Sega Pinball/1996007ゴールデンアイ | ||
原題 | 007 GoldenEye | |
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製作年度 | 1996年 | |
ブランド名 | セガ・ピンボール | |
メーカー | セガ・ピンボール・インコーポレイテッド | |
スタッフ | デザイン:ウォード・ペンバートン/美術:ポール・ファリス/音楽:ブライアン・シュミット/ソフトウェア:ジョン・カーペンター、ニール・ファルコナー、オリン・デイ/メカニクス:ロブ・ハータード | |
標準リプレイ点数 | ― | |
備考 | ※ようつべに動画あるよ!⇒GO! |
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●このマシンが発表された1996年。 この時期のピンボール市場は重篤なスランプ期に陥っており、特に前年、あれだけ国内で気を吐いていたデータイーストピンボール社(現スターン)はU.S.A.セガ社への売却を決断。 セガピンボール社と社名変更したものの、発表され続けるマシンのゲーム性の低さと稼働状態の悪さは、死屍累々たる惨憺さでした。 殊に、初期故障どころか初めからフリッパーなどの重要箇所が正常稼働しない「バットマン・フォーエヴァー('95)」や「メアリーシェリーズ・フランケンシュタイン('95)」のような、オペレーターやプレイヤーの信頼を大きく損なう粗悪品を次々と生産・過剰在庫させ、立場の弱い業者を圧迫してゆく醜態は、酸鼻甚だしい有様でした。 他社大手ウィリアムスもウィリアムスで、ゲーム性が低いのに異様な複雑さと難解さを呈すデザインを、大して観客が入っていない映画ライセンスを購入して発売するという、デコ/セガP社を笑えぬ見苦しい迷走を繰り返す体たらく。 '92年に勃興した2万台セールス記録のアダムスファミリーバブルで騎虎の勢いに乗ったメーカーたちでしたが、今や目の前の崖が見えているというのに、もう誰も止まり方が分からなくなっているようでした。 今作「007ゴールデンアイ」も、正直申して迷走期の落とし子とも言える、何ひとつ振り返る価値の無い凄惨な仕上がりだった一機種。 しかし“007シリーズのピンボール化”というセレブリティー性の強さからの注目もあり、今になってピックアップされることもしばしば。 少しだけピンボールの歴史的見地からの解説を掻い撫でておくことにしましょう。 【サテライトマルチボール/5ボールマルチ】マグネット仕掛けの真っ白なお椀型サテライトへ、せり上がりジャンプ台からボールをジャンプシュート!磁石キャッチ成功で5ボールのサテライトマルチボールがスタート。 このせり上がりジャンプ台を稼働させるには、サトライトマルチレディ点滅時に左ランプ/左リターンレーンを通す。 サテライトマルチレディ状態にするには中央ランプでボールロックを2回完了すること。ロックリットはセンタースポットターゲット。尚このボールロックはマーズやメディーヴァルのように実際にはボールを留めないでロック扱いとする、“擬制ボールロック”である。 サテライトマルチ開始が難しい場合、2ボールロック完了後に点滅右ランプで[戦車マルチボール/3ボールマルチ]を容易く開始させるもよし。但しジャックポットの額は低減。 【ジャックポット】サテライトマルチ中は一千万点以上のジャックポットのチャンス。左ランプ、中央ランプ、中央ホール、右ランプで獲得。 【サテライトジャックポット】サテライトマルチ中に4か所JP獲得後、再び左リターン稼働ジャンプ台からお椀型サテライトへ砲撃、磁力キャッチされたままだったボールを打ち落とすと、サテライトJP獲得。 【スーパージャックポット】サテライトマルチ中に4か所JPを獲得すると、アローライトが4か所をタイマーチェンジ巡回。これをしとめてスーパーJP獲得。 【エンカウンターズ/ミニゲーム】中央ホールでスタートする時間制ミニゲーム。 カウントダウンボーナスやハリーアップEx.、2ボールマルチなど、全5種。 【シュートアウト】「リーサルウェポン3」「スターウォーズ」でお馴染みとなった、ボールの状況否応なしに容赦なく始まるリアルタイムガンシューティングフィーチャー。 左下4バンクターゲットの完成で突然開始。ディスプレイに現れる3人の敵を時間内にシューターガンで銃撃。6回トリガーを引いて殲滅へ。コンプリートで四千万。 【Qのペン型手榴弾】右下2バンクターゲットが時間制でワンヒット二千万点と化す。 3回ダイレクトヒットで即開始。バンク完成ではなく、どちらか3回当てればよい。 時間内3回当て終えればコンプリート終了。 【ランプレーン五千万点カウントダウン/GOLDENEYEレター】3本のランプレーンにかかる五千万点カウントダウンボーナス。 各ランプレーンシュートで進捗するG-O-L-D-E-N-E-Y-Eレターを完成させると、3本全てに五千万点からのカウントダウンボーナスがかかる。