やってみよう!一人使いの指人形劇


2. 指 人 形 を 作 っ て み よ う

2-4. ウレタンの着色





着色の方法

 原則として発泡後のウレタンは着色できません。黄色や緑色のウレタンを見かけるのは、原材料に色を付けて発泡させたものです。顔料(ポスターカラー・ペンキ・ラッカースプレイ等)を塗ることは出来ますが、乾いて揉むと粉になって落ちてしまいます。

 ウレタンの特性である柔らかい質感と弾力を生かすには、どうしてもウレタンそのものを染める必要が生じました。水に溶かした後、熱やアルカリで定着させる布用の染料はウレタンが受け付けません。絵を描いてアイロンで押さえるクレオン方式は熱で溶けてしまいます。手軽なのは油性のサインペンですが、発色が悪く表面だけの着色なのでむらが出ます。

 メーカーの研究室まで押しかけて調べた結果、落ち着いたところは「毒をもって毒を制す」でした。同じ化石製品でも、発泡スチロールはシンナーに溶け、ウレタンはアルコールに溶けるという性質を逆手にとることにしました。革製品の着色は、煮ると縮み、薬品を使うと変質しますので、自然乾燥で定着するアルコールで溶かした染料を使用します。

 ここまで説明すれば、もうお判りでしょう。ウレタンを溶かしながら乾燥させて色を定着させると云うことです。ここに到達したのが昭和42年(1967)でした。それから40年弱、私の人形は全てウレタンです。以下、その手順と要領を列挙しましょう。



着色剤

 皮革用アルコール染料 全体の色づけに使用
 細書き油性サインペン しわ・ほくろ・目元口元のアクセントなど細部に使用



 使用した染料はこちらです

講習用のテキストには固有の製品名を避けましたが、混乱を生じますので、ここでは、はっきりお伝えします。

 「染めの誠和」の株式会社 誠和が発売している「皮革用アルコール染料ローパス・スピラン」®です。

 全12色あり混色自由なので好きな色を出せます。手芸店でお求めください。




着色の道具

 混色用の皿 底の白いもの。染料は透けるので、白くないと求める色の調合が出来ないため不適。
 歯ブラシ又は
 油絵用の硬い毛の筆
暖色用・寒色用を2〜3本。塗るというよりは、擦り込む、叩き込むといった感じで使用。
 ボロタオル 染料をのせた後、タオルで揉み込んで塗りむらを防ぎ、余分な量を吸い取る。
 ゴム手袋 直接触ると皮膚が染まり、新陳代謝までとれなくなる。衣服にも注意し、汚れても良い服装で。


染色の道具




作業の準備

 歯ブラシでの着色時に、飛沫が飛んだりこぼれたりするのでレジャーシート などを下敷きする。薄め用の水を水差しに用意する。手袋をはめてOK。



着色の手順

@ 皿に原液をたらし、好みの色を調合する。

A 水で5倍から15倍くらい(濃さに応じて)に薄める(下記注意事項参照)。
必ず端切れで試し塗りをして色合いを確かめること。

水を入れると一瞬はじくが、アルコールは水と相性がよいのでよくかき混ぜる。原液のとき透明な液は、水が入った途端に白濁するが仕上がりに影響はない。

水で薄める 試し染め
【水で薄める】
【試し染め】


 染料は必ず薄めて使用

 水で5倍以上に薄めないと、アルコール度が強すぎてウレタンが冒され過ぎる。

 染料購入の際、薄め液を必ずすすめられるが、水を使用するため不要。水で薄めてアルコール度を稀釈し、毒を制する狙いを忘れないこと。

 試し塗りは色合いの確認と同時に、液が不足して作り足す時の目安になる。



B 歯ブラシ又は硬い毛の筆で刷り込むように染料を塗り込み、指で揉んで内部に染み込ます。

C タオルで上から押さえ、揉み込んでウレタンになじませ、同時に余分な染料を吸い取る。色むらの処は再度液をのせて出来るだけ均一にする。

D 完全に乾燥させてから次の色にとりかかる。
(着色の要領その一、その二参照)
オレンジ 黄・黒 赤
【オレンジの着色】
【黄・黒の着色】
【赤の着色】


E 色分けの境界線の修正や眉・しわ・目尻口元のアクセントなどはサインペン等で、最後の工程、目玉入れの時にする。

F 使用後の皿や歯ブラシは乾かないうちに石鹸で水洗いする。皿はきれいになるが歯ブラシは毛が染まり、次回使用の際に溶け込むため、暖色系と寒色系に使い分けると安全。どうしても落ちないときは燃料用アルコールで洗浄する。



