearch/sensi-zantei/sensi-burma.html,(5) Shweli hydroelectric project,(6) http://my.reset.jp/~adachihayao/MyanmarB.htm,(7) http://www.monstersandcritics.com/news/asiapacific/news/article_1293972.php,(8) U Hla Aye, who is the managing director of Shan Yoma travel company,(9) http://my.reset.jp/~adachihayao/081126B01.GIF,(10) http://my.reset.jp/~adachihayao/081126B03.jpg,(11) Shan State,(12) Lashio Gyi (Big Lashio),(13) Muse-Lashio-Mandalay road,(14) Taung Paw Paya (Hilly Pagoda), (15) Yay-kan-taung recreation park,(16)



本文

●ミャンマー,シャン州のラシオ,観光客を惹き付けるか

ミャンマーのラシオ(注1)の記事を見て,しばらく郷愁に耽る時間を許されたい。2000年9月に,麻薬と蕎麦を入れ替える仕事で,マンダレー(注3)から,ミャンマー北東,サルウイーン河沿い,中国との国境の町,老街まで車で走ったとき,ラシオ(注1)に一泊した。その時の写真もあるので見て下さい(注2)。ラシオの語感は頭に残っていて,それはどうも第二次大戦の記録と結びついているようだ。「ビルマは日本にとって南方資源地帯の西側防壁であるとともに,ラングーン−ラシオ−昆明と続く援蒋ルートの拠点でもあった。」(注4),の一文が示すとおり,戦争の重要な拠点であったのだ。

それから,今日の記事にも出てくるシュエリ水力(注5)で,これは600MWで2008年末にも完成する大規模な発電所であるが,ラシオ(注1)から80kmほど北のシュエリ川に中国が建設しているもので,中国国境までは僅か30km余りである。ラシオ(注1)は,この発電所の完成を待ちわびているが,果たしてラシオ(注1)に持ってこられるのかどうか。主要な目的は,マンダレー(注3)と中国領内への送電なのであろう。シュエリ水力(注5)については,2007年の記事がある(注7)。

私がJICAの一員のとき,ラシオ(注1)の少し手前で,日本工営の進める小水力発電所を手伝ったことがあった。その時,小さいながらなかなかの適地で山の中を歩いて踏査を行い,計画を進めることを楽しみにしていた。その時の写真もあるので,是非見て下さい(注6)。それで,喜び勇んで首都のヤンゴンに引き上げて,さて相手方電力省と協議しようとすると,先方から,作ってもらわなくて結構です,近くに中国が大規模な発電所を造るので,それで間に合いますので,と言う話である。それがあのシュエリ水力(注5)だったのである。

今日の記事は,ミャンマーで観光会社を経営するウラアイさん(注8)の話に耳を傾けて下さい。たまには,旅行先の候補の一つとして,ラシオ(注1)のような町を選ぶのも良いのではないか。ウラアイさん(注8)の撮った,マンダレー(注3)からラシオ(注1)まで走る列車の写真がある(注9)。位置関係を示す地図もある(注10)。ウラアイさん(注8)の記事は,「シャン州(注11)のラシオ(注1)は果たして観光客を惹き付けるか」,と言うタイトルである。

ラシオ(注1)出身のウラアイさん(注8)は,ラシオ(注1)はこの20年で急速な発展を遂げたという。そうして次の10年で有力な観光地になって行くだろう,という。最近,ラシオ(注1)に帰ってきて,町中の彼方此方に光り輝く電灯を見て,一生懸命地図を見ながら思い出すことに努めた。特にこの3年間の発展は劇的だ。20年前は,ラシオ(注1)の町は,二つに分かれていて,ラシオ(注1)からラシオギ(注12)に行く道はジャングルの中で真っ暗だった。この記事の筆者も,15年前にお母さんとラシオ(注1)を訪ねたときは,泊まった一軒だけに電気がついていて,周囲の家は蝋燭で明かりを灯していた。その時,シスコもカラオケもパブもなく,ただ涼しくて暗くて静かな夜だった。

最近のラシオ(注1)は,経済的な開発が行われている。ムース - マンダレー - ラシオ(注1)は大変に混雑していて,特に観光開発が盛んである。今のラシオ(注1)は,GSMの電話ネットワークはあるし,シュエリ水力(注5)もまもなく完成し,24時間電気が使えるようになるだろう。観光のスポットは,イエイカンタウン公園(注14),町全体が見えるパゴダの丘(注15),などなど。郊外では,温泉もあるし,滝もある。観光会社は,旅行パックを組んで,忙しくしている。まだ立派なホテルやレストランを造る必要があるが,この先,5年,10年が楽しみだ。

ラシオ(注1)は,マンダレー(注3)から汽車で来れるが,ヤンゴンから冷房付きのバスも出ている。20時間かかるが,1万5000〜1万7000チャットである。ヤンゴンからラシオ(注1)までの航空便のある。

(注) (1) Lashio,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/Myanmar.htm,(3) Mandalay,(4) http://yokohama.cool.ne.jp/esearch/sensi-zantei/sensi-burma.html,(5) Shweli hydroelectric project,(6) http://my.reset.jp/~adachihayao/MyanmarB.htm,(7) http://www.monstersandcritics.com/news/asiapacific/news/article_1293972.php,(8) U Hla Aye, who is the managing director of Shan Yoma travel company,(9) http://my.reset.jp/~adachihayao/081126B01.GIF,(10) http://my.reset.jp/~adachihayao/081126B03.jpg,(11) Shan State,(12) Lashio Gyi (Big Lashio),(13) Muse-Lashio-Mandalay road,(14) Taung Paw Paya (Hilly Pagoda), (15) Yay-kan-taung recreation park,(16)

●フィリッピン,ロペスのEDC,IFCから41億ペソのローンを獲得

EDC(注16)については,2008年10月24日付本HP(注17)で,「丸紅,フィリッピンの再生可能を視野に,EDC株式視野か」,のタイトルで,再生可能エネルギー開発との関連が論じられている。2008年10月17日の本欄(注18)では,ファーストジェン(注19)が,その所有する水力発電所の資産105百万ドルを,関連会社であるEDC(注16)に売却し,売却対象は,ファーストジェン水力企業(注20)の株式60%であり,具体的な発電所は,112MW,パンタバンガン-マシウエー水力(注21)で,売却先はEDC(注16)である。EDC(注16)は,その安定以外に,将来の成長を買った,と見られている,と報告されている。

また,2008年10月24日付本HP(注17)の本論で,更にこの上に,丸紅(注6)のフィリッピン戦略が重なってくる。丸紅(注22)は,ロペス財団の保有するファーストジェン(注19)の株式40%獲得を真剣に考えているようだとしている。この40%と言う数字は,国家石油PNOCとEDC(注3)を通じて,地熱発電事業をコントロールするに十分なシェアーである。丸紅(注6)側からの情報は未だにないが,ファーストジェン(注20)によると,この丸紅(注22)関連の手続きは年内に完了する,としていた。

資金繰りに問題が出てきたとされている,これら一連のロペス系発電企業であるが,今日の記事では世界銀行系IFC(注23)の借款が,再生可能エネルギーの地熱発電を扱うEDC(注16)へ供与されたニュースである。昨日,2008年11月22日の署名式で,EDC(注16)のアキノ社長(注24)は,この金融危機の中でEDC(注16)への信用が継続していることを示している,としている。IFC(注23)は,国担当のアング氏(注25)が行った。アキノ社長(注24)は,この資金は,中期の資本支出に回される,としている。

またアキノ社長(注24)は,今回のローン協定が,1980年代,EDC(注16)が地熱発電事業を始めた頃からのIFC(注23)との関係を,強化するものだ,と評価している。IFC(注23)は,EDC(注16)が,2006年,株式上場を果たしたときの中核投資機関であった。更にアキノ社長(注24)は,このローンは,EDC(注16)の長期ビジョンに対するIFC(注23)の期待を示すもので,それは,EDC(注16)が,再生可能エネルギー産業で世界をリードする可能性を持っているものだ,EDC(注16)は,地熱発電技術の世界の最先端の一部を担っている,としている。

EDC(注16)のロドリゲス財務主任(注26)は,今回のローンの条件が極めて良かった,と評価し,返済期間15年,猶予期間3年の条件は,IFC(注23)のEDC(注16)への信用の現れ,としている。IFC(注23)は以前より,EDC(注16)の変化時期を支えるとし,EDC(注16)が世界的なクリーンな再生可能エネルギー開発をリードするだろう,と期待を示している。EDC(注16)は,フィリッピンの地熱発電の60%を所有している。

また前の水力にも記事は触れている。EDC(注16)は最近,水力への参入も標榜し,パンタガンナン - マシウエイ水力(注21)の運営企業であるファーストジェン水力(注27)の60%の株式取得を視野に入れている。ファーストジェン(注19)が政府系PNOC-EDC(注28)を買収したのは,地熱に焦点が当たっていた。EDC(注16)は,地熱発電を制することが即ち,再生可能エネルギー事情の足下を強化することに繋がる,と信じている。

(注) (16) Lopez-controlled Energy Development Corp. (formerly PNOC-EDC) ,(17) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024A.htm,(18) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017A.htm,(19) First Gen Hydro Power Corp,(20) First Gen Hydro Power Corp,(21) 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,(22) Japanese conglomerate Marubeni Corp,(23) International Finance Corp. (IFC),(24) EDC president and chief executive officer Paul Aquino,(25) IFC country head Jesse Ang,(26) EDC chief financial officer Fenina Rodriguez, (27) International Finance Corp (FGHPC),(28) PNOC-EDC,(29)

Reference

Philippines

●081126A Philippines, philstar
ロペスのEDC,IFCから41億ペソのローンを獲得
EDC inks P4.1-B IFC loan
http://www.philstar.com/Article.aspx?articleId=418595

Myanmar

●081126B Myanmar, mmtimes
ミャンマー,シャン州のラシオ,観光客を惹き付けるか
Can Lashio draw tourists to Shan State
http://www.mmtimes.com/no446/n011.htm



2008年11月25日分 ー インドのパイプラインへの挑戦 ー

タイ,バンコクの空港が停まっている。これは大変なことである。バンコク空港と言えば,我々が必ずと言って良いほど使っていた空港で,ラオスもカンボジアもミャンマーもベトナムも,下手をすればアフリカも,この空港を使って調査に行っていた。おそらく相当の数の友人達が,彼方此方で足止めを食っているだろう。それにしても一体,タイの政治はどうなってしまったのか。

タクシンが首相の座に着いたときは,何か,お笑いのナンチャンに似ていたけれど,それでも大きな期待があった。南の石炭火力発電所を自ら視察に行ったり,経済開発の面で大いに期待した。しかし途中で,日本の円借款は邪魔になる,というような発言をしたり,通信で危ない噂が流れたり,結局は彼は,我々の当初の期待を裏切った。

それでも,勇敢にミャンマーに突っ込んでいったのはタクシンである。現在の,ヤダナの天然ガスの輸入やサルウイーン河の開発に手を付けるために,国際世論のうるさい中も,ミャンマーの当時の首都ヤンゴンまで出かけていた。結局,考えてみれば商売しかなかったのか。それにしても逃げ回る姿は格好悪い。結局国に帰って牢獄に繋がれたフジモリ大統領の方が,勇敢か。

そのミャンマーに仕掛けているのがインドの我がラメシュ副大臣(注4)だ。水力発電公社NHPCが,出来ません,と言って投げ出そうとしたイラワジ川上流のタマンティダム,1,200MW,に自ら出ていって,NHPCを叱りつけ,そのダムを造って下流の水利用に貢献し,電気はインドへ持って帰る,と息巻いて,ミャンマーに踏みとどまった。勿論,ラメシュ副大臣(注4)の狙いは,60兆立方フィートと言われるミャンマー沖の天然ガスで,ミャンマーが殆ど雲南とバンコクへ送ろうとした中に,割って入ろうとしている。

今日のニュースを見て驚いた。ラメシュ副大臣(注4)は,2008年10月にミャンマーに乗り込んだときに,既にアラカン山脈を越えて,ラキン州まで入り,カラダン川を遡って,インドのミゾラム州(注13)に達するルートを下見していたのだ。HPで地図を見て頂きたい。中国が,石油基地として開発しているラムリー島から北西に100km,ここにシットウエイ海港(注12)を改造して中国とにらみ合い,一方,シットウエイ海港(注12)からカラダン川を遡って,一部舟運,一部新設道路で,インドの最東端,ミゾラム州(注13)に繋ごうというのである。

これは勿論,両国の通商のためであって,エネルギーに関しては,今回の協議では一言も触れられていない。しかし,私から見ると,これは明らかに,ミャンマー沖のガスをパイプラインでインドへ持って帰るその下ごしらえなのだ。それと,突き出た半島同志,100kmの距離で,中国の海港とインドの海港がにらみ合う姿は,何とも勇ましい。インドは海軍が強いという。ラメシュ副大臣(注4)の仕掛けを見守ろう。

またもう一つ,インドのエネルギーラインで驚きの記事がある。トルコに集まる中央アジアとカスピ海沿岸のエネルギー資源を,イスラエルを通してインドに持ち帰ろう,と言うのである。読んだ私も,一瞬,世界地図と睨めっこをした。トルコの地中海沿岸の港セイハン(注26)から,約100kmのパイプラインをイスラエルに引くという,何処に行くのよ,反対方向じゃないか,と呟きながら,イスラエルのエイラット港(注28)を探した。

驚いたですね,イスラエルにただ一点,紅海に面している港があったのです。ぼけっと地図を見ていても分からない,私は今まで,イスラエルは全海岸が地中海にあると思っていた。ところが,スエズ運河を経ずに,紅海に面した港があって,そこから紅海を南下し,アデン湾を通過すると,もうそこはインドの内海とも言えるアラビア海ではないですか。私には想像も出来なかったルートだが,昔のインド人は,おそらくよく使っていた海路なのでしょうね。

インド側は沈黙を守っているが,トルコの首相が構想を明らかにして,来月にも三国の打ち合わせに入るという。結局,イランのガスパイプラインはブッシュ大統領に反対されて,この道をとるのだ,と言う表現で記事は書かれている。それにしても,ミャンマー領内に僅かに突出しているミゾラム州(注13)から,バングラデシュを経由せずにインドに持ち帰るとか,イスラエルの僅かな隙間に手を突っ込むとか,どうもこの当たりの話は,アジア開発3人男の一人,ラメッシュの仕掛けですね。ややこしいから後でHPで地図を出しておくので見て下さい。まさにアジアのエネルギー最前線の話ですよ。

(注)(1) Xinhua,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081101A.htm,(3) Ramree Island,(4) Indian Minister of State for Commerce and Power Shri Jairam Ramesh,(5) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080801A,(6) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080917B,(7) Maung Aye, vice chairman of the State Peace and Development Council.,(8) foreign secretary Shivshankar Menon, (9) deputy minister U Kyaw Thu,(10) a multi-modal transit and transport facility,(11) Kaladan River,(12) Sittway Port in Myanmar,(13) Indian state of Mizoram,(14) Sitpyitpyin,(15) Nay Pyi Taw,(16) Rakhine state,(17) Reedkhoda,(18) Tamu-Moye,(19) Mandalay,(20) 3rd meeting of Myanmar-India Joint Trade Committee,(21)

(注) (21) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081104B.htm,(22) Turkish Prime Minister Recep Tayyip Erdogan,(23) Bangalore,(24) Caspian region,(25) Mediterranean port,(26) Ceyhan,(27) Red Sea,(28) Eilat port,(29) Suez Canal,(30) Turkish Energy Minister Hilmi Guler,(31) Gulf of Aden,(32) Arabian Sea, (33)

本文

●ミャンマーとインド,経済協力の促進を確認

このニュースが,ヤンゴン駐在の中国紙シンフア(注1)記者から発せられていることに注意したい。中国は,2008年11月1日付本HP(注2)にて報告しているように,ミャンマー沖合西の島,ラムリー島(注3)に,中国のエネルギー根拠地を港と共に造成中である。またインドは,私が強く注目しているラメシュ副大臣(注4)が,嫌がる水力発電公社NHPCを説き伏せて,ミャンマーのタマンティ水力などに,調査継続の指示をして,更に中国に持ち去られようとしているミャンマーの天然ガス狙いで動いていることは,2008年8月1日付本HP(注5)と,2008年9月17日付本HP(注6)に詳しく流れが書かれている。

さて今日の記事,エネルギーについては殆ど語られていないが,裏にある動きを考えながら読んでみよう。ミャンマーとインドは,この日曜日,ミャンマーにて,外務省当局者による第9次二国間協議を行い,広範な分野の協力について討議を行った。これは,2008年4月,ミャンマーの第2位にあるマウンアイ将軍(注7)が,インドを訪問したときの合意事項を,更に前進させるための今日である。インドを代表したのは,メノン外務次官(注8),ミャンマーを代表したのはウチョーツー外務副大臣(注9)である。

2008年4月,ニューデリーで,ミャンマーのマウンアイ将軍(注7)との間で合意された項目は3つに亘るが,特に注目したいのは,両国の交通ルートの開発(注10)で,それはミャンマーのカラダン川(注11)を使って,ミャンマーのシットウエイ海港(注12)とインドのミゾラム州(注13)を結ぼうというものである。この案は,シットウエイ海港(注12)の改良工事,カラダン川(注11)の上流の町シットピットピン(注14)とシットウエイ海港(注12)の間の舟運のための河川改修,シットピットピン(注14)から国境までの道路建設,を含むものである。

また,2008年6月,インドの我がラメシュ副大臣(注4)が,ミャンマーの新首都ネピトー(注15)を訪問したとき,20百万ドルのアルミニュームワイヤーの工場,64百万ドルの23万ボルト送電線建設,などの経済協力で合意している。そのとき,我がラメシュ副大臣(注4)は,ランキン州(注16)を訪ね,自分の足でこのカラダン川(注11)多目的輸送ルートの視察を行っている。

ミャンマーとインドの国境線は1,600kmであり,両国の経済関係は,この2,3年,急激に深まっている。ミャンマー側によると,ミャンマーとインド両国の通商は,2007〜2008年財政年度で995百万ドルで,ミャンマーからの輸出が810百万ドル,インドからの輸入が185百万ドルである。ミャンマーにとってインドは,タイ,中国,シンガポールに続く第4位の通商額で,輸出額としてはタイに続く第2位で,全輸出量の25%に達している。

また,インドのミャンマーへの投資額は,2008年1月当時,契約ベースで,219.57百万ドルに達し,このうち137百万ドルは,2007年9月の原油ガス分野への投資に使われている。最近では,インドのリードコダ(注17)とミャンマーのタムモイ(注18)間の通商設備の整備がなされている。2008年10月には,ラメシュ副大臣(注4)がマンダレー(注19)を訪問し,第3回インド-ミャンマー通商協議(注20)が持たれている。この会議では,金融などの他,電力及びエネルギー分野の協力も話し合われた。その他ラメシュ副大臣(注4)は,ITセンターの開設,500人のミャンマー学生の招聘,租税や保健医療などの行政に関する支援も含まれている。

この記事から脈々として伝わってくるのは,中国に対抗するインドの,特に我がラメシュ副大臣(注4)の遠謀深慮が窺われる。最後の狙いは,ミャンマーの天然ガスにあるのだが,それを前面に出さずに,ミャンマーのソフトなプラットフォーム構築に力点を置き,しかも,中国が大々的な港湾建設を行っているラムリー島(注3)の目と鼻の先,100km西北のシットウエイ海港(注12)とカラダン川(注11)の舟運に注目して,最後は,バングラデシュを通過しない最近のインド,ミゾラム州(注13)へ繋ぐと言うことは,ラメシュ副大臣(注4)がこのルートを,インドへのガスパイプラインの本命と位置づけて,現場まで見ていることに注目したい。

(注)(1) Xinhua,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081101A.htm,(3) Ramree Island,(4) Indian Minister of State for Commerce and Power Shri Jairam Ramesh,(5) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080801A,(6) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080917B,(7) Maung Aye, vice chairman of the State Peace and Development Council.,(8) foreign secretary Shivshankar Menon, (9) deputy minister U Kyaw Thu,(10) a multi-modal transit and transport facility,(11) Kaladan River,(12) Sittway Port in Myanmar,(13) Indian state of Mizoram,(14) Sitpyitpyin,(15) Nay Pyi Taw,(16) Rakhine state,(17) Reedkhoda,(18) Tamu-Moye,(19) Mandalay,(20) 3rd meeting of Myanmar-India Joint Trade Committee,(21)

●インド,トルコのガス原油をイスラエル経由で

インドは原油ガスが欲しい,パイプラインを探りまくっている。今日も,ミャンマーのカルダン川ルートを見てきたところだ。また,2008年11月4日付本HP(注21)では,インドのムケルジ外相が,イランにせき立てられてテヘランを訪問,米印原子力協定があるから,イランからのガスパイプラインに明確な態度を出せないのか,と記者団に迫られて,インドは独立国だ,と強弁した。今日の記事は驚きである。私もしばらく世界地図とにらめっこしなければならなかった。これはラメッシュの発想に違いない。

さて記事だが,トルコ側の記者会見で始まっている。インドはまだ何も言っていないが,記事はインド紙である。インドが原油ガスを,トルコからイスラエル経由,スエズ運河を通らずに手に入れる方法について,まもなく3国の政府関係者が協議すすことになった。これはインドが,中央アジアやカスピ海沿岸(注24)のエネルギーを手にするための容易な方法の提案で,トルコのエルドラン首相(注22)が述べた内容である。

エルドラン首相(注22)はインドの南部,バンガロール(注23)を訪ねているようで,月曜の業界首脳との会議で,明らかにした。この提案は,長い間議論が続けられたイランからのパキスタンを経てのパイプライン問題で,建設費が大きく計画を超えたことと,米国の強硬な反対によって,合意が成立しなかった直後になされたものだ。

トルコは,イランを避けるルートの中では,地域のハブの役割を果たしている。計画のパイプラインは,カスピ海沿岸(注24)からトルコの地中海の港(注25)セイハン(注26)までのパイプラインを,更にイスラエルの紅海(27)に面する港,エイラット港(注28)まで敷設するものである。直線距離で約100kmである。

このエイラット港(注28)から原油とガスをインドのタンカーで出せれば,スエズ運河(注29)の通過を避けることが出来る。トルコのエネルギー大臣ギラー氏(注30)は,トルコは既にこのプロジェクトの可能性調査を終了しており,来月にもトルコで,トルコ政府とインド政府の協議が行われるはずだ,と語った。

なるほど,紅海(27)に出てアデン湾(注31)を抜け,アラビア海(注3)に出れば,インドの港はもう目の前に見えている。インド海軍は結構強いらしいから,これは安全なルートだ。イスラエルがエイラット港(注28)で紅海に面しているとは,余り知っている人はいないのではないか。でも,トルコからイスラエルまでのパイプラインは,レバノンやシリアがあり,結構な危険地帯,それでもイラン,イラクよりは安全か。

(注) (21) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081104B.htm,(22) Turkish Prime Minister Recep Tayyip Erdogan,(23) Bangalore,(24) Caspian region,(25) Mediterranean port,(26) Ceyhan,(27) Red Sea,(28) Eilat port,(29) Suez Canal,(30) Turkish Energy Minister Hilmi Guler,(31) Gulf of Aden,(32) Arabian Sea, (33)


●パキスタンのバシャダム建設,水危機に有望

パキスタンの水問題,今日で3日連続である。一昨日,2008年11月23日付本HP(注33)では,インドのシェナブ川(注35)のバギリハールダム(注6)について,パキスタン側の激しい反対論が提起されたし,昨日,2008年11月24日付本HP(注34)では,遠くワシントンから,パキスタン全土の水問題の厳しさが訴えられ,ダム建設の促進が要請されていた。今日は,一種の国民へのコンセンサスを得る目的なのか,ディアマー-バシャダム(注37)の着工決定を歓迎する記事である。

パキスタンの水とエネルギー不足を克服するために,「水資源開発構想2016(注38)」,の中には,カラバーダム(注39),ディアマー-バシャダム(注37),アコリダム(注40),ムンダダム(注41),クラムタンギダム(注42)の建設が,高々と謳い上げられている。規模の小さい州では不安が多く,大規模ダムの建設は,厳しい政治的な議論に晒されている。この民主的な新しい政府の元で,やはり,融和と同意が醸成されてきた。シェナブ川(注35)でインドがダムを造ったことで水危機が本格化し,国家経済委員会(注43)はディアマー-バシャダム(注37)の着工を決意し,国内の全勢力から,手を挙げて歓迎されている。

ディアマー-バシャダム(注37)は,インダス河のタルベラダム(注44)の上流315km,ギルギット(注45)の下流165km,北西辺境州(注46)と北域の境界にあるチラス(注47)から下流40kmの位置にある。ダムの領域は110平方kmで,湛水池は100km上流のカラコラムハイウエー(注48)のライコット橋(注49)まで達する。発電所出力は,4,500MWで,工事費は126億ドル,ダムの高さは272m,貯水容量は730万エーカーフィート(注50)で,完成は2016年となっている。海外の専門家によるパネルでも,最適地だと言われており,移住人口は2万8,000人または4,250世帯である。7年で返済予定で,発電は15億ドル,灌漑は6億ドルの年便益を見積もっている。

全国的には,2015年までに発電設備を18,000MWから33,000MWに挙げるために300億ドルを必要としている。ダムは洪水で流れ去る貴重な水を貯め,社会経済開発に貢献する。飲料水,灌漑,洪水調節,発電などに便益をもたらす。インダス河流域に建設されている灌漑施設に,直ちに使うことが出来る。タルベラダム(注44)の効果は,最初の計画を大幅に上回ったが,30年間の堆砂などで機能が落ちている。

パキスタンの貯水池容量は世界的に見て少ない。一人当たりで,米国は6,150立方m,オーストラリアは5,000立方m,中国は2,200立方m,に対してパキスタンは僅かに132立方mである。乾燥地帯では洪水の水をダムで持ち越す必要があるが,ナイル河ではアスワンハイダム(注51)で1,000日分,米国の例では900日分,南アフリカのオレンジ河では500日分,インドでは120〜220日分であるが,インダスのパキスタンは僅かに30日分である。乾燥地帯に属する国では,年間流量の40%を貯留する必要があると言われているが,パキスタンでは8%で,運用困難である。もし計画が実現すれば,裸地2,500万エーカーが耕作可能となる。

このような意味から,パキスタンの国民は一致してダム計画を支持している。しかし,ディアマー-バシャダム(注37)は,明日着工しても完成までに8年を要する。この間パキスタン政府は,小規模ダムで対処しようとしている。国家経済委員会(注43)は,小規模ダム314地点の着工を承認している。包蔵水力50,000MWと言われているが,まだ86%が残されたままだ。

しかし,大規模ダムについては,ディアマー-バシャダム(注37)について影響ある政治区域を明確にすること,地元便益を確実に分配すること,移住者に対する完全な補償,地元住民の心情への十分な対策を講ずること,などが必須であるが,パキスタンは水との闘争で十分な力を蓄えている。それは,資源の有効利用への知識,既設設備の有効利用,水使用のための制度の近代化,来る数十年の改革の実施,などである。

何とも,パキスタンは,ディアマー-バシャダム(注37)建設に当たって,まさしく戦争前夜の様相である。これは政府が国民の一致団結を呼びかけた記事と見て良かろう。インドへの挑戦状も,実は大規模ダム建設への,政府の意図的な行動,と見ることも出来るだろう。中国は既に,このディアマー-バシャダム(注37)への協力を約束している。

(注) (33) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081123A.htm,(34) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081124A.htm,(35) Chenab river, (36) Bagilihar dam,(37) Diamer-Basha dam, (38) “Water Vision - 2016”,(39) Kalabagh dam,(40) Akhori dam, (41) Munda,(42) Kurram Tangi dam,(43) National Economic Council (Ecnec),(44) Tarbela Dam,(45) Gilgit,(46) North Western Frontier Province (NWFP) ,(47) Chilas,(48) Karakoram Highway (KKH),(49) Raikot Bridge,(50) MAF,(51) high Aswan Dam reservoir,(52)


●ネパール,民間資本,水力開発促進のための施策を要請

ネパール新生共和国の初代首相になったマオイストのプラチャンダー首相は,演説でも,またインドを訪問したときも,口癖のように,10年間で10,000MWを開発する,と言い続けている。実際にこれが可能なのかどうか,誰もが疑問を持っている。安倍首相が年度内にすべて年金を明らかにする,と言っても誰も信じず,しかし安倍さんはそれを繰り返さざるを得なかった。その様な状態にプラチャンダーが追い込まれませんように。

この月曜日,2008年11月24日,ネパールで,「水力開発展望2020(注52)」,が開催された。この席上で,水力開発への投資を刺激する対策が必要なことが議論された。発言したのは,ネパール商工会議所会頭クマール氏(注53)で,「政府は,水力分野の開発を高い優先度に置いている。しかしこの政策に対しては,潜在的な投資企業に投資を促すための,集中した施策が必要である。」,と政府を促した。

他の参加者からも,この先10年間で10,000MW開発するための政策が明確に見えてこない,と注文がついた。これに対して政府高官は,政府は,水力開発を促すため,効率的に,開発ライセンスを付与する政策を実行中である,と言う答えが返ってきただけである。実際に政府は,既に,13,000MWに相当する開発免許を与えていることは,確認されている。

(注) (52) "Vision 2020: A Vision for Hydropower Growth",(53) Federation of Nepalese Chamber of Commerce and Industries (FNCCI), president Kush Kumar Joshi,(54)

Reference

Pakistan

●081125A Pakistan, pakobserver
パキスタンのバシャダム建設,水危機に有望
Construction of Bhasha Dam is a welcome sign
http://pakobserver.net/200811/25/Articles02.asp

Nepal

●081125B Nepal, nepalnews
ネパール,民間資本,水力開発促進のための施策を要請
Govt must be clear on harnessing hydropower: Private sector
http://www.nepalnews.com/archive/2008/nov/nov25/news05.php

Myanmar

●081125C Myanmar, mathaba
ミャンマーとインド,経済協力の促進を確認
Myanmar, India to cement economic and trade ties
http://mathaba.net/news/?x=612352

India

●081125D India, Economic Times
インド,トルコのガス原油をイスラエル経由で
India, Turkey, Israel to discuss gas pipeline
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/India_Turkey_Israel_to_discuss_gas_pipeline/articleshow/3754646.cms



2008年11月24日分 ー パキスタンの水問題深刻 ー

その昔,ラオスのナムグムダムの上を歩いているときに,ラオスの若いエンジニアーから,「アダチさん,おめでとう。いよいよ日本も社会主義国の仲間入りだね。」,と言って握手を求められて面食らった,丁度,社会党の村山さんが首相になったときである。社会主義国と社会主義政党が政権を握ったこととは,大きな違いなのだが,説明するのは面倒くさかった,有り難う,と言って握手した。あの時,あのラオスの子は,本気で言ったのだろうか,冗談だったのだろうか,今になっても考え込んでしまう。

今日の記事の中で,ネパールの週刊雑誌の編集者で中国の専門家が,中国メディアのインタービューを受けて,中国の経済政策を礼賛しつくし,中国経済こそは,これからのネパールの経済発展の模範だ,と大きく持ち上げている。かって,インドネシアのカラ副大統領も,中国から帰ってきて,中国の方式こそが,経済発展の方程式だ,インドネシアも見習う,と宣言して,石炭火力を全部作ってもらう約束を獲得したことがあった。

このネパールの記者と,私の友人であるラオスのエンジニアートは,同じ勘違いをしている。ネパールはマオイストのプラチャンダーが首相となり,これは共産主義政権だと言われている。ただ,ネパールの記者は,この共産党政権に他の政党が,ゆくゆくは組み込まれて,共産党の一党独裁に進み,中国と同じ道を歩む,と考えているようだ。ネパールの場合は,中国と違って,明日国民がノーと言えば,共産党政権は壊れる。

ただ,このネパールのプラチャンダー政権は,政権につく前のマオイストは,中国は共産主義の堕落したもの,と決めつけて批判してきており,今回政権をとったことで,プラチャンダーは,インドに行く前に北京を訪問して,悪かったと謝って,姿勢を180度転換することで,今日の記者に皮肉られている。でも,そんなことより,中国に,鉄道建設とダム建設を手伝って貰うことの方が,プラチャンダーにとって大切なようだ。

インドを挟んでの,ネパールと,水問題のパキスタン,両国とも,インドの回りをぐるぐる回る衛星だ,と言えば叱られるかな。しかし,昨日は,インドがインダスの上流に建設するシェナブ川(注15)のバギリハールダムで,パキスタン側の痛烈な記事があり,今日はパキスタンの水の専門家が,ワシントンで,パキスタンの水の窮状を訴えた記事を読まされて,すっかりパキスタンに同情しているが,水問題とは何か,考えさせられる。

このパキスタンの専門家の話で,最後に彼女が言っている言葉が,結構面白い。彼女は,パキスタンの水問題は,まず発想の転換をしなければならない,と言って,パンジャブ州とシンディ州の争い,と言う考え方を止めて,水を使っているもの同士の論議に転換しなければならない,と言っている。州同志の争うは,いつまでも続いて,政治家のいい道具にされてしまっている,と言うのである。まさしく水問題は,一旦政治の道具,外交の道具に使われると,解決できない,と言うことは,メコン河も同じ構造だ。専門家は,次のように言っている。

世界の河川でも,上下流の争いの例は沢山あるが,パキスタンも例外ではない。しかしそこには多くの教訓が潜んでいる。下流国が自分で自分を守ることが重要で大切だ。パキスタンの場合は,一般的な方法と新しい発想を組み合わせて解決可能だと思う。今とは違う枠組みを発想して行かなければならないかも知れない。州間の論争でなく水使用者の論争にすべきではないか。その意味では,パンジャブ州(注22)とシンディ州(注32)の論争に,全土の問題を解決するヒントがある。水の供給の問題から水需要の運営法に,重点を移していったらどうか。

このカマール女史(注17)の講演を読み進むうち,各地の水問題は殆どが政治に利用された政治問題ではないか,と言う気になってきた。まあ実態はそうなのだろうけれど,皆さん,一生懸命技術を考えているけれど,結局最後は政治家に利用されて行く。カマール女史(注17)の最後に出てくる言葉,「水は州の間の争いではなく,水を使うものの争いでなくてはならない。」,と言う言葉がそれを示している。

(注) (14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081123A.htm,(15) Chenab river,(16) Karachi,(17) Simi Sadaf Kamal,chairperson of Hissar, an NGO in Karachi,(18) semi-arid,(19) Balochistan,(20) Mangla dam,(21) Tarbela dam,(22) Punjab,(23) Kalabagh dam,(24) Diamer-Bhasha Dam,(25) non-flood methods of cultivation,(26) micro-irrigation strategies,(27) tubewell,(28) on-farm irrigation,(29) Indus delta,(30) Kotri Barrage,(31) Water Accord of 1991,(32) Sindh,(33)


本文

●ネパールは,中国の30年間に亘る改革の経験に学べ

ネパールの最初の政権の仕事は,インド訪問ではなくて,北京訪問だった。2008年8月28日付け本HP(注1)でこのプラチャンダー首相の北京訪問に触れている。「プラチャンダーは,約束したユートピアの実現よりは,戦争を仕掛ける方がどれだけ簡単か,そのうち思い知るだろう。」,と,当時のワシントンストリートジャーナルは書いている。また,2008年9月16日付本HP(注2)では,プラチャンダー首相が,インド訪問に当たって,北京を先に訪問したことの言い訳を,縷々述べている。

今日の記事は,ネパールの中では中国通で通っているネパール週刊誌(注3)のシュレスタ記者(注4)が,中国紙(注5)のインタビューに答えたもので,歯の浮くような中国への憧憬の言葉が連なっているが,まあ,ネパール人の中にこのような親中派がいて,今回の革命に近い毛派の政権奪取の中で,インドと中国をどの様に秤にかけようとしているか,とくと拝見してみたい。シュレスタ記者(注4)は,1991年以来,16回北京を訪問していると言う。この記事は,カトマンズ(注6)で書かれたものである。

シュレスタ記者(注4)は,開口一番,長い内戦の結果,これからネパールの経済改革が始まるが,それは中国が過去30年間に解放への改革’注7)してきた歴史に学びたい,と切り出している。そうして,経済開発の基本は政治的な安定である,として,ネパールの和平達成に,期待を寄せ,今こそ中国に学んで中国のように繁栄を達成したい,としている。勿論,全く中国のコピーでなく,ネパールなりの方法で,と念を押している。

シュレスタ記者(注4)は,共産主義(注8)を礼賛している。誰が共産主義(注8)は廃れたと言っているのか,中国を見ればその答えが分かる,と言っている。そこには,マルクス(注9)やエンゲルス(注10),更には毛沢東(注11)とトショウヘイ(注12)の名前が出てきて,如何にも古めかしい。政権を取ったマオイスト(注13)も,以前は中国を,共産主義のはぐれもの,と蔑んでいたが,今は,中国がマオイスト(注13)の新しい規範になりつつあるのは,如何にもおかしい。180度転換である。

シュレスタ記者(注4)は,どうも勘違いしているのは,このマオイスト(注13)党が,他の政党を巻き込んで大きな政党になる,即ち,一党独裁の携帯に進む,と考えているようにもとれる。なぜ今回,マオイスト(注13)が政権を取れたのか,その民主主義の本質が理解できていないようだ。シュレスタ記者(注4)は,今話題となっているネパールの水力資源開発に,中国の力が大きいだろう,と言っている。一方でインドが主力占める水力開発であるが,少なくとも実施の方法は中国に学ぶべき,と言っている。

