Stern Pinball/2017エアロスミス(リミテッド版) | ||
原題 | Aerosmith (Limited Edition) | |
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製作年度 | 2017年 | |
ブランド名 | スターン・ピンボール | |
メーカー | スターン・ピンボール・インコーポレイテッド | |
スタッフ | デザイン:ジョン・ボーグ/美術:ドニー・ギリース | |
標準リプレイ点数 | 7千万点前後 | |
備考 | 500台 |
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【1.stインプレッション&雑感】 「メタリカ」「キッス」と洋楽ネタが頻発するジョン・ボーグによるデザイン作。 ゲームの作りがKISSと大分被るが、それでも5点満点評価で言うと4点は付けたい。非常に難易度が高いものの面白さは引けを取らず、その凝ったフィールドデザインも人後に落ちない。 スターン社LCD搭載機種の第2作目で、グルーヴィーでエッヂの効いたタッチのアニメーションを多用。ちょっと作画が粗めなのも含め、ゲーム演出上充分に奏功していてここちよい。 前作バットマン66の本編映像の濫用には締まりが無かったので、これらアニメ演出のクールさに安堵した。 メインのマルチボールはオモチャ箱からどーんとボールの山盛りがひっくり返される[トイズ・イン・ジ・アーティック]。 離れた位置にあるロックホールからポイとカタパルトしてオモチャ箱にシュートする仕掛けがお見事。 ボックスのメカはスターン製インディJからの流用だが、内容は十二分に進化。 しかしこのロックホールが非常に入れにくい。 ダイレクトに狙うよりプランジャースキルショットかフィールド上段エレベーターホール経由、バンパーワンクッション等他のボールフローで狙う方が効率的。 で、そのロックホールへの抜け道を狙う“プランジャースキル”に難点アリ。 各ボールスタート時はともかく、ボールロックやボールセーヴ時はオートシューターで勝手にキッカーコイル発射されてしまう。 せっかくスキルショット・ボールロックがあるんだから手動スプリングプランジャーで打たせてほしいのに、何をか言わんや。 ……そうだ、あらかじめプランジャー引いて待ち構え、シューターが稼働する直前にチョイっと打ってスキルボールロックしてしまえ! 前もって6回分のロックリットを蓄積しておけば6連続プランジャーボールロックだって夢じゃない。 但し、この間各トラックソングフィーチャーの時間制限カウントは容赦なく進むので、トラックコンプは諦める必要アリ。 尚オモチャ箱マルチボールは6ボールロックまで粘ればかなり稼げるようだ。マルチ中も箱に2個3個とポイポイ詰めれば、JPはこの間2X3X……と倍掛けでうなぎのぼり。 もうひとつのマルチボール[ラヴ・イン・アン・エレヴェーター]は擬制ロックポイントである中央ループにEx.リット課役があったり、上段フィールドへのボールフローがあったりして、マルチ本編よりその過程が重要といった感じ。 古風なエレベーターに乗り込むハクい美女。待ち構えたように彼女へ寡黙にほくそ笑むジョー・ペリー。マルチスタート時のアニメーションがこれまたクール。 例によってボールスタート時及びスクープホールにトラックソングセレクトがあるが、メタリカ,KISS,AC/DCの時もそうだったように、単なるBGM選択では済まされないことはピンボーラー諸賢なら料簡尽くだろう。 ソングごとに割り当てられた各メジャーショットレーンのアローライトフラッシュを、えいやっ!えいやっ!とやっつけ、1曲1曲クリアしてゆかねばならない。 勿論コンプ終了ノルマ有り。しかも今回は時間制。これが厳しいのなんの。[スウィート・エモーション]の時間内全レーンクリアなんて無理でしょうに。 しかしこのトラックソングで最も気に入ったのが[デュード・ルックス・ライク・ア・レイディー]。 ずらっと並んだラヴリーガールたちのシルエット。ワンショットクリアの度にスクリーンが解かれ、くねくねダンスすしながら現れるそいつらはむくつけな野郎ばかり。ムサい奴・ダサい奴・ゴツい奴。可笑しいのなんの。 曲もフィーチャーもアニメ演出も素晴らしい。 曲自体も有名な[ウォーク・ディス・ウェイ]も打ち応え有り。 中央ランプ・右ランプを交互に連続コンボを決めるのだが隘路キツキツでコレがまた非常に難しい。 その代わり連続ストレートでフルにクリア出来た時の気分は痛快。両レーンに倍掛け[X]が点いていたなら尚更(アバターにも似たフィーチャーがある)。 ランプレーンと上段レーンをうまく共有させたボールフローも良く出来ており、バイレベルが陥りがちな圧迫感と狭苦しさは殆ど感じられない。お見事である。 初日・初打ち3時間ほどでプレウィザードに到達出来たが、その内容は取りこぼしたトラックソング課役を3ボールマルチでクリアするという回収式ウィザード。 フィーチャー名は確か[ヒットソングツアーマルチボール]だったかな。「トロン:ザ・レガシー」にもあった成績不良回収ウィザードのマルチボール版である。 しかしツキが無くあっという間に終わってしまい、何の回収にもならなかった。最終ウィザードへは遠く及ばず。 この時のスコアでグラチャンが取れたと言うことは、大阪SBPでグランドウィザード到達者はまだ誰もいない模様。 ……それもそのはず、SBP設定でのTILT判定が非常に厳しい。DANGER警告も無かった。 そう言えば過去のジョンボーグデザイン作「テイルズ・フロム・ザ・クリプト」「メタリカ」にも喧しいくらいイカレた化け物のホストキャラが据えられていたが、本機種においてもゲーム上の案内人として、残酷で意地の悪いジャッキーなる道化者が登場する。 各作品元来のキャラでもあるが、こう言ったグロテスクで残虐だが愛嬌のある主人公の登場は、ボーグ独特の作家性なのかも知れない。 ところでピンボール伝統の美風であるノッカーが排斥されているようだ。 '90年代後半頃に消えたソレノイドコイルノッカーはともかく、バットマン66でも鳴っていた音源再現によるノッカーすら鳴らないのは、やはり寂しい。 「ロボコップ」「ファントムオブジオペラ」等データイースト台で一時的にノッカーが廃止されていたことをふと思い出した。 美術を担当したのはアクの強い独特の作風によりピンボール業界で頭角を現し始めているダーティー・ドニーこと、ドニー・ギリース。 発音はギリーズだと思っていたが、本人出演動画を確認したらギリースであった。 未だ'80年代・'90年代来の古株ばかりで次世代がなかなか顕彰されないピンボール業界の中では新参として異彩を放っており、誠に頼もしい。 とは言え彼も若造ではなく、1974年生まれとのこと。 この台はスターン社の初採用LCD搭載機種として上がった企画であったが、デコセガスターン30周年記念として急浮上した「バットマン66」の制作が決まってプロジェクトが一旦遷延。 スピード仕上げだったバットマン66よりエアロスミスLCDのアニメーション演出がより丁寧に仕上げられているのは、制作期間が長引いたそんな事情があったのだ。 (2017/7/26) |
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