各名門ブランド ピンボール・リスト

GOTTLIEB/1991

カクタス・ジャックス

原題CACTUS JACK'S
製作年度1991年
ブランド名ゴットリーブ
メーカープリミア・テクノロジー/ゴットリーブ
スタッフデザイン:ジョン・ノリス、リーンハルド・バンゲルター/美術:デヴィッド・ムーア、コンスタンチーノ・ミッチェル/音楽:デイヴ・ザブリスキー/ソフトウェア:アレン・エドウォール
標準リプレイ点数不明
備考製造台数1,900台/ようつべに動画あるよ!⇒GO!
▲ジャックポットのかかる左ランプレーン。すぐ右隣にはロックホールもある ▲普段はインパクトの弱いプリミアのアートだけど、この細かく描きこんだバックグラスの絵は非常に面白い!構図も迫力。
▲ずらっと並んだお野菜ドロップターゲット。もう記憶が遠いけど、確かコレの完成でバンジョーのライトが点いていって全完成でSPだったっけ? ▲このトップレーンの更に奥に佇む3体のサボテンたちがカクタスジャックスだ!しゃべるわ踊るわでノリノリ!
▲ピンボールアート伝統のグラマー美女もちゃんといますよ ▲フィールド下部。両フリッパー間から小憎らしく顔を出すカウボーイハット&サングラスのサボテン君がいやらしい。擬人化した各野菜キャラも相当いいね

― COMMENTS ―
●個人的ひいきにしろマニア評価にしろ、プリミア時代のゴットリーブ台の中で1機種選んで推すならコレ!と、あらゆるプレイヤーの間で評価が一致しているのが本作「カクタス・ジャックス」です。
 私は当時このピンボールをやりこむ好機に恵まれず、結局発売から3年ほど経ってから旅先で1時間ぐらいしかプレイできませんでしたが、低迷の続くプリミア製とは思えぬ完成度の高さにとても驚きました。この台のすっとんきょうな楽しさは、同時期のヘタなWMS台よりずっと勝る快作へと至らしめています。

 このマシンのテーマはカントリーバンドのトリオを結成したサボテンくん3人組“カクタスジャックス”による、タヴァーンでのライブ演奏。
 熱狂した観客がタマゴにバナナにカボチャにトマトを投げ合うという、狂乱のバックグラスアートワークからして既に傑作の前兆が漂います。

 プレイフィールドで何と言っても目を引くのが、奥のつきあたりにグラサン装着の上楽器を携えて佇むサボテン君の人形3体。当時流行っていたフラワーロックの如く、こいつらがマルチボールやミステリーボーナスなど、要所要所で音楽やヴォイスと共にクイクイ踊っちゃうという、ファニーでグルーヴィーな仕掛け!
 マルチボールも非常に平易で、前もった条件無くただ1回ロックホールに入れるだけでOK。しかもプランジ時のスキルショットでいきなりロックできるレーン構成なので、1ボール目スタート時からいきなりマルチが始まるなんてことも。
 腕次第でしとめれるジャックポットもちゃんとあって、左ランプレーンへの6回連続シュートで獲得。もちろんワイヤーランプレーンの出口からフリッパーリターンするボールフローなので、ゲーム進行もスムース且つハイテンポに進みます。

 カントリーミュージック調BGMは勿論、ぶん投げられた野菜が潰れるサウンドや西部劇風に銃声が飛び交うサウンドが実にご機嫌。
 ミステリーボーナスの際にはフィールドがスッと暗くなって、サボテン君だけに照明があたり、どろろ〜〜ん♪ぶちゃ!バッキューン!テケテケ〜〜がっしょん!と歯切れ良いSEと共にデジタルディスプレイアニメ表現で場面転換を処理。これがノリノリで楽しいの何の。

 実はプリミアはこれまで1年半もの間、ランプレーンやトイギミックを排斥した“ストリートレベルシリーズ”なる旗印を標榜。
 メンテ負担も少なく値段も安価な平面フィールド台をコンスタントに発表、しかもスポーツやカジノなどの定番テーマにネタを搾って路線開拓に挑んだものの業績は振るわず。
 指針を見直して従来と同じ路線に戻った第1作目が「カクタスジャックス」だったのです。
 ランプ&ギミック禁止令なる頚木からようやく逃れたスタッフたちは、巷でのダンシングフラワーなるおもちゃの流行インスパイアやランプレーンスキルロックなど、今までやりたくても実現出来なかったアイデアを嬉々として導入。
 ボールアクションも演出も自由闊達、且つ非常に生き生きとしたピンボールの傑作を輩出。日本でも1年ぶりにゴットリーブ台が正式発売されることとなりました。
 デザイナーのジョン・ノリスもこのマシンを気に入ってるのか、その後「キュー・ボール・ウィザード('92)」でもこのサボテンくんをチョイ役カメオ出演で再登場させています。

▲フィールド全景。ジョンノリスってきっとこういう雰囲気のアメリカ南部田舎町の生まれに違いない ▲バックグラスアートが素晴らしいので左下アップをもう1枚 ▲バンパー地帯。その間を縫ってトップレーンを射抜くショットでビッグポイントをしとめるフィーチャーも有り

(2011年1月13日)