Stern Pinball/2018アイアン・メイデン(Pro版) | ||
原題 | Iron Maiden (Pro) | |
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製作年度 | 2018年 | |
ブランド名 | スターン・ピンボール | |
メーカー | スターン・ピンボール・インコーポレイテッド | |
スタッフ | デザイン:キース・エルウィン/美術:ジェレミー・パッカー(ゾンビイエテイ)/音楽:ジェリー・トンプソン | |
標準リプレイ点数 | ― | |
備考 | ― |
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【1st.インプレッション&雑感】 ローリングストーンズ、キッス、そしてアイアン・メイデン! 現スターンピンボールインクが1982年製の旧スターン以来36年ぶりにアイアンメイデンをピンボール化。彼らの荒ぶるようなハードロックナンバーの収録も盛りだくさん。 ※その後の調べで、旧スターン'82年製「アイアン・メイデン」に同名洋楽アーティストからのライセンス取得は無いことが分かりました。お詫びと共に訂正致します。(2019/1/29) それはいいのだけど、Pro版をプレイしてみたところ、ちょっとコレはどうだろう?というのが正直な感想。5段階評価で言うと2点ぐらい。 ミニゲームスタートを担う、最も重要なポイントとなるはずの上部センターのジャンプ台及びそこから狙うバックパネルのファラオへのショットが、ちっとも気持ち良くないのだ。 あの思わせぶりなファラオにはジョンポパデュークの台の如くマジカルな仕掛けを期待してたというのに。 似たジャンプ台なら、上段フィールドへのボールコースがあった「ノーグッドゴーファーズ('97)」や、スウィンギングするバスケットのゴールを狙う「シャックアタック('95)」での既視感はあるが、それを踏まえずプレイしても、バックパネルに激突させるボールアクションが凡庸。ここ一番にズドンと決める主要ショットにしては物足りない。 「ジャンクヤード('96)」の衝突球や「チャンピオンパブ('98)」の敵ボクサー、「シアターオブマジック('95)」のマグネットトランクのような爽快感ショットを醸して欲しかったのだ。 もうひとつ不穏当なのが、一方通行の閉塞感があるバンパー地帯の開通性の無さ。 スピナーレーンや左ランプへのシュートラインなど込み入った逼塞感も問題だが、現代ピンボールのセオリーからすれば反対側からのループコースやランプレーンの出口等でもう1本バンパー地帯へのボールフローが必要。 この圧迫感のある左下一帯の構成は、フィールドデザインとしてあまり良い選択とは言えない。 左ランプ登坂の高架下一帯がデッドスペースになっていることも指弾すべき。ここにもレーンを開通させて何かスカッとするものが作れたはず。 ただ、動画で確認したところリミテット版ではパワーターゲット箇所に衝突球を誂えており、多少はボールヒットの手応えが演出されているもよう。 またリミテッド及びプレミアム版にはリフトスロープ開閉やサルコファガスの実働ボールロックもあるので、Pro版における擬制ボールロックによる臨場性の無さに関しては酌量の余地はありそう。 比較的面白いのはキャプティヴショットがストレス無く狙えて小回りの利く[マミーマルチボール]だが、メインの[トルーパーマルチボール]の、至極及第的なルール運びにはもう一工夫欲しかったところ。 最も惜しいのが[ループジャックポット]。サイドフリッパーでサイドループへの連続叩き返しショットをバシバシ決めるという、かの「ノーフィアー('95)」のような中指と薬指の爪が割れる程の熱いフィーチャー! ……かと思ったら、数ショット連続が決まったらポストの稼働で球をペッと叩き落として突如水を差し、もう一度上げ直さねばならない煩雑さには首を傾げる。 連続ショットが規定数決まるとスロープが降りたりマグネットキャプチャーが効いてアウォード!……ていうのなら分かるのだが。 致命的だったのが、ボールスタックの頻出。 たまにドロップターゲット側面に乗っかる事象はボールサーチで片付くからいいとして。 問題は左サイドループ途中で勾配の緩い箇所にあるポスト装置の僅かな段差。 ここでのボールスタックが、時に1ゲーム中1度や2度ではない。これは困った。 このボールスタックによりゲームが止まって一般人が困惑している姿なんて傍で見ていられない。 これはファクトリーでの検品が甘い以前に、設計段階に難のある問題では。これではある意味粗悪品である。 指数の進捗アイコンがディスプレイで常時表示されていて一見楽しそうだが他のフィーチャーとのジョイント感もアウォードの手応えもあまりないパワーフィーチャーや、E-D-D-I-Eのレタースポット完成の手順に面白味が欠けるバトルモード、常道時に通しても楽しくなくて魅力に欠ける左右ランプレーンや右オービットレーン、ウィットに乏しいLCDアニメーション及びグラフィック嗜好……等々、他にも疑問の余地は随所に残る。 せっかくシングルボールウィザードが渋いはずの[2ミニッツミッドナイト]にも、もう一捻り欲しい。 ただ、[エイセズハイ],[ハロウドバイネーム]などバトルモードミニゲームのいくつかはなかなか打ち応えがあったり、パワーターゲットショットに気を配らないとスコアに差が出るプレウィザード[パワーマルチボール]など、見どころは僅かながら散見。 勿論'90年代半ばのピンボール業界迷走期の目を覆うような諸作よりは遥かに完成度は上なので、決して唾棄するような駄作ではない。 デザイナーのキース・エルウィンは新進気鋭のニューフェイスとのことだが、今やスターン社デザイン部門VPのジョージ・ゴメスだって、WMSの新人時代にはいくつかの習作や及第点製品を経て「モンスターバッシュ('98)」なる歴史的傑作を放っているので、エルウィンも永い目で見れば今後プレイヤーも業界も舌を巻くような金字塔を打ち立ててくれるかも知れない。そこは大いに期待したい。 Kエルウィンは2015年に自前で制作したピンボール「アーチャー」を2016年のアーケードエキスポに出品。 それを見初めたスターン社のジョージ・ゴメスから声が掛かり、今作の縁に繋がった。 当初スターンは彼を「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー('18)」のデザイナーに抜擢する予定だったが、エルウィン側の都合がつかず、ガーディアンズは代わりにジョン・ボーグが手掛けることに。 さらにそのスターンの次作「アイアン・メイデン」に関しても、同アーティストへの見識が暗いこともあってエルウィンは当初難色を示したが、美術はゾンビイエテイことジェレミー・パッカーが起用されることを知ると、万難排してそのオファーを受ける決心をした。 フィールド及びゲームデザインを手掛けるにあたり、エルウィンは決して好きな作品の模倣に陥らないようオリジナリティを重視。 他のデザイナーや他の台と似通っていると思われないような作りを旨とするプレイフィールドのカッティングに心を砕いた。 中でもサイドフリッパー及びショートフリッパー、サイドループ及びミニループの仕上がりは自信作。 この構成のインスパイア元は、かのWMSバリー1993年製の世紀の怪作「ジャッジドレッド」で、ゴージャスになるはずが駄作へと堕したあの台を、作りによっては遊べるレベルに仕上げられることを証明したかったのだそうだ。 エルウィンが人生でも最も嬉しかった瞬間は、ピンボール界の老境レジェンドスティーヴ・リッチーが自作台「アーチャー」をプレイしてくれた時。 “悪くねぇな”と、いかにもスティーヴらしいガラッパチな称賛の言葉を貰えた時は、最高に感激したという。 (2018/12/19) |
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