またシュレスタ記者(注4)は,雇用の問題について,ネパールの政府内で外国人を見かけたことがあるか,問いかけ,上海では実に118,000人の外国人が働いており,この中には日本人と韓国人が5万人,アメリカ人が1万人,更に100人のインド人が,コンピューターソフトに関わる仕事に就いている,とネパールとの違いを浮き彫りにしている。この中国の変化は,1978年以来の開放政策にある,と指摘している。

シュレスタ記者(注4)は,1978年以来の中国の発展を驚きの眼で描いており,2020年には,中国が世界の先頭立って走っているだろう,と言っている。1978年の中国には,民間企業はゼロであったが,現在の中国では,GDPの30%を民間資本が稼ぎ出しており,また30%は外国資本で,30%が公共部門であることも,シュレスタ記者(注4)の関心を引いている。

このシュレスタ記者(注4)のインタビュー記事を読んで思ったのは,発展途上国にとって中国が如何に羨ましい存在であるか,と言うことと,ネパールの政治形態にへの思い違いが,今後のネパール人達の政治的行動にどの様に出てくるか,興味がある。またこれは危ない点でもあるが,ネパールは中国と違って,国民がマオイスト(注13)に飽きると,いつでも政権政党の首をすげ替えることが出来る,と言う点だ。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080828C,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080916B,(3) Nepali weekly newspaper Jan-Aastha,(4) Shrestha,(5) http://news.xinhuanet.com/english/,(6) Kathmandu,(7) "Reform and Opening-up",(8) communism,(9) Marx,(10) Engels,(11) Mao Zedong,(12) Deng Xiaoping,(13) Communist Party of Nepal (Maoist) (CPN-M) ,(14)

●パキスタンは,5400万人が,安全な水がない

昨日,2008年11月23日付本HP(注14)で,パキスタンのインダス河,特にその支流のシェナブ川(注15)で,インドに追いつめられる焦りを見てきたが,まさに国際河川の上流と下流の国の水への思いを新たにした。まだその思いも冷めないうちの今日,2008年11月24日,今度は和親から発せられたパキスタンの人々の水への声が,記事になっている。ワシントンで開かれたパキスタンの水問題に関する会議で,カラチ(注16)から出席した水問題専門家カマール女史(注17)の発言の内容である。

パキスタンの人口1億6,500万人のうち,5,400万人は安全な飲み水に恵まれていなく,7600万人が公衆衛生の恩恵を受けていない。また,9,800万人が農業に従事し,4,900万人が貧困のレベルにある。国土の92%は,乾燥地帯または準乾燥地帯(注18)である。インダス流域は国土の25%を占め,人口の65%がこのインダス流域に住んでいる。農業生産は,パキスタンのGDPの25%を占めている。

パキスタンは水不足のプレッシャーの中にあり,2035年には完全に欠乏する。灌漑面積の38%は沼地で,14%は塩害に悩まされている。インダス流域には塩が堆積し,帯水層は塩に侵されている。バロチスタン(注19)は塩分で危険な状態で,インダス下流域では,真水は激減している。パキスタンでの州の間の水争いは長く,重要な用途別の議論がなされる時間がなかった。

灌漑と農業に使われる水は97%に達し,僅かに4%が他の目的に使われているに過ぎない。水道と下水の費用はGDPに0.2%であることが分かった。マングラダム(注20)とタルベラダム(注21)の容量の25%が失われているので,灌漑水路の回転に使われるだけの水がない。また,取水堰や水路で失われる水は4分の一に達し,水路で失われる量は,送水量の3分の一に達する。農業で消費するのは25%に過ぎない。上流,中流,下流での水争いは激しく,耕作可能な土地の45%は,常に耕している,準備中の状態である。

非常に費用がかかるが,1〜2カ所のダムは必要だ。しかし,特に,パンジャブ州(注22)と他の3州との問題で,余りにも議論が長すぎる。カラバーダム(注23)は今一時的に棚上げされているが,建設費126億ドル,発電出力,450,000MW,のディアマ-バシャダム(注24)が浮上してきた。もし円滑に行けば,2016年に完成の予定である。便益的には,水力発電が15億ドル,灌漑が6億ドル,の割合だ。

もう少し効率的な維持管理システムを確立できれば,輸送中の水の損失が劇的に減少する。水の政治的要素は,パキスタンではまだ封建的な土地使用に阻害されている。特に,バロチスタン(注19)州では,雨水による灌漑や灌漑の出来ない乾燥地帯が殆どを占めて,他の農業の方法が無視されている。それは,ノンフラッド(注25)や小規模灌漑(注26)の方法である。

インダス流域で,地下水揚水箇所(注27)が50万カ所ほどあるが,地下水灌漑は耕地直接灌漑(注28)の半分を占めている。インダスデルタ(注29)の主要な17の水路のうち生きているのは一つで,他は,海水と淡水の境界で汚染されている。世界で第6位の規模を誇ったマングローブ林は消え去り,コトリ堰(注30)より下流は干上がっている,そこには海水が侵入している状態だ。

パキスタンには,包括的な水資源法がない。それは,水利権,水使用,水の価値,評価の原則,補助金,汚染防止,などを規定すべきものだ。現在は,不均衡や先入観の入り交じったもので,唯一,1991年に制定された,水基本合意書(注31)があるだけである。パンジャブ州(注22)とシンディ州(注32)の環境論争は長い。互いに首尾一貫していないし,政治に利用されている。

世界の河川でも,上下流の争いの例は沢山あるが,パキスタンも例外ではない。しかしそこには多くの教訓が潜んでいる。下流国が自分で自分を守ることが重要で大切だ。パキスタンの場合は,一般的な方法と新しい発想を組み合わせて解決可能だと思う。今とは違う枠組みを発想して行かなければならないかも知れない。州間の論争でなく水使用者の論争にすべきではないか。その意味では,パンジャブ州(注22)とシンディ州(注32)の論争に,全土の問題を解決するヒントがある。水の供給の問題から水需要の運営法に,重点を移していったらどうか。

このカマール女史(注17)の講演を読み進むうち,各地の水問題は殆どが政治に利用された政治問題ではないか,と言う気になってきた。まあ実態はそうなのだろうけれど,皆さん,一生懸命技術を考えているけれど,結局最後は政治家に利用されて行く。カマール女史(注17)の最後に出てくる言葉,「水は州の間の争いではなく,水を使うものの争いでなくてはならない。」,と言う言葉がそれを示している。

(注) (14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081123A.htm,(15) Chenab river,(16) Karachi,(17) Simi Sadaf Kamal,chairperson of Hissar, an NGO in Karachi,(18) semi-arid,(19) Balochistan,(20) Mangla dam,(21) Tarbela dam,(22) Punjab,(23) Kalabagh dam,(24) Diamer-Bhasha Dam,(25) non-flood methods of cultivation,(26) micro-irrigation strategies,(27) tubewell,(28) on-farm irrigation,(29) Indus delta,(30) Kotri Barrage,(31) Water Accord of 1991,(32) Sindh,(33)

●インド,ヒマチャルプラデシュ,小水力開発で,窓口を一元化

インド,最近のヒマチャルプラデシュ州(注33)の動きには,何か注目すべきところがある。2008年10月24日付本HP(注34)で,ADBが8億ドルの融資を決めたが,その対象は再生可能の小水力中心である。また,2008年11月19日付本HP(注35)では,ヒマチャルプラデシュ州(注33)政府が,環境を考慮して水力は流れ込み式のみ,と言っている。実際には大規模ダムにも手を付けているわけだが,州全体の方向は,インドの発電所となるのではなく,自分たちの環境を守ろう,という方向か。

この日曜日,クル地区(注36)の,5MW,トッシュ小水力(注37)の竣工式に出席したヒマチャルプラデシュ州(注33)州政府のドウマル首相(注38)は,その祝辞の中で,小水力開発の促進を図るため,州政府の承認過程を一本化したい,と表明した。ドウマル首相(注38)によれば,このクル地区(注36)で2008年度内に80地点,総計出力,190MWを完成する予定である。

ヒマチャルプラデシュ州(注33)では,最近,高山で河川が氷結して,水力発電所の出力が30%も落ちている。この3年間に,冬の日需要,11月〜3月,が,28億KWhから50億KWhへ増大している。中央政府のプールからの割り当てと他の電源を併せても,30億KWhにしかならない。このため,日20億KWhの不足が生じている。

2006年,ヒマチャルプラデシュ州(注33)政府は,水力開発政策を策定し,インドの水力州となることを決意し,数百の小水力や主要な大規模水力の推進を決定してきた。州内の企業はこれに勇気づけられ,規模が,2〜5MWの小水力を盛んに取り上げて来た。ADB(注39)が先月に発表した8億ドルの資金支援は,全部で808MWの出力に対応したものである。

いずれにしても,ドウマル首相(注38)は,水力開発にのめり込む決意をしている。それが,小水力に及んだところが,他の州と趣を異にする。これはまさしく地元企業への振興策の一環であることは間違いなく,おそらく,州政府自体が,ADB(注39)と直接交渉を行ったものであろう。他の州にも波及するのだろうか。

(注) (33) Himachal Pradesh,(34) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024D.htm,(35) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081119.htm,081119F,(36) Kullu district,(37) Tosh mini-hydro project,(38) Himachal Pradesh Chief Minister Prem Kumar Dhumal,(39) Asian Development Bank,(40)

Reference

Pakistan

●081124A Pakistan, dailytimes
パキスタンは,5400万人が,安全な水がない
54 million Pakistanis without safe drinking water
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C11%5C24%5Cstory_24-11-2008_pg7_28


●081124B Nepal, xinhuanet
ネパールは,中国の30年間に亘る改革の経験に学べ
Experience of China's 30-year reform helpful to Nepal
http://news.xinhuanet.com/english/2008-11/23/content_10400710.htm

India

●081124C India, sindhtoday
ヒマチャルプラデシュ,小水力開発で,窓口を一元化
Himachal Pradesh moots single window clearance for hydro projects
http://www.sindhtoday.net/south-asia/38519.htm



2008年11月23日分 ーベトナムの開発に何か変化が ー

私の郷里は兵庫県の但馬だが,郷里の近くの豊岡市が,数年前に大洪水の被害を受け,全市が水没するという悲惨な災害を味わった。国道を走っていた自動車が水没して逃げられなかった話もあった。良くあの辺りを車で走る機会があるが,まさに70年以上の私の見聞の中でも,豊岡市が水没した,なんて言う話は聞いたことがなかったので驚いた。

学校の友人で,かって建設省の要職にあった友人と話をする機会があり,「豊岡市を水没させるなんてとんでもない,一体円山川の治水をどう考えていたのか」,とやや詰問気味に聞いたことがある。彼は,うーんと唸りながら,実は円山川には,ダムサイトの適当な地形がなかったんだよ,と言っていた。確かに,生野峠から発する円山川,我々はあそこに小さい奥多々良木ダムを造ったが,治水ダムはどこか,と聞かれれば唸らざるを得ない。その様な場所はない。

今,琵琶湖の大戸川ダムで大いに議論が沸き上がっている。計画上の実情は私も分からないが,もし円山川に治水ダムを造ると言えば,多くの人が反対するだろう。豊岡市の水没などというのは,まさに100年か200年に一度,あるかないかの確率だから,誰も深刻には考えないし,ダムには反対する人が多数と考えられる。国土交通省が,本当に洪水への対策として考えているならば,3人の知事にも分かるように,身を犠牲にしても,大阪を救うために,説得する義務があろう。多数決の問題ではない。

メコン河には,知事がいない。まさに近畿の3県の知事に当たるのは,ラオス,タイ,ベトナム,カンボジアの首脳達だろう。全く近畿でないところ,福井県当たりにダムを造って,下流を心配させているのは,中国である。タイもラオスもカンボジアも,中国にはお世話になっているから,上流の中国のダムに正面切って,議論を持ちかける首脳はいない。ところが,ベトナムは別である。

今日の記事は,先日の2008年9月5日付本欄(注1)に,第13回メコン河委員会総会で,メコン河委員会ベトナム国内委員会次長ダオチョントウ氏(注3)が,メコン上流でのダム開発が,下流ベトナムの漁業や農業に,マイナスの影響をもたらしている,と発言したのである。ベトナムと言えばダムが好きで,水力発電所を造りすぎて渇水に見舞われるなど,ダムがとても好きな国であり,今や発展途上で,日本がダムを必要としていた昭和40年代に似ている。

そのベトナムが,中国がオブザーバーとして出席しているメコン総会で,明確に上流ダムへの懸念を示したのである。私も,前に見たときに,あれっという思いに駆られたが,その後,ベトナムの姿勢を窺っていると,何か変化が起こっている,という感じがしてきている。前に副首相が,電力公社などに,余り外国に出て関係ない仕事をするな,と警告したし,先日の記事で,良く読んでいないが,もうベトナムの水力開発は終わりに近づいた,と言う表題があった。今回の発言も,トップの了解なしには出来ないだろう。

中国が,ラオス,ミャンマーまでの進出は良いとしても,昨今のニュースのように,ベトナムの庭先であるカンボジアまでダム開発に出てきてしまうと,カンボジアのポルポトを,世界的な制裁を受けながら大きな犠牲を払って政権を倒したベトナムとしては,黙ってみておれないのではないか。しかも,もし中国がカンボジアの天然ガスを持って帰る,なんて言う事態になると,地域のエネルギーバランスが壊れてしまいかねない。今しばらく,ベトナムの動きを注視したい。

国際河川の水争いは,もっと深刻なのがインダス川である。今日のパキスタン側の主張を読むと,国内唯一の水源が,インドに握られている,と言う実態に,どうしようもない地理的なパキスタンの立場を思ってしまう。パキスタンは,基本的にインダス水条約の改訂を考えているのだが,一旦手にしたインド有利の水の権利は,容易には解決しないだろう。インドだって,ブラマプトラ川,ひいてはガンジス川の水を中国に握られていて,時々このHPにも,将来の水争いの気配を感じているこのごろだから。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080905A,(2) ‘Thanh Nien’ newspaper,(3) deputy secretary general of the Vietnam National Mekong Committee (VNMC), Dao Trong Tu,(4) Nguyen Van Trong, deputy director of the state-run Research Institute for Agriculture,(5) Mekong Delta,(6) Can Tho,(7) Nguyen Tu Be,(8) Hau River,(9) Shutchi and pagasius catfish,(10) Tonle Sap,(11) Nguyen Tan, an agriculture expert at Can Tho’s Department of Agriculture and Rural Development.,(12) Mekong River, (13) Tibet,(14) South China Sea,(15) Lancang river, (16) "environmentally sustainable development",(17) Mekong River Commission,(18) Don Sahong dam,(19) Phnom Penh,(20) Kratie province,(21) Xekamen River,(22) Xekamen 1 dam, (23) Xekamen 3 dam,(24) Luang Prabang,(25) A memorandum of understanding,(26) PetroVietnam Power Co,(27) Vietnam National Mekong Committee,(28) Pham Khoi Nguyen, Minister of Natural Resources and Environment,(29)


本文

●最近のベトナムのダム批判は,どうしたことか

2008年9月5日付本欄(注1)に,第13回メコン河委員会総会の状況を報告しているが,その時私も,ハッとしてベトナム代表の発言に目が停まっていた。ベトナム代表は,メコン上流でのダム開発が,下流ベトナムの漁業や農業に,マイナスの影響をもたらしている,と発言したのである。ベトナムもメコン河のダム開発の重要な一員ではないか,それもNGOならともかく,政府代表の発言だから,私の記事を読む眼が一瞬そこで揺らいだのである。そのままにしていたけれども,今日の記事で,再び思い出すことになった。

メコン河の本流支流でのダム開発に伴う議論が続く中,最近時々,ベトナムの政府系のメディアもこの議論に出てき来ている。ベトナム政府官僚そのものがこの数ヶ月,非常に開放的な発言を繰り返している。2008年9月末,タンニエン紙(注2)は,メコン河委員会ベトナム国内委員会次長ダオチョントウ氏(注3)の談話を載せている。「メコン河及びその支流での水力発電用のダム開発が,例えばベトナムのような国に,予測できないマイナスの結果をもたらす可能性がある。」。

また,第13回メコン河委員会総会(注1)の席上で,ベトナム政府の農業研究所グエンバンチョン次長(注4)は,「ダム建設によって,メコンデルタ(注5)の2,000万人の,漁業と灌漑に依存しているベトナム人が,マイナスの影響を受けている。」,と発言している。このような言葉が,メコン河とその支流でダム建設に重要な役割を持っているベトナムから出てきている。事実ベトナム企業は,多くのダム建設や計画に参画している。

ベトナム南部のカントー(注6)の45歳の漁業に従事するグエントウベさん(注7)は,「ベトナムのお役人が,水力ダムが漁業を駄目にしている,と言うことを声高に発言するのは初めてで,それを聞いて私は大変嬉しい。」,と語っている。グエントウベさん(注7)は若いときからメコン河支流のハウ川(注8)で漁業に従事しているが,この2,3年,目立って漁獲高が減少しているとして,「人々は,上流のダムが,魚たちのベトナムへの旅を阻害しているのだ,と言っている。」,と。

数年前までは,容易に数トンのナマズ類(注9)を捕獲できたが,それは乾期にベトナムの支流に逃げ込んできていたからだ。かって漁業者は,籠の中でナマズを産卵させ育てて輸出する養殖業者に,最良の母親ナマズを売って生活してきた。このような健康な母親ナマズは,今ではベトナム領内の川では捕獲困難で,カンボジアのトンレサップ(注10)まで追いやられたナマズを追っかけている。しかし,トンレサップ(注10)も最近は状況が良くない。カンボジアについては,単に漁獲高が減っている,と言うだけではなくて,漁業の方法そのものにまで変化が起きてきて,網でとるので魚は小さく高値の魚はなくなった。

カントー(注6)市当局農業部門専門家のグエンタン氏(注11)は,「多くの人が,この2,3年,カンボジア,ラオス,ベトナムで洪水期に多くの土地が浸水したのは,メコン川上流の中国のダムの影響だ,と信じている。」,と前提して,「私の関心は,メコンの流砂だ。」,と言っている。「本来は肥沃な土壌を伴って洪水時に下流に栄養を供給していたが,それが今はダムにため込まれている。その結果,農民は汚染の可能性のある化学肥料を使わなければならなくなる。」,と懸念している。

沿岸におよそ6,000万人が生活する4,800km長さのメコン河(注12)は,チベット(注13)に水源を発して,ミャンマー,タイ,カンボジア,ベトナムを経て,南シナ海(注14)に注ぐが,その間,人々は,舟運,食糧,穀物への水,などの恩恵に依存してきた。特に大きな論争は本流沿いのダム開発で,中国のランサン川(注15)を初め,ラオス,カンボジア,タイでの本流ダム計画が,その論争の対象である。

1955年に下流4カ国,カンボジア,ラオス,タイ,ベトナムで,「環境的に持続的な開発(注16)」を目指して,メコン委員会MRC(注17)を発足させ,本流上のダム開発計画は周辺国への通知が必要,との合意書を交わしている。特にメコン流域外への乾期の分流は,全メンバーの同意を必要としている。中国とミャンマーは,メコン委員会MRC(注17)はオブザーバーとして参加しているが,中国は上流ダムはメコンデルタ(注5)の雨期の洪水を軽減して下流に貢献している,と主張している。

最近のエネルギー高騰で,各国はメコン流域内の水力開発に努力している。いろいろな調査があるが,80のプロジェクトが下流域内で動いている,と言われている。そのうち8地点は,本流上の計画で,ラオス内5地点,タイが2地点,カンボジアが1地点である。もっとも論争が激しいのは,コーンの滝(注18)のドンサホンダム(注18)である。このコーンの滝(注18)は,狭い流路の複合体をなして,そのまま国境を越えてカンボジアに流れ込む。ドンサホンダム(注18)はもっとも深い流路を塞ぐが,乾期の4月から5月には,一種類の魚類だけが,この滝を通過する。このため,ドンサホンダム(注18)は,繁殖区域であるトンレサップ(注10)と上流のラオスやタイ領域を,完全に遮断してしまう。

プノンペン(注19)政府も,本流にダム計画を進めようとしている。カンボジア中央のクラティエ(注20)地点で,中国企業が調査を行っている。環境グループは,メコン委員会MRC(注17)自体が,水力開発推進派で占められている,と非難してきた。2007年,175の環境及び市民運動グループが共同で,メコン委員会MRC(注17)に手紙を書き,「メコン下流域でのダム開発が深刻な環境及び経済的な影響を与えているのに,メコン委員会MRC(注17)は沈黙しているだけだ。」,と攻撃している。3月には,事務局に押しかけている。

ベトナムであるが,確実な経済成長で電力需要が増大している。中国とラオスから電力を輸入しているが,国内でも多くの水力を開発しており,ラオスやカンボジアのプロジェクトにも参入している。メコン支流のセカマン川(注21)でセカマン第1ダム(注22),セカマン第3ダム(注23)を建設中である。また,2007年10月中に覚書(注25)が交わされたルワンプラバン(注24)近傍の1410MW規模の発電ダムには,ペトロベトナム(注26)が参加している。

メコン河委員会ベトナム国内委員会次長ダオチョントウ氏(注3)は,「中国がメコン委員会MRC(注17)に加盟していないので,今のところ我々は,中国の発電ダムとの戦いには成功していない。しかし,メコン川本流で多くのダム計画が動いているが,VNMC(注27)は大規模ダムのもたらす悪影響に警報を鳴らす権利を確保している。上下流の大規模ダムが多すぎると,ベトナムの漁業や農業が打撃を受けることは明白である。」,と明確に述べている。

2008年9月のVNMC(注27)創立30周年式典で,ファムコイグエン水資源環境大臣(注28)は,次のように演説している。「VNMC(注27)の役割とは,ベトナムの権利と受けるべき便益を確保し,メコン上流で実施さっる開発事業のマイナス影響を減ずる努力にある。」。

誠に複雑極まるベトナムの立場であるが,私は最近,ベトナムに何か変化が起こっているという予感はある。副首相が,余り外国の関係のないダムプロジェクトに手を出すな,とはやるEVNなどにブレーキをかけているし,つい先日は,ベトナムのダム開発は殆ど終わった,と宣言しているし,また今日の記事にもあるとおり,はっきりとメコン下流国の立場から,上流のダム開発に警告を鳴らしている。私は中国が,前後の見境なく,ミャンマー,ラオス,更にはカンボジアまでダム造りに出かけてくることに,反発をするための下準備ではないか,と感じている。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080905A,(2) ‘Thanh Nien’ newspaper,(3) deputy secretary general of the Vietnam National Mekong Committee (VNMC), Dao Trong Tu,(4) Nguyen Van Trong, deputy director of the state-run Research Institute for Agriculture,(5) Mekong Delta,(6) Can Tho,(7) Nguyen Tu Be,(8) Hau River,(9) Shutchi and pagasius catfish,(10) Tonle Sap,(11) Nguyen Tan, an agriculture expert at Can Tho’s Department of Agriculture and Rural Development.,(12) Mekong River, (13) Tibet,(14) South China Sea,(15) Lancang river, (16) "environmentally sustainable development",(17) Mekong River Commission,(18) Don Sahong dam,(19) Phnom Penh,(20) Kratie province,(21) Xekamen River,(22) Xekamen 1 dam, (23) Xekamen 3 dam,(24) Luang Prabang,(25) A memorandum of understanding,(26) PetroVietnam Power Co,(27) Vietnam National Mekong Committee,(28) Pham Khoi Nguyen, Minister of Natural Resources and Environment,(29)

●インドの2012年までの電源開発目標は,92,000MW

インドの第11次五カ年計画(注29)の中の新規電源開発量が変更されている,と言う情報があったが,これが報道としては正式なものだ。従来の,新規電源,78,577MWも,まさしく絵に描いた餅,と言われ,電力大臣が何度も国会に呼び出されて,出来るわけがない,と追求されているのに,これを増やして,92,000MWにすると言う。言い分を聞いてみよう。

インド政府は,2007〜2012年の第11次五カ年計画(注29)で,国全体の需要の伸びに併せて,78,530MWの新規電源を開発する,として,途中でこれを,78,577MWに変更している。今回,再度これを修正し,92,000MWとすると発表した。この内訳は,水力が,16,553MW,火力が,58,644MW,原子力が,3,380MWである。電力セクターを調整するCEA(注30)によると,第11次五カ年計画(注29)分として,2009年8月までに,11,404MWが運転開始するという。その内訳は,火力,8472MW,水力,2,712MW,原子力,220MWである。

現時点に於ける全国の発電設備は,145,554MWで,92,892MWが火力,36,347MWが水力,4,120MWが原子力,11,194MWが再生可能エネルギーである。最初の五カ年計画の78,557MWのうち,10,760MWが民間資本,27,952MWが州政府,39865MWがCEA(注30),即ち中央機関,という計画であった。2008〜2009年の新規電源は,7,530MWと推定されていた。このうち,2,141MWは既に完成しており,残りの5,389MWは,2009年3月までに完成する。

現在工事中でこの財政年度末(2009年3月か)までに完成するプロジェクトは次の通り。NTPC(注31)のカハルガオン(注32)の500MW火力,トレント(注32)のグジャラート州(注33),スゲン(注34)の752MW火力,オークウエル(注35)によるアンデラプラデッシュ州(注36),コナシーマ(注37)の445MW火力,ガウタミ(注38)によるアンデラプラデッシュ州(注36)の464MW火力,原子力公団(注39)によるラジャスタン州(注41)の第5,6号機とカルナタカ州(注40)のカイガ(注42)の第4号機,各原子力である。

現在の世界金融危機も,プロジェクトの資金調達に影響を与えているが,インド政府は,資金調達を終えたものについては,政府保証を与える方向で検討しているが,上に示したプロジェクトは順調に進んでいる。常設連携委員会(注43)は,2012年までに完成する予定の35,000MWについて,最近,石炭供給連携を承認した。計画中の全部が完成した暁には,2012年に於ける全国設備は,237,554MWに達するはずである。

この92,000MW新規開発案は,意欲的なもので,2002〜2007年の第10次五カ年計画(注44)での実績の4倍で,この第10次五カ年計画(注44)で達成されなかった分は,2007〜2012年の第11次五カ年計画(注29)に引き継がれている。政府の,電力需給を満たす構想は,まさにインドの成長の重要な媒体となるだろう。この記事は,IIR(注44)によって書かれたものである。

随分国会で電力大臣が追及されていたが,国会も最近は,見守るしかない,ということなのか,静かである。実際,過去の実績の4倍の速度で電源を開発して行くことは,非常に難しい目標であることは,全人が分かっているはずだ。まだ,石炭火力の大気汚染も余り問題になっていないし,ダムの環境問題も,全体的には静かである。でもこの5年間のインド国民の意識は,ドラスティックに変わる可能性があるし,ADBが指摘しているように資金調達の問題があるし,それと機器製造能力の問題もある。また,米印原子力協定の結果は反映されていないだろう。

(注) (29) Eleventh Five-Year Plan (2007-12),(30) Central Electricity Authority,(31) NTPC, (32) Kahalgaon,(32) Torrent Power Limited,(33) Gujarat,(34) Sugen,(35) Oakwell Power Limited,(36) Andhra Pradesh,(37) Konaseema,(38) Gautami Power Private Limited,(39) Nuclear Power Corporation of India Limited,(40) Karnataka,(41) Rajasthan,(42) Kaiga,(43) Standing Linkage Committee of the Indian government,(44) Industrial Info Resources,(45)


●パキスタン,インダスの水問題,シェナブ川の実情を反映せよ

インダス川の水争いについては,相当前から関心を持ってきた。1998年ぐらいに書いた私のメモも本HPに残っている(注46)。実際に,機会があって,パキスタンのインダス川の畔にも立って見たし,パキスタン側の重要な構造物であるタルベラダムも訪ねる機会があった。また,ペシャワールから北に入り込んで,英国植民地時代の実に立派な灌漑システムを見てきた。今日は,パキスタンが,インダスの水に関して,思いの丈を記事ぶっつけている。特に,ザルダニ大統領になってから,パキスタンの姿勢が強硬になってきた。

1947年に,インドとパキスタンの分割が行われた直後,水問題に関してインドとパキスタンは厳しい緊張状態に入った。インドは,パキスタンの主要な農地の広がるパンジャブ(注47)平野に対して,東の三つの支流,ラビ川(注48),ビース川(注49),ステルジュ川(注50)の水を止めると脅かした。この脅迫は,農業経済に依存するパキスタンを窒息させることを意味した。インドは事実それを実効することが可能であった。何となれば,インダス源流の五つの川,ジェルム川(注51),シェナブ川(注52),ラビ川(注48),ビース川(注49),ステルジュ川(注50)が,すべてインド占領カシミールIOK(注53)に入っていたからである。

数十年の論争の後,世界銀行が中に入って,チームを組み,インドとパキスタン両国に納得できる解決方法を探った。非常に困難な仕事であったが,その後,紛争の度に持ち出される有名なインダス水条約(注54)が,1960年に成立した。合意の基礎は,インドはラビ川(注48),ビース川(注49),ステルジュ川(注50)を自由にコントロールし,パキスタンは,インダス本流とジェルム川(注51),シェナブ川(注52)の権利を持つ,というものであった。

ところが,これにパキスタン側で火がついた。それは,パキスタン側に属する水は75%を占めるが,灌漑面積はパキスタン側が90%だと言うことだ。これが現在も尾を引いていて,バギリハールダム(注55),サラールダム(注56),ニールム-ジェルム水力(注57)の紛争の種となっているのである。もっとも深刻なのは,シェナブ川(注52)のバギリハールダム(注55)である。最初は,バギリハールダム(注55)は流れ込み式(注57)とインド側は言って,2008年10月10日に,インド占領カシミールIOK(注53)のジャム(注59)から150kmのシェナブ川(注52)に,バギリハール水力発電所(注60)が完成した。

バギリハール水力発電所(注60)は,設備出力900MW,工事費10億ドルであるが,パキスタン側の拒否の理由は,シェナブ川(注52)がパキスタンの権利であるにもかかわらず,インドが流れ込み式と称して,インダス水条約(注54)を無視したこと,設計がインドが水を自由に出来るようになって約束に手ぬるいこと,パキスタンとの間でことあるときはインドが自由に裁量できること,地滑りの頻発でダムが不安定なこと,ちっきが地震地帯であること,560万エーカーの水を取り上げたこと,の6点である。

今回の事態は,1960年以前にパキスタンが苦境に陥った時を思い出させる。インドはインダス水条約(注54)に違反して,シェナブ川(注52)の水をバギリハールダム(注55)によって自由にし,パキスタンを食糧不足に陥らせる可能性を秘めている。パキスタンの立場は,ピーク時に,シアルコット(注61)付近のマララ堰(注62)において,毎秒55,000トンの水を確保することだが,今年,2008年は,毎秒22,000トンしかなく,収穫に影響を与えた。

パキスタンのインダス委員会首席アリシャー氏(注62)の要求は簡単で,不足分の被害を補償してくれというものだが,インドのインダス委員会首席アランナタン氏(注63)は,このバギリハールダム(注55)湛水中の不足に対しての補償要求を拒否している。パキスタンは,収支を図るため海外資金を76億ドル借り入れする状況で,農民は水不足で困窮している。もうこれ以上,パキスタンは水で我慢は出来ない。2025年までには食糧カットが必要になってきている。パキスタンの水問題は,次の諸点だ。

世界でももっとも水不足が激しく,1960年には一人当たり年間5,650トンあったものが,2006年時点では1,200トンに激減している。パキスタンはインダス以外に水源はない,2100万エーカーが未灌漑である。インダスの水量,土砂,塩害に対して,防御の手がない。インダス水条約(注54)の結果,パキスタンは水インフラに莫大な投資を強いられた。毎年,1,500万トンもの塩が蓄積される。気候変動の影響,氷河融解,モンスーンなど,90%の水が影響を受ける。

多くの科学者が,水問題を示唆している。パキスタンは全力で戦っている。有名な科学者ピアス氏(注64)の,「川が干上がるとき」(注65)は,パキスタンの将来を暗示している。パキスタンは,将来,西の水源に依存する必要があるが,莫大なインフラ投資が必要である。またこのような分流は,パキスタンの文化を破壊することにも繋がる。インドとパキスタンの緊張は,日に日に高まっているが,数年前のCBM(注66)に希望を持っている。パキスタンが受けた被害への補償については,国連などの仲介が必要だろう。

インダス水条約(注54)の見直しに当たっては,条約後に建設されたダムなどの問題,ストレジ渓谷(注67)の洪水の問題,シェナブ川(注52)の渇水問題,インダスデルタ(注68)の渇水による荒廃の問題,などを考慮する必要がある。インドは,広域な環境を考慮して,インダスデルタ(注68)へ水を供給する必要がある。インドとパキスタンは,過去に,シルクリーク問題(注69)で希望を得たように,新しい条約の改定に,共同して前向きに対処できるだろう。

それにしても,激しい記事で,改めてインドとパキスタンの,インダス川の水争いの深刻さを実感する。パキスタンに新しい政権が誕生したことも,一つの緊迫の原因かと思う。インド側は,穏やかにことを運ぼうとしている,これはインドのシン首相の人柄とも思うが,私は,パキスタンの新任,ザルダニ大統領が,インドとの間のある程度の緊張を保持したい,と思っていると思う。それは,今難しい国内を統一して行かなければならないし,また今回は厳しい金融危機の煽りを受けている。

(注) (45) http://my.reset.jp/~adachihayao/power.htm#power06,(47) Punjab,(48) Ravi river,(49) Beas river, (50) Sutlej river, (51) Jhelum river, (52) Chenab river, (53) Indian Occupied Kashmir,(54) Indus Water Treaty-1960 (IWT),(55) Baglihar dam,(56) Salal dam,(57) Neelum-Jhelum Hydropower Project,(58) run-of-the-water,(59) Jammu,(60) Baglihar hydro electric power project,(61) Sialkot,(62) Marala headwork,(62) Pakistan Indus water commissioner Mr Jamaat Ali Shah,(63) Indian water commissioner, Mr. G. Arangnathan,(64) Fred Pearce,(65) “When the Rivers Run Dry: Journeys into the Heart of the World’s Water Crisis”,(66) Confidence Building Measures (CBMs),(67) Sutlej valley,(68) Indus delta,(69) Sir Creek issue,(70)


Reference

Vietnam

●081122A Vietnam, psnews
最近のベトナムのダム批判は,どうしたことか
Rare Criticism of Dams Surface
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=44797

Pakistan

●081123A Pakistan, pakobserver
インダスの水問題,シェナブ川の実情を反映せよ
Reflecting Chenab water issue
http://pakobserver.net/200811/23/Articles02.asp

India

●081122C India, pump-zone
インドの2012年までの電源開発目標は,92,000MW
India Targeting 92,000-MW Power Addition by 2012
http://www.pump-zone.com/global-news/global-news/india-targeting-92000-mw-power-addition-by-2012.html


2008年11月22日分 ー インドネシアの石炭探査投資を ー

ペルーで開かれているAPEC首脳会議の大きなポイントは,WTO妥結に向けて,再び動き出そうとする雰囲気,それがすべてという気もする。ブッシュ大統領が,一人で頑張っている感もあるが,元々,米国に対して中国とインドの対立で前回壊れたのだから,ブッシュ大統領が年内,と言っているのは,余程の覚悟を決めたのか。

WTOの決裂は,日本なども農業関係など,良かったと思っている人たちも多いいが,皆が自由貿易を目指して行くことが,世界経済の発展のために必要なら,中途半端な取り組みは,かえって良くないと思う。日本の食糧自給率をある線で確保する,それはどの線で確保すればよいのだろうか。考えかけるときりがない。私も,良く書いているが,石油ガス石炭が入らなかったら,水力と原子力だけで4,5年は生きよう,そうするとどの様な生活になるのか,一度イメージしてみてはどうか。

戦争中のことを考えればよいのだろう。少なくとも今の水力と原子力を,うまく維持しながら生活すると,あの戦争中の生活よりは,かなり上等なのではないか。だから,ダム撤去なんて言うのはとんでもないと思う。でも,そう言うことを考えながら,世界はWTOの理想に向かって完全分業を目指すわけだから,日本には何が残るのだろうか。人間と原子力とダムと道路しか残らない?