3か所全て獲得すると、それら総計点+基礎店一千万店を加えたビッグポイントが更にサテライトマグネットにかかる。 【ウィザードモード/ゴールデンアイボールズ】全スイッチファストスコアリング、ランプレーン二千万点取り放題の最終ビッグゲーム5ボールマルチ。50スイッチで追加ボール有り。 5種のミニゲーム完遂とシュートアウト勝利、Qコンプリート終了、GOLDENEYEレター完成、トップレーン完成を遂げると中央ホールにかかる。 【ボールセーヴ/マグナバック】特殊なボールセーヴ。センタードレインしたはずのボールを磁石仕掛けで強引にフィールドへ弾き戻し、プレイヤーをあっと驚かせる演出。 稼働時は各ボールスタート時や中央ターゲットヒット直後など。 実は映画「007」シリーズをライセンス購入したピンボールマシンは、過去にゼロではないものの、ゴットリーブ'80年製「ジェーズ・ボンド」1作きり。意外や映画の知名の割に例が乏しい題材でした。 そんなこともあり、昨今の新規プレイヤーや映画ファンからすれば、本機種に出くわした日にはそれなりの感動があるようです。 確かに映画ゴールデンアイの方は5代目ボンドのピアース・ブロスナン初就任の傑作で、凍結しかけていた同シリーズが息を吹き返す契機となった1本です。 今ではX-MENの印象が強いファムケ・ヤンセンや、ロードオブザリングでも印象を残したショーン・ビーンと言った通好みのキャストも脇を固めていて、それぞれバックグラスやプレイフィールド、ドットマトリクスにしっかり登場しています。 しかし「プレイボーイ('78)」や「パラゴン('79)」等々美術担当ポール・ファリスの重厚且つ圧倒的な技量を思い知るピンボール通からすれば、彼としては随分荒っぽいアートワークの出来からして、予算と製作期間の逼迫が薄々見え隠れ。 ゲームの中身を鑑みても、低迷期の当時としては奇跡的なヒット作だったWMS製「シアター・オブ・マジック('95)」のコピーキャットも甚だしい仕上がり。 マグネットの多用、空中激突のボールアクション、ふわりとくびれるワイヤーランプデザインなどなど……。 他社ヒットのおこぼれにありつくべくシアターを模倣するにあたり、映画の作風に無理やり寄せてこじつけたゲーム性には鼻白むばかり。その割に完成度が低いものだから余計目に余る始末。 特に、「ターミネーター2('91)」「リーサルウェポン3('92)」以来すっかり手垢のついたガン型オートシューターの出涸らしな使い方など、凡庸過ぎてプレイヤー達を辟易させていました。 同社は結局、アダムスをそっくり剽窃して「ジュラシック・パーク('93)」を作った時の3年前の轍を、そのまま踏んでしまいました。 また、先述のとおりこの時期のセガピンボール(現スターン)の台は状態も非常に良くなかった訳ですが、今回のゴールデンアイも数々の稼働不良により、プレイヤーを大いに扼腕させることに。 何と言っても困惑したのが、最たる特徴であるせり上がりジャンプ台とパラボラアンテナマグネットの初期故障。正常稼働しているロケーションの方がむしろ稀なくらい。 さらに左右フリッパーの打力の弱さも難題で、「バットマンフォーエヴァー」ほど深刻でないにしろ、大きく湾曲する右ランプレーンの勾配と摩擦に圧され気味のへたれフリッパーに、余計な疲弊を負わされた記憶は今も忘れがたいです。 当時地元の同機種設置店舗だった《岐阜GIGO》での思い出なのですが、ピンボール専門知識がなくとも筆者の訴えを聞き入れて頑張ってくれるメカニックさんがいらして、セガ店舗にしては珍しく色々奮闘しては下さったんです。 しかしまぁ、パラボラマグネットは入荷して新品なのに初めから稼働してないわ、当初ピクリとも動かぬジャンプ台もどうにか動くよう整備してくれたものの三分の二の高さまでしかせり上がらなくて結局ていを成さないわ。 大して良い出来でない台のクセに、双方散々てこずらせてくれる、煩わしい記憶ばかりが思い起こされるモデルでした。 ところで、ゲイリー・スターン率いる同ピンボールプラントは、 日本資本でデータイーストピンボール社創立('86) ⇒ ユニット製造数が初の一万台突破('92) ⇒ 業績悪化でセガへ売却されてセガピンボール社に('94) ⇒ カプコンピンボール社からの合併打診に拒否の結論('96) ⇒ スターン一族出資の買戻しでスターンピンボール社に新装('99) ……と、資本やマネージメントの盛衰と変遷を経て、先に市場から撤退していったウィリアムスやゴットリーブの元スタッフを吸収しながらも、荒れ気味のゲーム性と稼働の信頼性の低さを、徐々に克服の地歩固めへ。 2012年頃から同社の業績は回復傾向が見られ、プレイヤー評価も目だって高まりつつあります。 あとは、日本におけるピンボールブーム再来の時機が待たれるばかり。 |
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