Gottlieb Pinball/1992スーパーマリオブラザーズ | ||
原題 | Super Mario Bros. | |
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製作年度 | 1992年 | |
ブランド名 | ゴットリーブ | |
メーカー | プリミア・テクノロジー | |
スタッフ | デザイン:ジョン・ノリス/美術:デヴィッド・ムーア、コンスタンティーノ・ミッチェル、ジャニーヌ・ミッチェル/ドットアニメ:ランド・ポーリン、ダリル・ムーア/ソフトウェア:アレン・エドウォール、ランド・ポーリン | |
標準リプレイ点数 | 4,500万点 | |
備考 | 製造台数:4,200台 ※ようつべに動画あるよ!⇒GO! |
▲ゴットリーブには珍しいバイレベルプレイフィールド。しかし架下スペースを活用し切れておらず、フィールド打ち心地は暑苦しいものに | ▲バックグラス。スーマリそのまんまですわ |
▲フィールド下部。クリアステージ進捗はエプロン右部分にライト表示されててそれなりに楽しい | ▲トップホール。キックバック再点灯時にアッパーフリッパーで狙う。ここにマルチ中のスーパージャックポットとか課せば面白くなったのに |
●「カクタスジャックス」「サーフィンサファリ」「オペレーションサンダー」等ここ数作の間マニア評価の高い佳作が続いたものの、ハード面では他社に大きく後れを取っていたプリミアテクノロジー。 しかし保守派の彼らもようやくピンボール業界のトレンドであるドットマトリクスディスプレイとオートシューター機能を初採用。その記念すべき1作目は何と「スーパーマリオブラザーズ」! 言わずもがな任天堂のコピライト台で、これにはピンボーラーのみならず当時のゲーマー一同が唖然。 バックグラスやプレイフィールドアートは、お馴染みマリオの原色色彩のカートゥーン作風を遵守。 プレイフィールドデザインもバイレベル構成とカラフルなランプレーンを多用し、スーパーマリオの世界観をなんとか再現しようと奮闘していることが伺えます。 しかしまぁこれが何とも卑近で、魅力とかキレとか、カリスマ感の無い筐体になってしまいました。 スマート性とスピード感の乏しいずんぐりしたフィールド構成、まぬけなファミコンPSGサウンド、処理の遅いドットディスプレイ、緊張感の無いゲームフィーチャー。 当時のプレイヤーたちの間で失笑を買うのには十分な程冴えない風采で、ピンボールというゲーム性の風情も趣きもクソもない、大いに感興を削がされるゲテモノ台の烙印を押されていました(そんなのストUPINと比べれば序の口だったが……)。 しかし他社がブロックバスター映画ライセンス台の一辺倒に迷走していた当時、かような“テレビゲームのピンボール化”なる趣向はよそに無い発想と試みであり、今考えれば決して悪くないアイディアだったと思い返せます。 現に、'90年代に入って最もセールスの良かったプリミアピンボールは「キューボールウィザード」と「ストUPIN」、そしてこのマリオでした。 【スキルショット】各ボールスタート時にヨッシーターゲットにスキルショットボーナスがかかる。オートプランジ時はボールがバイレベル上部に放たれるので、アッパーフリッパーで仕留めれば獲得。 【マルチボール】下部左右キックアウトホールに2ボールまたは3ボールのマルチボールが掛かる。ボールロック不要のオートシューターによるインスタント制。 点け方はプレイフィールドに点在する@〜Cのロールオーバー点滅全て通せばOK。 【ジャックポット】マルチ中はバンパー地帯右奥キャッスルホールで何度でも繰り返し取れるジャックポットボーナスがかかる。再点灯の手間も無く無制限。スコア配分も十分高いので、かなりの稼ぎ所である。 バンパーの隙間を縫ったロングショットで決める趣向が面白い。JPがかかるマルチ中はフラッシュするお城がヌルヌルと回り続ける演出もあり。 【ミニゲーム】6項目の時間制ミニゲームは赤い鍵ライト点滅箇所のキックアウトホールでスタート。 内容はカウントダウンボーナスやミリオンバンパー、ハリアップエキストラなど。 鍵を点ける方法は点在する緑亀ライトへのターゲットヒット。 尚ミニゲームコンプリートでキャッスルハリアップスペシャルのオマケがある。 【クイックショット/ヨッシーランプレーン】右リターンからの対角コンボで左ランプレーン(ヨッシーランプレーン)を通すと得られるコンボショットボーナス。 成功の度100万、200万、300万、500万、最高額1,000万までヴァリュー上昇。リターンとシュートを連続で繰り返せばあっけなくリプレイ点を突破する。 【スーパーマリオ】S-U-P-E-Rのレター完成で発動する時間制“スーパーマリオモード”の間、プレイフィールド倍率が2倍(Ex.やSp.の個数も含む)。