各新鋭ブランド ピンボール・リスト

Spooky Pinball/2021

ウルトラマン〜怪獣ランブル!

原題Ultraman Kaiju Rumble!
製作年度2021年
ブランド名スプーキー・ピンボール
メーカースプーキー・ピンボール・LLC
スタッフプレイフィールドデザイン:コリス・バーロフ…?(クレジット原文ママ)/LCDアニメ:デヴィッド・フォーズマ、デヴィッド・ヴァン・エス、マット・フランク/ソフトウェア:デヴィッド・フォーズマ/許諾業務:チャーリー・エメリー/美術:マット・フランク/ゲームルール:バグ・エメリー、デヴィッド・フォーズマ/エンジニアリング:スプーキー・ルーク/製造監督:AJ/音楽:カウントDモンゴメリー/フィギュア:マット・リースター
標準リプレイ点数なし/マッチも当たらない
備考製造台数500台

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【取り急ぎ1st.インプレッション】

●スプーキーピンボール社「ジョン・カーペンターズ・ハロウィン」と同工プレイフィールド作品の同時発売商品。スプーキー台と言えば『故障やバグが多い』『プレイフィールドに欠陥が有る』『セットアップにも難あり』……と評判は良くないが、「ウルトラマン〜怪獣ランブル!」は予約開始4時間でユニット製造500台が全て売り切れた。「ウルトラマン」や「ハロウィン」のピンボールだなんて、プレイヤーにとって夢にまで見たモデルだ。無理もない。

●大阪心斎橋商業施設ビッグステップ内《SilverBallPlanet》で稼働中。ゴジラやジュラシックパークのピンボールと伍するように轡を並べてもらい、何だかウルトラマンも誇らしげ。

●ゲーム内容はほぼ「ハロウィン」と同じで、十分楽しめる内容。ハロウィンとウルトラマンどちらがいいかは単に好みの問題となりそうだが、バグや誤作動はウルトラマンの方が少なく、ソフトウェアはこちらの方が優秀と見た。

●ウルトラマンは海外でも放映されていてアメリカでの知名度も低くない。ただ権利が相手方に永らく渡ったままで、海外展開が進まなかった。円谷プロはそれを解決したばかりの時節で、ゴレンジャーがパワーレンジャーとして栄えた様にウルトラマンを海外に売り込もうと企図していたところだった。そこへアメリカのスプーキー社がピンボール化の企画を持ち込んだので、円谷プロもピンボール化プランを好意的に迎えた。

●アートワークが抜群に楽しいのだが、この健筆は「アリス・クーパーズ・ナイトメア・キャッスル」でも参加していたマット・フランクが揮っている。Gフェストでチャーリーエメリーと親しくなった特撮マニア同志で、『もし怪獣がテーマのピンボールを作るなら、俺にも参加させてくれ』と売り込んでいた。人柄も面白いし豊かな才能も文句なし。しかも完成したバックグラスのアートワークがマーベルコミック誌に掲載。マットもエメリーも栄誉に浴した。

●口跡鮮やかなホスト役ヴォイスはカイル・ヨーントが担当。声優が本職というより、ユーチューバーやポッドキャスター、Gフェストなどの翻訳朗読会で活躍している雄才。また、『怪獣を見たわー!』『次はがんばってね』などと、プレイしていて思わず笑みがこぼれるヒロイン役ヴォイスは、日本語が堪能な日系アメリカ人女性を起用している。

●音楽,サウンドはハロウィンと同じくマット・モンゴメリーが整合した。初代ウルトラマンの音楽はジャズ風であり、オーケストラ風でもあり、当時流行のサーフサウンド要素もあった。それに追加トラックを馴染ませ、違和感を全く感じさせないのはさすが。因みに彼がベースを担うロブゾンビのライヴステージでは、よくウルトラマンや怪獣の映像がスクリーンに映写されているそうだ。

●本当は東宝ゴジラをピンボール化しようと許諾交渉を丁寧に進めていたのに、好条件の横やりを入れたスターンに企画を掠め取られたのは有名な話。ピンボールマニアサイドからも、まぁまぁスターンは手ひどい仕打ちをしたのではないか……と多少の非難はあったが、出来上がったスターンゴジラピンボールは、キースエルウィンの御手によるゲームデザインのお陰もあって最高の仕上がりとなった。ロケーションではそれと並んでウルトラマンが設置されているのを見てエメリーもふっきれたようで、何だかとても幸せで大満足している―――と語っている。

●過去にスターンが「ファミリーガイ(2007)」「シュレック(2008)」の2作品を、同工プレイフィールドで間をおいて2機種作ったことはあるが、スプーキーの「ハロウィン」「ウルトラマン」のような同時進行・同時発売はこれまでに例がない。こんな無謀な制作スタイルは死ぬほど大変だったから二度とやらないよ!とチャーリーエメリーが言い放ったその舌の根も乾かぬうちに、また「ルーニーテューンズ」「悪魔のいけにえ」同工プレイフィールドのダブル同時発売を成し遂げたのはご存じの通り。

●チャーリーとコーウィンらエメリー一家は勿論日本に何度も来ている。東宝スタジオにも行ったし、東京タワーを見て“あれが歴代怪獣達が壊した建造物!”と感激したり。アメリカでは既に撤退した大型おもちゃチェーン《KBtoys》は現在も“トイザらス”として日本法人が展開しており、そこでウルトラマングッズ、怪獣グッズを好きなだけ大人買い。 怪獣スリッパ履かされたり怪獣メニューを頼んだり、飲み過ぎるとカラータイマーが鳴り始めたりする川崎のコンセプトバー《怪獣酒場》で相当楽しい思いをしてきたらしい。勿論心斎橋ビッグステップ内SilverBallPlanetにも来訪している。ウルトラマンのバックグラス右下の角には彼のサインがあるゾ!






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