BALLY/1990ヘヴィー・メタル メルトダウン | ||
原題 | Heavy Metal Meltdown | |
---|---|---|
製作年度 | 1987年 | |
ブランド名 | バリー | |
メーカー | バリー・ミッドウェイ・マニュファクチュアリング・カンパニー/バリー | |
スタッフ | デザイン:ダン・ラングロイス/美術:トニー・ラマンニ/音楽:ネイル・ファルコナー/ソフトウェア:リーマン・マーチャント | |
標準リプレイ点数 | 150万点 | |
備考 | 製造台数1,600台/ようつべに動画あるよ!⇒GO! |
▲トップレーンとバンパー地帯。連続ヒット時の速弾きギターサウンドが楽しい | ▲バックグラスのアップ。'80年代ハードロックのファッションが伺えますな |
▲中部左端星型ロールオーバー。ゲーム上あまり活用できてない | ▲右端にも同じ造りのロールオーバーが。 |
▲フィールド下部。この頃のバリーのフリッパーは造りもシェイプも構造も独特で、打ちごこちにかなり違和感を感じる。狙い打ちも難しくて苦戦しそう | ▲右奥スキルショットレーンのアップ。でもスキル狙いよりもトップレーンで倍率アップを図った方が有利なのよね |
▲ズンドコ低音サウンド響き渡る、バックボックス上部に設えたスピーカーコンポ。この時代にはこういう外付けの演出が流行っていた | ▲プレイフィールド突き当り。なんかスモークに包まれながら稲妻を発射しまくるドラマーがいますが |
▲トップレーンのアップ。この頃バリーもレーンチェンジに対応していたが、フリッパーボタンではなく、専用の別ボタンで操作する必要があった | ▲フィールド上部。わざわざホールやターゲットでレベル1〜5のポイントが点在してるけど、あまりゲーム性の向上に報いていない |
●'86年のハイスピード・ショック以降、かつてはピンボールの名門だったはずのバリーはトレンドに大きく後塵して権威を失い、各機種のセールスは他社の半分にまで減退、見る見るうちに影が薄くなってゆきます。 そして遂に、モトクロステーマのバイレベル台「ブラックウォーター100」の発表を最後に、'88年にはWMS/ウィリアムスに吸収されてしまいます。 当時のバリーミッドウェイの台をいくつかリアルタイムでプレイした経験はあるものの、とにかく故障が多かったことばかりが印象に残っています。 ランプレーン上のサイドフリッパーという点でノーフィアーを先取りしたバイクネタの「モータードーム('86)」、不可思議なランプレーンデザインとアメコミアートワークが圧巻だった5ボールマルチ台「ストレンジ・サイエンス('86)」、会話型RPG古典作のコピライトピンボール化「ダンジョンズ&ドラゴンズ('87)」等々……。 アートやサウンドのインパクトは強烈なんですが、せっかくきちんと調整できる店へ入荷したのにどの機種も半年持たず、[故障中]の張り紙をしばらく貼られた末に下げられるという痛々しい運命ばかり辿っていました。 いや下げられるならまだしも、フリッパーが死のうがスイッチ全滅しようがほっぽらかしの店での「ブラックベルト('86)」や「スペシャルフォース('86)」なんか、目も当てられませんでしたね。 また、その頃のバリー台と言えばゲーム性において他社より大きく後れをとっており、インカムもプレイヤー支持も年々下降するばかり。 大仰なギミックに全然意味が無かったり、極端なバイレベル設計に無理があったり、ミリオンもジャックポットも無くプレイヤーに訴求できるビッグポイントが乏しかったり、フィーチャーの編成が時代遅れだったり……。 同社は晩年においてそういった自社商品力の脆弱さを埋め合わせるため、ゲームのクオリティよりも、奇を衒った一発ネタでウケを狙う台の発表が際立ちました。 今作「ヘヴィー・メタル メルトダウン」は、その頃のバリーの傾向と苦心が比較的有卦と出た1台。 当時ウィリアムスもやったことのなかった一挙5ボールマルチの爆裂、バックボックスにおけるステレオコンポの搭載、そのスピーカーが雄叫るヘヴィメタシャウト “Heavyyyyyy!! Metaaaaaal!! Meltttttdoooooown!!!” の音声絶叫は、当時のゲーセンで爆笑買いまくり。 比較的故障が少なかったという幸運も手伝い、ゲーム性はともかく、そのディープインパクトにより当時の一般プレイヤーたちを十分に惹きつけていました。 それではフィーチャー解説へ移りましょう。 