他ドロップT型アップポストやキックバックも稼動。 レターの進捗方法は、バイレベル上部の中央ランプレーン通過。但しレター最後の[R]だけは、キックアウトホールでのリーチとなる。 【キャッスルコンプリート/ピーチ姫救出】スーパーマリオモード中、キャッスルホールにシュートが決まるとお城1ステージ撃破となる。これを7回繰り返し全7ステージをクリアればピーチ姫を救出したこととなり、スペシャル獲得。“Maaaario, Oh my Hero!”というピーチ姫とマリオのしょぼいデモもディスプレイで描出。 尚キャッスルステージクリアでスーパーマリオモードは強制終了となる。 【ボールセーヴ】アップポスト的役割として、両フリッパー間にドロップターゲット稼動有り。他、左アウトレーンキックバックの再点灯はバイレベル上段トップホール。 ミステリーで得られる[インヴィジブル]はいわゆる“無敵”で、規定時間はオートファイヤーでボールが無限復活。しかし演出のストロボフラッシュ全開による目の負担が辛かった。 【スロットマシン】下部左右ホールでいつでも何度でも得られるミニボーナス。得られる役の内容は筐体のエプロン左部分に掲示。 あまりに単純すぎて、文句を言う気にもなれない。 【ビデオモード】マリオのテレビゲームをドットディスプレイでやらされるビデオモード。 左右フリッパーによる操作性もグラフィックも非常に拙く、またピンボールとしてのゲーム性も大いに削がれるので、誰も喜ばなかった。 当時は大いに笑いのネタにされた同機種ですが、2000年以降に冷静な頭でプレイしたら、コツコツと完成させゆく役の積み重ねと戦略性が問われる、なかなかの佳作であることに気づきました。 SUPERレター完成とミニゲームスタートを同時発動させるとスーパーマリオ2X状態でミニゲームにも挑め、キャッスルエキストラボールも2倍獲得……というデカい収穫が待っています。またマルチボールもSUPERと同時なら2ボールから3ボールになる施しもあり。 かように地に足をつけてやりこんでみたら、奥行きと味わいが徐々に染みわたってくるフィーチャー構成であることが分かってきます。スペシャルでノッカーをガンガン鳴らしてクレジットを荒稼ぎできるプリミアらしい快感も健在。 これがもし、スーパーマリオなんかがテーマではなく、車やF1レース、カジノやトランプ、ドライヴインシアターやファーストフードレストラン、南部のうらぶれたビリヤードホール……等々、アメリカンテイスト溢れる小洒落たアートワークの台だったら? そして無理に背伸びして導入したドットマトリクスディスプレイではなく、従来のデジタルディスプレイで小気味良く展開を処理していたら? サウンドもファミコンPSG風ではなく、デイヴザブリスキーの流麗なキーボードプレイ風コンポーズが奏でられていたなら? ひょっとしてキューボール以上にマニア垂涎のゴットリーブ台として、永らく愛される名作になったかも知れない。いま後顧するとそんな気さえする、口惜しい1作でした。 (追記:2018/7/5) このピンボール「スーパーマリオブラザーズ」の数々のヴォイススピーチにおいてマリオの声役を担っていたのは、公式声優でもあるチャールズ・マーティネー。 1996年発表の「スーパーマリオ64」でマリオ役に扮して以来、一貫して任天堂社同キャラの公式ヴォイスアクターとして、今も活躍中の声優・俳優さんである。 しかし任天堂ソフトにおける彼の正式クレジットは1995年からで、このプリミア製ピンボールの製作年度は'92年。しかも、今作ピンボールのクレジットにマーティネーの名は正式に記録されていない。 これはどういうことかと言うと、マーティネーは1990年の段階で既に任天堂社のトレードショーでマリオ役を務めていたのだが、そのクリップ素材をプリミア社が無断転用。 勿論任天堂からスーパーマリオのピンボール化の許諾は得ていたものの、マーティネーへのギャラは支払われておらず、プリミアは謝辞のクレジットも声明しないまま踏み倒した形となる。 プリミア社は'96年に倒産しており、問題を蒸し返す必要性は乏しいが、最近になってファンがこのピンボールのトランスライトへのサインをマーティネーにねだった所、不穏当な要望であるにもかかわらず、彼はサインの筆を走らせてくれたという。 どうあれ、“この'92年製ピンボールこそ、マーティネー声優マリオ製品の元祖だ!”と堂々と世間に顔向けできないことは、後年になればなるほど残念である。 |
▲クッパのキャッスルたもとのキャッスルホール。ジャックポットの他ハリアップEXやSPもかかっちゃう重要ポイント。とても入れ易い | ▲フィールド全景。どの箇所も通し易いんだけど、どうもスピード感無くずんぐりしててスカッとしないのよね〜 | ▲ランプレーン脇に掲示された6種のミニゲーム。ぼんやりしたタイムボーナスも含め、全体的には狙う価値がアリ |