各名門ブランド ピンボール・リスト

BALLY/1998

ザ・チャンプピオン・パブ

原題The CHAMPION PUB
製作年度1998
ブランド名バリー
メーカーWMSインダストリーズ/ウィリアムス
スタッフデザイナー:ピート・ピオトロウスキー,ドワイト・サリヴァン/ブラッド・コーネル,リッチ・カール,リンダ・ディール,ポール・バーカー,アダム・リーネ
標準リプレイ点数50,000,000点
備考日本国内未発売作
▲敵役ボクサーがフィールド上に出現!自分のスタミナメーターがゼロになる前に打って打って打ちまくれ!(ゴメン左腕が取れちゃってるね) ▲カメラマンのおじさん、ウェートレス、ショータイムのダンサー、当局の違法行為の角でのガサ入れ……味のあるバックグラスも眺めてて本当に飽きない!あれ、この手前左下の振り向いて笑ってるおじさんって確か…
▲フィールド下部。左右フリッパーの間にはアップポストが登場。ソフトウェア的な再プランジによるボールセーヴより、こういう物質的なセーヴァーの方が楽しいよね。 ▲んでコレがせりあがって稼動中のアップスト。余裕ぶっこいてると突然引っ込んじゃうかもよ?警告音とかに留意しよう。

― COMMENTS ―
●あの「ジャンクヤード」ドワイト・サリヴァンピート・ピオトロウスキーによる、19世紀後半頃の1軒のパブで毎夜繰り広げられるボクシングの賭け試合、というなんとも粗暴且つロマンチックなテーマ性でプレイヤーを魅了する骨太な1作。
 当時流行っていたデカギミックもので、巨大なサンドバッグがぐるっと回って敵役のボクサー人形が貫禄たっぷりに現われたり、こぶし型フリッパーのあるミニフィールドでパンチボールをビシバシヒットさせるラウンド、VUKキッカーとマグネットを利用してボールに縄跳びさせる仰天アイデアも登場。

 当時WMSは既に【映画ライセンスネタ/ミニゲーム偏重/極端なインフレスコア配分】などといった煮詰まりきったゲーム性の袋小路からの脱出を図っており、シングルボールで巨大メカニクスの稼動を起こさせてプレイヤーの五感へダイレクトに訴えかけるようなゲーム性を打ち出しています。
 特にボールのスロープジャンプでサンドバッグをヒットしたり、本当にフィールドに出現するいかつい強面ボクサー人形をやっつけたりするフィーチャーがその主軸で、それに絡めて豊富なマルチボールやハリーアップ、強烈過ぎて飽きのこないビデオモード(無作為にとんでくる客のたんをつぼで受け取ってEXがもらえたりする)のフィーチャーが点いてくれる…という構成でゲーム性を高めようとしています。

 しかし残念なのは、1度各役をクリアしてしまうとそれきり永遠にそのパートが消灯してしまい、リセットされてさらに繰り返し行える、という当たり前のシステムがなく、後半に進めば進むほど何もすることがなくなって退屈してゆくというゲーム性の致命的な欠陥があるということ。
 アイテムのリセット&繰り返し取りが出来ないという欠点の指摘された「ジャンクヤード」から1年、改良されるどころか益々悪化しているというのは一体全体?豪快で殊勝なコンセプトを備えながらも、こういった制作側による仕上げの詰めの甘さが、このマシンを失敗作として知らしめている由縁となっています。

 しかし、クラシカルな音楽やアート、ロマンティシズムたっぷりのストーリーラインはやはり秀逸。『ソーリィマミィ!ソーリィ〜〜』『いやぁん顔は打たないで!』などなどヴォイスによるギャグセンスも最高でありました。

▲上部中央にあるサンドバッグ。 ▲左ホール、左ループ、左ランプの入口付近。判りにくいけどループ入口にはすくいあげるような上下スロープがある。 ▲プレイフィールド全景。そうそう、シューターボタンを押しっぱなしにしてる間くるくる飛んでく項目を、ボタン解除で好きなのぴたっと射止めるスキルショットも楽しいにょ
▲ボールの縄跳び!?上部左奥のジャンプロープ! ▲こぶし型フリッパー!?右奥ミニフィールドのパンチボール! ▲フィールド中央右端。余った空間を活かしてピンフィールドが作ってある。

(2006年2月13日)