各名門ブランド ピンボール・リスト

BALLY/1997

NBAファーストブレイク

原題NBA FASTBREAK
製作年度1997
ブランド名バリー
メーカーWMSインダストリーズ/ウィリアムス
スタッフデザイナー:ジョージ・ゴメス/ソフトウェア:トム・アーバン/メカニクス:トム・コペラ/美術:ケヴィン・オコンナー、ポール・バーカー/ドットマトリクスエンジニア:アダム・リーネ、ブライアン・モリス/音楽:ケヴィン・クイン
標準リプレイ点数100点
備考国内発売1997年(タイトー)
▲バックグラス。ボックス内がぱちんこ風垂直型フィールドになっており、“ピザモード”の最中SHOOTボタンを叩きまくり!ボールをゴールセンサーを通過させればポイント加算。 ▲バスケットゴールを中心に据え、様々なコースからボールシュートを導いているフィールドデザイン。特に4人の味方選手のダンクシュートに見立てたキッカーホール&ワイヤーランプがお見事!
▲ゴールのクローズアップ。ショットクロックは時間制フィーチャーのカウントダウンを担っていますが、それより本体の見栄えの存在感の方が大きいです。 ▲この台には通常の位置にシューターボタンがございません。その代わりにあるのが、手前バー上の円筒形SHOOT!ボタン。ライトフラッシュし始めたらポイントのチャンス。押せ押せ〜〜!

― COMMENTS ―
●1997年、WMS時代もスターン在籍の今も多作ぶりが頼もしいジョージ・ゴメスが、NBAのライセンス購入の元に実在全チーム名を使用したバスケットボールのピンボール「NBAファーストブレイク」を発表しました。
 同じWMS系でもバリーネームは無視するという釈然としないディストリ方針だったタイトーも、NBAバスケというテーマ性に食指が動いたのか、'97年7月には僅かながら国内に出荷を行っています。

 ゲーム性の特徴としては、スコア加算のポイントの大部分をバスケットゴールに収斂させているところ。シュート可能の直球ランプレーンから1点、VUKホールからは2点、ディヴァーターの稼動で他のコース経由なら3点、といった様々な策が組み立てられ、攻略に奥行きを持たせてあります。
 また点数も数千万、数億のジャックポットを氾濫させたりはせず、加算単位は1〜3ポイントに制御。リプレイ点数もズバリ100点という、バスケのスコア配分に習った配分なのも快哉。

 最も秀逸なのは4人の味方選手に見立てたVUKホール。この4つのホールのどれからでもバー上のSHOOT!ボタンでゴールシュートを決められます。
 ……ところが!そのシュートを邪魔しようとする敵選手人形が、キッカーホールを塞ぐように、にゅ〜〜と横すべりして立ちはだかります。これを避けるには、左右フリッパーボタン操作で右・左・右・左と、なんと本当にボタン操作とキッカー稼動でボールのパスができるのです。この4つのホールから敵選手人形を避けてゴールシュートを決めると2ポイント、4人の選手全員にシュートを決めさせると3ボールマルチがスタートします。

 他、バックボックス内がパチンコ風縦型フィールドになっててフリッパーとボールのアクションがあったり、NBAにまつわるクイズ出題があったりという戯れ言のようなフィーチャーもありますが、演出としてどれもそれなりに奏功。またヒップホップ調の音楽のノリとテンポの良さが抜群で、ボールロックなんか省いて役の完成と同時にワッと始まるマルチボールのスピーディな躍動感は素晴らしいです。

 『シューティングゲームのような単調さが嫌い』『ポイント制度が気に食わない』『こんな複雑な4つのVUKの調製、店員がタコだったら終わりじゃん』……などなど、マニア評価は賛否バッサリ分かれちゃいましたが、こういった路線は路線で矜持として貫き、徹頭徹尾極めた作品として、私は高く評価したいです。非凡且つバランスの良いボールフローも実に気持ちいいですね。

 ……しかしバックグラスが熱で変形、いちいちボールが挟まってバックボックス内のぱちんこゲームが止まっちゃうっていうのは意外なトラブルでしたが。“ボックス内のボールがない!ボールがない!とったのお前か!”って当時のタイトーの店のバイトくんいぢめちゃったじゃん……

▲左ホール。NBAクイズやバックボックスぱちんこシュートゲームがかかるのはココ。 ▲真っ直ぐ伸びた中央ランプレーンからは常にゴールシュートが可能。 ▲右リターン近辺のアップ。
▲左ランプでは上下するディヴァーターが左リターンかゴールシュートかを振分けてます ▲実は重要な2枚バンクの黄色いターゲット。すぐ傍でカクカクと曲折するランプフローもおもろいですな。 ▲ロケテス台限定でバックボックス周りにポップの飾り付けがありました。でも結構邪魔で、特にナッジングの際隣の台まで揺らしちゃうのは困りもの。

★左の画像はWMS発行の同機種フライヤーから。これは一体何かと申しますと、幻のリンキング台と呼ばれるシロモノで、なんとピンボールで対戦・乱入プレイができるスペシャル・ヴァージョン。
 当時ブーム爛熟期だった格闘ゲームにおいて、対戦乱入システムにより殺気立った格ゲープレイヤーたちの闘争心と角逐を煽らせ、プレイ時間の短縮・連続コイン投入を拍車させることにより高インカムを搾り出す手法が蔓延しておりました。それをインスパイアとし、ピンボールにも是非対戦乱入システムを、と考案されたモノだったそうです。他のプレイヤーの乱入と同時に残り時間のカウントダウンがスタート、あとはひたすらバスケットへ連続シュート。ゴール数が負けると自分だけゲームオーバー。
 但しプレイヤー評価は散々で、全く支持を得られなかったとか。

(2006年10月19日)