Formal Introduction


このテールコートについて話そうか、、、。
これを着て、たくさんのご機嫌なパーティーに出かけたものさ。私が出演した映画のプレミアショーとか、たまには出なかった映画のにもね。それからブロードウェイの舞台のオープニングや、、、2回ほどは自分の結婚式でも。
ときどき、私がこの服を着てエスコートした美女たちの移り香がまだ残っているような気がするよ。MaryにMadra、Greta、Gene、Veronica、それにZaSu。
快いかすかな香りは、幸せなときを思い出させてくれる(ときには平手打ちなんてこともあったけど、いい思い出さ)。
この服で一番好きなのは、絶対に流行遅れにならないところかな。いつ見たって良い、いや、すばらしいだろう。たいていの場所に着て行っても、大丈夫だしね。どんなに気取ったパーティでも場違いということはないし、タイをゆるめて上着を脱げば、どんちゃん騒ぎにだってぴったりさ。
それじゃ、今度パーティーを開くときは、声をかけてくれよ。私のモットーは「テール(tail)でお付き合い」だから。いつでも愉快な話(tale)のひとつやふたつは聞かせてあげられるだろう。何だったら、新しい話を付け加えることになっても良いけどね。
【tailcoat:テールコート、燕尾服。最もあらたまった場での男性の夜間用正装】

文中では「tailcoat」のtailと「お話」のtaleが、かけことばになって繰り返し使われています。また、Mary、Greta、Veronica、ZaSuがだれを指しているのかは不明ですが、Trentと同年代に活躍した有名な女優だと考えると、下記の4人が有力候補になるでしょう。
Mary Pickford:1893〜1979年。主に20〜30年代の映画に数多く出演し、「アメリカの恋人」と呼ばれた女優。
Greta Garbo:1905〜1990年。スウェーデン出身の映画女優。米国に渡り、エキゾチックな美貌で20〜30年代の銀幕を席巻した。
Veronica Lake:1922年〜1973年。40年代を中心に活躍した美人女優。前髪を垂らすpeekabooというヘアスタイルで有名。
Zasu Pitts:1898〜1963年。20年代のサイレント映画から60年代のテレビ時代まで、幅広く活躍した喜劇女優。

【16インチサイズのファッションドールとしては、数少ない男性のお人形です。1905年生まれという設定なので、Geneより18歳年上になります。大人の魅力をもったお人形です。】

髪はブラウンのモールド・ヘアーです。顔の彫りが深く、鷲鼻でほほが少しこけています。眉とヒゲもブラウンのペイントです。

黒のテールコート(燕尾服)を上手に着こなしています。胸にはポケットチーフが縫いつけてあり、衿には造花を挿すためのループがあります。(Trentはスタンドなしでも立たせることができます)。

白いコットンピケ地のウィングカラーのシャツに蝶ネクタイという規定どおりの細かさです。ネクタイは縫いつけてあり、はずれません。シャツはスナップ止めで、飾りボタンはゴールドで中央にパールを埋め込んであります。

上着の内側にはかぎフックが付けてあり、ベストのループにひっかけて、前がはだけないようになっています。ベストの飾りボタンはゴールドです。

上着を脱いだところ。ベルトはしていません。

白いシャツは、たいへん仕立ての良いものです。

膝だけでなく、足首にも関節があるので、このようなポーズでも自立します。

白いベストは、背中のかぎフックでとめるようになっています。

シャツの袖口はスナップどめですが、内側と外側にゴールドの飾りボタンが縫いつけてあり、カフスボタンを通しているように見えます。

ズボンの裾にゴムひもが縫いつけてあり、ズボンがきっちりのびるように工夫されています。側章は1本だけです。

靴はプラスティックの一体成形です。
スタンドには赤っぽいゴールドでTrentのロゴが浮き彫りになっています。

Trentのスタンドは三日月型に欠けていて、軸が回転するようになっています。このスタンドのおかげで、女性たちにぴったりと寄り添うことができるようになっています。

このページの画像は、コレクションを撮影したものです。

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