もうカプセルなんていらない!?
ネットカフェの隆盛

■これまで貧乏旅行人にとっても都心部夜遊び処世術として重宝されてきたカプセルホテル。しかし!その“安く泊まるならカプセルで”という世のトレンドにも近頃変化の兆しが。なぜなら今、空前のネットカフェブーム!半端なカプセルホテルなんかよりずーっとリーズナボゥ、遥かに快適、遥かに合理的なまどろみオアシスとして、いわゆる“複合カフェ”“リラクゼーションカフェ”が学生の間では勿論女性客やリーマン層、中高年のおばちゃん客層にまで浸透、カプセルホテルの存在を脅かし始めているのだ。かくいうわたくしも、ネットカフェ派に鞍替えしつつあるくらいなのだからただごとではない。もう“カプセルホテル”なんていらない!? そんな訳でそれぞれの魅力・一長一短やカプセル業者の心すべき対策をここで比較大検討。

ネットカフェはこんなにスゴイ!

●入場料たったの300円台で1時間飲み放題・遊び放題!

 カプセルホテルの館内では何か遊べるかっつーと、レストルームで多少の新聞や週刊誌が読める程度。喉の渇きを潤そうにも異様な水増し料金設定の自販機を前に歯ぎしりするのが関の山。しかし!1時間300〜400円台で入れるネットカフェでは、コミック在庫数万冊というのが当たり前だし、ドリンクだってセルフサービスのディスペンサーにより、コーヒー、ジュース、烏龍茶などが飲み放題というのがごくごく常識なのだ。この辺カプセルホテルは部が悪すぎるぞ!

●TVにPCにリクライニング、充実アメニティな準個室内であんにゅい〜

 カプセルホテルの個室内と言えば、せいぜいちっこいTVと入りの悪いラジオと目覚まし時計ぐらいしか設備がないのだが、ネットカフェの個室タイプには常時接続のインターネットパソコンと、DVDも観れる中型TVが完備されているというのが常套。しかも快適なリクライニングシートを倒し、フロントからブランケットを借りてきて朝まで熟睡なんて過ごし方もできる。ごわごわマットが固苦しいカプセルなんかよりこっちの方がいいや。

●1泊二千円もかからぬナイトパック料金が便利!

 リーズナブルが売りのカプセルホテルのはずが、場所によっては1泊四千円を越えるようなところあって、これじゃもうちょっと足せばビジネスホテルに泊まれちゃうんじゃないのー?と首をかしげてしまうことも珍しくはなかった。
 しかしネットカフェの場合、ひと晩過ごせる宿泊パックや3時間パックを組み合わせて利用すれば、料金は千円台後半程度に抑えることができるのだ。1泊三千円すら切ることが難しいと言われるカプセルとは、比べるべくもないこのデフレぶり。

●朝昼晩入店いつでもOK!24時間来店受付

 カプセルホテルを利用するにあたってはチェックイン/チェックアウトの時間に留意しなければならないのに対し、24時間営業のネットカフェなら入店はこちらの都合そのまま、いつでもOK! 朝にモーニングとコーヒーを嗜みたい時もグー。ランチをとりたい時もグー。終電を逃した時なんか本領発揮、夜行列車・夜行バス利用時の駅前早朝の時間つぶしになんかもってこい。しかも滞在時間は基本料金1時間、3時間パック、お泊りパックなど自由に選べるし。そこを比べて考えれば考えるほど、カプセルって不便ね。

●DVDはフリーで借り放題

 カプセルの一番ヒドいトコだとTVすらコイン入れないと観れないようなところもあるのだが、ネットカフェだとTVモニターは勿論、邦画・洋画の最近作をずらっと取り揃えたライブラリーからDVDソフトを無料で借り放題。一方衛星放送を無料配信などして頑張っているカプセルなどもあるが、さすがに個室内DVDプレイヤー完備のカプセルは殆ど見当たらない。

●マッサージシートも登場!

 カプセルホテルでもマッサージシートはあるにはあるが、古ぼけた旧式のマッサージャーの横っちょにコインオペ装置とかつけて別料金を徴収しているトコがほとんど。マッサージ機なら今や電気店で無料開放しているこの時代に何を考えているのやら。
 一方、最新のマッサージシート席を用意しているネットカフェも多く、希望すれば追加料金も一切なくマッサージ席に案内してくれるのだ。いたれりつくせり♪

