各名門ブランド ピンボール・リスト

WILLIAMS/1953

フェアウェイ

原題FAIRWAY
製作年度1953
ブランド名ウィリアムス
メーカーウィリアムス・マニュファクチュアリング・カンパニー/ウィリアムス
スタッフデザイン:ハリー・ウィリアムス/美術:ジョージ・モーレンティン
標準リプレイ点数不明
備考
▲バックグラス。ドラムではなく、カラフルなライテッドスコア表示からして、半世紀以上という時代の隔世をいやでも感じさせられる。 ▲あら、両フリッパーは現行と同じ位置。しかし、ダマされてはいけない!左右同時アップ、ホールディングが不可という、操作性が最悪のシロモノなのだ。
▲フィールド上部。ノンフリッパー時代の後期には複雑なワイヤーレーンやミニフィールドやポケットが入り組んだ台もあったけど、トレンドは再びシンメトリーデザインに戻っちゃったのね。 ▲当時のインストラクションカードがそのまんま残っていたのには流石にびっくり!激しく刻まれた傷の数がその年月の深遠さを無言で語る木製モールディングバーもソーゼツ。

― COMMENTS ―
●私がこれまでの半生の中でプレイしフリッパー台の中で、1953年という、もっとも古い機種のピンボールです。
 フリッパーやバンパーがあるのでピンボールと分類すべきですが、何から何まで現行とは隔世しており、一挙手一投足ごとにつまずいてゲームに不自由するような印象を持ちました。レトロで味があるというより隔靴掻痒にじれったく、今にも壊れそうな軋んだ機会音も、全てが痛々しかったです。
 私こういうの買い集めて古きアメリカのロマン〜〜とか言って骨董品・アメリカンアート扱いして悦に入るような趣味は全く無いです。ピンボールはどこまで行っても飽くまでゲームマシンとして楽しむべきでしょう。

 先ずボールのプランジからしてひと手間必要。自動でシューターレーンに蹴りだされることはなく、プランジャーのすぐ左下のクランクレバーによる手動で、ぐいっ、ガッコン!と球をシューターに乗っけなければなりません。
 フリッパーもかなりの曲がり物。現行台と同等の位置にショートフリッパー(写真の台のフリッパー&ラバーは新しいパーツに変えられています)が左右一対に設けられているし、筐体の側面にも左フリッパーボタン、右フリッパーボタンが有るものの、どっちを押しても左右フリッパーは同時に稼動。すなわち、ピンボールの初心者がぎこちなくダブルフリップする動作を、すれたプレイヤーも強制的に行なわされることになります。じれったい!しかもホールディング不可。思わずワンフリップワンフリップに不自然に力が入ってしまいます。
 ゴルフのグリーンにみたてた9つのホールは役物の狙い目ですが、これら穴ポコにボールを入れれば、そんでそのボールはお終いです。ゲーム中キックアウトされません。ボールを1コ消費して役を完成させる様式は、当時のビンゴマシンに倣ったものなのでしょう。

 そして最も魅惑的なのはバックグラスのライテッドスコアリング。得点表示がリールドラム方式ではないのです。1万点から100万点まで、単位ごとにライトをともしてスコアを表現しています。
 当時技術的にはリールドラムメカの導入は難しくなかったはずですが、業界側は“アートフルで愛らしいライテッドを捨て、味気ないドラムなんかに変えてたまるか”と頑として撥ねつけていました。当時'50年代のピンボール業界はコインオペ、アーケードシェア低迷に相当苦しんでいたにもかかわらず、新機軸の導入をかたくなに拒んでおり、バックボックスにドラムとメカギミックアクションを備えた台が浸透するのは'60年代になってからのことでした。
 これって、永らく氷河期に凍えながらも絶対にカラー液晶モニターや異なるゲーム性を取り入れずに、未だにモノクロドットディスプレイやマニア向けルールシステムに固執し続ける、現在のピンボールの頑迷な気質に似てませんか?

 プレイしたのがだいぶ前なので細かなルールは思い出せませんが、とにかくスペシャルリット等のルールが絶望的に難しかったことを覚えています。なにせ左右打ち分けもホールディングもできないので、狙い撃ちが不可能。それでも入って欲しいところに球がハマった時は嬉しいもので、しばし理不尽な役モノの完成に必死で腐心しながらコインを投入し続けてしまいました。こういうのはひとりでやるより、罰ゲームや飲み物をかけて多人数でやるとかなり盛り上がるでしょう。

▲結局スペシャルなんか一度も取れなかったな。上部左にあったパッシヴバンパー。 ▲フィールド全景。あまりの難しさに上部が遥か彼方に感じる……。 ▲バックグラス右上角。フクロウくんのクレジット表示のほか、ゲットしたグリーン番号もライト点灯表示。
▲この時代のピンボールバックグラスはいつも美女が主役。でも控えめな方だよね。スゴイのになるとスキーでも水着着てたりとか。 ▲フィールドやや右上。眺めてるうちに鉄の臭いを思い出してきちゃった。古いメカ独特の臭いって結構クラクラ来るのだよ。 ▲右上パッシヴバンパー(弾く力が無いヤツだす)。

(2007年1月16日)