そう言う意味で,インドネシアは,石油がどんどん底をついて,最近では石炭を頼りにしてきている。今日の記事では,大手石炭企業ブミ(注2)の株価が年初から81%という暴落を演じている。世界の石炭埋蔵量は,8,470億トン,133年分で,インドネシアは930億トンが残っていて,アジア最大の石炭輸出国,日本を初め多くのアジア諸国の発電計画に大きな影響を与えている。

今日の記事によると,石炭価格が2008年7月のピーク値トン192ドルから,現在の103ドルまで,46%下げたことも,株価押し下げの原因になっている。しかし記事の筆者は,石炭の経済性は揺るがないとし,百万Btu当たりに換算すると,石炭は1〜2ドルに対し,石油ガスは6〜12ドルで,5世代ぐらいまであるから,石炭の優位性は動かない,としている。

インドネシアの石炭は,スマトラ(注4)とカリマンタン(注5)に多いいが,今日の記事は,探査の重要性を強調している。
チャン氏(注1)は,インドネシアの石炭は,短期的には株の値下がり,探査への投資減少,と危機的だが,将来の見通しを明らかにして投資を呼び込めれば,投資企業にとって非常に魅力的である,と結んでいる。今日の数字を見ると,世界の石炭包蔵の10%強をインドネシアが持って入り,私の言う,今しばらく人類は石炭に頼らなければならない,という主張の中で,インドネシア石炭の果たす役割は,大きいと思う。

(注) (1) David Chang , Analyst ,(2) Bumi Resources ,(3) Bakrie and Brothers ,(4) Sumatra,(5) Kalimantan,(6) Ministry of Energy & Mineral Resources,(7) Ministry of Environment,(8) Investment Coordinating Board,(9) Ministry of Finance,(10) Ministry of Communication and Regional Governments,(11)


本文

●インドネシアの石炭株暴落,石炭価格の暴落の影響

インドネシアの株式市場が暴落している,2008年初めから50%の下げで,アジア最悪である。この記事は,解説者のチャン氏(注1)が書いたものである。世界的な金融危機が,消費に与えた影響が大きい。その中でも,石炭企業ブミ(注2)はひどく81%も暴落,他の石炭関連企業も48〜54%下げている。主たる理由は,石炭価格が2008年7月のピーク値トン192ドルから,現在の103ドルまで,46%下げたことだ。

石炭企業ブミ(注2)の株式に投資家の信頼を失わせたのは,その株式を保有していたバクリエブラザーズ(注3)が,35%の持ち合いを売却しようとしたことによる。チャン氏(注1)は,これはインドネシア石炭の短期的な沈滞減少だと思っている。それは,インドネシア石炭が,まだまだ重要だという認識に基づく。石炭は,世界中で,発電,製鉄,セメントなどに広く使われ,発電分野では,石炭が40%を占め,見通し可能な将来では,石炭がまだ発展し続けると,信じられるからだ。

インドネシア石炭は,アジア最大で,またアジアは2007年において世界の石炭の60%を消費しており,2010年には64%となると予想されている。インドネシアは世界最大の石炭輸出国である。炭素汚染が問題になっているが,石炭の経済性は揺るがない。百万Btu当たりに換算すると,石炭は1〜2ドルに対し,石油ガスは6〜12ドルである。石炭の埋蔵量は世界で8,470億トンであり,次の133年間,次の5〜6世代に十分である。

インドネシアの石炭埋蔵量は930億トンである。インドネシアの石炭はスマトラ(注4)とカリマンタン(注5)に分布している。インドネシアの石炭は,硫黄分と窒素酸化物が少なく,廃棄部分も少なく,設備や灰捨て場の費用を節約できる。米国や欧州の規制にも有利である。それにインドネシアの石炭は露天掘りが多く,経済的である。国内的にも,既設ディーゼル,7,753MWを石炭に変える計画が進み,また2009〜2010年に新雪石炭火力10,000MWの準備が進んでいる。

インドネシアの石炭の探査への外資の投資が進まないのは,不確定な規制措置と法制度である。インドネシアの石炭がこのまま推移すると,石油のように石炭輸入国に陥る可能性がある。インドネシアの石炭は,エネルギー鉱物資源省(注6),環境省(注7),投資調整庁(注8),財務省(注9),通信自治省(注10)の多くの省庁で管理されていることが弊害だ。これが除かれれば,インドネシアの石炭産業は,極めて有望だ。

チャン氏(注1)は,インドネシアの石炭は,短期的には株の値下がり,探査への投資減少,と危機的だが,将来の見通しを明らかにして投資を呼び込めれば,投資企業にとって非常に魅力的である,と結んでいる。今日の数字を見ると,世界の石炭包蔵の10%強をインドネシアが持って入り,私の言う,今しばらく人類は石炭に頼らなければならない,という主張の中で,インドネシア石炭の果たす役割は,大きいと思う。

(注) (1) David Chang , Analyst ,(2) Bumi Resources ,(3) Bakrie and Brothers ,(4) Sumatra,(5) Kalimantan,(6) Ministry of Energy & Mineral Resources,(7) Ministry of Environment,(8) Investment Coordinating Board,(9) Ministry of Finance,(10) Ministry of Communication and Regional Governments,(11)

●中国が,ミャンマーを原油の中継基地として使おうとしている

中国を中心とした外国勢力のミャンマーのエネルギー資源開発については,2008年11月1日付本欄(注11)で,中国紙が総括して,国際的な争奪戦の様相を示してきたことを匂わせている。また,2008年11月17日付け本欄(注2)では,新たに15のダムが計画に上がってきたことを伝えた。この活動をミャンマーにとってチャンスと見るか,外国の収奪と見るか,大いに意見の分かれるところである,と書いている。今日の記事は,ミャンマー紙イラワジ(注13)が,各国の動きに批判的な記事を載せている。

中国が,パイプラインによってミャンマーを,中東やアフリカからの原油ガス中継地として使うという意図を明らかにしてから,ミャンマーに於ける人権問題が,再びクローズアップされてきた。中国はメディアを通じて,雲南省高官の談話として,15億ドルのパイプライン建設は,この6ヶ月内に着工するだろう,と報じている。皮肉にも,世界の金融危機と時を同じくするが,先般中国政府が発表した6000億ドルの緊急対策に含まれると考える可能性もあると言うことだ。

情報として,中国は,アラカン沿岸(注16),ラムリー島(注14)のチャウクピュー(注15)に,スーパータンカーを接岸できる高深度港湾を建設中,と言われている。このことは,中国メディアも,マラッカ海峡(注17)ノミに頼り必要のないルートをミャンマーが提供してくれる,との表現で,これを認めている。また,中国国有巨大エネルギー企業CNPC(注18)は,原油パイプラインとは別に,10億ドルで,ミャンマーのガスを運ぶパイプラインを敷設する予定である。

国際人権団体は,これらのパイプラインの影響を心配している。シュエガス運動のウオンアウン氏(注21)は,アラカン州(注19)やシャン州(注20)に於ける人権が侵される,それは,軍部が大部隊を派遣して治安維持を名目に,強制的な立ち退きや労働などを,強いる可能性がある,と心配している。また問題は,韓国のダイウー(注22)の動きである。ダイウー(注22)はCNPC(注18)のパートナーで,シュエガス田(注23)の主開発企業である。米国籍の地球人権ERIのスミス氏(注24)は,韓国がOECD(注25)のメンバー国でありながら,この人権問題の一端の責任を負うことに懸念を示している。

専門家ワタナ氏(注26)は,これらのパイプラインは,ミャンマーの石油ガス公社(注27)が進めていると公表されているが,実質は中国のCNPC(注18)が進めているとの理解だ,と言っている。中国が,自国のエネルギー確保のため,ミャンマーを使っている,との認識である。また,ダムの問題についても,現在進行中の22のダムに加え,新たに15のダムの計画を追加している。これは,現在進行中の,16,500MWの上に新たに,14,000MWを加えることとなる。

専門家のレイノルズ氏(注28)は,これらの発電所が全部動くと,タイの現在の容量を超えてしまう,と言っている。ミャンマーの現在の電力は,17,00MWにしか過ぎない。タイの現在の設備は,26,000MWであるが,結局,ミャンマーの電力は,インドや中国に送られることになるだろう。関連する中国の企業は,YMEIE(注29),FIGC(注30),GWRI(注31)で,CPIC(注32)に至っては,一社で7つのダムを建設中である。

またこの記事では,日本の自動車メーカーもやり玉に挙がっており,日産と鈴木が,ミャンマーの軍関係企業FMI(注33)と結んで,車の組み立てとオートバイの生産に携わっている。ピックアップで,現在の月産170台を,2009年には1,200台に上がると,FMI(注33)は言っている。鈴木のミャンマー産業省(注34)との契約は,更に将来20年間に更新されている。工場は,南ダゴン工業団地(注35)にある。ロンドンのロイドも,ミャンマー軍事政権と結びついている,として非難されている。

この報告にあるように,経済的な結びつきを軍事政権との間で深めているのは,中国だけではない。しかし,ミャンマーの水力資源の開発は,おそらく,今しかない,と言うことは,皆よく分かっていると思う。政権が民主化されたときに,これらの資産はどうなるのであろうか。中国が,莫大な資金の償還を要求することになるのだろうか。しかし中国は,少なくとも20年は軍事政権が続く,と読まなければ,これだけの投資は出来ないだろう。

(注) (11) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081101A.htmm,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081117C.htm,(13) http://www.irrawaddy.org/,(14) Ramree Island,(15) Kyaukphyu,(16) Arakan coast,(17) Strait of Malacca,(18) China National Petroleum Corp,(19) Arakan atate,(20) Shan state,(21) Wong Aung, coordinator of the Shwe Gas Movement,(22) Daewoo International,(23) Shwe Gas Project,(24) Matthew F Smith of the US-based EarthRights International,(25) Organization for Economic Cooperation and Development,(26) regional energy industries analyst-consultant Sar Watana,(27) Myanmar Oil and Gas Enterprise,(28) energy consultant Collin Reynolds in Bangkok,(2) Yunnan Machinery and Equipment Import and Export Co,(30) Farsighted Investment Group Co,(31) Gold Water Resources Limited,(32) China Power Investment Corporation,(33) First Myanmar Investment,(34) Ministry of Industry (2),(35) South Dagon Industrial Zone in Rangoon,(36)

●中国の電力分野,2000〜2008年,報告書刊行

2008年11発8日付本欄(注36)では,2008年の年次報告書が刊行されている。今回は,2000〜2008年の9年間の電力投資に関する報告書(注37)と考えられる。2007年末時点の設備出力は,713,000MWである。2008年は順調で,電力需要は年率13%の伸びが続く。しかし,小規模老朽発電所の閉鎖や投資の抑制で,2008年の設備の伸びは,11.8%に止まるだろう。

将来10年間の電力産業は,工業化と都市化が進んで,年率平均6.6〜7.0%の伸びを続け,それに見合う投資が必要だ。投資の方向は,水力,風力,原子力の伸びが期待されるが,やはり石炭火力への投資の第一位を占める。この構造はしばらく長く続くだろう。現在の発電量は,水力が13.88%,原子力が1.94%,風力が0.26%に対して,石炭火力は78%を占めていて,70%まで下がる2020年までは同じ傾向だろう。

これらの電源の投資を分析すると,資産負債比(注38)はこれらの電源で変わりはないが,全出力に対するコスト比と便益比では,水力と原子力が全平均より優れている。特に原子力の便益比(注39)は30%を示し,石炭火力の30%,全平均の10%に比べて,かなり高い。この報告書(注37)は,上場の56の電力企業の,2000〜2008年の投資実績を分析したもので,中国電力産業全体の傾向と投資の特徴を分析している。

投資額について言えば,広東省(注40),15.33%,内モンゴル自治区(注41),13.84%,上海(注42)10.53%,で,これに四川省(注43),北京(注44)が続く。電源種別では,火力が,2163.8億元,水力が,977.3億元,熱電共同(注45)が,485.8億元であり,これにガス探査と石炭鉱山探査への投資が続く。この報告書では,56の上場企業が調査の対象となったが,例として,広東電力開発公司(注46)を見て見ると,年間の投資額が,15〜25億元の間である。

また,広東電力開発公司(注46)は,金融業(注47,48)にも進出している。また,風力発電の進展に伴い,シベイシャン風力プロジェクト(注49),100MWに30%出資して,既に発電を開始している。また,風力発電プロジェクト調査を,広東省(注40)の湛江(注50)で開始している。

(注) (36) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081108C.htm,(37) Investment Report of China Electric Power Industry 2000 to 2008,(38) asset-liability ratio,(39) ratio of profit to gross output value,(40) Guangdong province,(41) Inner Mongolia Autonomous Region,(42) Shanghai,(43) Sichuan,(44) Beijing,(45) thermoelectricity,(46) Guangdong Electric Power Development Co., Ltd.,(47) Guangdong Yuedian Finance Co. Ltd.,(48) Sunshine Insurance Group Corp. Ltd.,(49) Shibeishan Wind Power Project,(50) Zhanjiang,(51)

●中国の怒川のダム開発,グリーンビート

サルウイーン河(注52)上流,中国領内の怒川(注53)の13のダム計画については,既に各所で報告されているが,この記事でビデオがユーチューブ(注54)で公開されている。グリーンビート(注51)が撮影したものだ。余り写真は良くないが,初めて見る怒川(注53)の光景である。是非とも見て下さい(注55)。中国にもこのようなグリーンビート(注51)と言う環境団体があるのだ。控えめながら,怒川(注53)のダム開発に於ける環境被害を心配している。

2004年,中国でもっとも生物多様性の高い怒川(注53)で,13のダム計画が発表された。全部のダムの発電出力は,三峡ダムの発電をこすもので,この電力は中国南西部で消費される計画である。2004年に,温家宝首相(注56)が,環境団体や外国の声で,一時中断の決定を行った。2005年の後半にいたって,幾つかの規模を小さくしたプロジェクトが提案され,これがダム建設の始まりを意味した。環境に悪影響を与えるであろうダム建設以外で,この地域に電力をもたらすことは考えられない。

雲南省の怒川(注53)の情報は,「中国河川プロジェクト(注58)」,に詳しい。怒川(注53)の全長は3,059km,水源は,キンハイ-チベット高原(注59)のタングラ山(注60)に発し,インド洋の北東端に流れ込む。このうち約700kmは,「東洋のグランドキャニオン(注61)」,と呼ばれる峡谷をなす。流れは,ガオリゴン山(注62)に当たって西に方向を変え,ビルオ雪山(注63)とメイリ雪山(注64)で東に変わるが,その間,4,500mの深さの渓谷をなしている。

怒川(注53)は,中国の雲南省を流れ下って,ミャンマー東部に入り,サルウイーン河(注52)と呼ばれる。サルウイーン河(注52)はところにより,タイとミャンマーの国境をなしながら,最後はカイン州(注65)のアンダマン海(注66)に注ぐ。13のダム計画で少数民族の多数の部落が水没するが,自然及び社会的環境への影響が懸念されている。

(注) (51) Green Beat,(52) Salween River,(53) Nu River,(54) Tou Tube,(55) http://www.chinasgreenbeat.com/blog/,(56) Wen Jiabao,(58) China River Project,(59) Qinghai-Tibet plateau,(60) Tangula Mountain,(61) “Grand Canyon of the East.”,(62) Gao Li Gong Shan,(63) Bi Luo Snow Mountain,(64) Mei Li Snow Mountain Range,(65) Kayin State,(66) Andaman Sea,(67)

Reference

Vietnam

●081122A Vietnam, psnews
最近のベトナムのダム批判は,どうしたことか
Rare Criticism of Dams Surface
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=44797

Myanmar

●081122B Myanmar, irrawaddy
中国が,ミャンマーを原油の中継基地として使おうとしている
China’s Burma Oil Conduit an ‘Abuse Threat’
http://www.irrawaddy.org/article.php?art_id=14673

India

●081122C India, pump-zone
インドの2012年までの電源開発目標は,92,000MW
India Targeting 92,000-MW Power Addition by 2012
http://www.pump-zone.com/global-news/global-news/india-targeting-92000-mw-power-addition-by-2012.html

Indonesia

●081122D Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアの石炭株暴落,石炭価格の暴落の影響
Power of the future despite looking black now
http://www.thejakartapost.com/news/2008/11/21/coal-power-future-despite-looking-black-now.html

China

●081122E China, companiesandmarkets
中国の電力分野,2000〜2008年,報告書刊行
Investment Report of China Electric Power Industry 2000 to 2008
http://www.live-pr.com/en/investment-report-of-china-electric-power-r1048231550.htm
●081122F China, chinadigitaltimes
中国の怒川のダム開発,グリーンビート
Hydropower on the Nu River
http://chinadigitaltimes.net/2008/11/hydropower-on-the-nu-river/



2008年11月20日分 ー 中国雲南省がコルカタ訪問 ー

天野山の測量作業で帰りが遅くなって,更新が一日遅れになってしまいました。また今日は,フィリッピンのオッサンに梅田まで引っ張り出されて,更に遅れてしまった。土曜日の梅田は,大変な賑わいである。紀伊国屋の店頭,新刊図書には,オバマ大統領候補に関する書籍が並んでいた。伝記などは,他の大統領より,相当面白いのではないか,と思いますね。自分で犬に例えて,雑種だ,と,ちょっとはずれると大騒動になりそうな微妙な発言をしていたから。

梅田阪急の大きなテレビ画面に眼が行くと,GM幹部の専用機が,何処そこまで行くにの,乗り合い飛行機であれば8万円で行くのに,自家用ジェットを飛ばすから190万円かかっている,その飛行機を売り飛ばさなければ支援をしない,とか,一部の取締役が破産を検討している,破産をしなければ,政府の資金注入の法案が,議会が通ることは困難だ,と言っている。日本の銀行への公的資金の注入のときには,どの程度の罰則があったのか,もう国民は全部忘れてしまったようだ。

自動車産業が,衰退の方向に行くのかどうか。一昨日夜,昨日の測量作業とか,電力の旧友達が集まっていたので,自動車産業の行く先,電気自動車なのか,燃料電池なのか,いずれにしても電力に帰ってくる,と言う話をしていて,電気自動車で全部,電力に跳ね返ったらKWは幾らになるのか,目算していた。調べてみると約8,000万台ですね。一つ1KWとすると,8,,000万KW,でかい。と思ったけれど,自動車の熱効率は一桁台%らしいですね。電気的な損失は少ないから,全部電気自動車に変わっても,2,000万KWも自動車に当てれば十分ではないか。自動車産業って案外小さいエネルギーのシェアーですね。

さて,中国雲南省からインド東部へ使節団。コルカタ(注1)はインドの東部である。コルカタ(注1)の北にはアサム(注2)があり,その東北,アルンチャルプラデシュ(注3)州があって,中国と国境を接しているが,国境線は不確定である。アルンチャルプラデシュ(注3)州に中国の戦車と見まがうブルドーザーが押し寄せてきて,水力発電所を造り居座る,という悪夢を見るインドの高官達は,夜も眠れないのではないか,と言うのは,私の推測である。日本はインパールに達せず退却したが,中国はミャンマーの北部に水力の礎を築き,インパールを通過して,インド東部の首都,コルカタ(注1)に入ってきた。

中国雲南省(注4)の商業使節団は,インドの水力をBOT方式(注7)で開発したと思っている,勿論,このような水力プロジェクトへの機器供給にも関心を持っている,と語っている。その他,雲南省(注4)の特産品であるお茶や煙草についても言及している。インドのブディア商工会議所会頭(注6)は,通商のための雲南コルカタ回廊(注8)の構築して,すべての分野で国際レベルの交流を図りたい,と答えている。

具体的な水力開発にまで話が及ばなかったようだが,インドにとって,中国に水力プロジェクトののBOTを渡す有利性があるかどうか。あるとすれば資金調達面と言うことになる。インドとして,これからアルンチャルプラデシュ(注3)州の水力開発を進めることになっているが,大規模なプロジェクトは国際入札で進める必要がある。このとき当然,中国企業も参加してくる可能性は高い。国境未確定区域での中国のブルドーザーは,印d高官の夢の中では,砲塔を高く掲げた戦車に見えるに違いない。

本文

●インド,中国雲南省調査団,コルカタで,通商協議

コルカタ(注1)はインドの東部である。コルカタ(注1)の北にはアサム(注2)があり,その東北,アルンチャルプラデシュ(注3)州があって,中国と国境を接しているが,国境線は不確定である。アルンチャルプラデシュ(注3)州に中国の戦車と見まがうブルドーザーが押し寄せてきて,水力発電所を造り居座る,という悪夢を見るインドの高官達は,夜も眠れないのではないか,と言うのは,私の推測である。日本はインパールに達せず退却したが,中国はミャンマーの北部に水力の礎を築き,インパールを通過して,インド東部の首都,コルカタ(注1)に入ってきた。

2008年11月19日,水曜日,インドのコルカタ(注1)に現れたのは,中国雲南省(注4)の商業使節団で,率いるのは,中国海外通商委員会CCPITのリジアショウ委員長(注5)である。この中国雲南省(注4)の商業使節団は,水力開発とインフラのプロジェクトに関心を示しているという。やはりブルドーザーの世界である。CCPITのリジアショウ委員長(注5)は,インドのブディア商工会議所会頭(注6)と,合意書に署名した後,会見。

中国雲南省(注4)の商業使節団は,インドの水力をBOT方式(注7)で開発したと思っている,勿論,このような水力プロジェクトへの機器供給にも関心を持っている,と語っている。その他,雲南省(注4)の特産品であるお茶や煙草についても言及している。インドのブディア商工会議所会頭(注6)は,通商のための雲南コルカタ回廊(注8)の構築して,すべての分野で国際レベルの交流を図りたい,と答えている。

具体的な水力開発にまで話が及ばなかったようだが,インドにとって,中国に水力プロジェクトののBOTを渡す有利性があるかどうか。あるとすれば資金調達面と言うことになる。インドとして,これからアルンチャルプラデシュ(注3)州の水力開発を進めることになっているが,大規模なプロジェクトは国際入札で進める必要がある。このとき当然,中国企業も参加してくる可能性は高い。国境未確定区域での中国のブルドーザーは,印d高官の夢の中では,砲塔を高く掲げた戦車に見えるに違いない。

(注) (1) Kolkata,(2) Assam,(3) Arnachal Pradesh,(4) Yunnan,(5) Li Jiashou, leader of the China Council for the Promotion of International Trade (CCPIT),(6) Indian Chamber of Commerce and Industry President Sanjay Budhia,(7) build-operate-transfer (BOT),(8) Kunming-Kolkata Economic Corridor,(9)

●フィリッピン,4つの大企業,マニラ配電の需要供給下に

マニラ電力Meralco(注9)は,ルソン系統(注10)の需要の7割を占めているが,電力改革によるオープンアクセスの原則によって,需要家がMeralco(注9)から離れていくことに神経質になっている。それでなくても,過去の電力料金徴収の不合理を追求されたり,最近では,サンミゲール社による株式取得などで,大いに揺れている。一方で,確実に伸びる需要と売り上げで,相変わらず,解体されて行く電力事業体の中でも,その存在は大きくなってきている。

マニラ電力Meralco(注9)の内部資料によると,少なくとも4つの製造企業が,再びMeralco(注9)の供給下に帰ってくることが期待されている。それは,共和セメント(注11),TDK(注12),共和アサヒ(注13),ウイット(注14)で,これらに対しては消費者選択プログラム(注17)が適用されて,国家電力NPC(注17)の低い時間制料金(注15)が適用される。この消費者選択プログラム(注17)は,自家発電が出来るだけMeralco(注9)から電力を買うように準備されたものである。既に13企業が加入して,その需要は52MWに達している。

現在,燃料費の価格の下げなどの影響で,国家電力NPC(注17)の卸売り料金が下げており,昨年9月の料金KWh当たり4.92ルピーであったものが,2008年9月時点で3.56ルピーとなっている。それはERC(注18)が,KWh当たり0.71ルピーのの消費者への返還を求めたことにもよる。

(注) (9) Manila Electric Company (Meralco),(10) Luzon grid,(11) Republic Cement,(12) TDK,(13) Republic Asahi,(14) Wyeth,(15) time-of-use rate,(16) National Power Corporation (NPC),(17) Customer Choice Program (CCP),(18) Energy Regulation Commission,(19)

Reference

Philippines

●081120A Philippines, Manila Bulletin
4つの企業,マニラ配電の需要供給下に
4 industrial firms shifting to Meralco
http://www.mb.com.ph/BSNS20081120141409.html

India

●081120B India, siliconindia
中国雲南省調査団,コルカタで,通商協議
Chinese team interested in hydropower, infrastructure projects in India
http://www.siliconindia.com/shownews/49001


2008年11月19日分 ー ラオス南部のダムでカンボジア苦境 ー

金融危機のG20会議が終わって,麻生首相もAPEC会議でペルーに向かう。世界の視点が南米に向く中,中国の胡錦濤(フー・チン・タオ)国家主席主席も,コスタリカ,キューバと立ち寄って,ペルーに入る。コスタリカは,最近になって台湾と国交断絶した経緯と,キューバは旧来の友好国であるが,ニッケルの資源狙いもあるという。インドはAPECに入っていない。

明日は天野山で,旧友達と測量作業の約束で,更新が遅れる。先日の測量はまさに絶好の秋日和であったが,春とか秋でこのような週は本当に一回しかないような気がする。もう明日は冬の寒い日の測量になってしまう。秋や春の絶好の一週間を捕まえて測量が出来たときは,本当に人生得をしたような気になる。今年はもう北の故郷,但馬は雪に埋もれていそうだ。車にチェーンを積んでいるが,最近は一度も履いたことがない,もう面倒くさくて,それもスノータイヤを履くほど,山には行かない。木曽では30cmぐらいの新雪でも,何のためらいもなく走っていたのに。

寒い話から,熱いラオスの南の話。コーンの滝の発電への利用は,随分昔から話し合われていた。当時は,この国境地帯に観光を中心としたカジノを造る計画があって,そこに100MWぐらいの流れ込み式の発電所を,と言う話があった。それからも,時々,どうですかね,と言う話はあったが,図面を見せて貰うと,コーンの滝は,一本の流れではなくて,無数の支流に分かれて,滝に注ぎ込んでいる。

今日のプノンペンポストは,ラオスが進めるドンサホン水力(注6)が話題の中心。240〜360MW規模で考えられているらしい。問題にしているのは,国際環境グループIR(注3)などの環境NGOであるが,今回の取り上げ方は,従来と少し異なって,プロジェクトの影響そのものよりは,カンボジア政府やラオス政府の行動に対する批判で,最後は厳しくメコン河委員会事務局(注1)の姿勢をついている。

それと,環境グループとしてはどうかと思うが,カンボジア側に何の便益のないことを,反対の理由に挙げている。環境グループというのは,普通はこういう言い方をしない。あくまで河川環境への影響を問題にする。ところが今回は,カンボジア政府は何をしているのか,と言う論調の中に,カンボジアにはメリットがないプロジェクトだから,反対すべきだ,というようなニュアンスで,違和感を感ずる箇所がある。

厳しくメコン河委員会事務局(注1)の姿勢をついている点は,まさにその通りであるが,周囲の関係者,環境グループも含めて,メコン河委員会事務局(注1)の役割を過小に評価してきた付けが回ってきた感じである。事務局長は,いつでも加盟国によって首をすげ替えられるし,中国が行動を起こしても,加盟国に入っていないから何も出来ない。メコン河委員会事務局(注1)に同情を禁じ得ない。

今更,あなたの責任だ,と言ってみても解決できない。一時は,メコン委員会も環境NGOの一つ,と勘違いしかねない場面もあった。面白いのは,ワシントンのクロニン氏(注18)が,MRC(注1)が各国代表を集めて調整に当たるべきだが,カンボジアとラオスの問題については,中国政府が調整の役を果たす考え方もある,もし誰も出来なければ,その方法しかないであろう,と。そこまで言うか,と言う感じではある。

今日はこの他,重要なニュースがあり,インドの国有企業のBHEL(注21)は,仏アレバ電力(注23)のインドの子会社であるアレバインド(注22)と,原子炉の製造で合弁企業を立ち上げる。また北京レビューが中国内陸部への外国資本の進出を説いている。インドのヒマチャルプラデシュでは,州の立場として流れ込み式の水力のみに限定する,と言っている。ベトナムは,主要な水力開発終了宣言である。


本文

●ラオスの南のダムは,環境フォーラム,下流に被害

ライスのダム開発が,だんだんと南,下流に進んで来るに従って,カンボジア界隈がうるさくなってきた。ラオスの北の山の中のメコン流では,カンボジアも何も言わなかったが,眼の前に迫ってくると,言わざるを得ないと言うことか。北からはラオスの開発,東からはベトナムの開発,とカンボジアをどんどん取り囲んでくる。しかし,カンボジア政府は静かである。批判しているのは,環境グループだ。しかも矛先はメコン河委員会事務局(注1)に向けられてきた。

プノンペンポストの長文の記事である。2008年11月15日(注2)で解説したバンコクの環境フォーラムの流れであろう。ラオス南部で開発されるラオスのダムが,カンボジアには何の利益ももたらさないのに,影響は大きいが,メコン河を制御する国際的な力が全く働いていない。国際環境グループIR(注3)は,2008年9月に出した報告書(注4)で,この問題を論じている。

特に問題にしているのは,600MW,セコン第4水力(注5)と,240〜360MW,ドンサホン水力(注6)である。ドンサホン水力(注6)は,国境のコーンの滝(注7)の近くで,漁業に大きな影響をもたらすだろう。また他のダムで,下流の漁業に影響のあるプロジェクトとして,セコン第5水力(8),ナムコン第1水力(注9)を挙げている。

IR(注3)の報告書(注4)の矛先は,ラオスとカンボジアの政府の調整機能が働いていないことに向けられている。カンボジアNGOのギサン(注10)によると,ドンサホン水力(注6)について,カンボジア政府は,ラオス政府から何も通知を受けていないと言い張っている。いずれにしても,国境プロジェクトで,両国政府間の調整がない,と言うのはおかしい,と言っている。

また,1993年に完成したベトナム,セサン川(注11)のヤリフォール水力(注12)について,ラッタナキリ県(注13)のネットワーク(注14)は,ベトナムのダム計画は設計が悪くまた周辺との話し合いを行っていない,と批判している。特に,メコン河委員会事務局(注1)が,調整に役割を何も果たしていない,と嘆いている。

1995年に成立したメコン下流4カ国によりメコン合意(注15)は,各国が協力して,建設的で互いに便益を共有する手法で,メコン河の持続的な開発,,水利用,運用を行う,ことを約束している(注16)。しかしながら,メコン河委員会事務局(注1)は全く何もしていない。特にIR(注3)のミドルトン氏(注17)は,全くメコン河委員会事務局(注1)が調整の機能を果たしていない,と断じている。


ドンサホン水力(注6)の問題については面白い発言がある。ワシントンのクロニン氏(注18)は,MRC(注1)が各国代表を集めて調整に当たるべきだが,カンボジアとラオスの問題については,中国政府が調整に役を果たす考え方もある,もし誰も出来なければ,その方法しかないであろう,と。そこまで言うか,と言う感じではある。

(注) (1) Mekong River Commission,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081115D.htm,(3) International Rivers,(4) Impacts of Rapid Dam Development in Laos,(5) Sekong 4 dam,(6) Don Sahong (240-360mw) project,(7) Khone Falls,(8) Sekong 5,(9) Nam Kong 1,(10) Ngy San, deputy executive director of the NGO Forum on Cambodia,(11) Sesan river,(12) Yali Falls dam,(13) Ratanakkiri province,(14) Sesan-Srepok-Sekong (3S) Protection Network,(15) Mekong Agreement,(16) "promote in a constructive and mutually beneficial manner
the sustainable development, utilisation, conservation and management of the Mekong River Basin",(17) Carl Middleton, Mekong program coordinator for International Rivers,(18) Richard Cronin, head of the Southeast Asia program at the Henry L Stimson Centre in Washington, DC,(19)


●インド,重電メーカーBHEL,原子力開発で,仏のアレバと技術提携

インドの原子力開発について,企業の動きが激しくなってきた。米国が経済ミッションを送り込む(注1)など,米国とフランス,更にはロシアなどが動いており,日本メーカーは,それぞれの合弁でその組み合わせの中に入って行くのだろう。今日は,具体的な動きがあった。それも副大臣ラメッシュ(注20)による発表であるから,彼の采配の感じもする。

国有企業のBHEL(注21)は,仏アレバ電力(注23)のインドの子会社であるアレバインド(注22)と,原子炉の製造で合弁企業を立ち上げるべく,協議中である。副大臣ラメッシュ(注20)によると,施設はフィンランドに造成されるという。BHEL(注21)は26%の株式を持つことになろう。この合弁会社は,欧州型加圧水炉(注24)で目指すサイズは1,600MWである。

(注) (19) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081016A.htm,(20) Minister of State for Power Jairam Ramesh,(21) State-run Bharat Heavy Electricals Ltd,(22) Areva T&D India,(23) French Areva Power,(24) European Pressurised Reactors (EPR),(25)

●北京レビュー,外国資本は,これから内陸への投資を

北京レビューは,現在外国資本が,海港から遠いために手を拱いている中国中部の各省への投資の拡大を呼びかけている。その中には,電力の開発も含まれている。各省が示す発展へのロードマップがあるが,それらの各省とは,安徽省河南省河北省湖南省江西省である。

いずれも,中国中部には,製造業の巨大な推進力があり,安価な労働力と低廉な土地価格,それに各省の推進重視の政策によって,プロジェクトや投資事業や経営事業などで,ビジネスは内陸部に向かっている。外国資本は,今や内陸部に目を向けており,また,大小の都市の連なる大消費地のポテンシャルも持っている。各省の内情を,概略説明している。

Reference

Vietnam

●081119A Vietnam, vnbusinessnews
EVN,主要な水力プロジェクトは,2008年内に終了
Major power projects almost done
http://www.vnbusinessnews.com/2008/11/major-power-projects-almost-done.html

Pakistan

●081119B Pakistan, thepost
パキスタン政府,代替エネルギー開発で,オースリーと協力
Govt to get Austrian expertise in alternative energy projects
http://thepost.com.pk/BizNewsT.aspx?dtlid=192794&catid=7
●081119C Pakistan, regionaltimes
経済省,パキスタンの水力投資は,外資に絶好の機会
‘Hydropower projects offer sound investment opportunities’
http://regionaltimes.com/18nov2008/moneynews/hydro.htm

Malaysia

●081119D Malaysia, thestar
TBN,フルテネンガルに,250MW水力を,2013年までに
TNB to build another hydroelectric plant in Terengganu
http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/11/18/nation/20081118170742&sec=nation

Laos

●081119E Laos, phnompenhpost
環境フォーラム,ラオスの南のダムは,下流に濁水被害
Lao dams muddying the waters
http://www.phnompenhpost.com/index.php/2008111822733/National-news/Lao-dams-muddying-the-waters.html

India

●081119F India, siliconindia
ヒマチャルプラデシュ,水力は流れ込み式のみ,環境考慮
Himachal Pradesh favours agency to develop Himalayan states
http://www.siliconindia.com/shownews/48944
●081119G India, Economic Times
重電メーカーBHEL,原子力開発で,仏のアレバと技術提携
BHEL, Areva T&D to form JV for manufacturing nuclear reactors
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/BHEL_Areva_TD_to_form_JV_for_manufacturing_nuclear_reactors/articleshow/3719168.cms

China

●081119H China, .bjreview
北京レビュー,外国資本は,これから内陸への投資を
Multinationals Move Inland
http://www.bjreview.com.cn/business/txt/2008-11/18/content_165130.htm

Cambodia

●081119I Cambodia, phnompenhpost
フンセン首相,嵐のため,カムチャイ水力の式典参加せず
PM cancels Kampot trip, citing storm fears
http://www.phnompenhpost.com/index.php/2008111822734/National-news/PM-cancels-Kampot-trip-citing-storm-fears.html



2008年11月18日 ー パキスタンのダムになお異論 ー

オバマ次期米大統領の地球温暖化問題に関するビデオ演説が話題になっている。このHPのユーチューブにもまもなく出ると思われるが,「米国が精力的に交渉に参加し,国際協調の新しい時代へと世界を導いていくことを確約する。」,としている。彼のポイントは,「京都議定書に代わる2013年以降の新たな国際的枠組みの合意」,であって,京都議定書に参加とは一言も言っていない。

私も,地球温暖化の問題や再生可能エネルギー問題は,私の柄でもない,と思って無視してきたが,世界のエネルギーを論ずるときに,この二つから目をそむけては通れなくなってきた。そこで,温暖化(注23)と再生可能(注24)で,最新の世界の論調を紹介すべく,努力している。またコメントなど下さい。しかし私自身は,再生可能エネルギーで地球を救うのは無理で,原子力と水力で対応すべきと思ってはいる。

朝日新聞が,連載のコラムで,クリーンカーを取り上げているが,電気自動車と燃料電池車の大きな流れを解説している。バイオは論外としても,この二つの流れは,両方ともエネルギー源が別個に必要なことには触れようともしないので,少し不満である。プラグインカーなど電気自動車は必ず大規模な発電所が必要だし,燃料電池も水素を創り出すエネルギー源は,と聞かれると,発電所に行かねばならない。結局,地球温暖化対策は,発電所をクリーンにする必要から逃れられない。

原子力は,住民さへ納得してお金があれば何処でも出来るが,水力はそうは行かない。そういう意味で,残されたヒマラヤ近辺の大規模水力開発は,人類最後の戦い,と言ってきた。インドもさることながら,パキスタンの大規模水力も重要である。インダス(注7)上流,ディアマーバシャダム(注1)の着工決定については,本HPで,2008年10月20日(注19)で述べている。

2008年,今年の4月に,ドイツのラメイヤーの詳細設計が完成した記事がある。このインダス川の上流に建設される大規模なダム計画,バシャダイムラープロジェクト(注1)は,ダムの高さ281m,水没人口25,000人,資金調達を待たずに当時の大統領は着工を命令している。北京を訪れたザルダニ大統領が,中国の支援を取り付けてきたばかりである,と報告している。この着工決定に対する反対論の投稿である。

今日は,このザルダニ大統領の積極策に対して,反論が出ている。国家経済会議上級委員会ECNEC(注2)は,126億ドル,ディアマーバシャダム(注1)の,2016年完成に向けて,プロジェクトを発進させることを決定した。パキスタンは,タルベラダム(注3)の高さ485フィートの記録の上に,また新しい世界記録に挑戦する。それは世界最高のRCC(注4)ダムである。驚いたことに,パキスタン政府は,タルベラダム(注3)が,世界でもっとも厳しい事故を起こしたダムであることを忘れている(注5),としている。パキスタンも前途多難。

タルベラダム(注3)の悲劇については,私のHP(注21)に解説されている。その中,「そうして,8月21日の「魔の日」を迎えるわけである。このとき貯水池は既に99億トンの水を湛え,満水まで僅かに余すところ37億トンであった。8月22日,専門家グループの決断で,全水門を開いて湛水した水を放流することとし,貯水池が空になるまで3週間を要したが,この間下流住民にはダム決壊のデマが流れ,ブット首相自ら国民に訴えた場面もあった。」。


(注) (23) http://my.reset.jp/~adachihayao/iindex3newsCD.htm,(24) http://my.reset.jp/~adachihayao/iindex3newsRE.htm,(25)