●お値打ち軽食メニューの充実

▲チョコパフェやケーキなど、デザートメニューも充実してたりなんかして。カプセルホテルじゃあスイーツメニューなんか先ず用意ないもんね。
 カプセルホテル内にあるレストランやスナックの高いことまずいこと。フリードリンクじゃないから余計サイフの紐固くしちゃうよね。
 ところがネットカフェではランチタイムに基本料金+300円でご飯大盛り無料のカレーライス(サラダつき!)とか、400円で頼める日替わりランチセットとか、モーニングタイムにいたってはゆでたまごとトーストとサラダを0円で無料サービス!なんてお店も。それに比べちゃカプセル内のフードサービスの悪さなんて話になんないよね。

●なんとシャワー室完備のネットカフェも登場

 一晩宿泊する場合、どうしても入浴やシャワーが恋しくなるものだが、なんと近年ではシャワー室の貸し出しをしているネットカフェも登場!割高な別料金を徴収しているところもあるが、マンボウやポパイのように、利用自体が無料なのは勿論、シャンプー,リンス,ボディシャンプーも完備、挙句は清潔なタオルまで無料貸し出ししてくれるチェーンも登場。数人待ちの混雑で借りられない時もある程。

●飲食物持ち込みOKのお店多し

 これはネットカフェのチェーン店にもよるのだが、飲食物持ち込みOKのネットカフェも少なくは無く、コンビニやスーパーやデパチカで買ってきたお弁当やスイーツを持ち込んで速攻で頬張るなんてグルメファンの楽しみ方もあったり。フリードリンクだってあるしね。

●接客頑張る従業員!少年少女アルバイター

 カプセルに泊まったら、ぶっすりとふくれっつらで威張り散らした横柄な態度で客に指図するオサーン従業員にカッチーンと来た経験は、カプセル利用者なら何度もあるのではないだろうか。
 その点、ネットカフェではイケメン青年や茶パツ少女のアルバイターたちが丁寧な口調で接客に頑張っている。ちょっとファーストフード的で融通利かないマニュアル一辺倒なところはあるけど、ふんぞりかえったカプセルの爺婆従業員よりは、ずーっと好感が持てるというもの。


■そんな訳で、これらネットカフェの魅力にとりつかれたら、もう二度とカプセルホテルなんぞに泊まれるか!そう思われても無理はないというもの。カプセル側はこれ以上消費者離れが進まないうちに、今すぐ手立てを打って欲しい。同レベルのサービスを備えるだけではなく、ネットカフェの弱点をついた、24時間営業のマンガ喫茶ごときに絶対真似できないサービスを打ち出し、早めに対策を打ってシェア低迷を防ぐべきだろう。以下、元カプセルファン、現ネットカフェ派の消費者の立場から、打つべき対策を項目ごとにチェック!

▲薄汚くて殺風景なカプセルホテルのレストルーム。こんな陰鬱なとこで長居してたら気が滅入ってきそうだ。エンタメムード全開のネットカフェとは比べるべくもない。

カプセルホテルに改革を!〜求められる改善点

▲コーヒー、オレンジジュース、烏龍茶など豊富に飲み放題メニューを取り揃えたドリンクバー。ネットカフェではこれが標準装備なのだ。

◎館内にフリードリンクバーを完備すべし!

 持ち込み禁止を標榜して缶ジュース1本200円の自販機置いてふんぞり返ってる時代はもう終わりだ!コーヒー・紅茶・オレンジジュースなどのディスペンサーを用意して自由に飲めるフリードリンクサービスを館内に標準装備すべし。プラス有料でアルコール類を自販機に用意すればバランスが取れるだろう。

◎外出自由システムを徹底すべし!

 “一度入店したら、一旦会計清算しない限り外出は全面不可”という、ネットカフェの不便なシステムはどうも以前から気になっていった。じゃあカプセル側はそこを突いたら強いんじゃないか。夕方のチェックインから朝のチェックアウトまでは外出は何度でも自由とし、好きに買い物などしてきて飲食物持ち込みなんぞも全くお咎めなし、もちろん荷物もカプセル内において手ぶらで身軽に遊びにいける。これを標準化すれば、カプセルホテルならではの大きな魅力となるはずだ。まだ一部のカプセルで規則としてまかり通っている“一旦入館したら外出一切禁止”、という妙な制度は完全撤廃すべし

◎クレジットカード支払い制度を導入すべし

 クレジットカードが使えないというのもネットカフェの弱点のひとつ。特に滞在時間の目測を誤って料金超過で持ち合わせが足りなくなってしまった、という消費者にとっても手痛いトラブルも時折起っている。
 ならカプセルはそこを考慮してクレジットカード支払い制度を積極的に導入すべきだろう。手数料なんか取るんじゃない。ネットカフェ以上に気軽に利用してもらいたいなら、とにかくお手軽カード決済をウリにどんどんお客さんに入ってもらうべきだろう。
 また、最近おサイフケータイ決済がネットカフェで導入されつつあるので、そこもどうにか対応していかないと、ますます若年層がカプセルによりつかなくなるぞ!

