各名門ブランド ピンボール・リスト

GOTTLIEB/1986

レーヴェン

原題Raven
製作年度1986年
ブランド名ゴットリーブ
メーカープリミア・テクノロジー
スタッフデザイン:ジョン・トルデオー/美術:ラリー・デイ
標準リプレイ点数不明(確かファーストリプレイは100万点だったかな)
備考製造台数:3,550台/実写バックグラス初搭載/ようつべに動画あるよ!⇒GO!
▲元祖実写バックグラス!しかもトランスライト!軽くてスタイリッシュで壊れにくいフィルム状プラスティック製パネルはプリミアのオリジナル。ただご覧のとおり日に焼けて退色し易いのが欠点だった ▲プレイフィールド上部。ランプレーンの下り中央で左右に枝分かれしてあるが、実は全然意味がない
▲ランプレーン上部のアップ。 ▲ランプレーン右出口。ロールオーバーに落としてくれるが、ボールロック機能などはない
▲プレイフィールド下部。写真だと見えにくいが、実は球威のあるボールが理不尽な飛び越え方をしないよう透明プラスチックのボールガードが設けてある ▲ミニチュアのヘリコプター。プロペラがスピナーと連動しているが、演出としては大して面白くない

― COMMENTS ―
コレつまんなかったですわ。当時日本国内の店舗でハイスピードやピンボットと轡を並べるようにたくさんみかけたんですが、目立つ外観とは裏腹に、やってみるとテンで盛り上がらないんですよ。

 中央左右並列スポットターゲット完成で、フィールド内に3箇所点在する1枚ドロップ“SNIPER”ターゲットのどれかが突如せり上がるので、ソレを急いでしとめて敵兵撃破(もたもたしてると引っ込んでしまう)。
 この工程を繰り返して2人(3箇所のどれでもOK)やっつければエキストラボールのチャンスで、また3人全員(3箇所コンプリート)でスペシャルリット。そしてちょこちょこ逃げ回るターゲットライトチェンジを狙い撃ちしてEx.やSp.をゲット!
 ……とまぁゲームの重心はそんな感じなのですが、プレイフィールドにもゲーム性にも達成感と緊張感が欠けており、敵兵をやっつけても“だから何?”といったニュアンスしか湧かず、興奮できません。
 この時代の急進トレンドであるランプレーンという大仕掛けを蚊帳の外にしたゲーム編成に問題有り。
 またミリオンもマルチボールもジャックポットもなく、シングルボールで低い位置にあるドロップやターゲットを打つ地味なルーチン作業は、当時のウィリアムスのゲームと比べて退屈さは否めませんでした。

 ですがこのマシン、ゴットリーブのプラントを買い取って以来苦戦気味だったプリミア社が、やっとヒット作といえる規模のセールスを出せた、記念碑的作品でした。
 その要因たるや、洗練された実写トランスライトの初採用に他なりません。美貌のボーイッシュモデルに迷彩戦闘服を着せて銃を持たせ、キリリと引き締まった表情を決めたスナップは、ベトナム戦争という殺伐としたテーマ性にもかかわらず、ファッション的に大変クール。
 暑苦しいアメコミ絵バックグラスアートが主流のバリーやウィリアムスなど他社ピンボールの中でも文字通りフォトジェニックなインパクトを十二分に発揮。
 この小洒落た「レーヴェン」のパネルのショットは、野暮ったい当時の日本のゲーセン店内では殊更際立って人目を引いていました。
 加えるに、パネルが前作の「ロック」で既に新たな試みとして取り入れられていたトランスライト製だったことも斬新さを引き立てました。
 重た〜いガラス製、しかも割れたら一大事なこれまでのバックグラスと異なり、軽くて丈夫、しかも取り外したらクルクルっとポスターの如くコンパクトに巻けるフィルム状プラスチックパネルは、その後他社の台でも標準化されてゆきます。実はプリミアがトランスライトの元祖だったんですね。

 これまでの製品の2倍以上という同機種の好セールスに気をよくしたプリミアは、ジョン・トルデオー率いるデザインチームに早急で同路線新機種の量産と制作を発令。
 都会的でファッショナブル、豪奢でスタイリッシュな実写モデルアートトランスライトを主軸に「ハリウッドヒート」「ジェネシス」「ゴールドウィングス」「モンテカルロ」「スプリングブレイク」「ダイヤモンドレディ」「バッドガールズ」等々、実写アートシリーズ怒涛のニューマシンを陸続と連発。しかもセレブでゴージャスなテーマばかり。
 それだけでは飽き足らず、「ロック」の実写トランスライトリデンプション版まで発売したりして、大車輪のおおわらわ。
 特に「モンテカルロ('87)」は製造ユニット約4,300台という、ウィリアムスの中堅作にも決して劣らぬ高セールスを記録することとあいなりました。
 トルデオは強行制作スケジュールに間に合わすため、過去に没となった企画のホワイトウッドを使いまわし、収益上昇に湧く同社新製品の納期ラッシュにどうにか間に合わせていたそうです。

 しかし実写アートのカッチョ良さとゲーム性の巧拙はやはり別というもので、やがて飽きられセールスも落ち出したため、同社は「ホットショッツ('89)」を最後に実写アート台の制作を終了。
 また、データイースト社が創立直後の3機種「レーザーウォー」「シークレットサービス」「トルピードアレー」で実写アートを採用していたもののそれきりで、他社でも同社でも実写バックグラスアートピンボールを見かけることは、以後二度とありませんでした。ちょっと淋しいですね。

▲ランプレーンスロープのアップ。 ▲そんでこちらがそのスロープが上がった状態。 ▲プレイフィールド全景。視界を遮るランプレーンがちょっとうっとおしい
▲にょっきり飛び出すスナイパードロップターゲット。フィールド内3か所点在。よく見ると編み笠を被ったベトナム狙撃兵が描かれている ▲フィールド下部のボーナスライト掲示。全部点くと15X。ゴットリーブ独特の表示方法 ▲右奥スピナーレーンにあるスナイパードロップ。
▲左リターン付近アップ。なんかタイトーの旧ロゴがまぶしいのですが ▲トップレーン。レーンチェンジは確か出来たと思う ▲右リターン近辺。
▲ランプレーンを経由で通せるボーナスマルチプライア・ロールオーバーのアップ。 ▲筐体フロント全景。 ▲下部右端のスナイパードロップ。

(2011年月日)