(注) (1) Diamer-Bhasha Dam project,(2) Executive Committee of the National Economic Council ,(3) Tarbela Dam,(4) roller-compacted concrete dam,(5) World Bank Report No 4,(6) Bhasha,(7) Indus,(8) Pervez Musharraf,(9) Mr Musharraf’s Water Vision 2020,'10) WAPDA,(11) Wapda’s Vision 2025,(12) Anti-Thal Canal and Kalabagh Dam Action Committee,(13) ‘No further cut on the Indus’,(14) PPP,(15) water accord 1991,(16) Technical Committee on Water Resources by A.N.G,(17) Abbasi,,(18) Mangla reservoir,(19) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081020A.htm,(20) http://my.reset.jp/~adachihayao/power.htm#power06,(21)

本文

●パキスタン,議論の続いたバシャダムの進捗について

インダス(注7)上流,ディアマーバシャダム(注1)の着工決定については,本HPで,2008年10月20日(注19)で述べている。2008年,今年の4月に,ドイツのラメイヤーの詳細設計が完成した記事がある。このインダス川の上流に建設される大規模なダム計画,バシャダイムラープロジェクト(注1)は,ダムの高さ281m,水没人口25,000人,資金調達を待たずに当時の大統領は着工を命令している。北京を訪れたザルダニ大統領が,中国の支援を取り付けてきたばかりである,と報告している。この着工決定に対する反対論の投稿である。

国家経済会議上級委員会ECNEC(注2)は,126億ドル,ディアマーバシャダム(注1)の,2016年完成に向けて,プロジェクトを発進させることを決定した。パキスタンは,タルベラダム(注3)の高さ485フィートの記録の上に,また新しい世界記録に挑戦する。それは世界最高のRCC(注4)ダムである。驚いたことに,パキスタン政府は,タルベラダム(注3)が,世界でもっとも厳しい事故を起こしたダムであることを忘れている(注5)。

世界銀行の報告書は,バシャ(注6)ダムサイトが,インダス(注7)上流の狭い峡谷にあって不安定な地震地帯であり,安全上大きな問題がある,としている。パキスタンでのダムの議論は古いが,もっとも問題になったのは,ムシャラフ前大統領(注8)のとき,彼の軍事独裁政権が,インダス河(注7)の一連のダム建設を提案したときで,バシャ(注6)ダムについては,ムシャラフ前大統領(注8)の「2020年水資源構想」(注9)とWAPDA(注10)の「2025年開発構想」(注11)の二つの提案が議論のきっかけであった。

ムシャラフ前大統領(注8)は,関係者の説得のために地元に赴いたが,説得は失敗に終わっている。一方で,現政権の連立与党,PPP,ANP,PML(N),JUI(F)は,「カラバーダム反対委員会」(注12)のなのもと,反対運動を展開した。この16の政党などを巻き込んだ闘争は,ただ一つの命題,「これ以上インダスの水を減らさせない」(注13),に対してパキスタン史上最大規模の反対グループでった。

このとき反対運動を主導したPPP(注14)は,今や政権政党であるが,その政治原則と過去の約束を無視して,同じ悪名高き開発構想を採用してきた。貯水池の建設に際して最も重要なことは,1991年の水協定(注15)を基礎に,既得権益を重視し,信頼度の高い余裕のある水供給を行うことにある。これには,水の量の現実を確実に把握することが重要である。

今後の新規ダム建設に関しては,政府はANG報告書(注16)の主張を考慮すべきで,これは,将来の貯水池計画や灌漑計画に対する水の基本量,マングラダム(注18)の湛水及び運用計画,関連組織の役割,その他重要な事項について,包括的な提案を行っている。

過去のタルベラダム(注3)の事故については,私のHP(注21)に解説されている。その土木工事が完成し湛水を開始したのは,1974年7月である。順調に湛水していった7月中旬,右岸の4つのバイパスをテストするため通水試験が行われたが,7月27日,その第2トンネルに異常が起こった。これがパキスタン全土をパニックに陥れた事故の始まりである。

そうして,8月21日の「魔の日」を迎えるわけである。このとき貯水池は既に99億トンの水を湛え,満水まで僅かに余すところ37億トンであった。8月22日,専門家グループの決断で,全水門を開いて湛水した水を放流することとし,貯水池が空になるまで3週間を要したが,この間下流住民にはダム決壊のデマが流れ,ブット首相自ら国民に訴えた場面もあった。

水を抜いてみると,予想を超える大事故で,第2トンネルの取水口から70mに亘って落盤し,約50万立方mの土砂が下流に流れ出したのである。1974年9月27日から10月4日まで現地で世界の権威を集めて善後策が協議され,修復方法が論じられたが,この会議にはブット首相を始め各大臣が出席した。この修復に要する費用は5900万ドルと見積もられ,世銀を始め関係各国が負担した。1975年5月,再び湛水を開始し,8月7日にはもとの水位に復した。パキスタンのトラウマであろう。

(注) (1) Diamer-Bhasha Dam project,(2) Executive Committee of the National Economic Council ,(3) Tarbela Dam,(4) roller-compacted concrete dam,(5) World Bank Report No 4,(6) Bhasha,(7) Indus,(8) Pervez Musharraf,(9) Mr Musharraf’s Water Vision 2020,'10) WAPDA,(11) Wapda’s Vision 2025,(12) Anti-Thal Canal and Kalabagh Dam Action Committee,(13) ‘No further cut on the Indus’,(14) PPP,(15) water accord 1991,(16) Technical Committee on Water Resources by A.N.G,(17) Abbasi,,(18) Mangla reservoir,(19) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081020A.htm,(20) http://my.reset.jp/~adachihayao/power.htm#power06,(21)

●フィリッピン,ERC,損失電力の,電力料金への反映で,シーリング

配電部門と議論になっていた系統損失の電気料金上の取り扱いについて,ERC(注21)は,前回の提案よりも上方修正した上限を,消費者に転化することを認めた。即ち,民間配電企業には8.5%,配電組合(注22)には13%,とすることに決定した。前回の提案は,民間配電企業には8%,配電組合(注22)には11%であった。ERC(注21)は,消費者に回せるのは実際の損失で,この上限を超えない,と説明している。


(注) (21) Energy Regulatory Commission,(22) electric cooperatives,(23)

Reference

Pakistan

081118A Pakistan, thefrontierpost
議論の続いたバシャダムの進捗について
Bhasha dam controversy
http://www.thefrontierpost.com/News.aspx?ncat=le&nid=830

Philippines

081118B Philippines, Manila Bulletin
ERC,損失電力の,電力料金への反映で,シーリング
ERC mulls 8.5% caps on system loss
http://www.mb.com.ph/BSNS20081118141174.html



2008年11月18日分 ー ミャンマーは更にダム開発加速 ー

ミャンマーのダム開発は恐ろしいペースで進んでいる。内外からの批判の声も聞こえる中,中国紙がこれを総括した記事を載せてきた。それは中国だけでなく,周辺諸国,タイ,インド,バングラデシュまでも巻き込んだもの,として書いているが,まさに国際的な争奪戦の様相を呈してきている。これは,ミャンマーにとってチャンスと見るか,外国の収奪と見るか,大いに意見の分かれるところである。

経済成長の初期には,自国の持てる水力資源を全力で開発することは,今までのアジアでも,日本,タイ,インドネシア,ベトナムなどで見ているし,これらの国では自国の水力は,殆ど開発し尽くした。私の意見は,経済発展するならばまず自国の資源を開発して欲しい,自国の資源を有効に開発した国だけが,原油やガスなどの国際エネルギー資源を使う資格がある,と思うが,ミャンマーの場合はこれが当てはまるかどうか。

この記事と時を同じくして,カレン族の厳しい状況が報告されている。特にサルウイーン河(注18)のダム開発では,カレン族が直接の影響を受ける地理的関係にある。対話が出来る状況であればよいが,記事によると,軍事政権との紛争で,50万人が山に逃げ込んで生活しており,教育はおろか,医療も受けられない状況と聞く。サルウイーン河(注18)のダム開発は彼等の生活確保に向かって,格好のプロジェクトなのであるが,対話が出来ないと言うことは,開発側にとっても残念な状態だろう。

私は,おそらくミャンマーの水力開発は,周辺諸国がミャンマーの天然ガスを睨みながら投資してくる状況のもと,今しかチャンスがないのではないかと言う気がする。だから,最近は中国も,国内で海外プロジェクトに対する基準の見直しの雰囲気があり,もう少し開発地元の住民を巻き込んだ方向に転換することが要請されることになると思う。その様な開発手順の改善を図って,この好機を,国民として生かすべきではないか,と思う。

今日の記事のポイント。ミャンマー政府は新たに15の水力プロジェクトの推進を決定した。ミャンマー政府は,水力開発を政策の基礎に置くことに決定して以来,6つの水力発電所を完成し,22のプロジェクトが,現在進行状態にある。新たな15の水力プロジェクトは,第一電力省(注1)が,SPDCの委員長,タンシュエ将軍(注2)が主宰するSPIC(注3)の承認を受けて,推進するものである。これらの規模は,48MW〜2,800MWで,7つの地区と県に配置されている。

この15のうち7地点は,カチン州(注4)にあって,そのうち6地点は,規模が1200MWを超える。また,残りの8地点は,サガイン(注5),マンダレー(注6),マグウエー(注7),バゴ(注8)の各地区と,ラキン(注9)及びシャン(注10)の各州,に分散している。これらのプロジェクトがすべて完成した時点では,これらの全設備出力は,13,847MWに達する。

(注) (1) Ministry of Electric Power-1,(2) Senior-General Than Shwe, Chairman of the State Peace and Development Council,(3) Special Projects Implementation Committee,(4) Kachin state,(5) Sagaing,(6) Mandalay division,(7) Magway division,(8) Bago division,(9) Rakhine,(10) Shan,(11) Zawgyi-2,(12) Zaungtu,(13) Thaphanseik,(14) Monechaung,(15) Paunglaung,(16) Yenwe,(17) Tachilek,(18) Thanlwin River,(19) Tar-hsan,(20) MDX Group Co Ltd,(21) Hutgyi,(22) Electricity Generating Authority of Thailand,(23) Tanintharyi River,(24) Yeywa hydropower project,(25) Myitnge River,(26) Yunnan Machinery and Equipment Import and ExportCo Ltd,(26) Upper Paunglaung,(27) Farsighted Investment Group Co Ltd,(28) Gold Water Resources Ltd,(29) Upper Thanlwin,(30) China Power Investment Corporation,(31) Ayeyawaddy river,(32) Maykha river, (33) Malikha river,(34) National Hydroelectric Power Corporation Ltd,(35) Htamanthi,(36) Shwesayay,(37) Italian-Thai Development Public Co. Ltd,(38) British Virgin Island,(39) Windfall Energy Services Ltd,(40) Tanintharyi division,(41)

(注) (41) Karen National Union,(42) Karen Environmental and Social Action Network,(43) ’ Diversity Degraded’ written by ethnic Karen researchers,(44) United Nations Environment Programme,(45) Marty Bergoffen, an American environmental lawyer,(46) Earth Rights International

本文

●ミャンマー,更に水力発電開発を強調

中国からの報告である。ミャンマー政府は新たに15の水力プロジェクトの推進を決定した。ミャンマー政府は,水力開発を政策の基礎に置くことに決定して以来,6つの水力発電所を完成し,22のプロジェクトが,現在進行状態にある。新たな15の水力プロジェクトは,第一電力省(注1)が,SPDCの委員長,タンシュエ将軍(注2)が主宰するSPIC(注3)の承認を受けて,推進するものである。これらの規模は,48MW〜2,800MWで,7つの地区と県に配置されている。

この15のうち7地点は,カチン州(注4)にあって,そのうち6地点は,規模が1200MWを超える。また,残りの8地点は,サガイン(注5),マンダレー(注6),マグウエー(注7),バゴ(注8)の各地区と,ラキン(注9)及びシャン(注10)の各州,に分散している。これらのプロジェクトがすべて完成した時点では,これらの全設備出力は,13,847MWに達する。

SPIC(注3)が設立されてから,6地点の水力発電所が完成しているが,その総出力は,442MWで,それらの地点名は,ゾウジー第2(注11),ザウントウ(注12),タパンセイク(注13),モネチャン(注14),パウンラン(注15),イエンウエ(注16)である。現在進行中の22のプロジェクトが完成すると,設備出力は16,599MWとなる。

ミャンマーの統計によると,2008年4月末時点で,設備出力は,1,690MW,2007〜2008年度の発生電力量は66.03億KWhで,2006〜2007年度の61.72億KWhより増加した。ミャンマー政府の要請により,タイ,中国,韓国,バングラデシュ,インドなどが水力開発に協力している。タイが協力しているプロジェクトで,シャン(注10)州のタチレック(注17)に位置するサルウイーン河(注18)上の,7,110MW,タッサン水力(注19)は,2007年4月に,ミャンマーとタイのMDX(注20)の合弁で着工したが,この60億ドルの契約は,2006年4月に行われている。年間発生電力量は354,46億KWhである。

もう一つタイの協力するサルウイーン河(注18)上の,600MW,ハッチ(注21)水力は,EGAT(注22)とミャンマー政府に間で2005年12月に着工に合意した。電力量は38.2億KWhである。このプロジェクトは,サルウイーン河(注18)とタニンタリー川(注23)にまたがるもので,2005年6月には基本合意がなされている。これらのプロジェクトの電力の一部は,タイに輸出される。

中国企業の関係した,790MW,ミティンゲ川(注25)上のイエイワ(注24)水力は,2004年に建設で合意されており,年間35.5億KWhの電力を発生する。また雲南のYMEC(注26)の進めるパウンラン上流(注26)水力,FIGC(注27)とGWR(注28)が進めるサルウイーン上流(注29)
プロジェクトがある。また,CPIC(注30)は,カチン州(注4)の,イラワジ河(注31)と,マイカ川(注32)とマリカ川(注33)のそれぞれ合流付近に,7地点のプロジェクトを進めているようで,その合計出力は13,360MWと言われている。

インドであるが,今年,2008年9月,NHPC(注34)が,1,200MW,タマンティ水力(注35)と,600MW,シュエザヤ水力(注36)を取り上げ,また,2008年10月には,イタリアンタイ(注37)と英領バージン島(注38)籍のWES(注39)が,600MW水力を,ミャンマー南部のタニンタリ地区(注40)で取り上げている。また,バングラデシュは,自国の電力不足のため,ミャンマー西部及び北西部で,水力開発を行う動きを示している。

中国の報道で,ミャンマーの水力開発に関する動きの殆どを網羅した内容の記事である。中国,タイ,インド,バングラデシュ,それぞれが自国への電力送電を意図していることは勿論であるが,それを利用してダム開発を進めるミャンマーも,したたか,と言っていいのではないか。そこには,明らかにミャンマーの包蔵する60兆立方フィートとも言われる莫大な天然ガスが絡んでいることも事実だろう。

(注) (1) Ministry of Electric Power-1,(2) Senior-General Than Shwe, Chairman of the State Peace and Development Council,(3) Special Projects Implementation Committee,(4) Kachin state,(5) Sagaing,(6) Mandalay division,(7) Magway division,(8) Bago division,(9) Rakhine,(10) Shan,(11) Zawgyi-2,(12) Zaungtu,(13) Thaphanseik,(14) Monechaung,(15) Paunglaung,(16) Yenwe,(17) Tachilek,(18) Thanlwin River,(19) Tar-hsan,(20) MDX Group Co Ltd,(21) Hutgyi,(22) Electricity Generating Authority of Thailand,(23) Tanintharyi River,(24) Yeywa hydropower project,(25) Myitnge River,(26) Yunnan Machinery and Equipment Import and ExportCo Ltd,(26) Upper Paunglaung,(27) Farsighted Investment Group Co Ltd,(28) Gold Water Resources Ltd,(29) Upper Thanlwin,(30) China Power Investment Corporation,(31) Ayeyawaddy river,(32) Maykha river, (33) Malikha river,(34) National Hydroelectric Power Corporation Ltd,(35) Htamanthi,(36) Shwesayay,(37) Italian-Thai Development Public Co. Ltd,(38) British Virgin Island,(39) Windfall Energy Services Ltd,(40) Tanintharyi division,(41)

●ミャンマー,60年に亘る軍事圧迫,カレン族は厳しい状況に

軍事政権の元で,どうしようもないプレッシャーの中に置かれているカレン族の厳しい状態が報告されている。50万人とも言われる山岳地帯に逃げ込んだ人々は,国家の保護も教育も受けられず,悲惨な状態のようだ。ただこの記事が,このカレン族の実情だけでなく,環境破壊の問題を同時に取り扱っているから,少し次元が違うような気がして,問題の焦点がぼけてくる。問題は50万人のカレン族の生活だろう。

ダムの問題も扱っている。ダム建設をどうするのか。このダム建設をミャンマーの人たちが飛躍の好機と捉えられるような政策が必要だろう。この記事に出てくる機関は,カレン国家同盟KNU(注41)が軍事政権に対抗している同盟,環境問題を論じているのが,カレン環境ネットワークKESAN(注42),KESAN(注42)の作成した報告書(注43),バンコクで開催されたUNEP(注44)のフォーラムで訴えたのはベルゴッフェン弁護士(注45),外国企業のダム開発を訴えるのは,地球国際人権ERI(注46),などである。

(注) (41) Karen National Union,(42) Karen Environmental and Social Action Network,(43) ’ Diversity Degraded’ written by ethnic Karen researchers,(44) United Nations Environment Programme,(45) Marty Bergoffen, an American environmental lawyer,(46) Earth Rights International


参考資料

フィリッピン

081117A Philippines, Manila Bulletin
IPP企業に対する重要なNPC条件は,30日以上の燃料確保
IPP administrators required to maintain 30-day fuel buffer
http://www.mb.com.ph/BSNS20081117141091.html
081117B Philippines, inquirer
PSALM,二つの発電所売却に失敗
Bidding for 2 Napocor plants fails
http://www.inquirer.net/specialfeatures/power/view.php?db=1&article=20081116-172546

ミャンマー

081117C Myanmar, news.xinhuanet
ミャンマー,更に水力発電開発を強調
Myanmar emphasizes on development of hydropower
http://news.xinhuanet.com/english/2008-11/17/content_10370732.htm
081117D Myanmar, ipsnews
60年に亘る軍事圧迫,カレン族は厳しい状況に
ENVIRONMENT-BURMA: Conflict Threatens Karen Biodiversity
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=44727



2008年11月16日分 ー インド北東地域の送電線プロジェクト ー
ワシントンでの金融サミットの余韻がまだニュースの大きな部分を占めている。日本も一生懸命やったようだが,日本の一つの意図は,中国をどの様に世界金融の調整の場に引っ張り出すか,と言うことであったのだろう。日本のIMFへの10兆円の拠出も,中国からの拠出を誘って表舞台に引き出そうとしたが,中国は静かに日本を見守るだけだったようだ。国内で57兆円に上る景気浮揚策で手は打った,と言うことで,国際舞台での表だった貢献の義務はない,と言いたげだ。

私が注目しているのは,今度の世界金融危機で,もし中国が大きな打撃を受けた場合は,アジアを中心に世界中で動いている中国プロジェクトが一挙に減速した場合に受ける影響の大きさだ。旧ソ連が経済破綻で行き詰まったときに,世界中のプロジェクトから手を引いていった。小さな影響だったが,旧ソ連が一手に引き受けていたカンボジアの測水システムが,一挙に動かなくなって,メコン委員会が慌てた一幕があった。

じっとニュースに目をこらしていると,オーストラリアの鉄鉱石で異変が起こり始めているようだ。「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」,と言うメルマガで,西オーストラリアのピルバラ地方から中国向けに送られていた鉄鉱石が,中国の鉄鋼生産を20%削減の影響で大きな影響を受けて,オーストラリア政府が救済に乗り出した,と言うもの。ミャンマーやカンボジアやラオスから,今中国が手を引くと,とんでもないことになる。勢いに乗って手を広げてきた中国の海外事業がどうなるか,眼を凝らしていよう。

さて,今日の記事は新興国の一方の雄,インドの北東部の話である。インドの北東地域は,水力とガスの包蔵を持っていて,電源としてのポテンシャルが高く,この地域で得られる電力を,電力需要の高いデリーなどの北地域へ送電するには,ネパールとバングラデシュが微妙に接しかけている狭いインド領,シッキムを通過しなければならない。素人目には,送電線ぐらいは何とかなるだろう,思うが,実際はなかなか難しいところがある,と現地のJBICの人から聞いたことがある。今日の記事は,この狭窄部の送電線のプロジェクトの計画について,報道されている。

入札に出されるのは二つの送電線プロジェクトで,いずれも40万ボルト交流送電線,ボンガイガオン(注9)ーシリグリ(注10)間と,プルニア(注11)ービハルシャリフ(注12)間で,特にこのシリグリ(注10)は,シッキム(注13)の一番狭いところに位置する町である。入札は2段階に分けられ,最初は資格審査を通過した企業に対して,次に資金調達能力が審査されることになっている。

また,同じ北地域の東より,すごいプロジェクトを進めている。1,500MW,ティパイムック多目的ダム(注31)は,ロックフィルダムの高さが168mであり,発電と洪水調節を兼ねている。マニプール(注32)とミゾラン(注33)の県境にあり,下流はブラマプトラ(注34)本流である。太平洋戦争で有名なインパール(注35)は,ティパイムック多目的ダム(注31)の東北方向,ミゾラン(注33)の県都である。昔,世界銀行のチャンドラン氏が,洪水の水をビルマにたたき落とす計画がある,と言っていたのは,この辺りの話かな。

この地域の開発を担当するNEEPCO(注36)がこのティパイムック多目的ダム(注31)計画を進めており,今回,環境森林省(注37)がコメントを付してNEEPCO(注36)に申請を返した。コメントの内容は,ダムが壊れたら(注38)どうなるか,の評価が行われていない,と言うのである。前にこのプロジェクトを調査した中央水資源委員会(注39)がある程度の予測を行っており,5mから10mの水位上昇が,下流の都市で起こる,と計算している。

このダムが壊れたときの話はよく言われる話で,被害の詳細を出してもどうしようもないのだが,要するに下流への警戒システムの構築をどうするか,と言う問題で,日本でもダムを造ったときに,下流への警告装置を義務づけているのと同じレベルの話だ,と割り切ってしまえばよいのだが,洪水調節のために造る多目的ダムで,決壊の予想をしろ,と言うのは何ともおかしな話である。

本文

●インド,北東地域を繋ぐ送電網建設,いよいよ具体化

インドの北東地域は,水力とガスの包蔵を持っていて,電源としてのポテンシャルが高く,この地域で得られる電力を,電力需要の高いデリーなどの北地域へ送電するには,ネパールとバングラデシュが微妙に接しかけている狭いインド領,シッキムを通過しなければならない。素人目には,送電線ぐらいは何とかなるだろう,思うが,実際はなかなか難しいところがある,と現地のJBICの人から聞いたことがある。今日の記事は,この狭窄部の送電線のプロジェクトの計画について,報道されている。

電力融資公社PFC(注1)が発注主となって,北東地域から北地域への送電プロジェクトの入札が,多くの国際企業や国内企業の関心を引いている。国際企業としては,韓国電力(注2),イタリアのテルナ(注3),イスラエル電力(注4)などで,国内企業は,リライアンス(注5),タタ電力(注6),RPG送電(注7),GMR(注8)などが関心を示している。

入札に出されるのは二つの送電線プロジェクトで,いずれも40万ボルト交流送電線,ボンガイガオン(注9)ーシリグリ(注10)間と,プルニア(注11)ービハルシャリフ(注12)間で,特にこのシリグリ(注10)は,シッキム(注13)の一番狭いところに位置する町である。入札は2段階に分けられ,最初は資格審査を通過した企業に対して,次に資金調達能力が審査されることになっている。

電力省の担当者の話では,送電に関して国家送電公社(注14)の独占の幅を縮小する目的があり,今回の,全体的には小規模の送電網運営に参画する企業は余り多くないことが懸念されていた。資格審査については,2008年12月4日に応募を締め切り,同日オープンする。電力融資公社PFC(注1)は,このプロジェクトの入札事業のための特別機関,東北送電会社(注15)を創設する。

プロジェクト自体は,全体の一部の区間であるが,北地域への接続で重要な意味を持つ。北東から北への融通電力源としては,今後運転開始される,740MW,トリプラ天然ガス火力(注16),750MW,ボンガイガオン火力(注17),600MW,カメン水力(注18),2,000MW,スバンシリ水力(注19),などがあり,またシッキム(注13)の水力から北地域への輸入も考えられている。

CEA(注20)は,既にスバンシリ下流水力533MW(注21)とカメン水力156MW(注22)の合計689MWの北地域への割り当てを決定している。これらから電力を受け取るのは北地域の諸州,ウッタラプラデシュ(注23),ラジャスタン(注24),デリー(注25),パンジャブ(注26),ハリヤナ(注27),ヒマッチャル(注28),ウッタラカンド(注29),チャンディガール(注30)各州に及ぶ。

(注) (1) Power Finance Corporation (PFC),(2) Korea Electric Power Company,(3) Italian firm Terna SpA,(4) Israel Electric Corporation,(5) Reliance Infrastructure,(6) Tata Power,(7) RPG Transmission,(8) GMR Energy,(9) Bongaigaon,(10) Siliguri,(11)Purnea,(12) Biharshariff,(13) Sikkim,(14) Power Grid Corporation,(15) East-North Interconnection Company,(16) Tripura Gas (740 MW),(17) Bongaigaon thermal power station (750 MW),(18) Kameng hydro power (600 MW),(19) Subansiri hydropower (2000 MW),(20) Central Electricity Authority,(21) Subansiri Lower (533MW),(22) Kameng (156MW) hydropower,(23) Uttar Pradesh,(24) Rajasthan,(25) Delhi,(26) Punjab,(27) Haryana,(28) Himachal,(29) Uttrakhand,(30) Chandigarh,(31)

●インド,1,500MW,ティパイムック多目的,追加環境調査

すごいプロジェクトを進めている。1,500MW,ティパイムック多目的ダム(注31)は,ロックフィルダムの高さが168mであり,発電と洪水調節を兼ねている。マニプール(注32)とミゾラン(注33)の県境にあり,下流はブラマプトラ(注34)本流である。太平洋戦争で有名なインパール(注35)は,ティパイムック多目的ダム(注31)の東北方向,ミゾラン(注33)の県都である。昔,世界銀行のチャンドラン氏が,洪水の水をビルマにたたき落とす計画がある,と言っていたのは,この辺りの話かな。

この地域の開発を担当するNEEPCO(注36)がこのティパイムック多目的ダム(注31)計画を進めており,今回,環境森林省(注37)がコメントを付してNEEPCO(注36)に申請を返した。コメントの内容は,ダムが壊れたら(注38)どうなるか,の評価が行われていない,と言うのである。前にこのプロジェクトを調査した中央水資源委員会(注39)がある程度の予測を行っており,5mから10mの水位上昇が,下流の都市で起こる,と計算している。

このダムが壊れたときの話はよく言われる話で,被害の詳細を出してもどうしようもないのだが,要するに下流への警戒システムの構築をどうするか,と言う問題で,日本でもダムを造ったときに,下流への警告装置を義務づけているのと同じレベルの話だ,と割り切ってしまえばよいのだが,洪水調節のために造る多目的ダムで,決壊の予想をしろ,と言うのは何ともおかしな話である。

(注) (31) 1500MW Tipaimukh multipurpose hydro-electric project in Assam,(32) Mnipur,(33) Mizoran,(34) Brahmaputra,(35) Impahl,(36) North Eastern Electric Power Corporation (Neepco) ,(37) ministry of environment and forests,(38) a dam break scenario,(39) Central Water Commission,(40)

●インド,ヒマチャルプラデシュの水力で,オランダ企業が事情聴取

重要なプロジェクトが,企業と電力省幹部の間の紛争で,泥まみれになっている。プロジェクトは,ヒマッチャルプラデシュ州(注40)キナウル地区(注42)の400億ルピー規模,トーパン-ポワリ-ジャンギ水力(注41)である。プロジェクトを認可されていたのはオランダ企業のブラッケル社(注43)で,論争の相手は電力省のミッタル次官(注44)である。

紛争の原因はよく分からないが,ミッタル次官(注44)が資金力の面からの理由を付けて,ブラッケル社(注43)をプロジェクトから排除しようとしているところから発しているようだ。インドは本当にこれだから困る,このようなことで国の次官を相手に戦わなければならないようになったら,企業としては大変だ。トーパン-ポワリ-ジャンギ水力(注41)は,出力が,460MWと960MWの組み合わせ,巨大プロジェクトである。

(注) (40) Himachal Pradesh,(41) Thopan-Powari-Jangi hydropower project,(42) Kinnaur district,(43) Dutch power major Brakel Corp,(44) Principal Power Secretary Ajay Mittal,(45)

Reference

Philippines

●081116A Philippines, Manila Bulletin
ERC,18の暫定供給契約TSCを承認
ERC okays NPC’s 18 supply contracts

http://www.mb.com.ph/BSNS20081116141019.html

India

●081116B India, telegraphindia
1500MW,ティパイムック多目的,追加環境調査
Neepco asked to study dam break scenario

http://www.telegraphindia.com/1081116/jsp/northeast/story_10115791.jsp
081116C India, telegraphindia
北東地域を繋ぐ送電網建設,いよいよ具体化
Long queue for Northeast power deal
http://www.telegraphindia.com/1081116/jsp/business/story_10117561.jsp
●081116D India, sindhtoday
ヒマチャルプラデシュの水力で,オランダ企業が事情聴取
Dutch firm wants hearing over controversial project deferred
http://www.sindhtoday.net/south-asia/36416.htm



2008年11月15日分 ー メコン洪水で再び中国ダム論争 ー

時事通信によると,麻生太郎首相は15日の内外記者会見で,オバマ次期米大統領について,「電話で話した印象では,インテリジェンス(知能)がえらく高そうな英語だった。」,と述べた,とする記事を載せている。麻生首相は漢字を読み間違えたから,余計英語にこだわっているのですかね。なかなか日本人に,ネイティブの英語のインテリジェンスは理解困難と思うのだが,どうですか。オバマさんも,麻生さんに言われたくない,と言っているだろう。

昔,30年ぐらい前にアメリカ人と机を並べて仕事をしていたが,彼が,ちょっと辞書貸してくれ,と言うから,何だ,あなたも辞書がいるのか,と冷やかしたら,彼の答えは,「綴りを間違えると教養を疑われるから。」,であった。今のようにワープロが見てくれないので,あのころは報告書のスペルミスをチェックするのが大変な作業だった。その昔,アメリカの副大統領候補が,発音を間違えて,落選したことがあった。もうこれ以上,麻生さんのことを言うのを止めておいた方が良さそうだ。

メコンの2008年8月の洪水がまだ尾を引いている。今回,2008年11月12,13日の両日,バンコクのチュラロンコン大学(注2)で開催された,主として環境団体によるフォーラム,「メコン本流ダム,国境からの声」(注3),と題して,300の団体代表が集合した。殆どは大メコン圏諸国(注4),中国,ミャンマー,ラオス,タイ,カンボジア,ベトナムからの環境関連団体である。

このフォーラムで,再び,2008年8月のメコン本流での洪水被害が取り上げられ,出席者の発言は,上流中国ダムの放流により被害が拡大した,と中国を非難している。メコンエネルギー環境ネットワークのウイットーン代表(注5)は,2008年5月に起きた四川省大地震の影響を心配した中国が,2008年8月になって,漫湾(注6),大朝山(注7),景洪(注8)の三つのダムから数十億トンの放流を行ったからだ,と主張している。

私は,中国の本流ダムの運用については,具体的な取り決めを進めた方がよいと思う。そうすると中国のダム建設を容認することになるから,なかなか手を付けられないのであろうが,今の状態では,どの様に放流されても,下流からのチェックが出来ない。上流のダムが満水の状態では,上流から入ってくる流量をそのまま下流へ,と言う原則も話し合えないのか。

別の記事で,ネパールのプラチャンダ首相(注13)とインドのメシュ副大臣(注24)が,ネパールの水力開発で,ニュースの中で踊っているのは,私は愉快である。私が指名した,アジア開発3人男の二人だから。ネパールの水力は,この二人がいなければ,実現不可能だろう。詳細は本文記事を見て下さい。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080828D,(2) Chulalongkorn University,(3) “Mekong Mainstream Dams: Voices across Borders,”,(4) Greater Mekong Subregion,(5) Witoon Permpongsachareon, a coordinator with the Mekong Energy and Ecology Network,(6) Manwan,(7) Dachaoshan,(8) Jinghong,(9) Mekong River Commission (MRC),(10) Mekong River Commission Fisheries Program,(11) Stung Treng,(12) Sambor,(13)

(注) (13) Prime Minister Pushpa Kamal Dahal `Prachanda',(14) Bay of Bengal Initiative for Multi-sectoral Technical and Economic Cooperation (BIMSTEC),(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081114B.htm,(16) Dr. Manmohan Singh,(17) Tehri Dam,(18) Uttarakhand,(19) Dehradun,(20) Pancheshwar dam,(21)


本文

●バンコクのフォーラム,中国のダムの放流に抗議

2008年に起きたメコン河の洪水については,本HPで2008年8月28日(注1)に報じたように,ビエンチャンで開かれたメコン河委員会MRC,その28次年次総会で問題となっている。一部の環境団体は,上流,中国領内で進むダム開発の影響が大きい,と主張しているが,MRCや関係政府は,ラオス北部を通過したモンスーンの影響で,直ちに中国のダムと結びつくことは否定している。しかし,中国領内ダムの情報の透明化については,いずれの公的機関も必要と思っている。

今回,2008年11月12,13日の両日,バンコクのチュラロンコン大学(注2)で開催された,主として環境団体によるフォーラム,「メコン本流ダム,国境からの声」(注3),と題して,300の団体代表が集合した。殆どは大メコン圏諸国(注4),中国,ミャンマー,ラオス,タイ,カンボジア,ベトナムからの環境関連団体である。

このフォーラムで,再び,2008年8月のメコン本流での洪水被害が取り上げられ,出席者の発言は,上流中国ダムの放流により被害が拡大した,と中国を非難している。メコンエネルギー環境ネットワークのウイットーン代表(注5)は,2008年5月に起きた四川省大地震の影響を心配した中国が,2008年8月になって,漫湾(注6),大朝山(注7),景洪(注8)の三つのダムから数十億トンの放流を行ったからだ,と主張している。

これに対して,メコン河委員会(注9)の事務局長は,あの洪水に対して中国のダムは責任がない,とかっての主張を繰り返した。そしてダムの責任を主張するラオス当局を非難した(と書いてある)。また漁業に対するダムの影響を問題にしている。これはメコン河委員会の漁業計画(注10)の意見でもある。フォーラムの主催者は,関係諸国のダム建設の抑制を主張した。

域内では,この先5年間で,ラオスが少なくとも7つのダム建設を進めており,その発電出力は7,470MWであり,他にタイとの協力で,3409MWを計画している。カンボジアも二つのダムを計画している,それは本流のスタントレン(注11)とサンボール(注12)である。

以上が記事の内容であるが,私は,中国の本流ダムの運用については,具体的な取り決めを進めた方がよいと思う。そうすると中国のダム建設を容認することになるから,なかなか手を付けられないのであろうが,今の状態では,どの様に放流されても,下流からのチェックが出来ない。上流のダムが満水の状態では,上流から入ってくる流量をそのまま下流へ,と言う原則も話し合えないのか。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080828D,(2) Chulalongkorn University,(3) “Mekong Mainstream Dams: Voices across Borders,”,(4) Greater Mekong Subregion,(5) Witoon Permpongsachareon, a coordinator with the Mekong Energy and Ecology Network,(6) Manwan,(7) Dachaoshan,(8) Jinghong,(9) Mekong River Commission (MRC),(10) Mekong River Commission Fisheries Program,(11) Stung Treng,(12) Sambor,(13)

●ネパール,プラチャンダー首相,インドとの水力開発に熱意

本HPの2008年11月14日(注15)でも触れたように,ネパールのプラチャンダ首相(注13)が,BISTEC(注14)首脳会議でニューデリーを訪問し,インドのシン首相(注16)と会談した後,テリーダム(注17)視察のために,ウッタラカンド(注18)のデラドウン(注19)を訪問する予定であったが,今日の記事は,そのウッタラカンド(注18)で怪気炎を挙げるプラチャンダ首相(注13)の様子である。

テリーダム(注17)を視察したプラチャンダ首相(注13)は,まず第一声,6,000MW,両国の境界付近に位置する巨大プロジェクト,パンチェスバール水力(注20)のインドによる協力で実現したい,と抱負を語った。このパンチェスバール水力(注20)は,テリーダム(注17)と同じように,数十万人規模の移住を必要としており,良い見本となる,としている。

記者会見で,貯水池開発か流れ込み式開発か,と聞かれたプラチャンダ首相(注13)は,両方だ,と答えている。でもこの質問した人は,やはりことの本質を見極めた上で質問したようで,ネパールの於ける貯水池式の開発は,河川環境や水没の問題もさることながら,ヒマラヤからの土砂流入への対処が問題であることを理解した上だろう。

(注) (13) Prime Minister Pushpa Kamal Dahal `Prachanda',(14) Bay of Bengal Initiative for Multi-sectoral Technical and Economic Cooperation (BIMSTEC),(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081114B.htm,(16) Dr. Manmohan Singh,(17) Tehri Dam,(18) Uttarakhand,(19) Dehradun,(20) Pancheshwar dam,(21)

●インド企業,論争の中,ネパールの水力,調査開始

ネパールの,402MW,アルン第3水力(注21)にとりついたインド企業SJVN(注22)は,地元民の抵抗を受けながらも,両国政府の強い要請で動き始めたようだ。既報のBISTEC(注14)首脳会議で,ネパールのプーデル水資源大臣(注23)が,インドのラメシュ副大臣(注24)に,早期着工を迫ったわけである。

