各名門ブランド ピンボール・リスト

BALLY/1994

コルヴェット

原題CORVETTE
製作年度1994
ブランド名バリー
メーカーWMSインダストリーズ/ウィリアムス
スタッフデザイナー:ジョージ・ゴメス/ソフトウェア:トム・アーバン/メカニクス:トム・コペラ/ディスプレイソフトウェア:ビル・グルップ/美術:ダン・ハフス/音楽:ポール・ヒッチ
標準リプレイ点数
備考日本国内未発売
▲バックグラス。オーソドックス過ぎて面白みが少ないかな ▲プレイフィールド上部。ランプを張り巡らせて凝りに凝ってる割りには余り楽しくなってないような……
▲排気口型ランプレーンとか工夫もあるけどこれも面白さが伝わりにくいし。 ▲フィールド下部。蜂の巣のような六角はミニゲームの項目に。

― COMMENTS ―
バリーの'94年発表作「コルヴェット」は、元々パット・ローラーのディレクト作としてライセンス取得の準備が進められていました。そこへスティーヴ・リッチーのアシスタントを努めていたジョージ・ゴメスが、大のカーキチ&コルヴェット好きであった自分の単身デビュー作に是非!とローラーとロジャー・シャープにかけあって実現したデビューモデルなんだそうです。
 相変わらず、車やバイクものは作り手側が取り合うほど燃えるものがあるテーマのようですが、残念ながらゲーム性の完成度はやや不完全燃焼気味。実質セールスも惨敗となってしまい、これが'90年代後半のウィリアムス/バリーの業績スランプへのつまづきとなってしまったんだって……。

 フィーチャー構成の大筋は、ボールロック⇒マルチボール⇒ジャックポットの流れと、最終ゲームを目指して時間性ミニゲーム1つ1つ取り進める流れの2本柱。しかしマルチボールには魅力も新鮮味もなく、ミニゲームスタートもチマいキックアウトホールに偏重。その上内容もアローライトの点滅を時間制で追い回すような退屈なシングルボールものが中心なので、プレイヤーが自らマルチボールと平行して取り進めたとしても間がもちません。

 目玉としては、左上のエンジンランプレーン。中にボールが入るとエンジンがイヤイヤ〜〜〜と小刻みに首を振って稼動、中に閉じ込められてるボールはでんでん太鼓のようにデケデケデケ〜とシェイクされるという仕掛け。
 他、プレイフィールド右端側面に走る直線サーキットには2台のミニカーが待機、これがゴールに向かって邁進して勝敗を決めるというフィーチャー。点滅箇所へのシュートでプレイヤーの車がスピードアップするので、この時げしげし連続シュートを決めてゴールインを勝ち取るのは、まぁドットアニメでレースや勝敗を描くよりは面白いですね。
 それと意外と知られてないスーパースキルショットについて。各ボールスタート時のスキルショットボーナスはレーンチェンジ可能のトップレーンのライト点滅狙いで500万ですが、打ち出す前に両フリッパーボタンを左・右・左・左と操作すると、サイドランプレーン狙いのスーパースキルショット2,000万にヴァリューアップ!……しかしフリッパー操作の判定が甘いため、適当にゴチャゴチャ〜〜っと押しまくるだけでもスーパーになってくれちゃったりします。

 あと注目できるのは、ランプレーンのデザインセンス。普通のデザイナーならくねくねと曲線を描いてボールフローに魅惑を出すのですが、ゴメスの場合はカクッカクッと直線・直角を描くんですね。これによりボールのスピード感やゲームのテンポアップが演出できますが、ランプ自体の印象が希薄になり、ゲーム性も薄くなるリスクも出てきます。ゴメスの次作「JM」ではこれが最悪の裏目に出てしまっていました。

▲フィールド全景。右奥下側にはちゃんとトップレーン&バンパーがあるんだけど全然見えなくなっちゃってるよ。 ▲右ランプの奥にはディヴァーターがあり、さらにその奥にキッカー+直角ランプレーン。 ▲右ランプ入口、右ループ入口、そして右ターゲットの密接地帯。やっぱゴチャゴチャし過ぎだよね。
▲上部中央も複雑過ぎ。スクープホールにスピナーにサイドランプ入口がきつきつやん。 ▲左上にあるのがエンジンランプレーン。これが首を振るようにしてボールをシェイク。初プレイ時には目が点になるぞ。 ▲ミニカー2機とスタートライト。右端一辺にはこんなしかけも。

(2006年3月6日)