各名門ブランド ピンボール・リスト

Bally/1975

ウィザード!

原題Wizard!
製作年度1975年
ブランド名バリー
メーカーバリー・マニュファクチュアリング・コーポレーション
スタッフデザイン:グレッグ・ミック/美術:デイヴ・クリステンセン
標準リプレイ点数不明
備考製造台数:10,005台/ようつべに動画あるよ!⇒GO!
▲フィールド中部左端を斜辺ショットで。数回しかプレイしていないのでフィーチャーは未解析なのだが、これらスポットTがフラッグと呼応していることが読み取れる ▲バックボックス。映画のイメージ色である赤・橙・黄を重心とした色彩。魅惑的で幻想性の強いタッチ。
▲プランジャーからは確実に入れられるようにしておきたい、フィールド上部トップホール。キックアウト先のボールコースも面白い ▲でも中央の平凡な1枚スポットTはつまんないな。ドロップターゲットとかキャプティヴBとかちっちゃいホースシューの方が良かった気がする
▲フィールド下部。もうこの時代以降、この位置にリターンレーンが措定された ▲主役2人の後ろで恍惚状態で踊るグラマラスガールの表情が異様に面白い

― COMMENTS ―
バリー製1975年リリースのピンボール「ウィザード!」は、ザ・フーのコンセプトアルバム「トミー」に基づいたケン・ラッセル監督の同名ロックミュージカル映画をインスパイア元としてアートを描いた、いわば時勢カルチャーの洒落を利かした1機種。
 バリー社は映画にも主演したザフーのヴォーカリストロジャー・ダルトリーと女優アン・マーグレットの許諾を得た上、夢想的で艶めかしいアートをバックグラスに描出。
 しかしながら、これはザ・フーや映画トミーとのメディアミックスを初めから狙ったような狡猾な企画では決してありませんでした。

 ところが、これが当時の歴代ピンボールマシンのトップセールス記録を塗り替える1万台超えのユニット製造をもたらす快挙に発展。

 さらに翌年。この映画で“ピンボールウィザード”役として出演していたエルトン・ジョンへのトリビュート作「キャプテン・ファンタスティック」を発表したところ、1万6千台を超える更なる驚愕的出荷数を叩きだすことに。

 これらの巧まずして舞い込んだサクセスがバリー社'70年代後半のコピライト政策路線の布石となり、以降同社はキャラクターズモデルの「イーヴルクニーヴル」「ボビーオアパワープレイ」「600万ドルの男」「プレイボーイ」等々、1万数千台クラスの怒涛のメガヒット作を陸続と生み出す繁栄を享受します。

 また、フィールドデザイン元来のゲーム性の高さや、映画の色彩や夢想性を踏襲した魅惑的なアートワークにより、メーカーは勿論デザインスタッフへの称賛が集まります。
 この時のデザイナーのグレッグ・ミックと美術のデイヴ・クリステンセンは、ピンボール界において初めてスターデザイナーとして世に名前をとどろかせた人物……とする一説までこんにちに至って語り継がれるほど。

 ただ美術のクリステンセンはともかく、この時代以前の著名デザイナーとして、当時無かったフリッパーやスウィンギングターゲットなどの新機軸を繰り出したハリー・マブスや、ドロップターゲット発明のスティーヴ・コーデックの名前も、決して挙げられぬこともないはずなのですが。
 しかしそれだけ当時「ウィザード!」のアーケードにおける席巻が、個人名とその作家性を顕揚させてしまう程、映画にミュージカルにロックチャートにファッション等々、多くのメディアも伴った一大ムーヴメントとして大変華々しかった……ということなのでしょう。


 さて新宿高島屋のピンボールイベント“ピンボールワンダーランド”なる珍しい催しにてこの機種をプレイする機会に恵まれた訳ですが、確かに'70年代前半のピンボールの平均的ゲーム性からのステップアップが感じられるマシンでした。
 左スピナーレーン経由で何度も狙えるトップホールにボールが決まると、バンパー地帯ではなく★型ロールオーバー4連レーン目掛けてキックアウト!そっから転げてくるボールが星ロールを踏むと、ドミノ稗のようなフラッグがバタバタ開閉するアクションは誠にスリリング。
 ただ、その時降りてきたボールを左デットFで受け取ると次の瞬間右スリングワンクッションで左アウトレーンに叩き込まれる、その抗えぬ死のコースの対峙にはしばし煩悶しましたが。

▲グラマラスガールその2。セクシーと言うかおっかない ▲稼動フラッグ!やりこんでないので分からないがスポットTの役を得てから★ロール通過で上下稼動する仕掛けのようだ ▲で、稼動フラッグで得られるフィーチャーとしてスピナーリットやアウトホールB2Xの表記がみられる
▲スピナーレーン。Ex.のライトもある。残念ながらプレイ当日、エキストラのフィーチャーはoffとなっていた ▲プレイフィールド全景。右端に狭苦しさを感じるのが惜しい ▲最後は映画「トミー」主演のロジャー・ダルトリーとアン・マーグレットのアップでもどうぞ

(2014年5月22日)