一応国際入札で,SJVN(注22)はアルン第3水力(注21)を獲得したわけであるが,何しろ地元民の要求が激しいことと,ネパール国会でも一時,外国企業へのプロジェクト委譲が問題になった事情で,なかなか動けなかったが,とにかく,この奥地のプロジェクトに調査の楔を打ち込んだわけである。

このアルン第3水力(注21)の現地調査は24ヶ月が予定されており,この調査終了後,SJVN(注22)は再びプロポーサルをネパール電力庁NEA(注25)に提出して,それにより最終決定を受けることになっている。

(注) (21) Arun III hydropower project,(22) Satluj Jal Vidyut Nigam,(23) Nepal’s Water Resources Minister Bishnu Poudel,(24) Indian Minister of State for Power and Commerce Jairam Ramesh,(25) Nepal Electricity Authority (NEA),(26)

●ベトナム,住友などのアボン水力,105MW,第1号機運転へ

現地企業電力機械(注26)と住友商事が,EVN(注27)からターンキーで建設を請け負った,105MW,アボン水力(注28)の第1号機を完成して運転に入った。第2号機は2009年1月完成の予定である。アボン水力(注28)地点は,クワンナム県(注29)に位置し,2003年に着工し,完成が近づいている。年間発生電力量は815GWhである。

なお,この現地企業電力機械(注26)と住友商事の合弁は,55MWのプレイクロン水力(注30)も請け負っている。

(注) (26) Power Machines,(27) Electricity of Viet Nam (EVN),(28) A Vuong,(29) Quang Nam province,(30) Pleykrong hydropower plant

Reference

Vietnam

●081115A Vietnam, waterpowermagazine
住友などのアボン水力,105MW,第1号機運転へ
Vietnam sees first unit commissioned at A Vuong
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectioncode=130&storyCode=2051486

Nepal

●081115B Nepal, sindhtoday
インド企業,論争の中,ネパールの水力,調査開始
Satluj begins hydropower project survey in Nepal amid dissent

http://www.sindhtoday.net/south-asia/36135.htm
081115C Nepal, zeenews
プラチャンダー首相,インドとの水力開発に熱意
Nepal keen to work on hydropower projects with India: Prachanda
http://www.zeenews.com/nation/2008-11-14/483510news.html

Laos

●]081115D Mekong, irrawaddy
バンコクのフォーラム,中国のダムの放流に抗議
Chinese Dams Accused of Flooding the Region
http://www.irrawaddy.org/article.php?art_id=14633



2008年11月14日分 ー 金融危機とインドの電源開発 ー

世界20カ国の首脳がワシントンに集まっているが,考えてみると,欧州の伝統と規制に耐えられなかった人々が新大陸に逃げ出して,アメリカ合衆国を造ったのだから,欧州主導の金融規制強化の考えを米国は嫌がるのだろう。その欧州の人たちがワシントンにやってきた,何と言うことをしでかしてくれたのか,と言っているのだから,そう見ると面白い。

麻生首相は矢継ぎ早に日本の対応を打ちだして,テレビでも英語でやりとりしながら,元気に振る舞っているのは良いが,あの漢字,踏襲,未曾有,頻繁,などが読めなかったのは,我々国民としてもショックだ。だから漫画が好きなのか,やっと納得したわけだが,漫画を一生懸命読んでいる孫にも,麻生さんみたいになるぞ,と言ったら,「総理大臣?いいじゃない!」。

インドのシン首相もワシントンにいるのか。今日の記事でも,ネパールのプラチャンダ首相を相手に,ネパールの発展に協力を惜しまないことを告げている。インドのシン首相は本当にいい人だ。でも,その経済成長を電力不足が足を引っ張る,と言うことは,大変に困ったことだ。先日も,4,000MWクラス大規模火力開発構想UMPP(注2)の第3弾であるティライヤ地点(注3)が資金調達に行き詰まったばかりである。

ナットCEA総裁(注6)が,電源開発にどの様に実権があるのか,よく分からないが,ナットCEA総裁(注6)は,インドの進める第11次五カ年計画(注7)に含まれる92,000MWの開発に影響は与えないであろう,と自信をほのめかしている。78,000MWの目標であったのに,いつの間にか92,000MWに増やされている,大丈夫か,と思ってしまう。

どうしてインドは,中国に比べて,このように電源開発に手間取るのか。民主主義国家だからか,とも思ってしまう。2012年時点では,全設備は237,554.97MWに達する手はずである。現在のインド全体の発電設備は145,554.97MWで,その内訳は,火力が92,892.64MW,水力が36,347.76MW,原子力が4,120MW,再生可能エネルギーが11,194.57MW,となっている。

ナットCEA総裁(注6)が,電源開発の中でどういう立場にいるのか,問題であるが,ティライヤ地点(注3)の資金調達の遅れを目の前にしながら,ナットCEA総裁(注6)は強気である。CEAは,以前は許認可上.,強力な権限を持っていたが,現在では水力発電所に限って設計の審査を行っており,全体的には,電力分野の情報を司る機関に変わっているはずだ。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081106A.htm,(2) 4,000-mw ultra mega power projects (UMPPs),(3) Tilaiya,(4) the Asian Development Bank (ADB),(5) http://my.reset.jp/adachihayao/index081013.htm,(6) Central Electricity Authority Chairman Rakesh Nath,(7) the 11th Five-Year Plan,(8) the 12th plan (20012-17),(9)

本文

●インド,CEA総裁,金融危機は,電源開発に影響しないと

大規模な電源開発を進めなければならないインド,この重要な時期に世界の金融危機が発生して,インドを含むG20の首脳がワシントンに集まっている。本HPでも2008年11月6日(注1)に,4,000MWクラス大規模火力開発構想UMPP(注2)の第3弾であるティライヤ地点(注3)が至近調達困難に陥った,との報道が流れ,これに先立ってADB(注4)が,UMPP(注2)の規模を半分ぐらいにすべきだ,と提言している(注5)。

先日,ニューデリーで産業界の会合があり,その後でナットCEA総裁(注6)が記者団に語った。「現今の世界の金融危機が,インドの進める第11次五カ年計画(注7)に含まれる9,200MWの開発に影響は与えないであろう。現在のプロジェクトの進捗は順調である。」,と。また,「資金調達を終えたプロジェクトには政府が信用保証の手段を講じており,新しいプロジェクトについても同様の措置が執られる。」,と強調している。

更に,「今年度,2008年,の完成目標8,000MWは達成できる。第12次五カ年計画(2012〜2017年)(注8)で運転開始する予定の12,000MWも今のところ流動性のリスクは見られない。既に79000MWについては,既に開発のレールに乗っている。」,と語っている。

第11次五カ年計画(注7)(2007〜2011年)は,当初の目標78,000MWを92,000MWに上方修正し,2012年時点では,全設備は237,554.97MWに達する手はずである。現在のインド全体の発電設備は145,554.97MWで,その内訳は,火力が92,892.64MW,水力が36,347.76MW,原子力が4,120MW,再生可能エネルギーが11,194.57MW,となっている。

ナットCEA総裁(注6)が,電源開発の中でどういう立場にいるのか,問題であるが,ティライヤ地点(注3)の資金調達の遅れを目の前にしながら,ナットCEA総裁(注6)は強気である。CEAは,以前は許認可上.,強力な権限を持っていたが,現在では水力発電所に限って設計の審査を行っており,全体的には,電力分野の情報を司る機関に変わっているはずだ。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081106A.htm,(2) 4,000-mw ultra mega power projects (UMPPs),(3) Tilaiya,(4) the Asian Development Bank (ADB),(5) http://my.reset.jp/adachihayao/index081013.htm,(6) Central Electricity Authority Chairman Rakesh Nath,(7) the 11th Five-Year Plan,(8) the 12th plan (20012-17),(9)

●フィリッピンのCDM,プロジェクト数で世界第7位

フィリッピンの論調は,実現するかどうかは別としても,常に議論は真面目である,大学の学生みたいなところがある。アキノ大統領が就任した直後に,新設された計画担当部署のNEDAを訪問して,日本の国際協力を協議したことがあったが,まるで女子大に来て講義をしているような感じであったことを覚えている。CDM(注9)の担当部署は,素直にフィリッピンの実績を誇っている。

今日の記事。フィリッピンが,京都議定書(注11)に規定されたCDM(注9),これは地球温暖化ガス排出(注11)の抑制に繋がるが,登録されたプロジェクトの数が,世界51カ国の中で第7位にランクされた。喜んでいるのは,アティエンザ環境次官(注12)で,2008年11月20日にマラカニアン宮殿の英雄ホール(注13)で開催される,炭素削減と気候変動の他分野会議(注14)への,彼女のメッセージである。

後ながながと保健衛生への温暖化の影響などの議論が続く。数字を拾っておくと,世界銀行によれば,昨年のCDM(注9)での投資金額は13億ドルに上る。フィリッピンは,世界の1205のプロジェクトのうち20プロジェクトが登録された。2005年以来,フィリッピンでは77の申請が行われたが,登録されたのは20プロジェクトで,残りは審査中である。

プロジェクトの種類だが,メタンエネルギープラント(注15),風力,地熱,水力などの再生可能エネルギー,バイオマスとバイオガスプロジェクト(注16),小水力,流域管理,廃水処理(注17),ゴミ処理(注18)など多岐に亘る。

(注) (9) the Clean Development Mechanism (CDM),(10) the Kyoto Protocol,(11) greenhouse-gas emissions,(12) Environment Secretary Jose Atienza Jr. ,(13) the Heroes Hall in Malacanang Palace,(14) the multisectoral Carbon Cutting Congress versus Climate Change (CCCvsCC),(15) methane-to-energy plants,(16) biomass and biogas projects,(17) wastewater-treatment plants,(18) organic-waste composting projects,(19)

●ネパールのプラチャンダー首相,インドとの二国間,進捗検討

ネパールの新しい首相,プラチャンダ(注19),前回のインド訪問から,これが2回目のニューデリー訪問となる。インドのシン首相(注20)と2ヶ月ぶりに会談し,コシ川洪水(注21)へのインドの支援など,前回の合意事項について,更に見直しが行われた。

今回のプラチャンダ(注19)のインド訪問は,初めての国際会議への顔見せとなり,デリーで開かれたBIMSTEC(注22)の第4次首脳会議に出席した。このBIMSTEC(注22)の首脳会議では,通商,観光の他,水資源や電力が話し合われた。

プラチャンダ(注19)はこの後,テリーダム(注23)とデラドウンの森林研究所(注24)を訪問する。

(注) (19) Prime Minister Pushpa Kamal Dahal `Prachanda',(20) Dr. Manmohan Singh,(21) Koshi floods,(22) Bay of Bengal Initiative for Multi-sectoral Technical and Economic Cooperation (BIMSTEC),(23) Tehri Dam,(24) Institute of Forestry in Dehradun

Reference

Philippines

●081114A Philippines, businessmirror
フィリッピンのCDM,プロジェクト数で世界第7位
RP 7th on ‘carbon-cut’ projects list
http://businessmirror.com.ph/index.php?option=com_content&view=article&id=1961:rp-7th-on-carbon-cut-projects-list&catid=26:nation

Nepal

●081114B Nepal, isria.info
ネパールのプラチャンダー首相,インドとの二国間,進捗検討
Prachanda-Singh talks: Nepal, India review bilateral deals
http://www.isria.info/RESTRICTED/D/2008/NOVEMBER_13/diplo_13november2008_61.htm

India

●081114C India, Economic Times
CEA総裁,金融危機は,電源開発に影響しないと
No impact of global slowdown on power projects Rakesh Nath
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/No_impact_of_global_slowdown_on_power_projects_Rakesh_Nath/articleshow/3700539.cms



2008年11月13日 ー カンボジアのNGO天国終焉 ー

ブッシュ大統領は,まだこの期に及んで金融規制強化に対する牽制の演説を行っている。何となく,恥ずかしそうな,そうして自信のなさそうな顔で原稿に目を落としている姿が侘びしい。史上最悪の大統領と言われながら,まだ来年1月までこうして過ごさなければならないのも可哀相だ。日本のように,好きなときに,辞める,と一言言えば,次の日から代わりの人がやってくれる,それの方が良いか。ワシントンには20カ国の首脳が集まって,ブッシュ大統領の反省を求めようと,手ぐすね引いている。

さてカンボジア。1991年にパリ和平協定が成立して,いよいよ国連の復興支援が始まったとき,ある日,私はプノンペンにいた。そうして,シハヌークビルから荷揚げして,延々と連なる国連マークの付いた真っ白なジープの車列に出くわして,それが4,000台とも言われたときは,ちょっと待て,と言いたくなった。私たちは,壊滅的なプノンペンに5,000KWの発電所を造るべく来ていたのだ。あのジープを直列に繋いで発電すれば,明日から10,000MWの発電が出来る,叫んだほどだ。

援助関係者の天国と言われたプノンペン,記事にもあるが,年収数万ドルとも言われる援助関係者の郊外の大住宅村に邸宅建ち並び,近くに住む一日半ドルで生活している人々の目を奪っている。これはあくまで今日の記事の引用であるが,カンボジアの活動に関する費用はすべて免税になっていて,2000以上の団体が,プノンペンで活動しているという。

米軍の皮肉なキャッチフレーズに,「軍隊に来い,海外に行けるぞ,刺激的で異常な人々に会えるぞ,そうしてそれらの人々を殺すのだ。」,があるが,これをもじってカンボジアへの支援に誘う言葉.,「カンボジアの援助仲間に入れ,海外に行けるぞ,刺激的で異常な人々に会えるぞ,そうして大もうけをするのだ。」(注12)。ここでは勿論,殺すというキルと,大もうけと言う意味の,キリング,をかけているのだ。日本のテレビでも,絵を描いてカンボジアに学校を,とかやっていたが,カンボジアと言うと美談,と言うのが相場だ。

そうして,今まではこれらの日本や欧米の援助の手でやっと凌いできたフンセン首相(注1)は,選挙で地滑り的な勝利を挙げて政権を堅め,中国政府や中国企業のダムを含むインフラ建設への全面的な支援を得て,「もう少し日本も援助に力を入れてはどうか,」,と言って,日本の援助関係者を唖然とさせた。そうして,2008年9月26日,ラジオ放送を通じて,「カンボジアは,もう,NGOの天国とは言わせない!」,と宣言した。

ここで,もう一つの問題は,米国石油巨人シェブロン(注13)の探査見通しである。フンセン首相(注1)がじっと目をこらしているのは,専門家による見通し,2010年に始まると言われるフルスケールでの原油天然ガス生産,カンボジア政府に,年間,2億ドルとも20億ドルとも言われているこの原油天然ガスの収入である。これについては,既にNGO(注3)が警告を発している。原油に酔っぱらったフンセン首相(注1)が,何をするか分からないと。フンセン首相(注1)はここでNGO(注3)に対して,徹底的な財務監査を命ずる法律を起案する。

和平をこの手で実現した,と自負する日本政府から,フンセン首相(注1)とカンボジア政府が離れて行く。大規模開発という点では,若干日本政府も手を拱いたところがあった,と私も思っている。でも,本当の意味でのこの変化は,私の推測だが,中国が,ベトナムの原油ガスには手が付けられなかったが,カンボジアの油田ガス田に手を突っ込む,今が最後のチャンスと見たからだろう。そうでなければ,役に立つかどうか分からないカンボジア南西部の大規模ダムに,手を貸すことはないだろう。

(注) (1) Cambodian Prime Minister Hun Sen,(2) Consultative Group meetings,(3) the non-governmental organizations (NGOs),(4) Hun Sen’s Cambodia People's Party (CPP),(5) National Assembly,(6) Brett Sciaroni, chairman of Cambodia's International Business Association,(7) Khmer Rouge,(8) 1991 Paris Peace Accords,(9) Global Witness,(10) the UK-based rights lobby Amnesty International,(11) Brad Adams, executive director for Human Rights Watch's Asia Program,(12) 'Join the aid community. Travel to exotic, distant lands. Meet exciting, unusual people. And make a killing'.,(13) Chevron, the US energy giant,(14)


本文

●カンボジアに,遂にNGOの時代,終焉を告げる

私の短い職歴の中でも,これほど揺れ動いた国なはない。それでも,その間,フンセン首相(注1)は変わっていない。一体フンセン首相(注1)はいくつなのか,と思ったりする。フンセン首相(注1)がいなくなったらカンボジアはどうなるのか,と良く思うことがある。それでも,フンセン首相(注1)の行政に厳しい目を向けてきたのは,世界銀行や日本政府などの所謂援助国会議(注2)とNGO(注3)であった。しかし,その時代も終わるつつあると言うのが,この記事のポイントである。長いが読んでみて,要約してみよう。

完全な選挙で自分の王国を作り上げたフンセン首相(注1)は,原油ガスの潜在力爆発を目の前に,今まで20年以上に亘り自分たちの天下を謳歌してきたNGO(注3)を敵に回すことを決意した。今年,2008年9月末,フンセン首相(注1)は,2000以上の団体,NGO(注3)に対する完全な登録制度,それも厳しい財務報告義務を課す法律の実施に踏み切った。この法案は,数ヶ月内に,フンセン首相(注1)率いるカンボジア人民党CPP(注4)が多数を占める国会(注5)を通過すると想定されている。

フンセン首相(注1)は,2008年9月26日のラジオ放送を通じての演説で,「カンボジアは,NGO(注3)の天国が余りにも長すぎた。」,とし,NGO(注3)の報告書で何一つ有益なものを期待することは出来ない,「NGO(注3)は全くコントロールできない,NGO(注3)は自分たちの財務維持のため,政府を攻撃し続けてきた。」,とNGO(注3)の天国の終焉を告げた。これは,今までフンセン首相(注1)を財政的に支援してきた欧米グループのの代わりを,中国と韓国が肩代わりすることで,フンセン首相(注1)を決意させた。

カンボジア国際ビジネス協会のシアロニ会長(注6)は,「今までNGO(注3)が果たしてきた財務は,すべてカンボジア政府に移管される。」,と言い切った。この対NGO(注3)法案は,選挙で地滑り的な勝利を得たフンセン首相(注1)と,その政権の人権と汚職の体質を非難し続けてきたNGO(注3)との,象徴的な権力の移行を示すものである。

記事はここで,クメールルージュ(注7)の恐慌政治から,ベトナムの侵攻,欧米のベトナムへの制裁,パリの和平協定(注8)成立など,カンボジアの近代歴史に触れている。NGO(注3)が,この混乱の時期に果たした地雷撤去や人権などに対する評価は高い。しかし,政府高官の熱帯林不法伐採を糾弾した環境のグローバルウイットネス(注9)や人権団体(注10)には,政府も手を焼き始めた。世界銀行も,2006年には,一時支援を凍結し,フンセン首相(注1)の政権の名声を失わせる恐れが出てきた。

ここに現れたのは中国の援助で,西欧に比べれば,行政姿勢や透明性に関して,それほど注文はない。中国の支援は,水力発電や道路などのインフラ関連である。年間6億ドルに上った欧米の政府やNGO(注3)の支援に対して,フンセン首相(注1)は恒に不満を持っていたところである。人権ウオッチのアダム代表(注11)が,皮肉な表現を使っている。

米軍の皮肉なキャッチフレーズに,「軍隊に来い,海外に行けるぞ,刺激的で異常な人々に会えるぞ,そうしてそれらの人々を殺すのだ。」,があるが,これをもじってカンボジアへの支援に誘う言葉.,「援助仲間に入れ,海外に行けるぞ,刺激的で異常な人々に会えるぞ,そうして大もうけをするのだ。」(注12)。ここでは勿論,殺すというキルと,大もうけと言う意味の,キリング,をかけているのだ。とにかく,無税の優遇で,月1万ドル以上の報酬,郊外にNGO村と言われる豪華な邸宅を建てて,一日0.5ドルで生活する地元民から羨まれる,それがNGOだ,と言うのだ。

ここで,もう一つの問題は,米国石油巨人シェブロン(注13)の探査見通しである。フンセン首相(注1)がじっと目をこらしているのは,専門家による見通し,2010年に始まると言われるフルスケールでの原油天然ガス生産,カンボジア政府に,年間,2億ドルとも20億ドルとも言われているこの原油天然ガスの収入である。これについては,既にNGO(注3)が警告を発している。原油に酔っぱらったフンセン首相(注1)が,何をするか分からないと。

この記事は最後に,ダムや道路,原油やガスの生産は,中国の支援などで,これからも大いにフンセン首相(注1)を支援して行くだろうが,カンボジアに必要な教育と医療の支援は,無惨な状態に移行する可能性がある,と警告している。私の感覚であるが,中国が急にカンボジアのダムに投資を始めた背景には,このカンボジア沖での,原油ガス生産の兆しが大きなインセンティブになっているのではないか。

(注) (1) Cambodian Prime Minister Hun Sen,(2) Consultative Group meetings,(3) the non-governmental organizations (NGOs),(4) Hun Sen’s Cambodia People's Party (CPP),(5) National Assembly,(6) Brett Sciaroni, chairman of Cambodia's International Business Association,(7) Khmer Rouge,(8) 1991 Paris Peace Accords,(9) Global Witness,(10) the UK-based rights lobby Amnesty International,(11) Brad Adams, executive director for Human Rights Watch's Asia Program,(12) 'Join the aid community. Travel to exotic, distant lands. Meet exciting, unusual people. And make a killing'.,(13) Chevron, the US energy giant,(14)

本文

●カンボジアに,遂にNGOの時代,終焉を告げる

私の短い職歴の中でも,これほど揺れ動いた国なはない。それでも,その間,フンセン首相(注1)は動いていない。一体フンセン首相(注1)はいくつなのか,と思ったりする。フンセン首相(注1)がいなくなったらカンボジアはどうなるのか,と良く思うことがある。それでも,フンセン首相(注1)の行政に厳しい目を向けてきたのは,世界銀行や日本政府などの所謂援助国会議(注2)とNGO(注3)であった。しかし,その時代も終わるつつあると言うのが,この記事のポイントである。長いが読んでみて,要約してみよう。

完全な選挙で自分の王国を作り上げたフンセン首相(注1)は,原油ガスの潜在力爆発を目の前に,今まで20年以上に亘り自分たちの天下を謳歌してきたNGO(注3)を敵に回すことを決意した。今年,2008年9月末,フンセン首相(注1)は,2000以上の団体,NGO(注3)に対する完全な登録制度,それも厳しい財務報告義務を課す法律の実施に踏み切った。この法案は,数ヶ月内に,フンセン首相(注1)率いるカンボジア人民党CPP(注4)が多数を占める国会(注5)を通過すると想定されている。

フンセン首相(注1)は,2008年9月26日のラジオ放送を通じての演説で,「カンボジアは,NGO(注3)の天国が余りにも長すぎた。」,とし,NGO(注3)の報告書で何一つ有益なものを期待することは出来ない,「NGO(注3)は全くコントロールできない,NGO(注3)は自分たちの財務維持のため,政府を攻撃し続けてきた。」,とNGO(注3)の天国の終焉を告げた。これは,今までフンセン首相(注1)を財政的に支援してきた欧米グループのの代わりを,中国と韓国が肩代わりすることで,フンセン首相(注1)を決意させた。

カンボジア国際ビジネス協会のシアロニ会長(注6)は,「今までNGO(注3)が果たしてきた財務は,すべてカンボジア政府に移管される。」,と言い切った。この対NGO(注3)法案は,選挙で地滑り的な勝利を得たフンセン首相(注1)と,その政権の人権と汚職の体質を非難し続けてきたNGO(注3)との,象徴的な権力の移行を示すものである。

記事はここで,クメールルージュ(注7)の恐慌政治から,ベトナムの侵攻,欧米のベトナムへの制裁,パリの和平協定(注8)成立など,カンボジアの近代歴史に触れている。NGO(注3)が,この混乱の時期に果たした地雷撤去や人権などに対する評価は高い。しかし,政府高官の熱帯林不法伐採を糾弾した環境のグローバルウイットネス(注9)や人権団体(注10)には,政府も手を焼き始めた。世界銀行も,2006年には,一時支援を凍結し,フンセン首相(注1)の政権の名声を失わせる恐れが出てきた。

ここに現れたのは中国の援助で,西欧に比べれば,行政姿勢や透明性に関して,それほど注文はない。中国の支援は,水力発電や道路などのインフラ関連である。年間6億ドルに上った欧米の政府やNGO(注3)の支援に対して,フンセン首相(注1)は恒に不満を持っていたところである。人権ウオッチのアダム代表(注11)が,皮肉な表現を使っている。

米軍の皮肉なキャッチフレーズに,「軍隊に来い,海外に行けるぞ,刺激的で異常な人々に会えるぞ,そうしてそれらの人々を殺すのだ。」,があるが,これをもじってカンボジアへの支援に誘う言葉.,「援助仲間に入れ,海外に行けるぞ,刺激的で異常な人々に会えるぞ,そうして大もうけをするのだ。」(注12)。ここでは勿論,殺すというキルと,大もうけと言う意味の,キリング,をかけているのだ。とにかく,無税の優遇で,月1万ドル以上の報酬,郊外にNGO村と言われる豪華な邸宅を建てて,一日0.5ドルで生活する地元民から羨まれる,それがNGOだ,と言うのだ。

ここで,もう一つの問題は,米国石油巨人シェブロン(注13)の探査見通しである。フンセン首相(注1)がじっと目をこらしているのは,専門家による見通し,2010年に始まると言われるフルスケールでの原油天然ガス生産,カンボジア政府に,年間,2億ドルとも20億ドルとも言われているこの原油天然ガスの収入である。これについては,既にNGO(注3)が警告を発している。原油に酔っぱらったフンセン首相(注1)が,何をするか分からないと。

この記事は最後に,ダムや道路,原油やガスの生産は,中国の支援などで,これからも大いにフンセン首相(注1)を支援して行くだろうが,カンボジアに必要な教育と医療の支援は,無惨な状態に移行する可能性がある,と警告している。私の感覚であるが,中国が急にカンボジアのダムに投資を始めた背景には,このカンボジア沖での,原油ガス生産の兆しが大きなインセンティブになっているのではないか。

(注) (1) Cambodian Prime Minister Hun Sen,(2) Consultative Group meetings,(3) the non-governmental organizations (NGOs),(4) Hun Sen’s Cambodia People's Party (CPP),(5) National Assembly,(6) Brett Sciaroni, chairman of Cambodia's International Business Association,(7) Khmer Rouge,(8) 1991 Paris Peace Accords,(9) Global Witness,(10) the UK-based rights lobby Amnesty International,(11) Brad Adams, executive director for Human Rights Watch's Asia Program,(12) 'Join the aid community. Travel to exotic, distant lands. Meet exciting, unusual people. And make a killing'.,(13) Chevron, the US energy giant,(14)

●インドの原子力産業,米印協定で,一大ブームへ

インドの原子力産業の将来については,本HPでも,2008年10月3日(注14)に扱っている。大体同じような内容だが,このときは,ライス国務長官が10月10日にインドを訪問して米印原子力協定(注16)に署名するという時期で,協定としては4年かかっての最終段階に到達,世界にこのニュースが飛び交い,中にはNPT未加盟と言うことで,非難の声も聞かれる状態であった。インドは歴史的な出来事として祝賀ムードにあった。

今日の記事は,同じような問題を扱っているが,「インドの希望,原子力エネルギー(注15)」,と題するバラット(注15)の報告書を元にしている。インドの電力不足は,2008年現在10%に上っており,今の需要の伸びと低い電力生産の伸びから,更に悪化する見通しである。このインドの電力不足は,インドの経済成長を妨げる要因として心配されている。そこで政府は,これを解決するための手段として,原子力開発に期待をかけている。現在の原子力は4,000MWであるが,今後は飛躍的に伸びる,と期待されている。

この報告書(注15)は,広範にインドの原子力開発を論じたもので,将来の方向を示唆している。また,この原子力の開発に主要な役割を演ずるであろうインド企業として,L&T(注17),BHE(注18),ワルチャンナガール(注19),ヒンドウスタン建設(注20),ロルタ(注21),ガモンインディア(注22),アバサララ技術(注23),などを挙げている。効いたことのない企業が一杯出てきた。

(注) (14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081003.htm,(15) http://www.bharatbook.com/Nuclear-Energy-A-New-Hope-for-India.asp,(16) Indo-US nuclear deal,(17) Larsen & Toubro Limited,(18) Bharat Heavy Electricals Ltd,(19) Walchandnagar Industries Ltd,(20) Hindustan Construction Co. Ltd,(21) Rolta,(22) Gammon India,(23) Avasarala Technology Ltd

●ドイツ,パキスタン政府と,援助に関し,外交文書交換

騒乱のパキスタンへ,ドイツ政府がが総合的な支援に関する合意書に署名した。イランの外交官が何者かに拉致された日である。内容は,81百万ユーロの供与を含む開発協力に関する外交覚書(注24)で,分野は,教育,保健,少額融資,貧困削減,である。ベルリンを訪問したのは,パキスタン政府経済省カユム次官(注25)に率いられた使節団で,対応したのは,ドイツ経済協力省のキツエルト担当局長(注26)である。

この支援の中には,既にドイツが77百万ユーロを供与してきたキャルクバール水力(注27)に対する新たな20百万ユーロが含まれている。ドイツは,北西辺境州に対して,従来から小水力の支援を行ってきた。私も,当時から,ドイツはよくあの危険な辺境で支援をするなあ,と感心していたが,これもその一環なのであろう。

(注) (24) a Protocol on Development Cooperation,(25) Secretary, Economic Affairs Division Farrakh Qayyum,(26) Dr Friedrich Kitschelt,
Director General for Asia and South-Eastern Europe Division of the German Ministry for Economic Cooperation
,(27) Kyal Khwar Hydropower Project,(28)

Reference

Pakistan

●081113A Pakistan, APP
ドイツ,パキスタン政府と,援助に関し,外交文書交換
Germany Pakistan sign protocol on development cooperation
http://www.app.com.pk/en_/index.php?option=com_content&task=view&id=58991&Itemid=2

India

●081113B India, prminds
インドの原子力産業,米印協定で,一大ブームへ
Indian nuclear power industry is set to boom post Indo-US nuclear deal
http://www.prminds.com/pressrelease.php?id=6733

Cambodia

●081113C Cambodia, Asia Times
カンボジアに,遂にNGOの時代,終焉を告げる
The end of an NGO era in Cambodia
http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/JK14Ae02.html



2008年11月11日 ー インドの電力プール市場 ー

中国山脈も,秋まっただ中,宮本武蔵の郷で測量作業に熱中して,更新が遅れました。それにしてもこの2日間,日本列島は素晴らしい秋晴れでしたね,雲一つなかった。HPに写真あり。それで測量現場は混雑していて驚きました。どうもおかしいな,と思うのは,大阪や東京では若い人たちが仕事と戦いながら,また生活と戦っているのに,どうして測量現場は,健康な老人で埋まっているのですかね,アンバランス。

先日も,学校の先生が予算不足で足りない,と各地で先生のやりくりに困っている,と言うニュースのすぐあとで,中央官庁の出先機関に,予算と人が多すぎる,と言っていた,アンバランス。不足の医者の代わりに,と言うわけには行かないが,農林省や国土省の出先機関の人で,学校の先生に予算付きで派遣,と言うのは出来るのではなかろうか。

今日のニュースで,国連人口基金UNFPAの人口予測,2050年時点で,インドの人口は世界最大となり,16.58億人,中国が14.8億人,パキスタンが2.9億人,と書いてあった。意外に伸びない,と言うのが私の感想だが,インドも中国も,2050年までには,どこかで少子化が起こるのだろう,中国は既に少子化の方向。2050年のインドの測量現場で老人が溢れている状況,想像すると,笑ってしまう。

先日,IEAが,2030年の原油価格バレル200ドル,をこのHPで紹介したが,今日は他の新聞がそれを紹介していた。その記事が日本語で出た今日,皮肉にもドバイ原油が50ドルまで落ちたとか。今,中東は日本のジェネコンでごった返しているらしいが,原油価格下落が,また日本のジェネコンに悪い影響を及ぼさなければよいが。でも,昨夜は大手ジェネコンの経営悪化がニュースになっていた。


インドは,今週月曜日,2008年11月10日,第2次の電力市場取引を開始した。この2〜3年後,十分な電力が確保されると,取引量が急激に増えるものと期待している。インド電力市場取引会社PXIL(注1)のRDシン社長(注2)は,「電力市場は伸びている。取引量はまだ少なく,まだ2〜3年は待たなければならないことは事実だ。しかし,現在の1,000MWの規模の30〜40倍になるものと期待している。」,と。

(注) (1) the Power Exchange India Ltd (PXIL),(2) Rupa Devi Singh, chief executive officer of the Power Exchange India Ltd (PXIL),(3) the Indian Energy Exchange,(4) the head of the Indian Energy Exchange, Jayant Deo,(5) NTPC Ltd,(6) NHPC,(7) Tata Consultancy Services,(8) National Stock Exchange,(9) National Commodities and Derivatives Exchange,(10) State-run Power Finance Corp,(11) JSW Energy,(12) GMR Energy,(13) Jindal Power Ltd,(14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080909D

本文

●インドの電力プール市場,第2弾が発足へ

インドの電力取引については,2008年9月10日の時点で,このHPでも扱っている(注14)。その中で,「インドもいよいよプール市場の創設を進める決意をしたようだ。タタ財閥系のタタコンサルタント(注7)が技術的な中心となる。」,と書いているが,今日の記事では,既にインド電力市場取引会社PXIL(注1)が動いていたようだ。しかし,インドではまだ電力不足の状態で,とても本格稼働とは行かないようだ。

インドは,今週月曜日,2008年11月10日,第2次の電力市場取引を開始した。この2〜3年後,十分な電力が確保されると,取引量が急激に増えるものと期待している。インド電力市場取引会社PXIL(注1)のRDシン社長(注2)は,「電力市場は伸びている。取引量はまだ少なく,まだ2〜3年は待たなければならないことは事実だ。しかし,現在の1,000MWの規模の30〜40倍になるものと期待している。」,と。

インドは,2012年までに,発電設備を現在の50%以上,78,000MW新規開発することを計画している。この新規開発分の15%は,商業取引可能であり,取引市場で売買可能である。しかし,インドエネルギー取引PXIL(注3)のデオ会長(注4)は,市場の取引が少ない状態で多くのプレーヤーが参加することは,皆が生き残ることは大変に難しい,と見ている。この第2次に続いて,第3の市場を,有力電力企業である火力公社NTPC(注5),水力公社NHPC(注6),タタコンサルタント(注7)が設立することを計画している。

全国の多くの地域の需要の多様性で,大きな潜在力を持っているにもかかわらず,交渉や,短期,中期の契約,などを通じて取引されている電力は,現時点で僅かに3%にしか過ぎない。現在取引可能な電力量は,日当たり1,500万KWhである。デオ会長(注4)は,インドエネルギー取引PXIL(注3)の市場に数週間から数ヶ月のレンジでの取引を導入するよう,規制委員会に求めている。

インドエネルギー取引PXIL(注3)は,国家株式市場(注8)と国家商品デリバティブ市場(注9)と合同でスタートしている。このインドエネルギー取引PXIL(注3)には,電力融資公社PFC(注10),JSWエネルギー(注11),GMRエネルギー(注12),ジンダール電力(注13)が,参入している。

(注) (1) the Power Exchange India Ltd (PXIL),(2) Rupa Devi Singh, chief executive officer of the Power Exchange India Ltd (PXIL),(3) the Indian Energy Exchange,(4) the head of the Indian Energy Exchange, Jayant Deo,(5) NTPC Ltd,(6) NHPC,(7) Tata Consultancy Services,(8) National Stock Exchange,(9) National Commodities and Derivatives Exchange,(10) State-run Power Finance Corp,(11) JSW Energy,(12) GMR Energy,(13) Jindal Power Ltd,(14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080909D

Reference

India

●080911A India, Economic Times
インドの電力プール市場,第2弾が発足へ
India launches second power exchange
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_launches_second_power_exchange/articleshow/3696351.cms



2008年11月10日 ー インドのクリーン計画へADB8億ドル ー

今日は寒いですね。昨夜から今朝にかけては,題材の選択に悩みました。世界の金融危機の影響で,インドの石炭火力の資金調達に遅れが出ていることや,フィリッピンで,ここ半年の海外資金の流入が急激に落ちていることなど,問題がいろいろと出ているが,まだまとまって書けるほど資料がない。中国が全世界に手がけている膨大な投資に影響が出ると,大変だと思う。

昨日,2008年11月10日,夜になって急いで書いたフィリッピン,ミンダナオのマイクロ水力の解説で,コメントを貰った。私にも論理の飛躍があったが,30万平方kmの国土に15平方kmに一カ所マイクロ水力を置くと,と言う仮定のところがおかしいという。フィリッピン政府が,再生可能エネルギーで30億ドル(年間だと思うが)の海外燃料の節約が出来る,と言っている。

お金の換算は別として,あのミンダナオのマイクロ水力35KWが1,500万円と言っているから,まあ一カ所1,500万円節約できる,とちょっと飛躍した分けで,30億ドルを1,500万円で割ると2万カ所になる。フィリッピンの国土面積30万平方kmを2万で割ると15平方km,とした分けで,ちょっと乱暴だったところを,いつも細かい友人に突かれてしまった。

序でだが,今度,東京駅の9番,10番ホームの屋根3,000平方mに太陽光パネルを据え付けて,390KWを出すと言っている。太陽光電池の定格出力はKW当たり10平方mであるから,35KW出そうとすると,350平方mでこと足りる。マイクロ水力がこの例ではKW当たり50万円であるのに対し,東京駅は11億円と言っているから,KW当たり280万円。やはりマイクロ水力が安い。

