各名門ブランド ピンボール・リスト

Stern Pinball/2018

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(Pro版)

原題Guardians of the Galaxy(Pro)
製作年度2018年
ブランド名スターン・ピンボール
メーカースターン・ピンボール・インコーポレイテッド
スタッフデザイン:ジョン・ボーグ
標準リプレイ点数
備考

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【1st.インプレッション&雑感】

 正直ピンボールジャンルとしてはとうに食傷しているマーベル系・アメコミ系映画のライセンス作だが、思ってたよりずっと分かり易く、取っ付き易く、楽しい台となっていた。

 ボールフロー、ボールアクション、数々のガジェットによるプレイフィールドの打ち心地はスリリング且つ快適でスムース。
 ボールロックやマルチリリースを担うグルートの口の開閉、目の覚めるようなロケットキッカー1枚ドロップでキャプティヴするオーブロック等々のボールアクションも楽しませるが、あれ程込み入って幅が細いのに打ち心地がすいすいと快適な左右ランプレーンの流麗な作りには感心。

 登場キャラクターを選んでミニゲームイベントに臨むにあたって、課役も瞬時且つ適切に啓蒙してくれる。クリアは難しくとも、理不尽なモノや鬱陶しい手順のモノがひとつもない。取り進めるのが楽しい。
 ヴィジット、アドヴァンス、レベル1クリア、レベル2でコンプ……とややこしいコレクトの段階もピシッ整理の上でと知らせてくれていて、理解に容易い。

 グルート、オーブ、クイルズクエストの3種あるマルチボールはどれも個性的でやり応えあり。

 開閉する口にシュートする[グルートマルチボール]もかなり楽しいが、ドロップキャプティヴでロックされたボールをJPヴァリューカウントダウン中に命中させてリリースさせる[オーブマルチボール]にも腕が鳴る。

 ただクイル2ボールマルチと他のマルチを掛け持つことが出来ないのはやや不満。
 この主人公であるクイルについては初心者でも一度だけ無条件で2マルチが出来る……という、ビギナーへのサービスフィーチャーでもあるようだ。

 8つの時間制ミニゲームはタイムアップでクリアを逃すと悔しいが、実はスクープショットとセレクトでどうせすぐリスタート出来るシロモノなので、別に1発合格には拘らなくても良さそう。

 問題はグルートとオーブの2つの定番マルチボール
 ウィザードへの必須項目であるスーパージャックポットを取り損ねると、また一番初めからロックの段階がやりなおし。しかもマルチ開始への難易度がその都度せり上がる。
 苦労してマルチのリベンジにこじつけたのに、あっけなく終わった日にゃあ歯ぎしり千万もの。上級者にとってそこが鬼門且つ攻略のカギと言えそう。

 ウィザードが3つもあり、特にガーディアンメンバー4人コレクトで得られる[チェリーボム・マルチボール]が強いインパクトを残す。
 時間制アンリミテッド6ボールマルチで全ポイントのショットが課せられるのだが、メチャ打ちである程度クリア出来たら後はわざと落として残りのショットを的確に攻めて、最後の1発をしとめてドカンと入るスーパージャックポットが実に痛快。

 またファイナルウィザードの6マルチである[セーヴザンダー]の得点比率が高く、スマートミサイルとアドアボールが次々供給される景気の良さもあり、誠に疲れるもののプレイヤーのショットの充足感を高めている。
 ただザンダー星を救って厖大なスコアが入っても改まった演出が何もなく、マルチボールのまま突然ウィザードが終わって2周目しれっとに入るのは、あまりにも肩透かしだった。


 ゲーム性は「アバター('10)」「トランスフォーマー('11)」の血を引く肌合いが散見されるものの、丁寧且つ整えられフィールドデザインが良く出来ており、全体的に難易度も低く分かり易いので、ピンボールとしては快適な印象。

 プレイフィールドデザイナーはジョン・ボーグだが、同氏による「キッス('15)」「エアロスミス('17)」が骨太というより理不尽だったので、そこに反省点を置いてプレイし易さに心を砕いたのかも知れない。

 映画本編では物語に奏功していた重要なナンバーである、ジャクソン5「帰って欲しいの」ブルー・スウェード「ウガ・チャカ」及びザ・ランナウェイズ「チェリー・ボム」が本機種スターンピンボール版でもご機嫌なビートを奏でている。
 実は発売前のサンプル版では後者2曲は登用されておらず、プレイヤーの間でサウンド面の物足りなさが指摘されていた。
 発売版でようやくウガチャカとチェリーボムは使用許諾の獲得に至り、ガーディアンズピンボールの音楽面でのインパクトを倍増させることとなった。

(2018/9/20)




(年月日)