各名門ブランド ピンボール・リスト

WILLIAMS/1990

ファンハウス

原題Funhouse
製作年度1990年
ブランド名ウィリアムス
メーカーウィリアムス・エレクトロニクス・ゲームズ
スタッフ原案:パット・ローラー/デザイン:パット・ローラー、ラリー・エドワード・ディマー/ソフトウェア:ラリー・エドワード・ディマー/メカニクス:ジョン・クルッチ/音楽:クリス・グランナー、ジョン・ヘイ/FX:ブライアン・エディー/美術:ジョン・ユッシー/バックグラス画:ジョン・ユッシー/アートサポート:ケヴィン・オコンナー、マーガレット・ハドソン/ルディー君の声:エド・ブーン
標準リプレイ点数800万点
備考ようつべに動画あるよ!⇒GO!
▲バックグラス画。案内人ルディーがいざなうファンハウスは今宵も大賑わい ▲フィールド上部。ローラーのデザインとしては珍しく各レーンが通し易く、かなり打ち易いプレイフィールドだった
▲フィールド下部。シュートやヒットで中央の時計ライトの針を徐々に進めていこう。深夜0時を回ればマルチボール突入でい ▲バックグラス写真の中央がフラッシュで見難かったので、ここでアップを1枚。ルディーが可愛いらってキッスは禁止よ

― COMMENTS ―
1990年発表のウィリアムス台「ファンハウス」は、当時のカリスマデザイナーであるパット・ローラーが、マニア受けが凄まじかった「アースシェイカー」「ワールウィンド」とはまた違ったテーマ性で挑んだ意欲的な秀作マシンです。
 何といっても腹話術サイズよろしく巨大生首人形がプレイフィールド上に威容満面に鎮座しているのがインパクト強烈。
 ルディー君と名づけられたこのパペットは、まるで生きているが如く目と口を盛んに動かし、プレイヤーに話しかけたり、いびきをかいて居眠りしたり、挙句の果てには絶叫を上げるわボールを吐き出すわ!実質的なボールアクションを起こすギミックフィーチャーとして大活躍しています。

 このマシンのテーマはタイトルそのまま、遊園地のファンハウス。入園者はパーソナリティーのルディー君と共に、スリリングで奇妙な数々のアトラクションを体験してゆきます。でも気をつけて。閉館時刻の深夜零時を過ぎるとルディー君に驚きの異変が……。

 このゲームのフィーチャーの最たる中心軸は、プレイフィールド盤面中央に、明滅するアローライトを分針・時針として描かれている、ルディー君の肩かけ時計(ボールロック&マルチボール)
 これが要所要所の通過やヒットで徐々に時刻が進捗。やがて「ゴーンゴーンゴーン……只今午後11時30分。あと30分でファンハウスは閉館致します……」という、雰囲気たっぷりのディスプレイでのメッセージ&チャイムと共に、ボールロックのライトが点滅します。2個共ロックを完了すると、時計の針は丁度深夜0時を指し、ファンハウスはついに閉館へ。するとルディー君は疲れたのか、口をあんぐり開けたまま居眠りをしてしまいます!この時お口にボールを捻じ込んで叩き起こしてやりましょう(3マルチボールスタート)
 マルチの最中、普段は連続サイドループでボーナス点が稼げるトラップドアが開きっぱなしになるので、ここにシュートすれば200万、300万、400万…とミリオンプラス式のジャックポット獲得。ゲット時のルディーの絶叫と爆音の演出はゾクゾクもの。JP再点灯は左ランプレーン。因みにリプレイノルマは800万点。
 もうひとつ大掛かりなフィーチャーとして、[ミラーヴァリュー]なるスクープ型のホールが重要。ここではクイックマルチ(ルディーのお口ヒットで100万点取り放題2マルチ)、ライトエキストラ、ライトミリオン、ジェットバンパーズマックス、時間制ホットドッグ食い放題(サイドターゲットでボーナス)、クレイジーステップ開通(左デュアルプランジャーでスーパースキルショット)、の6種類のミニゲームが得られます。
 尚、全ミラーヴァリュー完成後は時間内全スイッチ25万点!などという驚愕の[フレンジー]タイムの大興奮が待ってますよ。ボールをバンパー地帯に放り込んで猛連打させると大変なことに!

 なんと言ってもおしゃべりルディー君人形の演出が殊更に強烈。単なる主役キャラとしてコケ脅しの偶像を設けるのではなく、実際にボールヒットやボールシュート、口からキックアウトなどもこなさせて、ゲームフィーチャーの一部として完全に組み込んでいるのが素晴らしい!
 誰でも思いつきそうで思いつかなかったミニゲーム全獲得後のビッグゲーム“フレンジー”のアイディアもお見事で、今ではおなじみの、全スイッチが時間性で同額一定の高得点になるフィーチャーは、実はこのファンハウスが元祖。このフレンジータイムが最大の見せ場としてマルチ以上の盛り上がりを醸し出してくれます。
 本国・国内、プレイヤー・オペレーター共々総じて評判は高く、ローラーのディレクト作としては初の1万台超えのセールスを記録するスマッシュヒット作となりました。
 ただ、このマルチボールのスタイルとフレンジータイムを、データイーストがカーレーステーマの台「チェックポイント」で上〜〜手に剽窃、ドットマトリクス&オートシューター搭載の新機軸な革命商品として殆ど同時期に発売されちゃったのは、ウィリアムスもちょっと苦笑いだったでしょうね。

 ところで開発当時、こんなエピソードが。
 ローラーはパソコン通信で自分が“災害モノのパットローラー”なる呼ばれ方をしていたことを不本意に思い、「ファンハウス」のアイディアを思いついたのだそうで。
 プレイフィールドに生きているようなヒューマンがいて、そいつがプレイヤーに語りかけてくるような台にしたい!というコンセプトをプログラマーのラリー・ディマーに持ち掛け、彼も同意したことから本機種の制作がスタート。
 美術班のジョン・ユッシーに作らせた実物大ルディー君クレイモデルを、どや!とディマーに見せたところ、2インチ程度(BALLYパーティーゾーンのキャプテンBザールぐらい)のものを予想していたディマーは、その有り得ない巨大さに、オーマイガー!これは無い!ホントにこれでイクんか!…と、相当な衝撃を受けたのだとか。
 まぁその巨大人形ルディー君の降臨も、ハンドくん(アダムス)やガムボールマシン(トワイライト)、レッド&テッド人形(ロードショー)に比べれば、序章に過ぎなかった訳ですが。

▲この左デュアルプランジャーから打つスーパースキルショット“クレイジーステップ”も、相当画期的で面白かった! ▲ロックレーンとトラップドアの狭間に鎮座する、ルディー君のアップ。プレイしてない時は熟睡しているようです ▲バンパー地帯とキックアウトスクープ。アダムスやトワイライトと同様に下部からフリッパー根元へ蹴り出すボールアクションがある
▲左アウトレーンのアップ。このアウトレーン底のポケットゲートが開き、そのまま左プランジャーレーンとして適用させている ▲フィールド全景。やはりルディーの顔がデカい ▲1枚だけ目を開けたルディーのショットがあったのでアップで掲載

(2011年1月19日)