VOIGTLANDER Bessaflex TM
 2003年8月に量販店の店頭で見かけて衝動買いした。まさに一目惚れの愛機。いまどきスレッドマウント(Thread Mount)の新型を出してくるとはコシナもやってくれる。

 スレッドマウントとは「ねじ込み式マウント」のこと。かつて42mm径のスレッドマウントを持つ東独産まれの一眼レフPRAKTIKAが世界を席巻し、各国のメーカーが続々と同マウントを採用して事実上の世界共通規格となった。マウント径の大きさが異なるねじこみ式マウントと区別するため「M42マウント」と呼ばれたり、PRAKTIKAの名前からプラクチカマウントと呼ばれることもある。
 このマウントの最盛期は1970年頃とされ、日本でも旭光学(当時)が スクリューマウントの名で同マウントを採用、名機PENTAX SPを生み、大ヒットとなった。

 マウントは本当にネジだけで、電気接点やレバーのような無粋なものは一切無い。ミラーの下に自動絞り機構があり、レンズの絞りピンがシャッターを押すと同時に押されて絞り羽根が動く。

 TTL露出計を内蔵し絞り込み測光が可能で、電池を必要とするのはこの機構のみ。シャッターは完全に機械式で、電池が無くても全速度でシャッターを切ることができる。だから単体露出計を常用するならば電池は必要ない。

 買って間もなく、持ち歩いていてコンクリートの上に落としてしまった。しかし、傷こそついたが正常に動作している。
 フィルムの送りが不安定なのが玉に瑕で、コマ間が不揃いになってしまう。もっとも高級機だったNikon F2にもフィルム送りに持病があり、最後の2コマがカブることがあるくらいだから、手動巻き上げ式にはよくある問題ではある。
CARL ZEISS JENA PANCOLAR electric 1.8/50 MC
 Bessaflexを買った同じ日に購入。その足で飲み会に行き、酒の肴にしてみた。さっそくバーの照明だけで撮ったのだが、なかなか良い味を出すレンズだと思った。さすがはツァイス、製造は東独の人民公社だが伝統のブランドだけに腐っても鯛である。

 このレンズの旨味は最短35cmまで寄れることにある。f1.8は明るいとも言えないがボケ味に不足はない。絞り開放だとピントは紙一重になってくれる。

 マウントの周囲に電極が3個あるが、これはPENTACON社のボディにレンズの絞り値を伝えるためのものでBessaflexには無用なものだ。あっても邪魔にはならない。

 10年以上前に製造された中古品だけにトラブルは覚悟していたが、3ヶ月の保証期限が切れると同時に問題続発。まず後ろのネジの緩みが酷くなり、それに伴って前玉がガタつくようになった。緩んだネジを締め直すと、今度はヘリコイドが固くなった。少し緩めてみたら絞り羽根が動かなくなった。一応は修理したが使用頻度の高い50mmなので念のため、もう一本購入した。
CARL ZEISS JENA FLEKTOGON 2.4/35 MC
 2本目のレンズ。しばらく50mmだけで撮れとアラジン先生に申しつけられたのだが辛抱できずに買ってしまった。
 最初の広角を35mmにしたのは、28mmを使ったことがなかったため。使い慣れたE-20の広角側の端っこが35mmに近いので、使いやすいかと思った。最短が20cmなのが面白い

 最初、暗めの場所で寄っていって全身を撮ってしまったが良くない。開放ではザラッとした感じに撮れる。ちょっと絞れば大丈夫だし、もっと絞り込んでいくと発色もよくなるようだ。

 このレンズは製造時期が古いらしく電極ナシ。そのせいではないだろうが、現在のところ不具合はない。
CARL ZEISS JENA PANCOLAR electric 1.8/80 MC
 製造数が少ないため東独製としては高価なレンズ。一部で名玉とさえ呼ばれるようだが、西のツァイスに比べれば格段に安い。とろけるようなボケ味は噂に違わぬところ。

 ピントは非常に浅く、私の腕前ではf2.8くらいでないとピンボケを量産することになってしまう。f8.0くらいでもボケ味は充分に残る。

 このレンズの不具合は前玉のガタつき。ヘリコイドを回すときにそっとやらないと前玉が僅かに動いてピントがずれる。注意していれば済むことなので放置してあるが、いずれはガタつきが大きくなって要修理になることだろう。輸入の中古品だから仕方のないことだと考えるが、私も売り手に飼い慣らされてしまったかな?

 マウント直近の長いピンは自動絞り用。シャッターを押すとボディのミラー下にある板に押されて絞り羽根を動かす。単純な機構だが有ると無いでは大違いで、無ければ開放でピントを合わせたあと絞り環を回す動作が必要になる。ロシア製には自動絞りが無く、最初に絞り設定をして(絞り羽根は動かない)ピントを合わせたのち、絞り環を回すと設定した絞り値まで羽根が動く。で、ようやくシャッターが押せる。これをプリセット式という。
CARL ZEISS JENA SONNER electric 2.8/200 MC
 大きくて重い! フードをつけるとツァイスの刻印が隠れるので正体不明になる。これを使っているとき、ロシア製の500mmと間違えられたこともあるが、それくらいの大物に見えてしまう。
 ただし値段は80mmより安かった。

 こんなに図体が大きいわりに開放f2.8は情けない感じもするが、要は写り具合である。ボケ具合は大味な印象があるものの私としては気に入っている。
 絞り羽根が7枚というのは珍しいか? 他の東独製は6枚。

 しかし、なんと言っても重すぎで手ブレしないよう注意が必要。保持姿勢の大切さをあらためて考えさせられる。
 また、ボディに取り付けるのがたいへん。ねじ込み式だから何回転も回さなければならないが、レンズを回したのでは疲れ果ててしまうのでボディを回すようにしている。このときレンズを垂直に立てるため、安定した土台が必要になる。広い芝生の真ん中あたりなど、土台がない場合は仕方ないので、よっこらしょとレンズを回す。

 不具合は絞り環が緩いこと。ちょっと触ってしまっただけで回るので常に確認を怠らないようにしている。

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