各名門ブランド ピンボール・リスト

GOTTLIEB/1991

サーフィン・サファリ

原題Surf'n Safari
製作年度1991年
ブランド名ゴットリーブ
メーカープリミア・テクノロジー
スタッフデザイン:ジョン・ノリス/美術:デヴィッド・ムーア、コンスタンチーノ・ミッチェル/音楽:クレイグ・ビアーウォルテス、スティーヴ・カーク/ソフトウェア:ランド・ポーリン
標準リプレイ点数不明
備考製造台数2,006台/ようつべに動画あるよ!⇒GO!
▲バックボックス上部。トップにスピーカーがあると低音サウンドがズンドコ響いてキモチイイのよね ▲プランジ途中には何気にスキルショットのミステリーが。マルチ開始時にはボールロックもできるよ
▲バックグラスにはピンボールの伝統画であるセクシー水着美女たちが乱舞。フラッシュで見えないけどD-O-U-B-L-Eレターの点灯状況にも注目 ▲フィールド上部。主人公であるグラサンワニのロドニーくんが中央で鎮座ましまし
▲渦潮プールを表現したワールプールレーン。かつて予算をケチってたプリミアが、頑張ってでっかいランプレーンをガツガツ登載! ▲フィールド下部。5×5縦横並列ライトは単なるアウトホールボーナス表示のみならず、ビッグゲームへの構築になっている

― COMMENTS ―
●“平面フィールド主義”ストリートレヴェルシリーズ打ち止めからドットディスプレイ採用前までの期間、プリミアが発表したランプフィールド・デジタルディスプレイ4機種はどれも秀作揃いでした。
 本来同社の柄じゃない派手なトイギミックを盛り込んでかなり背伸びした内容ながら簡明なフィーチャー編成に努めた「クラス・オブ・1812」、ミッション制や燃料制を採用した意欲作「オペレーション・サンダー」、楽しさ・明るさ・小気味の良いテンポ各バランスNo.1の「カクタス・ジャックス」などなど。
 どれもやり応えがありましたが、フィーチャーの完成度が最も高いものを1台挙げるとしたらコレ!'91年発表、ジョン・ノリスの会心作「サーフィン・サファリ」です。

 このゲームの舞台はジャングルをテーマとした一大プールパーク。ゾウ、ライオン、オオハシ鳥、サル、ライオン等のアニモーキャラクターの中でも親分格・ワニのロドニーくんによるガイドの元、プレイヤーは渦潮プールやスライダー、パイプライン、スプラッシュといった様々なアトラクションをこなし、全設備の制覇によるミリオンプラス賞与を目差します。

 赤,青,黄,紫,橙の各レーン各カラーポイントはそれぞれ5回のシュートでのクリアとなり、制覇後はエキストラ挑戦やビッグポイント取り放題など、各々ちょっとした時間制ボーナスステージのご褒美あり。
 その5回ショットの進捗はフィールド下部中央のボーナスライトで各色5本縦並列で明晰に掲示。

 橙パイプライン(左ホール)は5回シュート完成でアンリミテッド3ミリオンが左ランプ入り口脇スタンダップで時間制取り放題
 青ウォータースライダー(左ランプレーン)は同じく5回シュート完成で左ホールでカウントダウンボーナス&マルチボール
 黄ブーメランプール(左奥スピナーホースシュー)は5回シュート完成で時間性スピナー1回転25万点回しまくりに挑戦
 赤スプラッシュ(中央3枚ドロップ)5回完成でスペシャルGETに挑戦
 紫ワールプール(円形右ランプレーン)は5回シュート完成で時間性エキストラボールGETに挑戦……と言った具合。

 さらに面白いのはカラーライトの縦列1色の完成のみならず、各カラーポイント1回ずつシュートして横の列を完成させてもご利益があること。

 横1列目完成でお帰り出口点灯(アウトレーンにボーナスポイント)
 2列目完成で施設内ゲーセンオープン(下部右端アーケードターゲット)
 3列目ライトロック(マルチボールへ)
 4列目お土産ショップ開店(下部左端キックターゲット連続ヒットでEX.)
 そして5列目コンプリート完成でスーパースコア(アーケードターゲットでミリオンプラス!ボールデッドまで時間制限無し!)