【スキルショットレーン】 トップレーンの右隣の目立たぬ位置に、プランジ加減で狙う50kのスキルショットレーン有り。 【トップレーン】 3本のトップレーン[J][A][M]完成でボーナス倍率アップ。最高6倍。レーンチェンジ可能だが、フリッパーボタンではなく、その下の青ボタンの操作でライト移動させるという特殊なシステム。 【エキストラボール】 中部左端の[LEVEL2]ターゲットのたもとのレターH-E-A-V-Yと、その反対側右端[LEVEL3]ターゲットたもとM,E,T,A,Lを、ボールヒットにより全て完成させればEx.リット。エキストラは中央[LEVEL1]ターゲットに点く。 【マルチボール】 この時代には珍しい5ボールマルチ!ボールロックは引き継ぎ制で、複数人数プレイ中4個目ロックでリーチとなれば取り合いになるし、ゲームオーバー後もロックは解除されず引き継がれ、次の別プレイヤーの棚ボタにもなりえる仕組み。 ボールロックの方法は、シングルボール中に左ランプレーンに放り込むだけでOK。5個貯めればマルチスタート。 尚、ロックポケットはキャプティヴボール式で、貯まってるポケットにおはじきボールヒットを叩き込んで強引2ボールマルチへリリースすることもできる。 【プレイフィールド倍率】 マルチ中はボール個数だけフィールド倍率がかかる。つまり5マルチなら5倍。さらに5倍の状態からランプレーンに1回通すと一挙10倍に。 【ランプレーン100k】 マルチボール中は左ランプレーンで10万点×エックスがかかりっぱなしに。また、シングルボール中でも点滅中の[LEVEL1]〜[LEVEL5]への各ポイントへのショットにより点灯する。 【スペシャル】 ランプレーンに4回通すだけで、中央[LEVEL1]ターゲットにてスペシャル点灯。 【アウトホールボーナス/ボーナスホールド】 満額は255,000点×6エックスで、153万点…と、デフォルトリプレイ150万に対してかなり高額。ボーナスホールドが重要となる。 そのB.H.は左ランプレーンの入口左脇にある[LEVEL4]キックアウトホールで獲得。 う〜ん、スキルショット成功でトップレーン一発完成とかあればいいのに? それにキャプティヴおはじきリリースマルチが出来るなら、通常のマルチとは別ルールでミリオンとか欲しいわよね? ……等々、相変わらずゲーム性に隙間は感じられるものの、終始叫びっぱなしの迫力のヘヴィメタ絶叫ヴォイスと特殊なBGMが、フィーチャーの難点をどうにか補っています。 特に、一定のコード進行をズンズンドコドコ繰り返すロックミュージックに重なるように、役の完成で炸裂する即興ギターメロディが非常にオモシロイです。特設サウンドボードもスピーカーコンポも伊達じゃないのだ。 さて、当時のバリーミッドウェイの国内ディストリビューターはセガが請け負っていた訳ですが、セールスが見込まれるバリー台の場合は、稀にタイトーも国内販売を手掛けていました。 当時'87年開催のAMショーの資料を紐解いてみると、セガのブースにおける出展ピンボール機種が「パーティーアニマル」と「ヘヴィーメタル」が1台ずつ、計2台。 一方タイトーのブースではウィリアムスの「ファイヤー」が2台、プリミアの「ヴィクトリー」「アリーナ」が1台ずつ、そして「ヘヴィーメタル」が2台、総計6台のピンボール機種が出展されています。 バリーにとってそれ程大ヒット作ではなかったはずのヘヴィーメタルが、当時日本国内で地方にまで結構出回ったのは、どうやらタイトーの販売網によるもののおかげのようです。 余談ながら、「ハイスピード('85)」のケースはこの逆で、本家ウィルのディストリのタイトーのみならず、セガも国内販売に加わっていたそうな。 |
▲ロックポイントである左ランプレーン入口。左脇にホール設けちゃうのは変わっているが、キックアウトがスピーディーで気持ちい | ▲バックボックス全景。ヘヴィメタってなんか微笑ましいのよね | ▲フィールド全景。完全シンメトリーではないが、伝統的なピンボールデザインに則って、ホールやレーンの配置が左右対になっている |
▲左リターン&アウト付近。 | ▲今度は右リターン・アウトをどうぞ | ▲右奥レーンに掲示されるプレイフィールド倍率。最高Xはなんと10倍 |
▲おはじきボールショットでスコーン!と狙い打ちすれば、運動量の法則で最後部のロックボールがワイヤー伝ってフィールドにリリース | ▲で、コレがポケットが空っぽの状態。メルトダウン5ボールマルチ目指してこつこつ5回ロックしよう | ▲最後はバックグラスの右側ギター兄さんの雄姿でもどうぞ |