◎サウナ・大浴場等入浴施設の充実を徹底的に

▲せっま〜〜っ。3人も入れば満杯じゃないかこの浴槽。“カプセルホテル”を名乗るなら、浴場施設の充実ぐらい腐心して欲しいものである。
 まるでスパのようなゴージャスなサウナや大浴場の施設は、マンガ喫茶やネットカフェには絶対にマネできない。これだけはカプセルホテル最大の強みでもあるので、カプセル側は入浴施設の充実に心を砕いて欲しい。3人も入れば満杯の浴場や風呂釜なんて興ざめだしね。今時ネットカフェにだってシャワールームがあるのだから、みすぼらいしシャワーがあるだけで大浴場を完備していのないカプセルホテルなんてもってのほかで、全く話にならない。

◎コインランドリーを標準装備すべし!

▲ランドリーがあると思って安心してカプセルインしたら、なんと洗濯・乾燥機は外にあったという例。そういうのも困るなぁ。
 旅行中、特に真夏の着替えなどでたまってしまう旅道中の洗濯モノはとてもやっかいな問題。しかし洗濯のできるような施設は、さすがにネットカフェでは用意していない(シャワー室で無理やり洗うテもあるが)。  そのあたり、カプセルホテルは是非ともしっかり対応して欲しいものである。有料コインオペ装置でもいいから、洗濯機、乾燥機を数基ずつ用意して、大混雑で全然使えないなどということも無い様にして欲しい。また、ランドリー施設は必ず館内に用意すること。わざわざガウン姿で外に出て隣のコインランドリーを使うなんてのはゴメンでさぁ。

◎ベッド並の快適なカプセルで快眠保証を

 リクライニングではなく、清潔なシーツによるマットで完全にあおむけで睡眠が取れる、というカプセルホテルの長所をもっと伸ばすべきだ。ゴワゴワに寝苦しいマットではなく、ベッド並に快眠が取れる居心地の良いふかふか個室に改造すべき。カプセル内の寝床のアメニティがお粗末なもんだから、ネットカフェのリクライニングの方が快適だなんて言われちゃうのよ。ラジオや目覚ましの不良もきちんと調整しておいて欲しいし、コインTVなんてのはもってのほか!

◎やはりインターネットやプレステなども無料開放で

▲カプセルイン渋谷にあった無料開放インターネット。やや雑然としているが。
 錦糸町のニューウイングがインタンーネット及びプレステが6分100円ってのはビックリしたぞ。マンガ喫茶では完全フリー使い放題が当たり前なのだから、コインオペで別料金徴収なんて考えられない愚行である。ネットカフェの個室装備のように全カプセル内で完全装備が望ましいが、それが無理ならせめてレストルームなどに数台用意して無料開放すべきだろう。

◎接客業であることを自覚し、言葉遣いも対応もマニュアル化を徹底すべし

 客にはタメ口命令、時には罵声を浴びせる、看守気取りで独裁的に威張りちらす等々、なぜカプセルホテルの従業員のオヤジはあぁも偉そうなのか?ネットカフェのアルバイトのコたちと比べてその横暴さは考えられないくらいで、とても接客業とは思えぬ対応に何度も憤怒を堪えた経験が有る。カプセル側は、自分らがサービス業を務めていることを自覚し、言葉遣いも対応もマニュアル化を徹底、社員教育として一からの改善を切望する。

◎カプセル業者は実際にネットカフェ・マンガ喫茶に出向いて研究すべし

 “複合カフェ”“リラクゼーションカフェ”というジャンル名が確立して、今ネットカフェ・24時間まんが喫茶ブームがどれだけ勃興を極めているかを、きちんと勉強して欲しい。実際赴いてみれば、カプセルホテルを利用することがアホらしくなるくらいのサービスの充実ぶりに青ざめるはず。代表的なチェーンの公式サイトへのリンクを掲載しておく。

■Mamboo!⇒GO!
■ポパイ⇒GO!
■バグース⇒GO!
■ゲラゲラ⇒GO!
■自遊空間⇒GO!
■まんが広場⇒GO!
■ほっとStation⇒GO!


 ……あと、お値段は一泊三千円台半ばで十分だよ。チェックインの夕方前からチェックアウトの翌朝まで、外出も持ち込みもフリードリンクも入浴もネットもTVも快適にもてなすべく、カプセルホテルには本当に自由にくつろげる空間を提供して欲しいのだ。持ち込み禁止だとかすぐガウンを着ろとか電源使うなとか外に出るなとか、学生寮管理人みたいにカリカリ命令するような態度だけは、とにかくやめてくれ。正直、私ですらよほどでないとカプセルはもう二度と利用しないつもりなのだから。