百字書評
Vol.1: No.0001-0050
Vol.2: No.0051-0100
Vol.3: No.0101-0150

last modified on 02/02/23


◆宮沢賢治『双子の星』(PC, Palm)0001
空の星巡りの歌に合わせて銀笛を吹くチュンセとポウセの二人の童子。ある日西の野原の泉で、大烏と蠍の喧嘩に巻き込まれる。やっとの思いで蠍を助けた彼らにふりかかる災難は…。賢治童話の心洗われる世界の広がり。(by Pal Mac: 00/09/19)


◆岡本綺堂『半七捕物帳 少年少女の死』(PC, Palm)0002
自「転」車に轢かれて子供が死んだ…。新東京の交通事情から半七親分が語りだす幼い子供たちを巻き込んだ事件とは?子供にまつわる江戸の愛憎劇を半七親分が斬る。鉄奨(かね)、水だし、が事件の鍵を握る。(by Pal Mac: 00/09/19)


◆萩原朔太郎『猫町』(PC, Palm)0003
詩人の想像力か、あるいは幻覚か?いつも見慣れた町がまるで表裏を引っ繰り返したように、違って見えるときがある。詩人の眼に映った猫町は不思議に均整がとれていて、なおかつ危ういバランスの上になりたっていた。 (by Pal Mac: 00/09/19)


◆岡本綺堂『半七捕物帳 人形使い』 (PC, Palm)0004
あやつり人形使いの紋作と冠蔵。生粋の江戸っ子の二人は兄弟のように仲が良かったが、ある夜その人形が元で敵同士のような不仲に。やがて訪れる悲劇は半七を悩ませる。人形に人の魂がのりうつる不思議の意味は? (by Pal Mac: /9/20)


◆岡本綺堂『半七捕物帳 旅絵師』 (PC, Palm)0005
一代に一度将軍の命を受けて隠密に内偵をするお庭番、間宮鉄次郎は、旅絵師山崎澹山として奥州のお家騒動を追う。そこで彼が探索した秘密とは?自分が助けた娘おげんの恋情が絡んで、物語は意外な方向に展開する。 (by Pal Mac: 00/09/28)


◆岡本綺堂『半七捕物帳 海坊主』 (PC, Palm)0006
品川の潮干狩りに颶風(はやて)や潮を予報した気違いの男。何か気になる半七が子細を探索してみると…。夜網にかかった海坊主、死体と思ってあげてみると、ものを食わせろと無心する。その意外な正体とは? (by Pal Mac: 00/09/28)


◆菊池寛『忠直卿行状記』 (PC, Palm)0007
越前少将忠直卿が大阪夏の陣で武勲を立ててから、豊後津守に改易されるまでを描く。幼時から主従を隔てる膜で隔離された国主がどのような心で後世に残る「乱行」に及んだのか?菊池寛の筆が暴君の心に迫る。(by Pal Mac: 00/09/28)


◆新美南吉『手袋を買いに』 (PC, Palm) 0008
生まれて初めての雪の日に、小狐は母狐と一緒に町に手袋を買いに行く。片手だけを人間の手にしてもらって。初めて人間に出会った子狐はお店で反対の手を出してしまう。親子の情愛、生き物との交歓への暖かい思い。(by Pal Mac: 00/10/21)


◆水野仙子『神楽坂の半襟』 (PC, Palm) 0009
貧しいながらもお互いを思いやる夫婦。初冬の神楽坂は、歳暮に間もない賑わいだ。そこで眼に入った黒地に赤糸の麻の葉をあしらった半襟に惹かれるお里の心。期待された新進女流作家が描く夫婦の暮らしのひとこま。 (by Pal Mac: 00/10/21)


◆佐々木味津三『右門捕物帖 南蛮幽霊』(PC, Palm) 0010
八丁堀組屋敷無礼講の花見での奇怪な殺人事件。同時に起こった三百両の盗難、足のない幽霊による人さらい。むっつり右門とおしゃべり伝六はそのやり口と現場に残されたわずかな証拠から難事件をいかに解決したか? (by Pal Mac: 00/10/21)


◆八木重吉『秋の瞳』 (PC, Palm) 0011

彼の詩は優しく切ない。そしてみな短い。 重吉が赤んぼうと向き合うと、こんな詩が生まれる

赤ん坊が わらふ
赤ん坊が わらふ
あかんぼうが わらふ
わたしだって わらふ
あかんぼうが わらふ

秋の瞳は1925年に出版された。重吉の29歳の死の2年前である。

(by 笹心太: 00/10/21:00/11/02訂正)