 さらに、各カラーポイントはそれぞれ完成後にも、さらにシュートし続けても別の利点があります。例えば青の左ランプは2連続、3連続……と回しまくれば連続シュートレコードが記録されて最高回数を出せばネーム入力が出来るし、橙パイプライン完成後はD-O-U-B-L-Eレターが進められたり。
 ボーナスステージへの進捗過程はもちろん、ポイント完成後も無駄や退屈は無いんです。
 ゴットリーブがこんなバランスの取れた縦横構築型ビッグゲーム方式を、アタックマーズやメディーヴァルよりはるか4年以上も先立って採用していたなんて!

 そうそう忘れちゃいけないマルチボールについて。
 2ボールマルチorスキルS成功で3ボールマルチの最中は、2箇所のライトフラッシュポイントへのシュートで左ランプにジャックポット点灯
 JP獲得後はさらにライトフラッシュ全箇所制覇でスーパージャックポットのチャンス。
 因みにマルチが終わってシングルボールに戻った直後にもう一仕事あって、ワールプールミリオンチャンス(渦巻きランプ1回転ごとに百万点)!なんてのも訪れるのでダレている暇はないですよ。『ミッミッミッミッ、ミーリオーン! オーン オーン……』という、エコーのかかったロドニー君の雄たけびも爽快。

 さらにさらに、バックボックスのD-O-U-B-L-Eレター完成EXやSPの個数も含めてフィールド倍率2倍がかかったり、スキルショットホールのミステリーでいきなり“全て獲得”なるモノが出現して怒涛のビッグポイントがなだれ込んできたり。
 プレイし始めの印象は強くなくとも、そのフィーチャーの豊富さと奥深さは、ゴットリーブをナメていたプレイヤーの想像を超越。
 プリミアの欠点のひとつである脆弱な音響に関しても、元気良く痛快なヴォイスやビーチボーイズのカバー曲を導入してどうにか克服。ご機嫌なサウンドでテンポよくゲームを盛り上げてくれます。

 ……が、この台の不幸は、製造ユニット数20,230台のWMS記録的大ヒット作「アダムス・ファミリー」と発売が重なってしまったこと。

 おかげで今では当たり前の、このサーフィンサファリのポイント各所構築型ビッグゲーム方式は、当時トレンドとして見向きもされませんでした。
 '95年初頭にセガピンボールが「ベイウォッチ」で一度このスタイルを試みたことはあったものの、この方式がスタンダードとして認められるのは、'96年の最大ヒット作「アタック・フロム・マーズ」がもてはやされるのを待たねばなりません。
 同じく'92年ウィリアムス「ドラキュラ」の同時重複マルチ方式も、アダムスファミリーのブロックバストのせいで当時普及しなかったことを考えると、アダムスはピンボールのあらゆる可能性を殺いだ、とても罪作りな機種だったと思えてきてしまいます。

▲ウォータースライダーを表現した左ランプ。これスイッスイ通るしJPやSPはかかるし、連続シュートしてて非常に気持ちいい ▲スプラッシュプールを担うドロップT3バンク。5回完成でスペシャルラウンドに突入。時間内にアニモーライトを全部消してSPを狙え! ▲スーパースコア(ミリオンプラス)がかかるアーケードターゲット。しかし低い位置にある危険地帯でもある
▲左スリングのアップ。上のスーヴィニアキックターゲットもEXが絡んでて実は重要 ▲フィールド全景。色使いに統一感がない代償としてフィーチャーを色分けし、ゲーム進行をとても分かり易くした ▲最後は右スリングのアップ。球の落ち易さも丁度良かったのよね〜

(2010年12月23日)