各名門ブランド ピンボール・リスト

WILLIAMS/1997

ノー・グッド・ゴーファーズ!

原題NO GOOD GO L FERS!
製作年度1997
ブランド名ウィリアムス
メーカーWMSインダストリーズ/ウィリアムス
スタッフデザイン:パット・ローラー、ルイス・コージアルツ/ソフトウェア:ルイス・コージアルツ/メカニクス:ジョン・クラッチ/音楽:ヴィンス・ポンタレッリ/美術:ジュン・ユッシー/ドッツ:アダム・リーネ
標準リプレイ点数15,000,000 点
備考国内発売:タイトー('98年3月7日)
▲プレイフィールド上部。透明なので分からないがバイレベル構造で2階建てになっており、ホールインワンホールやカートを象ったミニチュアのターゲットがある。 ▲横から俯瞰。左端のサイドホールが割と面白く、真横にキックアウトして反対側にあるK・I・C・Kターゲットめがけて突進。シングフリップより簡単
▲このスピニングディスクがもちっと面白ければなぁ…なフィールド下部。 ▲バックグラス。ジュンユッシー&パットローラーコンビの図柄にしては魅力なく随分凡庸な構図のような。

― COMMENTS ―
●子供用ミニサイズ・トークン・タイマーピンボール「セイフクラッカー」がコケてしまったため、日本では「ロードショー」以来3年ぶりのご登場となったパット・ローラーによるディレクト作品です。
 しかしラリー・ディマー及びドワイト・サリヴァンといった彼の片腕とも言うべき盟友が制作クルーを離れているため、ワールウィンドの威厳性もトワイライトの神格性もロードショーの豪傑さも失った、なんとも締りのないピンボールになってしまいました。ヘタをするとスターン移籍後の彼の作品郡より完成度は堕しているのかも。

 ゴルフ場を掘り荒らすいたずらヂネズミとゴルファーとの攻防がテーマ。ニトログリセリンの爆風で2匹のネズミを地上に出させて退治…というストーリーラインを、ニトロランプレーンへのシュート⇒盤面に入出するネズミターゲットへのヒット⇒その奥にあるロックホール⇒マルチボール開始、という手順で表現。ただしネズミターゲットの盤面見え隠れアクションに劇的インパクトが無いので、思ったより愛嬌や面白みが出ていないのが惜しまれます。
 もうひとつ目立つギミックとしては、中央に備えられたジャンプ台。これが稼動した際にボールをシュートすれば、球は空中を突進して上段フィールドにあるホールインワンホールやカートターゲットへの狙い打ちが可能に。ホールインワンが微妙な難易度だったり上段中央奥のレーンを狙うとキレイにフリッパーリターンしたり。これがマルチでもシングルでもふんだんに活躍しており、このジャンプ台から透明プラスチック上段フィールドに球を着地させるデザインは、建築技術的にもなかなか良く出来ています。但し2階建てバイレベルに見えないので、見栄えのインプレッションの面では損をしているような気も。
 ミニゲームは全9ホールあるグリーンをひとつひとつクリアするごとに獲得(各レーンのDRIVEアローライトを消していくとグリーンにホールインがかかる)。ところが内容がどれも似たり寄ったりで、特にボールを締り無く溢れさすばかりのマルチボールに全く魅力がないのは致命的。ただし最終ゲームはジャンプ台と上段フィールドによるスーパージャックポット&スペシャルの活躍もあってなかなか盛り上がります。

 で、このマシンの何がいけないかと言うと、そのゲーム性にまるで締りが無いということ。作戦を練りながら役を構築させて一発逆転ビッグポイントをしとめる…というものではなく、似たり寄ったりのマルチボールの追加また追加、ボールもボーナスも無限に垂れ流すような単調な展開の繰り返しになってしまっています。爆風波動音と共にフリッパーに向かって剛速球を放つグリーンホール超高速キッカー!なんて演出もありますがココではまるで逆効果。ヴィンス・ポンタレッリのヘヴィメタ調のギターサウンドも、余計混乱した喧騒感を悪化させる結果に。
 地に足の着いた建設的ゲーム性がウリのはずのパット・ローラーのマシンと言うより、バブル期のデコピンに近いような、勢いばかりの粗雑なピンボールと言った印象。セイフクラッカーに継ぐ彼の失敗作でしょう。

 余談ですが、球がジャンプ台から空中へと飛び交うゲーム性のため、思わぬ箇所にボールが乗り上げるスタックトラブルが本機種出荷後に頻出しました。ウィリアムスは該当箇所をガードする防止パーツを各国ディストリに送付するアフターケアを打ちましたが、タイトーはそんなもん面倒臭がって各店舗へは一切送らなかったそうです。未だタイトーの倉庫に置きっぱなしなんだそーで……。

▲普段のローラーならギュウギュウ詰めでとても狙いにくいループレーンやキャプティヴやバンパーも、今回はひとつひとつ余裕を持って配置。かなり狙い易い。 ▲上下スロープの入り口にバド&バズのネズミターゲット、その奥にロックホール、とかなり工夫があるのに、それほどのインパクトになっていない。 ▲地味なようで意外と面白いキックバックターゲット。左端サイドホール経由で狙うと楽しい。
▲バンパー地帯。アクションに元気があり、サウンドの演出もいい。 ▲ジャンプ台挑戦モードやジャックポットがかかるサイドランプレーン。プランジャーからそのまま通せる。本文で書ききれなかったがスキルショットがなかなか打ち応えあり。 ▲プレイフィールド全景。因みに、リターンからのループショット決めてもボーナス倍率が上がらないバグがある。犯人はアラビアンナイツ怪音バグの前科もあるL.コージアルツ。

(2007年1月10日)