Williams/1992フィッシュ・テールズ | ||
原題 | Fish Tales | |
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製作年度 | 1992年 | |
ブランド名 | ウィリアムス | |
メーカー | ウィリアムス・エレクトロニクス・ゲームズ | |
スタッフ | 原案:パイソン・アンジェロ、パット・マクマホン、マーク・リッチー/プレイフィールドデザイン:マーク・リッチー/美術:パット・マクマホン/メカニクス:ジャック・スカロン/ソフトウェア:マーク・ペナーチョ/音楽:クリス・グランナー/バックグラス画:パット・マクマホン | |
標準リプレイ点数 | 1億点 | |
備考 | 製造台数:13,640台/ようつべに動画あるよ!⇒GO! |
▲バックグラス。ウィリアムスを離れたマークスプレンガーに代わり、今作ではバリー出身「トラックストップ」のパットマクマホンが筆を取っている | ▲トップレーン。勿論レーンチェンジ可。マックス7倍。バンパーアクションでよく往復するので手早く揃えるべし |
▲フィールド下部。実はフリッパーサイズが標準より短い!アウトレーンも落ち易くてなかなかてごわい | ▲ワイヤーの張り方がスリリング。見えにくいけどロックホール左隣にエキストラボールのスタンダップが立つ |
▲ボート型左右クロスランプレーン。交互連続で決まると爽快。フリッパーリターンのボールフローとしても重宝 | ▲シールドパーツの絵までひとつひとつキュート。影になってるが奥にトップホールがある |
▲なんとロックしたボールはこの釣竿リールに収納。カタパルトぶん投げリリースも見もの | ▲トップレーンのレターライトが見えにくい…という方はこちらの表示で確認を |
▲問題のコントロールゲート。一見左から通せて右からは通れない一方通行ワンウェイゲートに見えるが、実はパーツが稼働して右からホースシューループ出来るよう仕掛けがある | ▲こちらが“下がり、開いた”状態のコントロゲート。盤面下部から伸びたパーツの上下稼動で開閉している。当時この2枚写真を証拠として店員に修理させてまわった |
●バックボックスの時計台ギミックや大掛かりなランプレーン多用による予算オーバーの果て、前作「ダイナー('90)」の収益不振でウィリアムスでの顔が悪くなっていたマーク・リッチー。 一説によると、いっとき「シルヴァースラッガー('90)」でそれなりの耳目を集めたゴットリーブの平面フィールドシリーズ方針をWMSが自社でも取り入れるべく「ハーレーダヴィッドソン('91)」を同路線で発表したのは、三千台しか売れなかったダイナーのセールス失敗に起因していたとか。 そんな彼のスランプを吹き飛ばす待望の傑作として、アダムスピンボールバブルの時勢に乗って飛び出したのが今作「フィッシュテールズ」! “フィッシング”なる彼らしい温和なテーマでありながら、大胆なボート型ランプレーン、釣竿リールに見立てたロック機構、大振りキャスティングを再現したぶん投げカタパルト、痛快なマルチボールとスリリングなタイマーロック式ジャックポット……等々、前作から大きく進展したゲーム性により、何と一万三千台以上の世界的セールス数を記録。彼にとっての最大ヒットマシンと相成りました。 日本ではアミューズメントスペースブームと'90年代ピンボールバブルの時勢が重なったことも有り、普段ピンボールを買わない業者系列の小さな店舗にまで入荷される、ビックリする程の普及ぶり。PINに興味のないゲーマーの間でも見覚えのある筐体として記憶に残されています。 【ボールロック/マルチボール】3ボールマルチ。釣り小屋を象ったフィールド右上VUKロックホールに3回入れるだけでOK。 ロック時にはアップキックされたボールがワイヤーに乗って運ばれ、左端巨大リールにクルリと収納される演出が見もの。マルチ開始時はリールから落とされたポケットでのカタパルト放出で、絶叫と共にボール3個がぶん投げリリース。 【ジャックポット】マルチ時には左スピナーレーン経由のトップホールに二千万点以上のJP.