太陽光も,バイオも風力も,またマイクロ水力も,各地に一様に分散する,と言う点では,まあ大体似た感じだろう。だから,原子力や黒四などの水力を極狭いところに造って,1億2,000万人が生活している日本は,なかなか頭がよい,と言いたいのだが。公害は出来るだけ狭いところに閉じこめた方が,対処がしやすい,と考えたのだろう。だから電気自動車の発想も,発電は電力会社に任せて,自動車は自分では公害を出さない,と言うことだ。

今朝の新聞のコラムに書いてあったが,今から83年前,1925年,豊田左吉が,「理想的蓄電装置」,のアイディア募集を行ったらしい。その時のスペックが,出力100馬力,継続時間36時間,重量225kg,で賞金は今のお金になおして10億円。これで行けば小型飛行機なら飛ぶという。現在のリチュームイオンでは,どうにもならないと言う。予想もつかないような発明がなければ出来ない,とトヨタの瀧本副社長が言っているそうだ。やはり発電所で水素を造って,水素で走ったり飛んだりする,というのが正解なのか。

今日の記事で,ADBがインドへ8億ドルのローン。ヒマチャルプラデシュ(注4)州としては過去最大の投資に匹敵する。対象は,111MW,サウラ-クドウ水力(注12),カシャング第1,2,3(注13),計195MW,100MW,サインジ水力(注14),402MW,シャントンカルチャム水力(注15)である。ヒマチャルプラデシュ(注4)州のドウマル首相(注16)によると,全部で年間発生電力量は34.34億KWhである。

明日から一泊で津山の測量に行って来るので,ちょっと更新が遅れるかも知れません。


本文

●インド,ヒマチャルプラデシュ,水力開発でADBが8億ドル支援

この記事は既報で,2008年10月24日に本HP(注1)でも扱っている。今回は,この月曜日,デリーで正式に覚書に署名されたもので,新たに対象地点など,記事で明らかにされている。前回私は,ADB(注2)が,流れ込み式水力(注3)にこだわっているところに注目した。大ダム建設による下流の流量の変化の問題に関わりたくない,との意思表示である。

今日の記事によると,合意書への署名は,インド財務省モハン局長(注5),ADBの近藤インド担当(注6),それにヒマチャルプラデシュ(注4)州政府から,ミッタル電力担当(注7),シャーマン電力局担当(注8),州電力公社(注10)のカポール総裁(注9)らにより,デリーで2008年11月10日に行われた。報道官によると,このローンは,州電力公社(注10)による大中規模の水力開発に適用されるが,基本計画は,クリーンエネルギー投資プログラム(注11)である。

この8億ドルのローンは,ヒマチャルプラデシュ(注4)州としては過去最大の投資に匹敵する。対象は,111MW,サウラ-クドウ水力(注12),カシャング第1,2,3(注13),計195MW,100MW,サインジ水力(注14),402MW,シャントンカルチャム水力(注15)である。ヒマチャルプラデシュ(注4)州のドウマル首相(注16)によると,全部で年間発生電力量は34.34億KWhである。

4つのプロジェクトの総工事費は15億ドル,750億ルピー相当,であるが,このうち,ADBの8億ドルが,国際債券方式(注17)で供与される。これはプロジェクトの53%に当たり,残りは,資本参入などで賄われる。ADBよりインド政府に供与されたこのローンは,供与90%,ローン10%の割合で,中央政府より州政府に委譲される。このときのローンは25年償還である。

いずれにしても,ADB(注2)が,インドの一州に8億ドルのローンを供与するのは,中央政府から州政府への委譲という形にせよ異例であり,その背景には注目する必要がある。ヒマチャルプラデシュ(注4)州が,クリーンエネルギー投資プログラム(注11)の基本計画を確立したあとで,具体的な水力プロジェクトの開発に取りかかったことは,ADB(注2)にとっては,非常にやりやすかったのではなかろうか。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024D.htm,(2) The Asian Development Bank (ADB),(3) run-of-river hydropower generating plants,(4) Himachal Pradesh,(5) Govind Mohan, director infrastructure with central ministry of finance,(6) Tadashi Kondo country director Asian Development Bank,(7) Ajay Mittal principal secretary power Himachal government,(8) Jagish Sharma, member finance HP State Electricity Board,(9) Tarun Kapoor MD HP Power Corporation Ltd,(10) HP Power Corporation Ltd,(11) clean energy development investment program,(12) Sawra-Kuddu (111MW),(13) Kashang-I, II and III (195MW),(14) Sainj Project (100MW),(15) Shongtong Karchham Project (402 MW),(16) Chief minister Prem Kumar Dhumal,(17) a multi-tranche financing facility,(18)

Reference

India

●081110D India, himachal.us
ヒマチャルプラデシュ,水力開発でADBが8億ドル支援
Himachal Inks $800 Million Loan Agreement With ADB
http://himachal.us/2008/11/10/himachal-inks-800-million-loan-agreement-with-adb/7818/general/ravinder



2008年11月9日分 ー フィリッピンのマイクロ水力 ー

今日は肌寒い中,吉川で測量作業,更新が遅れました。久しぶりに中国道を西に走ると,山々が色づいて,秋の深まりを改めて感ずる。明後日は津山まで走るので楽しみであるが,また更新が遅れてニュースが貯ってしまうと大変だ。以前は大体2時間で片づけるように頑張っていたが,最近は少しのめり込みすぎて時間がかかってしまう。今日のようなニュースは,どうでも良かったかな,とも思う。

今日のニュースを一覧したところ,やはり中国の緊急対策,2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模,が目を引いてしまう。2008年11月14日に,G20の緊急サミットが開かれるのを前に,「中国経済の比較的速い成長の維持が世界に対する最大の貢献」(温家宝首相)と書いてあるので,会議では中国ばかりが目立つことになるだろう。

フィリッピンの再生可能エネルギーへの入れ込みは,本当に実現性があるのかどうか,不安になってしまう。理想主義的な議員達の発想で,関連機器類への無税,関係箇所の7年間所得税免税,の優遇措置で,輸入燃料の節約によって,30億ドルの節約が出来る,と言うのが宣伝文句である。太陽光発電,海洋発電,バイオマス,流込式水力発電,などを再生可能エネルギーとして挙げている。

今日の記事は長文だが,前半は殆ど,ミンダナオ島の町で実施されようとしている小水力開発の物語が書いてある。ミンダナオ島の中部の町,ブルドン(注2)から発信された記事だが,そこを流れるクマギンキン川(注3)がまさか電気を生み出すとは思っていなかったラナオデスール(注6)の南東,二つの村,カリム(注4)とミナベイ(注5)の住民の話である。

マイクロ水力の建設費は740万ペソ,約15.3万ドル相当,で出力は35KW,完成は2008年,107世帯が蛍光灯に照らされたとき,村中がお祭り騒ぎになってしまった。それは,村人総動員で,約1kmの水路を掘削し,コンクリート打設を手伝ってきた成果であった。ミンダナオ電化組合(注8)のテトチ組合長(注12)は,この技術は非常に簡単で,運転も容易である,と喧伝している。

再生可能エネルギーの中に水力を入れるのかどうか。米国のオバマ大統領候補にしても,中国政府にしても,再生可能エネルギーの割合を表現するときは,必ず水力を入れて計算してくる。私も,再生可能エネルギーと言えば水力のことだ,と思うのだが,大規模水力は再生可能エネルギーとは言わない,と言う人もいる。環境への影響を言っているのだが,それは本当はプロジェクトによるのだと思うがどうだろう。

今日,ミンダナオで大騒ぎしているのは,35KWのマイクロ水力だ。これを全土の僻地に同じ手法を適用して行く,それを進めれば30億ドルの節約になる,と言うのだが,ちょっと飛躍がありすぎる。35KW,2万箇所開発しなければ,30億ドルのレベルには達しない。国土面積を30万平方kmとすれば,1カ所当たり15平方kmですよ,15平方kmにマイクロ水力が一つづつある,そんなことが出来ますか。

例えば,黒四は,100平方kmの流域面積を使って30万KW出している。平方km当たりにすると3,000KW,15平方kmとすると45,000KW,マイクロ水力は35KWですよ。私はこれを,「地球上のエネルギー・インテンシティ」,と呼びたい。出来るだけ小さい地球上の面積で,出来るだけ大きいエネルギーを生み出す,という意味だ。

勿論,原子力がおそらくインテンシティ最大であろうが,バイオや石油,ガスに比べれば,大規模水力の方がインテンシティが大きくて,マイクロ水力より地球への負荷が小さい,と言えるだろう。何も大きな水力をやろうと言うのではなくて,マイクロ水力が如何に無駄か,を言いたいのである。CDMの対象は,水力の中ではマイクロ水力だけ,と言う人もいるが,大きな間違いだと思うのですが。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) Buldon,(3) the Kumaguingking River,(4) Karim,(5) Minabay,(6) Lanao del Sur,(7) Philippine Energy Plan,(8) the Alliance for Mindanao Off-grid Renewable Energy (Amore) Program,(9) the United States Assistance for International Development (USAID),(10) the Philippines Department of Energy,(11) Winrock International,,(12) Amore chief Tetchi Cruz-Capellan,(13) Energy Undersecretary Zamzamin Ampatuan,(14) the Renewable Energy Act,(15) President Arroyo,(16)


本文

●フィリッピン南部,再生可能で,小水力開発に挑戦

2008年10月10日(注1),本HPの記事で,「フィリッピン国会,再生可能エネルギー報告を了承」,として,再生可能エネルギー開発のための16項目以上に亘る対策を,昨年の11月から検討に入り,今年の5月に最終段階に入っていたこと,今回の決議は,速やかな措置を関係機関,エネルギー省,NAPOCORなどに命ずるもので,まず,再生可能エネルギー開発の枠組みを整え,開発し,それを国家送電網の中に組み込む,という内容であった。

目標は,エネルギーの自立率,2005年の566%を2010年に60%に上げる。その手段は,太陽光,風力,水力,波力,バイオマス,である,としている。エネルギー省の見立てでは,この10年間で2,500MW開発可能としている。投資意欲を引き起こすことが基本で,これらの開発に関しては,事業税を現行の30%から10%に引き下げる,その関連施設の固定資産税を1.5%にシーリングする,送電網の組み入れを優先する。

今日の記事は長文だが,前半は殆ど,ミンダナオ島の町で実施されようとしている小水力開発の物語が書いている。ミンダナオ島の中部の町,ブルドン(注2)から発信された記事だが,そこを流れるクマギンキン川(注3)がまさか電気を生み出すとは思っていなかったラナオデスール(注6)の南東,二つの村,カリム(注4)とミナベイ(注5)の住民の話である。

この川から電気が生まれるという,住民にとっては夢のような話が生まれたのは,政府のフィリッピンエネルギー計画(注7),ミンダナオ電化組合(注8)のお陰で,このカリム(注4)とミナベイ(注5)の村は,2010年までに電化される多くの村の中の一つである。USAID(注9)とフィリッピンエネルギー省(注10)が費用を準備し,ウインロック社(注11)が実施企業となって,2007年11月から調査を開始した。

マイクロ水力の建設費は740万ペソ,約15.3万ドル相当,で出力は35KW,完成は2008年,107世帯が蛍光灯に照らされたとき,村中がお祭り騒ぎになってしまった。それは,村人総動員で,約1kmの水路を掘削し,コンクリート打設を手伝ってきた成果であった。ンダナオ電化組合(注8)のテトチ組合長(注12)は,この技術は非常に簡単で,運転も用意である,と喧伝している。

エネルギー省のアンパトウアン次官(13)は,再生可能エネルギー法(注14)が上下両院を通過した暁には,系統から独立した僻地での太陽光発電,海洋発電,バイオマス,流込式水力発電などを通じて,石油や石炭の輸入代金が減じ,30億ドルの節約が出来る,と説明している。更に,このマイクロ水力の方法は,あらゆる山村で可能なので,今回のミンダナオの例は,まさしくそのパイロットプロジェクトであると。アロヨ大統領(15)の署名によって再生可能エネルギー法(注14)が成立すると,機器は無税で,7年間の所得税が免除される。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) Buldon,(3) the Kumaguingking River,(4) Karim,(5) Minabay,(6) Lanao del Sur,(7) Philippine Energy Plan,(8) the Alliance for Mindanao Off-grid Renewable Energy (Amore) Program,(9) the United States Assistance for International Development (USAID),(10) the Philippines Department of Energy,(11) Winrock International,,(12) Amore chief Tetchi Cruz-Capellan,(13) Energy Undersecretary Zamzamin Ampatuan,(14) the Renewable Energy Act,(15) President Arroyo,(16)

●マニラ配電,今月より発電チャージ,0.3ペソ上乗せ

フィリッピンの高い電気代,その批判のやり玉に挙がっているマニラ配電(注16)の電気料金については,ここしばらく姦しい。このHPでも,2008年10月28日(注17)に,「ERC,世論の負け,マニラ配電の値上げを延期」,10月30日(注18)に,「マニラ電力,世界金融危機に際して,今年収益変わらずと期待」,また11月7日(注19)には,「フィリッピン,半導体業界,電力料金下げを,再度要請」,と記事が続く。

今日の記事。マニラ配電(注16)の電気料金に,天然ガスを使用しているIPPの経費加算を主因として,今月より0.3ペソ,約0.62セント相当,上乗せされる。その結果,KWh当たり発電チャージが,4.463ペソであったものが,4.76319ペソ,約9.837セント相当,となる。マニラ配電(注16)系列のIPP,ファーストガス(注20)の分が40%を占めている。

フィリッピンの天然ガスの価格は,原油の国際価格と連動することになっている。マニラ配電(注16)のペナ副社長(注21)は,今回の値上げ分は,備蓄されていたもので,40%安くなっている,この措置は今年の年末までである,と念を押している。この価格は,6ヶ月の結果で結果で決定されるから,今回分は,2008年4月から9月までの価格に相当する。従って,安くなるのは,2009年1月からになる。

(注) (16) Manila Electric Company (Meralco),(17) http://my.reset.jp/~adachihayao/081028A.htm,(18) http://my.reset.jp/~adachihayao/081030A.htm,(19) http://my.reset.jp/~adachihayao/081107B.htm,(20) First Gas,(21) Meralco vice president and utility economics head Ivanna dela Pena,(22)

Reference

Philippines

●081109A Philippines, Manila Bulletin
マニラ配電,今月より発電チャージ,0.3ペソ上乗せ
Meralco generation charge up by P0.30/kWh this month
http://www.mb.com.ph/BSNS20081109140319.html
●081109B Philippines, .gmanews
フィリッピン南部,再生可能で,小水力開発に挑戦
Tapping renewable energy: Micro-hydro power sparks hope in the war zone village in southern Philippines
http://www.gmanews.tv/story/132308/Tapping-renewable-energy-Micro-hydro-power-sparks-hope-in-the-war-zone-village-in-southern-Philippines



2008年11月8日分 ー カンボジアの多彩な水力開発 ー

十分ではないが,アジアのエネルギーの他,アフリカ,南米,中東,中央アジアの各エネルギー最前線情報,及び,再生可能エネルギー,地球温暖化問題も,時勢に押されてピックアップしている。HP(注36)を見て頂きたい。オバマ大統領候補の再生可能エネルギー政策を日本語で解説したのは,このHPが最初ではないか。再生可能と温暖化は,面倒くさいが,エネルギー全体を議論するためには,やむを得ないか。明日は吉川で測量作業のため,少し遅くなる。

北京で,技術移転推進へ枠組み創設を,温暖化対策で宣言する国際会合が開かれていたらしい。中国政府が国連と共同で開いた,と言う趣旨であるが,京都議定書に盛り込まれたクリーン開発メカニズム(CDM)だけでは,途上国としては不満,と言うのが出発点で,主として途上国の意見として,資金協力や技術移転を先進国に要請する内容のようだ。時事通信の記事による。

さて今日は,カンボジアの水力開発が話題になる。記事は二つともプノンペンポスト(注1)で,地点の解説など十分でなく,私でさへもカンボジアの水力開発については,全く混乱している。地名は盛んに出てくるけれども,プロジェクトの具体的な姿が浮かび上がってこない。中国が中心になって進めている性で,従来,カンボジアなどが進めてきた水力プロジェクトを,大きく変えているようだ。今日の記事は,カンボジア西南部のコーコン(注7)などに関連した環境グループの話と,カンボジア中部,プルサット(注16)の水力開発が話題になっている。

カンボジア東部の開発については,かなり具体的な資料を手にしているが,西部の開発については分からない。具体的な地点名を記事から抜き出してみる。

キリロム第3水力(注8),18MWは,既設キリロムの上流にあたるのだろう。スタンカムチャイ(注37)は従来から有望視されているが,中国が考える規模は270MWで,我々の考える規模の倍以上だ。10億ドルで,スタンタタイ(注5)とスタンタラッセイチュルムコルム(注6)の二つの水力開発を中国が約束しているが,詳細は分からない,西南部のコーコン(注7)だろう。また今日出てきたプルサット(注16)関連の4つのダムというのは,全出力700MWと書いてあるが,私の感じではせいぜい100MWのポテンシャルである。

私の想像では,中国側が全体に亘って洗い直し,ダムの高さを,100m〜200mなど極端に上げたり,水路トンネルを10kmはおろか20kmぐらいに延ばして,しかも,ピーク時間を6時間ぐらい,稼働率を30%ぐらいまで下げて,そうしてとにかく大規模な出力を狙った,としか思えない数字である。各地で,各国で,水力の出力不足による停電が頻発している。アフリカ,パキスタン,インド,ベトナムなどである。水力の出力規模の最適化に問題があると感じている。

(注) (36) http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm,(37) Kamchay,(38)

(注) (1) http://www.phnompenhpost.com/,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080918B,(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080828F,(4) Seng Bunra, Cambodia’s country director for Conservation International, a non-governmental organisation (NGO),(5) Stung Tatay dam,(6) Stung Russey Chrum Krom dam,(7) Koh Kong hydropower development,(8) the 18mw Kirirom III hydropower dam,(9) a new hydropower dam on the Steung Pongrul river,(10) the Rivers Coalition in Cambodia,(11) the American Friends Service Committee,(12) environmental scientist Wayne McCallum, the author of the report,(13) Moeng Mean, a community representative from Sre Ambel district,(14) Um Serey Vuth, research team leader at SAWAC,(15) the Ministry of Environment,(16)

(注) (16) Pursat,(17) Tonlesap,(18) Battambang,(19) Cardamom Mountains,(20) Yim Nareth, director of the Pursat Electricity Department,(21) the Pursat Power Supply Company,(22) the Ministry of Industry, Mines & Energy,(23) Tun Leang, deputy director general of the Department of Energy Development,(24) Ngy Say, deputy executive director of NGO Forum,(25)

本文

●カンボジア,コーコンのダム建設,付近住民へ,影響

カンボジアの電力官僚の周囲は,完全に中国人エンジニアーに取り巻かれているのだろう,と想像を述べてきたが,今日のプノンペンポスト(注1)の二つの記事も,具体的にどの地点を指しているのか,よく分からない。このHPでも,2008年9月18日(注2)と2008年8月28日(注3)で報告している。特に8月23日の記事では,具体的に中国の,カンボジア水力への開発支援が,NGOの目から見て取り上げられていた。

8月28日(注3)の記事では,国際的な環境NGOであるコンサベーションインタナショナルのカンボジア代表センブンラ氏(注4)の語るところを中心に書かれている。中国のダム支援は年間6億ドルに上って,他の日本を含めた欧米支援国のそれと同額まで来ている。先日も中国の楊外交部長が,10億ドルで,スタンタタイ(注5)とスタンタラッセイチュルムコルム(注6)の二つの水力開発を約束している。

また別の記事から,7月4日午後、中国水電建設集団(シノ・ハイドロ)国際事業有限公司とカンボジア工業鉱業エネルギー省は、中国の温首相とカンボジアのフンセン首相同席の下カンボジアのカムチャイ水力発電事業の契約式を行ったことが発表されている。246MWとされている。我々が見ていた頃は100MW程度であったが,随分大きくしたようだ。

さて今日の記事だが,コーコン水力開発(注7)が記事のタイトルであるが,プロジェクトは,キリロム第3水力(注8),18MW,である。コーコンとキリロムでは少し離れているし,8月28日(注3)の記事のスタンタタイ(注5)とスタンタラッセイチュルムコルム(注6)が,記事とどう絡んでいるのか,これも少し分かりがたい。この記事に出てくるスタンポンルル川(注9)は,コーコン水力開発(注7)と同じプロジェクトだとも思われる。5000人が影響を受ける,と書いてある。はっきり言って,中国がカンボジア南西部で動いていることについては,殆ど情報がない。

今日の記事に関連した環境グループは,カンボジア河川連合RCC(注10)と米国友の会AFSC(注11)があり,この木曜日に記者会見した報告書の作者は,マッカラム氏(注12)と書かれている。また地元住民代表で発言しているのは,スレアンベル地区代表メン氏(注13)であり,プロジェクトの環境調査を担当したのは,SAWACのブット氏(注14)で,報告書の提出先は環境省(注15)と書かれている。これらの情報を元に,調べていくと,もう少し詳細が分かるだろう。

いろいろプロジェクトの影響が書かれているが,地元住民の声も,プロジェクト実施反対と言うよりも,環境調査をしっかりやって,補償については遺漏なきよう頼む,と言う内容で,中国企業としても,補償という概念について,海外プロジェクトの実施に際して,確実な基準を持って臨んで貰いたい。北京でも,中国企業の海外活動に於ける一つの規範が必要だ,と言う意見も盛り上がってきている。

(注) (1) http://www.phnompenhpost.com/,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080918B,(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080828F,(4) Seng Bunra, Cambodia’s country director for Conservation International, a non-governmental organisation (NGO),(5) Stung Tatay dam,(6) Stung Russey Chrum Krom dam,(7) Koh Kong hydropower development,(8) the 18mw Kirirom III hydropower dam,(9) a new hydropower dam on the Steung Pongrul river,(10) the Rivers Coalition in Cambodia,(11) the American Friends Service Committee,(12) environmental scientist Wayne McCallum, the author of the report,(13) Moeng Mean, a community representative from Sre Ambel district,(14) Um Serey Vuth, research team leader at SAWAC,(15) the Ministry of Environment,(16)

(注) (16) Pursat,(17) Tonlesap,(18) Battambang,(19) Cardamom Mountains,(20) Yim Nareth, director of the Pursat Electricity Department,(21) the Pursat Power Supply Company,(22) the Ministry of Industry, Mines & Energy,(23) Tun Leang, deputy director general of the Department of Energy Development,(24) Ngy Say, deputy executive director of NGO Forum,(25)

●カンボジア,水力ダムの建設,プルサットの電力コスト削減に貢献

同じカンボジアの水力開発の記事であるが,これはまた変わった方向で,水力開発によって電気料金が安くなることの期待感である。これまた,対象プロジェクトがはっきりしないが,一度記事にもでていた中国企業によるプルサット(注16)近辺の水力プロジェクトに関する議論だと思う。記事の中のポイントと必要な情報をピックアップしておく。プルサット(注16)は,トンレサップ湖(注17)の南岸に沿って北西のバッタンバン(注18)に行く途中の町であり,その南に水力の宝庫,カルダモン山地(注19)が聳える。

このプルサット(注16)の町は,おそらく民間企業のディーゼル発電機で2MW程度の電力供給をしていると思うが,最近の燃料費の値上がりで,KWh当たり56セントという高値で,全国的に高い電気料金のカンボジアの中でも最高値である。そのため,町当局は水力ダム建設に,大きな期待を寄せている。この背後の山地に4つの水力プロジェクトが起案され,出力は700MW,最初のプロジェクトの完成は2010年とされている。

プルサット(注16)電力局長ナレット女史(注20)は,現在,プルサット電力会社(注21)からKWh当たり33セントで買って,46セントで売っているという。中央政府は何も助けてくれないと言っている。プルサット電力会社(注21)も経営困難で,中央のMIME(注22)に更に10セントの値上げを認可するよう要請している。ナレット女史(注20)は,4つのダムが出来れば,安い電気が入ってくると期待している。

エネルギー開発部のトウンリン局長(23)は,安くなるかどうか,それは分からない,と言っている。NGOのギセイ氏(注24)も,ダム開発に関しては懐疑的である,電力は国外への輸出用だと言っている。漁業への懸念もある。私も,プルサット(注16)近辺の水力ポテンシャルを当たったことがあるが,4つのダムで700MW,と言うのは,少しやりすぎではないかと思う。具体的に中国企業がどの様な開発方式を考えているのか,関心を持っている。

(注) (16) Pursat,(17) Tonlesap,(18) Battambang,(19) Cardamom Mountains,(20) Yim Nareth, director of the Pursat Electricity Department,(21) the Pursat Power Supply Company,(22) the Ministry of Industry, Mines & Energy,(23) Tun Leang, deputy director general of the Department of Energy Development,(24) Ngy Say, deputy executive director of NGO Forum,(25)

●タイ,EGAT,他の原子力調査で,米国企業と署名

タイの原子力開発については,本HPでも2008年11月3日(注25)で取り上げている。可能性調査の委託先として,日本からニュージェックと日本原子力開発の2社がショートリストに上がったが,最終的に米国企業に落ちついた,と言う第一報が流された。「結局,勝負は地点が決まってからで,今タイの原子力発電計画で何が決まっているか,と言えば,調査委託先が,日本のコンサルタントでなく,米国拠点のバーンアズ,アンド,ロエ,エイシャ社(注27)に決まって,その調査のための資金の目処が立った」,と言うことだろう,とコメントした。

今日の記事。EGAT(注26)は昨日,2008年11月5日,米国企業バーンズアンドロウ(注27)とのタイ最初の原子力開発に関するフィービリティスタディ(注28)について,契約書に署名した。期間は20ヶ月,費用は174百万バーツ,内容は,現在の候補地点14を3地点に絞り込み,財務分析,適用技術,と共に,閣議にあげる,閣議は,2010年末までに地点を決定する。

EGAT(注26)のカモール副総裁(注29)は,「調査は,安全,廃棄物処理,場所,環境影響評価,人員計画,技術の持続性,もカバーする。」,としている。現在,発電の74%を天然ガスに依存しているが,2020年には40%とし,原子力発電が,2020年には5%,その後10%となることを目指している。

(注25)(25) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081103A.htm,(26) The Electricity Generating Authority of Thailand (Egat),(27) Burns and Roe Asia,(28) a feasibility study,(29) Kamol Takabut, Egat's assistant governor,(30)

●ビエンチャンで,ACMECS沿岸国首脳会議,始まる

ACMECS(注30)と言う国際組織があると言うことを知らなかった。イラワジ,チャオプラヤ,メコンの3河川を取り巻く5カ国,タイ,ベトナム,ミャンマー,カンボジア,ラオスの5カ国首脳で成り立っていて,今回のビエンチャンでの会議が第3回目という。タイが地域の主導権をとって招集している首脳会議のようだ。三つの川を集めるというのは,ちょっととってひっつけたようだが,チャオプラヤが入るから中国は入らない。

要するに,タイが主導する会議で,ソムチャイ首相(注31)は,先日のナムグム分水問題からのビエンチャンとんぼ返りである。タイは,食糧増産と農業振興を提案して,100人の学生研修をタイに招待することを提案している。同行したタイのソンポン外相(注32)は,ACMECS(注30)宣言の中に,通商,投資,観光の項目を採用したことを発表した。特に,地域の特産である米の問題にも議論が集まり,世界の50%までシェアーを高めることも話し合われた。

(注) (30) the third Ayeyawady-Chao Phraya-Mekong Economic Cooperation Strategy (ACMECS) summit,(31) Prime Minister Somchai Wongsawat,(32) Foreign Minister Sompong Amornvivat,(33)

●中国の電力産業,2008年年次報告書完成

中国の年次報告書(注33)が刊行された。最初の部分の数字だけ拾っておく。詳細は注33を見られたい。今まで問題があった需給は,2007年は全体として基本的なバランスがとれた。発生電力量は,年率14.44%の伸びで,3兆2559億KWhで,消費電力は,14.42%の伸びで,3兆2458億KWhであった。 2008年前半は,石炭不足と自然災害で,地域的にはバランスがとれていない。22省地域に問題が出た。

2007年の電力投資は5,492.9億元で,新規出力増分は,年率14.36%,約1億KWであった。送電線は,22万ボルト以上,年率1420%で新規41,500km,変電容量増加は,年率18.71%,188.48百万KVAであった。2008年前半は,投資額1,337.1億元で,新設電源は33,020MW,このうち水力は7,040MW,火力は24,500MWであった。

技術的な成果としては,1000MWユニットの超臨界技術(注34)と三峡や龍灘の700MWクラス水車発電機の国内機器製作,原子力のPWR技術及びCPR1000技術(注35),系統では,75万ボルト及び50万ボルトの交流,直流超高圧送電技術,などがある。

(注) (33) www.marketavenue.cn/upload/ChinaMarketReports/REPORTS_1013.htm,(34) the ultra supercritical power generation technology of 1,000MW generator units,(35) CPR1000 technology,(36)

Reference

Thailand

●081108A Thailand, tmcnet
EGAT,他の原子力調査で,米国企業と署名
Egat signs nuclear feasibility study contract with US firm
http://www.tmcnet.com/usubmit/2008/11/07/3769753.htm

Laos

●081108B Laos, bangkokpost
ビエンチャンで,ACMECS沿岸国首脳会議,始まる
ACMECS summit begins in Vietnam
http://www.bangkokpost.com/breaking_news/breakingnews.php?id=131881

China

●081108C China, pr-inside.com
中国の電力産業,2008年年次報告書完成
2008 Report on China's Power Industry
http://www.pr-inside.com/report-on-china-s-power-industry-r900481.htm

Cambodia

●081108D Cambodia, phnompenhpost
水力ダムの建設,プルサットの電力コスト削減に貢献
Hydropower dams set to slash Pursat power costs officials
http://www.phnompenhpost.com/index.php/2008110722584/National-news/Hydropower-dams-set-to-slash-Pursat-power-costs-officials.html
●081108E Cambodia, phnompenhpost
コーコンのダム建設,付近住民へ,影響
Concerns over Koh Kong hydropower development
http://www.phnompenhpost.com/index.php/2008110722585/National-news/Concerns-over-Koh-Kong-hydropower-development.html


2008年11月7日分 ー IEAが原油動向で報告書 ー

イタリアのベルルスコーニ首相が、米国初の黒人大統領となるバラク・オバマ上院議員について,「ハンサムで若くて,日焼けまでしている。」,と発言,イタリア人らしいが,共和党が勝って欲しかったようだ。昨夜は,米国の自動車メーカーGMが重大発表する,と騒いでいたが,昨日のトヨタといい,自動車業界が騒がしい。技術革新のスピードが遅かったのではないか。

電気自動車は,技術的には目の前に来ているようで,160km連続走行が可能と書いてあった。しかし,電気自動車が,原油の動力源を原子力に変えて行く,と言う事実までは書かれない。エコと言っている大部分は,電力に負担がかかってきているわけで,新幹線然りである。自動車業界が幾ら電気自動車に変えてきても,電力会社が石油を使えば,何にもならないわけだ。「エコ新幹線」,は「エコ原子力」,と呼んで欲しい。

さて,今日の主題は,IEA(注5)が発表した,2008年次報告書の内容である。世界の原油価格については,今年,2008年,の半年間で,ジェットコースタのような激しい動きを味わった。それに世界の金融危機が重なって,今後,どの方向にぶれて行くのか,議論も多いところである。2008年10月7日には本HP(注1)でも,元アブラハム米国エネルギー長官(注2)の関係する報告書(注3)で,短期的視野ながら,90ドルから115ドルの範囲内で,ここ数ヶ月は動くはずだ,と,OPEC(注4)の減産体制の行くへを見ながら,原油価格先行きを占っている。

今日の記事。IEA(注5)が,膨大な年次レポートを作成し,15ページ程度のサマリーを,本報告書の発表に先立って公表した。一言で言えば,世界は多くの不確定要素と数年間先のエネルギー価格上昇に遭遇しており,企業群は,無理矢理に老朽化した油田を運転しながら新規の油田探しに狂奔している状態だ,と言っている。そうして,油田探査,原油生産,それに発電設備に,より多くの投資を呼びかけている。現時点の安価な原油価格が続くことはない,と言っている。なお報告書は,世界の800の原油ガス田の調査を基礎としたものだ,と言っている。

エネルギー需要の拡大とインフラの老朽化が並行して起こるので,企業群は,2030年までに26兆ドルの投資を強いられる。そのうちの半分は,発電設備と配電設備の増強に当てられる。残りの殆どは,今後数十年続くと思われる一次エネルギーとしての原油探査と開発に回される。増大する原油需要に対して,この先22年間,新たに日6,400万バレルの増産が必要で,この値は現在のサウジアラビア(注7)の生産量の6倍に当たる。そのうち半分は,この先8年内に必要となる。

原油だけに注目した2030年までの見通しの報告書である。2030年までは,エネルギー革命は劇的には起こらない,との前提なのであろう。印象的なのは,老朽化して生産が減って行く油田が多いにもかかわらず,日6,400万バレルの増産が必要,と言っている点で,果たして現実的な数字なのかどうか,一瞬迷うが,石炭は余り増やせないと考えると,まだ石油にここまで頼る必要があるのか。一体何に使われて行くのか,調べてみようと思ったが,今日は時間なし。自動車と飛行機が大きいならば,それなりの議論が必要だ。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/iindex3newsME.htm,(2) former U.S. Energy Secretary Spencer Abraham,(3) Abraham Energy Report,(4) the Organization of Petroleum Exporting Countries,(5) the International Energy Agency,(6) the New York Mercantile Exchange,(7) Saudi Arabia,(8)


本文

●IEAが警告,原油供給は逼迫,価格は急上昇の可能性

世界の原油価格については,今年,2008年,の半年間で,ジェットコースタのような激しい動きを味わった。それに世界の金融危機が重なって,今後,どの方向にぶれて行くのか,議論も多いところである。2008年10月7日には本HP(注1)でも,元アブラハム米国エネルギー長官(注2)の関係する報告書(注3)で,短期的視野ながら,90ドルから115ドルの範囲内で,ここ数ヶ月は動くはずだ,と,OPEC(注4)の減産体制の行くへを見ながら,原油価格先行きを占っている。

今日の記事。IEA(注5)が,膨大な年次レポートを作成し,15ページ程度のサマリーを,本報告書の発表に先立って公表した。一言で言えば,世界は多くの不確定要素と数年間先のエネルギー価格上昇に遭遇しており,企業群は,無理矢理に老朽化した油田を運転しながら新規の油田探しに狂奔している状態だ,と言っている。そうして,油田探査,原油生産,それに発電設備に,より多くの投資を呼びかけている。現時点の安価な原油価格が続くことはない,と言っている。なお報告書は,世界の800の原油ガス田の調査を基礎としたものだ,と言っている。

今年,2008年7月,に最高147ドルまで達した原油価格は,この木曜日,2008年11月6日,ニューヨーク市場(注6)で,一気に6.9%,バレル4.53ドルの下落を演じ,2007年3月以来の安値,60.77ドルとなった。IEA(注5)は,現在の経済的混乱が収まれば,原油需要が回復し,2030年までにはバレル200ドルに達する,としている。

エネルギー需要の拡大とインフラの老朽化が並行して起こるので,企業群は,2030年までに26兆ドルの投資を強いられる。そのうちの半分は,発電設備と配電設備の増強に当てられる。残りの殆どは,今後数十年続くと思われる一次エネルギーとしての原油探査と開発に回される。増大する原油需要に対して,この先22年間,新たに日6,400万バレルの増産が必要で,この値は現在のサウジアラビア(注7)の生産量の6倍に当たる。そのうち半分は,この先8年内に必要となる。

エネルギー関連企業は,過去,2000〜2007年に,新規の原油ガスプロジェクトに,合計3,900億ドルを投資してきたが,これから2030年までは毎年3500億ドルの投資を行う必要がある,と言うことである。問題は,既設原油ガス田の老朽化で,特にOPEC以外,メキシコ,ノルウエー,ろ紙でそれが顕著である。これらの老朽化した原油ガス田の生産量の落ちは毎年6.7%に上り,2030年時点では8.6%に達する。相対的に,サウジアラビア,イラン,イラクなどの重要性が高まってくる。

IEA(注5)は,再生可能エネルギーについては,楽観的な見方をしている。風力,太陽光,地熱の伸びは年7%と見ている。水力を除いた再生可能エネルギーは,2006年に1%であったものが,2030年には4%になるだろう,としている。なお,米国,欧州,日本での原油需要は昨年より増えることはないが,これからの需要の伸びは,中国,インド,と中東だと見ている。

私は,この報告書は,石炭原子力に触れていない点で,エネルギー全般を見ているとは言えないが,少なくとも,中国,インド,と中東の原油の需要増で,現在の日8700万バレルのレベルの原油需要が,2030年で,プラス6400万,合計で日1億5,100万バレル,しかも老朽化した油田ガス田の生産の落ちを言われると,やはり何らかのエネルギー革命は,2030年までに起こらざるを得ないと言う気がする。電気自動車の進展ををどう考えるか,また別の機会に論じることにしよう。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/iindex3newsME.htm,(2) former U.S. Energy Secretary Spencer Abraham,(3) Abraham Energy Report,(4) the Organization of Petroleum Exporting Countries,(5) the International Energy Agency,(6) the New York Mercantile Exchange,(7) Saudi Arabia,(8)


●フィリッピン,半導体業界,電力料金下げを,再度要請

フィリッピンの悪名高い電気料金について,国内資源であるマランパヤガス田(注8)のロイヤリティが問題になっており,ファーストジェン(注9)のロペス会長(注10)が,その処置を政府に迫っている,と言う記事は,2008年10月15日の本HP(注11)でも扱った。ロペス会長(注10)があげた数字は,天然ガスからの政府の徴収するロイヤリティは年間370億ペソの達している。5月の電気料金で見ると,もしこれを負荷率の高い企業にこの額で料金削減を行うと,KWh当たり4.36ペソ,約9.08セント相当,であったものが,2.57ペソ,約5.35セント相当,に激減する。

