8時00分 清岳荘 12時10分 斜里岳山頂
8時37分
8時42分 
下二俣
出発
12時23分 馬の背
9時05分 羽衣の滝 12時48分
12時54分
上二俣
出発
9時36分
9時42分
休憩
出発
13時28分
13時43分
熊見峠
出発
10時25分
10時33分
上二俣
出発
14時37分 下二俣
11時02分
11時15分
馬の背
出発
15時13分 清岳荘
11時35分  斜里岳山頂         

  2001.7.16

本日は斜里岳登山である。朝六時前、目覚し時計より先に目が覚めた。タバコに火をつけコーヒーをすすりながら外に出ると、斜里岳がダーンと目に飛び込んできた。天気は良く絶好の登山日和だ。朝飯を食べ七時すぎに宿を出た。

斜里岳は標高1547メートルあり、途中の標高680メートルにある山小屋『清岳荘』までは林道がある。本当は自転車で清岳荘まで漕ぎ(我輩たちは、チャリで旅をしていた)、この山小屋に泊まりたかった。なぜかと言うと、ここのご主人の人柄がとてもいいと知人から聞いていたからだ。しかし日程的にも体力的にもちょっと無理そうなので、今回はYHのツアー(1人2100円おにぎり付き)に参加することにした。

YHを出てしばらくすると車はダートの道へと入って行った。最初はそんなでもなかったが、だんだん進むにつれ勾配がきつくなり、砂利も深くなってきた。思わずカミサンに、

「やー、やっぱりチャリで来なくて良かったね」

と言うとカミサンも頷いていた。

YHを出てから40分くらいで清岳荘に着いた。小屋のご主人はお会いした事がなかったが一目でその人だとわかった。何とも落ち着いた雰囲気、ひげをたくわえた風貌、一見怖そうだが実は優しそうな風格。知人が好きになると言うのが頷ける。声をかけようとしたが忙しそうだったので下山してからゆっくり話そうと思い、登山名簿に記入し斜里岳山頂を目指した。

スタートして間もなくすると一回目の沢を渡る。この後「下二俣」までは右岸左岸を行ったり来たりと忙しく沢を渡る。40分弱で「下二俣」に着き一休憩をいれた。          














「下二俣」と「上二俣」の間はルートが二つあり、モデルコースは時計回り。僕達もそのコースに従い「上二俣」を目指した。「下二俣」からは急な沢登りとなり、滝がいくつも現れる。滝が現れるたびにその綺麗さに見とれしばしの休息をとる。だがその美しい滝の横を登らなくては先に行けず、途中落ちたら大けがしそうなところが何箇所かあり、ビクビクしながら上を目指した。「上二俣」の手前でエゾキンバエソウが恥ずかしそうに咲いていて、僕達の心を癒してくれた。













登るにつれ沢はだんだん細くなり「上二俣」でその姿を消した。そこがこの沢の源流であり、小さいが力強くコンコンと涌いていた。先行の人が下山時に飲む為に置いていったビールが沢で冷やされていて、「これはきっと僕のために神様が用意してくれたご褒美に違いない」と思わずプシュッと開けたくなったが、僕の心の中の天使君が「やめとけ」とささやき、その場はグッとこらえ先に進む事にした。「上二俣」からは急登となる。ゼイゼイ言いながら行くと一つの看板がぶらさがっていて、そこには「胸突八丁」と書いてあった。誰が書いたかしらないがまさにその通りである。

しばらくすると「馬の背」が上のほうに見えてきた。「やー、まだあんなところまで登るのか」などとぼやきながら進み、「上二俣」から30分くらいで「馬の背」に到着した。そこからの景色は素晴らしく、ボーとしながらしばし休憩をとった。

