まだ Gene をご存じない方のために

 

"Gene"は米国のThe Ashiton-Drake Galleries社が販売するファッションドールです。硬質のビニール製で身長およそ15.5インチ(39cm)、手足が動き、着せかえが可能です。1995年から現在まで、それぞれ80数種を数えるdoll(ドレスを着た人形)とoutfit(着せかえ用ドレスとアクセサリ類のセット)の他、40点ほどの家具や小物類などが発売されています。dollはていねいにペイントされた目や唇、手植えの毛髪とまつげ等に特徴があります。また、着せ替え用のoutfitがたいへん充実していることも、Geneシリーズの大きな魅力のひとつです。すべてのdollとoutfitには、手書きで通し番号がつけられています。

dollやoutfitは、例外もありますが、1940年代から50年代風のものが中心で、現代的なファッションはありません。これには大きな理由があります。

Geneには仮想の人生があり、出生から学校時代、モデルから女優への転身、結婚・引退までが細かく設定されています。すべてのdollやoutfitは、その設定に添って作成されており、必ず、どのような場面のものであるかを解説したストーリーカードとよばれる説明文が付属します。Geneのコレクション全体が、ひとりの女性の半生を構成するようになっているわけです。

さきに例外があると書きましたが、それはGeneが女優であるためです。ハリウッドの黄金期を代表するスターとなったGeneは、映画のなかで古代エジプトの巫女から1950年代のワーキング・ウーマンまで、あらゆる役をこなします。この設定により、Geneのdollとそのoutfitには大きなバリエーションが生まれました。ただ、Geneは一部のファッションドールのように、いくつものモールド(顔の型)があるわけではありません。ドレスとアクセサリ、ヘアスタイル、髪の色などは変化にとんでいますが、dollのモールド自体は同一のものです。私見ですが、これもGeneの実在感を強める演出のひとつではないかと思っています。

2000年からはGeneのライバル女優としてMadraが発売され、2001年にはプレイボーイの男優TrentがGeneファミリーに加わります。さらに2001年11月にはAfrican-Americanのジャズ歌手という設定のVioletが、発売されました。MadraやTrent、Violetも、Geneと同様に細かい経歴をもっており、初対面のシーンや共演する映画まで設定されています。

なお、Geneファミリーの定価は、dollで125〜50米ドル程度、outfitは70〜30ドル程度が中心です。現時点でThe Ashiton-Drake Galleries社は日本に支店をもっておらず、Geneファミリーのdollやoutfitを販売しているショップは非常に限られています。国内での販売価格も、米国での定価より高い場合が多いようです。多くのGeneファンは、インターネットを通じて米国のショップから直接購入したり、国内外のネット・オークションを利用したりして、dollやoutfitを入手していると考えられます。

【この文は2003年2月までの情報にもとづくものです。】

 

Home