各名門ブランド ピンボール・リスト

BALLY/1989

エルヴァイラ

原題Elvira and the Party Monsters
製作年度1989
ブランド名バリー
メーカーミッドウェイ・マニュファクチュアリング・カンパニー/WMSインダストリーズ
スタッフデザイン:デニス・ノードマン、ジム・パトラ/美術:グレッグ・フレーレス/音楽:クリス・グランナー
標準リプレイ点数350万点
備考製造台数4,000台/ようつべに動画あるよ!⇒GO!
▲バックグラス!美術担当Gフレーレスの超絶アメコミセンス本領発揮のアートワーク ▲そういえばエルヴァイラピンボールの続編「スケアード・スティッフ('96)」なる秀作もあったけど、時節柄PIN低迷期で不当な評価に終わってしまったのだ
▲左から順に、スカルポケット入り口、左ランプレーン入り口、コフィンターゲット。棺桶にヒットすると中のキャラが現れるのも楽しい ▲フィールド下部。E,L,V,I,R,Aレター完成で300万点のチャンス。リプレイは易しめの350万点

― COMMENTS ―
●当時ホラームービー解説者として全米を一斉風靡、主演映画も公開されたエルヴァイラ。もちろん日本にもその人気が飛び火して「黒木香テラービジョンINエロヴァイラ」なるビデオが出るくらい(?)世界的な人気キャラクターとなったホラークイーンが、名門バリーネームのピンボールになった!
 ゲームの内容はドラキュラ伯爵やらフランケンモンスターやらブギーマンやら、あらゆる伝統的ホラーキャラたちとエルヴァイラが、墓場のパーティーでどんちゃん騒ぎを繰り広げる!…という、能天気でアホっぽいプロットが実に痛快。

 一方ピンマニア層は“エルヴァイラ”の名よりパーティーモンスターという設定にピンと来たはずで、同グレッグ・フレーレスデニス・ノードマンのコンビは1987年に「パーティー・アニマル」という、セクシー且つワイルドな獣人たちが飲んで食って宴会騒ぎをするバリーピンボールを手がけています。よってエルヴァイラはパーティーものの第2作目ということになります。
 2人はその後、同じくファニーでフランクな奴らのパーティー騒ぎをテーマとした「ドクターデュード('90)」「パーティーゾーン('91)」なるバリーマシンを発表。これらは総じてパーティーシリーズともシルヴァーボールコミックスシリーズとも呼ばれるようになります。

 さてフィーチャーの方はどういう編成かというと、ウォータースライダー(左ランプレーン)で大興奮のモンスターたちを続けて5連続滑らせるとミリオン!とか。
 飲めば飲むほど2万5千点ずつヴァリューの上がるパーティーパンチ(右ランプレーン経由VUK)で、25万点の値まで大酒のみするとエキストラボール!とか。
 ガイコツポケットボール3個ロックすると華麗なオルガン演奏が始まって3マルチボール開始で、マルチ時に左右ランプレーンに1回ずつショットで最高額400万点のジャックポット!とか。え?ガイコツポケットにロックが点いてない?そゆときはオルガン奏者(ドロップターゲット)か吸血コウモリ(トップレーン)に頼もう。
 でも一番強力なフィーチャーはELVIRA3ミリオンボーナス。E,L,V,I,R,Aレター全部点けるとガイコツポケットに一挙300万点がリーチ!20秒カウントで消えちゃうのでお見逃し無く。因みにELVIRAレターは左ランプレーンにあるエルヴァイラ赤ライト点滅中にシュートすれば進捗。
 バーベキューミステリー(トップホール)もおいしい!カエルの丸焼きが出たらランダムスコア、オニオンはELVIRAレター進捗、ソーセージはボーナス倍率アップ、ハンバーグはEXゲット、そしてコーンが出たらスペシャル獲得!う〜んおいしそう!もしBBQライトが点いてなかったら棺桶ターゲットに眠るドラキュラコックたちを叩き起こそう!

 もう上記に挙げただけでも充分酔いつぶれそうだけど、他にもブギー人形が踊るブギーボーナス、ピザボーナス、墓石ターゲット完成で生首3人揃えてデッドヘッズミリオンボーナス……な〜どなどなど、怪物たちとホラーガールの夜の饗宴はまだまだ序の口!
 「もう1個ボールをいかが〜?」「お開きには早すぎるわよ!!」「ウゥ!あんたモンスター級ね!!」とかなんとか、彼女のセクシーヴォイスも堪えられない!エルヴァイラ嬢を満足させるまでキミは朝まで帰れない!

 そんな訳でエルヴァイラのピンボールなんですが、別にコレと言って目新しい新機軸などは見当たらなかったマシンではありますが、やり始めたらあまりの楽しさに止まらなくなります。
 マルチとジャックポット、ランプ連続回しでミリオン、レター完成系ビッグポイント、バックグラス演出のミステリー、豪快ランプレーンのボールフローなど、当時のトレンドの美味しいトコばかり取り入れて、尚且つ扇情的で愛嬌たっぷりのホラーキャラクター・エルヴァイラのコピライトにより、元来ピンボールが持つゲーム性の魅力を十二分に引き出してくれました。
 とても整えられた上部・下部・左右のフィールドデザインとボールフロー、役モノ配置のバランスも素晴らしい!すいすい〜〜っと通る左右ランプレーンの何と気持の良いこと。

 そして何よりも、ノリノリ音楽と共に踊り狂うイルミネーションとデジタルディスプレイの鮮やかさは特筆モノ。
 例えばミリオンリーチ時に“MILLION IS LIT!”のアルファニューメリック表示が、目の覚めるようなSEと共にディスプレイ左右端から中央に向かってぎゅんぎゅん飛んでくる、その滑らかさとスピード感満点のスリルたるや。
 さらに百万獲得に成功すると「あブンチャカ♪ブンチャカ♪ブンチャカ♪ズチャラッ♪あーそれそれジャンジャン♪」とMILLION×1,000,000の文字がくるくるダンス。このサウンドにぴったりと合わさるデモ表示の正確さと先鋭さは、ドットディスプレイは勿論、たとえ液晶カラーモニターを用いても絶対真似出来ない、とても鮮烈なインパクトをプレイヤーの脳天に植えつけます。まるでゲーム全編がアップテンポなミュージカルのよう!

 バリーがWMSに吸収されてウィリアムスと同じ環境下に置かれたことにより、デニス・ノードマンがやっと実力を発揮できた1作。その後彼はバリーミッドウェイ時代の低迷がウソであったかのように秀作ピンボールを陸続と連発してゆくことになります。

▲2匹のブギー人形はブギーボーナス獲得時に音楽に合わせてシェイクダンス!さらに奥にはパーティーパンチのVUKがある ▲フィールド全景。フィーチャーやボールフローが複雑なのに、全く狭苦しさを感じない巧みなデザイン ▲フィールド上部右付近。この複雑にうねって交錯するランプレーンの輝きがたまらない。奥には生首登場のミラーもあるよ

(2010年9月9日)