がかかる。点け方は、先ほどの釣り小屋ボールロックをマルチ中に再度行う。1個ロックでシングルJP、2個目のロックでダブルJP獲得!但し20秒の時間制。タイムアウトでまた放り投げられてロックし直しとなるのでお急ぎを。 【スーパージャックポット】中央キャプティヴボールにアンリミテッドにかかる1億点のビッグポイント。先ほどのトップホールのジャックポット獲得を3回完了すると、そのマルチ中キャプティヴにスーパーJPが点きっぱなしとなる。本当に取り放題。執拗に粘れば10億、20億の荒稼ぎも可能。 豪快だけど無条件取り放題は放埓過ぎかな。ループキャストで再点灯、とかだったら丁度良かったのに。 【ストレッチメーター】ルアーに魚がヒット!?デカいぞデカいぞ?…っしゃあ!釣れたー!!というニュアンスをうまく表現したシングルボール時のフィッシングボーナス点。スピナーに時間性でかかる。ヴァリューは0点〜500万点で、これにボーナスXがかかる。 点け方は、フィールド下部左右ターゲット完成。尚、釣った魚の回数で記録を出すとホルダーとしてネーム入力も有り。 もうちょいヴァリューが高かったら、そして釣った回数でEx.とかあったら、もっと面白くなったんだけどね。 【フィードフレンジー】左右ボートランプ・左右ループ計4箇所に500万点がかかるハリアップ。コンプリートで更に二千万。 上述の魚ターゲット完成を4回繰り返すとスタート。突然騒々しくモードが変わって始まるので意表を突かれる。 【フィッシュファインダー/ミステリーボーナス】トップホールにかかるミステリーボーナス。内容はボーナススコア、Ex.リット、インスタントマルチ、バンパーヴァリュー50万など。 点け方及び獲得方法は、右リターンコンボ時間性点滅。右リターン消灯時はトップレーン完成で再点灯。 【ロングキャスト/右ループ】右ループ連続叩き返しフィーチャー。2連続ループショット成功で100万、3連続ループ200万、4連続300万……とヴァリュー上昇。 また、このループショット成功により、5項目あるキャプティヴヴァリューの点滅が進捗。これがのちのち重要な根回しとなる。 【キャプティヴボールヴァリュー】5項目あるミニヴァリュー。1回目ボーナスホールド+100万、2回目ビデオモードリット+200万、3回目ロックザボート(時間内ボートで一千万稼ぎ放題)+300万、4回目Ex.リット+500万、そして5回目インスタントマルチ+一千万点。 但し、上述のループショットでヴァリュー点滅を進捗させておかないと、キャプティヴショットを何度決めてもヴァリューは得られない。 インスタントマルチは嬉しいけど、その時のボールロックが無効精算されるのが惜しい。 【ビデオモード】釣りに邪魔なジェットスキーヤーたちを撃墜するディスプレイのビデオモードフィーチャー。先ほどのキャプティヴヴァリューの2項目目でトップホールに点灯。 シューターボタンまたはフリッパーボタンで20発制のシューティング。コンプリートで二千万追加。 当時評判の悪かったビデオモードの類としてはかなり面白い方。また[EX]と書かれた標的が必ず流れてくるので、真摯に見逃せないフィーチャーとなっている。 【ボートランプレーン/モンスターフィッシュ】ボートを象った左右ランプレーンにて、50万,100万,150万……最高値300万まで稼げる対角リターンコンボのランプレーンボーナス。 尚コンプリートのご褒美として左スピナーレーンにモンスターフィッシュがかかる。二千万点からのカウントダウンボーナス。尾ひれで直立歩行して火を噴きノシ歩く怪物魚のアニメが楽しい。 【スペシャル】左右アウトレーンに点灯。キャプティヴヴァリューをコンプリートした後、さらにキャプティヴをヒットすると“あと4回でスペシャル点くよ”とメッセージが出る。 緊迫感のあるフラッシュとサウンドのプレッシャーが心地よい。 デザイナーのMリッチー本人が釣りに造詣が深いだけあって、フィッシングのムードと興奮が横溢した傑作です。 最も熱いのがやはりマルチボール。 