My Sunday Chapeau

1958年のこと。目の前に広がるのは帽子の海だった。
古い教会に集まった信徒たちを見渡して、Violetは微笑んだ。子供の頃から日曜ごとに聖歌隊の席に座って、教会用の晴れ着を着た美しい女性たちをながめていた。どれほど長い間待ちわびた事だろう。会衆の最前列に座るおしゃれに着飾った幸福な女性の一人になる事を。
そして、Violetは教会へ帰ってきた。美しい帽子をかぶった「あで姿」で、、、、いや、むしろ、それは帽子というよりは"chapeau"だった。なにしろ最近のフランス旅行で買ってきた品なのだから。
オルガンの演奏(Violetが子供聖歌隊にいたころから、彼女の祖母が弾き手をつとめてきた)が鳴り響き、会衆のコーラスがそれに唱和しはじめた。Violetはあたりを見回すと父親の隣に座った。牧師の説教に女性たちがうなずくたびに、羽や花、レースやリボン、果物やその他の美しいアクセサリでうめつくされた帽子の海がうねり、さざめいた。Violetが教会を後にしようとしたとき、戸口のところに立っていた牧師が、通り過ぎようとする彼女の腕をしっかりとつかんだ。
「Violetじゃありませんか!あなたが来なくなって、どれほど寂しかったか!」と笑顔の牧師。「でも、あなたが大成功したことを、みんな大変よろこんでいますよ。なんと素敵な帽子ですね。いやはや、、、」
「、、、、いやはや、聖歌隊の小さな女の子が、今ではすっかりレディーになって」と、Violetは心の中で牧師の言葉を続けた。胸の内で微笑んだ彼女は、牧師の腕をすり抜けると、誇らしげに車の方へ歩んでいった。

【chapeau:シャポー、フランス語で帽子のこと】

発表年
2002年
製品番号
76740
定価
$59.95
デザイナー
-
限定生産品
Limited 2002
Worldwide
製造中止
-
設定年
1958年

【このページの画像は、コレクションを撮影したものです。】
【Doll は Special Appearance を使用しました。】
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