箱の人

崩れ行く  次元の影
独り  空を巡る  紅い真夜中

回転木馬の自惚れに立ち
網膜に倥惚の砂を見る

仮面を被る道化の街で
静かに流れる  消極感情
影法師  潜む霧
肺の中  ほくそえむ森

相対する  その刹那の世界を食みながら
全てよ回れと願うのか

痛いほど静かに  灰になる

名もない色の、名もない場所で、
靴を無くした。記憶と共に。
空を照らすは、永遠の球体。
目を焦がし、つづける。

ちりちりと、ちりちりと。
ちりちりと、ちりちりと。

満たされるまで。  
もう何も、見えなくなるまで。

ふかくふかく洞に落ちれば、
流走する音は  幻の鳥
その羽ばたきで  毀れてしまう

穏やかな虚構  緩慢の楽園。

瞬きひとつ  光に消えた
瞬きふたつ  涙の谷に
忘れてはならない詩  その名は

今は地雨の思惟の底

気付けば収まる  手の平の箱

故智の立方
僕はただ、ひたすらに。