Stern Pinball/2018ザ・マンスターズ(Pro版) | ||
原題 | The Munsters(Pro) | |
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製作年度 | 2018年 | |
ブランド名 | スターン・ピンボール | |
メーカー | スターン・ピンボール・インコーポレイテッド | |
スタッフ | デザイン:ジョン・ボーグ/美術:クリストファー・フランチ/ソフトウェア:ドワイト・サリヴァン/音楽:ジェリー・トンプソン | |
標準リプレイ点数 | ― | |
備考 | ― |
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【1st.インプレッション&雑感】 「ザ・マンスターズ」は'64〜'66年にかけて製作された怪奇映画テイストの米シットコムTVシリーズ。 フランケンシュタインの父、吸血鬼の母と祖父、人狼の息子、なぜか階段に棲みつく怪獣、その他おしゃべりなカラスや黒猫……といったモンスター一家が毎週家庭内・家庭外で奇天烈な騒動を巻き起こす。 ホラー映画はかつて、エクソシストやオーメンが流行っていた'70年代前後の時節には“恐怖映画”と呼ばれ、更にもっと遡ってユニバーサルモンスター映画が流行っていた時代では“怪奇映画”と呼ばれていた。 そんな怪物キャラクター達をお茶の間のファミリー層にも浸透させたのが「ザ・マンスターズ」である。 日本でも『マンスターズ』のタイトルでテレビ放映され、かの『アダムスのお化け一家』ことアダムスファミリーと比肩する程の人気を博していた。 '90年代以降に映画とTVでの豪華なリメイクに恵まれ、'92年にはWMSによりピンボール化にまで至ったアダムスファミリーとは異なり、現在において、殊に日本におけるマンスターズの知名度は乏しく、殆ど忘れられた存在になってしまっている。 しかし同TVシリーズをかねてから親愛していたジョン・ボーグが、念願だったマンスターズピンボール企画を実現。 2018年末に発売され、例によってPro版,プレミアム版,リミテット版の3バージョンのリリースとなった。 リミテッド版は500ユニットの限定製造のはずだったが、あっという間に完売した為、急遽100台のリプロダクションを追加。 プレミアム版に至っては後日スターンは“カラー放映”バージョンを追加。 海外におけるマンスターズ人気は今も上々のようだ。 日本ではお馴染み心斎橋ビッグステップ内《SilverBallPlanet》にて、2019年4月にPro版が入荷。「アタックフロムマーズ」や「クリーチャーフロムザブラックラグーン」「モンスターバッシュ」といったお仲間達(?)と轡を並べ、ピンボーラー達を日々燃焼させてくれている。 プレイフィールドのデザインを鑑みると、スカッと開通する左右ループ、テンポ良くフリッパーレーンにリターンする利便性のある左右ランプレーン、マグネットキャプチャーの演出、トップレーンリエントリーとしても活躍するキックアウトポケット、そして左ランプレーン登坂途中の盤面下から恐竜の頭が飛び出すギミックも有り。 尚プレミアム版、リミテッド版にあった地下フィールド“グランパの実験室”がPro版では割愛され、関連するマルチボールもひとつ削られてしまっているが、窓のつなぎ目による僅かな段差発生や、フィールドの狭苦しさを敬遠する地下フィールド嫌いも多いので、コレはコレで潔い。 ゲームの基軸は、ウィザードである[マンスターマッドネス]を目指したファミリーメンバーのコレクト。 [ハーマン]パパはマグネットキャプチャーマルチボール。 [リリー]ママは中部右端ターゲットL-I-L-Y完成後の30秒間フレンジー。 実験好き[グランパ]お爺ちゃんは左右ランプレーン入口両脇スタンダップ完成後に掛かるメジャーショットでのジャックポットタイム。 怪獣[スポット]君はS-P-O-Tレター完成後、左ランプ上に盤面下から現れるスポット君へのヒットボーナス。 おしゃべりカラス君[レーヴェン]はファミリー3人コレクト後に左ランプ3回シュートで開始のマルチボール。 他、ウィザード必須項目ではないが、人狼少年[エディー]君と可憐な[マリリン]嬢のリターン対角レーンのコンボショットボーナスもあるぞ。 ウィザードである[マンスターマッドネス]マルチボール突入後は各メンバーのポイントへローテーションで超高額ジャックポットが次々に掛かり続ける。マンスターズ家が新聞でドドーン!と輝かしく顕彰されるオープニングのデモが誇らしい。 ゲームはこれで終わりではなく、2巡目として再び家族をコレクトしてゆくLevel.2が用意されているのも腕が鳴る。 