Bally/1991ギリガンズ・アイランド | ||
原題 | Gilligan's Island | |
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製作年度 | 1991年 | |
ブランド名 | バリー | |
メーカー | バリーミッドウェイ・アミューズメント・ゲームズ/ミッドウェイ・マニュファクチュアリング・カンパニー | |
スタッフ | デザイン:ウォード・ペンバートン、ダン・ラングロイス/美術:ジョン・ユッシー/音楽:ジョン・ヘイ/ソフトウェア:マイク・ブーン/その他:ダン・リー、グレッグ・フレーレス、グレッグ・テイスタッド、ジョン・ニューカマー、ロジャー・シャープ、ルー・イズビッツ、メイヌ・ジェイスウォール、ブッチ・オルテガ、レベッカ・ガップ、ボブ・デンヴァー/バックグラス画:ジョン・ユッシー | |
標準リプレイ点数 | 八百万点 | |
備考 | 製造台数:4,100台/ようつべに動画あるよ!⇒GO! |
▲圧倒的存在感を放つジョン・ユッシーのバックグラスアート。何か起きそうなギリガンと船長のコンビが頼もしい | ▲ボールヴューで中部右端のショット |
▲これが回転してボルフローのコースを変えるロトジャングル。スロープが下りてないとのぼれない。出口は5通り | ▲筐体左サイドのアートでもどうぞ。因みにヴォイスもボブ・デンヴァー本人。残念ながら2005年に亡くなられた |
●米'60年代TVドラマ「ギリガン君SOS」のコピライト且つバリーネーム初のドットディスプレイ搭載機種として制作がスタートした「ギリガンズ・アイランド」ですが、当初「ヘヴィーメタルメルトダウン」のダン・ラングロイスをチーフデザイナーに迎えて企画が進められていた矢先。 非常に残念なことに、ラングロイス氏が急逝してしまいます(死亡時の詳細は不明)。 曰くと共に宙に浮いたこの企画を受け継いだのは、ダンと同じくバリーミッドウェイ出身で、WMS吸収以降ウィリアムス台の「リヴァーボートギャンブラー」も手掛けていたウォード・ペンバートン。 出来上がった筐体のプレイフィールドデザインやゲーム性を鑑みると、複雑なランプレーンやスロープを縫い合わせながら絶妙なホースシューでつなげたフィールド構成、フィーチャーの本流から逸らした位置づけの2ボールマルチ、陽気なヴォーカル入りゲームミュージック……等々、ペンバートン節全開のゲーム性がくっきり。 ラングロイスらしき面影は感じられない風合いであるため、作りかけを受け継いだというより大部分ペンバートンによって初めから作り直されたと判断して良いかと思われます。 当時のWMSとしては売上は標準程度のセールスだったようですが、タイトーがディストリの日本ではよく売れたようで、同時期の「ハリケーン」や「パーティーゾーン」よりもお店に出回っており、「T2」と一緒によく見かけることが出来ました。 【ジャングルロトフィールド】このゲーム最たる特徴的ギミック。稼動スロープで上がれる巨大な円筒形ジャングルゾーンは要所要所で回転しては通路を変換させて着岸。その度ボールの出口が変わる。 ワイヤーレーンに乗るコース、ランプレーンに上がるコース、キックアウトポケットへのコース、そして島の秘宝が眠る神の洞窟への道程…など、全5通り。 ただ、ボールフローが変化するだけでフィーチャー的な利点は乏しく、ゲーム性の向上が感じられない。 【コナ/トレジャージャックポット】上記のジャングルロトにファーストショット100万点獲得後のカウントダウン45秒間、A回目200万〜D回目500万のトレジャージャックポットがかかる。さらに6回目以降のシュートでスーパージャックポットに該当する“KONA”5,000万点が掛かり続ける。 コナステージへ行くには、フィールド各ポイントに点在するアイテムを全て獲得したあと、真っ赤なアローライトがフラッシュする中部右VUKホールに放り込むべし。 アイテムの配置パートは、パイナップル(中部左端3バンク)、巻貝(トップポケット)、亀の卵(左ホースシュー3ショット)、ロープ(右ホースシュー1ショット)、バナナ(スロープ左脇スタンダップ)、ココナッツ(中部右3バンク)、干し首(左下ターゲット)……の全7か所。 【ジャングルラン】コナとは別フィーチャーとしてジャングルロトで稼げる50万/100万単位のビッグポイント。