◆佐々木味津三『右門捕物帖 青眉の女』(PC, Palm)0012

女性に見向きもしない右門が女人に魅せられた?!質屋 と古道具屋が巻き込まれた金の大黒紛失と芝居好きの息 子の誘拐事件。そこに絡む「青眉」の女の正体は?むっ つり右門の草香流が春の江戸八百万石に冴えわたる。 (by Pal Mac: 00/10/23)


◆宮沢賢治『春と修羅』(PC, Palm)0013

春と修羅は賢治の生前に発行された唯一の詩集。

わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です (序)

彼の心情、彼の生活、彼の運命も<わたくしという現象>だというのだ。
さあ賢治の青い照明に照らされてみよう。あなたの<わたくしという現象>が きっときらめく。

(by 笹心太:00/10/23)


◆芥川龍之介「南京の基督」(PC, Palm)0014

南京に住む宋金花は私娼であったが、実は熱 心なクリスチャンだった。彼女はある日病気 にかかるが、人に移してはいけないと商売を やめてしまう。日増しに苦しくなる生活。そ んな彼女を訪れたのは何と基督だった。 (by copia: 00/10/28)


◆夢野久作『キチガイ地獄』(PC, Palm)0015

北海道の深山で発見された瀕死の青年が大富豪に!精神 病院で語られる数奇な運命に彩られた物語は、どのよう な結末を迎えるのか?自称炭坑王の秀麿の独白の形で綴 られる夢野独特の狂気の世界。 (by Pal Mac: 00/10/31)


◆尾崎放哉『選句集』 (PC, Palm)0016

山頭火とともに、自由律俳句を代表する俳人放哉。彼の句集から、浜野 智氏による選句集。

咳をしても一人 放哉

放哉の晩年の句、といっても41歳の句であるが、
この俳人世間を捨て、 家族をすてて、自ら望んでの「一人」。
だが、「一人」の寂しさ、切なさを詠う句が多い。
それを甘えととることもできるだろうが、読み進めていくとそれが強靱な創作空間だと感じてくる。孤独と向き合うという姿勢が詩作の重要なファクターであることを否めなくなってくる。

淋しいぞ一人五本のゆびを開いて見る 放哉

(by 笹心太:00/10/31)


◆芥川龍之介『秋』(PC, Palm)0017

「秋――」人はどんな時に秋を感じるのであ ろうか。この作品に登場する主人公も「秋」 を感じた。何か寂しい、しみじみとした感じ で・・・。心と秋の触れ合い、そんな風景が 静かに描き出される。(by copia:00/11/05)


◆芥川龍之介『アグニの神』 (PC, Palm)0018

妖しい婆さんと美しい娘。婆さんは娘を霊 媒にアグニの神を呼び出し占い始める。上海 の街で起こった奇怪な話。アグニの神が下し た意外な審判。娘の運命はどうなるのであろ うか。 (by copia:00/11/05)


芥川龍之介『あの頃の自分の事』 (PC, Palm)0019 

芥川が自ら語る青春録。文学を志す若者た ちの姿が目に浮かぶ。白樺派の印象、劇場に 現れた谷崎潤一郎。当時の世相も見えるこの 作品は、意外と知られていない名作であると いえるのではないだろうか。 (by copia:00/11/05)


◆芥川龍之介『MENSURA ZOILI』 (PC, Palm)0020

ある国へ向かう船の中。男二人が向き合っ て何やらその国のことを話しているようだ。 世の批評家達へ送る痛烈な皮肉。芸術の価値 とは?この作品は芸術を志す者への芥川のメ ッセージなのかもしれない。(by copia:00/11/05)


◆オー・ヘンリー『賢者の贈り物』 (PC, Palm)0021

今日はイブなのに、愛する夫に何一つプレゼントが買え ないなんて。一大決心の末に、妻デラが手に入れた最高 の贈り物。しかし、それを見た夫ジムは、すぐには喜ば ず…。貧しいが愛にあふれた夫婦の、クリスマス物語。(by 結城浩、00/11/05)


◆オー・ヘンリー『最後の一枚の葉』 (PC, Palm)0022

肺炎で生きる望みを失った若い女性ジョンジー。寝たき りのベッドからは、散っていく蔦の葉ばかりが見える。 最後の一枚が散るとき自分も死ぬ、と信じているジョン ジーに心を痛める友人たち。命がけの愛と希望の物語。 (by 結城浩、00/11/05)