ドットアニメで描かれるは轟音と共に海へ飛び立つフィッシング大会のボート群。雄叫びと共に放たれる3ボールマルチ。ボールロックによるルアーヒットの感触。そしてスピナーぶん回してトップホールにショットが決まった時、ジャックポット獲得と共に暴れ出すバックボックス上部に構える等身大の魚の巨大オブジェ! この要所要所のビッグポイントでビチビチ跳ねる魚オブジェが筐体に振動を与え、プレイヤーにバイブレーションを体感させる演出が秀逸。ギャラリーの注目は集まるし、やってる本人は見てる余裕が無くとも腕に伝わるシェイクにより、本当に魚を釣り上げたようで大いに興奮させられました。 それからドットディスプレイにおけるアニメ表現がオモシロイのなんの。 倍率アップ時は魚が水面からポンポン飛び跳ねるし、リプレイ点を超えれば魚くんがドラムを叩いてスティック掲げてキリッと表情を決めてノッカーが鳴るし、通常モードではスコアの後ろを魚たちがスイスイ泳ぎっぱなし。ハイスコア登録はヤシの木がトロピカルな音楽に乗ってスウィングしちゃうし、最後は魚を乗せた計量機の数字がマッチナンバーに……という具合。 昨今のスターン台における、映画の画像や動画を取り込むだけの惰性的な投げやりデモ描写とは時勢が違い、ドットディスプレイが新機軸として取り入れたばかりの当時は、あんなこともしよう・こんなデモも作ろう……と堰を切ったようにデザイナーたちのアイディアが湧出していた。そんな制作側の絶好調な高揚ぶりがありありと伺えます。 カントリーミュージックをベースとした音楽も、名コンポーサーのCグランナーにとっては真骨頂。 陽気なバンジョーとヴァイオリンのすっとんきょうな曲調で、特に熱帯魚編、淡水魚編、海水魚編…と3種用意されたマルチボールのBGMが出色。水飛沫と魚がビチビチ跳ねるようなサウンド効果も特筆的。 プレイフィールドデザインはちょっと不格好で圧迫感があるものの、どのポイントもシュートしにくくなり過ぎないようギリギリのバランスで持ちこたえていることが伺えます。 左右ランプレーンと左スピナーの通し易さと気持ちよさが実に冴え冴えしい!これは球を乗せやすいよう大きく場所を取った大胆なボート型デザインのおかげなので、そのしわ寄せでロックホールが難しい角度になったのは大目に見ましょう。 一方、稼動ぶりやマシンの状態はどうだったかと言うと、残念ながら多かれ少なかれ故障の目立ったマシンでした。 ロックホール手前に立つドロップターゲットのアップダウンの稼働不良にも難儀しましたが、致命的だったのは連続ホースシューループとワンウェイを制御していたコントロールゲートの不稼働。これによりキャプティヴバリューの進捗を絶たれた台が多発。 筆者は当時、同症状がみられた台のあったシグマ社ゲームファンタジア都内店舗の店員にせっかく指摘したにもかかわらず、“初めっからこういうものです!”と調べもせず言い張られて憤った経験を機に、上下稼動がわかる証拠写真2枚をわざわざ持ち歩き、問題の起こった筐体のある各店舗に突きつけて修理要請して回った思い出があります。 ドラッピー金山スポーツガーデン店のフィッシュテールズでいっとき起こっていた同トラブルが無事直ったのは、私のおかげじゃあ! キャプティヴB引っこ抜くバカなどは問題外ですわ。 |
▲スコア配分が物足りぬストレッチメーター。釣り上げる感触はよく表現出来てるしフィーチャーとしては面白いのだが | ▲キャプティブボール。ヴァリューはエキストラやインスタントマルチ、SPなど、こちらもなかなかデカい役物が多い | ▲実は入れにくい!マルチボールへのロックホール。初心者はむしろメチャ打ちや適当叩き返しで偶然入ることの方が多いかな |
▲フィールド全景。釣りがテーマのピンボールは他に「ビッグストライク(Williams'66)」「マーメイド(Gottlieb'51)」の2作が挙げられる | ▲お魚GETコンプリートでフィードフレンジーやロックザボートもあるのだが、マルチがデカ過ぎて眼中に入らない | ▲筐体全景。バックボックスの魚のオブジェはJP獲得時などに天地が鳴動するが如くバタバタ暴れ出す!(注:写真の店は現存せず) |