各名門ブランド ピンボール・リスト

WILLIAMS/1987

ファイヤー!

原題FIRE!
製作年度1987年
ブランド名ウィリアムス
メーカーウィリアムス・エレクトロニクス・ゲームズ
スタッフデザイン:バリー・オースラー/美術:マーク・スプレンガー/音楽:クリス・グランナー/サウンド:ブライアン・シュミット、リッチ・カーステンス/ソフトウェア:ダン・リー
標準リプレイ点数200万点
備考製造台数7,700台/ようつべに動画あるよ!⇒GO!
▲バックグラスのアートは馬車で現場へ急ぐ19世紀シカゴの消防隊。渋い! ▲堂々と曲線を描くランプレーンも豪壮なシンメトリープレイフィールド。
▲フィールド下部。両フリッパーの間にアップポストがあるのだが、コレが消火栓の形を象っていてカワイイのだ ▲バックボックスの上にこしらえた本物ベル。要所要所コイル稼動により賑やかしく鳴動

― COMMENTS ―
●19世紀のシカゴシティーでの大火災における消防隊の活躍……という、なんともヒストリカルで渋〜いシチュエーションを据えた'87年発表のウィリアムスピンボール。コンセプト及びデザインはバリー・オースラー

 ゲーム上のストーリーラインをひととおり。火災延焼中の建物左側(右スロープ→左ロックポケット)、建物右側(左スロープ→右ロックポケット)に消防隊員を1人ずつ突入させ(ボールロック×2)、さらにフィールド上部中央の最も火の回りが激しいビルにハシゴをかけ(ミニホースシューを1周)、その上がったハシゴ(ミニスロープ)から隊長が突入(ビルのミニチュアにシュート)すると、一斉消火活動開始!(3マルチボールスタート!)
 消火活動が始まったらフィールド内の燃えさかる炎(点滅スポットターゲット)を消してまわり、全て鎮火させたら消火成功(ワンミリオン獲得)
 他、火災の階上の窓から助けを求めるご婦人を救出(左右ランプレーン奥のターゲットヒット)するとエキストラボールの賞与も有り。

 わざわざ左右対称にデザインすることによりスペースの無駄がでるシンメトリープレイフィールドですが、この「ファイヤー!」にいたってはそれが奏功し、痛快なループ・爽快なボールロックを醸すことに成功しています。
 左で1回ヒットしたらあと右でもう1回やればget!とか明確に教示しているし、左右スロープも左右ループも全部奥でつなげ、両側ともホースシューとして狭隘させることなく活用。
 特に左右で上下しながらループ通路にもランプレーン入り口にも、さらにロックポケットへの橋渡しにもなるスロープの用途が絶妙です。

 またサウンド・音楽の演出がムード満点。郷愁と哀感を漂わせながらどこか陽気なミュージックは勿論、鳴り響くサイレンや警笛、ボールロックの際に駆けゆく馬の蹄、そしてバックボックスの上でしつらえたホンモノのベルの音のがなんと気持ちいいこと。
 アウトホールボーナス時にも倍率カウントのつどベルが鳴らされ、特にMAX10倍時なんかウ〜ウ〜カンカンカン♪と賑やかにカウントアップする、その高揚感はクセになりそう。

 これら機知に富んだテーマ性や重厚なアートワークがむこうでも評判だったようで、この「ファイヤー!」発売後、ウィリアムスは同機種のウッドレール版(木製筐体)の「ファイヤー!シャンペンイディション」も発表していました。
 当時中学生だった筆者にも思い出があり、普段PINを置かないような行き着けの学生向け50円ゲーセンにぴかぴかの新品ファイヤーが入荷。狂喜乱舞して1日中やりこんだものの、どうやらはじめから他店舗に置く予定だったようで、1週間ですぐに遠くの繁盛店に上げられ、ガックリと肩を落としてトボトボ帰宅した思い出があります。

※写真の台は名古屋市金山駅前の「モンテ」で、'95年頃に撮影。

▲ハシゴが下がった状態。上はマルチスタートのビル入り口、下は倍率上昇もかかるミニループ。 ▲プレイフィールド全景。改めてマーク・スプレンガーによるアートワークの偉大さを万感。 ▲左右リターンレーンにはラッパを鳴らす隊員が描かれているのはいいが、ボールがみづらいのだ
▲撮影したこの店では左スロープの脇が割れちまったみたいで、どうにか厚紙とテープで補強した苦心の調整痕が見られる ▲ハシゴが上がった!さぁ突入だ。因みに「ジョーカーズ!('89)」「マンデーナイト・フットボール('89)」でも似たようなギミックがある ▲言い忘れたけどスキルショットもある。うまくプランジャーを加減して20万点のラインを狙おう

(2010年1月19日)