これが企業の誘致となり,政府は逆に50億ペソの増収に跳ね返るだろう,と言うものであったが,その後,このロイヤリティ収入を米の輸入代金に充てよう,と言う政府の案が浮上して,国内で論議が沸騰しているようだ。今日の記事は,ロペス会長(注10)の言を受けて,半導体業界が,再び電気料金の値下げを迫った記事である。

半導体企業SEIPI(注12)のユン会長(注13)は,「半導体企業SEIPI(注12)の立場は変わっていない。マランパヤガス田(注8)のロイヤリティ問題は,電気料金値下げの絶好の機会であり,半導体企業SEIPI(注12)ばかりでなく,他の産業需要家にも有利になる。」,と強調している。また,政府に一部で出ている,米増産への適用について,立派な考えだが,米と産業の比重を十分に考えるよう要請している。産業需要家に対しては,50億ペソは必要,と数字も出ている。そうして,これはマニラ配電(注14)の管内需要家にも貢献する。

ファーストジェン(注9)のロペス会長(注10)も言っていたように,高い電気代の中では,半導体企業などが,電気料金の安いタイやベトナムにのげる可能性もある,と半導体企業SEIPI(注12)のユン会長(注13)も同じ警告をしている。ただ,一度国会と産業界の論争があり,産業界が直接,アロヨ大統領に直訴の手紙を出したときに,国会が,我々は一般国民の利益を考えて働いている,と立腹した経緯もある。

(注) (8) the Malampaya gas field project,(9) First Gen,(10) president Federico R. Lopez,(11) http://my.reset.jp/adachihayao/index081015B.htm,(12) The Semiconductor and Electronics Industries of the Philippines Inc. (SEIPI),(13) SEIPI chairman Arthur Young,(14) the Meralco (Manila Electric Company),(15)

Reference

Power

●081107A IEA,online.wsj.com
IEAが警告,原油供給は逼迫,価格は急上昇の可能性
Oil Supplies Will Tighten And Prices Jump, IEA Warns
http://online.wsj.com/article/SB122600164194705909.html?mod=googlenews_wsj

Philippines

●081107B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,半導体業界,電力料金下げを,再度要請
SEIPI presses for power cost reduction
http://www.mb.com.ph/BSNS20081107140132.html



2008年11月6日分 ー インドの大規模火力に資金難 ー

トヨタがストップ安で,東京株式市場が現在219円下げている,一時は600円を超える下がりだったとか。自動車というのはこんなに脆いものなのか,と思ってしまうが,如何にも安定している基礎物資,と思うけれども,実はミュージックなどと同じような浮き沈みの激しいものなのか。そういえば先輩が,トヨタの社員が新しい仕事は何かと中東を歩いていた話をしていた。トヨタの別の社員は,トヨタはロボット狙いだ,と言っていた。そうなのかな。

今日の雰囲気は,オバマ大統領で中国にはどの様な影響が,と論じている。元々人権問題でもっともうるさい活動家であったと言うから,中国政府も神経をとがらせているようだ。オバマ氏の外国人賓客の第一号がダライラマ法王であったことも,問題になっている。中国の貿易収支の黒字に対しても,オバマ氏は発言しており,中国元の更なる上げを要請してくると,結構緊張してくるようだ,と新聞にも書いてあった。

米国民の新政権に対する期待は,対イラクが僅か10%で,金融問題が60%と言う。世界の金融問題は,彼方此方に影響してきて,先日からADB(注3)が問題にしていたインドの4,000MWクラス大規模火力開発構想UMPP(注1)の資金問題にも火がついたようだ。2008年10月13日に本HP(注2)でも取り上げている。それは,ADB(注3)が,インドの大規模石炭火力開発UMPP(注1)の規模4,000MWを,半分程度にすべきだ,と提言して,この金融危機のタイミングで外国資本抜きで資金調達するのは困難,としていた点だ。

今日の記事は,現在決定している3地点,ムンドラ,ササーン,クリシュナパットナム(注4)に続く第4の地点であるジャルカンド州(注5)のティライヤ地点(注7)の資金調達に関するものである。世界的な金融危機で野望的なUMPP構想(注1)も揺らいでいる。この構想の中心にある電力融資公社PFC(注7)は,ティライヤ地点(注7)の価格見積提案書RFP(注8)の提出期限を,2008年12月1日に延期した。それは,入札候補達の資金計画が間に合わないと見たからである。

入札参加の見込みは,タタ電力(注9),NTPC(注10),リライアンス電力(注11),エッサール電力(注12),L&T(注13),サテライト産業(注14)など,インドの有力企業が名を連ねているが,それぞれ,電力融資公社PFC(注7)に対して,資金調達の目処が困難と見通しを述べていたようだ。結局,PFC(注7)は2008年12月1日に延ばしたが,延期はこれが3度目である。

インドのこのUMPP構想(注1)が,恒常的なインドの電力不足を救うものとの,インド政府の野心的な構想ではあったが,ADB(注3)が忠告しているように,規模が大きすぎたことで,入札する国内企業が苦心していることと,世界の金融危機とが重なったことが,不幸であった。ADB(注3)は基本的に国内企業だけでは無理で,国際企業を入れた上,政府の保証を付けるべきだ,と言っている。日本企業にチャンスはないのか。

(注) (1) 4,000-mw ultra mega power projects (UMPPs),(2) http://my.reset.jp/adachihayao/index081013.htm,(3) the Asian Development Bank (ADB),(4) Mundra, Sasan and Krishnapatnam,(5) Jharkhand,(6) Tilaiya,(7) Power Finance Corp (PFC),(8) the request-for-proposal bid (or price bid) RFP,(9) Tata Power,(10) NTPC,(11) Reliance Power,(12) Essar Power,(13) L&T,(14) Sterlite Industries,(15)

UMPPの解説
http://powermin.nic.in/whats_new/pdf/ultra%20mega%20project.pdf

本文

●インド,金融情勢悪化で,ティラヤ大規模石炭火力,資金調達困難

インドの4,000MWクラス大規模火力開発構想UMPP(注1)の資金計画については,2008年1013日に本HP(注2)でも取り上げている。それは,ADB(注3)が,インド中央政府に対して,大規模石炭火力開発UMPP(注1)のプロジェクト規模4,000MWを,半分程度にすべきだ,と提言して,この金融危機のタイミングで外国資本抜きで資金調達するのは困難,としている。規模としては,2,000〜2,500MWが適当としている。また,出来るだけ,国内企業と外国資本を組み合わせ,51%以上を外国資本にすべきとしている。

今日の記事は,現在決定している3地点,ムンドラ,ササーン,クリシュナパットナム(注4)に続く第4の地点であるジャルカンド州(注5)のティライヤ地点(注7)の資金調達に関するものである。記事を見て行こう。世界的な金融危機で野望的なUMPP構想(注1)も揺らいでいる。この構想の中心にある電力融資公社PFC(注7)は,ティライヤ地点(注7)の価格見積提案書RFP(注8)の提出期限を,2008年12月1日に延期した。それは,入札候補達の資金計画が間に合わないと見たからである。

ティライヤ地点(注7)のRFP(注8)提出期限は,当初,2008年11月4日に予定されていた。これによって,他の5つのUMPP(注1)も順次順調にいって,この先5ヶ月で出そろうと期待されていた。今回のティライヤ地点(注7)の入札企業は,タタ電力(注9),NTPC(注10),リライアンス電力(注11),エッサール電力(注12),L&T(注13),サテライト産業(注14)の6企業であったが,いずれもこの一流のプロジェクトに踏みとどまっている。

PFC(注7)はいずれの入札候補も,資金調達に時間が必要と見ている。このティライヤ(注7)プロジェクトは,1,600〜1,800億ルピーの投資が必要の大規模のものであるが,PFC(注7)はRFP(注8)提出期限を,当初2008年3月としていたものを,一度2008年6月に延期しており,更にこれが最後と言って,2008年11月4日に設定していたものである。

インドのこのUMPP構想(注1)が,恒常的なインドの電力不足を救うものとの,インド政府の野心的な構想ではあったが,ADB(注3)が忠告しているように,規模が大きすぎたことで,入札する国内企業が苦心していることと,世界の金融危機とが重なったことが,不幸であった。ADB(注3)は基本的に国内企業だけでは無理で,国際企業を入れた上,政府の保証を付けるべきだ,と言っている。日本企業にチャンスはあるのか。

(注) (1) 4,000-mw ultra mega power projects (UMPPs),(2) http://my.reset.jp/adachihayao/index081013.htm,(3) the Asian Development Bank (ADB),(4) Mundra, Sasan and Krishnapatnam,(5) Jharkhand,(6) Tilaiya,(7) Power Finance Corp (PFC),(8) the request-for-proposal bid (or price bid) RFP,(9) Tata Power,(10) NTPC,(11) Reliance Power,(12) Essar Power,(13) L&T,(14) Sterlite Industries,(15)

●インドネシア,PLN,バリの供給力不足で,需要家に節約要請

ジャワ島でなくバリ島の話である。PLNのバリ支店(注15)は,年末に予想される電力供給力不足に備え,需要家の節電を要請した。スディルマン支店長(注16)は,年末には観光客が押しかけ,需要が急増する恐れがあるという。バリの需給は今のところ安定しているが,予備力が少なくなってきている。年末の最大出力は460MWと予想しているが,このとき予備力は102MWである。

スディルマン支店長(注16)は,予備力として130MWは確保したいとしている。PLNのバリ支店(注15)は,日562MWで740,000世帯に送っている。PLNはいろいろな節電対策を要請している。街灯を制限するなどして,20%減を目標にしているが,10%が可能な状態だ。2009年の半ばには電力危機が訪れる可能性があると警告している。

PLNのベラタ氏(注17)は,今後の計画を説明している。現在,新規に3つの発電所の計画を持っている。これらの発電所は,380MWの容量で,2010年までには運転に入る予定である。東ジャワとの連携については,2012年に,東ジャワのバニュワンギ港(注18)とバリのギリマヌック港(注19)を4kmの配電線で結ぶ予定で,これが出来れば30年間は大丈夫だ。

この東ジャワのバニュワンギ港(注18)とバリのギリマヌック港(注19)の連携プロジェクトの完成には,政治的な問題もあって,需要家全部で,政治的なキャンペーンが必要だ,と言っている。私は,ジャワバリ系と言うぐらいだから,この両島は,完全に繋がっているのかと思っていた。

(注) (15) state-owned electricity company PT PLN's Bali office,(16) Sudirman, general manager of PLNs Bali office,(17) Communications manager of Bali's PLN office, I Made Berata,(18) Banyuwangi port,(19) Gilimanuk port

Reference

India

●081106A India, Economic Times
金融情勢悪化で,ティラヤ大規模石炭火力,資金調達困難
Financial meltdown hits Tilaiya UMPP
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Financial_meltdown_hits_Tilaiya_UMPP/articleshow/3674298.cms

Indonesia

●081106B Indonesia, The Jakarta Post
PLN,バリの供給力不足で,需要家に節約要請
PLN urges residents to conserve electricity amid supply deficit

http://www.thejakartapost.com/news/2008/11/06/pln-urges-residents-conserve-electricity-amid-supply-deficit.html



2008年11月5日分 ー 中国の石炭価格に下降傾向 ー

オバマ氏の当選に,株式市場が荒っぽく反応し,ニューヨークで500ドルの下落,東京も9000円を割り込んで542円の下げ(12時半時点)となっている。ロシアは,オバマ当選と同時に,ロシアの飛び地カリニングラードにミサイル配備を発表,露骨に米国へ反抗を表現した。昨夜のテレビで,日本政府の一部は,マケインに期待をかけていただけに,麻生首相の対応にも何か歯に挟まったような言い方が残った。原油は反落,バレル65ドル台である。リベラルの登場に,世界はカーターの外交空白を懸念している,と言う声あり。

今日の記事,上がり続けてきた中国の石炭価格に,この2008年9月から10月で下落の傾向が出てきた。原油価格の世界的な暴落や景気の下降による需要減の影響を受けた,と見られている。記事は,石炭市場の専門用語が出てきて,ちょっと理解できないところがあるが,原料炭には引き続き値下がりの傾向が続くとしても,発電用炭については,慎重な見方がある。

世界的な原油と石炭の価格下落傾向を受けて,中国国内価格も弱含み。CNYで9月が,トン当たり849.54元,約124.4ドル相当,に対して10月は,808.63元,約118.4ドル相当,で今年最初の落ちである。冶金関係の原料炭などは,発電炭に比べて落ちが激しい。発電炭の平均価格は,CNYで9月がトン当たり,814.14元,約119.2ドル相当,であったものが,10月には,788.32元,約115.4ドル相当,となっている。

2008年11月1日の本欄(注1)でも,中国の石炭火力を扱っている。中国政府の石炭政策のぶれを,余すところなく描写したものだった。曰く,「中国の石炭は不思議な世界だ。ある日中国政府は石炭は余っている,という,また別の日には,石炭火力発電所で7日分しかない,と慌てる。古い炭坑を閉鎖したと自慢していた中国政府は,急にそれを復活しろと指示する。何処が間違っているのだろうか?」,と。

専門家のヤンハオユン氏(注2)によれば,次に来る電力ピークと水力の出力源は,この第4四半期で,火力発電所の需要を下支えするので,電力炭の生産増大と共に,石炭価格を支えることになるだろう。前回の記事(注1)も,年率83.5%も伸びて,5月にトン132.40ドルであった値段が,110.40ドルに下落している。長期的には中国にとって石炭は主流で,2008年,今年は6.5%伸びで27億トン,2010年には31億トンとなる。因みに,米国の2007年の石炭消費は11億トンである。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081101C.htm,(2) Mr Yan Haojun coal industry analyst of Shanghai Securities,(3)


本文

●中国の石炭価格,10月に初めて下降へ

2008年11月1日の本欄(注1)でも,中国の石炭火力を扱っている。中国政府の石炭政策のぶれを,余すところなく描写したものだった。曰く,「中国の石炭は不思議な世界だ。ある日中国政府は石炭は余っている,という,また別の日には,石炭火力発電所で7日分しかない,と慌てる。古い炭坑を閉鎖したと自慢していた中国政府は,急にそれを復活しろと指示する。何処が間違っているのだろうか?」,と。

今日の記事は,中国の最近の石炭価格の動きを追っている。今日の記事で分からない言葉がある。MoM と CNY だが,中国のどこかの港の価格を呼んでいると思うが,あとで調べることにする。今日の中国元は対ドル0.1464である。2008年,今年になって初めて10月に中国国内石炭価格が下落傾向を示した。専門家によると,発電炭と原料炭の間に,違った動きがあるという。

世界的な原油と石炭の価格下落傾向を受けて,中国国内価格も弱含み。CNYで9月が,トン当たり849.54元,約124.4ドル相当,に対して10月は,808.63元,約118.4ドル相当,で今年最初の落ちである。冶金関係の原料炭などは,発電炭に比べて落ちが激しい。発電炭の平均価格は,CNYで9月がトン当たり,814.14元,約119.2ドル相当,であったものが,10月には,788.32元,約115.4ドル相当,となっている。

専門家のy7アンハオユン氏(注2)によれば,次に来る電力ピークと水力の出力源は,この第4四半期で,火力発電所の需要を下支えするので,電力炭の生産増大と共に,石炭価格を支えることになるだろう。

前回の記事(注1)も次のように記している。「石炭価格の上限の制限も問題を起こしている。石炭輸出は,年率83.5%も伸びて,5月にトン132.40ドルであった値段が,110.40ドルに下落している。長期的には中国にとって石炭は主流で,2008年,今年は6.5%伸びで27億トン,2010年には31億トンとなる。因みに,米国の2007年の石炭消費は11億トンである。」,と。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081101C.htm,(2) Mr Yan Haojun coal industry analyst of Shanghai Securities,(3)

本文

●中国の石炭価格,10月に初めて下降へ

2008年11月1日の本欄(注1)でも,中国の石炭火力を扱っている。中国政府の石炭政策のぶれを,余すところなく描写したものだった。曰く,「中国の石炭は不思議な世界だ。ある日中国政府は石炭は余っている,という,また別の日には,石炭火力発電所で7日分しかない,と慌てる。古い炭坑を閉鎖したと自慢していた中国政府は,急にそれを復活しろと指示する。何処が間違っているのだろうか?」,と。

今日の記事は,中国の最近の石炭価格の動きを追っている。今日の記事で分からない言葉がある。MoM と CNY だが,中国のどこかの港の価格を呼んでいると思うが,あとで調べることにする。今日の中国元は対ドル0.1464である。2008年,今年になって初めて10月に中国国内石炭価格が下落傾向を示した。専門家によると,発電炭と原料炭の間に,違った動きがあるという。

世界的な原油と石炭の価格下落傾向を受けて,中国国内価格も弱含み。CNYで9月が,トン当たり849.54元,約124.4ドル相当,に対して10月は,808.63元,約118.4ドル相当,で今年最初の落ちである。冶金関係の原料炭などは,発電炭に比べて落ちが激しい。発電炭の平均価格は,CNYで9月がトン当たり,814.14元,約119.2ドル相当,であったものが,10月には,788.32元,約115.4ドル相当,となっている。

専門家のy7アンハオユン氏(注2)によれば,次に来る電力ピークと水力の出力源は,この第4四半期で,火力発電所の需要を下支えするので,電力炭の生産増大と共に,石炭価格を支えることになるだろう。

前回の記事(注1)も次のように記している。「石炭価格の上限の制限も問題を起こしている。石炭輸出は,年率83.5%も伸びて,5月にトン132.40ドルであった値段が,110.40ドルに下落している。長期的には中国にとって石炭は主流で,2008年,今年は6.5%伸びで27億トン,2010年には31億トンとなる。因みに,米国の2007年の石炭消費は11億トンである。」,と。

(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081101C.htm,(2) Mr Yan Haojun coal industry analyst of Shanghai Securities,(3)

●インド政府,KG流域のガスの価格で,4.2ドルの方針

インドにとって貴重な天然ガス原資であるKGガス田(注6)で,価格上の紛争が起こっている。2008年10月15日のこのHP(注3)でも取り上げている。また,2008年10月3日(注4)には,政府の新しいガス政策によって,NTPCの新規発電所にKGガス(注5)が送れなくなり,NTPCを中心に,ムンバイでの訴訟委に発展しそうな状態であった。中央政府が,肥料関係が優先とガス基本政策(注6))に書いてある,と言ってこれを阻止し,リライアンス側が,政策決定の前に,発電所への供給は決定していた,と反論していたものである。

今日の記事。石油省(注7)の意見は,KGガス(注5)の価格は百万Btu当たり(注8)4.2ドルである。これは関係閣僚会議の決定で,政府のKGガス(注5)の株式持ち分に基礎を於いている。最近,石油省が国会に説明した内容であるが,デオラ石油大臣(注9)もパンディ次官(注10)も,これ以上は言えない,と口をつぐんでいる。

専門家による説明。石油省(注7)の考え方は,RIL(注11)とRNRL(注12)の法廷論争の仲介になるもので,ボンベイの法廷(注13)が石油省(注7)に求めている仲介の役割を果たそうという意志がある。ヒアリングは来週の火曜日,2008年11月11日に予定されている。RIL(注11)は当初3年前に,百万Btu当たり(注8)当たり234ドルで一度合意している。

以前には,RNRL(注12)の代理人(注14)は,4.2ドルというのは政府持ち分であるを意味する,と言っているのに対し,RIL(注11)の代理人は(注15)は,4.2ドルは販売価格だ,と言っている。どうにもつきあっておれない,と言う感じであるが,一時,11ドルの話もあって,相当の価格競争になるかと思ったが,政府の強い規制が働きかけた,と言っていいのか。それにしても安い。

(注) (3) http://my.reset.jp/adachihayao/index081015C.htm,(4) http://my.reset.jp/adachihayao/index081003B.htm,(5) Krishna-Godavari (KG) basin,(6) gas utilisation policy,(7) The petroleum ministry,(8) mmBtu (million British thermal unit),(9) Petroleum minister Murli Deora,(10) petroleum secretary RS Pandey,(11) Reliance Industries (RIL),(12) Reliance Natural Resources (RNRL),(13) The Bombay High Court,(14) RNRL senior counsel Ram Jethmalani and Mukul Rohatgi,(15) RIL counsel Harish Salve,(16)

●パキスタン,バシャダム,まもなくコントラクターを決定

パキスタンのディアマー-バシャダム(注16)については,本HP(注17)でも,2008年10月20日に,次のように伝えている。「2008年,今年の4月に,ドイツのラメイヤーの詳細設計が完成した記事がある。このインダス川の上流に建設される大規模なダム計画,バシャダイムラープロジェクト(注16)は,ダムの高さ281m,水没人口25,000人,資金調達を待たずに当時の大統領は着工を命令している。北京を訪れたザルダニ大統領が,中国の支援を取り付けてきたばかりである。」,と。

今日の記事。WAPDA(注18)は,全国の水力発電プロジェクトについて,可能性調査と詳細設計を大規模に進めており,その総出力は25,000MWに達する。殆どのプロジェクトは北部に集中し,4500MWのディアマー-バシャダム(注16)も含まれている。ドウラニWAPDA総裁(注19)は,北部地域ムハマッド事務局長(注20)との会談で,ディアマー-バシャダム(注16)は緊急で,来年,2009年にはコントラクター選定のための国際入札を実施する,と説明した。

ドウラニWAPDA総裁(注19)はディアマー-バシャダム(注16)の詳細について,次のように述べている。ダムの高さは272mでRCC方式(注21)で世界最大であり,貯水池の長さは100km,有効貯水容量は640万エーカーフィート,出力は4,500MW,年間発電量は18,000GWhで,パキスタンの水需要に対応しながら,安価な電気を供給する。

中国が資金援助を約束したとはいえ,大規模な水力発電所の建設に取りかかるパキスタンであるが,水没移住は2万5000人と言われており,今後の進捗には,いろいろな難関が控えているだろう。中国は,このような難関もものともせず,各国で大規模開発を進めている。中国政府内には,海外工事に於ける環境規制について議論が起こっている。

(注)(16) Diamer-Basha dam,(17) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081020A.htm,(18) Water and Power Development Authority,(19) WAPDA Chairman Shakil Durrani,(20) Northern Areas Chief Secretary Babar Yaqoob Fateh Muhammad,(21) Roller Compacted Concrete (RCC) dam,(22)

パキスタン,大規模ダムプロジェクト位置
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040401.jpg
バシャダム,貯水池の概要
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040402.jpg
バシャダム,ダム構造平面,高さ281m
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040403.jpg

Reference

Pakistan

●081105A Pakistan, thenews
パキスタン,バシャダム,まもなくコントラクターを決定
Diamer-Basha contractors to be selected soon
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=144866

India

●081105B India, Economic Times
インド政府,KG流域のガスの価格で,4.2ドルの方針
Ministry view on gas price may impact RIL-RNRL case
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Ministry_view_on_gas_price_may_impact_RIL-RNRL_case/articleshow/3674310.cms

China

●081105C China, steelguru
中国の石炭価格,10月に初めて下降へ
China's first drop in coal price happens October
http://steelguru.com/news/index/2008/11/04/Njk3NTM%3D/China%252527s_first_drop_in_coal_price_happens_October.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年11月4日分ータイ首相ナムグムの水を東北タイへ ー

CNNテレビは,オバマ候補が207人を制して優勢,と報じている。黒人大統領の誕生の歴史的場面に,我々もいたことになるのか。このメールが皆の手元に届く頃は,もう実現しているだろう。

我々として非常に関心があるのは,ブッシュ大統領が,世論を抑えながら進めてきた,イラク攻撃,アフガニスタン攻撃,北朝鮮との妥協,温暖化反対,インドの原子力,などに,どの様な変化の手を打つのか,と言うことだろう。全部そのまま引き継ぎます,では世論が許さないような気がする。原油が急反発している,バレル69ドル。次期大統領への期待の強さを反映した米株高を受けて景気懸念が後退,が原因と報じている。

さて今日の記事であるが,新任のタイのソムチャイ首相(注1)が日帰りでビエンチャンを訪問,記事のタイトルを見て,多くのダム計画の促進を要請しに行ったのかと思ったら,とんでもない,ラオスのナムグム川(注5)の水をタイには運びたい,と言うのである。辞めたサマック氏(注4)がこの案を残していったという。勿論,ソムチャイ首相(注1)はそのためだけにビエンチャンに行ったのではないけれど,ナムグム川(注5)の水を第一にあげている。

提案されたのは,ナムグム川(注5)の水をメコン河の下にトンネルを掘って運ぶ案だという。年間20億トンの水をサイホンで持ち込み,360万ライ(注7)の灌漑を行う。ナムグム川(注5)が標高が高いので重力で可能という。この水は,ウドンタニ(注8)のファイルアン貯水池(注9)に入り,それから開水路でカラシン(注10)のランポン貯水池(注11)に導かれ,配水される,と言う計画である。

私は,1990年代初めにメコン委員会にいて,この東北タイの水問題を扱った経験があるが,下流のカンボジアの生活やメコンデルタのことを考えると,現況の水で東北タイを潤すことは不可能で,新しい水が必要だ,と言うことは分かっていた。私は,中国の小湾ダムで洪水から新しい水を生み出すと,理論上毎秒700トンはとれる,と考えていた。

しかし時間がかかるので,ラオスの既設ナムグムダムを買い取ったらどうか,と提案したことがある。洪水調節を中心に運用すれば,理論上少なくとも,私の記憶が正しければ,毎秒120トンの水が生まれる,当面この水で東北タイを潤す。どうしても分かりにくければ,ナムグムの水をサイホンで直接取水してはどうか,とも言ったことがある。

今度のタイの提案は,当時の我々の案に極めて近いが,「水を生み出す」,と言う概念は,少なくとも記事には出ていない。ナムグムの水は,下流にとっては既に既得権である。新たな水を生み出す,と言う概念を持ち込まないと,下流を説得できないだろう。しかし,今後タイの資本が,ナムグム3,ナムグム2,ナムニエップ,ナムテン1,などに入って行く。ここで水を生むと言う概念を取り込めば,何とかなるかも知れない。

地域の地図を見れば分かるが,南から来るモンスーンは,東北タイの平野を通り過ぎて,ラオスまで進み,そこでラオスの山岳地帯に衝突して雨となる。ナムテン川の流域では,年に5,000mmもの降雨がある。タイとしては,頭の上を通り過ぎていった雨が,ラオスで落ちたのだから返してくれ,と言いたいところだろう。また,東北タイの経済構造は変わってきている,と言われている。工業化である。水需要も変わるか。

(注)(1) Prime Minister Somchai Wongsawat,(2) Lao Prime Minister Bouasone Bouphavanh,(3) Lao President Choummaly Sayasone,(4) Samak Sundaravej,(5) the Ngum river,(6) a Public Relations Department,(7) rai, 400mx400m,(8) Udon Thani,(9) Huay Luang reservoir,(10) Kalasin,(11) Lampound dam,(12) Montri Chantawong of the Foundation for Ecological Recovery,(13) Nakhon Phanom province,(14) Khammouan province,(15)


本文

●タイのソムチャイ首相,ラオスの水力促進へビエンチャンへ

東北タイの灌漑用水については,20年前ぐらいから活発な論争が繰り広げられてきた。500万ヘクタールに毎秒500トンの水が欲しい,と言うのがタイの言い分で,タイ側は受け皿として,コンチムン計画と称して,東北タイの中の灌漑用システムの計画を持っていた。問題は水で,メコン本流の渇水量はビエンチャン手前で毎秒800トンしかないから,ベトナムデルタのこともあるし,どこかで水を生み出さない限り,とれない。

何処で生み出すか,ビエンチャン直上流のローパモンダム計画でも,随分議論が行われた。私は,中国と話をして小湾ダム計画で生み出される毎秒700トンをとれるようにしたらどうか,という基本的な考え方をしていたが,時間がかかるので,ビエンチャンの近傍の既設ナムグムダムをタイが買い取って運用し,洪水を調節して生み出した水を,わかりやすく,サイホンでメコンを越えて運んだらどうか,など議論していた。

今日の記事。2008年11月3日の月曜日,新任のタイのソムチャイ首相(注1)が日帰りでビエンチャンを訪問,ラオス側のブアソン首相(注2),セイソン大統領(注3)などと会談した。タイのソムチャイ首相(注1)が要請したのは,環境グループが反対しているナムグム川(注5)から東北タイへの分流の問題について,結論を急いで欲しい,と言うものであった。ラオスの広報部門(注6)が対話を明らかにした。

ソムチャイ首相(注1)によると,ナムグム川(注5)の水をメコン河の下にトンネルを掘って運ぶ案だという。この案は,前首相のサマック氏(注4)の発案で,年間20億トンの水をサイホンで持ち込み,360万ライ(注7)の灌漑を行う。ナムグム川(注5)が標高が高いので可能という。この水は,ウドンタニ(注8)のファイルアン貯水池(注9)に入り,それから開水路でカラシン(注10)のランポン貯水池(注11)に導かれ,配水される。

反対論を主導しているのは,環境回復機構のモントリ氏(注12)で,まだラオス政府側は何ともコメントしていないと言う。モントリ氏(注12)は,住民などへの影響を調査するための環境調査が必要と言っている。他のタイとラオスの話し合いの中で出てきたのは,タイのナコンパノム(注13)とラオスのカムーン(注14)を結ぶメコン河架橋で,費用の18.8億バーツは,すべてタイが負担すると言っている。

このナムグム川(注5)の水をメコン河の下にトンネルを掘って運ぶ案は,おそらく1992年に私がメコン委員会の中で提案したのが最初だと思うが,私にはポイントがある。それは,タイ側が既設ナムグムダムを買い取って,洪水調節によって生み出された新しい水だけをタイに運ぶ,と言うことでなければ,下流のカンボジアやベトナムが納得しない。記事は,年間20億トン分流と言っているから,毎秒70トン程度で,昔の500トンオーダーの話とは違う。東北タイも,工業化して,昔と事情が違うのかも知れない。1990年当時の私は,120トン程度の話だったと記憶している。

(注)(1) Prime Minister Somchai Wongsawat,(2) Lao Prime Minister Bouasone Bouphavanh,(3) Lao President Choummaly Sayasone,(4) Samak Sundaravej,(5) the Ngum river,(6) a Public Relations Department,(7) rai, 400mx400m,(8) Udon Thani,(9) Huay Luang reservoir,(10) Kalasin,(11) Lampound dam,(12) Montri Chantawong of the Foundation for Ecological Recovery,(13) Nakhon Phanom province,(14) Khammouan province,(15)

●インドのムケルジ外相,イランガスで,米印原子力協定は障害ではない

2008年11月2日の本HP(注15)では,イランのノザリ石油相(注16)が,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注17)に関して,ガス供給の安全についての方法論はもう議論を尽くした,インドのコミットが欲しい,と述べている。専門家は,インドはこの76億ドルプロジェクトに関して,パキスタンとの緊張が高まったときを考えて,慎重な姿勢を崩していない,としている。

インドのムケルジー外務大臣(注18)は,テヘラン訪問から帰国したようだ。しかし今日の記事は,テヘランを離れるときの話のようだ。ムケルジー外務大臣(注18)は,イランのホセイニ経済財務相(注19)と記者会見に臨んで,インドの米国との原子力協定は,イランのガスを輸入することに,何の障害もない,と語った。インドはエネルギー資源は重要と考えて,原子力平和利用についても,米国だけでなくフランス,ロシアや他の国とも話をしている,その中でも重要なのはイラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注17)であると。

専門家によると,インドはこの76億ドルプロジェクトについて,特にパキスタンとの緊張状態の時のガス遮断を考えて,慎重な立場にある,としている。イラン側は,インドのムケルジー外務大臣(注18)がテヘランに来るまでは,インド抜くでもこのパイプラインプロジェクトをパキスタンとやる,と言っていた。米国は,イランとの協力を行う国に,厳しい態度をとってきた。

私は,この記事から,今度のインドのムケルジー外務大臣(注18)のイラン訪問は,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注17)からインドは離脱しない,というメッセージをイランに送ったのではないか,と思っている。実際に着手するかどうかは別問題である。しかし,インド抜きではやらせないよ,とも受け取れる姿勢で,パキスタンと中国の関係など,今後この問題を巡って,更に複雑な動きになるだろう。

(注) (15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081102A.htm,(16) Oil Minister Gholamhossein Nozari,(17) Iran-Pakistan-India (IPI) gas pipeline project,(18) Indian Foreign Minister Pranab Mukherjee,(19) Iranian Minister of Economy and Finance Shamsuddin Hoseyni,(20)

●インド,ヒマチャルプラデシュ,トーパン水力で,意志決定遅れる

またインド特有の訴訟問題に発展しそうな勢い。先日から話題になっているヒマチャルプラデシュ州(注20)の話である。プロジェクトは,8.69億ドルのキナウル地区(注21)に位置するトーパン-パワリ-ジャンギ水力(注22)である。2006年に,当時の会議派の州政府が,このトーパン-パワリ-ジャンギ水力(注22)プロジェクトを,オランダのブラケル社(注23)に割り当てたことに始まる。

これに対して,インド企業リライアンス(注24)が,州政府がブラケル社(注23)に対して特別な好意で仕事を与えた,と高等裁判所に訴えた。州政府は,結局,このブラケル社(注23)の財務的技術的適格性への疑問から抜け出せず,この月曜日,結論を延期することに決めたのである。

ブラケル社(注23)の幹部は,先月,州政府のミッタル電力次官(注25)にあって,ブラケル社(注23)は,トーパン-パワリ-ジャンギ水力(注22)を工期内に仕上げる能力を持っている,と説明に来ている。大きなプロジェクトであるのに,やっかいなことですね。

(注) (20) Himachal Pradesh,(21) Kinnaur district,(22) Thopan-Powari-Jangi hydropower project,(23) Dutch company Brakel Corp,(24) Reliance Energy,(25) Principal Power Secretary Ajay Mittal,(26)

Reference

Laos

●081104A Laos, Bangoko Post
タイのソムチャイ首相,ラオスの水力促進へビエンチャンへ
Somchai visits Laos, presses for more dams
http://www.bangkokpost.com/breaking_news/breakingnews.php?id=131812

India

●081104B India, Economic Times
インドのムケルジ外相,イランガスで,米印原子力協定は障害ではない
Nuclear deal with US no hurdle for importing Iranian gas: Pranab
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Nuclear_deal_with_US_no_hurdle_for_importing_Iranian_gas_Pranab_/articleshow/3667911.cms
●081104C India, thaindian
ヒマチャルプラデシュ,トーパン水力で,意志決定遅れる
Himachal Pradesh defers decision on controversial power project
http://www.thaindian.com/newsportal/politics/himachal-pradesh-defers-decision-on-controversial-power-project_100114630.html


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年11月3日分ータイの原子力地点決定は2009年末 ー

昨夜,深夜になって,米国大統領候補のマケインとオバマの生涯を特集していて,つい遅くまで見てしまった。マケインは,ハノイ上空で爆撃機から離脱するときに両足と腕を骨折し,湖,あの私たちが船上レストランで食事したザンボー湖であろうか,そこに落ちてベトナム人に助けられ病院に運ばれた,海軍大将だったお父さん,ベトナム側が帰すと言うのを断って,5年間,生死をさまよいながらハノイで捕虜生活を送った,そうして松葉杖をつきながら帰国,それらがすべてフィルムに残っているのがすごい。

オバマも,ケニアからの留学生とお母さんが結婚したという。一時,少年時代をインドネシアで送った。現代の日本の首相で,その様な劇的な人生を送った人がいるだろうか。アメリカと言うところはすごいところだと思う。日本は平和なのか。

さて今日の記事だが,タイが,政治の混乱をよそ目に,刻々と原子力発電所開発に向かって,歩を進めている。2008年6月18日(注1)に,米国などの有力企業と並んで,ニュージェックと日本原子力開発の2社が,可能性調査の有力委託先,と出ていたが,どの様な葛藤が演じられたのか,今週水曜日,2008年11月5日,3年間の原子力開発可能性調査(注7)をバーンアズ,アンド,ロエ,エイシャ社(注8)に委託し,原子力プロジェクトの位置,適用技術,規模,について調査を行う,と報道された。

誰が考えても,タイに於ける原子力発電所開発の鍵は,場所である。場所が明らかにされるまでは,タイの国民は動けない。記事は,既に3カ所に絞られている,と書いてあるが,いずれも南部であろう。

15年の長期電源開発計画(注10)によると,2カ所合計4,000MWで,4,000億バーツ,EGAT(注6)が投資企業であり,運用企業となっている。EGAT(注6)のカモル博士(注11)によると,3年間の原子力開発可能性調査(注7)に要する費用は13.4億バーツで,このうち7.5億バーツは省エネルギー基金(注12)から出される。

カモル博士(注11)によると,型式の選定,沸水型(注13),圧水型(注14)かカンドウ型(注15)はコンサルタントのバーンアズ,アンド,ロエ,エイシャ社(注8)が提案する,としている。また,現在タイ当局が見ている発電単価だが,KWh当たりで,原子力2.08バーツ(5.94セント),石炭火力2.12バーツ(6.06セント),バイオマス2.63バーツ(7.52セント),太陽光20.20バーツ(57.22セント)と見積もっている。

手堅く進んでいる,と言っていいのかどうか。ベトナムとどちらが先になるのか,大きな関心を持っている。でも結局,勝負は地点が決まってからで,今タイの原子力発電計画で何が決まっているか,と言えば,調査委託先が,日本のコンサルタントでなく,米国拠点のバーンアズ,アンド,ロエ,エイシャ社(注8)に決まって,その調査のための資金の目処が立った,と言うところまでことだろう。