 着色の要領 その一

 染料は下地がすけます。顔面と頭部のように二色に染め分けたい時は、浅い色から始めます。例えば、顔面を薄いオレンジ・頭部を黒っぽい焦げ茶で染め分けたいとき、まず顔面部分は境界線を気にしないで広く染めます。
 完全に乾いてから頭部の色を乗せるわけですが、今度は境界線を慎重になぞりましょう。顔面の浅い色は頭部の深い色に消し込まれ、きれいな境界線ができるのと同時に作業時間の短縮にもつながります。

 着色の要領 その二

 乾き切らないうちに次の色をのせますと滲み出て失敗しますが、ぼかしたい場合はこの現象を逆手に使います。頬の赤らみとか動物の斑紋などには便利です。

 着色の要領 その三

 濃い染料をのせる場合はできるだけ水平に保ち、滴のたれに注意します。一度たれれば拭き取ることも出来ず、ハサミで切り取るしかありません。全体のホルムは狂って色むらが出来ますから充分注意しましょう。

 着色の要領 その四

 顔料には淡い色のベースとなる白がありますが、染料に白はありません。したがって淡い藤色や肌色は下地の白に頼るしかなく苦労します。肌色は、黄色に橙色を混ぜたオレンジ系で表現しますが、ことに女性の場合がこまります。くわえてウレタンの特性、黄色の変色が進みますから、これが一番の悩みの種です。今のところ打つ手はありません。ウレタン人形に白は無いものと覚悟してください。



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2. 指 人 形 を 作 っ て み よ う

2-5. 指 筒





操作の鍵・指 筒

指筒  指筒の良し悪しで人形の動きがきまります。自分の指にフィットした指筒は着実に意志を 伝達してくれますが、ゆるいと頭があらぬ方向に向いたり、手がすっぽ抜けたりします。指筒の中で指が踊るようでは気になって、肝心の芝居の方がおろそかになるでしょう。

 全体図で説明しましたように、親指は爪から一つ目の関節(第一関節)、人差し指・中指は爪から二つ目の関節(第二関節)の直前でひっかかって止まる大きさに作ります。人形の右手用・左手用にこだわるのはこのせいです。



指筒の材料

白ボール紙を用意します。
洋紙ですから、曲げ易い側と、曲げにくい側があり、曲げ易いほうで成形します。



指筒の作り方


@ 白ボール紙を幅8cmの帯状に切る。

A 丸い鉛筆を芯にして巻きつけ、巻き癖をつける。 巻き癖をつける
B 所要の指の関節直前に巻きつけ、軽くしめて三重の処で切る。 指に巻きつける

C 巾15〜20mmのマスキングテープ(塗装屋さんが使う紙テープ)で指にはめたまま外側を仮留めする。 仮止め 固定
【仮止め】
【固定】

D 指からはずし、内側を逆回しして隙間を埋め、筒の内側に3cmくらい貼り込んだ紙テープを外側に折り曲げて貼り固定する。巾半分をダブらせながら円周を埋める。(指が入る側だけでよい)

E 外側をらせん状に廻し貼りして完成。 らせん状に貼る 指筒完成
【らせん状に貼る】
【指筒完成】



 指筒の要領 

 きつからず、ゆるからず、関節のふくらみに引っ掛って直前で止まるのが理想です。仮止めをして、Dで逆回しすることは、三重になった白ボール紙の隙間を埋めて筒の強度を増すためと、フチを押さえるためのテープの厚みを勘案したものです。

 何度も指にはめて具合を確かめてください。ゆるめならばフチ押さえのテープを貼りたして微調整します。きつい時は最初から作り直しです。指筒は人形操作の要です。納得行くまで努力しましょう。





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