「さーて、ここまで来れば山頂までは目と鼻の先、あそこが頂上だからもう少しだ。がんばろう」

とカミサンに言うと、

「コースタイムは30分だけど30分で着くかな?」

「おー、着くだろ」

と、内心は僕も30分で着かないような気がしたが、希望的観測で言葉を返した。

「馬の背」からは尾根道なのだがこれがまたきつい。でも、ここからは色とりどりの花が出迎えてくれ、キツさも忘れさせてくれる。イワギキョウ、チングルマ、ゴゼンタチバナなど等。名前のわからない花もたくさん咲いていた。カミサンは花好きなので花を見つけるたびに「わーきれい」とか「かわいい」とか言ってご機嫌のようだ。




























キツイ登りも思ったより時間がかからず20分くらいで無事斜里岳山頂に登頂した。出迎えてくれたのは昨日YHで夕飯を共にした小堀さん夫婦とハエの大群。このハエの多さにはビックリ。ブーンブーンとやかましく顔の周りにまとわりついてくる。しかしそんな事も気にならないくらいの絶景だ。少々曇ってはいたが、「摩周湖」「屈斜路湖」「オホーツク海」が観える。きてよかった!最高!(このハエさえいなければもっと最高なんだけどなぁ)記念撮影をしてハエをよける為に山頂から一段降りたところで昼飯を摂った。本来ならばゆっくり雄大な景色を見ながら休みたかったが、YHの迎えの時間が15時と決まっていたので飯を食べすぐ下山した。迎えの時間が決まっているとどうもせわしなくていやだが仕方がない。下りは快調に進み40分くらいで「上二俣」に着いた。先に着いて休んでいた老夫婦が行きに来た道を下ろうとしていたので、

「沢を下るんですか?」

と尋ねると、

「新道コースは巻き道で長いからねー」

と言って行ってしまった。健脚である。思わずカミサンと目を丸くしてしまった。僕達はもちろん新道コースに行く予定。おっかなくてとてもあの沢(滝)を下る気にはならない。「熊見峠」までは軽いアップダウンがあるものの最後は尾根道となりとても快適である。たまに振り向くと先ほどまでいた頂きが見え「あそこに登ったんだー」と思うと感慨もひとしおだ。














快適な道もここまで。ここから先はドロドロ道の急降下となり、二人ともおっかなビックリのへっぴり腰で一気にペースダウン。「このままのペースじゃ時間に間に合わないなぁ」と焦りはじめたその瞬間、

「あっ!」

気が着くとカミサンが逆さまに見える。上からはカミサンが、

「だいじょうぶー?」

とこちらに向かって叫んでいる。

僕は泥に足をとられ滑落(そんな大げさなものではないかな?)してしまったのだ。幸い落ちたところが熊笹の密集したところだったのでケガはなかった。カミサンに、

「大丈夫だよー」

と言うと、カミサンは安心したのかゲラゲラと笑い始めた。多分カミサンは「体が硬いのに良くそんなカッコウが出来るな」と思っているに違いない。僕のほうはと言うと「くもの巣」ならぬ「熊笹の巣」に引っ掛かり思うように動けない。逆さまの状態で「く」の字になり足が熊笹に捕らえられている状態。必死になって足を外そうとするがなかなか外れない。そのうち僕もゲラゲラ笑い始め余計に力が入らない。やっとの事で「熊笹の巣」から生還し登山道に戻ると、カミサンが

「カメラを持っていたら撮ってあげたかったよー、さっきのカッコウを。ウフフ」

だって。落ちるのが分かっていたら渡しておいたのにね。残念、残念。(本当は撮られなくて安心しているけどね)

そんな事をしていたものだから「下二俣」に着くのが少々遅れてしまった。そこに着くと小堀さんがYHに迎えの電話を入れてくれていた。「下二俣」は電波の通りも良く、電話を受けてYHの人が迎えにかかる時間と僕達が下山する時間もちょうどいいらしい。ここから先は行きと同じ道。来る時とは逆に沢を右左と渡り15時すぎに無事(?)清岳荘に到着した。「さーて山小屋のご主人と話そう」と思ったら、送迎の車が来ていて小堀さんの電車の時間がぎりぎりらしく、結局何も話せず未練たらたらで清岳荘を後にした。あー残念。今度は清岳荘に泊まるぞー!