Trent's Story

20世紀が開幕した直後、Trent Osbornはフィラデルフィアの産婦人科病棟で、その人生のデビューを飾る。

本名Theodore O'Bannion。幼いころの"Teddy"は、いわば「ご近所のロミオ」で、純真な巻き毛の少女たちからキスを盗むのが得意だった。彼はまた、演劇のセンスがあり、友人たちをそそのかして、フィラデルフィアで最も伝統ある公園の池を舞台に、巧妙に脚色された海賊冒険劇を上演した。この劇は、所轄の警察をひどく憤慨させることになった。

高校を卒業した彼は、冒険を求めていた。町を出るためだけに、トラックの運転手にさえなった。しかし、まもなく地域の演劇グループにみいだされると、すぐに、ある監督の目にとまって俳優組合に加入する。あとはスター街道をまっしぐらだった。むこうみずな情熱のオーラをはなつ、彼の洗練された容姿は、次から次へと出演作を招きよせた。そしてまた、同時に、たくさんの若く美しい女優や女優志願の少女たちも、彼に招きよせられる。

Teddyは、ブロードウェイで、ありとあらゆる種類の少年役をこなした。ニューヨークの演劇界で、Trent Osbornとして名を知られるようになった彼は、1935年にハリウッドへ進出する。Monolithic映画社を中心に、多くの映画に出演したが、最も多く彼の相手役をつとめた魅惑的な女優たちのなかには、Gene MarshallとMadra Lordが含まれている。

映画のなかで演じた役と同様に、ハリウッド歓楽街の中心的存在だったTrent Osbornは、数え切れないほどの女性のハートをうち砕いた。しかし、彼のそのセクシーなまなざしに捕らえられると、少女たちからベテラン女優までが、一瞬にして心を、とろけさせるのであった。

"The Gene Book 2001/Summer"(Ashiton-Drake社の宣伝用パンフレット)より


【補足】
Trent Osborn(1905-1976)
1935年、"Honky Tonk Hannah"でハリウッド進出。
その後、主にMonolithic, RKO, 20世紀フォックスの映画で活躍する。
Joan Crawford, Gene Marshal, Marilyn Monroe, Loretta Young等と、しばしば共演。
50本以上の映画に出演した。
死亡直前には、テレビ番組"Bachelor Grandpa"に出演。
結婚は3度。結婚相手には、Lupe Belez と Barbara Hutton が含まれる。

【補足】部分はOdom M.,"Gene Marshall:Girl Star" より抜粋

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