スキルトップホールでこの項目を得るとジャングルロトが稼働してスロープが降りるので、時間内に連続で叩き込むとプラスアップでジャングルランビッグポイントが連続で稼げる。 【ラグーンミステリー】トップポケットに点くランダムヴァリュー。点け方は、中央の細長い通路に立つL-A-G-O-O-Nの6バンクターゲット完成。 内容はボーナス点、エキストラボール、スペシャル、アイテム獲得、キックバック点灯、2ボールマルチなど。 因みにマルチ時はジャングルにて100万点が取り放題となる。 【アウトレーントーテムポール】左アウトレーンにあるトーテムボールのライトを進捗させるとエキストラボールが貰える。 理不尽な取らせ方だが、キックバック再点灯を繰り返せば不可能ではない。項目のライトチェンジ方法は、う〜ん確かリターンレーンだったかしら…… このゲームへの最たる不満は、5通りに出口が変化する大掛かりで複雑な構造を器用に実現化した、せっかくのロトジャングルを、ゲームフィーチャー的に全然つかいこなせていないこと。出口とボールフローが変わったからといって、プレイヤーに何のメリットも無し! 例えば出口が左ワイヤーなら“あと同じとこ2回通したらワンミリオンつくよ”とか、出口が左ポケットなら“マルチボールスタート!”、洞窟なら“あと1回でジャングルラン始まるよ”、プラスチックランプレーンなら“あと12回でスペシャルリットだよ”とか、右ワイヤーなら“あと5回でエキストラついちゃうぜ”……とか。 レーンの変化ごとにそれぐらい役割りやヴァリューを持たせないと、ジャングル大仕掛けの意味が全然無いでしょうに。 各ココナツやらロープやら、アイテム獲得ポイントの活躍不足にも疑問アリ。 せいぜい巻貝ポケットのミステリーと、VUKにスポットレター進捗の利点があるぐらいで、あとはフィーチャー配分がスカスカ。 例えば干し首や亀の卵にカウントダウンボーナスやハリアップがあるとか、マルチ中にココナツやパイナップル全部ヒット後に2個ともボールロックでテンミリオンとか、いくらでも思いつけるアイディアがあるはずなのに。 偶然性に依存して戦略性を欠くボーナスマルチプライアとジャングルランスタートにも疑念が募ります。 しかしそんなゲーム性の浅薄さはあばたもえくぼと言うもの。 “漂着した未開の無人島での宝探し”というピンボールと相性抜群のテーマが、雰囲気重視のペンバートン演出と最高のマッチングに結実。 ホイッスルとコンガを多用したムード満点のサウンドと軽妙洒脱なミュージック、愛嬌たっぷりなアートと魅惑的なテーマ性でプレイヤーを魅了してやまぬ、抱きしめたくなるような愛苦しいにおいを漂わすキューティーなマシンでもありました。個人的には大好きなピンボールの1台です。 映画コピライト商品で次々成功を収めるデータイーストの台頭に慌てた親会社WMSが、映画会社などからまとめて買ってきた変なコピライトネタの企画にプレイヤーもデザイナーも当時悩まされましたが、今回ばかりはピンボールの魅力の向上に十分奏功したと言えましょう。 日本での稼働ぶりについてですが、前述のように'90年代ピンボールバブルの時勢に乗って店舗によく出回ったものの、残念ながら上下スロープ稼動の故障が目立ちました。 酷い店になると修理を面倒臭がって下がったままのスロープを手で折って引っこ抜いた挙句、プレイヤーがそれを指摘すると激昂して怒声を荒らげるような従業員もいて、いちいち会社事務所に通報して責任者に謝罪と調整を行わせねばならなかったという、憮然で煩瑣な事態も招いたモデルでもありました。 デザイナーのウォード・ペンバートンのその後の足取りも追ってみますと、今作ギリガンを手がけた後にマーク・リッチーやクリス・グランナーと共にWMSを離れ、カプコンピンボール社の創立に貢献。 しかしカプコンではピンボールを手掛けることなく、同社消滅を待たずしてセガピンボール時代のスターンと契約、「007ゴールデンアイ('96)」を送り出すものの評判は低調。 その後しばらくピンボール業界への執着心は強かったものの、現在ではかつて取った杵柄である消防士の職に戻り、シカゴシティの市民の安全に貢献しているとのこと。 |
▲'92年当時の写真。だからフックとワニワニパニックも写ってしまうのだった | ▲7つのアイテムを全て獲得するとBGMが変わり、呪術的コンガサウンドと共にこのVUKホールの真っ赤なアローライトが光り出す。ここに入るとロトジャングルが回りだし…… |