◆オスカー・ワイルド『幸福の王子』(PC, Palm)0023

黄金に覆われた「幸福の王子」の像は、高い台座から町 中を見渡している。旅の途中で通りかかった一羽のツバ メは、王子を通して人々の悲しみを知り、みなに幸せを 運ぶ使いとなる。その果てに…。自己犠牲の愛の物語。。(by 結城浩、00/11/05)


◆オスカー・ワイルド『わがままな大男』(PC, Palm)0024

子どもたちが勝手に庭で遊ぶのを見て、大男は子どもた ちを追い出してしまう。すると、庭は雪に閉ざされ、い つまでたっても春はやって来ない。ある日、大男が窓か ら外を見ると、そこには不思議な情景が広がっていた。(by 結城浩、00/11/05)


◆アンデルセン『マッチ売りの少女』(PC, Palm)0025

貧しい少女が大みそかにマッチを売り歩くが、誰も買っ てくれない。暖をとろうとマッチをすると、素晴らしい 光景が広がる。だが、マッチが消えるとそれも消えてし まう。やがて、なつかしいおばあさんとの出会いが…。(by 結城浩、00/11/05)


◆リチャード・ストールマン『自由か著作権か?』(PC, Palm)0026

著作権は本来、出版社に課された制約であり、公共の利 益を守るものだった。しかし、人々が情報共有する現代 情報社会では、逆の状況が生まれつつある。フリーソフ トの旗手、リチャード・ストールマンの危惧とは何か。(by 結城浩、00/11/05)


◆『マルチン・ルターの小信仰問答書』(PC, Palm)0027

宗教改革を行ったマルチン・ルターが、キリスト教にお ける十戒、使徒信条、主の祈り、洗礼、罪の告白、聖餐 式などの意味を問答形式で簡潔・平明にまとめたもの。 キリスト教のエッセンスを正しく学ぶためのテキスト。 (by 結城浩、00/11/05)


◆宮沢賢治『雁の童子』(PC, Palm)0028

流沙の南の楊に囲まれた小さな泉で出会った老人。泉のうしろにある小さな祠にまつわるいかにも不思議な物語。天から降りてきた雁の童子は沙車大寺で見つかった壁画の童子に生き写しだった。賢治が語る仏教世界。(by Pal Mac:00/11/06)


◆宮沢賢治『マグノリアの木』(PC, Palm)0029

険しい山谷を越えて漸く辿り着いた黄金のはらで諒安が見たものは、先ほど越えてきた嶺々をまっ白に埋め尽くすマグノリアの木の花(こぶし)だった。その中で「わたしであり、あなたである」人に会う。西域幻想。(by Pal Mac:00/11/06)


◆宮沢賢治『インドラの網』(PC, Palm)0030

ツェラ高原で昏倒した私はきんきん痛む空気の中を歩いていく。複六方錘の石英の砂と過冷却水をたたえた湖畔で一人の天人が動かずにまっすぐ翔けていくのを目撃する。天の子供三人と太陽が昇るときに見たものは…。 (by Pal Mac:00/11/06)


◆芥川龍之介『侏儒の言葉』(PC, Palm)0031

明治、大正と多くの文学作品が生まれたが、アフォリズムは、森鴎外、萩原朔太郎、芥川龍之介しか書いていない。その中でもこの作品は群を抜いている。芥川の知性を感じさせる思想的詩とも言える作品だ。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『トロッコ』(PC, Palm)0032

誰もが持っている子供の時の懐かしい思い出。そんな思い出をよみがえらせるかのようなトロッコの旅。子供の目から見た風景が感傷を誘う。芥川の名作と言われている作品の一つだ。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『藪の中』(PC, Palm)0033

映画「羅生門」の原作になった作品。藪の中で発見された死体。関係者の証言が集まるが、なぜかくい違う。何が真実なのだろうか。数々の論議がなされてきたが、いまだに真相は「藪の中」である。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『河童』(PC, Palm)0034

芥川の集大成ともいえる作品。河童の世界に落ちてしまった主人公が見たものとは?不思議な世界が描かれているこの作品は、おとぎ話のようでもあるが、実は現実の社会を風刺しているものである。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『枯野抄』(PC, Palm)0035

臨終の床にある芭蕉とそれを囲む門人。其角が、去来が、支考が、丈草が、それぞれの立場で見守る。門人たちの心中には様々なものが渦巻いているようだ。松尾芭蕉の存在がぐっと身近になる好作品。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『鼻』(PC, Palm)0036

夏目漱石に激賞された作品。芥川が世に出るきっかけともなった。鼻が異様に長い坊さんが主人公。ある日、長い鼻が短くできると聞き、早速試してみるが・・・。坊さんの心境の変化に注目。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『戯作三昧』(PC, Palm)0037