家族全員が世間に栄誉を称えられるレベル2マッドネスのウィザードマルチは最高に盛り上がるので、ピンボーラーなら是非辿り着いて欲しい。 そして忘れてはならないのが黒猫[キティー]。 上部中央に埋もれ、地味で目立たない1枚スタンダップターゲットだが、メンバーコレクト後の点滅リーチ時へのショット成功で30秒間プレフィールド倍率アップ!という大役を担っている。その段階は2X⇒3X⇒6X! あぁマルチボールが始まる……よっしゃ猫たん頼んだぞ!とシュートしたボールがダイレクト決まって、キティーが"Gwoooooo!!"と咆哮、フィールド倍率が伸し上がった時は最高に嬉しい。消灯時にヒットしても倍率タイムの時間延長という有り難い利点も。黒猫様万歳! 当サイトの評価としては、五段階評価で4点を付けてあげていい。 「ガーディアンズオブギャラクシー」や「アイアンメイデン」よりフィーチャーのあたま数と複雑さを大分軽減しながらも、各々キャラクターの役割と存在感、フィーチャーの奥行き、関連性、そしてウィザードへと収斂させる整合がきれいに剪定されており、実に分かり易い。 手強いスポット君と難し目のグランパ実験タイムで1ボールずつ犠牲になるかも知れないが、あとに残るは、比較的易しいハーマンパパマルチと、それに伴い自然発生し易いリリーママタイム、そしておしゃべりカラス君マルチだけ。 この3つさえこなせばマッドネスのリーチなので、もしかしたら初級者も頑張ればレベル1ウィザードに辿りつける望みがある。 実はかなり考えられたフィーチャー采配なのだ。 誇り高きファミリー一人一人が次々と高額ジャックポットを担うマッドネスウィザードは勿論、ズドーン!ズジャーン!ズジャジャジャーン!テッテレー!!と大仰にカウントされる積立式スーパージャックポットもゾクゾクさせられるほど面白い。 これは中部左端キックアウトポケットに掛かるのだが、フィールド倍率が低い時に入ってしまってデモが始まっても、モールディングバー上のザップボタンでキャンセル可。倍率無しで数十万ちょびっとのJPなんていらないもんね。貯めよう貯めよう。 そして傑出はおしゃべりカラス君[レーヴェンマルチボール]! 黒猫2X,3X⇒白ジャックポット⇒リスタート復活⇒ザップジャックポットフル充電⇒リリーママ覚醒⇒青ジャックポット制覇⇒黒猫倍率MAX⇒スーパージャックポット炸裂⇒アドアボール発生⇒MAX赤ジャックポット全灯!……と次々と爆発的に連鎖してゆくこの激越感は、まぁスゴイの一言。 初心者がマルチボールなどで楽しむことはとても簡単なのに、ハイエスト目指して稼ぐとなると非常に難しい。フィーチャーのあたま数と配分も、ゲーム性の奥行も、難易度も落ち易さも、全て非常にバランスがイイ。このゲームデザインはお見事である。 モンスター集団と言うテーマ性とピンボールのゲーム性の相性の素晴らしさは、今更言わずもがな。 LCDのデモで描かれるマンスターファミリー達は、それぞれとてもチャーミングだ。未見のはずのTV本編への愛着が募る。 このところ業績絶好調なスターンピンボールの2019年上半期を飾る秀作となりそうである。 この「ザ・マンスターズ」ピンボール。発表時にラスヴェガスで開催されたゲームショーの初日では、スターンの一団はマンスターズキャラクターのコスプレで登場。 プレジデントのゲイリー・スターンは実験好き吸血鬼お爺ちゃんグランパ役、マーケティング担当ザック・シャープは人狼少年がいつも抱きかかえている狼男人形のウルフィー役、そして広報担当ジャック・デンジャーはフランケンのハーマンパパに扮したそうな。ゲイリーが一番似合ってそう。 また同時期のテキサスピンボールフェスティヴァル2019では、マンスターズメインキャストの御仁の中で今もご健勝なブッチ・パトリックとパット・プリーストがゲストとして招かれている。 人狼少年メイクとコスチュームに才気煥発な演技がとびきりに可愛かったエディー役のBパトリックは、一時期アルコールとドラッグに溺れ、過去には運転手への暴行による逮捕歴も。 しかしそんな荒れた時期を乗り越え、今では立ち直って前立腺癌も克服。結婚も果たし、幸せな日々を取り戻しているとのこと。 2代目マリリンに扮したPプリーストはマンスターズのTVシリーズ完結後は女優として役に恵まれず、1980年に俳優業を引退。 しかし結婚と子供に恵まれ、その後患った悪性リンパ腫の療養期間を経て、現在もマンスターズのイベントにはスペシャルゲストとして毎回笑顔を見せに来てくれているそうだ。 (2019/9/28) |
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