今日は,このタイの原子力発電所開発の他に,メコン河本流で進められているバンクムダム(注18)に対する調査を請け負ったのは,イタリアンタイ(注26)とアジアコープ(注27),これに対する周辺住民の不安。また,ガスの供給を,中国と契約したからあなたところへは送れない,とミャンマー軍事政権から冷たく断られたバングラデシュが,そこはバングラデシュの海域だ,と反論に出た。バングラデシュは何処も助けてくれない,本当に可哀相,頼りは日本のODAか。

(注)(1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0806.htm,080618A,(2) http://nationmultimedia.com,(3) Samerjai Suksumek, director of
the strategic energy policy and plan?ning division of the Nuclear Power Programme Development Office (NPPDO),(4) Krungthep Turakij,http://www.bangkokbiznews.com/2005/11/04/w006l1_49172.php?news_id=49172,(5) "Nuclear Power, an Alternative Against Global Warming",(6) The Electricity Generating Authority of Thailand (Egat),(7) a threeyear feasibility study,(8) Burns and Roe Asia,http://www.roe.com/contact_index.htm,(9) rai, 400mx400m,(10) the 15-year power-development plan (2007-2021),(11) Dr Kamol Takabut, Egat assistant governor for powerplant engineer?ing,,(12) the Energy Conservation Fund,(13) boilingwater, (14) pressurisedwater reactor,(15) Candu (Canadian deuteriumuranium) reactor,(16) Supin Panyamak, chairman of the nuclearpower infrastructurepreparation subcommittee
on public understanding,,(17) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0803.htm,080325C,(18) Ban Kum dam,(19) Khong Chiam district's Ban Song Kon,(20) the Pak Moon dam,(21) The 1,870-megawatt Ban Kum hydropower dam,(22) Ban Ta Long in Khong Chiam,(23) Champassak province,(24) Ban Ta Mui village,(25) Naga fireballs,(26) Italian-Thai Development Plc,(27) the Asiacorp Holding Ltd,(28) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081009D.htm,(29) the vice-chairman of the Myanmar State Peace and Development Council, vice-senior general Maung Aye,(30) Iajuddin Ahmed,(31) energy minister Lun Thi,(32) M Tamim, the chief adviser’s special assistant,(33) Dhaka,(34) maritime boundary,(35) Bangladesh Foreign Secretary Touhid Hossain,(36) the Burmese ambassador to Dhaka, U Phae Thann Oo,(36) the Bay of Bengal,


本文

●タイの原子力地点提示は,2009年末になる

タイの原子力開発に関してこのHPでの最新の記事は,2008年6月18日(注1)である。その時の記事によると,982年以来50地点が候補に上って,今では10地点に絞られてきたが,いよいよ来月,3地点程度に絞り込むための調査の発注を行うという。このとき,委託先として名前が挙がっていたのは,日本からニュージェックと日本原子力開発の2社であったが,選ばれなかったようだ。今日の記事を見てみよう。

今日のネーション(注2)の記事の主題は,タイの原子力地点の具体的な位置の提案は,早くても来年,2009年末になるだろうと言うことだ。先週にパネルディスカッションが開催され,タイ政府原子力発電開発庁のサメルジャイ局長(注3)が,タイ語のニュース社と思われるクルンテップ,トウラキジ(注4)が主宰した,「地球温暖化のための原子力発電」(注5),で,政府によって少なくとも2010年までに,調査の結果が出される,と報告された。

サメルジャイ局長(注3)によると,「タイはガスに依存しすぎているが,それもこの先20年が限界だろう。そうかといって石炭火力は公害から受け入れられていない。」,と言っている。EGAT(注6)は,今週水曜日,2008年11月5日,3年間の原子力開発可能性調査(注7)をバーンアズ,アンド,ロエ,エイシャ社(注8)に委託し,原子力プロジェクトの位置,適用技術,規模,について調査を行う。場所は冷却水の関係からタイ南部で,必要な面積は1,000ライ(注9)と言われている。

15年の長期電源開発計画(注10)によると,2カ所合計4,000MWで,4,000億バーツ,EGAT(注6)が投資企業であり,運用企業となっている。EGAT(注6)のカモル博士(注11)によると,3年間の原子力開発可能性調査(注7)に要する費用は13.4億バーツで,このうち7.5億バーツは省エネルギー基金(注12)から出される。カモル博士(注11)によると,型式の選定,沸水型(注13),圧水型(注14)かカンドウ型(注15)はコンサルタントのバーンアズ,アンド,ロエ,エイシャ社(注8)が提案する,としている。

カモル博士(注11)によると圧水型(注14)が世界の442の原子力プラントのうち61%の265プランを占めている。原子力発電所の経済性だが,KWh当たりで,原子力2.08バーツ(5.94セント),石炭火力2.12バーツ(6.06セント),バイオマス2.63バーツ(7.52セント),太陽光20.20バーツ(57.22セント)と見積もっている。スピン原子力サブ委員会議長(16)は,地点決定をしたら,直ちに住民への安全等の啓蒙活動を開始する,と言っている。

手堅く進んでいる,と言っていいのかどうか。ベトナムとどちらが先になるのか,大きな関心を持っている。でも結局,勝負は地点が決まってからで,今タイの原子力発電計画で何が決まっているか,と言えば,調査委託先が,日本のコンサルタントでなく,米国拠点のバーンアズ,アンド,ロエ,エイシャ社(注8)に決まって,その調査のための資金の目処が立った,と言うことだろう。

(注)(1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0806.htm,080618A,(2) http://nationmultimedia.com,(3) Samerjai Suksumek, director of
the strategic energy policy and plan?ning division of the Nuclear Power Programme Development Office (NPPDO),(4) Krungthep Turakij,http://www.bangkokbiznews.com/2005/11/04/w006l1_49172.php?news_id=49172,(5) "Nuclear Power, an Alternative Against Global Warming",(6) The Electricity Generating Authority of Thailand (Egat),(7) a threeyear feasibility study,(8) Burns and Roe Asia,http://www.roe.com/contact_index.htm,(9) rai, 400mx400m,(10) the 15-year power-development plan (2007-2021),(11) Dr Kamol Takabut, Egat assistant governor for powerplant engineer?ing,,(12) the Energy Conservation Fund,(13) boilingwater, (14) pressurisedwater reactor,(15) Candu (Canadian deuteriumuranium) reactor,(16) Supin Panyamak, chairman of the nuclearpower infrastructurepreparation subcommittee
on public understanding,,(17)

●メコン本流,バンクムダム開発,住民が不安,パクムンの再来と

過去のこのHPの記録を見ると,2008年3月25日(注17)に,このバンクムダム(注18)を報じている。既にタイのサマック首相はその地位を去ったが,新任早々のサマック首相がぶちあげたメコン河本流上のダム開発計画である。バンクムダム(注18)計画は,メコン本流の階段状ダム計画の一つとして提案されており,位置はラオス南部,チャンパサックの下流。昔の記録を見ると,ダム高69m,ダム長さ2,360m,満水位130m,低水位128m,流域面積419,000平方km,総貯水容量53億トン,有効容量14億トン,有効落差28m,最大出力900MW,有効出力515MW,などの数字がある。

さて今日の記事。サマック首相は消えても,ダムは動いているようだ。主として周辺住民の不安を中心に,記事は書かれている。ダムサイト近くのバンソンコン(注19)の住民が,パクムンダム(注20)の再現だと恐れている。1,870MWバンクム水力発電ダム(注21),以前は最大出力900MWとしているが,おそらく60%負荷率を30%にあげたのだろう,8時間ピーク運転である。

位置は,バンタロン(注22)でラオス側はチャンパサック(注23)で,二つの企業が政府の委託で調査に入るという。しかし既に地元住民は反対の姿勢を打ちだしている。パクムンダム(注20)の再現と言っている。パクムンダム(注20)は,5年の反対闘争の中で,19945年に完成した。主として漁業関係者の反対であった。調査を請け負ったのは,イタリアンタイ(注26)とアジアコープ(注27)のようだ。

また近くにバンタムイ(注24)村というのがあって,ここが観光地になっているという。ナガ,ファイアボール(注25)と言っているが,何かメコン河の夕日の景色か何かか,これが影響を受けて観光収入が激減する,とも言っている。また,ある研究者は,年間を通じて確実な発電が出来ない可能性が強い,と反対している。エネルギー省は,まだこのプロジェクトに関与していないようだ。

水没移住がどのくらいになるのか分からないが,メコン河は水位変動の大きな川である。ある研究者の言葉のように,洪水期の発電には相当の制約がある。低ダムの開発は無理だろう,と私は言ってきた。今回のダムの規模は69mであり,有効落差は28mという。ここまでダムをあげれば,相当の水没人口を見積もらなければならないだろう。

(注) (17) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0803.htm,080325C,(18) Ban Kum dam,(19) Khong Chiam district's Ban Song Kon,(20) the Pak Moon dam,(21) The 1,870-megawatt Ban Kum hydropower dam,(22) Ban Ta Long in Khong Chiam,(23) Champassak province,(24) Ban Ta Mui village,(25) Naga fireballs,(26) Italian-Thai Development Plc,(27) the Asiacorp Holding Ltd,(28)

●バングラデシュ,ミャンマーのガス開発に海域侵犯と

バングラデシュはガスを主体に発電しているが,その枯渇が目に見えている。ミャンマーのガスが欲しいのは,本当はバングラデシュなのだ。2008年10月9日のこのHP(注28)を見ると,ミャンマーのマウンアイ将軍(注29)がバングラデシュのアームッド大統領(注30)を表敬訪問したときに,大統領から,主として肥料工場のためのガス供給を打診したが,マウンアイ将軍(注29)将軍から断られている。インドへのガスパイプラインについても,白紙だとの発言があった。

また,ミャンマーのルンティ,エネルギー大臣(注31)は,ミャンマーを訪問したバングラデシュの タミン政府顧問(注32)に対してこう言ったようだ。バングラデシュに近い海域の二つのブロックで探査中であり,バングラデシュが他の国と競争によりこのガスの取得する可能性は残されていると。自分で開発しなさいと言うことか,と私のメモが残っている。10月9日に記事(注28)である。

さて今日の記事だが,バンコクポストがダッカ(注33)発で書いている。地元メディアによると,バングラデシュ政府は,ミャンマーの軍事政権が,バングラデシュ海域内(34)で原油ガス探査をい行っているが,これを止めるよう要請している。バングラデシュのホサイン外務次官(注35)がダッカ駐在のウパエタンオ大使(36)を訪ね,境界画定交渉が決着するまで,探査活動を中止するよう要請したという。

問題となっている場所は,ベンガル湾(注36)のバングラデシュ近海の深海,ブロック08〜13で,これはバングラデシュの海域である,としている。バングラデシュは,近海のパトロールを勤めている。対話は,2008年4月に行われたが,結論が出ていない。

私は,このバングラデシュの抗議が,2008年10月9日の,バングラデシュからミャンマー軍事政権への,天然ガス供給要請が拒否された後の,バングラデシュの抗議だけに,バングラデシュが本当に可哀相だと思う。ミャンマーは,ガスはもう中国と契約してしまった,バングラデシュに分け与える余裕はない,とはっきり言っている。バングラデシュはすっかり孤立している。日本のODAだけが頼りなのではないか。その心情を思うと,本当に助けて上げたいと思う。

(注) (28) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081009D.htm,(29) the vice-chairman of the Myanmar State Peace and Development Council, vice-senior general Maung Aye,(30) Iajuddin Ahmed,(31) energy minister Lun Thi,(32) M Tamim, the chief adviser’s special assistant,(33) Dhaka,(34) maritime boundary,(35) Bangladesh Foreign Secretary Touhid Hossain,(36) the Burmese ambassador to Dhaka, U Phae Thann Oo,(36) the Bay of Bengal,(37)

Referenc

Thailand

●081103A Thailand, The Nation
タイの原子力地点提示は,2009年末になる
Search on for nuclear site
http://nationmultimedia.com/2008/11/03/business/business_30087411.php

Laos

●081103B Laos, bangkokpost
メコン本流,バンクムダム開発,住民が不安,パクムンの再来と
Villagers not happy with planned dam
http://www.bangkokpost.com/031108_News/03Nov2008_news12.php

Bangladesh

●081103C Banglaesh, bangkokpost
バングラデシュ,ミャンマーのガス開発に海域侵犯と
Bangladesh protests Burma oilfield intrusion
http://www.bangkokpost.com/breaking_news/breakingnews.php?id=131787


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年11月2日分 ーイランのパイプラインとインドの優柔不断

昨日,この仕事が遅くなって4時前にまだ終わらず,疲れてふっとテレビを付けたら,18番で石川遼の打ったボールが池のそばで踊っていた。結局落ちて水中打法で切り抜けて優勝した。「誰か助けて欲しくて,吐きそうになって」,と言っているから,孫によく見ておけ,入学試験と一緒だ,誰も助けてくれない,と言い聞かせた。夜はラミレスのサヨナラホームランで,昨日は2回すっきりした。

明日は米国の大統領選挙が行われる。まあ長い間大騒ぎで,本当にもっと日本のように簡単にやればよいのにと思う,僅か4年の任期なのに。それにしても思うのは,十数万の兵士をイラクに釘付けにして辞めて行くブッシュ大統領の心境だ。小泉首相の気持ちは手に取るように分かった。イラクに送った自衛隊が毎日毎夜,彼を苦しめただろう。小泉首相は,辞める前にあっさりと自分の派遣した自衛隊を帰国させた。ブッシュ大統領は辞めてからイラク米軍の司令官をやらせてあげてはどうだろう。

無駄口を叩いては駄目で,さて今日の記事だが,インドの優柔不断(注10),プロクラスティネーションという言葉を初めて聞いた。イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)である。長い間店ざらしにされて,イランとパキスタンは怒っている。72億ドルだから,イランとパキスタンだけでやるというわけにはいかないようだ。

まず,2008年10月17日(注2),パキスタンのザルダリ大統領(注3)が北京を訪問して,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)の行き着く先を中国に変えるよう湖錦濤主席に持ちかけたが,その長さからか,或いは米国に何らかの気を遣ったか,原子力協定と共に,確答を与えなかった。イスラマバードでは,中国はイラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)に参加しなくても,資金は出してくれるだろう,と言う楽観論がある。

一方インドだが,必死になってミャンマーに食い下がっているように,どうしてもガスが欲しい。それにしてもインドにとって,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)は,まさに悪魔の誘惑,の感じが深く,特に最近のパキスタンのザルダリ大統領(注3)の言動を見ていると,そう簡単には乗っていけない側面があるのだろう。

ミャンマーの,包蔵90兆立方フィートと言われるガス包蔵も,昨日見たように(注17),中国優勢である。何とも動きのとれないインドを取り巻く国際ガスパイプライン戦略であるが,今インドにとって重要なのは,やはり米印現日力協定だろう。これを軌道に乗せるまで,イランやパキスタンをいろいろ巻き込みながら,終わりにしないように,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)を引っ張って行く作戦だろう。

(注) (17) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081101.htm,(18)
(注) (1) Iran-Pakistan-India (IPI) gas pipeline project,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081019C.htm,(3) Pakistan’s President Zardari,(4) Foreign Minister Shah Mahmood Qureshi,(5) http://economictimes.indiatimes.com/,(6) Tehran,(7) Oil Minister Gholamhossein Nozari,(8) Indian Foreign Minister Pranab Mukherjee,(9) Azad Kashimir,(10) India's procrastination,(11)

本文

●イラン,インドに対して,ガスパイプライン決断急げ

イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)については,2008年10月19日(注2)にこのHPでも取り上げている。このときはイスラマバード発の記事で,一方的にパキスタンから見た報道であった。丁度パキスタンのザルダリ大統領(注3)の中国からの帰国直後のタイミングで,パキスタンのクレシ外務大臣(注4)が,インドは参加するのかどうか,参加しないならば中国と話をする,と発言していた。

その時の私のコメントとして,これはインドが,米国との原子力協力協定を優先させた結果だと思う。先日も出ていたが,米国は,中央アジからアフガニスタンを通過してインドに至るガスパイプラインを調整してもよい,と言ったことがある。これは勿論,インドのみならずパキスタンへの発した言葉だが,パキスタンは今や新大統領の下,中国を向いているから,この中央アジアからのエネルギーラインも難しくなってきている。さて,インドのガスはどうなるか,と書いている。

今日の記事は,インドのエコノミックタイムス(注5)であるが,書かれたのはテヘラン(注6)である。イランのノザリ石油相(注7)が,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)に関して,ガス供給の安全についての方法論はもう議論を尽くした,インドのコミットが欲しい,と述べている。専門家は,インドはこの76億ドルプロジェクトに関して,パキスタンとの緊張が高まったときを考えて,慎重な姿勢を崩していない,としている。

現在,インドのムケルジー外務大臣(注8)がテヘランを訪ねているが,「インドはこのイラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)から離脱するつもりはない。パキスタンとは,インドへのコストと安全の問題で議論している。それはこのこのイラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注1)の会社形態の問題でもある。」,と言っている。米国を気にしているのか,の質問に対しては,「インドは独立国である。」,とのみ答えている。

2008年10月19日(注2)にも書いたが,パキスタンは完全に中国を向いている。パキスタンが実効支配しているアザドカシミール(注9)を通過すれば容易に中国に達することが出来るが,前回のパキスタンのザルダリ大統領(注3)の北京訪問時には,この案に湖錦濤主席が確答を与えなかったようだ。パキスタン側は,よしんば中国まで伸ばせなくても,中国は資金協力はしてくれると考えている。それにしても,地形図を見る限りは,パキスタンまで来たガスパイプラインをニューデリーまで伸ばさない手はなかろう。インドの優柔不断(10)が分かる。

(注) (1) Iran-Pakistan-India (IPI) gas pipeline project,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081019C.htm,(3) Pakistan’s President Zardari,(4) Foreign Minister Shah Mahmood Qureshi,(5) http://economictimes.indiatimes.com/,(6) Tehran,(7) Oil Minister Gholamhossein Nozari,(8) Indian Foreign Minister Pranab Mukherjee,(9) Azad Kashimir,(10) India's procrastination,(11)

●インド,ヒマチャルプラデシュ,中央のプール市場買電を望む

インドの北西端,山岳地帯のヒマチャルプラデシュ(注11)州は,昨今,水力開発でこのHP(注12)を賑わしている。本来は,ヒマチャルプラデシュ(注11)州は電源地元で,首都ニューデリーにも近いことから,電気は余っているはずであるが,問題は水力依存が大きすぎる,と言うことだろう。開発形式にもよるが,水力依存の大きいところは,その出力の季節変動が大きく,需給バランスに悩んでいる。

今日の記事。ヒマチャルプラデシュ(注11)州は,中央からの電力融通を期待している。それは,河川の上流で氷結が始まり,水力発電所の能力が25%落ち込んできたからである。ヒマチャルプラデシュ(注11)州政府のドウマル首相(注13)は,最近,中央のシン首相(注14)に手紙を書き,冬の需要対応で常時,400MWの融通を依頼した。

この手紙の中でヒマチャルプラデシュ(注11)州政府のドウマル首相(注13)は,8つの大規模火力開発計画,32,000MWについて,ヒマチャルプラデシュ(注11)州への配分がまだ決まっていないことを指摘している。この過去3年間で,ヒマチャルプラデシュ(注11)州の工業化が進み,11月から3月までの冬の期間の電力需要が急増し,28億KWhが50億KWhにも伸びてきているという。現在10億KWhの不足となっている。

現状での合意事項は,ヒマチャルプラデシュ(注11)州は冬期間,パンジャブ(注15)州から日2億KWh,ハリヤナ(注16)州とデリーから日4.5億KWhを融通される代わりに,夏期にはこれらの州にヒマチャルプラデシュ(注11)州から電力が融通されることになっている。ヒマチャルプラデシュ(注11)州は,包蔵水力が21,000MWあり,その3分の一が開発されただけ,2012年までには12,000MWが新たに開発されることになっている。

結局,水力発電所だけの系統,というのは,需給にうまく対応できないと言うことだ。理想的には,火力と水力が,70対30ぐらいの割合でなければ,需給が整わないし,水力というのは基本的にピーク供給力に適している。ベトナムやザンビアなどのアフリカで厳しい電力需給が続くのは,この水力と火力のバランスが悪いから,と言えるのではないか。

(注)(11) Himachal Pradesh,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/081024C.htm,(13) Chief Minister Prem Kumar Dhumal ,(14) Prime Minister Manmohan Singh,(15) Punjab,(16) Haryana,(17)

Reference

India

●081102A India, Economic Times
イラン,インドに対して,ガスパイプライン決断急げ
Iran urges India to commit to gas pipe plan: Report
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Iran_urges_India_to_commit_to_gas_pipe_plan_Report/articleshow/3662953.cms
●081102B India, sindhtoday
ヒマチャルプラデシュ,中央のプール市場買電を望む
Himachal Pradesh seeks more power from central pool
http://www.sindhtoday.net/south-asia/32785.htm


ー 日刊アジアのエネルギー最前線 2008年11月1日分 ーミャンマーでの中国のプレゼンス

今日は連休の中日にも関わらず長文記事3発で,随分時間がかかった。しかし,ミャンマーに於ける中国の動きや,中国の最近の石炭事情が詳しく見れて,有益だった。

リビアの最高指導者カダフィ大佐がロシアを訪ね,エネルギーと武器の相談をしている。今日の朝日新聞で,米国がリビアにミサイルを撃ち込んだとき,イタリアの外務大臣が事前にカダフィを隠れ家から逃がした,と書いてあった。今,リビアと対岸のイタリアの間にはガスパイプラインがあるが,これはその結果か。今日のロシアでの会談は,このパイプラインをロシアまで延ばす計画も含まれている。エネルギーを巡る国際情勢も,なかなか不可思議。

さて今日の記事,ミャンマーに関するもの2件であるが,一般的な中国企業のミャンマー内での動きは,今までも伝えられてきたが,非常に印象が強かったのは,ラムリー島(注24)の話である。この半島みたいな島は,ヤンゴンから直線で北東へ360km,アラカン山脈(注25)を超えなければならないから,おそらく海路しか接近できないのだろう。ベンガル湾に突き出た島で,バングラデシュとの国境に近い。このラムリー島(注24)が,中国がミャンマーの軍事政権からエネルギー資源を引き出そうとしている拠点なのである。

なかなかここまで行って記事を書いてくれるメディアはいないが,今日の記事は,AOW幹部のカイン氏(注26)のもので,人権や環境を扱うNGOもここまで行くのには大変だっただろう。彼の報告では,ラムリー島(注24)は,シンガポールほどの島で40万人が住んでいるという。地形から見ても,津波や台風の災害をまともに受けたところだろう。中国人が来てから,村人の生活は一変したという。住民は中国人を憎んでいると言う。

工事は乱暴に行われ,濁水や有毒な薬品も気にせず,村民がベンガル湾への出口として使っていたチャインワ川(注28)を全く使用不能にした。詳しいことは記事に任せる。ミャンマー軍事政権の独裁を利用して,中国企業のミャンマー内での活動には,何の規制もないと言う。この海外での中国企業が行う事業の規制がないと言うことは,現在国際的にも問題になっており,さすがに北京は,環境技術アカデミーCAEP(注29)がこの点を2008年9月半ばの報告の中に書いている。

なお,このラムリー島(注24),アジアタイムスはチャウピュー島(注11)と呼んでいるが,中国企業CNOOC(注28)がラムリー島(注24)に目を付けたのは,海の深度である,と言う点だ。中国はここに大型港湾の建設を考えているに違いない。現在,中国への原油の70%がマラッカ海峡(注5)を通過しているが,米国によってブロックされる可能性のあるルートを,シュエガスパイプライン(注4)で迂回しようというものである。

インドとタイも,ミャンマー軍事政権に対して,中国に近い姿勢を示しているが,欧米は厳しく,最近では,「知的制裁(注6)」,と称して,軍事政権の中核にある個人の資産凍結を標的にしている。ある専門家の推定では,ミャンマー軍事政権は,ガスによって年間35億ドルを手にしているという。要するにラムリー島(注24)は,現在ではベンガル湾などの天然ガスの集積地で,雲南省まで送るシュエガスパイプライン(注4)の起点であるが,このパイプラインを増設して,中東からのLNGや原油をこのラムリー島(注24)に運ぶという構想らしい。

この記事が最後に結んでいる文章(注22)はうまく訳せないが,おそらくこういうことだろう。今中国が享受している通商の利益は,言うなれば誘惑の悪魔だけがその帰結を知っている,と言うことか。ミャンマー軍事政府が,本当に禅譲でなく民主化へ進んでしまうならば,はっきり言って,中国の権益が守られる保証はないであろう。最近の台風被害で,被災者を救おうとしないミャンマー軍事政権に対して,ミャンマー沖に,救済のためとはいえ,米国とフランスの軍艦が待機したことは,記憶に新しい。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0806.htm,(2) http://www.atimes.com/,(3) EarthRights International and Arakan Oil Watch,(4) Shwe Gas pipeline,(5) Strait of Malacca,(6) "smart sanctions",(7) EarthRights International,(8) Arakan state,(9) the Shwe Gas project,(10) Sagaing division,(11) Kyaukpyu Island,http://my.reset.jp/~adachihayao/08110101.jpg,(12) China Petroleum and Chemical Corporation, or Sinopec,(13) China National Petroleum Corporation (CNPC),(14) Myanmar Oil and Gas Enterprise (MOGE) ,(15) the gigantic 7,100-megawatt Tasang Dam on the Salween river in Shan state,(16) Kachin state,(17) N'Mai Hka,(18) Mali Hka,(19) Irrawaddy river,(20) he Five Principles of Peaceful Coexistence,(21) the UN Security Council,(22) more visible commercial interests are for now better served by the devil it knows.,(23) http://www.ipsnews.net/,(24) Ramree Island,(25) Arakan Range, (26) Jockai Khaing, director of Arakan Oil Watch (AOW),,(27) China National Offshore Oil Company (CNOOC),(28) Chaing Wa Creek,(29) the Chinese Academy for Environmental Planning (CAEP),(30)


本文

●ミャンマーに於ける中国の足音,更に高まってくる

ミャンマーのエネルギー資源への中国の怒濤のごとき進撃については,2008年6月に,このHPでも再三取り上げている(注1)。6月19日には,「ミャンマーの新規ダム計画,数千人の移住を伴う」,また6月10日には,「ミャンマー,サルウイーンのダム建設,反政府派を水没へ」などである。これまではいずれも,各地のプロジェクトの環境グループによる批判であったが,今日のアジアタイムス(注2)は,これを総括的に取り扱っている。長文であるが,要点を拾ってみよう。

欧米がミャンマー軍事政権に対して厳しい制裁を課している中で,中国のミャンマーの資源を標的としたミャンマー軍事政権への外交的な連携をより鮮明にしてきている。環境グループ(注3)の報告書によると,69の中国企業が,水力,鉱業,原油,ガスの分野でミャンマー全土に亘って少なくとも90のプロジェクトを推進中という。特徴的なものは,エネルギーと資源で,水力ダムとシュエ,ガス,パイプライン(注4)で,シュエガスパイプライン(注4)はミャンマー全土を南北に縦断して,地理的に閉ざされた雲南省へ通ずるものだ。

現在,中国への原油の70%がマラッカ海峡(注5)を通過しているが,米国によってブロックされる可能性のあるルートを,シュエガスパイプライン(注4)で迂回しようというものである。インドとタイも,ミャンマー軍事政権に対して,中国に近い姿勢を示しているが,欧米は厳しく,最近では,「知的制裁(注6)」,と称して,軍事政権の中核にある個人の資産凍結を標的にしている。ある専門家の推定では,ミャンマー軍事政権は,ガスによって年間35億ドルを手にしているという。

環境団体アース,ライト,インターナショナル(注7)が確認したところでは,特に中国によるミャンマーの原油ガス田の開発が最近盛り上がっており,アラカン州(注8)のシュエ,ガス,プロジェクト(注9)とサガイン地区(注10)の新規ブロックなど,21のプロジェクトが進行中である。注目すべきは,アラカン州(注8)沖のチャウピュー島(注11)を中東から雲南省へのシュエ,ガス,パイプライン(注4)の中継基地に想定して開発していることである。このシュエ,ガス,パイプライン(注4)については,既に中国企業(注12)とミャンマー政府が契約しており,更にこれと並行したパイプラインも構想があり,中継基地の建設で,中国企業CNPC(注13)とミャンマーのMOGE(注14)が調査を行っている。

同じく環境団体アース,ライト,インターナショナル(注7)の報告では,ダムプロジェクトも進展しており,特に電力を雲南省へ送る目的で,サルウイーン河,シャン州の7,100MWタッサン,ダム(注15)の他,カチン州(注16)のマイカ川(注17),マリカ川(注18),イラワジ河(注19)などを含め,総出力は13,360MWに達する。また,金や翡翠などについても,中国企業が入っており,欧米の制裁とのギャップを埋めている。

中国のミャンマー軍事政権に対する外交姿勢だが,1954年の有名な,「平和共存のための5原則(注20)」,が今でも基本と考えられ,政経分離の考え方に近い。中国は安全保証理事会(注21)で拒否権を使ってミャンマーを守ってきたが,最近では民主化への圧力を強めている。しかし中国が,現在築きつつあるミャンマーとの経済関係を壊すような急激なミャンマーの政治の変化を求めていないことは確かである。民主化を求める中国の姿勢は,民主化後の勢力が,中国の権益を守ることを前提に,話をしているのだろう。誰がミャンマーの政治を握ろうとも,中国の安価な機械類,技術ノウハウ,低利で長期の借款などは,ミャンマーにとって手放せない。

この記事が最後に結んでいる文章(注22)はうまく訳せないが,おそらくこういうことだろう。今中国が享受している通商の利益は,言うなれば誘惑の悪魔だけがその帰結を知っている,と言うことか。ミャンマー軍事政府が,本当に禅譲でなく民主化へ進んでしまうならば,はっきり言って,中国の権益が守られる補償はないであろう。最近の台風被害で,被災者を救おうとしないミャンマー軍事政権に対して,ミャンマー沖に,救済のためとはいえ,米国とフランスの軍艦が待機したことは,記憶に新しい。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0806.htm,(2) http://www.atimes.com/,(3) EarthRights International and Arakan Oil Watch,(4) Shwe Gas pipeline,(5) Strait of Malacca,(6) "smart sanctions",(7) EarthRights International,(8) Arakan state,(9) the Shwe Gas project,(10) Sagaing division,(11) Kyaukpyu Island,http://my.reset.jp/~adachihayao/08110101.jpg,(12) China Petroleum and Chemical Corporation, or Sinopec,(13) China National Petroleum Corporation (CNPC),(14) Myanmar Oil and Gas Enterprise (MOGE) ,(15) the gigantic 7,100-megawatt Tasang Dam on the Salween river in Shan state,(16) Kachin state,(17) N'Mai Hka,(18) Mali Hka,(19) Irrawaddy river,(20) he Five Principles of Peaceful Coexistence,(21) the UN Security Council,(22) more visible commercial interests are for now better served by the devil it knows.

●ミャンマー沖合,西の島,今や中国のエネルギー根拠地へ

この前のアジアタイムス(注2)の記事とよく似たタイトルだが,内容は少し違うようだ。このIPS(注2)の記事は,深くミャンマーの現地に入り込んだ環境或いは人権団体が,中国企業とミャンマー軍事政権が推進しているプロジェクトの実情を報告している。ミャンマーの西南の沖合,など報道関係者でもなかなか入っていけないところで,どんどん入っていって,報告書を書く環境団体に,その意味では敬意を払う。

さて記事は,やはりミャンマー沖合の島の話から始まっている。先ほどのアラカン州(注8)沖のチャウピュー島(注11)は,この記事のラムリー島(注24)の北端にあって,ラムリー島(注24)の中に含まれているようだ。ヤンゴンから直線で北東へ360km,アラカン山脈(注25)を超えなければならないから,おそらく海路しか接近できないのだろう。ベンガル湾に突き出た島で,バングラデシュとの国境に近い。このラムリー島(注24)が,中国がミャンマーの軍事政権からエネルギー資源を引き出そうとしている拠点なのである。ここまで言って,この記事にある内容をもたらしたのは,AOW幹部のカイン氏(注26)である。

ラムリー島(注24)は,シンガポールほどの島で40万人が住んでいるという。地形から見ても,津波や台風の災害をまともに受けたところだろう。中国人が来てから,村人の生活は一変したという。住民は中国人を憎んでいる。中国企業CNOOC(注28)がラムリー島(注24)目を付けたのは,海の深度である。カイン氏(注26)は,CNOOC(注28)が,国際的な基準である環境調査を全く実施せず,工事に着手したという。

工事は乱暴に行われ,濁水や有毒な薬品も気にせず,村民がベンガル湾への出口として使っていたチャインワ川(注28)を全く使用不能にした。詳しいことは記事に任せる。ミャンマー軍事政権の独裁を利用して,中国企業のミャンマー内での活動には,何の規制もないと言う。この海外での中国企業が行う事業の規制がないが,さすがに北京は,環境技術アカデミーCAEP(注29)がこの点を2008年9月半ばの報告の中に書いている。

2006年にミャンマー軍事政権が得たガス売却収入は21.6億ドルでこれはミャンマーの輸出の50%を占めている。また2008年には35億ドルの収入があると見られている。中国はミャンマーを国連の場で支えている,これが中国とミャンマー軍事政権の相互依存だ,と言っているミャンマーの知識人もいる。武器も供与されている。この知識人は次のように結んだ。「軍事政権は中国へ国を開いた,それは軍事政権が北京を必要としているからだ。」,と。

(注) (23) http://www.ipsnews.net/,(24) Ramree Island,(25) Arakan Range, (26) Jockai Khaing, director of Arakan Oil Watch (AOW),,(27) China National Offshore Oil Company (CNOOC),(28) Chaing Wa Creek,(29) the Chinese Academy for Environmental Planning (CAEP),(30)

●中国の石炭供給は,時に不足,時に余剰,不可解

中国の石炭については,このHPでも2008年7月31日(注30)に取り上げている。当時,中国の専門家が書いた石炭供給への渓谷の最後の言葉は,「中国の石炭不足は,世界経済の中で発展を続ける中国の経済成長を,この重要な時期に挫折させる可能性がある。」,というもので,オリンピックを乗り越えたとはいえ,発電の80%を石炭が担っている中で,昨年の炭坑での犠牲者は4000人に上る,まさに戦争である。

今日の記事はエナージトリビューン(注31)のもので外部から見た中国の石炭事情である。長文である。中国の石炭は不思議な世界だ。ある日中国政府は石炭は余っている,という,また別の日には,石炭火力発電所で7日分しかない,と慌てる。古い炭坑を閉鎖したと自慢していた中国政府は,急にそれを復活しろと指示する。何処が間違っているのだろうか?

ある人は,政府のシンクタンクの保守的な予測姿勢が問題だと言っている。2006年に,発改委NDRC(注32)は石炭余剰を警告,2,734の炭坑が閉鎖された。閉鎖が終わると発改委NDRC(注32)は石炭需要予測を8億トン上方修正,同じようなことを発改委NDRC(注32),2003年に,石炭火力が多すぎるとブレーキをかけた。2,3ヶ月前に政府は石炭4,000万トン不足と報じている。その後豪雪や四川省地震を経て,2.22億トンの石炭増量を指示,合計27億トンとした。

今年,2008年の発電用石炭は15.6億トンである。製鉄が4.96億トン,建設材料が4.32億トン,などである。政府は石炭の増量を促し,石炭火力は15日分を備蓄するよう指示している。2008年夏の不足電力は全国で10,000MW,そのうち広東省が6,000MWであった。輸入は0.49億トンとし,閉鎖した炭坑の復活を指示,2,534の炭坑が2月復活,3月には更に5,300が復活した。四川地震では,199の炭坑が被害を受け,その生産量影響は1.45億トンであった。

問題は,発改委NDRC(注32)の指示する石炭価格で,発電会社が大打撃を受けている。新規に4,247MWの石炭火力が完成したが,動いたのはその37%だけである。中国は2010年までに,発電設備を950,000MWとする計画で,水力が22.3%,210,000MW,火力が74.7%,710,000MW,原子力が1%,9,500MW,風力などが2%,20,000MWと計画している。

石炭価格の上限の制限も問題を起こしている。石炭輸出は,年率83.5%も伸びて,5月にトン132.40ドルであった値段が,110.40ドルに下落している。長期的には中国にとって石炭は主流で,2008年,今年は6.5%伸びで27億トン,2010年には31億トンとなる。因みに,米国の2007年の石炭消費は11億トンである。

中国の石炭産出の根拠地,山西省は,2010年までに昨年,2007年の5.4億トンを,年7億トンとする計画である。山西省は2,700億トンの石炭埋蔵を有し,中国全体の25%を占めている。環境問題が叫ばれているが,いずれにしても中国にとって,ここ数十年は石炭が中国のエネルギーの主流であることは間違いない。

(注) (30) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0807.htm,(31) http://www.energytribune.com/,(32) the National Development and Reform Commission,(33)

Reference

Myanmar

●081101A Myanmar, ipsnews
ミャンマー沖合,西の島,今や中国のエネルギー根拠地へ
China's Thirst for Oil Ignores Environment, Rights
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=44534
●081101B Myanmar, Asia Times
ミャンマーに於ける中国の足音,更に高まってくる
China's footprint in Myanmar expands
http://www.atimes.com/atimes/China_Business/JK01Cb02.html

China

●081101C China, energytribune
中国の石炭供給は,時に不足,時に余剰,不可解
China''s Coal Crunch
http://www.energytribune.com/articles.cfm?aid=1004


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