戯作者滝沢馬琴が主人公。やめてしまおうと思った戯作をまた始めるといった創作者にはよくある日常を描く。周囲の雑音に悩まされながらも、作品に打ち込む馬琴の姿は芥川の姿でもあるようだ。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『地獄変』(PC, Palm)0038

地獄変の絵を頼まれた絵師が、絵を書き上げて破滅するまでを描く。芸術のためにそこまでするか?とも思えるのだが、これもまた一つの価値観なのであろう。余談であるが、堀川の殿様には疑惑が残る。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『白』(PC, Palm)0039

犬の白は犬の黒を見捨てたために体を黒くされてしまう。飼主にも見捨てられた白は、猛然と行動を起こした。勧善懲悪の単純な話なのだが、面白く読ませてくれる童話だったと思う。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『将軍』(PC, Palm)0040

検閲によって多数の箇所が削除されてしまった異色の作品。将軍とは日露戦争を指揮した乃木希典である。戦場の描写などは当時はやっていた社会主義の影響をもろに受けているようだ。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『山鴫』(PC, Palm)0041

トルストイとツルゲーネフが、狩で山鴫を撃ち落したか落とさなかったかでけんかする話。それぞれの文学者としての立場の違いをこのような話に託して語らせているという作品だ。(by copia:00/11/26)


◆芥川龍之介『猿蟹合戦』(PC, Palm)0042

猿蟹合戦の話の続き。本編はめでたしめでたしで終わったようであるが、この続編は悲しい話である。蟹や臼その他の仲間のその後は不幸であった。少し社会風刺も入っているような作品でもある。(by copia:00/11/26)


◆梶井基次郎『ある崖上の感情』(PC, Palm)0043

崖上の窓のベッドシーンをのぞきに行かないかと誘われ、出かける青年。その崖上で青年はある感情を持った。生(性)と死を見つめたその感情は、いつも死と向き合っていた梶井の感情そのものではないだろうか。(by copia:00/11/26)


◆梶井基次郎『檸檬』(PC, Palm)0044

この作品は、最後に爆破されそうになったレモンが話題になることが多い。しかし、随所にちりばめられた美しい風景と思いにも、梶井は心を配っている。そういった面もこの作品の魅力である。(by copia:00/11/26)


◆太宰治『富嶽百景』(PC, Palm)0045

太宰の作品には珍しく希望に満ちている作品である。井伏鱒二の紹介で富士に見合いに行く話なのだが、そこでの人との交流などは読んでいてほっとする。疲れているときに読むといい作品かもしれない。(by copia:00/11/26)


◆太宰治『駆込み訴え』(PC, Palm)0046

ユダはなぜキリストを裏切ったのか。銀貨のためか。それとも他に理由があったのだろうか。太宰はこの他の理由を想像して作品に書いた。そこに描かれるユダの姿に読者は驚くかもしれない。(by copia:00/11/26)


◆菊池寛『忠直卿行状記』(PC, Palm)0047

越前の大名であった結城秀康の子忠直卿が数々の乱行の末、改易された。この出来事を素材に、大名という立場の若者が自己崩壊していく様を描く。忠直卿が求めたのは自分の本当の姿だった。(by copia:00/11/26)


◆菊池寛『若杉裁判長』(PC, Palm)0048

温情判決で知られた裁判長が、被害者の立場になってしまって冷たい判決を下してしまう話。裁判長が見た犯罪者の姿は裁判所で見たものとはまるで違うものだった。現代にも通じる問題提起である。(by copia:00/11/26)


◆中原中也『山羊の歌』(PC, Palm)0049

「春の日の夕暮」「サーカス」「汚れっちまった悲しみに」「少年時」などの名作を収録した詩集。今なお読まれている中原中也の詩の魅力を知るにはまずこの詩集からといえよう。(by copia:00/11/26)


◆中原中也『在りし日の歌』(PC, Palm)0049

「湖上」「骨」「春と赤ン坊」「一つのメルヘン」「冬の長門峡」「春日狂想」などの名作を多数収録。中原は死の直前に友人小林秀雄にこの詩集を託した。その時の思いが、この詩集に込められている。(by copia:00/11/26)


◆萩原朔太郎『月に吠える』(PC, Palm)0050

夜中に、本当に崖の上にでも立って月に吠えているんじゃないかと思わせる萩原朔太郎。その感性を知るにはこの詩集がいいと思う。地面の底に病人の顔が現れたり、青白い竹が生えたり・・。この詩人ならではである。(by copia:00/11/26)